Coolier - 新生・東方創想話

霧雨魔理沙は知りたくない ~七色の人形遣いの七~

2011/05/13 08:34:09
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※この小説は、Coolier様の四月一日企画「朗報好々爺」に投稿させていただいたものを、管理人様に許可をいただき、大幅に加筆修正したものになります。










 あらゆる生物に、まぁあんまり良くない影響を及ぼす、森がある。
 正確には森がどうこうってんじゃなくて、そこに生息しているキノコが原因だ。
 このキノコが出す胞子が人や動物、妖怪に限らずその身体を蝕む。
 だがそれは、同時に高い魔力を森に満たす要因にもなっていて、それが理由でこの森は“魔法の森”と呼ばれている。

 私こと“霧雨魔理沙”は、そんな瘴気に満ちた魔法の森に暮らす、人間の魔法使いだ。

 捨食の法で人間の生活を捨てた訳ではなく。
 捨虫の法で人間の成長を捨てた訳でもない。

 そんな私が人間のまま魔法使いとして大成するためには、この森で生活することが必要不可欠だった。

 霧の湖を抜けた場所に在る、悪魔の館。
 紅魔館と呼ばれるその屋敷の地下には、大きな図書館がある。
 そこから本を借りて、森のキノコを使った研究をして、失敗も成功も全部意味あるものにする。

 私はそうやって、充足した日々を送っていた。

 いずれ追い越すと決めた、親友の巫女。
 いずれ追い抜くと決めた、図書館の魔女。
 同じ人間でも抜群の才能を持つメイドや、半分人間のライバルたち。
 目の前で大きな壁として立ちはだかるアイツらがいるから、私は負けじと前を見続けることができる。

 悩みなんかない。
 悩むことがあれば、悩む必要がなくなるほど努力すればいい。
 悩みなんか打ち砕けるほどに、己を磨き上げればいい。
 私はずっとそうしてきたし、それが間違いだと思ったことはない。

 だがここ最近、それも変わろうとしていた。
 いい加減、目を逸らし続けてきたことが、気になって仕方が無くなったのだ。
 ようは、私は努力で打ち破れるかどうか非常に微妙な、悩みを抱えていた。

「今日は……月曜日か」

 香霖のところで貰ってきた――ツケだ。死んだら返す――日めくりカレンダーを見て、私は大きく息を吐く。スキマが宴会の席で言っていたのだが、外の世界では月曜日とは憂鬱な日であるらしい。ということは、外でも月曜日とは厄介なことが起こる日なのだろう。

「ってことは……“病んでる”んだ、な」

 月曜日は、いつも憂鬱だ。
 他の曜日なら問題ないのか、と聞かれたら、素直に頷くことはできないのだが。
 いや、なんにしても、今日よりはるかにマシであることには、違いない。

 ソファーにもたれかかって、冷め切った緑茶を嚥下する。
 冷たいお茶が喉をとおって身体を冷やし、同時に頭を冷やしてくれた。
 焦りは禁物。ここから先は戦争だ。判断ミスが命――女の――に関わる。

「正午か、もうすぐだな。逃げるか?いや、捕まったときのリスクが高すぎる」

 八卦炉を片手に握りしめ、頭を抱える。
 悩みのタネは、有り体に言えば“ご近所”さんにあった。
 魔法の森なんていう空気の悪い土地に好んで住む、変人の一人。
 私と違って“種族”魔法使いである、七色の昔なじみ。
 いや、馴染みであった時と同一人物なのかと問われたら、首を捻るしかないのだが。

「不意打ちで扉ごと……いや、私の家が危ないし、第一それでぴんぴんしてたら怖い」

 私が素直に怖いと言えるのは、もしかしたらアイツに対してだけかもしれない。
 そんな風に現実逃避しながら頭を抱えていると、ついにその時間が訪れた。

――コンコンコン

 規則正しいノックが三回。
 一秒間に三回叩くのは、礼儀としてはどうなのだろう。
 非常に出て行きたくないが、出て行かない方が怖い。
 扉を無理に破られれば、当然修理が必要になる。だがそれ以前に、家の物を漁られてはたまらない。私の下着をどうするつもりなんだ?いや、聞きたくないが。

「魔理沙ー、いるー?」
「…………ああ、いるぜ」

 私の声に反応して、扉の向こうの人物は、ドアノブをガチャガチャと動かし始めた。
 相当間を開けて小声で言ったはずなのだが、どうやらしっかり聞こえたらしい。
 音響系の魔法だろうか?“水曜日”あたりに教えて貰いに行こう。
 いや、“月曜日”の彼女特有の能力だといわれたら立ち上がれないから、やめておこう。

――ガチャガチャガチャ……ガチャン

 手先が器用なアイツは、羨ましくなるような手腕で扉を開けた。
 魔法の錠前含めて鍵を開ける、流れるようなピッキングだ。家主が居るのに。
 というか、また破られるとは……。

「魔・理・沙♪……うふ、逢いたかったわぁ」
「そうか、私は会いたくなかったよ」

 月を溶かし込んだような、金の髪。
 空を真似て呑み込んだような、青い目。
 まっさらな雪みたいに透きとおった、白い肌。

 巷で有名な、“七色の人形遣い”と呼ばれる少女。
 彼女がここ最近の私の、悩みのタネ……“アリス・マーガトロイド”だった。





 これは私とアリスの非常識な一週間を塗り替えた、はた迷惑な一幕の物語である。













霧雨魔理沙は知りたくない ~七色の人形遣いの七~













 私が淹れた緑茶を、アリスは穏やかな笑みと共に啜った。
 黙っていれば可憐な少女とも言えるのに、口を開くとそのイメージは刹那の間に瓦解する。

「ハァハァ……魔理沙の味、魔理沙の味……ハッ、魔理沙エキス!?」

 なんのことだ。
 そうツッコミを入れたくても、ぐっと堪える。
 そんなことを言ったが最後、矢継ぎ早に説明されて、あれよあれよという間にヒミツの個人レッスンとやらに突入してしまう。経験者――当然、逃げたが――が言うんだから間違いない。

「ねぇ、魔理沙」
「…………なんだ」

 アリスは上目遣い――という名の三白眼――で私ににじり寄り、声をかける。
 清流のように澄んだ声をしているのだからもっとまともなことを言えばいいのに、とか思わないこともないが、“月曜日の”アリスにそれを求めるのは酷だろう。

「結婚しましょう」
「ことわ……いや」
「なぁに?魔理沙」

 迂闊に断る、なんて言ったらどうなるかわからない。
 監禁エンドを防ぐために咄嗟に言いかけたのだが、危なかった。
 アリスは私に何かを期待するような目で見てくるが、アリスの望む答えをしたが最後、もう戻れなくなるだろう。現世に。

 背筋に伝う冷たい汗を誤魔化しながら、私はアリスを見……ようとして、顔を逸らした。
 カタカタと歯を鳴らしながら低い声で笑うアリスは、不気味だ。

「火曜日……いや、水曜日に契約書を持ってくるならサインしてやる」
「もう、魔理沙ってばそればっかり。でもいいの、アナタの気持ちは知っているから」

 知られてたまるか。
 アリスがさりげなく伸ばした魔法の糸を、八卦炉から生成した小規模レーザーで焼き切る。続いて死角から襲ってきた糸を、マジックミサイルで落とした。これでベッドにでも運ばれたら、目も当てられない。こんなんでも、魔法の腕はアリスの方が上なのだから。

 ……悔しくなんか、ないぜ。

「照れないで、ほら、契約書も持っているのよ?」
「水曜日以外じゃサインできないって家訓があるんだ」

 勘当されているけど。
 それでもアリスは納得してくれたのか、引き下がってくれた。
 私のことを信用してくれているからか、アリスは私をあまり疑ったりしない。

「水曜日……なんとか……いや……」
「アリス?」
「なぁに?うふふふふふふ」

 変なことを呟いていたから声をかけたら、にじり寄られた。
 思わず顔を仰け反らすが、さすが妖怪と言うべきか、腰に回した手は力強く離れない。

「お、落ち着け!そうだ、昼ご飯はどうする?食べていくか?」

 私はアリスを押しのけながら、慌ててそう提案する。
 途端にアリスは私から離れて、上気しすぎてリンゴのようになった顔を歪めた。
 あ、いや、笑っているんだろうけど、頬が引きつりすぎて怖いんだよ。

「魔理沙味ね、素敵だわ」
「そうか。で、どうする?」

 ちなみに、私が作る理由はただ一つ。
 睡眠薬やら媚薬やら筋弛緩剤やらを投入されないためだ。
 後ろ二つの販売停止を永遠亭に願い出たら、アリスの自作であることがわかった。
 逆に可哀相な人を見る目でため息を吐かれたのは、あまり思い出したくない記憶だ。

 最初から突っぱねるという選択肢はない。
 変な勘ぐりでもされたら、私と私の周囲がとんでもないことになりそうだから。
 ……おかしい、私は人に迷惑を掛けても掛けられる方ではないはずなのに。

「食べたいけれど、今日は顔を出しただけ。もう行かなきゃならないの」
「そうか。じゃあな!」
「……嬉しそうね」
「そんなことはないぜ」

 アリスは、三白眼を通り越して血走った上目遣いで私を見てきた。
 どうすれば黒目を完全に隠せるほど上を見られるのかわからないが、聞きたくもないので黙っておく。

「またね、魔理沙。アイシテいるわ」
「ああ、じゃあな」

 名残惜しそうに、アリスは席を立つ。
 その手にさっきまで私が使っていた湯飲みが握られているが、引き止めたくないのでスルーした。私だって、命は惜しい。“水曜日”に返してもらえばいいし。

 黒いオーラを発しながら飛び立ったアリスを見送ると、私は素早くアリスが座っていたソファーを調べる。探知魔法を展開するのが、ずいぶんと上手くなった気がする。

「あった……盗聴器」

 親指サイズの人形の形をした、盗聴器。
 赤いドレスの上海人形型で、魔法による巧妙な隠蔽が施されていた。
 こんなのを探すスキルばかり上達したというのは、気のせいではないだろう。

「はぁ……疲れた」

 一気に疲労感が襲いかかり、ソファーにもたれてため息を吐く。
 月曜日のアリスと会うのは、本当に神経がすり減る。
 だがどこに逃げても追ってくるので、家捜しされないだけ家にいた方が良いというのだから、たまらない。そろそろ私の胃も限界だ。

「明日は火曜日だから――“ツンデレ”か」

 月曜日だから、火曜日だから。
 そんな風に言うのは、訳がある。
 私の隣人である、アリス・マーガトロイドは“変”なのだ。

 日曜日から、土曜日まで。
 七日間通えば、誰でもわかるだろう、アリスの“妙”なところ。

 倦怠感に包まれた身体は研究をすることをよしとせず、動き回る気にもならない。

 ぼんやりとした頭で思い返すのは、ここ一週間のことだった。
 私の悩みのタネ、アリスの秘密をどうにか探ろうとした、私の一週間。
 どうにか糸口を掴むために、私は今日までの六日間を振り返ることにした――。













――火曜日――



 先週のことだ。
 私は“月曜日”にアリスが置き忘れたケープを届けに、隣人である彼女の家に訪れた。
 青い屋根と白い壁の洋館が、アリスの家だ。

 空を飛んで来た私は、箒から降りるとアリスの家の扉に立つ。
 ここまで来て明日にすれば良かったかとも思ったが、余り明日のアリスを困らせたくないので我慢する。

「おーいアリスー、いるかー?」
「ま、魔理沙!?ちょ、ちょっと待っていて!」

 棚でもひっくり返しているのか、激しい音が家の外まで響いてくる。
 毎回のことだが、何をしているんだ?別に、散らかってもいないだろうに。

「ま、待たせたわね」
「いや、そうでもないぜ」
「そ。で?なんのよう?」

 目尻をつり上げて、アリスは私を強く睨む。
 だがそこに野良妖怪が見せるような敵意や悪意はなく、慣れれば居心地も悪くない。

「昨日、ケープ忘れていっただろ?」
「昨日?――――ああ、昨日ね」

 アリスは少し考えて――僅かの間、動きを止めて――頷いた。
 僅かな時間に見せた、逡巡とはまた違う様子。
 それは、霊夢が神を身体に降ろす時の様子と、よく似ていた。

「何つっ立てるのよ。う、鬱陶しいから、入るなら入りなさいよ!」
「いや、すまんすまん。それじゃあ、お邪魔するぜ」

 突き放すような態度なのに、自然と扉を開けて私を歓迎してくれる。
 私は猫っぽいと――主に、水曜日に――よく言われるが、このアリスはもう少しで懐きそうな猫みたいに思える。なんだ、それならアリスの方が猫じゃないか。

「きょ、今日はたまたまクッキーを焼いたんだけど……そう!味見していきなさい!」
「いいのか?サンキュ」

 そう思い始めたら、なんだか微笑ましいような気持ちになってきた。
 もう少しで懐きそう、とか、そんな気分にさせられる。
 ただ、懐かれたら懐かれたで“昨日のアリス”みたいになりそうで、少し怖いが。

「いや、ただデレるだけか?……いやしかし、同性でそれってどうよ?」
「なに一人でブツブツ言っているのよ?気持ち悪いわよ」
「き、気持ち悪いとか言うなよ」

 クッキーを取りに行っていたアリスが戻ってきたようだ。
 独り言を聞かれてしまったのは……まぁ、置いておくことにして。

「アリス、いつも思ってたんだが、昨日と今日の……」
「えっ……お、おいしくない?迷惑だった?」
「いっ、いや、おいしいぜ!いつもどおり」

 ぐ……猫耳が不安そうに垂れたような気がしたっ。
 たまにネガティブ、普段は突き放しつつ懐を開けるような態度、時折デレそうになる。

 良かった、と小さく零して、それからいつものように目をつり上げて胸を張る。
 また強がって見せてはいるが、さっきまでよりずっと和やかな雰囲気になった。

 くそ……これじゃあ今日は、もう聞けないじゃないか。

 結局私は、何もせずに帰ることになる。
 明日こそは、探りを入れてやろうと心に決めて。













――水曜日――



 気合いは充分。
 今日も白い煙突を目指して、滑空する。
 飛び降りるのではなく、滑るように、私はアリスの家の前に降り立った。

――コンコン
「アリスー、いるかー?」

 ノックをして、少し待つ。
 すると、扉が一人でに開いた。
 相変わらずの器用さというか、居間から魔法の糸で開閉を行ったようだ。

 そういえば、人形遣いなのに人形を使わないのは何故だろう?
 外に出るときは人形を連れているし、普段は家事も全て人形にやらせている。
 なら、何故ここに人形がいない?

「魔理沙よね?どうかしたの?」
「な……なんでもないぜ。ちょっと考えごとしてただけだ」

 居間から響く、落ち着いた声。
 声色は普段と同じはずなのに、優しげに聞こえるのは何故だろう。

「ふふ、へんな魔理沙ね。いらっしゃい」
「変じゃない。“普通”だ。邪魔するぜ」

 ソファーに腰掛け、淑やかな笑みで私を迎える。
 伸ばされた背筋と薄く伏せられた瞳、紅茶のカップを啜る朱色の唇。
 本人には絶対に言わないが、私が密かに憧れる……“大人”の雰囲気を、アリスは醸し出していた。

「ほら、そんなところに立っていないで、座りなさいな」
「あ、ああ、そうだな」
「……本当に、どうしたの?様子がおかしいわ」
「ふ、普通だぜ」

 空色の瞳に、見抜かれたような気がした。
 一週間で人格の交代でも行っているのか、それとも性格が変わる“変人”なのか。
 幻想郷ではどちらでも不思議ではないが、そんな単純なことではない気がする。

「熱でもあるのかしら?」
「なっ……いぜ」

 アリスは立ち上がると、私の額に自分の額をくっつけた。
 近くで見ると、睫毛も結構長い。本当に、人形みたいなヤツだ。
 吐息のかかる距離に、顔が熱くなる。くそっ、私にその気は無いんだってば!

「熱は、ないみたいね」
「だから、普通だっていってんだろ」
「でも、過信は禁物よ。貴女は人間なんだから、体調管理はちゃんとするのよ」
「わかってるって」
「それならいいのだけれど、あんまり夜更かししちゃダメよ」

 口煩く、とまでは言わない。
 けれどあれこれと注意を促してくる様子は、年上の家族を彷彿させる。
 母親、とかじゃなくて、むしろ母親に叱られたときに慰めてくれる姉のような、そんな雰囲気だ。

「最近は寝てるぜ」
「最近は、っていう子は、絶対今後もするのよ」
「そんなこと……ない、ぜ」
「……そう、ま、信用してあげるわ」

 微かに、笑う。
 あ、この表情は、“仕方がないなぁ”ってヤツだ。
 なんだかこのアリスと話してると、自分が幼い子供になったように感じることがある。
 これじゃあ、私が“たくさん”いるみたいだ。昨日の私はどこにいった!

「そう、昨日。昨日と、一昨日」
「魔理沙?」

 首を傾げるアリスに、畳みかけようとする。
 だがアリスは、そんな私をあっさりと遮った。

「独り言が多いわね……やっぱり貴女、疲れているのよ」
「なんでアリスは昨日とかと性格が……へ?」

 アリスは私にわかりやすいように肩を竦めてみせると、立ち上がって台所に消える。
 私はというと、変なタイミングで遮られて、動けなくなっていた。

「あ、お、おいアリス!」
「タマゴが栄養に良いから、これ持って帰りなさい」
「え、ぁ」

 冷却魔法が込められた紙の箱。
 その中には、震動で滑らかに震えるプリンが入っていた。
 カラメルソースまでしっかりかかっているし、たぶん自分で食べようとでも思っていたんだろう。

「い、いいのか?」
「なに遠慮してるのよ。まったく。……身体、壊さないようにね」
「あ、あぁ……その、ありがとう。アリス」
「ふふ、どういたしまして」

 柔らかい笑みを向けられて、もうそれだけで何も云えなくなる。
 ああ、くそ、顔が熱い。断じて、変な気がある訳じゃない。善意に弱いんだ、私は。
 ……そっちの方がダメな気がしてきた。ああ、もう!

「きょ、今日の所は帰るぜ」
「ええ、気をつけてね」

 そうして私はこの日、アリスの善意に押し切られてしまった。
 ええい、明日だ!明日こそは、どうにか聞き出してやる!













――木曜日――



 私はこれまで、色んな所へ異変解決に乗り出してきた。
 紅い霧の吸血鬼、終わらない冬の亡霊、停滞した夜の不死者。
 誰も彼もが恐ろしいほどの力を内包していて、それでも私はスペルカード片手に挑み続けてきた。

 だから私はよく、霊夢同様“苦手なものなんか無い”と言われたりするのだが、当然ながらそんなことはない。

 細々とした苦手なものは、まぁある。だが最近、苦手なものが増えた。
 曜日によって性格が変わる“アイツ”……その内の二つが、私は苦手だ。

 一つは月曜日。もう一つは……金曜日。
 だから私は、自分の中の疑問を木曜日――即ち、今日――に解決したかった。
 どの道、もう一つの苦手な日である月曜日は、聞き出したら命に次ぐ大事なものを失いそうで聞けないし。

「見えた」

 玄関から離れた位置に、低空飛行で着地する。
 昨日、水曜日にアリスと会うときはこんな遠慮はしない。
 けれど、今日は別だ。今日のアリスと会うのは、その、少し緊張する。

「くそっ……らしくない、らしくないぜ」

 ペースを惑わされないように。
 そんなことを考えながら、私は玄関をノックする。

――コンコン、コン
「アリス、いるか?」

 声をかけて、待つこと数秒。
 小さく足音が聞こえたかと思うと、扉がゆっくりと開けられた。

「あら魔理沙、いらっしゃい。会えて嬉しいわ」
「そ、そうか」
「さ、入って」

 私を見た途端、恥ずかしげもなく“嬉しい”とか言ってくるアリス。
 その表情は優しげで、自意識過剰なんかじゃなく、好意を持たれていると解るものだ。
 私はこんな風にストレートに“好意”を抱かれたとき、どんな顔をして良いのかわからない。

「帽子、かけておくわ」
「おう、ありがとう」

 顔では平静を装っている――装えている、はず――が、いつも接し方に困る。
 いや、毎日これならそのうち慣れて、それから真っ当な友人関係でも築けそうなものだが、そうはいかないのが現状だ。

「ふふ、朝から魔理沙に会えるなんて……今日は、素敵な一日になりそうね」
「また、おまえはそういうことを……」
「あら?だって本当のことだもの」

 尻すぼみしていく私の声に、アリスはクールに告げる。
 テーブルを挟んで対面、私の顔がよく見える位置に座るのが、彼女の常だった。
 ……そういえば曜日によって座る場所も違う。やっぱり、中の人が?

「難しい顔、してるわよ」
「え、あ、ああ、ちょっと考え事を」
「そうしている魔理沙も可愛いわね」
「ぶっ……か、かわっ、可愛いって」

 思わず咳き込んだ私を見て、アリスはただ微笑んでいた。
 その表情があんまりにも幸せそうなものだから、私は思わず硬直してしまう。
 くそっ……敵の前で隙を見せるなんて、言語道断だ霧雨魔理沙!

「あら、魔理沙……」
「なっ、んだよ」

 思わず、声がうわずる。
 早く秘密について聞き出さなきゃならないのに、タイミングが掴めない。
 それなのにアリスはゆっくりと立ち上がると、私のそばまで近寄ってきた。

「また無茶な飛行でもしてきたの?綺麗な髪に、葉っぱが絡まっているわ」
「え、あ、ああ」

 低空飛行なんかしたから、その時に絡まったのだろう。
 私の髪に絡みついた緑色の葉を、アリスは髪を傷めないようにとってくれる。
 その手つきは優しげで、でも冷たくて、少しだけ眠くなった。

「ねぇ、魔理沙」
「んあ?」

 うとうととでもしていたか、私から出た声は存外間抜けなものだった。
 主導権を握られた時点で、やる気がなくなっていたせいかもしれない。

「このまま、キスしても良い?」
「なっ……わ、わわ、私にそのケはない!」

 気がついたら、私はそのまま飛び出していた。
 近づいてきたアリスの表情、柔らかそうな唇と、雪を溶かし込んだような肌。
 一瞬にして離れたときのアリスの表情は、イタズラっぽく笑っていて。

「ああーっ……くそぅ」

 トレードマークの帽子を忘れたことに気がついて、項垂れる。
 どんなルートを辿ってきたのかは覚えていないが、私はしっかりと家に辿り着いていた。
 昨日みたいに優しいけれど、私に好意を惜しげもなく晒してくるアリス。
 さしずめ、“素直クール”のアリスといったところだろうか。

「思いっきり、からかわれた」

 収穫は無し。
 それどころか、明後日、土曜日に“爆破”される前に明日帽子を回収しなきゃならない。
 あわよくば明日は行かず、今日片付けてしまいたかったのに……。

「調子狂うぜ、ホント」

 今日はもうなにもやる気が起きなくて、ベッドに飛び込んだ。
 脳裏に先程のアリスを思い浮かべる度に、頬が熱を持つのがわかる。
 こんな顔、他人には見せられないぜ……。

 私はその日、研究のやり過ぎで疲れたとき並に、ぐっすりと眠りについた。










――†――










 こうして火曜日から木曜日までのことを思い浮かべてみて、私は改めて嘆息することになった。
 その三日間、結果は全敗。火曜日ならばもう少しやりようはあったかもしれないのに。

「らしくない」

 思わず、零す。
 今まで私は、どんな問題にも真っ向から挑んできた。
 それなのに今、私は当たって砕けることもできずにいる。

「らしくないぜ」

 帽子を掴んで、箒を手に取る。
 問題に直面したとき、私はどうしていた?
 わからないことがあったら、何時ものように“借り”ればいい。

 なのに私は今まで、何故だかあの奇妙な関係を享受していた。
 水曜日や、なんだかんだで木曜日に火曜日なんかは居心地が良かった。
 だから暴いて、その結果それ以外の曜日にアリスが固定されることを、恐れていたのかもしれない。

 そこまで考えて、首を振る。
 なんにしても、解決するって決めたんだ。
 ならこれは、私の“悩み”なんかじゃない。

 これは“霧雨魔理沙とアリス・マーガトロイド”の、異変だ!

 扉を開け放ち、箒に跨る。
 魔力を乗せると身体が浮き上がって、直ぐに私は風に包まれた。

 目指す場所は、霧の湖の向こう側。
 赤い吸血鬼と紫の魔女が待つ、悪魔の館。

 空を飛んで向かうその道中で、私はもう一度思い返す。
 金曜日の、できごとを……。













――金曜日――



 昨日忘れた帽子を回収するために、私はアリスの家の前に降り立った。
 深呼吸して息を整える。木曜日のアリスの時とは違って、これは私の体力が尽きないようにするための、儀式だ。

「アリス、入るぞ」

 今日のアリスに、まともな対応は期待できない。
 体力を削岩機の如く削られて、結果疲れ果てて訪問が終わることがままあるのだ。

「あら、いらっしゃい。お茶を持ってくるから待ってなさい」

 勝手に入ってきた私を、アリスは無表情で受け入れる。
 決して愛想の良い“アリス”ではなくて、普段からこんな感じだ。
 そしてだからこそ……非常にわかりづらい。

「はい、お茶よ」
「いやいやいや、なんだこれ?」

 アリスが何食わぬ顔で持ってきたのは、薬缶だった。
 金属でできた薬缶からは、湯気が出ていて熱そうだ。

「見てわからないのかしら?お茶よ」
「いや、湯飲みはどうした?それから、なんで二つあるんだよ?」
「質問が多いわね。まぁいいわ、私、都会派だし」

 こいつは以前、都会派だとか言いながら人形を巨大化させて妖精にけしかけたことがあった。
 いや、金曜日だったということを忘れていてチルノをけしかけたのは私だが。

「都会派として、新しいお茶の飲み方を考えたのよ」
「で?」
「都会派と言えば世間の荒波、荒波と言えば港でラッパを吹く青春」
「は?」
「つまり――ラッパ飲みよ!」
「いや港でラッパはよくわからんが、それは絶対に違う!」

 思考回路が、どうなっているのか理解できない。
 どうしてそんな結論に至ったのか知らないが、知りたくもない。
 そう、金曜日のアリスは……“天然”だ。

「だいたい、なんで薬缶なんだよ?そもそも、熱いだろう」
「冷たいのは都会派よ」
「いやいや、都会派の方が冷たいなら、なんで熱くしたんだよ!?」
「え?これ冷たいわよ」
「ドライアイスかちくしょう!」

 飲めないじゃないか!
 恐る恐る薬缶に触れてみると、確かに冷たかった。
 気化するような冷気でお茶を淹れるとか、正気の沙汰じゃない。

「はぁ、まぁいいや。私の帽子を返してくれ。昨日、忘れていったんだ」
「ふぅん?貴女が忘れていったのは、金の帽子?銀の帽子?それとも、亜鉛の帽子?」
「普通のだ!」

 冷静に答えようと思ったのに、思わずツッコミを入れてしまった。
 なんだ亜鉛の帽子って。どんな選択肢だよ。

「普通の?あれはダメよ。アップリケつけるんだから」
「勝手につけるなよ!」
「押すなよ!ね?」
「違う!」

 無表情、なのに得意げ。
 異変の時にこのアリスと出会えたら、問答無用でマスタースパーク撃てるのに。
 ああ、くそっ。チルノを仕掛けるんじゃなく自分で行けば良かった!
 まぁ、土曜日と勘違いしてたから行かなかったんだが。爆破されたらまずいし。

「ええー、可愛いのに。アップリケ」
「ちなみに、なんのアップリケなんだよ?」
「一分の二、ゴリアテ人形」
「二倍かよ!」

 それは、ゴリアテのアップリケに私の帽子を使うって事だろうが!
 ああ、やっぱり疲れた。さっさと返してもらって帰ろう……。

「さぁもういいだろ?返してくれ」
「返さなきゃダメかしら?」
「当たり前だろ!」

 残念そうに首を傾げるアリスに、声を荒げる。
 アリスはそんな私を見て微かに笑うと、肩を竦めて席を立った。

「しょうがないわね、持ってくるわ。それでも飲んで待っていて」
「飲めるか!」

 そう言って、アリスは薬缶を指した。
 こんなの飲んだら身体を壊す。

 アリスが持ってきた帽子を見て、胸を撫で下ろす。
 受け取って調べてみたが、とりあえず表面上は何もない。
 こんな時に妙な仕掛けを施すのは土曜日のアリスなので、さほど心配はしていないのだが。

「ねぇやっぱりゴリアテのアップリケに……」
「しない!てか、やっぱりゴリアテのアップリケにするつもりだったのかよ!」

 私は席を立つと、残念そうに見送るアリスを一瞥して、飛び出した。
 身体を襲う疲労感は、月曜日とは違った意味で辛い。

 日曜日のアリスは、私が聞いたところで答えてくれはしないだろう。
 だったら明日が最後のチャンスだ。月曜日は、危険だし。

「ああ、くそ、考えれば考えるほど憂鬱になる」

 できるだけ、考えないように。
 私はふらふらと軌道を乱しながら飛行し、家に帰ることになったのであった。













――土曜日――



 土曜日のアリスに会いに行くときは、他の日とは勝手が違う。
 視界に収まるギリギリの距離まで高く飛び、アリスの家を一望する。
 煙突から不審火は出ていないか、アリスが得意げな表情で家の外に出ていないか。
 それら全てを確認してから、私は徐々に高度を下げていった。

「おーいっアリス!」

 声をかけるときは、なるべく広い場所で。
 何が起きても直ぐに飛んで逃げられるようにしなくてはならない。
 安全が確認できるまでは、箒から降りられないのだ。

「あら、魔理沙じゃない。ちょうど良かったわ!」

 家が爆発することもなく、普通に玄関からアリスが出て来た。
 だがその満面の笑みを見て、私はすぐさま飛び立とうと箒に魔力を込める。

「すまん間違えた私は帰……ぬわっ?!」
「ふふふふ、そんなに急がなくてもいいじゃない、ね?」
「離せ、こら!」

 逃げようとしたところで、糸に絡め取られる。
 箒をがっしりと掴まれている上に、腹や腕に糸がめり込んでいた。

「わわ、わかった、わかったから離せ!いたたたたたっ!?」
「あら?ごめんなさい。さ、こっちよ」
「わかってないだろ!?」

 アリスは私を糸で絡め取ったまま、家の中に引きずり込む。
 逃げられはしないだろう。くそぅ、もっと私自身がスキルアップする必要があるか。

「新しい人形を考えたのよ!私の心の師にちなんで、アルフレッド人形っていってね」
「誰だよそれ。というか、心の師なんていたのか」

 ソファーに座らされて、漸く糸を切られた。
 もう忘れていかないように、帽子はしっかりと膝に抱えておく。

「あら?アルフレッド先生知らないの?外の世界では小さな子供でも知っているわ」
「外の世界の偉人か何かか?」
「そうよ。今度、香霖堂さんで聞いてみなさいな」
「ああ、そうさせてもらうぜ」

 陶酔した表情のアリスから、視線を逸らす。
 この時私はその“アルフレッド先生”とやらに微妙な嫉妬心を抱いていたような気もしたが、後で気のせいだとわかった。いや、結局爆発物かよ。

「そう、それでね、来週の今日は絶対に来て頂戴!先生の花火を見せてあげるわ!」
「花火って……いや、いい、聞かなかったことにする――って」
「どうしたの?」

 ああ、これはチャンスだ。
 というよりも、もうこの瞬間しか、聞ける機会はないような気がする。

「来週は忙しいんだ。来週の、金曜日とかはどうだ?」
「……完成していないわ。制作段階を見せるのは、恥ずかしいし」
「そうか、それなら土曜日の翌日……日曜日は?」

 アリスは、私の問いかけに澄ました表情で答えていく。
 だがところどころ、言葉が詰まっている。

「日曜日は無理よ。燃え尽きちゃっているもの」
「それなら、月曜日は?火曜日は?水曜日は?木曜日は?」
「そんなに土曜日に来たくないのかしら?まぁ、見せるだけならどの日でもいいわよ」
「あれ?珍しいな……アリスが私に人形を見せるだけで、爆発させないなんて」

 畳みかける。
 他の曜日のアリスは、人形を好んで爆発させようとはしない。
 人形を爆発させるのはいつも、土曜日のアリスだった。

 大江戸やアーティフルサクリファイス、リターンイナニメトネスなんかは土曜日。
 首吊り蓬莱人形やストロードールカミカゼなんかは月曜日のアリス。
 考えてみれば、曜日によって好んで使うスペルカードまで違う。

 どうしてこんな大切なことに気がつけなかったのか。
 この土壇場で、私の頭は高速で回転し始めた。
 そんな私を見て、アリスは逡巡の後に何度か口を開こうとするが、させない。

「曜日によって雰囲気が変わるのは、気分か?」
「魔理沙」
「いいや、違うね。人格や癖まで、まるで違うなんてのは妙だ」
「魔理沙」
「その癖誰もが一貫して、全員自分であると辻褄を合わせようとする」
「魔理沙」
「ここまで踏み込んだんだ。私は引かないぜ」
「魔理沙!」

 立ち上がって声を荒げたアリスを、私は真っ向から睨む。
 ここは確かにアウェイだ。だけど、私だって異変を乗り越えてきた魔法使いだ。
 格上相手に挑むのは、慣れているんだよ!

「言い出すタイミングが、掴めなかったの」
「アリス……」
「でも魔理沙、息継ぎもせずに喋るから」
「あ、ああ」

 アリスは私を見て、視線を落とす。
 落とした先は何故か……私の座るソファーだった。

「そのソファー、アルフレッド先生に入れようと思っていた“中身”が入ってるの」
「は?」
「時限式で、たぶんもうすぐ……」

 言われて、席を立とうとして……思いとどまる。
 ソファーに爆弾?こんな、都合の良いタイミングで?

「はぁ、誤魔化されないぜ、アリス。私は――」

 こんなことで逃げたりしない。
 そう告げようとソファーからアリスへ視線を戻して……私は身体を硬直させた。

 私を見て、ソファーを見て……アリスは痛ましげに、首を振った。

「私の責任だもの。ちゃんと回収して人形にするわ」
「いやおまえそれ爆発させる気だろう……って、マジか?」
「いやまぁ爆発はたぶんさせるけど……マジよ」

 いや、させるのかよ。
 箒を掴み、帽子を被り、冷や汗をかきながら空へ飛び立つ。
 後ろでアリスが何か言っていた気がするが、時間が惜しかった。
 今なら文も追い越せそうなほどに加速して、加速して、加速して、振り向く。

「なんだ、爆発しな――」
――カッ!
「――いことはないか」

 閃光、と轟音。
 香霖のところで見た写真にあった……そう、キノコ雲とかいうやつが、アリスの家から上がっていた。

「巻き込まれていたら、木っ端微塵か」

 妙に冷静になっているのが、自分でもわかった。
 久々に命の危機を感じて、頭がオーバーヒートしているのだろう。
 あの爆破に巻き込まれていたら、影しか残らなかったに決まってる。

「……帰ろう。帰って、寝よう」

 あともう少しだった。
 なのに、結果はまさかの爆発オチだ。やりきれない。

 私は昨日よりもむしろ月曜日に似た疲労感を覚えながら、一人帰宅することになった。
 日曜日、明日に行っても軽くあしらわれるだけのような気もするが……やらずに諦めたくは、ない。










――†――










 一昨日とその前。
 その時のことを思い出して、私は頭を抱えた。
 あの後香霖に“アルフレッド先生”について聞きに行った私は、そこでアルフレッド・ノーベルが外の世界の爆弾を発明した人物であることを聞いた。

 確か、“ダイナマイト”とかいう名の強力な爆弾だと、香霖が言っていた。
 その爆発は高威力ではあるが、キノコ雲を生み出すタイプのものでは無いらしいのだが……。
 アリスよ、いったい人形に何を仕込む気だったんだ?

 風を肌で受けながら進んでいると、目的の場所が見えた。
 赤い壁と大きな時計台、それから虹色の庭が見える。
 吸血鬼に魔女、時を操るメイドに気を操る妖怪。
 沢山の妖精を配下に置く、悪魔の館――紅魔館。

 屋敷同様真っ赤に染められた煉瓦の門を潜れば、目的地である図書館は直ぐそこだ。

「さて、と」

 門の前に降り立つと、すぐ側に中華衣装の妖怪が立っていた。
 紅い霧の異変の時に知り合った、正体不明のなんだかよくわからない妖怪、紅美鈴だ。

「おーい、美鈴!」

 屋敷と同じような色でありながら、決して屋敷に溶け込まない真紅の髪。
 その奥で燦然と輝く青色の瞳は、今は固く閉じられている。

「おや?魔理沙さん?」

 私の声に気がついたのか、それとも気配でも読んだのか。
 美鈴は目を開けると、普段と何一つ変わらない穏やかな笑顔を見せた。
 寝ているか、笑っているか。考えてみれば、私は美鈴の表情をこの二つしか知らない。

「昼寝ばっかりして、怒られないのか?」
「客が来たら起きますし、咲夜さんは私を怒りませんよ」
「ふーん?」

 妙な言い回しがあった気がするが、こんなところで悩みのタネを増やしたくないので後回しだ。機会があったら聞けばいい。

「さて、通るぜ」
「ええ、どうぞ」
「毎回思うが、そんなに軽くて良いのか?」

 いつも、パチュリーの所から本を“借りる”時、弾幕ごっこになる。
 魔法使いとしての実力ならまだ私はアイツの足下にも及ばないが、弾幕ごっこならば話は別だ。流石に、私の方に分がある。

「構いませんよ。パチュリー様は出不精ですから、たまには運動していただきませんと」

 治るものも治りません、と美鈴は続ける。
 紅魔館は、私の目から見てもずいぶんとアットホームな雰囲気がある。
 こんな風に互いを気遣う遣り取りも、普段から行われているのだろう。
 悪魔の館というフレーズはどこへ行ったんだ。マジで。

 美鈴の許可を貰って、屋敷に入る。
 外装からは想像もできないほど広い内装は、ここ紅魔館の瀟洒なメイド長によるものだ。

「ええと、地下図書館は……」
「……あら、魔理沙じゃない」

 地下図書館を目指して飛んでいると、不意に声をかけられた。
 何時の間に来ていたのか、私の隣に浮かぶ銀髪のメイド、十六夜咲夜が微笑みと共に頭を下げた。

「ようこそ、悪魔の館へ」
「よう、咲夜」

 突然現れた、といっても時を止めてきたのだろう。
 一々驚いていたらきりがないので、適当に手をあげて挨拶を返した。

「また“借り”に来たのかしら?」
「ああ、いや、今日はパチュリーにちょっと聞きたい事があって来たんだ」
「なんでも良いけど、借りるなら返しなさいよ」

 ため息一つにしても、口元に手を添えて上品に零す。
 行動の一つ一つが垢抜けていて、実に“瀟洒”だ。

「今日は借りないぜ。たぶん」
「あら、借りないのね。たぶん」

 私がそう言って笑うと、咲夜はもう一度嘆息する。
 今度は上品、というよりも近所のお姉さんのように肩を竦めて見せた。
 本当に、器用なヤツだ。

「なんで着いて来るんだよ?」
「一人にしておいたら、何をしでかすかわからないからよ」
「図書館以外に突撃したことはないぜ」
「うっかり花瓶を割るのは常習犯のようだけど?」
「あー、事故だぜ」

 行きは割と慎重に飛ぶのだが、帰りはそうはいかない。
 最近はアリス――水曜日の――に小言を言われてちょくちょく返しに来ているのに、変わらず鬼の形相で追いかけてくるパチュリーの存在があるからだ。

「そういえば、あー、美鈴なんだが」
「ああ……また寝ていたのかしら?」
「なんだ、知ってたのか?」

 道中暇なので、私は気になったことを聞いてみた。
 気にしないようにしようとか自分で言っといてアレだが、好奇心には勝てない。
 きっとこれは私だけではなく、魔法使いなら全員に言えることだと思う。

「私がここのところ、妖精メイドの弾幕ごっこ訓練に付き合うことが多かったから、ちょっと無理させちゃったかしらね」
「うん?なんでそれが、美鈴の居眠りに関係するんだ?」

 聞く限り、それは咲夜の事情だ。
 美鈴が付き合っている訳ではないのなら、何故美鈴の居眠りに繋がるのかわからない。

「あら?そういえば言ってなかったわね」
「何をだ?」
「私が弾幕ごっこで使う大量のナイフ、どこから調達してると思う?」

 咲夜の弾幕は、その全てがナイフによって構成されている。
 その数はとても数えきれるものでは無く、言われて見れば色々とおかしい。
 ナイフの過去と未来を同時に出現させているらしいが、それにしたって“現実”のナイフが必要だ。
 まぁ、そんなことを言ったら霊夢の陰陽玉や針、それから御札なんかもハンドメイドにしては多すぎるのだが。

「うーん……紅魔館の財政で、どうにかしてるんじゃないのか?」
「ナイフなんかそんなに需要がある訳ではないのだから、そんなに仕入れられないわよ」

 言われて見れば、そのとおりだ。
 生活必需品の刃物と言えば、包丁や鋏程度。
 明らかに戦闘向けのナイフなんか、大量に作られてはいないだろう。

「てことは……まさか」

 私が訊ねたことと、咲夜の答え。
 それを総合すると、答えは直ぐに出た。

「そう、全部美鈴に鍛えて貰っているの。あの子、すごく器用だから」
「いやいやいや、器用じゃ済まないだろ。いったい幾つ作らせているんだ?」
「さぁ、覚えていないわ……まぁだから、敵に反応してくれる以上とくに注意することもないのよ」

 それじゃあ確かに、咲夜は美鈴を“怒れない”だろう。
 外の世界で未だに畏れられているとかいう、吸血鬼。
 その館と言うだけあって、実体の知れなさはどこか紫に通じるものがあるような気がした。

「ほら、到着よ」
「あ、ああ、すまない」

 けっこう苦労してるんだな、美鈴のヤツ。
 あんまり咲夜に弾幕勝負を挑まない方が良いんだろうか?
 たまに図書館での弾幕ごっこに咲夜も来るし……。

 ……もう気軽にこの屋敷の内情について考えるのは、止そう。
 叩けば叩くほど知りたくないことや知るべきではないことが出て来そうで、気が気でない。

「おーいパチュリー、いるかー?」

 図書館の重厚な扉を開け放つと、赤毛の司書の姿が見えた。
 咲夜の力で広げられた空間と、無数に立ち並ぶ本棚。
 その奥に、自然体で本を読み続ける紫色の魔女の姿があった。

「また来たの」
「おう。ただ、今日は本は借りないぜ」

 一瞬で私たちに紅茶を淹れた咲夜を一瞥して、私は開口一番そう告げる。
 戦闘になってナイフを使わせて、妖怪である美鈴が居眠りせざるを得ないような重労働をさせるのは、流石の私でも気が引ける。

「珍しいわね。槍でも降るのかしら?」
「魔法で剣を降らすヤツの言えた事じゃないぜ」

 咲夜の淹れた紅茶に口をつけながら、パチュリーの対面に座る。
 こいつは基本的に無表情で何を考えているかわからないが、時折突拍子もないことをしたりする。

「それで、要件は?」
「ああそうだ。聞きたい事があるんだ」

 素直に答えてくれるか、それとも追い出されるか。
 この二つの分かれ目は、パチュリー自身が興味を引かれるか否かにある。

「人格を沢山に分ける魔法とかって、あるか?」
「人格を?……それは魔法ではなく催眠術的なものでは無いかしら?ああいやそうね、思考を幾つにも分岐させそのことによる、判断と想像力の多様化を求める。ならそれは分割思考系の魔法かしら」

 パチュリーは、私に答えることなく自分の考えを連ね始める。
 コイツは、引き出した知識を言葉にして言い表すまで結構長くかかったりする。
 きっと、出会った敵の情報を訊ねても、終わった頃に提供してくるに違いない。

 だが私の本当の目的は、この瞬間にある。

「それを自分の身体に?脳がパンクするわ、リスクが高すぎる。いや、だったら別のなにかを媒介にして効率の良い方法を展開しているのかも」

 ブツブツと言葉を連ねるパチュリー。
 私はそんなパチュリーが呟く言葉を、一字一句逃さないよう耳を傾けていた。
 直接話を聞く前にパチュリーが零す言葉を拾うことができれば、なにか掴めるかもしれないのだから。

「――だったらその人格は、主人格から系統樹のように別れているはず。ならばその主人格は全ての思考を把握していると考えるのが妥当。共有という可能性もあるけど、そうね……ちょっと待ってなさい。久々に、好奇心が疼いてきたわ。小悪魔!」
「はい、こちらに」

 澄ました表情で飛んで来た赤毛の司書、小悪魔の姿を尻目にその場を離れる。
 きっと、全てが解決した頃に答えが出て、その時に持論の展開に付き合わされるのだろうがそれでも構わない。

 熱中するパチュリーと、私を一瞥してため息を吐く小悪魔。
 二人の姿を思考から外して、私は箒に跨った。

「主人格が誰か、か。……こうなったら、直接調べるしかないか」

 図書館を出たところで、咲夜に軽く手を上げてみせる。
 上品に頭を下げた咲夜を見て、それから紅魔館を飛び出した。
 七色の花が咲き誇る庭をとその手入れをする美鈴――本当に、色々できるみたいだ――を眼下に、私は日曜日のことを思い出す。

 誰が主人格なのか?
 そう問われたとき、私の脳裏に最初に思い浮かんだ“アリス”の姿を……。













――日曜日――



 土曜日に更地になったはずの、アリスの家。
 翌日である日曜日に訪れると、何故か変わらぬ風景がそこにあった。
 降りたって周囲を見回すと、木々に焦げ付いたような跡が残っているから、少なくとも昨日の出来事は夢では無かったということだろう。

 日曜日の、アリス。
 魔界で戦って、その後久々に再会したアイツ。
 長い冬の異変で遭遇したのは、確かに日曜日のアリスだったはずだ。

「アリス、いるか?」

 ノックもせずに、入り口から声をかける。
 すると、自然に扉が開いた。水曜日もやっていたが、人形を操るときの応用だろう。

「入るぜ」

 返事は来ない。
 だから私はいつものように、無遠慮に踏み込んだ。
 遠慮なんかしていたら、私はアイツらを追い越せない。

 廊下を進み、リビングに出る。
 そこには、人形の服を作成中のアリスの姿があった。
 私のことなんか眼中にないのか、澄ました顔で裁縫を続けている。

「よう、アリス」

 ざっと見回しても、周囲に人形はない。
 いつもなら鬱陶しくなるほどの人形たちに囲まれているというのに。

「無事みたいで、安心したぜ」
「――昨日の爆発のこと?普通の人間と一緒にしないで」
「ああそうか、異常な人間だったか」
「普通以外よ、前にも言ったけど」
「そういやそうだったな、前にも聞いたが」

 軽口を言えば、軽口で返す。
 それでも私の方に一度も視線が流れないのは、ただたんに人形の事に集中している、ということではないだろう。

「今日はやけに大人しいな」
「貴女もたまには清楚にしたら?」
「見たいのか?清楚な私」
「どうでもいいわ」

 このアリスの瞳に、私が映ることはない。
 そんな風に錯覚させられるほどに、彼女は“無関心”だ。
 他人にもその他の事柄にも大して関心がないから、“悩み”がない。
 誰にでも平等という意味では、私のライバル……霊夢に似ている。

「聞きたい事があるんだが」

 私が訊ねようとしても、何も返さない。
 話したいなら勝手に話していろと言うことだろう。
 このガラス玉のような瞳に、私は振り向いて欲しいとでも思っているのか。
 いや、私はこの瞳に宿る無関心を、塗り替えたいと思っているんだ。

 いつか、見ざるを得ないような、魔法使いになって。

「一週間で妙に性格が違うのは、何故だ?」
「印象を変える訓練よ。“外”では“いめちぇん”といったかしら」

 流れるように、嘘を吐く。
 昨日問い詰めたから、対策でも考えたのか?
 いや、こいつは他人のために思考の時間を割くようなヤツじゃない。
 きっと、適当なことを言っただけだろう。

「私が、信じるとでも?」
「信じる信じないに関わらず、魔女から真実を聞こうと?代償も無しに?」
「ぬ……それは、そうだけど」

 これまで――ここ一週間――のコイツの様子を見てきたせいで、アリスが秘匿主義的な魔女であるという事実をすっかり忘れていた。
 普段のアリスがオープンに過ぎるのが悪いんだ。

「代償って、なんだよ?」
「ああそうね、考えて無かったわ。貴女から欲しいものもないし」

 ぐぅ……地味に、来るな。
 私から欲しいものは無い。そう言い切るアリスの表情には、なんの感情も込められていない。
 真実、私のことなんかどうでも良いと言うことだろう。

「なにか、隠してはいるんだよな?」
「当たり前でしょう。魔女に秘匿すべき事柄がないとでも?」
「いや、それはそうだが」

 はぐらかされては、いるのだろう。
 でも、決して踏み込ませない拒絶の姿勢に、なにも言えなくなる。

 だいたい、考えてみればおかしいんだ。
 どうして私は、そこまでコイツに拘るんだ?
 アリス以外にだって、隠し事があるヤツは沢山いるだろう。
 だったら、さっさと忘れて、また壁を乗り越えて行けばいい。

「要件はそれで終わり?なら、帰って頂戴」

 そう言うアリスの目は、冷たい。
 嫌悪感や憎悪が込められているのではなく、鬱陶しいとさえ思われていない。
 ただ私に関心がないって、それだけなんだ。

「関心がない?」
「……何か言った?」
「いや、なんでもない。今日の所は帰るぜ」

 踵を返して、アリスの家を出る。
 箒に跨って、地面を蹴り、春先の風を身体に浴びたら、直ぐに混交していた思考が纏まり出す。

「関心がない、か」

 そう、アリスは私に“関心”がない。
 他の曜日だってそうだ。
 近づいたり受け入れたりしてくれはするが、絶対にこちらに踏み込まないし、自分たちの事情に踏み込ませなかった。

「そうだ、私はそれが、我慢できなかったんだ」

 一緒に、終わらない夜を戦った。
 地底では、アリスのサポートで旧地獄を飛び回った。
 だったら私たちは、もう――

「――パートナーじゃないか」

 並び立つくせに、自分の顔は見せない。
 私ばっかりが見せているのは、不公平だ。

「よし、待ってろよアリス!絶対に、暴いてやるぜ!」

 そうして私は、決意を新たに家に帰った。
 翌日が月曜日……すなわち、能動的になれない日だと言うことも忘れて。










――†――










 今日までの六日間を振り返って、ため息を吐く。
 そうしているうちに、もう夕方になっていた。
 自分の方を見て貰いたい、だなんて……なんて、その、乙女チックというか。

「いや、そうじゃなくてだな」

 熱を持った頬を風で冷ましながら、アリスの家の側に降り立つ。
 つい最近までは数え切れないほどの人形たちが家事をしていたのに、今は妙に静かだった。

「諦める、なんて」

 そんなのは、きっと私“らしく”ないんだ。
 今まで私は、色んな敵を乗り越えてきた。
 どんなに高い壁でも、努力と気合いで打ち砕いてきた。

「なのに、ここで諦める?冗談じゃないぜ」

 スペルカードも、八卦炉も持った。
 肝心要の気合いは、常時装備だ。
 だったら、ここまで来て尻込みする必要もない!

 外側から、ゆっくりと裏手に回り込む。
 月曜日のアリスが毎日のように行う、魔法のピッキング。
 それを私の目の前でやり続けたのが、アリスの運の尽きだ。

「……えーと…ここが…こうで……こうか?……あー」

 針金と一緒に弱く魔力を流して、解錠していく。
 アリスのように手際よくとはいかないが、それでもなんとか開けることができた。
 なんだか泥棒じみているが……それは、考えないことにする。

「お邪魔するぜー……」

 声を潜めて、ゆっくりと中に入る。
 何度もアリスの家を訪ねたことがあるから、私はアリスの家の構造を把握していた。
 裏口からアリスに気がつかれないように行動するには、アリスが居そうな居間やリビング、それから仕事部屋を避ける必要がある。

「ってなると、寝室か」

 消音の魔法は、使えない。
 魔法使いの家で魔法を使おうものなら、発見されて終わりだ。
 私が八卦炉を使って無理に侵入できなかった理由も、そこにある。

 抜き足差し足で、移動する。
 板張りの床が軋む度に吹き出る冷や汗が廊下にこぼれ落ちないように、心臓の高鳴りが不測の事態で跳ね上がらないように、慎重に進んだ。

「人の気配が無い?いや、油断は禁物だぜ」

 何度も、発見されるかもしれないというスリルに脅かされながら、私はアリスの寝室に忍び込んだ。
 寝室は、一階の端っこ。キッチンの脇を抜けて、まっすぐ歩いた場所にある。

 私が一度も入れて貰ったことがないのは、こことアリスの仕事部屋の二箇所になる。
 一番怪しいのは重要な作業をするときにしか使わないという仕事部屋だが、一番アリスが居そうなのも仕事部屋なのでそちらには行かないようにした。

「ここには流石に、人形があるか」

 人形みたいな服装と、人形みたいな顔立ち。
 だからてっきり乙女チックな内装かと思えば、白いシーツとカーテンの他に無造作に人形が置かれた、質素で無機質な部屋だった。

「まるで、人形の部屋だな」

 ビスクドール、和人形、マトリョーシカ、操り人形、何かの素体。
 統一感なんかないのに無機質な部屋とマッチしていて、ずぅっと眺めていると気分が不安定になってくる。

「いや、今はいいから、手がかりを探さないと」

 頭を振って、ベッドの下や人形の裏側、そして本棚を探っていく。

「面白そうな魔導書が沢山あるな……って、ここでバレる訳には……」

 魔導書を持っていこうか、頭を抱えて真剣に悩む。
 持っていったら、ここに入ったことが確実にバレる。
 言い逃れできない状況で土曜日のアリスでも来られたら、一昨日のようなキノコ雲が私の家で発生する事になりそうだ。

「うぅ、やっぱり止めておくか……って、うん?これは?」

 魔導書のタイトルに指をなぞらせていると、毛色の違う本に当たった。
 黒い革表紙ばかりが立ち並ぶ中、目立つことなくぽつりと置かれた赤い表紙。

「diary……日記、か」

 その本に、言いしれぬ感情を覚えて抜き出す。
 特別な魔力や魔法で施錠されている訳ではない、普通の日記。
 どうしてだかそれを見ておかなくてはならない気がして、私は汗ばんだ手で適当な項をめくった。

 なんの変哲のない、作業記録のような無機質な日記。
 そのある部分で、私は手を止めて、書かれている内容を真剣に眺め始めた。





○月○日 晴/曇

 お母様より、素体をいただいた。
 回路を組めばそれだけで自立するらしい。
 折角なので、研究の足しにしよう。
 利用できるものは何でも利用して身につけないと、たどり着けるかわからない。



○月△日 曇

 ひとまず、私に似せた回路を組んだ。
 結果はまぁ良い。けれどこれでは、私の研究に役立たない。
 他人に関して無関心すぎる。
 客観的に自分を知ることができたのは、いい糧になったが。
 念のため私に比べてどのような変化が現れるのか、経過を見ることにする。
 差し当たっては、この終わらない冬の異変に参加させてみよう。



○月▽日 雨

 折角なので、同様の基盤からどのような変化が現れるのか実験してみる。
 無関心だった回路に、感情の揺れ幅を加えてみることにした。
 実験は成功、と言いたかったが感情が豊かになりすぎて、他者に過剰なほど関心を抱くようになってしまった。
 もう少し、調整する必要があるだろう。



○月□日 雨/曇

 ここ最近、湿気がひどい。
 人形たちが黴びないようにしなければ、と思っていたが、試作一番がやっておいてくれていた。人形にしか興味関心が向かない辺り、本当に私に似ていて面白い。

 三体目には、豊かになりすぎた感情をやや抑えて、反発心を入れてみた。
 だが他者へ強く感情を向ける面が残ってしまったのか、他者との距離を測りかねる性格になった。
 実験としては非常に面白い結果なので、満足だ。引き続き、お隣さんには頑張って貰おう。





「なんだよ、これ」

 所々、嫌な単語が含まれている。
 どうしようもなく躍動し始めた胸を押さえて、それでも私は項をめくる。
 見ない方が良いと私の中の経験が警告を発しているのに、私は手を止めることができなかった。

 まるで、深淵の怪物に覗き込まれているかのように。





○月×日 曇/晴

 漸く、天気が落ち着いてきた。
 魔界なら天候は事前に設定できるのに、幻想郷はつくづく不便だと思う。
 けれど、そうでなければ、魔界で手に入らなかった結果など望めない。

 四体目の素体には、過剰な感情と反発心をほどほどに押さえ込み、母性という生殖を必要とする生物特有の機能を備えてみた。
 結果、落ち着きがあり、周囲の人間によく世話を焼く人格ができた。
 これが母性というものなのか。いずれ子のような人間ができたら襲ってみよう。
 予想外のバイタリティが見られることがあるかもしれない。
 やはりお隣さんには、これまでよりも頑張って貰う必要があるみたいだ。



○月●日 晴

 これで素体も五体目。
 これを使ったらあと二体だ。それまでに、多様化した回路を作らないと。
 流石に、これ以上お母様に素体を求める気は無い。

 母性を入れたのは成功だったが、そのまま方向性が決まってしまうのも面白くない。
 そこで、やはり私には理解しがたい“愛情”という回路を組み込んでみた。
 他者への関心が種族の保存へと繋がるということなのだろう。
 近場に適当なのがいなかったせいか対象はやはりお隣さんだが、データが取りやすいので問題ない。



○月⊿日 晴

 最近、蒸し暑くなってきた。
 魔界の環境は整いすぎていて、変化を求めた研究には向かない。
 というよりも、相性は最悪とすらいえるのだ、これ以上、我が儘は言えない。

 六体目の素体に、着手することにする。
 そろそろ実験を始めて一ヶ月になるのかと思うと、感慨も沸いてきそうだ。
 私の目的は、自立人形の作成にある。完全に自立した人形を見たことがあるのだが、それがどうにも気になってしまったからだ。
 生まれてこの方、初めて自分から興味を持てたことだ。成し遂げたい。

 そこで、六体目の素体には想像力を組み込んでみることにした。
 私にも理解できないような思考にするために、無理に自身の気分を高揚させて、ついでに正常な思考を削るためにアルコールを摂取しながら、回路を作成。
 結果、実験は成功。作った私でも、思考が突飛すぎて考えが読めない性格が植え付けられたようだ。

 正直、ほんの少しだけやり過ぎた、と思った。



△月#日 雨

 久々に雨が降ると、普段よりも気分が良い。
 こんな些細な感情でも、人形制作に役立つことがある。
 最近、私はとみにそう考えるようになった。

 これで、最後の素体になる。
 そこで私は、未知の思考回路になった六体目の回路を参考にしてみた。
 突飛なほどの想像力を僅かに抑えて、余りあるほどの好奇心を組み込む。
 なにを成すにも、必要なのは好奇心だ。これで、欲しいものを自分でどうにかし始めることになるだろう。

 そんな風に考えていたのだが、実際に起動させてみたら、妙に爆弾に関心を持つようになった。他者への感情と爆弾への関心が同程度というのも、どうかと思う。
 是非とも、お隣さんには頑張って欲しい。





 日記を閉じて、額を抑える。
 気がついたら背筋がしっとりと濡れていて、私は自分がひどく汗を掻いていたという事実に苦笑した。

「人格の分割なんかじゃ、ない」

 これで確定した。
 アリスは七人……いや、おそらく“八人”いることになる。
 私は至った事実に目眩を覚えながら、日記帳をしまいこもうと本棚を見た。

「げっ、倒れてる」

 だが、一冊抜いただけなのに、本棚は乱れてしまっていた。
 無造作に本を抜いたのだから仕方がないのだろうが。

「だが、伊達に魔導書に手が伸びかけてた訳じゃないぜ」

 指でなぞった魔導書のタイトルを思い出しながら、日記帳があった場所を探る。
 普段の私だったら適当なところへ差し込んで後日家を爆破されていたことだろうが、今日は普段とは違う。

「ここだ……!」

 緊張によって高められた集中力は、乱れた本棚の中の正確な位置を、私に閃かせた。

――ガコンッ
「うん?」

 と同時に、妙な音が響く。
 ……いや、少し考えればわかったことだ。
 どうやら私は、そうとう混乱していたらしい。
 たった一冊抜いただけじゃ、どこにあったかわからなくなるほど乱れるはずがない、ということに、気がつかないなんて。

「逃げた方が良いか?……いや、待てよ」

 踵を返さずに、音がした本棚を見る。
 すると、程なくして本棚が動き出した。
 どうやら元の場所に正確に戻す、というのは、開閉の鍵だったようだ。
 ……適当に返していたら、どんなトラップが発動していたことか。

「地下階段か……戻るか?いや、ここまできて、逃げてたまるか」

 スライドした本棚の裏。
 そこから伸びる暗い階段に、踏み込んだ。
 触れたことのない妙な質感の壁を伝いながら、ゆっくりと降りていく。
 前も見えない、というのは存外恐ろしいもので、夜間飛行に慣れている私ですら尻込みしてしまう。

――……ッ!……。
「声……灯りか」

 漏れ出す光に気がついて、足音が響かないよう慎重に壁に張り付いた。
 地下の部屋に繋がる扉、そこをそっと覗き込む。

「あー、もう。全然ダメね。お母様レベルの素体とは言わないから、足がかりくらいは欲しいわね」

 幼い声だ。
 あの日、魔界に乗り込んだときに聞いた声。
 幼いはずなのに、どこか老成した魔女のような、平坦な声だ。

「上海、蓬莱、データを」

 ここ最近見ていなかった、アリスのお気に入りの人形が飛んで来た。
 その手には沢山の資料が抱えられていて、どこか危なっかしい。
 私は人形に資料を手渡された人物の全貌を視界に納めようと、身を乗り出した。

「良い子ね。ありがとう」

 青いスカート、白いシャツ、青いリボン。
 背の低い、幼い顔立ちの少女の姿を、私ははっきりと覚えていた。

「やっぱり、そうか」

 漏れ出た言葉に、驚愕はなかった。
 そりゃあ少しは驚いたが、あの日記を読んだ後なら、誰でも想像が付くだろう。
 魔界で出会ったときから何一つとして変わらない――死の少女、アリスの姿がそこにあった。

 判明したんなら、長居するのは命取りだ。
 そう判断して今度こそ踵を返すが……どうやら、気が抜けたらしい。

「っ」
――カツン
「誰!?」

 足音がたち、気がつかれる。
 慌てて逃げようとしたが、私の身体に深く食い込んだ魔法の糸が、それを許さなかった。
 一昨日のように、私は部屋に引きずり込まれる。くそっ、迂闊だったか……。

「くっ、まず……」

 ああ、畜生ッ!
 こんなところであっさり捕まるなんて、間抜けにもほどがある。
 そう私は、抑え込まれて片膝を着いた私と、同程度の身長のアリスを見て、内心で毒づいた。

「って、魔理沙?」
「よう、アリス」

 諦めた訳じゃない。
 だが、どうすればいいか思い浮かばず、結局出て来たのは間抜けな挨拶だった。

「ここに貴女が居るって事は……そう、気がついたのね」
「ひとを散々実験対象にしてくれたみたいじゃないか」
「睨まないで。仕方が無いじゃない、貴女か霊夢かだったら、貴女の方が良いデータになるんだもの」

 精一杯の気迫を込めて睨むと、アリスはただ肩を竦めて見せた。
 きっと私がスタイリッシュに糸から抜け出しても、アリスは動じたりしないだろう。

「霊夢じゃ、ダメだった?」
「ええ、だってあの子、私が七人いても七十人いても、変わらず接してくると思うわよ。あの子、他人に興味なんか無いもの」

 全てから浮いた、博麗の巫女。
 私のライバルである博麗霊夢は、確かにそんなヤツだ。
 だが、アリスに言えた事じゃないと思う。

「あら?魔理沙っ!?」
「こ、この声の感じは……」

 そこで私は初めて、周囲を見回した。
 人形たちが並んだショーケース。
 その奥には、人間が入れるサイズのものが七つも並んでいた。
 どれも今は空で、それが嫌な予感を膨らませる。

「嬉しい、私に会いに来てくれたのね!くふっ」
「ああ、そういえばこの子たちの記憶の同期を試していてね。調整中だったのよ」

 上目遣いという名の三白眼、三白眼という名の白目。
 月曜日のアリスが、くつくつと笑いながらにじり寄る。

「おお、おいアリス!この糸とい……」
「魔理沙、逃げようなんて、思わないわよね?」
「ひっ」

 思わず変な声が出てしまい、頬が熱くなる。
 幼いアリスは、そんな私を見ることなく、ブツブツと何かを呟いていた。
 考え事でもしているのだろうが……この状況はまずい!

「さぁ魔理沙、二人だけで素敵な素敵な愛の世界へ――」
「――ちょっとアンタ!なにやってるのよ!」

 窮地に立たされた私を救ったのは、火曜日のツンデレアリスだった。
 火曜日のアリスはそのまま月曜日のアリスに掴みかかり、私から離してくれる。
 おお、火曜日のアリスが輝いて見えるぜ。

「魔理沙は私に会いに来たのよ!邪魔しないで!」
「あ、アンタに会いに来るはずがないでしょう!?」
「そうよ、魔理沙は私に会いに来てくれたの。ね?魔理沙」

 いつの間にか、木曜日のアリスも加わっていた。
 同じ顔に同じ服装のアリスが、三人。実にわかりづらい。

「こら、魔理沙が戸惑っているでしょう!大丈夫?魔理沙」
「ああ、アリス……」

 そんな三人を諫めてくれたのは、水曜日のアリスだった。
 嬉しいことは嬉しいが、先にこの糸を何とかして欲しい。

「糸で自主的操り人形?なんて都会派っ」
「いいえ、アレは導火線よ。私には見えるわ」
「――貴女たち、どうでもいいから状況を進めなさい」

 金曜日の天然アリス、土曜日の爆発アリス。
 そこへ日曜日のアリスが面倒くさそうに加わって、この場に七人のアリスが勢揃いした。

「やはり主軸となる人物を据えた方が良い研究に――」
「――なぁアリス、私をどうする気だ?」

 私が問いかけると、アリスは私を一瞥した。
 日曜日のアリスが私に見せる――ガラス玉のような無機質な目で。

「どうもしないわ。スペルカードルールを破って霊夢に退治されたくないもの」

 最初から、どうこうする気なんかなかった。
 アリスはそう言うと、あっさりと私を解放した。
 そして、無邪気で無機質な笑顔を浮かべ、私に語りかける。

「それに貴女は、私の数少ない“お友達”だもの。今までどおり接してくれればそれでいいわ。侵入に対するペナルティーなんて、貴女に課したくはないもの」

 強い口調ではない。
 しかしこれは、立派な脅迫だ。
 だが私は、そうと知りながらも、立ち上がって笑みを浮かべる。

「協力してくれって事か?アリスの実験に」
「ええそうよ、モニタリングしてくれるのなら、それで充分よ」
「いいぜ……やってやるよ」

 他者を……いや、きっと自分自身すらも平坦に見ているアリス。
 その在り方は、なるほど霊夢に似ていた。
 だがだからこそ、私のやる気は途切れない。

「あら?ずいぶんやる気ね」
「なに、その技術、全部盗んでやろうと思ったのさ」

 路傍の石を見るような目で私を見るのなら、思わず手に取ってしまうような黄金になれば良い。
 鍛えて、実力をつけて、それから挑んでやればいい。

「ふふっ、いいわね、それ」

 アリスはそう、初めて年相応に無邪気な微笑みを見せた。

「楽しみにしてるわ、魔理沙♪」
「吠え面かかせてやるから、せいぜい覚えておくんだな」

 精一杯の強がりも、笑顔で流してみせる。
 アリスはきっと、この態度を崩したりはしない。
 だがそれは、私がこのままアリスの関心を引けないまま終わった場合に限られる。

「もう、だったら魔理沙に選んで貰いましょう!それで満足よね?!」
「いいわよ!でも、アンタだけは選ばれないんだから」
「他の誰でも無駄よ。ね、魔理沙」

 三人の気迫に押されて、後ずさる。
 そんな私を助けようと立ちふさがる水曜日のアリスには、つくづく頭が下がるぜ……。

「なぁ、わかりづらいんだが?」
「そうねぇ。ま、なにか区別できる方法でも考えておくわ」
「そうしてくれ」

 言いながら、箒に跨る。
 他のアリスたちが気がついた頃には、もう遅い。

「私は行くぜ……またな、アリス!」
「ええ、貴女がどの程度まで成長するのか、楽しみにしているわ。魔理沙」

 アリスの言葉を耳に残し、飛翔する。
 隠し階段を抜け、窓を割って飛び出し、全速力で青い空に身体を乗せた。

「負けるかよ……アリス」

 零れ出た声が、風に乗ってかき消える。
 その頃には既に、アリスの家は見えなくなっていた。





 これから先、私は様々な非常識に直面することになる。
 その度に、アリスと関わり、気負いすることになるのだが、この時胸のわだかまりを取り払った私はそのことに思い至ることは無かった。

 好きなときに現れるようになった、アリスたち。
 彼女たちに私は振り回されるのは、現時点でも目に見えている。
 だけど私はそれすらも、乗り越えて行くと決めたんだ。

 私の苦悩、非常識な日常。
 今回の事はその序章に過ぎなかったと気がつかされるのは、また別の話だ。





 今日までの日々が、私にとって本当に迷惑で――
 ――そしてほんの少しだけ愉快な日常の、始まりだった。




――了――
 私は、水曜日が好きです。


 初めまして、若しくはお久しぶりです。
 折角数話分のプロットを構成したので、加筆修正の後投稿させていただきました。
 お楽しみいただけましたでしょうか。

 当初の予定よりもずいぶんと長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
 次回は間を開けてしまうことになりそうですが、再びお会いできましたら幸いです。


 それでは次話、“霧雨魔理沙は見たくない ~図書館司書の秘密のアレ~”でお会いしましょう。

 2011/05/14
 誤字修正しました。ご指摘のほど、ありがとうございました。
 拾ってどうする……。

 沢山のご感想ご評価のほど、ありがとうございます!
 コメント返しは、また後ほど行います。

 2011/06/01
 誤字修正と、一部僅かに加筆しました。
I・B
http://www.pixiv.net/member.php?id=1354719
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コメント



0.4370簡易評価
1.100奇声を発する程度の能力削除
うおおお!!こっちに投稿して頂きありがとう御座います!!
朗報好々爺で読んだとき凄い面白いなと思っていたのでマジで嬉しいです
私も水曜日のアリスが好きだなぁ
2.100名前が無い程度の能力削除
おお、まさかこっちで見れるとは!
自分はあえて金曜の天然アリスでw
3.100名前が無い程度の能力削除
あれ見てからこっちでも投稿してもらえないかと思ってました!
本当にありがとうございます
自分は水曜日のアリスがいいですね
4.100名前が無い程度の能力削除
火曜日のツンデレアリスいいな!!
9.100名前が無い程度の能力削除
水曜日も確かに良いが、月曜日のヤンデレアリスも悪くないな…
いや、ネタで無しに(笑)
10.100名前が無い程度の能力削除
水曜日と金曜日と日曜日と本物が欲しい
11.100愚迂多良童子削除
なるほど。多重人格に見せかけてクローンだったとは。
やられた。続き楽しみにしてます。

>>拾虫
捨虫
>>もう行けなきゃならないの
行かなきゃ
12.100名前が無い程度の能力削除
水曜アリスいいね。いいよ。
15.100名前が無い程度の能力削除
俺は、ロリスが好きだ
17.100名前が無い程度の能力削除
面白いな~
21.100名前が無い程度の能力削除
木曜の素直クールアリスも捨てがたい。
22.100名前が無い程度の能力削除
みんないらないようなので土曜日のアリスは貰っていきますね。
23.100名前が無い程度の能力削除
つまり、皆が想像する『アリス』像は、この7パターンのいずれかに大別される、という事か…。

あ、私は金曜日でお願いしますねw
31.50名前が無い程度の能力削除
面白いけどなんか寂しい話だな
33.100名前が無い程度の能力削除
アリスの種類は曜日の数と同じだと思い込んでいただけに、8番目のアリスが登場した時は思わず唸ってしまいました。
素晴らしい作品ありがとうございました。
40.100名前が無い程度の能力削除
なるほど。旧作との溝が埋まりましたね。
ところで、七体もいることですし、一体アリス人形をいただけないでしょうか?
48.100名前が無い程度の能力削除
なるほど、どれも『アリスならありえる』と思える性格……全員好きだー。でもイチ押しは木曜アリス。
金、土コンビはほんまぐろさんのアリスっぽかったなww

正体はロリスが制作したアリス・マーガトロイドという展開も新鮮で良かったです。
50.100名前が無い程度の能力削除
土曜日アリスが魅力的すぎる。ぜひ振り回して欲しいです。
51.50名前が無い程度の能力削除
木曜一択だろ常考。七色をこう解釈するのは面白いなぁと思いました。
65.無評価I・B@コメント返し削除
 沢山のご感想のほど、ありがとうございました!
 長らくかかってしまいましたが、コメント返しをしたいと思います。

1・奇声を発する程度の能力氏
 朗報好々爺と引き続き、ご感想ありがとうございます。
 やはりもう一度推敲し続きを書きたいという思いがあり、投稿させていただきました。
 お姉さんアリスには、胸がときめきます。

2・名前が無い程度の能力氏
 金曜日のアリスは、書いていて非常に楽しいです。
 溢れ出る想像力が彼女の原動力ならば、私も想像力を働かせねば追いつけなくなってしまいます。

3・名前が無い程度の能力氏
 もっとアリスを書きたい、と思いこちらにも。
 向こうも見ていただいたようで、ありがとうございます。
 やはりお姉さんは素晴らしいと思います。姉萌えです。

4・名前が無い程度の能力氏
 火曜日ですか。
 彼女はZUN氏監修の書籍文花帖のおまけアンソロジーに登場できるほどの強者ですからね。おそらく、一番知名度が高いのではないでしょうか。

9・名前が無い程度の能力氏
 月曜日は、とても一途な女の子です。一途すぎて、魔理沙さんは胃が痛くなります。
 火曜日に次いで高い知名度を有したアリスですね。

10・名前が無い程度の能力氏
 水曜日は、手間のかかる人だったら割と相手にしてくれるかも知れません。母性的な意味なので、幼さという要素が必要になりますが。日曜と本物は魔理沙さんでも攻略がルナティックで、金曜日は別の次元の思考を持ってくる必要がありそうです。

11・愚迂多良童子氏
 誤字報告のほど、ありがとうございました。拾ってはだめですね。
 最初は「七色の人形遣いの八」にするつもりだったのですが、ミスリード風に変更させていただきました。お楽しみいただけましたようで、なによりです。

12・名前が無い程度の能力氏
 水曜日の人気は、やはり凄いですね。私も大好きです。

15・名前が無い程度の能力氏
 ロリスさんは、みんなとひと味違います。人形ハーレム付きです。
 子供っぽい好奇心と老成し達観した思考。どきどきしますね。いいえ私は姉萌えです。

17・名前が無い程度の能力氏
 ありがとうございます。お楽しみいただけましたようで、何よりです。

21・名前が無い程度の能力氏
 近所の優しくて綺麗なお姉さん、が惚れてくれると木曜日さんみたいになります。
 年上萌えですね。わかります。

22・名前が無い程度の能力氏
 土曜日のアリスさんとはお目が高い。アルフレッド先生人形を作成すれば、きっと良い笑顔を見せてくれるでしょう。爆音付きで。

23・名前が無い程度の能力氏
 この七パターン以外にも、総受けアリスやネガティブアリスがいるような気がしますが、話の設定上気のせいと言うことで。私は、七パターンに大別してみました。

31・名前が無い程度の能力氏
 魔理沙は未だ追いつけず、アリスは他者へ関心を向けていない。
 そんな状況ですが、魔理沙が諦めず進んでいけば状況は打ち砕けるような気がします。
 彼女も色々な捉えた方があるように思えますが、私の中の魔理沙像は“王道主人公”なので。

33・名前が無い程度の能力氏
 いえいえ、こたらこそ、ご感想のほどありがとうございました。
 アリスは全部で一足す七体ということでミスリード風に進めていたので、そう思っていただき幸いです。

40・名前が無い程度の能力氏
 なんであんなに大きくなったの?は、考えていて面白いですね。
 アリス人形をゲットするには、まずは魔法の森に暮らす必要があります。その上で魔理沙とライバル関係を築けるような実力と豊かな感情があれば、“研究”の協力者になれるかもしれません。魔法の森の障気に耐えねばなりませんが。

48・名前が無い程度の能力氏
 ほんまぐろ氏のアリスは、私も大好きです。今回の性格付けは“研究日誌”から先に考えていたので、二人揃ったのは半ば偶然だったりしますが。
 そして、姉萌えですね。わかります。

50・名前が無い程度の能力氏
 土曜日のアリスは、振り回されるだけでは済みません。爆破されます。芸術の発展段階には破壊があります。芸術そのものにせよ、文明にせよ。そんな訳で、土曜アリスの好奇心には破壊がつきまといます。あれ?

51・名前が無い程度の能力氏
 なにが七色なんだろう、と考えた際、やはり人形かな?と思いました。
 それもこのような解釈にした理由としてあるのですが、やはり多くのアリスを書きたかったという欲求も、少なからずあったように思えます。
 そして、姉萌えですね。わかりま(ry



 次話からも、基本一話完結型でぬるぬると続きを書けたら、と考えています。
 王道主人公ポジションの魔理沙と、ひねくれライバルポジションのアリス。
 二人の行く末をもう少し皆さんにお見せできるよう、彼女たちに話を強請ってきます。

 それではまた次話、紅魔館編でお会いできましたら、幸いです。
67.100名前が無い程度の能力削除
水曜アリスが一番いいな
73.90勿忘草削除
ノーベルが発明したのは原爆でないことに誰も突っ込まない件
個人的には火曜日のアリスが好きです。
74.無評価I・B@コメント返し削除
67・名前が無い程度の能力氏
 水曜日アリスは、私もお気に入りです。
 そして、書いていて妙に楽しいのが土曜日アリスと金曜日アリスですw

68・勿忘草氏
 火曜日アリスは、私の中では猫耳のイメージです。こう、懐きそうな。
 アルフレッド先生の爆発はキノコ雲を生まない……的な回想を入れたのですが、解りづらいですね……。
 ちょっと、時間が取れたときにでもその辺りの補足を強化したいと思います。ご指摘、ありがとうございました。

 ご感想、ありがとうございます!
 それではまた、お会いしましょう!
76.90名前が無い程度の能力削除
面白かったです
ほどほどの長さでテンポも良く読みやすい
七曜で七色だから七人の多重人格と見せ掛けて別人ってのも上手かった
81.80名前が無い程度の能力削除
ネタは普通。でも見せ方がとても面白い。
そして引き方がまたニクい。いやが上でも続きが読みたくなる。

まあ生意気なコメントはさておき、私は金曜日一択です。
85.90名前が無い程度の能力削除
日曜アリスとロリス見てると寂しい気もしてくる。他のアリスが賑やかだからだろうか。
魔理沙には頑張って欲しいところだ。
というわけで私は日曜派。
91.80桜田ぴよこ削除
面白かった
93.100名前が無い程度の能力削除
面白かったです。
頑張れー魔理沙ー
95.100名前が無い程度の能力削除
面白かったです。
99.80名前が無い程度の能力削除
面白い。
105.80名前が無い程度の能力削除
七人七色の人形遣いとは余増の斜め上をいってくれましたね。
でも能動系常識人のツッコミアリスがいないのはちとさびしい気も。まあ、魔理沙がその役割を果たしていますが。
とりあえずGJ
108.100名前が無い程度の能力削除
8人目……というか本体が居たのは予想外でしたね。
完全に日曜日が本体だと思い込んでいました。

さて、水曜日に遊びに行くか(
112.90名無しな程度の能力削除
なんという発想
ヤンデレアリス怖ぇぇぇ! 私は火曜のアリスがいいなぁ
113.100S.Kawamura削除
七色かぁ…。この発想には驚きました。着想もすごいし、それをきちっと綺麗に物語にしているのがすごいです。
117.100名前が無い程度の能力削除
僕は水曜日が好きですね。思いっきり甘えたい。
面白かったです
124.100名前が無い程度の能力削除
私は金曜日一択で。
面白かったです。
127.無評価スポルト削除
これが半自立人形か。水曜日のアリスかわいい
131.100名前が無い程度の能力削除
とても面白かったです
133.100名前が無い程度の能力削除
七色の解釈が興味深くておもしろかったです。ここまで精巧なクローンを作れるあたりやっぱアリスはすげぇよ……
水曜日に甘えて土曜日と仲良く遊びたい