Coolier - 新生・東方創想話

今日、家に一人なんです

2011/02/14 22:09:06
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「うぅ……誰ですか……」

外の戸を叩く音がガンガン響いてきます。
神奈子様も諏訪子様も昨日から出かけているので、これ幸いと幸せな惰眠を貪っていたと言うのに……。
これでしょうもない用事だったら、弾幕でぶっ飛ばしますよ?

「さ、早苗……」

と、若干不機嫌になりながら、戸を開けたのですけど、そこに立っていた姿を見て、一気に吹き飛んだ。
もじもじと恥ずかしそうに顔を赤らめながら上目遣いにこちらを窺う幻想未確認少女――ああっ、可愛い過ぎますっ!
こっちに来る前だったら、即座に携帯のカメラに収めてるところですね!

「どうしたんですか、こんな朝早く……って訳でもないですけど」

それにしても、どういう風の吹き回しでしょうか。
いつもこっちから押しかけて愛を振りまいても、全然なびいてくれないのに……あ、もしかして、とうとう私の想いが通じたのでしょうか!?

「えっと……チョコの作り方教えて欲しくて」
「チョコですか。ああ、そう言えば、そう言う時期ですね」

時期というか、当日というか。
っていうか、こっちでも有るんですね、バレンタイン。
誰が広めたんでしょうか。まあどうせ、あのスキマ妖怪辺りだと思いますけど。
ぬえちゃんが知ってるって分かってたら、色々準備したのに……。
「何これ?」って顔されたり、受け取って貰えなかったら、流石の私でも凹みますからね。

「材料は集めたんだけど、作り方がよく分からなくて、それで早苗なら知ってるかなと思って」
「そりゃまあ、知ってますけど……」

一応は乙女の端くれ、心得ておりますとも。
だけど、幻想郷で役立つとは思いませんでしたよ。

「誰にあげるんですか?」
「え……い、言わなきゃダメ?」
「女の子として気になるんですよねぇ……あ、じゃあ、教えてくれたら、チョコの作り方教えてあげます♪」
「なっ――えーっと……うぅ……」

ふふっ。悩んでます悩んでます。可愛いです。
でも、虐めてるんじゃないですよ?
女の子として気になるのです。貴方を好きな女の子として。

「あーうぅ……い、言うよ。言うから、ちゃんと教えてよ?」
「ええ、それは保証します」
「えっと…………ムラサに……」

……ええ、だと思いましたよ。
私の名前なんて出ないことぐらい分かってましたよ。
普段からぬえちゃんはムラサ好き好きオーラ全開ですものね!
……すごく気が進まないのですけど、でもこのぬえちゃんを前に断れるかと言うとそうでもなく……。
惚れた弱みって怖いです。

「なるほどなるほど。船長にさんにですか」
「な、なによ?」
「いえ、あの人もスミに置けないなぁ、と。材料は持ってきてますよね?」
「もちろん」

渡された袋を覗くと、必要な物は大体揃っている様子。
この幻想郷のどこで流通しているのかちょっと気になりますね。

「これなら大丈夫そうですね。じゃあ、用意してくるので、先に台所に行ってて下さい。そこの奥です」
「ん、分かった」

ぬえちゃんと別れて私は自分の部屋へ。
まあ、準備と言っても大したことじゃないんですけどね。
タンスの奥からエプロンを引っ張り出すだけです。
無地の紺色のシンプルなデザインに、隅のUFOのワンポイントが光るぬえちゃん仕様のエプロンです。
……なんでそんなものが有るのかは聞かないで下さい。若気の至りです。
でも、これをぬえちゃんに着せられるなんて、夢にも思いませんでした。えへへ。
今からでも天狗呼びましょうか。



「早苗おそいー」
「ごめんなさいね、ぬえさん」

余計なことを考えながら台所へ入ると、ぬえちゃんは待ちくたびれたご様子。
本当に駄々っ子ですね。かわいいです。

「じゃあ、まずこれを着けて下さい」
「何これ?」
「エプロンです。服が汚れないように着けるんです」
「ふーん……」

納得したようなしてないような微妙な表情でエプロンを着け始めます。
でも、付け方がよく分からないらしく、手間取ってます。
可愛らしくて、ずっと眺めていたいのですけど、先に進まないし、機嫌を損ねても困るので、助け船を出します。

「手伝いましょうか?」
「……お願い」

意外にも素直に頼ってきました。少しは意地を張るかと思ったのですけど。
でも、素直なぬえちゃんも可愛いです。
ちょっと顔を赤らめて、うつむき気味なのが、ポイント高いです。

こんがらがった紐を解いて、元に状態に戻してから、適当に説明しつつ着けてあげます。
……合法的に密着出来るのは役得ですね。えへへ。

「……早苗?」

*おおっと*

ぬえちゃんに着け終わったら、自分のも取りだして、手早く着けます。
小学校の家庭科の時間に作ったエプロンですけど、なんだかんだで使い続けてます。

「さて、準備が出来たところで、今回はトリュフを作ります」
「何それ」
「そういう名前のチョコ菓子です。簡単に作れる定番です」
「ふーん」

いきなり凝ったのをやっても仕方ないですからね。
まずは簡単なのから。

ぬえちゃんが持ってきた袋から、材料を取りだして、テーブルに並べます。
その中から板チョコをチョイス。

「まずはチョコを刻みます」
「刻むの?」
「ええ。そうした方が均一に溶けるんです」
「なるほど……」

説明しながら、棚からまな板と包丁を取り出します。
それらをテーブルの上に広げてから、まな板の上に板チョコを乗せます。

「こんな風に斜めに包丁を入れると切れやすいです」
「ふむふむ」
「じゃあ、やってみて下さい」
「分かった」

軽く実演して、ぬえちゃんにバトンタッチ。
このぐらいなら、簡単に……

「……ぬえさん、ちょっとストップ」
「何よ、早苗」
「いえ、見てて非常におっかなくて、こっちの神経がすり減ります」
「……ちょっとぐらいは平気よ」
「血混じりのチョコとか、どこの魔女ですか。っていうか、ぬえさん、料理した事って有ります?」
「ない!」
「胸を張って言わないで下さいよ!?」

可愛いですけど!

「もう一回やるので、よく見てて下さいね?」
「うん」

熱の籠もった視線を感じながら、板チョコの半分ぐらいを刻みます。
ちょっと特殊な包丁の使い方なので、初心者に教えるには良くないんですけど、今は仕方ないです。

「こんな感じです。ちゃんと見てましたよね?」
「当然よ」
「じゃあ、残りを刻んじゃって下さい」
「任せて!」

威勢良く包丁を受け取ったぬえちゃんですが、やっぱりおっかなびっくり。
自分でやった方が早いし怖くないし、でもそれじゃ意味がなくて。
あぁ、じれったい! でも、ぬえちゃん可愛い!



……と、そんなこんなで



「後は、コーティングしたチョコに、ココアをまぶせば完成です。あ、チョコが付いた手は洗って下さいね」
「でも、流したら、勿体なくない?」
「いやしい事言ってないで洗って下さい」
「舐めれば……」
「洗って下さい。はしたないです」

どうせやるなら、ホワイトチョコで……いえなんでもないです。
未練たらたらのぬえちゃんを、洗い場まで引きずって手を洗わせます。
最後の工程は、器に入れたココアパウダーの上に、チョコを転がすだけの簡単なお仕事です。

「これでチョコは出来たので、後はラッピング、包装ですね」
「作るだけじゃダメなの?」
「ええ。せっかくのプレゼントですもの、綺麗に包まないと」

ビニールの袋は……ないので、紙袋で代用。
飾り付け用のリボンはストックがあるので、それを放出。

「試しに一個作ってみますけど、あくまで参考程度に」
「ん、どして?」
「こういうのは気持ちが大事なのです。ぬえさんの『ムラサが好きー』って気持ちをしっかり込めて……」
「ちょ、ちょっと待ってよ!? ム、ムラサは好きとかそう言うのじゃなくて……っ」

相変わらず素直じゃないです。そういう所が可愛いんですけど。
でも、もう少し素直じゃないと、あの船長さんは気付いてくれない気がしますよ?

「まあ、なんでもいいので、チョコをあげたい気持ちを込めて、ぬえさんなりに」
「私なりにって言われても、ちょっと困るんだけど」
「自分でやるってのが大事なのです。せっかくの手作りチョコなんですからね」
「そう言うものなの?」
「そう言うものです。保証します」

私も、ぬえちゃんの手作りなら、多少雑でも嬉しいですからね。

「……分かった。頑張る」
「ムラサさんも、きっと喜んでくれますよ」
「だから、ムラサはっ……あーうぅ……」

船長さんの名前を出したら、イイ反応。うー、悔しいです。
でも、赤くなった顔を隠しながらラッピングに取りかかる姿は、可愛すぎます。眼福眼福。

「えーっと、ここは……どうしよ……うーん」

あーでもないこーでもないとうなっているのを見ると、つい口出ししたくなりますけど、「ぬえさんなり」と言った手前ここは我慢。
でも、綺麗に仕上げるやり方ぐらいなら……いえ、ダメです。我慢我慢。

「出来た……のかな」
「なかなか良いと思いますよ?」
「うーん、でも……」

悪戦苦闘の末、一通り無難に出来上がった様ですが、どうも気に入らないご様子。
結構良いと思うんですけど。

「まあでも、どうしても気に入らなかったら、作り直すのも手ですよ。袋と飾りはまだ有りますから」
「……そうしてみる」

ひとまず出来上がったのを脇に置いて、次に取りかかるぬえちゃん。
まだ有るとは言いましたけど、リボンとかちょっと高かったので、お手柔らかにして貰いたいです。
……けど、ぬえちゃんになら、全部使われても……!

「ここは……こうかな……あ……」
「ふーん……」
「……なによ?」
「あ、いえ、ちょっと手慣れてきたなぁ、と」
「そ、そう?」
「ええ」

一個作って、大分勝手が分かったようで、手元はかなりスムーズ。
ぼんやり視k眺めていたら、もう二個目が出来ていました。

「出来た!」
「んー、さっきよりも良さそうですね。ムラサさんもきっと喜んでくれますよ」
「えへへ、そうかな」
「私がムラサさんなら、嬉しいですよ」

まあ、私の所には来ないんですけどね!
……いいんです。私は、ぬえちゃんの助けになれば、それでいいんです。

「……ねぇ、早苗」
「ん、なんですか、ぬえさん?」
「最初の作ったやつ、せっかく包んだから、貰ってくれない? 今日のお礼ってことで」
「えっ……と……」

なんですか、その「ついで」みたいなの。
それで喜ぶと思ったら大当たりですよ!!
さあ、ホワイトデーは気合い入れて作るので、覚悟して下さいよ!?

「なんですか、その余り物みたいなの」

でもそんなこと言うのは、女としてのプライドに関わるので、口が裂けても言えません。
……私も素直じゃないですね。ぬえちゃんのこと笑えません。

「う、うるさい! 貰えるだけ有りがたいと思ってよ!」
「はいはい。じゃあ、ぬえさんも、この見本に作ったやつ貰っちゃってくれませんか?」
「どうしてもって言うなら受け取ってあげるわ」
「ええ、どうしてもです。自分で作って、自分でラッピングして、自分で食べるなんて、空しいだけですから」
「なら、仕方ないわね」

甘い雰囲気なんかカケラも無く、まるで弾幕戦が始まるかのよう。
でも、交換するのは弾幕ではなく、乙女の嗜みチョコレート。
あ、チョコレートの弾幕って面白いかも知れません。後が大変そうですけど。
……と、それはさておき、第一歩としては、良くやったと思うんです。
そうですよね? そういうことにします。

「さあ、後はムラサさんに渡すだけですね」
「あ……えーっと……か、片付けしないとっ」
「それには及びません。私にどーんと任せて下さい。ささ、ぬえさんは早くムラサさんの所へ」
「ちょ、ちょっとっ!?」

こういうのは、勢いに任せてさっさとやっちゃった方が良いのです。
考えてもろくな事ありません。
さあ、ぬえちゃん。当たって砕けて、私に慰められるのです!

「さてと……」

ぬえちゃんを無理矢理送り出して一仕事完了です。
片付けは……まあ後で良いでしょう。どうせ神奈子様も諏訪子様も出かけてますし。
そんなことより、これを足がかりに、どうやってぬえちゃんを攻略するかです。
ぬえちゃんは相変わらず船長さんしか見えてませんけど、その船長さんはぬえちゃんの気持ちに気付いている様子はありません。
つまり、私にもチャンスはあると言う事。ぬえちゃんを思う気持ちなら、負けてる気はしないですからね。
と、いうことで、諦めませんからね、船長さん――!
なんとか間に合ったぜー。
スペシャルサンクス明治製菓。

タイトルは何も思い付かなかったんだ、すまない。
tukai
http://ginfei.g.ribbon.to/
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コメント



0.870簡易評価
3.80名前が無い程度の能力削除
早苗さんに勝ち目あるのか?w
めげなさそうだけどさw
5.100名前が無い程度の能力削除
ガンバレ早苗
6.90奇声を発する程度の能力削除
早苗さんガンバw
10.100名前が無い程度の能力削除
片思いの相手が自分以外に贈るチョコ作りを手伝ってあげるとか
早苗さんマジ女神

若干業が深いところはあるがw
14.100名前が無い程度の能力削除
力づくで…
16.90名前が無い程度の能力削除
タグの一方通行に期待しちゃったじゃないか
25.無評価名前が無い程度の能力削除
当たって砕けて、私に慰められるのです!の所吹いたwww
早苗ガンバwww