Coolier - 新生・東方創想話

CAT WAS?

2011/05/22 23:49:16
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何日眠っていた、のかなんて。
そんな事憶えていない。
知りたくもない。
だって窓を開けても何も変わらないもの。
いつだって少し湿って蒸した気温。
汗ばむまではいかない程度の。
熱くもなく、寒くもない。
でも湿度だけが肌に。
不快感。キモチワルイ。
そういう理由で睡眠時間が増えているのかもしれない。
眠り続けていれば――朝も昼も夜も。
時間を考えなくていい。
目覚める時まで、雑音から開放される。
在るのは…。
後悔? どうして?
眼が痛む。二つの世界を見据える眼ではない、第三の眼が。
その眼は私より先に目覚める。



誰も居ないベッドの上。
眠りを妨げたのは満足というシステム。
これ以上は必要無い、そう判断されてしまった。
何時だろうと目覚めは悪い。くりかえされている悪循環。身体に違和感ばかりが残る。足枷のついた受刑者のような重みが重力と重なってベッドに再度倒れこみたくなる。
「手枷は、無いのね」
身体だけ起こして、私は言った。
じっと掌を眺めている。
そうだ。それは無い。だから厄介。いっそ身動きが取れなくなればラクなのに。
私のあるべき姿。この地霊殿自身が私と一体になって意識すらも持たない。
それは『死』なのかもしれない。概念として存在するそれを体験した事は一度も無い。あるわけが無い。その状態をただ想像するだけ。想って、慕うような気持ち。私は待ち続けているのかもしれない。
憧れと似た感情。言葉だけの言葉を頭の中でくりかえす。
死…、死…、死。
一文字だけの言葉。
死。死ぬ。死ねる?
文字を重ねた。言葉の意味が少し変わる。そんな気がして。
概念も、多分変化する。
「痛っ…!」
鋭角な痛みが私の眼を刺激する。胸の傍で浮かぶサードアイが今日も私より先に目覚めている。
この『眼』自身に意思は無い。私の能力を形として模った眼。こんなものが無ければ…。
なによそれ? 私は自嘲気味に笑ってしまった。この眼が無ければ私がもっと別の生活をしていたとでも思っているとか? 嫌な気分。嫌な私。ベッドから離れたくない。
変な事を考えてしまった。また眠ろうとしても目が冴えて眠れない。サードアイを私は抱える。私の瞬きとリンクしてこの眼も閉じたり開いたりしている。
現実と現実の狭間に私は居る。瞬きの間に見える光景はいつも変わらない。
感受性が応答する。サードアイが何かを捉えている。
「……何?誰か居るの?」
私は部屋を眺める。ベッド、円卓。ウッドチェア。古ぼけた書棚。色が褪せた絨毯。誰が見ても質素だと感想を述べるような、日常を切り取った風景画のように時間が止まった空間がそこにあるだけ。姿見のような鏡は置いていない。私が私を見る事の無いように。
「まさかこいし?」
私そんなバカ言ってる。居るわけがないのに。
あの子はもう随分前にこの地霊殿から出て行った。行き先なんて知らない。まして、あの子の『心』は私に理解できない。閉ざした眼、それは心。何かがあの子の眼を封じた。その理由だって解らない。
見たくもない外側が見られる場所、窓際まで軋む身体を動かす。そっと、窓に掌で触れる。ほんの少しだけ冷たい。庭が見える。やっぱり誰も居ない。土色と、侵食されるように…館内を冷やすように蔦の登るレンガが見えただけ。
だけどサードアイは反応している。まるで心の居場所を執拗に探すように。
窓から見える景色になんて興味が無い。それでも、私は珍しくその景色をぼんやりと眺め続けた。
動きがある。
もう一匹、何かが。
それも黒。黒い生き物。
羽? 翼が見える。窓からでもそれは解った。
窓と顔が触れる。冷たさが肌に。頬に。
二匹の動物。黒猫と、鴉。お世辞にも綺麗な姿じゃない。生きて――生きて。死を待つばかりの二匹。
黒猫は鴉を襲わない。むしろ愛でている。身体を舐めて、鴉を守っている。
どうして?
どうしてそんな事を?
命は鎖のように繋がっている。連鎖、喰うか喰われるかの関係に依存して。
あの二匹にそれは当てはまらない。どちらもどちらを受け容れている。此処で――この地霊殿の庭で。
共存している。私は呆然とその繁栄無き共存をただ眺めるしかなかった。胸の傍で浮かぶサードアイと共に。
「そういう生き方もあるのね」
窓が白く曇る。水滴が美しい。美しいこと。それは何なのか。生きる事は、それに…?



目覚める。私は朝、そうする。
それは何日も続いた。私は二匹の間柄に入り込む事はできない。予感があったから。
きっと、そうしたら心に隙を創る。それが怖かった。
だから二匹の。生きている姿を三つの眼で眺めるだけ。
ある日の事。
私は眺めている。もう、日常だった。
突然その日常を繋ぐ線が途切れる。
二匹を庭で見つけられなかった。黒猫も鴉も、何処かに姿をくらましてしまった。
私は…、動かない。いいえ、動けない。扉のノブに触れる事はしない。
私が動けば二匹の関係に歪みが生まれる。求められるべきなのは私じゃない。
解っていた。私は誰からにも疎まれる。異能――心が読める能力。だからこんな場所で時間を。動かない二つの針を怨み続けている。動物なら? そんな風に考えない。たとえそれが言葉を成していないようなものでも私にはそれが解ってしまう。それは汚れ。穢れなの。二匹の心を読んだのも…、最初だけ。私はあくまで傍観者で在り続けた。これ以上私が私を苦しめない為に。その距離感こそが私が引いた境界線。区切られている。



長針。停まっている。短針、同様。
時の概念が、また私から消えた。眠る時間は増えていく一方。鎖と足枷。イメージは増幅されて重みを増している。邪魔。壊してやりたい。この…世界も全部。
起き上がってみる。いつにも増して身体が重い。いつにも? その比較される対象はいつの事?
自然に窓へと足を向ける。汗を含んだパジャマが身体に纏わり付く。
「あっ…」
私は発見する。二匹の姿を。息の耐えそうな二匹。黒猫はそれでも鴉を喰わない。捕食者として鴉を捉えていない。新しい繋がり。輪としての――和? それは在る。目の前に、それは。



三日間の時間を感じた。時間は動いていた。停まってなど、いなかった。
だから。それと同時に。心が停まる。一匹の機能が失われる。違えてしまった。
黒猫が死んだ。
鴉を舐め、力尽きた。
鴉は力無く横たわっている。黒猫の亡骸をじっと見つめている。嘴で触れて…、反応を確かめている。
黒猫に心は無い。時間が停まり、過ぎ去った過去と化してしまった。
喰らう、だろうか。たとえそうしても、私は美しいことだと思う。輪は途切れない。歪であるだなんて誰が言えるの? 鴉はそっと両眼を閉じる。言葉を…、口にする。窓からでも聞こえる声で鴉は啼いた。
啼いて、泣いた。それがサードアイを通じなくても理解できた。そして、鴉の心も停まった。



私は部屋を出る。サードアイは涙を流さない。私はきっと泣いていた。懐かしい感覚、頬が濡れるこの感覚を私はいつ忘れてしまったのだろう?
何も考えられない。曖昧な記憶だけを頼りにして館を抜け出す。
外は少し冷える。地霊の眠る底に季節なんてあったのかどうか、思い出せない。
裸足のまま土を踏みしめる。土には温度があった。
寄り添う二匹の亡骸。まだ温もりの残る身体に私は触れる。心は存在しない。寄り添う姿だけが二匹の間に疎通があったと証明している。
私の涙は停まった。それはもう過去へ。景色と時間は後ろに流れていく。意思を抱えて。



「ありがとう」

 
女の子のパジャマ姿って凄くこう…、盛り上がりますよね。我慢できないです。
スウェットとかダメだと思うんですよ。ルームウェアじゃダメなんです。パジャマじゃないと。
そういうのが見たい。だから作ってみました。そんなのありかよ~許されない事さ~広い空の下~。みたいな雰囲気っぽいです。
U+
http://sinnihongendai.blogspot.com/
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コメント



0.290簡易評価
1.90奇声を発する程度の能力削除
うおう…
6.80名前が無い程度の能力削除
おおぅ…

いい感じの独特さだねぇ
10.90名前が無い程度の能力削除
よかった