Coolier - 新生・東方創想話

こいしとさとりの想起迷宮

2011/02/09 20:23:16
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朝起きて、自分の家族の顔が目の前にあるというのはどんな気持ちがするだろう。
私、古明地こいしは幸運にもその気持ちを知る機会を得た。
なぜなら目を覚ました私の前で、私のお姉ちゃん、古明地さとりが、真顔で私の顔を覗きこんでいたのだから。

(……って、全然幸運じゃないよ!きもいよ!朝起きたら自分のすぐ側にゴキブリを見つけちゃったくらいきもいよ!こんな気持ちはむしろ知りたくないよ!)

お姉ちゃんびっくりするくらい無表情だし、もういっそ枕元に幽霊が立っていた方がまだいいかな、と思ってしまうくらいに怖かった。

「おはよう、こいし」
「お、おはよう……」

超至近距離、おでことか鼻とか、く、唇とかくっついちゃうんじゃないかという距離でお姉ちゃんはいつも通りの挨拶をした。
体に感じる重さから考えると、どうやらお姉ちゃんは私の体に跨っているらしかった。

「えっと、お姉ちゃん?」
「何かしら、こいし?」
「うん。何かしら、ではないよね。この状況がおかしいことはお姉ちゃんも絶対わかっているよね?」

お姉ちゃんは、一度顔を離して体を起こした。
そして、私が何を言っているのかわからないとでもいうように、何ともわざとらしく首をかしげる。

「お姉ちゃんバカだから、こいしの言ってることが良くわからないの、てへ」
「その電波なキャラなに!?いつもとキャラが全然違うよ!」
「こいし星からやって来た、さとりんです♪」
「どこ!?その私が所有していそうな星はどこなの!?そしてなんでさとり星にしなかったの!?」
「……つ、月から十五分のところです♪」
「今ちょっと考えちゃったよね?絶対答え用意してなかったよね?しかもこいし星近いよ、もう八雲紫が侵略していそうな距離だよ」
「そんなことはない……ゲソ」
「危険だよ!その語尾はもうアウトな領域だよ!」
「はっ……すまぬな、こいし殿、拙者少々頭がおかしくなっていたようでござる」
「急に新キャラが出てきたんですけど!?」
「こいしちゃん、安心しなよ、俺がきたからにはもう大丈夫だ」
「いやいや安心できないよ!何一つ大丈夫じゃないよ!不安が三倍くらいに膨らんでるよ!」

もちろん全て、お姉ちゃんとの会話である。
なんだか今日はやけにテンションが高いみたいだ。
独特のユーモアセンスを持つお姉ちゃんだけど、朝からこんなに飛ばしているのも珍しい。
私は体を起こそうと思って、でも上にお姉ちゃんが乗ったままだと起きれないことに気がつく。

「うんとね、お姉ちゃん、とりあえず私の上からどいてくれないかな?」
「嫌です」
「でもこのままだと私動けないし……」
「嫌です」
「あ、あのね」
「嫌です」

あ、あれれ?何だろうこれ。
俗に言う詰んでるってやつなのかな。
バグを起こしたゲームのキャラみたいに、お姉ちゃんが同じことしか言わなくなっちゃったんだけど。

「お姉ちゃん、せめて他の回答をして欲しいな」
「拒否します」
「えっと、それは嫌ですに代わる回答のつもりなのか、それとも私のお願いを拒否するということなのか、もうどっちかよくわからなくなっちゃうよね」
「前者+後者÷2」
「えっと、その数式はちょっと解けそうにないし、日常会話でそんなことを言う人は、今までの人生の中でお姉ちゃんが初めてだよ」

お姉ちゃんは、どうあっても私を解放するつもりがないようだった。
なんだかやっぱり今日はちょっとおかしいな。
いつもなら、もうそろそろ解放してくれるはずなのに……

「お姉ちゃん、今日はどうしたの?」
「……」
「お姉ちゃんらしくないよ、なんだか聞き分けのない子供みたいな」
「……こいしが悪いんですよ」
「えっ?」
「何時も何時も、勝手にいなくなってしまうこいしが悪いんです」
「あ……」

いきなり真剣な声で、そんなことを言われた。
ふと気がつくと、お姉ちゃんがいつの間にか、悲しげな瞳で私のことを見ていた。

「こうしていないと、こいしはまた知らない間にどこかへ出かけてしまって、そして知らない間に帰ってくる。そうでしょう?」
「それは……うん……」

お姉ちゃんの言葉を否定するとはできなかった。
私はいつもふらりと出かけては、家の誰にも知られないうちに帰ってきている。帰らなかったことも一度や二度のレベルではない。放浪癖とは言わないまでも、家の中にいるより外に出掛けてしまおうとするのは私の日課だった。
でも、お姉ちゃんだってほんとうは……私がいない方がいいと思ってるに決まってるんだ……

「だから、こいしはここでずっと、私の下敷きになるんです」
「あはは……それはちょっと、面白いかもね……」

そう言いながら、私はこの状況を打開しようと試みた。
お姉ちゃんは軽くて力も弱いから、腕を使えば簡単に動かすことができるはず。
そう思って、お姉ちゃんの細い体に腕を伸ばそうとした時……

がしゃん!

と、何か金属と金属がぶつかるような音がした。
私の両手が、ベッドに手錠で結ばれていた。

「えっ……」

がしゃ、がしゃ、と腕を動かそうとする度に鳴る金属音。手錠の鎖はとても短くて、私はほとんど腕を動かす事ができない状態だった。

「残念ながらこいしの腕は拘束させてもらいました」
「ちょっ、嘘っ!?」
「嘘ではありません。マジです。本気と書いてマジです」
「それはなんか違くない!?」
「警察官プレイです」
「やばいよ!どう考えても怪しい展開しか見えないよ!」
「こいしかわいいよこいし」
「わああああ!?そんな顔で迫ってこないでよ!むしろお姉ちゃんが逮捕される側になってるよ!!」

私は予想外の展開についていけていなかった。というか、今ちょっとシリアスな空気だったんじゃないの?なのにどうしてお姉ちゃんの唇が迫ってきてるの?で、でも別に嫌って訳じゃ……いや違う違う!!

「は、離してよお姉ちゃん」
「よいではないか、よいではないか~」
「お姉ちゃんのキャラが安定しないのはわかったから!とりあえず顔を近づけるのをやめてー!!」

もはや、これまでか。
でも、お姉ちゃんとだったら、私……
そう思いながら、私は最後の抵抗とばかりに体を上下に揺らして。そして私に迫り上体を寝かせていたお姉ちゃんの第三の瞳と、私の閉じられた第三の瞳が触れ合った。
途端、視界に光が満ちた。















~心界『想起迷宮』~















ぴちょん、ぴちょんと水の跳ねる音がする。
最初、音は遠くで聞こえたような気がしたが、徐々にすぐ側で聞こえているのだとわかるようになった。
そう思ったら、なんだか顔に水があたっているような気がしてきた。

「ん……冷たい……」

その冷たさで、私はようやく目を覚ました。

そうだ、いきなり視界が光に包まれて私は意識を失ったんだ……

どうやら私は仰向けに寝ているようだった。その頬に、何やら水が滴ってきている。なんでだろうと思って薄目を開けてみると、心配そうにこちらを見るお姉ちゃんの顔が見えた。

「……お姉ちゃん?」

呟く私の顔に向けて、濡れた布のようなものをぎゅっ、ぎゅっと握って水を滴らせているお姉ちゃん。私が目覚めたことに気がつくとそれを止めて、大丈夫?と聞いてくる。
私は大丈夫だよ、と応えるように頷くと、そのままゆっくりと体を起こした。

「ねぇお姉ちゃん、なんで私の顔に水をかけてたの?」
「古代の拷問でそんなものがあると聞いたことがあったので」
「…………えっ?」
「拷問は苦痛でしょう?だからそれに耐えられなくて早く目覚めるかと思って」
「他にもっと方法あるよね!?なんでよりよって第一候補が実の妹に対する拷問になるの!!」
「いいえ、これは拷問の中でも第三候補でした」
「まずは拷問から離れようよ!!お姉ちゃんの中で拷問はどれだけ優先度が高いの!?」

お姉ちゃんがなんでそんなに拷問に詳しいのかを聞きたくもあったけど、今はそんな場合ではなさそうだった。
会話をひとまず打ち切って辺りの様子を確認する。

「地底……じゃないよね。どう見ても」

まず、眩しいほどに空に煌めく太陽が、地底説を完全に否定していた。
それどころか、大小様々な草木がいくつも生い茂っており、天高く自らの体を伸ばしている。ちょっとした森の中にいるらしい。
すぐ近くには小川が流れていて、さっきお姉ちゃんが使っていた布は、あそこで濡らしたのかなと思った。
なんだか木々の木漏れ日と、小鳥達の鳴き声が、辺りの空気を優しく澄み渡らせているみたいで、すごく心地が良い。
でも、さっきまで地底にいたはずなのに、どうしていきなり地上にきてしまったんだろう。
その疑問はお姉ちゃんも同じだったらしく、私と顔を合わせると同時に首をかしげた。

「お姉ちゃんはここがどこだか分かる?」
「私は地上にはあまり出ませんから……でも何か既視感があるような」

お姉ちゃんはすっかり冗談を止めて、辺りを入念に観察しながら、その既視感の正体を探ることに集中していた。
私は、ぱん、ぱん、と服についてしまった土を払うと、すっと立ち上がって、少し歩き回ってみようと足を踏み出した。

「こ、こいし、ちょっと待ってください、私も行きますから」

私と同じように土を払うお姉ちゃん、細かい仕草はどこか私に似ている気がして。
それが姉妹の証であるように思えて、私は少し嬉しくなった。



私達は小川に沿って歩くことにした。
川のせせらぎや太陽を反射して輝く水面は本当に綺麗で、なんだかすごく穏やかな気持ちになってくる。
ふと、後ろを見ると、体二つ分くらいの距離を開けて、お姉ちゃんは私の後ろを歩いていた。
もっと近くに来てくれてもいいのにな、とさっきまで嬉しかったはずの気持ちがどこかに消えてしまっていた。

「なんでかしら……昔、ここに来たことがあるような気がする」

そんなお姉ちゃんの呟き、それを聞きつつ、私は川の上流と思しき方向へと歩き続けていた。

ふと、進行方向に人影のようなものが見えてきた。
どうやら川辺に座り込んで、兎や狸といった動物に囲まれているらしい。
遠目からではあったが、私は微笑みを浮かべるその横顔が、良く知っている人物のそれと、とても似ているような気がした。

「あれ、もしかしてお姉ちゃんじゃ……」
「え?」

後ろにいたお姉ちゃんが立ち止まった私の横に並んで、同じものを見る。その時のお姉ちゃんの唖然としたような顔を見て、私はあそこにいるのがお姉ちゃんなのだと確信した。
体は隣にいるお姉ちゃんよりちょっと小さいくらい、でもその顔立ちはすごく大人びている。

(もしかしたら昔のお姉ちゃんかな)

そう思いながら、私は頭の片隅で別のことを考えていた。
既視感、お姉ちゃんがさっき言っていた感覚が、私の中にも微かによぎったのだ。
遠目に見守る私達をよそに、小さなお姉ちゃんは動物達と楽しげにじゃれ合っている。
そのお姉ちゃんに向かって、数人の子供達が近寄ってきた。直感的に妖怪の子供かなと思った。

「おい見ろよ、古明地の奴がいるぞ」
「うわ、友達のいない古明地じゃん」
「おいおいよく見てみろよ、いるじゃん、動物の『お友だち』がさ」

子供達は、お姉ちゃんを馬鹿にするように笑い合った。
小さなお姉ちゃんは、そんなことなどなんとも思ってないという風な顔をしているが、私はその光景をむっとした顔で見ていた。
それと同時に、私の中にまた既視感が蘇る。
妙な感覚にずきっと痛む頭を押さえながら、隣を見ると、そこには顔面を蒼白にしたお姉ちゃんがいた。
あまり見たことのないそんな顔が、私はちょっと怖かった。

「ちっ、なんとか言えよ!」

子供達のうちの一人が、近くにあった石を投げた。
あっ、と思った時にはその石はお姉ちゃんに、ではなく、すぐ側にいた兎にぶつかった。
石をぶつけられた衝撃で倒れてしまった兎を見て、小さなお姉ちゃんは一瞬慌てた後、兎に怪我が無いかを確認した。
そして、ゆらり、とゆっくり立ち上がったのだ。
その顔には表情が一切なく、でも普段のお姉ちゃんと違って、鋭い冷気のようなものを感じさせた。
ぞくり、とした悪寒が背筋に走る。

「だ、だめです!この先を見てはだめですっ!!」

隣のお姉ちゃんが私の視界に割って入ろうとするよりも早く、それは起こった。

「想起」

小さいお姉ちゃんがそう呟くと同時、第三の瞳がぐわっと見開かれる。
次の瞬間……

『う、うわああああああああああああああ!!!』


――子供達の絶叫が、一斉に響き渡った。


子供達の目は、もうお姉ちゃんを見ていなくて、私には見えていない『何か』を激しく恐れているようだった。
想起、相手のトラウマを呼び覚ますという、お姉ちゃんの持つ能力。
一人は尻餅を突き、一人は動けずに立ち尽くしたまま、一人は逃げだそうとして、しかし振り向いてまた絶叫する。穏やかな森の情景と裏腹に、その様子はまさに地獄絵図とでもいうものだった。



しばらくして、子供達の声が枯れてくると、第三の瞳は見開いていた目を少しだけ閉じた。
それは、想起の終わりを意味していた。

「……ば……ばけもの……」

子供の一人が、震える声をどうにか絞り出していた。
気がつけば子供達は全員腰を抜かしていて、どう見てもしばらく立ち上がることができそうになかった。
そんな姿を、まるでどうでもいいという風に横目でわずかに眺めたお姉ちゃんは、再び近くにいた動物達とじゃれ合い、微笑みを交わす。
そこにいるのは、今のお姉ちゃんからは想像できないような、冷たいオーラを纏ったお姉ちゃんだった。

「こ、こいし……違うんです……今のは……あの……」

ずっとその光景を見ていた私の隣で、お姉ちゃんがしどろもどろに言い訳を口にしようとしている。
きっと、自分があんなひどいことをしていたのを、私に知られたくなかったんだろう。だからこんなに動揺してしまっている。
お姉ちゃんが言っていた既視感とは、きっとこの時の記憶だったんだ。
そして私は、それと同時にもうひとつ理解していた。

「……知ってたよ」
「え……?」
「私、このこと知ってた……だって私、これを見てたもん……」

この光景は、お姉ちゃんの記憶であり、そして私の記憶でもある。
この日、この時、この場所で、私はお姉ちゃんのことを見ていたのだから。
それが、私が覚えた既視感の正体だった。

「そ、それは……」

お姉ちゃんが何かを言いかけたその瞬間、こめかみの辺りに激痛が走り、世界がぐにゃりと歪んだような気がした。
私は歪んだ視界で体がふらつきそうになって、両目を閉じてこめかみを押さえながら、その激痛が治まるのを待った。




















なんとか痛みが治まって、私はゆっくりと目を開けた。
いつの間にか、視界一面に湖のような景色が広がっていた。

「あれ……?私、いつの間にこんなところに?」

さっきまで小川の近くにいたはずなのに。
はっ、と思って隣を見ると、お姉ちゃんはちゃんと私の隣にいた。

「……こいし、これはいったいどういうことでしょうか……?」
「わ、私にもわからないよ……」

どうやら、お姉ちゃんも同じ状況だったらしく、私達は再び首をかしげた。
とりあえずきょろきょろと辺りを見回すと、どうやらこの湖は森の中にあるらしいことがわかった。
もしかして、さっきまで私達がいた場所の近くなのでは?
そんな考えが私の中に浮かぶ。
そしてもうひとつ、またも既視感のようなものが私の頭を支配していた。

(これも私の記憶ってこと?)

何が起こっているのかはよくわからないが、私達の前に広がる風景は、私達の記憶の中に存在するものらしい。
もしかしたら、お姉ちゃんや私の能力が何らかの形で関わっているのだろうか。

「あっ……」

不意に、お姉ちゃんが声をあげた。
何か見つけたのかなと思って、その視線を目で追ってみる。
お姉ちゃんの視線は、湖のほとりに座りこんでいる一人の少女に向けられているらしかった。

「えっ!?」

その姿を見て、私は驚愕する。
なぜならその女の子が、小さい頃の私そのものだったからだ。

(そうだ……私はここに来たことがあるんだ)

この湖は確かに私のお気に入りの場所だった。
地上に居た頃に一番よく来ていた場所。
それならこれはやはり、私の記憶の投影ということなのだろうか。

「ねえ、お姉ちゃ――」

私の考えをお姉ちゃんに話そうとしたところで、幼い私に向かって、何やら近づいてくる人影があることに気がついた。
その人影には見覚えがある。私が幼い頃仲良くしていた数少ない友達の一人だった。

「なっ!こ、こいし!?」

その友達は、幼い私を見つけた途端、まるで恐ろしいものを見てしまったかのような驚きを露にしていた。

「あ、おはよう~。どうしたのそんなに驚いた顔して?」
「ち、近寄らないでっ!!」
「えっ……?」
「あ、あんたもあのお姉ちゃんと同じ化物なんでしょ!?し、知ってるのよ!その瞳で変な力を使って色んな人達を精神崩壊させてるってこと!」
「ち、違うよ!私はあんなことしないよ!!」

あんなこと、というのはさっき小さなお姉ちゃんが子供達にしていたことだ。
そうだ、この記憶はあのお姉ちゃんを見てしまった後の出来事だ。
精神崩壊というのは噂に尾ひれが付いただけだが、確かにお姉ちゃんのやっていたことは、そうなってもおかしくないくらいにひどいことだった。
お姉ちゃんは何度かそういうことをしていたらしく、そのせいでみんな私に近寄ろうとしなかったのだ。

「嘘言わないでよっ!もういやっ!!あんたなんか友達じゃない!!」

幼い私は、まだ第三の瞳を開いている頃だったから、相手の心がわかってしまう。
相手が、どれだけお姉ちゃんを、そしてその妹の私を恐れているのかわかってしまい、どうしていいかわからなくなって。
それから私は……

「ま、待って、違うの!あ、あれは、あの人は……」

その時、私はようやくこの先に続く言葉を思い出した。
それは絶対にお姉ちゃんには聞かせたくない言葉。
私の顔からさぁっと血の気が引いていく。
咄嗟にお姉ちゃんの耳を塞ごうかと考え、しかし、そう判断するのはあまりも遅すぎていた。

「あの人は、私のお姉ちゃんなんかじゃないっ!!あんな気持ち悪い人、私のお姉ちゃんなんかじゃないのっ!!」

幼い私は、私が最もお姉ちゃんに聞いて欲しくなかった言葉を、躊躇うことなく叫んでいた。










結局、友達は聞く耳を持っていなかったらしく、幼い私から逃げるように森の中へと走り去ってしまった。
その様子を眺めながら、私はただ立ち尽くしていた。
怖くて、隣にいるお姉ちゃんの顔を見ることができない。

「ぐすっ……どうして……うぐっ……」

湖のほとりに、幼い私の泣き声だけが響く。
幼い頃の私にとって、こんなことは初めてではなかった。
もともと、心を読めてしまう第三の瞳のせいで嫌われることは多かったけど、それでも友達でいてくれる子もいた。
だけどそんな友達も、お姉ちゃんが原因で、みんな私から離れていく。
幼い私には、友達を失うという悲しみは耐えがたくて、だから自分はお姉ちゃんの妹ではないと主張して、どうにか友達を繋ぎとめようとして、それでも誰も立ち止まってくれず、私はお姉ちゃんに責任を求めずにはいられなかったのだ。


そして、確かこの数日後、私は第三の瞳を閉じた。


「お姉ちゃん……あの……」

私はお姉ちゃんになんて言い訳をすればいいのかわからなかった。
しかも、あることに気がついてしまったのだ。

これってさっきのお姉ちゃんと一緒なんじゃないだろうか。

そのことに思い至って、まさかと思いながらお姉ちゃんの顔を見る。
すると、お姉ちゃんは悲しげな目で、しかしまるで全てわかっていたかのような優しい表情をしていた。
それだけで、もう、分かってしまった。

見てたんだ……この日、この時、この場所で、私の叫びを聞いていたんだ。
この光景も、私の記憶と、そして、お姉ちゃんの記憶でもあったんだ……

突如、こめかみに再び激痛が走った。私はたまらず両目を強く閉じて、必死で痛みに耐えることだけに集中する。そうして、また世界が歪んでいくのを感じていた。




















次に目を開けた時、そこは何故か闇の中だった。
今までいた場所とは全く違う。
空も地面もない。森も、湖も、小川も、どこにもない。
ただ、漆黒の闇が埋め尽くしている世界。
その世界の中で、まるで私の体だけが光っているかのように、闇の中でもはっきりと見えていた。

(これも何かの記憶なの?)

でも、闇の中にいる記憶の投影というのも意味がわからない。
とにかく、今までとは何かが違う。
そんな感覚を、私は肌で感じていた。

「……こいし」

不意に、闇の中から私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
この声は間違いなくお姉ちゃんのもの。
さっき移動した時も隣にいたんだし、きっと近くにいるに違いない。
そう考えて、ゆっくりと視線を動かしていく。
そして、少し離れた場所に佇むお姉ちゃんの姿を見つけた。

「お姉ちゃん!」

私はすぐにお姉ちゃんに向かって、駆け出そうとした。

「……近寄らないでください」

その刹那、お姉ちゃんの口から、何かとても冷たい響きを持った言葉が放たれる。
私は一瞬、何を言われたのかわからなくて、そのまま歩みを進めようとして

「近寄るな、と言っているんですよ」

もう一度その言葉が放たれて、今度こそ私の歩みは止まった。

「お、お姉ちゃん……どうしたの?」
「どうもしていません、ただ近寄って欲しくないだけです」
「え、えっと、もしかしてまた何かの冗談とか――」
「冗談ではありません。あなたが側にいるのが嫌なんですよ」

それは、あまりにも直接的な言葉だった。
お姉ちゃんが私に示した、はっきりとした拒絶。
あまりにも突然のことで、それがとてもショックで、私は頭が混乱していた。

「お、お姉ちゃん……」
「その呼び方もやめてもらいましょうか、白々しい」
「そんな……だってお姉ちゃんは、私のお姉ちゃんだから」
「あの人は私のお姉ちゃんなんかじゃない」
「っ……!」
「あんな気持ち悪い人、私のお姉ちゃんじゃない」

お姉ちゃんに最も聞かれたくなかった、幼い頃の私の言葉。
記憶の奥底に封じ込めていた、あの時の言葉。
それを今、目の前で、お姉ちゃんの口から言われてしまった。

「あの時、私は見ていましたから。こいしがそう思っていることはずっと知ってたんですよ」
「ま、待ってよお姉ちゃん……」
「だから、その呼び方をやめろと言っているんですよ」

私はその時、お姉ちゃんの怒った顔をはじめて見た。
普段無表情な顔ばっかりのお姉ちゃんが、私のことを睨みつけている。
その顔が、純粋に怖かった。

「あなたは実の姉を裏切った」
「ち、ちがうよ!裏切ってなんかいない!」
「裏切りですよ、私が姉であることを否定して、友達の方を選ぼうとしたんですから」
「違うよ……」
「隠していれば、ばれないとでも思っていたんですか」
「…………」
「ほんと、都合のいい生き方ですよね」

何一つ、言い返せなかった。
だってあの時に私がしたことは、もう事実として残ってしまっているのだから。
私はお姉ちゃんを否定した事実を、ずっと隠してきたんだ……。

「結局友達がいなくなって、私のことはお姉ちゃんって呼び続けて。あなたみたいな卑怯者にお姉ちゃんなんて呼ばれるのは虫唾が走りますよ」

お姉ちゃんの口から次々に飛び出してくる罵倒の言葉に耐え切れなくて、私は両手で耳を塞いでうずくまった。
もう、何も聞きたくなかった。何も見たくなかった。
いつものお姉ちゃんの優しい言葉とか、変わった冗談とか、そんなものを聞かせて欲しかった。
けれど、そんな私に追い討ちをかけるようにお姉ちゃんの言葉が休みなく飛んでくる。

「あなたはよく、いつの間にか出かけたり帰ってきたりしてますけど、あれ、私の興味を引こうとしているんですよね?そういう子供っぽいところが、ほんとうに嫌で嫌で仕方が無いんですよ」

図星だった。
私の放浪癖は嘘ではないけれど、それは元々、お姉ちゃんに気にかけてもらいたくて黙って家を出たことから始まったんだ。
お姉ちゃんが心配してくれるのかどうか、試していたのだ……。
だけど、お姉ちゃんはいつも本気で引きとめようとはしてくれなくて。
今日だって手錠で拘束なんてしていたけど、あんなものがお飾りで、すぐに解放することは私にもわかっていた。

形だけ心配してくれていたけど、本当は私がいなくなっても何とも思わないんだよね……?
私がいなくなってしまった方が、いいって思ってるんだよね……?

「いざとなれば簡単に私を切り捨てるくせに、友達がいなくて寂しいから、私に振り向いてもらいたがる。最低の生き方ですね」

やめてよお姉ちゃん……そんな言い方しないでよ……

「それともう一つ、あなたのような心が読めない存在は、私にとって本当に不快なんですよ。できれば消してしまいたいくらいにね」

……消すなんて、言わないでよ……

「もう二度と私に近づかないでください。あなたは妹でもなんでもない、ただの他人なんですから」

……やだ、待って……お願いだから待ってよ……

何か、何か言わなければ。
このままだと本当に、お姉ちゃんがどこかに行ってしまう……!

「……ご、ごめんなさい」
「はい?」
「ごめんなさい……お姉ちゃん……」

両耳をふさいで座り込んだままの姿勢で、私はお姉ちゃんに謝った。
それ以外に、どうすればいいのかわからなかった。
頬に、幾筋も涙が伝っていった。

「……また、お姉ちゃんと呼びましたか」

怒りのこもった低い声が聞こえてきて、そして突然、お姉ちゃんの手から弾幕が放たれた。
それはもちろん私に向けられたものだった。
私はお姉ちゃんに攻撃されたということの驚きで動くことができなくて、そのいくつかに被弾してしまう。

「……ごめんなさい……ごめんなさい……」

被弾してしまった体のあちこちが痛む。
それでも私は謝り続けた。震えて、泣きながら謝った。
もうとにかくお姉ちゃんが怖くて、何も考えられなくなっていた。

「……あなたはもう、ここで消してしまった方がようさそうですね」

顔を上げて、お姉ちゃんのほうを見る。
今度は私に向けて、その両手を翳していた。
そこから放たれる弾幕が、きっとまた私に当たる。

(避けなきゃ……でも、体が動かないよ……)

お姉ちゃんに嫌われたという現実。
いや、もともと好かれていなかったのだ。
それが今回のことで、決定的になっただけ。
お姉ちゃんが私を好きじゃないことなんてわかっていたはずなのに……
なのにどうしようもなく悲しくて、苦しくて。


私はもう避けることをあきらめていた。
ただ茫然とお姉ちゃんの両手を見つめて――

「こいし!!」

そんな状態だったから、背中から聞こえてきたその声が、お姉ちゃんのものであると気がつくのに、ちょっとだけ時間がかかってしまった。




















私は闇の中で目覚めると、まずこいしの居場所を探していた。
さっきまで隣にいたはずの妹の姿が、全く見当たらないのだ。

「お姉ちゃん……」

遠くから、こいしが私を呼ぶ声が聞こえた。
その声の方を見ると、闇の中にこいしの姿がぽうっと浮かんでいた。
私はこいしがいたことにひとまずほっとして、近づこうと歩みを進めた。

「来ないでよ、化け物」

しかし、こいしから発せられた一言が、私の歩みをぴたりと止めた。

「私に近寄らないでよ、化け物のくせに」
「こ、こいし……?」
「気安く名前を呼ばないで!!」

びくっと体が震える。
こいしがあんなに声を荒げるなんてはじめてのことだったから。

「あんたのせいで、私がどんな思いをしたかわかってるの?」
「それは……」
「あんたのその瞳の力は、化け物と同じなんだよ」

その言葉に、私は何も言い返すことができなかった。
こいしはあの時、私のことを見ていたのだ。幼い頃の私が、他人に対してどんなことをしていたのかを、知ってしまっていたのだ。
あれは、私が最もこいしに見せたくなかった記憶。
化け物と呼ばれても仕方がない姿。
それを、ずっと昔から知られていたのだ。

「あれを思い出す度に、ずっと腹立たしく思ってた」
「…………」
「あんたが心が読めるから嫌われてるんだったら、私だってまだ納得できたよ。でも、あんたが自分の力をあんな風に使っていたなんてね」

第三の瞳は誰かの心を読むことができる。その瞳で見たものの心だけでなく、周囲に存在する人の気持ちならお構い無しに読める。私が嫌われていたのは、そのことが原因でもあった。
だけど、最も大きな原因は、私が使っていたトラウマを見せる力だったのだ。
そしてそれは、同じ第三の瞳を持っている、こいしが嫌われる原因にもなっていた。

「相手のトラウマを、それも心の奥底に眠っているようなその人にとっての一番のトラウマを、容赦なく引き出して、相手を精神崩壊に追い込む。それって、相手を殺そうとしているのと同じだよね」

人間であろうと、妖怪であろうと、多くの生物の精神は脆い。たとえ力の強い妖怪であっても、精神はあっけなく壊れることもあるし、どれだけ長く生きていても、その分だけトラウマというものは心の奥で膨れ上がっていたりするから、長生きしてるほど辛いものになることもある。
トラウマは、その人がそれに向き合おうとしない限り、永遠に残り続けてしまうのだから。

「そんな化け物みたいな人は、私のお姉ちゃんなんかじゃない」

こいしの言葉が、まるで冷たいナイフのように私の心に突き刺さった。
そのナイフが私の胸に突き刺さるのは、これで二度目だった。
こいしが私のことを嫌っているのは、あの日からずっとわかっていたことだ。
だからいつも、私に声もかけずにふらりといなくなってしまうし、私がそれを止めようとすると困ったような、悲しいような顔をしてしまう。
それで私もどうしていいかわからなくなって、結局はこいしを解放してしまうのだ。

「あんたの妹でよかったことなんて、ひとつもないんだよ」

こいしの言葉のひとつひとつが、私の心を傷つけていく。
そうだ、私みたいな化け物が妹に好かれようとするなんて虫のいい話なのだ。
第三の瞳で相手の嫌な気持ちや暗い気持ちがわかってしまうのに、それでも誰かと関わろうと、繋がろうと頑張っていたあの子の気持ちを、私はずっと踏みにじっていたというのに。
でも、あの子が嘘でも私のことをお姉ちゃんと言ってくれるのが嬉しくて。
妹に慕われているのだと思い込むようにして。
私はずっと、現実から逃げていたのだ。

「まぁこんだけ言っても、私の側にいたいなら勝手にすればいいよ。でも、私を妹として扱うならその時は、大嫌いなあんたを必ず消してあげる」

その言葉がトドメだった。
こいしは私を消すのだという。
化け物みたいな私に、妹として扱われたくないのだという。
それはそうだ、私に姉の資格なんてあるわけない。
わかっているのに、私は胸が張り裂けそうだった。
心が痛んで、涙が目から溢れそうになっていた。
もういっそここで膝を抱えてうずくまってしまいたい。
こいしの瞳から、言葉から、逃げてしまいたい……















でも、私は逃げなかった。
自分でもどうしてここに立っているのか、良くわかっていなかった。
だけど、私はこいしに何かを言わないといけない気がしていたのだ。
こいしの言葉を聞いてからずっと、私の心の中で、何かがくすぶっていた。

「……側にいるのは……いいんですか……?」
「……なんだって……?」

そのくすぶっている何かが、私自身にもわからないまま、それでも必死で言葉を絞り出して、涙がこぼれてしまいそうな瞳を、こいしに向ける。

「……こいしの側にいるのは……いいんですか?」

こぼれてしまった涙が、私の頬を伝っていく。

「それなら私……こいしの側にいたいです」

私をあれほど嫌っているこいしに、その言葉に耐えられなかったはずの私が、しかし何故かそんなことを口にしていた。

「本気で言ってんの!?私はあんたを化け物だと思ってるんだよ!?あんたのことお姉ちゃんだなんて思ってないんだよ!?」
「それでも……こいしの隣に……こいしの側に……いたいんですよ」

こいしに嫌われているのはすごく辛い。
大切な妹が、私のことを姉としてみてくれないのは、本当はとても辛いことだ。
だけど、私はあの子の側にいたいのだ。
こいしは私が言っていることが信じられないらしく、困惑の表情を浮かべていた。

「まさか冗談だと思ってるの!?本気だよ!!私は本気であんたのこと嫌ってるんだよ!!」
「それでもいいんです……」
「っ……」
「だから、もしもこいしが許してくれるなら……側にいさせてください」

私の心の中でくすぶっていたものを、芽の出かけているものを、しっかりと言葉にしていく。
だけど、まだまだ想いを形にしきれていなかった。
もっとこいしに伝えたい言葉があるはず。
私は、心の中で、必死にもがいて、自分の感情を探していた。

「……だったら、あんたなんか私の側にいさせない!!」

こいしの側にいることも拒否されてしまった。
今度こそ、完全な拒絶。
それでも不思議と、私はそれほど傷ついていなかった。

(ああ、そうか……)

だってもうこいしに嫌われているのはわかっていることだから。
私が少しずつ、その事実に正面から向き合おうとしているから、こいしの嫌いという気持ちを受け止めているのだ。
だからまだ、私の言葉は止まらない。

「……たとえ側にいられなくても、私がこいしの側にいたいという気持ちは揺るぎません……」
「……っ!」

こいしがいくら私を嫌っても、こいしがこの想いを拒絶しても、それでもこの想いは譲ってあげない。
この想いはとても大事なものだから。
そして少しずつ、私の中に芽生えた感情の正体がわかってくる。
側にいたいというのは、その感情の派生なのだということも。
その感情が徐々に大きくなっていくのに合わせて、浮かんでくる気持ちをしっかりと言葉にしていく。

「……私、こいしが本心を喋ってくれて嬉しかったんですよ」
「なっ……!」
「いつもこいしがどう思っているのか、びくびく怯えながら過ごしていたけれど、あなたが思いっきり本音をぶつけてくれて、そのことが嬉しかったんです」
「な、何を言ってるの……?」
「だから、私だって本音で向き合わなければならないと思ったんです」

私は自分の本心を自分でわかっていなかったけど、ようやく、その感情の正体が、おぼろげながら、しかし、はっきりと分かってきた。

それは普段の私なら絶対に口にすることが躊躇われるような言葉。
だからこそ、胸に秘めたまま埋もれてしまっていた、たったひとつの感情の芽。
この場所で、こいしの本音を聞いて、私の中で決意ができたことで、一気に大きくなったその感情。
それがなんと呼ばれる感情なのか、とうとうわかってしまったのだ。

それはとても恥ずかしい気持ち。
気がついた途端、顔が赤くなってしまうような気持ち。
私はなんだか緊張してしまって、一度深呼吸をする。
心臓が早鐘を打って、全く落ち着いてくれない。
それでも、もう一度ゆっくりと息を吸って、私はようやくその想いを口にした。

「私は……こいしのことを、愛しているんです」

ずっと胸の奥に秘めていて、私自身も気づかない場所にあった大切な想い。
こいしとしっかり向き合って、確かな形となった想いを、私はちゃんと声にして届けることができた。
そうすると、心の中で、その感情が一気に溢れてしまって、もうそれだけで埋め尽くされてしまう。
その感情で満たされた心は、本当に気持ちが良くて。
だから私はもう一つ、言葉を続けた。

「好きな人が、愛する人が生きていてくれれば、もうそれだけで何もいらないんです……」

それが、私の見つけた感情と、私の出した答えだった。
誰だって好きな人には好かれていたい。
でも、嫌われたからって、想いが届かないからって、それでその人を嫌いになるなんてできないのだ。側にいれらないからって、この気持ちは捨てられない。だから恋をする人はみんな辛いのだろう。
想いが常に双方向であるとは限らないのだから。
一方通行な想いがいくつもあることを、他ならぬ私自身が一番良くわかっているはずだ。
私はこいしの気持ちがわからないのが怖くて、自分の気持ちを打ち明けてしまうのがずっと怖かったのだろう。
こいしが私を好きでいてくれないなら、それをきちんと受け入れよう。
だって私はこの気持ちだけがあれば十分だから。
どこかで、好きな人がちゃんと生きていることがわかるだけで、それだけでもう何もいらない。
好きな人にどれほど嫌われても、近づくことが許されなくても、私はその辛さに耐えることができる。

「……なにそれ……それで……お姉ちゃんはほんとにそれでいいの!?」

こいしの口からお姉ちゃんという言葉がこぼれる。
少し前まで、そう呼ばれていたはずなのに、その言葉は本当に懐かしいものであるように思えた。

「……はい、心から、そう思っていますよ」

自分のことを隠したまま、誰かに向き合ってもらおうなんておかしな話だ。
自分の心を開かなければ、相手が心を開いてくれるわけがない。
化け物と呼ばれていた私を見ていたこいし、その私を嫌いだと言っていた幼いこいし。
認めたくなかった事実と、認めたくなかった記憶。
それらに私は今、ちゃんと向き会った。
そして、本当の気持ちにたどりつけたのだ。
それはすごく、幸福なことではないだろうか。
それだけでもう、十分なんじゃないだろうか。
私はそれくらい、本当にどうしようもないくらい、こいしのことを愛していたのだ。
すごく恥ずかしい言葉だけれど、それでもあえてこの感情を表現するなら。


これはきっと『真実の愛』なのだと思う。


「……そっか……だったらさ……」

目の前に立つこいしが、何か言葉を絞り出そうとしていた。
いつの間にか、強気な姿勢はどこかに消えてしまっていた。

「……今度からは……ちゃんと私にお姉ちゃんの気持ち……伝えてね……」

その言葉を残して、目の前からこいしの姿が消えてしまった。
最後に見えたのは、泣きそうな、でもどこか嬉しそうなこいしの顔だった。










こいしの姿がまるで闇に埋もれるのように一瞬で消えて、私は「こいし!」と名前を叫んだけど、その声は闇の中にむなしく消えていってしまった。

(今のは……幻……?)

そこにいるのは、ずっと本物のこいしの姿だと思っていた。
でも、この空間の特殊性、今まで私が見てきたものを含めて考えると、こいしが消えた理由がなんとなわかる。

(もしかして、想起の力が見せた、私がイメージしたこいしの姿……?)

この空間自体が、私の持つ想起の力によって出来たものだとしたら、それは納得ができる。
今までこの空間に来てから一緒に居たこいしも、全て私が生み出した偽者だったのだろうか。
けど、あの最後の言葉はどこかおかしかった……
まるで、別の誰かの心が、私のイメージに重なってきたような……

(……っ!)

私は一瞬の思考の後、闇の中を勢い良く走り始めた。
どこかに、きっとどこかに本物のこいしもいる。そう信じて……




















お姉ちゃんの声が聞こえてきて、私は、はっとなって後ろを振り返った。
そこに、わずかに息を乱して、頬を紅潮させたお姉ちゃんが立っていた。

「こいし、良かった……」

お姉ちゃんが、私に向けて歩いてくる。
私は怯えていた。
今の今まで、私のことを罵倒し、弾幕を放ってきたお姉ちゃんが、私のほうに歩いてきているのだ。
どうしよう……このまま消されてしまうのかもしれない……

(もう……それでもいいよ……)

私は立ち上がることも、声を上げることもしなかった。
だって私は既にあきらめていたのだから。
ゆっくりとお姉ちゃんの体が、座り込む私に向かって迫ってくる。
どうしても怖い気持ちは拭えなくて、私はぎゅっと固く目を閉じた。
お姉ちゃんは私の頬に軽く触れた後、ただ静かに私の体を抱きしめてきた。

「……えっ……?」
「良かった……こいし……ちゃんといてくれた……」
「……な、なんで?」

私は驚いて目を開けた。
お姉ちゃんは、なぜか強く私の体を抱きしめて、おまけにたくさんの涙を流していた。

「どうして……私、消されちゃうんじゃないの?」

震える声で、その言葉を紡いだ。
すると、お姉ちゃんは私に向けて少しだけ驚いたような表情を見せた後、何かを悟ったような顔で、静かにこう言った。

「こいし、私には見えないけれど……そこに私がいるんですね?」

お姉ちゃんが何を言っているのか、よくわからなかった。

「それなら、ひとつだけ……伝えさせてください」
「な、なに……?」

お姉ちゃんは、目の前で一度ゆっくりと深呼吸をして、そして涙で濡れた顔のまま、私が今まで見たお姉ちゃんの中でも、とびっきりの優しい微笑みを浮かべた。

「どうかあなたの本当の気持ちを、私に教えてください……」

どきっ、と私の心臓が跳ね上がった。
お姉ちゃんの、その顔があまりに優しくて、綺麗だなって思ってしまった。
その言葉で、お姉ちゃんの想いが私の中に流れ込んできたような気がして、そして同時に、私の想いもこみ上げてきていた。
お姉ちゃんの気持ちがすごく温かくて、今まで怯えていたのが嘘のように、お姉ちゃんにこの想いを伝えたくて仕方がなくなっていた。

(うん……わかったよ……)

私は、心の中で頷くと、ゆっくりと立ち上がって振り返り、向こうに立っているもう一人のお姉ちゃんに向き合った。
体はもう、震えていなかった。
じっとこちらを見るお姉ちゃんに堂々と対峙する。
どうしてこんな気持ちになっているのか自分でもよくわからなかった。
どうしてこんなに自信を持ってお姉ちゃんと向き合えるのか、わからなかった。
でも、なんでだろう、お姉ちゃんにこの想いを伝えなきゃいけない気がする。
だから私は、大きく息を吸い込んで――

「私はお姉ちゃんのことが、大好きですっ!!」

こみあげてきた想いを、思いっきり叫んだ。
それは私の心の中にあった、私の本当の気持ち。
閉じてしまった第三の瞳と一緒に封じ込めていた、私の大切な気持ちだった。
たとえ、友達に嫌われても、お姉ちゃんが、どんなに怖いことをしていても
それでも私の中で失われることのなかった、一番大事な気持ち。

そんな私の言葉を聞いて、向こうに立つお姉ちゃんは、まるであきれたように肩をすくめた。

「本当にわからない子ですね……お姉ちゃんと呼ぶなとあれほど言ったのに……」

私に妹である資格がないのはわかっていた。
だけど、私が溜めてきた想いは、古明地さとりに対するものであり、私がずっとお姉ちゃんと呼んできた人に対するものでもある。今さらそれは変えられない。だから、たとえお姉ちゃんが嫌がっても『お姉ちゃん』という呼び方だけは譲れなかった。

「私はあなたのことを妹だと思ってはいないんですよ」
「わかってる……でもお姉ちゃんが好きなの。大好きでたまらないの。どんなに嫌われていたって、妹として見てもらえなくたって、それが私の気持ちなの」

お姉ちゃんに何を言われても、私の言葉は止まらない。
けれど、好きという言葉をこんなに伝えているのに、私は自分の想いを言葉にしきれていないような気がしていた。
まだ、何かを伝えられていないような気がするのだ。


大好きという感情と似た、けれど少しだけ違う何かが、芽を出し始めていた。


私は期待していたんだと思う。
お姉ちゃんが、私のことを好きでいてくれてるということに。
だから、お姉ちゃんに嫌いだって言われて、こんなに傷ついてしまった。
だけど、嫌われていても仕方がないのだ。
私は、かつてそれだけのことをしてしまったのだ。
友達を失くすのが嫌で、自分の大好きなはずのお姉ちゃんを否定して、そしてその言葉をお姉ちゃんに聞かれてしまっていた。しかもばれていないと思ってずっと隠していた。
そんな最低な自分が、どうして好きになってもらおうというのだろうか。

「そっか……なんか、わかってきた……」

現実から逃げてちゃ駄目なんだ。
それで自分の大切な想いまで見失ってしまったら、そんなの絶対悲しすぎる。
現実に向き合って、認めよう。私の犯した罪を。
本心じゃなかったとか、咄嗟に言ってしまっただけだとか。
そんな言い訳を重ねたとしても、きっと前には進めないから。
お姉ちゃんの嫌いという気持ちをちゃんと受け止めよう。
私はそれに耐えられる。

(うん……見つけたよ……)

そう、お姉ちゃんの嫌いに耐えることのできる想いを、私は見つけてしまったのだ。
その感情の正体を。
新しく芽を出して、お姉ちゃんに向き合うことで大きくなっていくその感情を。
私にはたったひとつ、この感情だけあればいいのだ。
これを言葉にしなきゃ。お姉ちゃんに伝えなきゃ。
それはさっき、大好きだって伝えた時とは比べ物にならないくらいドキドキすることで、私はとっても緊張していた。
だけど、それでも勇気を出してこの言葉を伝えたかった。
私は呼吸を落ち着けて、私の中に溢れる感情を告げた。

「私は……お姉ちゃんのことを、愛しています」


さっき芽生えたばかりのはずのそれは、一気に大きくなって、私の中で確かな形となった。


私はお姉ちゃんのことが大好きだった。
でも、その感情を封じていたから、もっと別の感情が私の中で育っていたことに全く気がつかなかった。
私は、お姉ちゃんを愛していたのだ。
お姉ちゃんが世界のどこかで生きていてくれれば、他にもう何もいらないくらいに、お姉ちゃんのことを愛しているのだ。

「私ね、お姉ちゃんが本心を明かしてくれて嬉しかった……」
「……なぜですか?」
「だって、こんなに大切な気持ちを見つけられたもん」
「私があなたのことを嫌っているというのにですか?」
「うん……それでも、私のこの気持ちは変わらないから……」

自分でも、おかしいなって思う。
お姉ちゃんに嫌われるのはすごく辛いのに、さっきまで立っていることもできなかったのに。
なのに、私、それでもいいって思えてる。
側にいさせてもらえなくても、どれほど冷たくあしらわれても、失いたくない想いがある。
現実と向き合わなければ、見つけることのできなかったこの想い。
この想いひとつあればいいんだ。
たとえ、お姉ちゃんの隣にいられなくても、きっと私はそれで大丈夫だから。
この想いを見つけられたことを、言葉にできたことを、心から幸せだと思える。
とっても恥ずかしいけれど、それでもあえてこの気持ちを言葉にするなら。


これがきっと『真実の愛』なんだ。


「…………そうですか」

お姉ちゃんは、私の言葉を聞いてしばらく黙っていたが、そう静かに呟くと、もう少しだけ言葉を続けた。

「……それならその気持ち……ちゃんと毎日、私に伝えてくださいね……」

その言葉を最後に、お姉ちゃんは闇の中へと消え去ってしまった。















私は、あまりにも唐突に消えてしまったお姉ちゃんのいた場所を、ただ茫然として見つめていた。

「こいし……」

後ろから声がする。そうだ、お姉ちゃん!

「お姉ちゃん!!」

私は勢いよく振り返ると、お姉ちゃんの胸に飛び込んでいった。私にもう一度立ち上がる力を与えてくれた、優しい顔のお姉ちゃんに。

「……あっ……ご、ごめんね……側にいちゃ……だめだよね……」

安堵感が押し寄せてきたこともあって、無我夢中で飛びついてしまったが、私はついさっきまでお姉ちゃんが言っていたことと、自分の決意を思い出して、すぐに離れようとした。

お姉ちゃんは、私のこと嫌いなんだよね……。
本当はすごく切ないけど、でもお姉ちゃんの側にいられなくても、もう大丈夫だから……。

だから、自分から、この温もりを手放そう。
決意の証として、私の意志でお姉ちゃんから離れよう。



そう考えた私の体が、何かに強く抱きしめられた。



「あっ……」

お姉ちゃんの腕が、私の背中に回されて、細い腕で、力強く私の体を抱きしめていた。

「え……な……なんで……」
「……こいしのことが……大好きだからです」

またさっきと同じように、心臓がどきっっと跳ね上がる。
それどころか、どんどん心臓の鼓動が大きくなっていく。

「だ、だって……お姉ちゃんさっきまで……」
「それはたぶん……こいしのイメージした私の姿です……私に嫌われていると思ったこいしが生み出した私の幻です」
「う、うそっ……」
「ほんとですよ……」
「じゃ、じゃあお姉ちゃんはほんとに私のこと……!?」
「はい、私は本気で、こいしのことが大好きですよ」
「……っ、お姉ちゃん!!」

お姉ちゃんの背中に腕を回して、私のほうからも、ぎゅっと、強く抱きしめる。

大好きって言われた。
お姉ちゃんが私のことを大好きって言ってくれた。
あきらめていたはずなのに……お姉ちゃんに好きになってもらうこと、あきらめていたはずなのに……
嬉しい。どうしようもないくらい嬉しい。
嬉しい気持ちが私の胸からとめどなく溢れてきて、それが涙となって私の目から溢れ出す。

「泣かないでください、こいし」
「でもっ……嬉しくて、お姉ちゃんが私のこと大好きでいてくれたのが嬉しくて!!」
「こいしはどうなんですか?……私のこと……どう思っていますか?」
「大好きだよっ!お姉ちゃんのこと大好きだよっ!!」
「……ほんとうですか?」
「ほんとにほんとだよっ!!お姉ちゃんのことが大好きなのっ!もうどうしようもないくらい大好きなのっ!」

ほんとうは、ずっと言いたかった言葉。
でも、お姉ちゃんがどんな反応をするのかわからなくて。
どうせ嫌われてるんだからって、ずっと伝えられなくて。
でも、もう我慢できない。
だって、私の中に大好き以上の感情があることを、さっき知ってしまったのだから。

「お姉ちゃんのこと、愛してたの!きっと、ずっと昔からっ!!」
「私もこいしのこと、愛していましたよ……きっと、ずっと昔から……」

自分の愛を伝えられることが、自分を愛していると言ってもらえることが、こんなに嬉しいということを、私はようやく知ったのだ。

「こいし……」
「お姉ちゃん……」

想いを伝え合って、強く抱きしめ合って、そして今、お姉ちゃんの顔が目の前にある。
抑えきれない気持ちが、私の中で、そしてきっとお姉ちゃんの中でも溢れてきていた。
私達は何も言わずに目を閉じる。
そして互いの唇を、静かに重ね合った。




















閉じていた目をゆっくり開ける。
すると、今まで目の前にあったはずのお姉ちゃんの顔がなくなっていた。
あれ?と思った時、私は自分がベッドの上で横になっていることに気がついた。
そこは、地霊殿の私の部屋。
あの変な世界に行く前に、私とお姉ちゃんいた場所だった。

(……あれは……夢、なの?)

頭がぼ~っとしていて、なんだかうまく思考することができない。
ふと、両腕を確認してみると、手錠はどこにも見当たらなかった。
朝の出来事も夢の一部だったのだろうか。
その時、がちゃ、とドアの開く音が聞こえた。

「こいし、起きましたか」
「あ、お姉ちゃん……」

さっきまで、抱き合って、想いを伝え合って、キ、キスまでしちゃった私のお姉ちゃんが、部屋に入ってきた。
私は、急に恥ずかしさがこみ上げてきて、ばっ、と毛布の中に隠れてしまった。

「どうしたんですか、こいし?」
「な、なんでもない……」

お姉ちゃんは、なんだか何もなかったみたいな態度だった。
やっぱりあれは夢だったのかな。

(恥ずかしい……それに……寂しいな……)

ようやく気持ちが通じたと思ったのに、全部私の妄想だったんだ……
私は毛布の中で涙をこぼしそうになっていた。
泣くなんておかしいことはわかっていたけど、でもそれを止められそうになくて……

「こいし、愛していますよ」

――そんなお姉ちゃんの声が聞こえた。
えっ?と思って、私は毛布の中から飛び出す。

「今、お姉ちゃんなんて……」
「だからこいしのことを愛していると言ったんです」

お姉ちゃんが私このこと、愛してるって言ってる。
ということは、まさか……
夢じゃない、夢じゃなかったんだ!

「お姉ちゃん!」

私は、ベッドの側に立つお姉ちゃんに向けて勢いよく飛びついた。お姉ちゃんは、慌てて私を受け止めようとしたけど、でも受け止めきれなくて。
二人一緒に、床に倒れてしまった。

「っ……いたたた……」
「ご、ごめんね、お姉ちゃん、大丈夫」

私の下敷きになってしまったお姉ちゃんが、痛そうに頭をおさえた。
嬉しさのあまり、ついこんなことをしてしまったのを少し反省する。

「大丈夫、こぶにはなってないみたいですね」
「そっか、よかった……」
「全く、こいしは甘えん坊ですね」
「えへへ……」

お姉ちゃんの手が、優しく私の頭を撫でてくれる。
恥ずかしかったけど、それが心地よくて、私はされるがままになっていた。

「あのね、お姉ちゃん」
「なんですか?」
「私ね、お姉ちゃんのこと、愛してるよ」
「はい、私もこいしのことを愛していますよ」

そう言って、お互いに微笑みを交わす。
本当に夢みたいだった。
お姉ちゃんとこんな会話ができるなんて。

「こいし、キスしましょうか」
「ぁ……うん……」

お姉ちゃんが少し顔を浮かせる。
私も体勢を倒してお姉ちゃんの顔に自分の顔を近づけて、唇を重ね合った。
お姉ちゃんの気持ちがそこから流れ込んでくるみたいで私達は何度も何度も、キスをした。
それからも、頬をすり寄せたり、愛してるって囁きあってみたり、またキスをしてみたり、ずっとすれ違っていた時間を取り戻すために、目一杯甘い時間を過ごした。



















やがて、夜になって、お腹もすいてきた頃。

「ねぇ……こいし?」
「なぁに……?」

私は、もうとろけてしまったんじゃないかというくらい、おぼろげな頭で、お姉ちゃんの言葉を聞いていた。

「そろそろ……その、どいてもらえないでしょうか……」

お姉ちゃんは少し視線を逸らして、ちょっと言いづらそうにしていた。
そういえば、私はずっとお姉ちゃんの上に乗っかっていたんだっけ。
一瞬体を浮かした私の頭に、ある考えが浮かんだ。
そして浮かした体を、すぐに元の位置に戻した。

「え……あの……こいし?」

戸惑いの表情を浮かべるお姉ちゃんに向けて、私はにこっと笑みを浮かべて

「お姉ちゃんはどこにもいかせないよ。ここでずっと私の下敷きになるの」

今朝、お姉ちゃんが言っていたのと同じことを口にした。

「ふふ、そうですか……それも面白いかもしれませんね」

もちろんすぐにどいてあげるつもりだったけど。
でも、お姉ちゃんがそんなことを言って微笑むものだから。
その微笑があまりに綺麗だったから。
私はどうしても我慢できなくて。
だからもう一度だけ、お姉ちゃんの唇に自分の唇を重ねた。
こんにちは、ビーンと申します。

こいさといちゃラブを書くはずが、シリアスになっていたでござるの巻。
次こそは、いちゃラブオンリーが書きたい……

兎にも角にも、読んでくださった方に面白かったと思ってもらえたら嬉しいです。
意見・指摘・感想などありましたら、遠慮なくお願いします。

誤字修正しました。ご報告ありがとうございました。
ビーン
http://
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コメント



0.1070簡易評価
8.90コチドリ削除
私個人の嗜好で語らせてもらうならば、ギャグ以外で実の姉妹がガチの恋愛感情を抱くのは正直ナシです。
本作品が古明地姉妹による至高の家族愛を描いたものか、主人公が例えば燐と空なら文句無しだったのですが。
逆説的にいうなら、王道過ぎるきらいはありながらも大変良く出来た恋愛もの故、ちょっとひいてしまったというか。

ただ、私が好き勝手コメントするのと同じく、作者様が御自分の志向を作品に反映させるのは言うまでも無くアリだ。
っつーか、二次創作ではそれが正義だと思っております。まわりくどい物言いでごめんなさい。
つまりは問題なし、素敵な物語でしたよ。
9.100名前が無い程度の能力削除
素敵
10.100名前が無い程度の能力削除
はは……ちょっと泣いちまったよ…

いちゃラブオンリー?この話を見てしまった後だと物足りない気分になっちゃうかも
11.100名前が無い程度の能力削除
姉妹ちゅっちゅは捗るな
13.100名前が無い程度の能力削除
素敵な話でした。
すれ違っているからこそ、お互いの気持ちが通じ合った時の喜びはきっと計り知れないんでしょうね。特にこの二人の場合は。
古明地姉妹の更なるいちゃラブオンリーを心から楽しみにしています。
30.100名前が無い程度の能力削除
この作品大好きです。
31.100名前が無い程度の能力削除
二人ともただ純粋に愛し合っていただけだったんだね。それがすれちがっていただけで…
二人の想いが伝わりあって本当に良かった。すばらしい作品をありがとう