Coolier - 新生・東方創想話

ココロを読むキカイ

2011/04/21 18:59:45
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紅魔館の中の図書館にて、3人の少女が向かい合っていた。

一人が口を開いた。
「さて、もう何回目になるか分からないけど、対魔理沙・本を取り戻せ会議を始めるわよ。」

別の一人が紅茶を注ぎながら言った。
「ずいぶんと久しぶりの開催ですね、なにかいいアイデアでも浮かんだんですか?」

「ん、まあね。」
「ロクでもない計画でもいいですが、紅魔館を壊すようなことはやめてくださいね。」
「少しは私に期待しなさいよ。」
「パチュリー様、今一度いままでの計画の内容とその成果を思い出してみてください。」
「魔女は過去を振り返らないのよ。」

その時、いままで一言も話していなかった少女が会話に加わった。
「へぇ、いままでの計画とやらを今度聞いてみたいね。」
「今までの素晴らしいプロジェクトの軌跡は、映画が出来るほど壮大な物よ。」
「ジャンルはギャグですがね。ところで、なんでこんなところに河童がいるんですか?」



     作戦会議 START

「今回の作戦は彼女の機械を活用するわ。」
「なるほど、爆発オチですね。」
ずっこける河童、残念ながら帽子まではずっこけなかった。

「ひどっ、ちょっとぐらい私を信用してもいいじゃないか。」
「毒舌乱射マシン・咲夜E-5タイプのことはほっといて、論より証拠、現物を見せてくれるかしら。」
「私は量産型かなにかですか。」
「ちなみに、A-1タイプからR-18タイプまで私の頭の中に存在するわ。あ、あと咲夜紅茶おかわり。」
エロい意味ではない。あしからず。

「よっこらせ、ほら、これが注文の品だね。」
「あら、小さいわね。」
「当然さ、だってこいつを魔理沙に取り付けるんだろう?」
「ちょっと二人だけで突き進まないで、そろそろ私にも作戦の概要を教えてくれませんか。」
「えー、どーしよっかなー、おしえよっかなー。」
「私は仕事があるのでこれで失礼します。」
「あ、ゴメン咲夜、教えるから、貴方には紅茶支給マシン・咲夜G-11としての役目があるんだから、いかないでー。」

再び咲夜が着席、やっと会議らしくなりそうである。
「まず、この作戦が思い立った訳を説明するわね。咲夜もう一杯紅茶頂戴。あとお菓子も追加。」
「あなたは金持ちの友人宅に上り込んできた小学生ですか。お腹こわしますよ。」
「魔理沙の様子をみるとね、私の警告を心から聞いてないような気がするのよ。」
「いつものことですね。」
合わせて頷くにとり。

「でもね、魔理沙はホントは打たれると弱い少女だということを私は知っているわ。」
「…つっこみませんよ?」
「さっきの一言は本気よ。」
「常に本気で発言してください。日頃の行いは大切ですよ。」
「だからね、本気で脅かせば魔理沙も折れると思うのよね。」
「といって魔理沙を半殺しにしようとしたら、それを見かけた妹様に反撃されて、おかげで館が半壊したのが2ヵ月前のことですが。」
「今回はそんな強行手段じゃないわ。とにかく話を聞きなさい。それと紅茶おかわり。」
「自分でやってください。」


「次に、この機械について説明するね。」
「聞いて驚きなさい、これはね、人の心を読む機会なのよ!」
「え!」
「まずこれを頭に取り付けてね、ポチットな。」
「…何も起こりませんが。」
「当然さ、だってこれは…










…心を読む機械じゃないんだからね!」

ざわめく観衆たち…はなどはいない。司書の小悪魔が咳を一つしただけである。

「む、あなた嘘つきだったのね。」
「私は嘘は言ってないよ、勝手にそっちの魔女が話を進めただけだからね。」

そっぽをむくパチュリー。

「じゃあこれは何なんです?頭の重しか何かですか。」
「確かにそれを着けて腹筋したらきつそうね。漬物石ほどではないけど。あと紅茶頂戴。」
「あんたはこれを着けなくても腹筋をしないほうがいいと思うよ。それじゃ、説明するね…」


 ―― この機械は一方通行な電話のようなものさ
    こっちにあるリモコンで打ち込んだ言葉が、そちらに受信される。
    ただ、受信側は、その言葉を耳でなくて直接その装置から脳で受け取るしくみになってるのさ。


「これ、機械が故障して、その影響で頭が狂ったり、記憶がなくなったりしませんかね。」
「大丈夫だから、私だって自分の体張って試運転とかしたんだから、少しはエンジニアを信用してよ。あと話を遮るな。」


 ―― さて、このリモコンで、例えばこんな言葉を打ち込んだら、
    そっちはどんなふうに感じるかな?




(おいこら惰メイド、いいかげんに茶を注げや。)


「!!」
咲夜はパチュリーのほうに振り向いた。

「私は何も言ってないわよ。だからそのナイフを構えるのをやめなさい。」
「な、こうやって使うと、この機械が心を読む機械っぽく思えるだろう?」
「はあ、凄いですね。で、これをどう使うんですか?」


「さっき私は言ったわ。『魔理沙は私の警告を心から聞いてないような気がする』って。」
(いいからおかわりよこせって言ってんのよ、あなたの脳みその処理速度は亀並みなのかしら?)

ヒュー   ガスッ!

「そのツインテールをサイドテールにされたくなかったらふざけるのをやめなさい、河童さん?」
「…ひ、ひゅい!」
「返事は、はい、よ。妖精メイドでも出来ることよ。」
「はい!分かりましたから、ナイフ戻して!しまって!」


「続けるわよ。だからね、私の警告を魔理沙の心へダイレクトアタックさせようっていうのがこの作戦の魂胆。」
「そこで、私がこの機械を魔理沙に取り付ける。そしてパチュリーに会ったとき、先ほどぐらいの毒舌で脅してやれば魔理沙も怯えるだろうってこと。
 向こうはこれがホントの本心だと思い込むだろうからね。」
「それで本当に魔理沙が怯えるのかしら。」
分かってないなぁと言いたげな顔で指をふるパチュリー
「人生の先輩が一ついいことを教えてあげるわ。咲夜、ああいうタイプの人間ほど人に嫌われることを恐れるのよ。だから本音というのには敏感なのよ。」


「そこでね、咲夜に協力してほしいことがいくつかあるの。」
「魔理沙がココに来るまでに、この機械が心を読む機械だと実証してほしいんだ。」
「具体的にはどうすれば?」
「廊下かどっかで魔理沙と会って、そのときに適当な言葉を送ればいいよ。」
「それと、魔理沙が紅魔館にいない時は、ここにいるのよ。」
「と、いいますと?」
「この装置を付けた魔理沙がどっかでばったり誰かに会うかもしれないから、その時のフォロー役。」
「カメラとマイク機能がついているから、状況はばっちりわかるよ。」


説明を終えて、一息つく少女達。
「今までの作戦に比べるとだいぶ計画的ですね。」
「ええ、この作戦ならいける気がするわ!私たちが団結すれば魔理沙なんてチョチョイのチョイよ。」
「それは失敗フラグですよ。」
「ならこう言おうかね、いいか、皆、これが魔理沙に立ち向かえる最後のチャンスだよ!」
「それはアクシデント多発の後なんとか成功フラグかしらね。」


日は暮れ、にとりは住処へと帰った。
作戦決行の日は、魔理沙がにとりの家に遊びに来た日ということになった。





次の日、魔理沙が動いた。

魔理沙はまず博霊神社に行き、そこで煎餅をたべつつ茶を飲みつつ過ごした。
その後、家に帰った。
















        【現実は思い通りにならないものである。】














例の作戦会議から一週間後にあたる日のことである。

(ここからは魔理沙視点でお送りいたします。読者と作品の境界を埋める、ユカリ解説(有)がお送りしましたミ☆)




私はふと閃いた。
(にとりのやつ、何か面白い発明品を完成させてたりしてないかなぁ。)
思い立ったが吉日、スケジュールはパワーだぜとにとりの家に突撃した。


にとりの家は相変わらず汚い。ここなら以前の私の家と競える。何でという話だが。
「おーい、にとりー!いるかー!?」
「くじらー!」
「お前は何を言ってるんだ。」
「よう魔理沙、何しに来たんだい?」
「にとりのことだから、そろそろ面白いモン作ってないかなーと思って。」
「魔理沙のことだから、そろそろ来ると思ったよ。」
お、カンは外れていない、よかった。以前『何もないよー。』と返されたときは非常に居づらかったことがあったからな。

「ほいさっと。」
にとりは八卦炉より一回り大きい大きさの機械を取り出した。
「ん、なんだその機械は。」
「ふふふ、聞いて驚けよ。こいつはな、人の心を読むことができる機械なんだよ!」
「…ふーん。」
「あ、信じてないね。」
「いや、にとりの発明はメンタル的なものは大抵失敗するからなあ」
物理的な機械、例えば光学迷彩とかはハズレがないんだがな。





(≪≫は図書館にいる咲夜やパチュリーのセリフです。読者と…えーと、何だっけ、まあいいわ、とにかくお送りしましたミ★)


≪わあ、魔理沙が映ってますね。会話もばっちし。≫
≪ちょっとにとり、もうちょっとその機械を魔理沙の足元のほうに寄せなさいよ!至高のローアングルなのに!≫
≪あいかわらず何やってるんですか。≫



「まあまあ、しばらく貸してあげるから、試してみてよ。」
「使い方を教えてくれよ。」
「まず、こいつを頭に取り付けるんだ。そうしたら半径5M以内にいる人の心の声が勝手に頭の中に入ってくる仕掛けさ。
あと、この機械のことは誰にもばらしたらだめだよ。それと、私相手に使わないでね。恥ずかしいから。」
「ほうほう、まあ物は試しだぜ。それじゃ借りてくぜ~。」
「ちょっと待って、代わりと言っては何だが、お使いを頼みたい。この本を紅い館の図書館に返してくれないか。」
へー、にとりもあの図書館から本を借りてたのか。どれどれ、題名は…うわあ、頭痛が起きそうな本だぜ。
「あいよー。じゃあな!」
「いつかその機械もちゃんと返してよ~。」

さて、さっそく付けてみるとするか。どれ、なんか洗脳されそうな気分だな。あと、頭の上に機械がのっかってるのはビジュアル的に残念だ。
なんか恥ずかしい格好だな、こいつは帽子で隠すことにしよう。お、すっぽりはまった。


≪あ。≫
≪あ。≫
≪真っ暗ね。≫
≪きっとさっきのパチュリー様の変態的煩悩への天罰でしょう。≫
≪いやいや、これは冗談抜きできつい状況だわ。音声でしか状況がわからない。≫
≪…確かに大変なことになりそうですね。≫


えーと、図書館にこの本を届けるんだっけな。たしか前パチュリーから借りてた本がすべて読み終えてたから、丁度いい。私もついでに数冊借りていくとするか。


≪…やって来るわね。≫
≪少し用が出来たので抜けますね。≫
≪え、ちょっと、どこいくのー。おいてかないでー。≫


チルノに問題を出して、苦戦しているときの心とか読んだらおもしろそうだと思ったが、いなかったぜ。
というか妖精一匹もいねえ。珍しいことだ。


≪誰にも会わないなんて運がいいわ。≫
≪何事にも下準備が大切なのですよ。≫
≪あら、おかえり。下準備って?≫
≪まず、作戦会議の日に妖精たちをお菓子でつってしばらく住処を移してもらったりしました。≫
≪最近妖精メイドが多いと思ったら…≫


結局誰も見かけずに紅魔館まで来てしまったぜ。
「それじゃ、いつものマスター…っておや?」
美鈴の奴寝てるな。なんとまあ、アホ面晒しているな。
さあて、目の前に寝ている奴がいたら悪戯心が湧くのは人間の心理だぜ。どれどれ、試しに心を読んでみるか。

(                    )

ちきしょう。夢すら見ずに熟睡かよ。いいご身分なこった。


≪もしかして、さっきどっか行ったのって…≫
≪ええ、美鈴に寝るように頼んだのと、あとメイドたちを全員宿舎へ帰しました。美鈴思いっきり喜んでました。≫
≪でしょうね。≫
≪あら、何故かレーザーの音が。≫
≪いつものことね。≫
≪さて、そろそろ私の出撃ですね。≫


うさ晴らしも済ませたので、図書館へレッツゴーだぜ。
今日は運よく誰とも会わずに…とは行かなかった。
「よう、お久しぶりだな。」
「あら、今日も図書館荒らしに来たの?」
「ああ、本を借りに来たぜ。」
「ほどほどにしときなさいよ。そのうちパチュリー様がキレるかもよ。」

お、そうだ。この機械を使ってみよう。咲夜の心の中か、面白くなさそうだが、大穴かもしれん。
「あと、小悪魔たちを殲滅しようとするのもやめなさい。再召喚が面倒だって言ってたから。」
(えーと、お嬢様はまだ寝てる、窓は東館は終わった、西館は妖精メイドを使えばいいわね。今日はモップはしなくていいか…)
ハイ予想通りー。つまんねーやつだ。
「そういえば今日は妖精メイドを見かけないが…」
「ん、今日パーティーをちょっとね、それの準備。」
(うわ、来るな。ホント来ないで。絶対に奴が来ないで下さい神様。)
…ひどい。さすがの私もこれは泣きそうになる。
「それじゃ、私はまだ仕事があるから。」
あ、消えた。

一応にとりの機械はちゃんと動いているようだな。それにしても、なんというか、心を抉られた感じだ。
さとりっていつもこんなトラウマな目に遭っているのか。そりゃ地下に逃げるわけだ。


≪あら、お帰り。どうだった?≫
≪可愛いですね。ちょっと虐めたら、涙目になってましたよ。≫
≪あまり虐めないことよ。≫
≪なにを今さら、今回の作戦は彼女をいかに虐めるかってことでしょう?≫
≪まあね。はやく涙目で拗ねる魔理沙が見たいわ~。≫


何だか今日は不吉な予感がするぜ。今日は借りてく本は10冊程度にしとこう。
「おーい、パチュリー、いるのかー。」
「何よ、また来たの?」
(何よ、また来たの?)
おや、スイッチ入ったままだったのか。というかパチュリーの心はそのまんまだな。
「ああ、本を借りにきたぜ。」
「また?いい加減にしなさい。」
(調子に乗ってんじゃないわよ、小娘の分際で。)
「なあに、ちょっとの間だけ…え」


パチュリー…黒い奴だったとは。だが、これくらいでめげる魔理沙さんじゃないぜ。
「ま、どうせお前ら妖怪にとっちゃ…」
「どうせ人間の寿命は云々って話はもう聞き飽きたわ。」
(次魔理沙が本を一冊でも盗んだらその時は ## 読者の心を守るゆかりんフィルターによって削除されました ## な目にあわせてやろうかしら。)


「ヒッ!」
ヤバイヤバイ。思わず尻餅をつく。え、ちょっと、パチュリーってこんな酷いこと考えている奴だったの?


「ん、どうしたの?そんな所で座り込んで。」
(ふん、## R-18だからスキマ送りよ ## にしてやってもいいわね。
 むしろ ## R-18とかいってもグロなほうよ ## とか。キャハ、楽しいわね。
 最後には ## エロいほうのR-18だったら真っ赤な魔理沙が見れたりとまた別のお楽しみがあったんだけどね ## してやりましょ。
 確か倉庫に中世のやつの特注の道具が残ってたはずよね…。ずいぶんと使ってなかったからねぇ。)


「ハ、ハハハ…」
「大丈夫?体が震えているわよ。」
お、お前のせいだ!
死ぬ。このままでは殺される…。何か機嫌を良くするようなもの持ってなかったか…そうだ!

「パパパパチュリー、こここれ!」
「あら、にとりが借りてた本ね。届けてくれたの?」
(…私の名前はそんな変なやつじゃないわよ。)

今の隙に、逃げなきゃ!
「それじゃっ!」
「あれ、本は借りていかないのかしら。」
誰が借りるか。というかもう図書館に行けない…怖い。




≪ちょっとやり過ぎたかしら。≫
≪すごい怯えっぷりでしたね。あれは相当なトラウマになっていることでしょう。≫
≪あー、文字の打ち過ぎで指が付かれたわー。≫
≪さて、これで魔理沙が本を返してくれればいいんですけどね。≫
≪あ。≫
≪どうしました?≫
≪イジメに夢中になって、本返せって脅すのを忘れた。≫
≪…それじゃあ、今のはただ魔理沙の心にトラウマを植え付けただけということになりますね。≫
≪ええ。≫


箒を持つ手が震える。あれがパチュリーの本性なのか…。魔女ってこわい。
これからあいつにどんな顔して会えばいいのだろう。というか顔見るだけで条件反射で涙が出てきそう。

心を癒しに神社でも寄ろう。霊夢は頭が春だから、あんなことは思ってないだろうし。


≪…なんも声が聞こえないわね。≫
≪きっと今家に帰っているんですよ。あんなことがあったから、もしかしたらそのまま家から出てこないかもしれませんね。≫
≪それじゃ、今は魔理沙を監視する必要もないのね。一休みしましょう。≫
≪というよりも、時間が時間なので、そろそろ食事にしましょうか。≫
≪いいわね。あ~、それにしても疲れたわー。≫
≪私は先に準備しに行くんで、食堂のほうに行って待っててくださいね。≫



「おーい、霊夢、いるかー!」
「あら、いらっしゃい。で、今日の手土産は?」
「あー、スマン。今日は手ぶらだから賽銭で我慢してくれ。」

さーて霊夢の心の中はどうだ…。

(              )

あれ?あいつ、起きてるよな?

「どうしたのよ。そんなとこで突っ立ってないで、お茶注いでよ。」
(                              )

ん??機械の故障か?

「おーい、魔理沙さーん。意識あるー?」
(                  )

も、もしかして…。これが、無我の境地というやつなのか!?
こいつは常に何も考えずに行動しているということか!
だがしかし、その本質は地霊殿のこいしの無意識とは違って、巫女のカンと経験に従っている。
だから動きが自然で、私たちが気が付かないんだ!
なるほど、霊夢の強さの理由が分かったぜ…。


「どうしたの、魔理沙?本当に大丈夫?」
「い、いや、何でもないんだぜ。」

ここにいても、己の弱さを実感させられるだけだ。帰ろう。


「え、魔理沙もう行くの?結局何しに来たのよー!」


≪餃子なんて久しぶりだったわね。≫
≪お嬢様とは一緒に食べれませんからね。後でしっかりうがいして下さいね。≫
≪あれ、魔理沙まだ帽子脱いでないじゃない。家の中まで帽子かぶってたら禿るわよ。≫
≪…いや、これは単純にまだ家に帰ってないってことでしょう。≫
≪途中で誰かのところへ寄っていないといいんだけどね…≫


ああ、心を読むのは疲れた。誰か、癒しの心(本質的な意味で)を持っている奴はいないものか…。
白蓮の心でも読んだら癒されるかな?いや、彼女の心はきっとお経とかいうよく分からん漢字の羅列で埋まっているだろう。

明日でもにとりのところへ行ってこの機械返しに行こう。そうしないと私の心が持たん。


≪あ、いいこと思いついたわ!≫
≪ん、また魔理沙をからかう方法ですか?≫
≪いやいや、魔理沙が本を持って来るように仕向ける方法よ。ちょっとー!小悪魔こっちに来て―!≫


あー、魔法の森につくと心安らぐぜ。
大抵の人がここにくると気分が悪くなるんだよな、あいつらの神経はおかしいんじゃないか。
この気持ちが理解できるのは今ンとこアリスだけなんだよな。
げ、噂をすれば…。

「あら、魔理沙。」
「お、おう。」
「そうそう、この前”借りてった”魔導書、いい加減に返してよね。」
「あ、ああ…。」
「どうしたの、今日はえらくいつもの勢いがないじゃない。」

あれ、この機械作動しているよな?なんも反応がないぞ。もしや、アリスも無我の境地に…!


≪ちょっと!パチュリー様!やばいですよ、人に会っちゃいましたよ!≫
≪とりあえずアリスが言った言葉をそのまま打ち返してしのいでなさい!私はなにかいい案がないか考えているから!≫
≪分かりました。でもいつまで持つか分からないですよ…。≫
≪小悪魔は飛行スピードが遅いから間に合うとは思えないわね…。アリスっていったいいつもどんなこと考えているのかしら?≫


(どうしたの、今日はえらくいつもの勢いがないじゃない。)
あ、きた。というか言った言葉まんまだな。なんというか、アリスに限ってって感じだが、単純だな。悩みがないってのも頷けるぜ。
でも、良かった。同じ魔女だから、アリスもパチュリーぐらい残酷なこと考えているんじゃって不安だったけどな。

あ、そうだ!アリスもパチュリーと同じ魔女なら、今のあいつをどうにかするいい方法とかそれとなく分かるかもしれないな。
「なあアリス、いま時間空いてるか?ちょっと相談事があるんだが…。」
「あなたにしては珍しいこと言ってくるわね。いいわよ別に。」
「そうか、なら私の家に来てくれるか?」
「あなたの家に人が2人入るスペースがあるのかしらね。あとついでに私の魔導書もらっていくわよ。」
(あなたにしては珍しいこと言ってくるわね。いいわよ別に。)

あれ?なんか反応が遅くないか?
(あなたの家に人が2人入るスペースがあるのかしらね。あとついでに私の魔導書もらっていくわよ。)

いや、確かにワンテンポ遅れて伝わってくる。ラグかなにかか?だけど今までこんなことなかったからな。


≪パチュリー様、さすがにこれでは怪しまれますよ。≫
≪それじゃあなたがアリスが考えそうなことを瀟洒にアレンジして心の声っぽくしなさいよ。≫
≪んな暇ありません!≫
≪時止めて考えればいいじゃない。≫
≪あ、それ名案。≫


「それで、相談って何よ。」
(相変わらず汚いわねー。)
なんと、魔窟化を防ぐために、一週間前に今流行の断捨離をやって、今ではこの家の中でワルツが踊れるほど整理整頓されているというのに…。
なるほど、流石アリス、都会派の御目は厳しいぜ。
「いやー、種族魔法使いってのはさ、その…さ、拷問とか、## ゆかりんフィルター代わりまして、紫様がお休みになられたので藍フィルターでお送りします ##とか、好きなのか?」

紅茶「マスタースパーク」 0/1 Bonus faild

「下品だぜ、アリス。」
私はアリスが噴き出した紅茶を真正面から食らってしまった。
というか、アリスの目がホントに表現通り白黒してる。それと思考が止まってやがるぜ。


「あ、あんたねえ、いきなり何てこと聞くのよ!」
(きゅ、急に相談だと思ったらコイツは…)
お、タオルサンキュー、上海。気が利いてるな。
「いや、実はな、図書館で…」

む、そういえばにとりから機械のことは誰にも言うなって言われてたな…

「パチュリーがそういった話題を吹っかけてきて、その後いざこざがあってな…。お前ならなにか分かるかなと思ったんだけど。」
「いや、私と彼女なんかを一緒にしないでくれるかしら。」
(あんな日陰もやしの思考回路なんて誰にも分かったもんじゃない!)
「そうか、ならよかった。」
「だいたいね、パチュリーは魔女歴が私の数倍あるんだから、その分変なことに頭突っこむ機会も多かったりするのよ。」
(あんなふうに一日中日にあたらずに引きこもってると性格がひん曲がるのよ。)
よかった、アリスはこっちサイドだった。
さて、それじゃどうしたもんかな。普通にマジギレした人への対処法でも聞こうか。アリスは常識人だし。



≪あなた、ノリノリね。≫
≪いえ、私はあくまで、アリスの心を予想してですね…≫
≪アリスの奴もなかなか言ってくれるわね。ちょっと貸しなさい。≫
≪あ、何をいたすつもりですか。≫
≪仕返し。あと”致す”は謙譲語よ。私を舐めてるのかしら。≫
≪あ、これは素です。ほら私、言わば最近の若い者というやつなんで。≫
≪つっこまないわよ。≫


「ところでさ、これからパチュリーにどう接したらいいと思う?」
「普通でいいんじゃないの、いつも通りで。」
(んー、私なら拷問するとしたら## 藍フィルターがお送りsって橙!仕事を覗かないの! ##とかするんだけどねー。)

え!?な、何だって!?
「ア、アリスさん?」
「何よいきなり畏まって。」
(ビクビクしている魔理沙も可愛らしいわね。そんな魔理沙には## 藍様、三角木馬ってなんですか? ##してあげましょう。
 あと、魔界に連れて行って## ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん! ##のフルコースとか。)


そ、そんな…アリスは味方だと思ってたのに!
「で、出てけ!この馬鹿!変態!」
「え、ちょt

変符「マスタースパークを用いたノンディレクショナルレーザー」 0/1 Bonus 与える気ナシ



≪ノリノリですね。≫
≪私はあくまで、アリスの心を予想してただけよ。≫
≪いやそれは無いです。≫
≪さあて、そろそろ小悪魔がそっちに着くころね。≫


「はあ、はあ…」
さっぱりしていた我が家がもっとさっぱりしたが、この際そんなことはどうでもいい。
魔女怖い。怖い。私はこんなやつらと今まで接していたのか。私はこんなやつらになろうとしてたのか。

「魔理沙さーん、いますかー?」
「ヒィッ!だ、誰だ…?」
「あら、そちらに。私は小悪魔ですよ。」
んな!パチュリーのとこの!
「いったい、何しに来たんだ!」
「いや、パチュリー様から魔理沙から本を取り返せと言われたので…。」
(お願いします、魔理沙さん!貴女が本を返してくれないと私はパチュリー様から## 先ほどは私の式たちが見苦しいところを見せてしまったわね。 ##な目に遭わされてしまうんです!)
や、やめてくれ!もうそんな心を読ませないでくれ!
「分かった、分かったから、大丈夫だから。」
「え?何が大丈夫なんですか?まあいいです、これ一回限りの転送用魔法陣です。これでいちいち運ばなくてもいいですよ。それじゃよろしくお願いしますね~。」

もう、散々だ…




≪なるほどですね、所詮魔理沙も人の子と、その優しさを利用するのですか。≫
≪あなただって人の子じゃないの。だけど、あなたにもその優しさはあるのかしらね。≫
≪酷い事言いますわね。あら、親方!空から本が。≫
≪魔理沙は相変わらず何事も行動が早いわね。もう転送してきたってことよ。あと親方って何よ。≫


≪さて、にとり、魔理沙にフォローよろしくね。≫
≪ああ、あのドッキリって看板を持って登場すればいいんだろう。≫
≪真面目にやりなさいよ。≫


私は次の日早々出かけた。あの装置は外して手に持ってな。
「おい!にとり!いるか!」
「どうしたんだ魔理沙、そんなに荒ぶって。」
「もうこれ返す。散々だ。お前もこの発明はしないほうがいいぞ。」
「あ、そうだ魔理沙。実はね…」

「んあ!?壊れてた?」
「うん。後でチェックしたら電子回路の感情起伏の察知の部分が…」
「いやもういい。頭が痛くなる。」
「魔理沙が昨日の間どんな相手の心を読んだのかは知らないけど、その声は間違っているか大げさすぎているか…いずれにせよ真に受けたら駄目だよ。いや本当にすまないね魔理沙。」
「あ、ああ…。」
私はその場にへたりこんだ。

まあ、パチュリーやアリスがあんなやつらじゃないってことだから、それは本当に良かった。
だが、もうさとりの真似事なんて真っ平ごめんだ…
ある日の宴会での出来事。神社の片隅にて。

「もしもし、パチュリーさん。失礼しますがね。」
「あら、さとり…だっけ。どうしたのかしら。」
「先ほど魔理沙さんとお会いしたんですが、私を見た途端(無心になれ無心になれ)って思ったんですよね。そんな気遣はいらないといっても聞かなくて。
それでなんで急に魔理沙さんがそんなことを考えるようになったか原因をご存じで…ああはいわかりましたよく分かりました。なかなか残酷なことをするもんですねえ。」
機械車輪
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コメント



0.940簡易評価
1.90名前が無い程度の能力削除
さとりやこいしはこの魔理沙対策にどう考えるんでしょうかね。疑似的とは言え、彼女たちのトラウマでしょうし。
2.90奇声を発する程度の能力削除
フィルターのやり取り吹いたww
10.80LOS-V削除
魔理沙の心に傷一つ。
これに懲りて、図書館に顔を出さなくなったら……また一つ面白い事になりそうな、ならなさそうな。
むぅん。

何となく、後一歩足りない感じがするので、こんな感じで。
20.90名前が無い程度の能力削除
うん