Coolier - 新生・東方創想話

霊夢がアリスにクッキーあげたい話

2011/02/15 10:40:00
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博麗神社の台所。
チンと音が鳴る。
香ばしい、甘いにおいが辺りを包む。
神社の紅白巫女は、ぐっと取っ手を握り、ゆっくりとオーブンを開ける。
「できたっ・・・!」
ついに出来た。ついにこの日がやってきた。
そう、今日は2月14日、“バレンタインデー”なのである。
実は一ヶ月以上前からこの日のために準備をしてきた。
普段和食ばかり作ってきた彼女は洋菓子作りには慣れてはいなかったので、外界の料理本を手にこっそり練習してきたのだ。
材料の仕入れも、誰かに見つからないかとこっそりと買ってきた。知人に見られたくもないし、なによりあげる相手に見つかっては元も子もない。
今回はクッキーを作った。チョコにしようかとも考えたのだが。それにしてもなかなか上手く出来たのではないかと自然と笑みがこぼれる。
「ふっふっふ・・・まっててよ・・・アリスっ!」

しばらくゆっくりした後、丁寧に四角や丸のクッキーを袋に包み、薄い水色の四角い箱に入れ、赤のリボンを巻く。
さあアリスのところに遊びに行こう、と準備をしていたところに、声がした。
「霊夢ー、いるー?」
ビクッとしてあわててクッキーを隠してしまった。
「あ、あらアリス、いらっしゃい。」
危ない危ない、すれ違うところだった。グッドタイミング。
「ちょうど行こうと思ってたところよ、どうかしたの?」
「今日はバレンタインデー、でしょ?霊夢に作ってきたの。」
そういうとアリスは綺麗な赤色のリボンで括った白い小さい袋を渡してきた。
えっほんと?ありがとうアリスっ!心中は飛び上がって喜びたいほどだ。
「あら、ありがたくもらっておくわ、ありがとう。」
「どういたしまして。喜んでもらえたかしら?」
ええとっても!と口には出さずに微笑んで頷いた。
「じゃあアリス」
私からも、と言いかけたそのとき、元気そうな声が上から降ってきた。
この声の主は・・・今度は魔理沙か。
「あら魔理沙じゃない。はい、これ、あなたによ。」
アリスは同じ小さな袋を取り出して、魔理沙に手渡した。
「おう、ありがとう!開けていいかな?」
「どうぞ。お口に合うかしら?」
魔理沙は笑顔で袋を開ける。
「おー!クッキーだ!ありがとうなアリス!」
無邪気な笑顔がまぶしい。自分もこれだけ素直ならなあと考えさせられる。
うーむ私だけではなかったのか、残念。それもそうか。アリスは優しい。みんなに優しいのだ。私もその優しさに惹かれる一人なのだ。
しかししまった。アリスに渡すタイミングを逃してしまった。
「で、魔理沙は何をしにきたのよ。」
「へへっ、遊びに来てやっただけなのぜ!」
「つまり、暇だったのね?」
「そういうことなのぜ!」
「わかったわ。お茶でも入れてくるから、あがって待ってなさい。アリスもどう?」
「すこしお話していこうかしら。私もお願いするわ。」
人数分のお茶を居れ、たわいのない話を繰り広げる。
こうしている時間が異変の起こらない最近では一番楽しい。
彼女たちと過ごす、ほのぼのとした、この時間。

一時間くらいだろうか、あっという間であったがそれほどして、もう一人の訪問者がやってきた。
「ごめんください。」
「咲夜じゃない。」
魔理沙は笑って手を振って、アリスは軽くお辞儀をした。
「珍しいわね、どうかしたの?」
「お菓子作りすぎちゃって。皆さんどうぞ。」
そういうと咲夜は持っていたちょうど三つの小包を渡してきた。
「どうして三つ?」
「一人ひとつずつなら三つじゃないかしら?」
そういうことではないのだが。
「どうして三人居ると分かったのよ?」
「ああ、それはお嬢様が『三人まとめているだろう』と。」
くそう、あの吸血鬼に見透かされているのが少しショックだ。まさかレミリアの能力でみんなここに・・・そんなことはさすがにないか。
「おお・・・?咲夜、これなんだ?」
魔理沙は早速小包を開けている。
「マカロンよ。最近外界では流行っているらしいわ。それと魔理沙、パチュリー様が本を返せと仰っていたわよ。」
「あー・・・ばれてたのか・・・わかった、今から行くかな。そういうことだ霊夢、悪いな!」
そういうと魔理沙は飛び出していった。これでアリスと二人に・・・
「あ、咲夜はもう帰るの?ついて行ってもいいかしら?」
「いいわよ?でも何故?」
「ほら、今日はバレンタインデーじゃない。クッキーを作ってきたのよ。紅魔館のみんなにも是非と思って。」
「あら、私に渡していただければ渡しておくわよ?」
「せっかくの機会だし、手渡ししようと思うの。」
「なるほどね。では行きましょうか。」
「ええ。霊夢、そういうわけでお暇するわ。今日はありがとう。」
えっ。ええっ。まだ渡してない・・・
「うん。こちらこそありがとう、アリス。」
と、いったものの、どうしよう。運が悪すぎる。
アリスと咲夜は紅魔館の方へと飛んでいった。

博麗神社に一人残った。
アリスにもらった小さな袋の横に自分の作ったクッキーを並べてみる。
アリスの座っていたところに座ってみる。
机に突っ伏して深呼吸をしてみる。
どこか温かみを感じる気がする。気持ちが安らぐ。
そのまま眠りに落ちてしまった。

小一時間くらいたったのだろうか。目が覚めると外は少し赤かった。
うむむ、このクッキー、どうしよう。困った。アリスが家に帰ったころに、もって行こうかな。
クッキーをもらったのほ嬉しいけれど、複雑な日である。
小腹も空いたし、ありがたくアリスのクッキーをいただこう。
そう思いそっと赤いリボンを解き小さな袋を開けてみた。
「・・・あれ?チョコレート?」
クッキーじゃなかったの?おかしいなと思うと同時に
「れーいむ!」
今日二回目。すごく驚いた。後ろからの声の主は、アリスだった。
「ど、どうしたの?アリス。」
「何故かしらね、今日の最初の『じゃあアリス』の続きが気になって。帰りに寄ってみたの。」
「あ、ありすぅ・・・!」
涙がこぼれそうになった。前言撤回、最高の一日かもしれない。
「そ、その・・・はいアリス、これ!バレンタイン!プレゼント!」
「えっ?本当?」
「さっきは・・・その・・・言う機会がなくて・・・」
「ありがとう!嬉しいわっ!」
色々あったけど、渡せてよかった。おいしく食べてもらえるかな。頑張ったんだから!
「ところで・・・アリスからのは、クッキーじゃなかったの?」
「あっそれは・・・その、霊夢だけチョコレートにしたの。もしかしてクッキーがよかった・・・?」
と、少し残念そうに見つめてくる。
こ、これは・・・本命と受け取ってもいいのかな、アリス!
「そんなことないよ、チョコレート大好きっ!」
お初です。
昨日書いたんですがどこにあげたらいいのかry

2/16タイトル修正 チョコ→クッキー 霊夢チョコ作ってねえ!!!
みらぁ
http://www.twitter.com/mila_sigtan
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コメント



0.2030簡易評価
2.100奇声を発する(ry in レイアリLOVE!削除
レイアリバレンタインキター!!!!
最高でした!!!!!
5.100名前が無い程度の能力削除
こりゃまたどストレートな>タイトル
9.100名前が無い程度の能力削除
カロリーは多めじゃないとね!
25.100名前が無い程度の能力削除
あまーーーーーーーい!!
36.100名前が無い程度の能力削除
最後の一言に感動した!甘い!
40.100こーろぎ削除
ごほぁ! なんだ、この作品は甘い…
53.100Yuya削除
アリスの座っていたところに座る霊夢可愛すぎ