Coolier - 新生・東方創想話

好きとか嫌いとか最初に言い出した人たちの黄昏

2011/02/26 23:29:03
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 少し寒さも和らいできたこの日、水橋パルスィは、色々あって仲良くなった湖畔の氷精チルノの家を訪ねた。
「チルノー、いるー?」
 冬の間は寒すぎてチルノの家に通う回数も少なくならざるを得なかった。パルスィもいかに妖怪とて体は強いほうではない。
「……返事がないわね」
 留守なのだろうか。経験則から言って、この時間帯はあまり出かけていないはずだが。
 そう思いながらそっと中をうかがうと、チルノが床にうつ伏せで倒れていた。
「えっ!?」
 パルスィはあわてて中に入り、チルノを抱き起こす。
「あ……ぱる……すぃ……」
「チルノ! どうしたの!? 何かあったの!?」
 ぐったりとした様子のチルノに、パルスィは揺すりながら声をかける。
「……おはぎ分が……不足してきた……」
「なにそのシュークリーム分みたいの!」


『好きとか嫌いとか最初に言い出した人たちの黄昏』



 結局のところ、チルノの異変はいわゆる『ケーキ食べなきゃ死ぬ病』みたいなもので、パルスィの声が聞こえたのでついとってしまった、一種のおねだりだったのである。
「えへへ、ごめんごめん」
「まったく、人騒がせなんだから」
 こうして悪びれもせず笑っているというのに、つられて笑いたくなってしまう。
 妬ましく思う前にチルノだから仕方ないという想念に置き換わってしまう。まぁいちいち妬まなくても付き合えるところが、パルスィがチルノと親しくしている所以ではあったのだが。
「それにしても、妖精って食事とらなくても大丈夫なんじゃなかったっけ?」
「別に食べなくても大丈夫だけどさ。でも食べ物のこと考えたらなんかおなかすく」
 何故お前はごはんを食べるのか。そこに食べ物があるからさ。
(うーん、つまり食べ物は食べるものって概念なんだから……)
 考えるとややこしいのでやめた。
「それじゃあ今日は何か食べ物でも探しに行く? もうすぐお昼だし、ここじゃ料理も出来ないしね」
「行こう行こう!」
 チルノが諸手を挙げて賛同する。
「ちょっとならお金持ってきてるから、人間の里に行ってみてもいいかもね」
「わーいパルスィ大好きー!」
「もう……バカいってないで行くわよ」
 単に子供の反応を返してきただけだとわかってはいても、能力ゆえ素直に好意を向けられることの少なかったパルスィには少々ドキっと来てしまう言葉だった。


 そんなわけで二人は連れ立って人里へやってきたのだ。
「おはぎ買おうおはぎ」
「たまには別のもん買いなさいよ」
 妙におはぎに執着するチルノに、パルスィは苦笑した。
「うーん、今日こそは夢のおはぎパフェを作れると思ってたのに……」
「なにその和洋コラボレーション!?」
 あどけない顔をしてでかい夢を持っていたものである。
(……おはぎの人気に嫉妬)
 何に嫉妬してんだろう。
 ともあれ、一体何が彼女をおはぎに駆り立てるのか、少し気にはなった。
「チルノはなんでそんなにおはぎが好きなの?」
「ふふん、よくぞ聞いてくれたねパルパル」
 なぜか胸を張って得意げになるチルノ。
「あれはそう、忘れもしない――」
 すぅ、と目を細めて、回想に浸り始めるチルノ。
 いつもの騒がしい雰囲気が鳴りを潜め、本来の涼やかなイメージが濃密に出てくる。
 チルノをこんな風にさせるなんて、おはぎは一体……
「――ゴメン忘れた」
「うおおおおおおおおおい!」
 パルスィは全力でツッコミを入れた。
 あのフリでこの結果はねえよという衝動のままに声を出した。
 しかしここは人里である。旧都や妖怪の山よりかは好奇の視線が刺さってくる。何せ大部分は人間だし。
「あ、なんか恥ずかしい」
「おおう!?」
 パルスィはそそくさとチルノの手を引いて、手近なお店に駆け込んだ。
「ふぅ、公共の場所でのツッコミは命に関わるわね……」
 などと、ちょっぴり自戒する。
「いらっしゃいませー。甘味処『桜花八卦掌』にようこそ!」
「うい?」
「何だその必殺技みたいな店名」
 駆け込んだ店はちょうど甘味処だったようだ。和服の給仕さんがにこやかに挨拶してくれる。
 チルノは目を輝かせて問うた。
「ねえねえ、おはぎパフェある? おはぎパフェ!」
「いやないだろ……」
 パルスィの言葉通り、給仕の店員さんは、申し訳なさそうな顔をする。
「ごめんなさい、うちにはうなぎパフェまでしか……」
「もっとすごいのがあった!」
 夜雀の屋台と業務提携でもしてるんだろうか。
「うーん、惜しかったわね……」
「語感的には確かにちょっぴり惜しいけれども!」


「ぱるるー、せっかくだしうなぎパフェ食べてみない?」
「人を郵便貯金みたいに言うな。それはともかく興味本位で食べ物を頼むと後悔するわよ。お金払うの私なんだし……」
 まさにぱるる。
「大丈夫! 最強のあたいに食えないものなどほとんどないわ!」
 どこかで聞いたようなフレーズを混ぜつつ、チルノはまた胸を張る。
「へー、チルノは好き嫌いとかないの?」
 パルスィは少し意外に思った。あれも嫌いこれも嫌いとか言ってそうだのに。
「まぁ強いて言えばうなぎが苦手かな」
「ダメじゃねえかああああああ!」
 再び視線を集めるパルスィだった。


「えっ、うなぎパフェってうなぎが入ってるの!?」
「うなぎが入ってなきゃ何が入ってると思ってたのよ!」
 パルスィの詰問に、チルノは唸った。
「あたいはてっきり『う』めぼし、『な』っぱ、『ぎ』んぎつね、が入ったパフェかと……」
「どうでもいいとこで頭の回転ハンパないなチルノは! そして私はそれ食べたくない!」
「そう言われればあんまりおいしくなさそうな気もしてきたわね!」
「まったくもう……」
 仕方ないのでりんごパフェを食わせておいた。
 残念ながらイチゴにはちょっと時期が早いようだ。
「そして私は大福はむはむ……」
「大福といえば“じゃいあんしちゅー”の原材料として有名よね」
「食欲なくなること言わないで!」
 変な知識ばかり持っている氷精である。
 パルスィは少し仕返しとばかりに、チルノのスプーンを奪う。
「あっ、何すんの!?」
 そうして、りんごパフェを一さじ掬うと、そのまま食べてやった。
「うーん、甘くておいしいわ。妬ましいわねー」
「ぱ、ぱるる……」
「ん?」
 頬を膨らして怒るかと思ったが、意外や意外。そんなことはなかった。
 どっちかといえば赤みが差している。
「知ってるよあたい……それ、間接キスっていうんだよね……?」
「ふええええええ!?」
 パルスィもぼっと赤くなる。
 甘く見ていたのだ。変な知識ばかり持っていると、さっき認識したはずだのに。
(特に意識してなかったけど、そんな顔で改めて言われると……!)
 どうしよう、どうすればこの場を切り抜けられるのか。
 水橋パルスィは考える。身体に流れるネタマシックエネルギーを総動員させて考える。
 しかしそんなものは大して役に立たなかったのであった。
「だ、だから何だって言うの――」
「おや、こんなところで奇遇ですね」
 ふと、混乱に冷や水を浴びせかけられたような、横からの声。
 チルノとパルスィの視線が、そちらに向く。
「だ、大妖精!」
 緑色の髪をサイドテールにまとめたその少女は、紛れもなく湖近辺の自然を司る大妖精だった。
「いかにも。湖の大妖精です。まったく、私を放って二人っきりのお茶会とは……妬ましい! ああ妬ましい!!」
「いかんネタマシックエネルギーがこっち行った!」


「大妖精ともあろうものがお恥ずかしいところをお見せしまして……大変失礼致しました」
「あ、いや、こっちこそごめんねなんか」
 大妖精はパルスィの横に座り、深々と頭を下げている。
 この大妖精も、色々あったが現在はパルスィとチルノの友人という立場に収まっていた。
 もっとも、あまり姿を見せることはないのだが。
「大妖精ももっとウチに来ればいいのに」
 チルノが椅子をきこきこ鳴らしながら提案する。
「ふふ、大妖精というのも色々あるのです。あなた一人にかかりきりになっているわけにも行きませんしね」
 柔らかく笑って、大妖精は紅茶に口をつけた。
 相変わらず妖精のくせに、妙な威厳を感じさせる奴である。素が出ると普通の子供になるのは知ってはいるけれど。
「でもたまにパルスィさんがいらしているなら、あなたの家の巡回を少し増やしてもいいかもしれませんね……」
「巡回?」
 パルスィが首をかしげてたずねる。
「一応、湖周りの自然の管理を天命と定めていますので、巡回は欠かしておりません」
「ふうん……」
「だいよーせー難しいこと言い過ぎ! 全然わかんないわ!」
 チルノが羽を震わせて抗議し、ふとハッとしたように疑問を口にする。
「そーいや大妖精はこんなとこで何やってるの?」
 大妖精は柔和な笑みをたたえて答えた。
「ええ、うなぎパフェをいただきに」
「うおお!? こんな身近にうなぎパフェ目当ての人が!」
 パルスィは何らかのうなぎの呪縛をかけられている気分になった。
「ええ、私がリクエストして採用されたんです」
「しかも元凶あんた!?」
「うなぎ大好き」
 驚愕するパルスィに、大妖精はビシッと親指を立てた。
「あんたそんなキャラだっけ……」
「ふふ、決め付けは良くありませんよ。ねえ?」
 ウインクで返される。何なんだこの余裕、とパルスィは眉をひそめた。
「妬ましいわねえ」
「光栄ですよ」
「むう、妬ましい」
 妬むということは、相手を認めているということ。
 パルスィ自身も嫉妬マイスターとして当然理解はしているが、すんなりと受け止められるとやっぱり妬ましいものである。
 嫌いではないけれど、やはりコイツはチルノとは対照的な妖精なんだなと思う。
「うなぎが大好きなんて信じられないわ」
「ちなみに苦手な食べ物はおはぎです」
「どうでもいいとこで対照的だなオイ!」


 人間の里、路地裏。
 風の吹き抜ける静かな通りで、チルノと大妖精はにらみ合っていた。
「大妖精。まさかあんたがうなぎ好きだったなんてね……!」
「あなたこそよりにもよっておはぎが好きだなどと……。紅魔のお嬢様ではありませんが、運命とは数奇なものですね」
「あの……」
「止めないでぱるる! これはおはぎ派としての意地。おはぎ派とうなぎ派は相容れないんだよ! しまむらとユニクロのように!」
「おはぎとうなぎって全然ジャンルがカスりもしてない食べ物じゃない! 争う意味が全然わからん! あとそこはせめてきのことたけのこだろ!」
 パルスィの放つ当然の叫びは、しかし妖精たちに何故だか知らないけど届かない。
「パルスィさん……これは理屈ではないのです。うなぎこそ世の摂理。さあ来なさい氷精、そのおはぎ好きという不自然を、粛清してあげましょう!」
「大妖精……あんたとは一回決着をつけなきゃいけない気がしてたわ!」
「誰かー、この超どうでもいい妖精大戦争を止めてー」


「あいやしばらく! 争いは何も生みませんよ」
 パルスィの叫びが届いたのか、二人の妖精を制止する声が響く。
「なにやつ!」
 チルノが叫び、三人が一斉に声をしたほうを向く。
 そこには、緑髪の巫女がいた。
 あれは……守矢神社の巫女。
 ゆっくりとチルノと大妖精の間に入り、柔和な表情で語りかける。
「おはぎもうなぎも、等しくこの世にもたらされた、神の恵みたる食べ物です。色々な味の好みの人がいるから、神様はたくさんの食べ物を与えてくださったのですよ。多分」
「最後の二文字で台無しなんだけど!」
「ううっ……でも、大妖精が、大妖精がおはぎが嫌いなんて言うから……」
「うなぎが嫌いだなんて考えられません」
 早苗の諭しに、しかし食い下がる二人。
 チルノはともかく、やはり大妖精も本質は子供なのだ。
 早苗は目を閉じてしばし考えた後、真剣な瞳で言った。
「……では、間を取ってミラクルフルーツが最強と言うことで」
「正直予想してた!」


 普通に拒否された守矢の巫女は、寂しそうに立ち去っていきました。
「それにしても、なんだって二人ともおはぎだとかうなぎだとかよくわからんもんが苦手なのよ。まあどうせチルノは覚えてないんでしょうけど」
「しつれいな!」
 パルスィの物言いに、チルノが不服を申し立てる。
「あたいがうなぎを嫌いなのには、聞くも涙で語るに落ちる話があるのよ!」
「語るに落ちてどうすんのよ」



 古いお話である。
 霧の湖に、氷精が住んでいた。
 名をチルノという。
 チルノは冷気より生まれ出でた時、七歩歩いて右手で天を指し、「英吉利牛」と言ったという。
『何このどうでもいいエピソード!?』
 ともあれ、チルノは少々力は強いが、おおむね幻想郷の一妖精として生き、育った。
 そのうち、他の妖精と同じように、人間のマネをして物を食べるということを覚えるようになる。
 色々な食べ物の味を覚え、いくらか作り方を覚えては忘れていた頃。顔見知りの妖精数人でハイキングに行こうという話が持ち上がった。
 その中でリーダー格となっていたチルノは当然一緒に行き、そしてその先で崖から落ちかけた。
 なんとか岩に捕まって完全な落下は免れたものの、あたりには強い風が吹いており、いくら飛べると言っても到底バランスが取れるものではなく、たちまち岩肌に打ち付けられて一回休みになってしまうだろう。
 そして、上に登るにはつかまるものが少なすぎる。
 上にいる妖精たちは考えた。
「何かつかまるものを……何か細長いものはない!?」
「ちょうどうなぎがあったわ!」
「でかした! さぁチルノ! このうなぎにつかまれ!」
「うん!!!!!!」

 ――その日、氷精チルノは初めての一回休みを迎えた。

 なんとか復活して、道に迷いまくりながら湖畔に帰った彼女を待っていたのは、簡素な彼女の墓と、彼女の存在を忘れ去っていた友達だった。
「あれ? 新入りの妖精かな? よっしゃちょっとパン買ってこいや! オウフ!?」
 チルノは、その妖精に腹パンしながら考えた。
 地位も、友達も、全て失ってしまった。
 あのとき、あんなときに、差し出されたのがうなぎではなかったら。
 うなぎなんて、なかったら……

 彼女の中にそのとき、黒い感情が生まれた。

 ウ ナ ギ ナ ン テ 、 ス ベ テ ホ ロ ン デ シ マ エ バ イ イ



「まぁ全部嘘なんだけどこの話……」
「ですよね!」


「まぁ、実際好きな食べ物嫌いな食べ物にいちいちエピソードがあるわけではないでしょうね。好き嫌いは自然の摂理です」
 大妖精が、突如として悟ったようなことを言い始める。
「大妖精にもおはぎ嫌いのエピソードはないの?」
「――強いて言うなら、おはぎを喉につめて一回休みになったことがあるくらいでしょうか」
「それはまあ……嫌な事件だったね……」
 チルノの嘘話と対照的に、サラッと重いカミングアウトをする大妖精である。
「おはぎ詰めて死ぬ大妖精とか、ださいですよね……」
「ま、まぁ世の中まんじゅう詰めて死んだ魔王もいるって話だし!」
「本当は別に理由があったらしいよそれ」
 パルスィの励ましは、チルノのこころない補正でフォローにならなかった。
「パルスィさんは……おはぎ詰めて死ぬ大妖精でも良いのですか?」
「え!? いや、別に悪いってこたないと思うけど!」
「おはぎ詰めて死ぬ大妖精でも嫁にもらえますか?」
「いやいや!? 質問がおかしいよ!?」
「やはりおはぎ詰めて死ぬ大妖精ではダメなのですね」
「いやそういうことじゃなくて!」
「では不束者ですが」
「ああもう回避させて!」
「そうだよ! 第一ぱるるはあたいのだ!」
 どん、と胸をたたいてチルノが参入した。
「あんたまで何を言い出すのよー!」
「だって言うじゃない、『お前のものは俺のもの。お前は俺のもの』って」
「何がだってなのかよくわかんない! 内容も間違ってる!」
 パルスィは頭を抱えてうなった。
「あぁ、すみません。どうにもいたずらが過ぎたようですね」
 大妖精が苦笑した。
「あたいは本気なのになー」
 にやにやとチルノが笑う。やっぱり妖精ってやつは油断ならんなとパルスィは思った。
「もー! こうなったらからかった罰ゲームをくれてやるわ!」
 妖怪として、妖精に遊ばれっぱなしでは引き下がれない。
 最も残酷な刑罰を思いつき、パルスィは逃がさんとばかりに二人の首根っこをつかむ。軽いので簡単に持ち上げられた。
「きゃー、パルスィに襲われるー」
「せめて、優しくしてくださいね……」
 懲りずにずれた答えを返す二人に、パルスィはにやっと笑いながら言った。
「これからさっきの店に戻るわ。そして、チルノはうなぎパフェを、大妖精はおはぎを食べるのよ!」
「そ、そんな!」
「ひどすぎます!」
 自分の好物を目の前で食べられると同時に、自分は嫌いなものを食べさせられる。そんな屈辱があっていいものか。
「ぱるるの鬼ー!」
「鬼ー!」
「嫉妬の鬼ですが何かー?」
 珍しく口を揃えて抵抗してくる二人に、パルスィは余裕たっぷりに返答する。
「数学の鬼ー!」
「歴史の鬼ー!」
「なにそれ!?」


 そして、三人は再び甘味処『桜花八卦掌』で、さっきのように座っていた。
 目の前にはそれぞれ、おはぎとうなぎパフェが、お互いの望まぬ形でセットされていた。
「とっかえっこしよとっかえっこ」
「同意見ですね」
「それじゃ罰ゲームにならんでしょー?」
 パルスィがはっしと二人の腕をつかむ。
「さあさ、まあいいから一口食べなさい」
 パルスィにせっつかれて、二人は恐る恐るそれぞれの食べ物に口をつける。
「あ、意外と普通だ……」
「リアクションとりにくいですね……」
 微妙な顔をしつつ二口三口もむもむし始める二人。
「まぁ、マズゴパァにならなくて良かったわ。パフェはどうかと思ったけど、さすがにプロなんだから味くらい調整してると信じたのよ。実際食べてみると何でもないでしょ?」
「パルスィパルスィ」
 チルノがパルスィの袖をくいくいと引く。
「何? チルノ」
「大妖精息してない」
「うわああああ! だいようせーい!」


「半年後、そこには元気に走り回る大妖精の姿が!」
「もう絶対におはぎを口にしたりなんてしないよ」
「ごめんねホント。そこまで相性悪いとは思わなかったわ」
「それに関しては自分もびっくりしてます」
 半年経ってるわけもなく、再び例の路地裏である。
「ま、あたいとしては、ちょっとはうなぎを見直したけどね」
「フ……私もまあ、ちゃんと喉につめないよう細かくしていただけば、普通においしいと思いましたよ」
 パルスィの罰ゲームという苦難を共にし、チルノと大妖精は相互理解が図れるほどに仲間意識が形成されていた。
 がっしと握手を交わす両名。
 それを見て、パルスィは苦笑しつつも、まぁなんとか丸く収まったことに安堵する。
「でもま、ちょっと妬ましいわね」





「うーん……」
 水橋パルスィは目を覚ました。
 意識がはっきりしてくるにつれ、あまり見慣れた天井ではないなと理解する。
 そういえば、昨日はチルノの家に泊まったんだっけ、と思い出した。
「大妖精! 今度という今度は譲らないよ!」
「ほう……やはりあなたとは決着をつけねばならないようですね」
 そして、ただならぬ声を聞きつけて、跳ね起きる。
「何よ、今日は何を争っているの?」
 にらみ合って火花を散らす二人を見て、パルスィは呆れたように言う。
「おはぎVSうなぎ、第2ラウンドだよ!」
「カレーに入れるならどっちかで揉めまして」
「いや入れなければ平和だと思うよ!」
 このままではどこぞのシチューが再現されてしまう。
 パルスィの必死の叫びに、二人はううむと唸った。
「じゃあ第2ラウンド引き分けってことで、第3ラウンド行こうか」
「ではおはぎとうなぎ、パルスィさんが持って絵になるのはどっちかで行きましょうか」
「よっしゃあパルスィ! あたいのおはぎを受け取って!」
「うわーん! もう知らーん!」

 好きとか嫌いとか最初に言い出した人たちの黄昏――fin
大妖精「ちなみに間接キスを教えたのは私です」
パルスィ「お前だったのか」
大妖精「だって間接キスと投げキッスとトゲキッスの違いが分からないって言うので……」

どうも、ナルスフです。
久しぶりにちるちるぱるぱる。やっぱこの子らも楽しいなあ。

一応Lv.99アフター的な。大ちゃんが楽しそうで何よりです。
ウチのチルノはなぜかおはぎが好きですが、なんでなのかは私にも分かりません。
ちなみに、おはぎパフェもうなぎパフェも、ググってみると一応実在してるシロモノのようです。こいつはすげえや。

ともあれ、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
あと、大ちゃん、早苗さん、ごめn(ry
ナルスフ
http://
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コメント



0.1680簡易評価
4.100名前が無い程度の能力削除
ああ、この言葉遊びっぷりとあっぱっぱーな雰囲気(誉め言葉)!
これぞちるのさんlv99よ!!

>桜花八卦掌
余りの懐かしさに俺の腹筋が七星双破斬
12.100名前が無い程度の能力削除
仲良いな君ら
19.100奇声を発する程度の能力削除
トゲキッスwwww
うなぎパフェが凄い気になる…
20.100名前が無い程度の能力削除
あいかわらずやりとりのテンポの良さが凄いですねー。しかしうなぎパフェは実在するのか……
21.60名前が無い程度の能力削除
うなぎパイのパフェだったら食べたいなぁ
24.80名前が無い程度の能力削除
とんかつパフェだって実在しますし、うなぎのパイがあってもよかです。
27.100名前が無い程度の能力削除
実在するの!?
仲良しで実によかった
30.100名前が無い程度の能力削除
所々に散りばめられた小ネタで楽しませていただきましたw
開幕にあずまんがネタが来るとは予想外でした…。

幻想郷は今日も平和なようでとても和みます~。
32.100名前が無い程度の能力削除
しまむらとユニクロって、対立してたの!?

相変わらず、ナルスフさんの作品には愛がありますなw
読んでいて、幸福感が湧き起こります。
33.100名前が無い程度の能力削除
嫌な事件だったね…
まだ大ちゃんに詰まってたおはぎ見つかってないんだろ?
34.100J.frog削除
じ、ジャイ○ンシチュー!? なんか無駄に気になってしょうがないw
結論としましては、無理せず好きなものを単品で食べたらいいと思いますww
36.100こーろぎ削除
「ふええええええ!?」って赤面するパルスィと「ぱるるー」って言うチルノが可愛すぎるb     GJ
45.100名前が無い程度の能力削除
>まんじゅう詰めて死んだ魔王
中ボスかw
でも、子供にはおはぎとか危ないよなぁ…