Coolier - 新生・東方創想話

ウィザウトフレンズ

2011/05/31 22:10:14
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時は守矢神社が幻想郷入りする前に遡る........




そこには果てしなく続く無味乾燥とした荒野だけ。
ただそこに1つだけ王国が存在していた。洩矢の王国。
当時、この王国は洩矢諏訪子が統率していた。
しかし、忍び寄る影が一つあった。


そして、侵略が始まった.....


そこでは諏訪子と神奈子が激闘を繰り広げていた.......



「驚いたな....噂では聞いていたが小さいくせになかなか強いじゃないか」
「お前も、あんなに重そうで物騒な物を軽々投げまくるなんてね。神ですら恐怖を憶えるでしょうね、きっと」
「私も神だ。忘れてもらっては困る」

互いの強大な力が交差する度に、地面と心は震えた。
こんな気持ちはもう二度と味わわないだろう。

神が動いた。
「さて、そろそろ私の“真の実力”を魅せてあげようか.....」
遂に本気モードか。
「ふっ....やれるものなら....」

そう言うが早いか、神奈子の周りは御柱で囲まれていた。
誰も寄せ付けない、難攻不落の要塞を一瞬で神奈子は完成させたのだ。

「くっ! これじゃ攻撃が通用しない!!」
これが、神の力!!!
そして......花が咲いた、御柱の。
その瞬間、目映い閃光が辺りを包み込んだ。
御柱が飛び交う。スピードは....尋常ではない。正直目で追うのが辛い。
でも、私は洩矢の王国の国王!
負けてたまるか!!

私の“真の実力”魅せてやる!!
「坤よ!! 解き放て!」
その瞬間、地から凡ゆる物が集められた。諏訪子の頭の上に巨大な玉として確立したそれは、大地を揺るがし、魂を震わせる。
「何っ!? 御柱が届いてない?」
神奈子が放った御柱は無情にも諏訪子の前で弾かれていた。

「あれが、坤.........」
神奈子が不敵に笑った。
「........面白い」
「私の力の前に手も足も出ないようね! さぁ! 安らかに眠りなさい!!!」
諏訪子が放ったソレは御柱を弾き、一直線に神奈子に向かって行った。

神奈子が大声を上げて笑った。
「どうやら、私を本気にさせたのはお前が初めてのようだ。神の力、思い知るが良い!!」
何っ!? まだあるのか? だが....坤は負けない!!

そして、神の力が放たれた。
「乾よ! 今ここに雷雨と暴風を!!!!!」
霹靂が轟いた。神々しい稲光。猛々しく襲う暴風。荒れ狂う大自然は、神のみ相殺できる。
だが....................

諏訪子が放ったアレは、もう無かった。
ただ某然と立ち尽くすのみだった。
甘く見ていた、神の力を。まさかこれまでとは.......

それは一瞬の出来事だった。
稲妻が諏訪子を襲ったのだ。稲妻が直撃するまで瞬きする時間すら与えられなかった。バチバチ、と全身が麻痺する。生きてる事さえ不思議だった。それ程凄まじい電撃だったのだ。
ばさり。諏訪子が敗北した瞬間だった。

「な.......なんで.......私の.....坤が........」
もはや痙攣を超越していた。
諏訪子の元に神奈子が降り立つ。
「なぁに伸びてるんだい。死なない程度に制御してやったのに」
なん......だと........?
「まだ.........負けてはいない..........」
「やめておけ。次は死ぬぞ?」

ふう、と神奈子が溜息をついた。
「それに気づいたんだ。あの祟り神はどうしようもできない事に」
祟り神? 何の話だ?
「私は神社の信仰を増やす為に洩矢を襲った。しかし、人々は祟り神を恐れ信仰は増えないんじゃないかって。だからさ」

加奈子が軽く息を吐いてから言った。
「幻想郷入り、しないか? あそこは人間みたいに弱い連中はいないそうだ。それに、正直もう争いは御免だ」
幻想郷入り? 私には小さい子孫がいるんだぞ?
「あの子も連れて行けばいいだろう。そうだな.....巫女になってもらおうかな」

ブチッ!! 堪忍袋の緒が切れた。痛みなんてもう知らん!!
「ふざけるな!! 私の大切な子孫だぞ!!!」
「冷静になってみろ。この果てしなく続く荒野で何ができる?」
「忘れたのか? 私は坤を創造できる。簡単に作って見せるさ」
「その身体でか?」
「ぐっ!」
確かにそれはキツイ。恐らく完治するまでは、長い月日がかかるだろう。

「あの子の為にも、自分の為にも。今やるべき事はなんだ? まさか、それが分からないほどお前は愚かではないだろう」
幻想郷入りが本当にあの子の為になるのだろうか? 幻想郷なんてどんな所か知ったこっちゃない。そもそも、この現実世界すらまだ詳しくないってのに。だがしかし........

「とりあえず私の神社に来い」
「...........仕方ない」
ここは目の前の神に従うのが賢明そうだ。正直、身体が言う事を聞かない。

神奈子が背中を出した。
「ほら。おぶってやるよ」
「いい! それよりあの子を連れて来てくれ」
昔の自分を思い出し、癪に障る。こいつは他人を怒らせるのが得意らしい。
「死んでなければ可能だ」
「問題ない。結界を張っておいた。傷1つさえないはずだ」

そう、私は結界に力を注ぎ過ぎた。おそらく、全パワーの10%は結界に送られただろう。結界を張らなければ勝負の行方は変わったのかもしれない。

「特徴を教えてくれ。見た事が無いんでね」
こいつに教えても百害あって一利なしだ。だがここは仕方ないか。
「..........緑色の髪をした少女だ」
「分かった」


3分もしないうちに神奈子がもどって来た。
「こいつで良いのか?」
「あぁ。ありがとう」
少女は気絶していた。外見では諏訪子より大人っぽいが恐らく13歳くらいだろう。
「さぁ、神社に出発だ!」
フラッ...........バサリ。
そこで諏訪子の意識は途切れた......


気がついたら1つの神社の前で寝ていた。
「........ここは.....」
「気が付いたか。いきなり倒れたからびっくりしたよ。1日は寝ていたぞ」
1日も寝ていたのか。それより....

「.........ここは?」
再び尋ねる。自分をコントロール出来ない。先程起こった出来事はすっかり消えていた。軽いアルツハイマーなのだろうか? まぁ、あり得ないが。
「ここか? 私の神社だ」
あぁ、ここが。どうりで古臭い。
「何だと? それは失礼だな」
「何も言ってないぞ」
「表情に出ている」
つまり、疲れはだいたい取れただろう。よかった。

「それでは幻想郷入りするか!」
そうだな.......... ん? 早苗の姿が見当たらない。あの緑色で爽やかな髪が。
「早苗は!?」
「早苗? あぁ、あの子の名前か。あそこで寝ているぞ」

さっと後ろを振り返る。
早苗は幸せそうな表情を浮かべながら寝ていた。
良い夢でも見ているのだろう。こっちは大変な思いをしたってのに。呑気な子だ。

とりあえず........
「よかった。じゃあとっとと幻想郷入りしてくれ。あの子を混乱させたくない」
1つの間を開けたあと、神奈子は了承した。


「さぁ、着いたぞ」
諏訪子はばっさり地面に倒れていた。やはりまだ疲れは取れていないようだった。

早苗は?
よかった。あそこで寝ているようだ。
起き上がって我が目を疑った。
「ここが、幻想郷........」
山から見渡す景色はこの世のものでは無いように感じられた(事実、この世のものでは無いのだが)。

空を流れる穏やかな雲。燦々と輝く太陽。美しくも壮大な大自然。
見渡せばそこは、楽園だった。

「ここで、他の妖怪たちと一緒に暮らすのか」
「妖怪と言ってもそんな物騒な輩ではない。外の世界と差程変わらない」
「ここなら......平和な日常を送れる!」

確信した。
ここは私たちが生きるべき世界。そして、早苗が育つのに最適な環境だ。
豊かで明るい暮らしが待っている。
神奈子はもう仲良き戦友だ。争う事はこの先一度もないだろう。

「ではここで仲良く暮らそうか」
すっとだした神奈子の右手はとても逞しかった。
そうだ。神奈子は仲間だ。
諏訪子は躊躇う事なく右手を差し出した。



初めの2年は諏訪子の事が山の妖怪たちに知られず、『守矢神社に八坂神奈子以外の神がいるらしい』と謎の正体とされていた。
これは諏訪子が早苗の面倒を見ていたため、外に出る機会があまり与えられなかったためだった。



さらに1年が経った頃は、もう既に諏訪子は山の妖怪や他の妖怪たちにも知れ渡っていた。信仰も順調だった。
そして、早苗も。



「神奈子様、諏訪子様、見てください!! 豊穣の神様たちからこんなにお芋をいただきましたよ!」
「おお! 美味しそうだな!」

早苗は既に外の世界で言う立派な高校生に当たる年齢だ。すくすく育ち、今では諏訪子よりも背が高くなっている(13歳の頃から既に高かったが)。
言動からわかるように、明るく元気な子になった。

「早速焼きましょう!!」
早苗はピョンピョン跳ねて興奮していた。
「全く、もう16歳なんだから。すこし落ち着きなさい」
「諏訪子様だって、何で私よりもずっと年上なのにそんなに若い顔なんですか」
「早苗、それは禁句.....」
神奈子が言い終える前に早苗は一瞬の内に諏訪子に羽交い締めにされていた。

そしてニッコリ笑い、
「それは言っちゃ駄目だよ。分かった? 早苗?」
声こそ子供っぽく可愛らしいが、裏には悪魔が潜んでいるようだった。
早苗は泣きそうな顔を縦にブンブン振っていた。
「宜しい」

神奈子が笑った。
それに、釣られて諏訪子も笑った。早苗は笑わなかった。余程怖かったのだろう。少し顔を膨らませていた。
それが諏訪子にとっては可愛かった。

諏訪子はこの生活に満足していた。
楽しい毎日。もう殆どの幻想郷の妖怪とは知り合いだ。


3日前は天狗の取材を受けた(丁度その少し前に守矢神社に他の神様がいると言う事で、諏訪子が新聞の一面を飾った)。


一昨日は、神奈子が一本角の鬼と相撲をしていた(凄まじい戦いで決着はつかなかった。能力を使わずとも、神奈子と同等の力でやりあっている鬼を見て驚いた。神奈子の言う通り、幻想郷は広く、色んな奴がいる様だ)。


昨日は守矢神社の境内で宴会を開いた(15分足らずで食べ物がなくなった。言うまでもなく幽々子の仕業だ。まだその時諏訪子達は幽々子が大食いと言う事を知らなかったのだが)。


今日の予定はないが、誰かしら来客が来るだろう。
「諏訪子様ぁー! 焼き芋、出来ましたよー!!」
そう言えば焼き芋の良い香りがする。こんな庶民の様な食事で胸が高ぶる自分が可笑しかった。

「私はこう見えても神なんだから」
おもわず声で表してしまった。
「ん? 何か言ったか諏訪子?」
「ううん。何でも無い」
そんな諏訪子たちを横目に早苗は既に食べる気満々だ。
「いっただきま~す!!!」

ホクホクと煙が立ち込める。良い香りが神社を包み込む。この匂いを嗅ぎつけあの亡霊がやってこなければいいが。いや、食べなければ来て欲しい。
「わあぁー! 美味しい! 豊穣の神様ありがとー!」
相変わらず早苗のテンションは有頂天だ。高く昇り過ぎて落ちてこないだろう。
「落ち着け早苗。火傷するぞ」
「大丈夫ですよ!」

早苗はいつもニコニコしている。その笑顔に諏訪子と神奈子はいつも癒やされていた。

「あー美味しかった!!」
早っ! もう食べたのかよ!
「後で豊穣の神様たちにお礼言って来ます」
「気を付けて行って来いよ」
「はーい!」


「お礼言ってきました!」
息を荒げていた。走って行ったのだろうか?
「どうしたの、息を荒げて」
「あ、誰かが弾幕勝負してたので走って逃げてきました」
「怪我はない?」
「大丈夫ですよ! 腕立て伏せだって、ブリッジだって朝飯前です!」
早苗が言わなかった腹筋をやって見せる。
「そう、よかった」
「ちょっと諏訪子来てくれ」
神奈子が呼んでいる。何だろうか?
「今行くよ。早苗は神社掃除しててね」
早苗の方を見るとおもわず笑ってしまった。腹筋のしすぎだろう。お腹を抑えて蹲っていた。
「ふっ、可愛いわね」



外に出るとさっきの天気とは打って変わって雲行きが怪しかった。
雨でも降るのかしら?
そう思いつつも早苗は神社の掃除を始めた。

10分くらい経っただろうか。1人の来客がやって来た。
赤い巫女服。博麗霊夢だった。
博麗神社の巫女さん。ここに来るとは珍しい。
「あ、霊夢さん。こんにちは」
「こんにちは。今日やって来たのは他でもないわ」
早苗が首を傾げて困った顔をする。

「貴女、こっちに来てあまり時間が経ってないみたいだけど。信仰はさぞかし順風満帆でしょうね。ついでにお賽銭も」
霊夢の目の奥は底無しの闇に満ちていた。
困った顔は不安の顔に変わった。


15分後、プンスカと頭から煙を昇らせて霊夢が帰って行った。
早苗は束ねた髪が震えた気がした。自身の身震いではない。怒り......? いや、私ではない......
とりあえず、早苗は掃除を済ませてから神社に戻った。

神社に戻っても不安な気持ちは解消されず、もどかしかった。
「私、悪いことしたかな?」
夕飯もあまり口に運べず、眠れない夜になった。



異変は突如起きた。



後日、霊夢は病に犯された。原因不明の病。
霧雨魔理沙が神社に行って、饅頭を盗みに行ったところ、霊夢が倒れていたと言う。永遠亭の医者でさえ治せない重い病だった。

「この病気は何でしょうか? 月の医学を持ってしてもわかりません」
「えーりん。霊夢どうなっちまうんだ? 月の医学でも治せないって意味わかんねぇよ」

本当に不思議な話である。ありとあらゆる病を熟知している月人でさえわからない病なんてあるはずがない。

「それは私にも分からないわ。ただ1つ言える事は、このままでは霊夢どころか幻想郷が危ない。彼女は幻想郷を支える役割を担ってる故に、彼女が居なくなった幻想郷は極めて危険な状況に陥る。それだけは防がなくてはならないわ」
それなら話は早い。道は一つ。

「じゃあ、一刻も早く霊夢の病気を治す方法を見つければ良いんだな?」
「言葉で言うのは簡単だけれど、大変難しいわよ。覚悟は出来てるのかしら?」

いつになく真剣なえーりんに臆する。だがそんなものは気合と気持で吹っ飛ばせばいい!

「何バカなこと言ってんだ! 私は霊夢の親友、霧雨魔理沙だぞ! 死なせてたまるか!」
「わかったわ。こっちも全力を尽くしましょう」
えーりんに確認をとり、永遠亭を後にした。



“文文。新聞”には霊夢が謎の病気に罹った事が一面を飾った。
『幻想郷の中心人物、博麗霊夢が重体! これは前代未聞の異変です! 異変解決者が重体な今、幻想郷を救えるのは皆さんです! 共に謎の病気の正体を暴きましょう!!!』



後日、仮の異変解決者が八雲の家に集結された。


森の魔法使い、霧雨魔理沙。
森の人形遣い、アリス・マーガトロイド。
山の天狗、射命丸文。
白狼天狗、犬走椛。
地底の支配人、古明地さとり。
その妹、古明地こいし。
尚、紅魔館の吸血鬼とそのメイド、白玉楼のお嬢様とその庭師は事情により、異変解決には手を出せないと言う。

この計6人と八雲家で話し合っていた。


「私が神社に行った時には既に霊夢は倒れていたぜ。熱がありそうだったから直ぐにえーりんのところに連れて行ったんだ」
「つまり、他から危害を加えられた様なケースではなさそうね。まあ、霊夢に限ってそんな事はあり得ないけど」

紫はメンバーを見渡してからこう言った。
「さとり、貴女が1番異変解決に向いてそうね」
「そうね。あまり悪用したくないのだけれど、この件に着いては仕方ないわ。能力を使わざるを得ない」

もう一度紫は一同を見渡した。
「では、私が各グループの役割分担を決めるわ」



紫が決めた役割分担はこうだった。
魔理沙とアリスは博麗神社で何があったか周りから事情を伺うと同時に博麗神社内を探索。
天狗コンビは巧みな話術で事情聴取し、それを書き留め、紫に知らせる。
さとりは能力を使い確実な真理を暴く。こいしはさとりを危険から守る。所謂ボディガードの役割だ。さとりのことだ。いつ危険が襲ってもおかしくないと考えてのこいしの配置だ。
紫は指揮役として動く。



「これで異議無しよね?」
全員が同時に頷いた。
霊夢が居ない今、この異変を私が解決する!!



後日、直ぐにそれが実行された。
魔理沙とアリスは湖周辺を探索していた。


「誰かから事情聴取しようぜ」
「そうね。ここはバカしか居ないけど仕方ないわ」
案の定、バカがやって来た。ここら一帯はバカ以外出没しない。バカではない奴といえば...........思い当たる節が無い。

「フン! 霊夢なんてあたいのアイシクルフォールでイチコロね」
「チルノ。一昨日霊夢と会わなかったか?」
「一昨日? 一昨日って何だ?」

やっぱりバカだ。諦めよう。聞いた私がバカだった。

「神社を探しましょう」
「ここに来た私たちが愚かだったぜ」
「うぉー! 何だ? あたいの迫力に怯えたか?」
こんなの相手にしてたら私たちも病気に罹っちまうぜ。霊夢より重い病気にな。

「ねぇ、魔理沙。倒れていた霊夢はどんな状況だったの?」
アリスが徐に尋ねる。多少心配はしているようだ。
「苦しそうだった。とりあえずいつもの霊夢ではなかったな。必死に何かを訴えていたぜ。声が震えてなに言ってんのか分からなかったがな」
「なんて言ったの?」
「『み.......じさ.........たり.........』 そう言って気絶しちゃったんだぜ。」

アリスは何かが引っかかったが引っ張り出す事ができなかった。
話している間に神社に着いていた。
「とりあえず何か手掛かりを探しましょう」
「おう!!」
そう、今はここしか道は無い。


「早苗はお前が先祖だってこと知ってるのか?」
「いや、知らない。教えたくない理由が幾つかある。その理由と言うのは聞かないで.....」
「安心しろ。そのつもりだ」
諏訪子はここ、幻想郷に来て不安は微塵たりとも感じたことはないが、どうも早苗が心配だった......



神奈子にはまだ話してないが、早苗は小学校に通っていた(名前は覚えていないが)。
初めは友達も多くできて楽しそうに学校生活を送っている早苗の姿を見るのが好きだった。

5年生の春にクラス替えをして友達をもっと増やすはずだった。

しかし、不運にも同学年のいじめっ子と同じクラスになってしまった。
そしてその子は早苗を見るなり、
「何でお前緑色の髪の毛なんだよ! 気持ち悪りぃー!」
この言葉が引き金となり、早苗はクラスのイジメのターゲットとなってしまった。

そのいじめっ子に逆らえる人はいなく、早苗は我慢を続けたが、とうとう限界だった。

早苗は家に引き籠り、学校に行かなくなった。
諏訪子はそんな早苗の姿を見るのが耐えられなかった。悲しかった。

親も耐えられなかったのだろう。両親共に首を吊った。丁度父の会社が倒産した時期だったそうだ。当時小学生だった早苗には受け入れ難い現実だった。ただ立ち尽くすのみだった。

そこで、早苗の先祖である諏訪子が引き取った。早苗には先祖であることを言っていない。これからも言うつもりはない。あの子の混乱を招くだけだ。

いつしか時が経ち、早苗はすっかり小学校時代の事なんか忘れていた。
そして...................



「そう言えば山の下で物騒な異変がおきてるらしいぞ」
「異変?」
そう言えばこの幻想郷では異変と呼ばれるものが屡々起きると聞いた事がある。私はそんなモノには興味はない。

「博麗の巫女が原因不明の病気に罹ったらしい」
そこまで大きい異変なのかしら? まだ来て間も無い諏訪子はピンとこなかった。

「博麗の巫女は幻想郷の中心人物だからな。死んだら幻想郷が崩壊すると言っても過言ではないだろう」
そうか、そんな事が起きていたのか。
「私たちは今までと同じ様に暮らしているのが賢明じゃないかしら?」
「そうだな。とりあえず黙っていよう」
「早苗にも知らせておくわ」


脈絡の無い突然の病か........
諏訪子は何か気がかりだった。




早苗が生まれるずっと前の話。
洩矢の王国では大革命が起きようとしていた。
諏訪子が国王の座に就いたのだ。
その当時、治安は安定せず国民は苛々が募るばかりだった。
諏訪子が突然国王の座に就いた理由としては治安が悪すぎて前の国王が王の座を逸脱した為だった。
つまり、諏訪子はその当時、王国を継ぐとても大事なポジションにいた事になる。

無事式典も終了し、諏訪子は王座で不安やらなんやらを抱え、心配していた。
すると城下で男の国民の声がした。
窓から覗くと口々に暴言を吐いていた。

「今この王国の治安は下がる一方だ! なのになんだ、あの巫山戯た国王は!! 王国を統一出来るのか? 第一女だぞ!! 自分たちを見つめ直してみろ! そうすれば自分たちが行った愚かさに気づくはずだ! 蛙の国王!? 笑わせんじゃねぇよ!!!」
その男はそんな言葉を並べて散々言い放った後帰って行った。
諏訪子は冷たい視線でその男を見下していた。

翌日、王国は1つのニュースで持ちきりだった。

『今日の午前1時ごろ、男が体調不良を訴えてまもなく死亡しました。その男は昨日の式典後、城下にて国王に対し不満な態度を見せていたそうです。その男の身元は未だ詳しくなっておらず、城兵らは捜査を急いでいます』

この王国の情報伝達速度は異常に早い。某天狗を彷彿とさせる早さだった。どんな些細なニュースもあっという間に広がった。

そして長い年月を経て、あの大激戦が繰り広げられる事になったのだ。




「にとりさん! にとりさん! 居ませんか? 伺いたい事が」
文と椛は河城にとりのところで情報を得ようとしていた。
「どなたですか?」
でてきたのはにとりではなかった。鍵山雛だった。

彼女はよくにとりのところへよく来ては話をしていた。にとりの家には厄が集まらないのだろうか。

「清く正しい射命丸文です」
「犬走椛です」
「いらっしゃい。キュウリでももらいに来たの? 生憎最近不況でね、高いよ?」

お目当ての人物が出て来た。片手にはキュウリが握られていた。もう一方の手は口に持ってかれてキュウリを頬張っていた。

「いいえ、違いますよ! ご存知だと思いますが.......」
「霊夢でしょ」
にとりが遮るように言った。

雛が続けた。
「あれは厄いわ。とても。深い、底無しに深い厄を感じたわ。まさかとは思ったけどね。えぇ、とても、深すぎる厄だわ。あれは珍しい」
厄、厄と言うので文と椛はとても不快な気分になった。今は“厄”はいらない。“薬”をくれ。

「何か知ってる事は。些細な事でも構いません」
「私は....」
にとりが口を開いた。やっとその気になったか。

「私はね、一昨日霊夢に会ったよ。山の麓あたりかな?」
にとりの証言を一字一句漏らさず椛が書き留めている。文はしっかりにとりの目を見据える。
「あの時の霊夢はちょっと殺気立っていたよ。怒ってたのかな? 後に病で倒れたって言ってたっけ? 体調悪かったのかな? まぁ、そんな感じで霊夢は山を登って行ったよ」
「霊夢さんに話しかけましたか?」
「どこ行くの? って尋ねたら、別にどこでもいいじゃない、って言ってましたね。気に障るとマズイからそれ以上は話しかけなかったよ」
殺気立っていた? 一体何故? まあいい。

「椛、ちゃんとメモって下さいよ!」
これはいい事を聞いた。椛、頼みますよ。
「大丈夫ですよ。完璧です」
「あの、良いかしら?」
気まずそうに雛が尋ねる。
「ん? なんですか?」

「私も霊夢を見かけたわ。確か『新入りのクセに.......全く....』なんて事を愚痴ってたわ。新入りって何でしょうね?」

新入り..........確か山の頂上には守矢神社があって、そこには........
「貴重な情報ありがとうございました。さぁ、行きますよ椛」
「ま、待って下さい」
文が椛の手を取り飛んで行った。
瞬きした後には2人の姿はなかった。

「天狗ってあんなに早かったかしら?」
にとりがピーンと閃いた様な顔をした。
「それだ! キュウリなんか貪っている場合なんかじゃない!」
「え? にとりどうしたの?」
「早速やるぞー!」
「だから何を!?」
にとりはキュウリをバリバリ食べてさっさと行ってしまった。
「にとりもなかなか厄いわね」


「ねーねー、お姉ちゃん。これからどこ行くの?」
「決まってるじゃない。霊夢のところよ」
それ以外にどこに行くというの? こいし?
「え? だって霊夢は寝たきりだよ」
「だからこそじゃない。分からないの?」
こいしがボソッと呟いた。
「意味わかんねぇ」
「え? それって無意識? 自意識?」
何事もなかったかのようにこいしが促す。グリコのポーズでタタタッと走って行ってしまう。

この時さとりは妹に恐怖感を抱いた。
「無意識って、怖いわ」



霊夢は感じていた。
これは病気とかそういった類のものではない。何かに縛られている。巫女をこんな状態にする事が可能なモノ。
それは...........................

頭に衝撃が走る。まるで麻薬症状の様な、金属バットで頭を殴られた様な.........

再び頭に衝撃が走る。先程より強く。何かを堰き止め遮るかの様に。
くそっ!!

そのとき霊夢には何かが聞こえた。
意識的ではなく無意識的に耳に入った。

「もうなにもおもうな。もうじきやってくる。だからだまっていろ」

分かってる.....分かってるわよ.....反省ぐらいしてる。
霊夢には病気の正体は大体検討がついていた。
それから霊夢は深い眠りについた........



博麗神社には証拠になる様なモノは何もなかった。
ただあるのは、炬燵の上のみかん、ティッシュ、饅頭、そしておそらく飲みかけのお茶が入ったグラス(和風好きの霊夢がグラスを使うのは意外だった)。

怪しいモノと言えば........お茶? 毒とか?
断言出来ないがあれは飲みかけのお茶だろう。
あのなかに何か入ってたり......

「ちょっと魔理沙。あのお茶、飲んでくれないかしら?」
「何で私が毒味役なんだよ!! アリスが飲めよ!」
いや、冷静になれ!
確か霊夢はとても苦しそうに倒れていた。なのに何故グラスが倒れていない?
そんなの考えるまでもない。
あのお茶には何も危険なモノは入ってないのだ。
となるとあとは.............

「お! 饅頭じゃーん!! 食べちゃおーっと!」
魔理沙が徐に饅頭に手を出す。
「あ! 魔理沙ダメ!!」
「冷たいぜ、アリス。大丈夫! 何も入ってないぜ、きっと!」
「一応証拠として残しておくのが普通よ」
さっき魔理沙に飲め、と促した自分が何を言っている。おもわず自分につっこむ。

「私は普通じゃないぜ!!」
そう言ったかと思うと、魔理沙はお茶に手を出した。
「饅頭の前に喉が渇いたな」
「魔理沙!! それ一番危険......」
アリスが言い終わらないうちに、魔理沙は泡を吹いて倒れていていた。
「魔理沙!!!」


さとりとこいしは永遠亭の前にいた。
「ここに霊夢がいるのよね」
「早くはいろうよー」
さとりがコンコンと戸を叩く。まるではじめてのおつかいだ。

「すみませーん、誰かいませんかー?」
すると、中から出て来たのはお医者さんだった。首を上にあげないと顔が確認出来ない。

「あら、可愛い小娘たちね。どうしたのかしら? お菓子が欲しいの?」
「霊夢ってここにいるの?」
珍しくこいしが質問する。多少この子も外の世界に慣れて来きみたい。この医者を軽く無視する事も....

「えぇ、いるわよ。でもあまり近づかない方が良いみたい。とっても疲れているのよ」
「少しでいいです。会わせて下さい」
さとりがぺこりと頭を下げる。それに倣いこいしも頭を下げる。
「しょうがないわね。伝染らないように、気を付けてね」
「ありがとうございます」

医者に案内されて一つの部屋の前に来た。来る途中、長黒髪のニートみたいなのが見えたが、気にしなかった。

「じゃあお邪魔しま~す」
戸を開けると霊夢がベッドの上で寝ていた。いや、寝ているフリをしていた。
すぐにさとりが霊夢に話しかける。

「貴女今、とっても後悔してるでしょう?」
霊夢は反応しない。ただそっぽを向いて寝ているフリをしていた。
「私には判ります。貴女が今寝ていない事。貴女が思っている犯人の正体。そして............真の犯人も」

ばさっと飛び上がって霊夢が起きた。
「犯人を知っているの!?」
「いいえ知りません」
さとりは即答した。そんなの知っているのは犯人と神だけだ。
「騙したわね」
「でもほら。起きてるじゃないですか」
「もういいわ。寝る」

するとさとりは口々に何かを言い始めた。霊夢がそっぽを向いても構わず続けた。

「私は貴女のことなら何でも知ってる。貴女は倒れた。そのとき犯人を悟った。でもそれは違うの。幻想郷的に考えて御覧なさい。起きる事はあり得るけど、起こすかしら? ここは幻想郷よ。妖怪と人間、そして神が共存している平和な世界。ここではどんなことだって許されるでしょう。でも、そんなことはないはずだわ。貴女は博麗の巫女、幻想郷の中心的人物。いくら新しく入って来たからって、さすがに霊夢さんがいなくなるとどうなるかは判ってるはず。それでも言い切れるかしら?」

さとりが一方的に話したので霊夢とこいしはぽかんとしていた。
「こいし、行きましょう」
さとりがこいしの手を握って戸へ向かう。
「あ、それと........」
最後にさとりはこう言った。

「私は貴女のことなら何でも知ってる。倒れる前日にあの神社に訪れた事。神社で早苗さんと話している事。そして..........」
一つ間をおいて言った。

「その話の内容も.............」




魔理沙が倒れてから5分以上が経った。まだ泡を吹いて倒れている。
無限に出てくるシャボン玉だ。
子供には大ヒットの商品になるだろう。
「魔理沙! 起きて!!  死んじゃいやよ!!!」

アリスはどうか死んでいませんようにと神に祈った。
その祈りが通じたのか、魔理沙がピクッと動いた。
「魔理沙!?」
「んあ~.............? ほえ?」
大きな欠伸をして魔理沙が起きた。その瞳は天使のようにほわほわしていた。

ブシュー、とアリスが見事な鮮血のアーチを作り上げた。
咄嗟にティッシュで鼻を抑えてカモフラージュする。
ギリギリセーフ........

「魔理沙、何で倒れたの?」
「あ~、霊夢のお茶飲んだらぽっくり逝っちゃって。へへっ」

へへっ、じゃないわよ。死んだかと思ったじゃない。心配かけて.....
まったく、可愛いんだから。

アリスは一応お茶の中身を確認してみた。衝撃的な事実が二人を襲う。
「うわっ!! お茶じゃなくて泥水よ!!!」
「泥水!? 霊夢の神経おかしいだろ! こんなの飲み続けたら死ぬぞ!!」

ふとアリスの頬に涙が流れた。
霊夢の苦労がしみじみ伝わってくる。そうだ! 今度お菓子を作ってあげよう! これは名案!

外は少し夕日がかかった時間帯になっていた。
神社の近くは赤く染まり、山々の景色が見渡せた。
炬燵の上も豊かな赤で彩られている。

この神社も捨てたものじゃないのね。森からこんなに美しい幻想郷を見ることなんてできないもの........

「もうこんな時間ね」
いうまでもなく時計はないがアリスが今の時間を推測して言う。

「 アリス、魔理沙、こっち来て」
二人しかいないはずなのに誰かが呼んでいる。その行方を探るとスキマが見えた。
新たな情報を伝えに来たらしい。
が、違った。
「貴女たちもこのスキマに入りなさい」




早苗は家族との夕飯の準備をしていた。
今日のメニューは豊穣の神様スペシャル!!!
新鮮な野菜や果物をふんだんに使ったシチュー!!
神奈子様も諏訪子様も大好きな早苗のお得意メニュー!!!!!
名付けて『愛情』!!!!!
自分のネーミングセンスのなさに早苗は泣いた。

「早苗~。お客さんだよ~」
諏訪子様が私を呼んでいる。
どんな用事かは知らないけど、料理の邪魔はしないで下さいよ!!
「はぁ~いただいま」


玄関に向かう途中にある1枚の写真が目に入った。
早苗と神奈子と諏訪子が写っている写真。
神奈子が後ろから早苗を抱いて、早苗が後ろから諏訪子を抱いている写真。
文に頼んで撮ってもらった写真。
3人の笑顔が夕日に負けないくらい眩しい。それは幸せの象徴でもあった。
守矢神社が信仰以上に大切にしているもの、絆、友達、そのものであった。


それを一瞥した後、玄関に急いだ。


早苗は気づかなかったが、一筋の涙が頬を流れた。
それは幸せの象徴でもあった。



着いた先には八雲紫がいた。その後ろにも何人か見えるが、夕日が目に入って前方を確認し辛い。


「早速一ついいかしら?」
いつになく真剣な紫。霊夢絡みの話だとすぐに悟った。
「えぇ、どうぞ」
「文やさとりが調べた結果、霊夢の病気の原因はここにあるらしいのよ。お願い、正直に話して」
紫の涙まじりの声に紫がどれだけ霊夢を大切に可愛がっているかが把握できた。
それは私たちの絆と同じくらい深いものだろう。
早苗は紫の目を見据え、正直に言うことにした。

「霊夢さんが一昨日ここに来たんです。そして愚痴をこぼして帰って行きました。貧乏なのでここが気にくわなかったのでしょう」
この言葉に紫は不満の意を表す。
「それはもう知ってるのよ。だから正直に白状しなさい!!」
「ちょっと待ってください。早苗さんは何もしていません。澄みきった心に偽りが見えません」
さとりが早苗をフォローするかたちをとった。
正直、彼女に任せておけば全て解決するのだが、それは言わないお約束。

「私にはわかります。誰が犯人なのか」
夕日は山に身を半分隠していた。
さとりが神社の方を向きながら早苗に近寄り、耳元に囁いた。
「あとはお願いしますよ」


夕日が、沈んだ.............
辺りは薄暗く仄かな色に包まれた。


「わかりました」
神社を見つめ、一人の前に早苗は立った。



「あなたが犯人です。さとりさんから聞きました。もう言い逃れは出来ませんよ?」
早苗は神奈子の前に立っていた。
「わ、私か? 何もやってないぞ!?」
「そうですね。神奈子様は何もやっていません。しかし、神奈子様に化けたあなたは犯人です」
さぁ、トドメの一撃よ!!
「正体を現しなさい」


急に風が強くなった。黒幕の登場を煽るかのように木々がざわめく。
全員が犯人の正体を待った。
「フッフッフッフッ...........そうだよ。私が真の犯人さ」
神奈子の周りに強風が吹き荒れる。
風がおさまったときには神奈子の姿は無かった。
かわりに黒い服を着た妖怪がいた。
妖怪は早苗よりも小さく、幼く感じられた。


「私の名前は封獣ぬえ。正体不明の妖怪さ」
早苗にとって聞いた事もない名前だった。
紫が怒りの形相でぬえに問いかける。
「あなたが霊夢をあんな目に遭わせたのね。理由を言いなさい!!!」
「退屈だったんだよ」

強い風が止んだ。かわりに紫の周りに暗黒のオーラが漂い始める。それは紫の感情そのものであった。



「この前、聖が言ってたんだ。守矢神社には『ミシャグジ様』という祟り神がいると。そして興味が湧いたから神社に行ってみたら霊夢が早苗に愚痴ってたんだ。これはしめたと思っt.....」
「OK。全把握したわ。病気の正体をミシャグジ様の祟りとしようとした訳ね。霊夢が諏訪子の子孫である早苗に愚痴っている事を理由に」
「ち、ちょっと待って下さい。諏訪子の子孫って.....」
その時、早苗の肩にポンと大きな手が置かれた。
「か、神奈子様........」
神奈子は首を振ることしか出来なかった。
「続けてちょうだい」
諏訪子が紫に促す。
しかし、諏訪子は俯いたままで複雑な心境だった。


私は悲しくなった。
涙を流していた。


「病気も納得いくわね。確かあなたは正体を判らなくする程度の能力だったはずだから、月の医学でも正体は暴けなかった」
フフフとぬえが笑い、声高々に褒め称えた。
「あんた凄いね。その通りだよ。私には友達がいないからこれしか楽しいことがないんだよ」


「ふざけないでください!!!!!」
青天の霹靂が轟いた。今まで泣いていた早苗が怒鳴ったのだ。
「あなたは自分の勝手な暇潰しで人を病に犯して弄んでいるんですか? そんなの神が許しても、私は絶対に許しません!!!!!」
「さ、早苗..........あなた......」

諏訪子と神奈子には止める術はなかった。
いや、止める必要がなかった。

大丈夫です。任せてください。

そう伝わってきたのだ。


早苗が静かに続けた。


「私も過去はあなたと同じく、友達はいませんでした。でも私が挫けそうになった時、誰かが手を差し伸べてくれた。優しさと温もりが詰まった暖かい手で私という存在を受け入れてくれた。笑顔で『おいで』と言ってくれた。本当に嬉しかった。この世に私を受け入れてくれる人がいる。それだけで涙が止まりませんでした。私はその差し伸べられた手を掴んで、この広い世界に移ることができたのです」
早苗が右手を差し出して、言った。

「今度は私が他人に手を差し伸べる番です。あなたもこれを掴んで広い世界に行きましょう」

ぬえはまだ下を向いていた。

「大丈夫。あなたならきっと............」

それでもなお、俯いたまま顔を上げない。

私も昔はこうだった。

他人を受け入れることに恐怖心を抱いていた。どうしても素直に手を掴めなかった。

でも今は違う。


「そんなあなたは.............」
その瞬間、早苗がバッとぬえを抱擁した。

「抱きしめちゃいますよ!!」
顔と顔をつけたとき、ぬえの涙が早苗の頬を伝った。それに呼応して早苗も涙を流した。

自分でも感じられた。

温もりのある、とっても優しい涙だった。




二人は声を出して泣いた.........





翌日。


「これで一件落着ですね、紫様」
紫の大事な『家族』が言った。
「えぇ、本当に疲れたわ。まったく、お騒がせな妖怪だったわね」
「可愛かったじゃないですか」
「そんなこと言ったら橙、泣いちゃうわよ」
「仰る通りですね」


どこかで誰かが泣く声がした。
二人泣いている。
これは、フラッシュバック?
それともまた.......?


「いい一日だったわ」
清々しく紫の髪が靡いた。




「あ、あのね、早苗、これはね、あの.......その......」
昨日の衝撃的事実を諏訪子が必死に謝っている。
早苗はもう少しで鮮血のアーチを彩るところだった。頑張って抑制できた。
神奈子は作っていた。

「いいんですよ。それよりも......」
少しためてから顔を赤らめて言った。


「大好きです!!! 諏訪子様!! 神奈子様!! ずーっとずーっと!!!!」

ブシュー、(以下略)。



コンコン。
玄関を叩く音がする。
神奈子と諏訪子はくたばっていたので仕方なく早苗が出る。
戸を開けたとこにいたのは霊夢だった。

そして一言。

「ありがとう。早苗......」





文文。新聞内容。


『あややや! どうもこんにちは!!! 清く正しい射命丸文です。霊夢さんの病気が治りました!! やったー!! 山の神様がちょちょいのちょーいで治しました!! 神様凄いですね! 尊敬しちゃいます!! 今度一緒に寝ませんか?

そして明日、守矢神社にて壮大な宴会が行われます!! 是非皆さん奮ってご参加ください!!』
ぬえは小傘に右手を差し出した。
「友達になろう」
小傘が手を払ってぬえを抱きしめた。
「親友にね!」

あのときと同じ温もり..............

もう涙は流さなかった。



【とりあえず詳しい説明】
9様の的確すぎるコメントから行わせてもらいます。


【ぬえの登場が突然すぎて話についていけない。】

実はぬえはその前から出ていました。魔理沙に化けていました。

八雲家での会話
「私が神社に行った時には既に霊夢は倒れていたぜ」
といっているのに、アリスに対しては
「『み.......じさ.........たり.........』 そう言って気絶しちゃったんだぜ。」
から判るように、八雲家の魔理沙は本物で、探索開始の日から化けていました。

八雲家会議の前日には魔理沙に化ける為に弾幕勝負でやっつけるつもりが返り討ちに遭い、仕方なく次の日姿を消して、やっつけて、魔理沙を家に放置していました。

因みに早苗がみた弾幕勝負はコレです。


で、途中に神奈子になったのは、夕日が眩しいときを狙い姿を消して化けました。
さとりはただ一人この様子を見てしまった、ということです。

いくらさとりであれ、本物の神の心を読むこと何て不可能ですから。


【最後、神奈子はどこにいた?】

神社で寝てました。
外が騒がしいな、と思って出たらわけわかんないことになっていて、とりあえず早苗の肩
に手を置いて首を振ります。
首を振った意味としては、「もうわけわかんないよ」、という意味で、別に慰めるつもりではありませんでした。








あとがき

駄文申しわけありませんでした。
幽々夢
o_hayato-8810@softbank.ne.jp
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コメント



0.100簡易評価
1.20名前が無い程度の能力削除
到底完成形とは言えないぐらいの稚拙さ
次回頑張ってちょうだい
5.無評価名前が無い程度の能力削除
あとがきの態度が酷いな
急いでいたから誤字が多い?
何時の間にこのサイトには締め切りができたのかな?
日にちに意味があるわけでもなし
7.無評価名前が無い程度の能力削除
1様

自分で完成した、と思っては駄目ですね。
工夫を追求します。



5様

あったんですよ。締め切りのようなものが。

はい、態度は見つめ直します。
8.80名前が無い程度の能力削除
色々違う気もするけど、面白かったよ
投稿ペースも速いし、次も頑張って下さい
9.50名前が無い程度の能力削除
シチュエーションを描くときは「なぜそんな状況になっているか」がはっきりしていないと読者が置いてけぼりになっちまいますよ。
クライマックスのシーンで初めて登場したぬえが犯人だったという状況ですが、あまりに突然過ぎる登場に加えそれに関わる周りの状況(本物の神奈子様はこんな時にどこにいるの?等)が投げっぱなしでポカンとしてしまいます。

こうして一本作品を書き上げられる方ならば、次は更に精進して下さるものと期待を込め、この点数で失礼します。
頑張ってください!
10.100Ash削除
アリスのやさしs・・・・・・げほっ、早苗の優しさにこの点数を!!
11.無評価幽々夢削除
8様

投稿ペースが早いのは作品をためていたためです。


9様

うおっwww的確すぎるコメントwww

その通りなのですが、私が求めるものとしては誰がいつ、どこにいたのか推測してもらいたかったのです。
ですのでタグに『謎解き?』を入れました。
これからは読者様の立場になって小説を書こうと思います。


Ash様

ありがとうございます!