Coolier - 新生・東方創想話

半分の魔理沙の日記帳

2011/01/07 00:02:13
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  11月19日

 今日は久しぶりに紅魔館へ行き、パチュリーとたわいもない雑談をした後、本を何冊か拝借して帰るつもりだった。
 だが、帰り際にパチュリーが面白いことを言い出した。曰く、最近手がけていた願いの叶う薬とやらが完成したのだという。
 とても興味をそそられたため、ダメ元で分けてくれるよう頼んだところ、なんと快く譲ってくれた。
 研究に没頭しすぎて性格まで112度程変わってしまったのかと思ったが、よくよく聞いてみると大したことはない、私をモルモットとして使いたかっただけのようだ。

 しかし、この薬がなんとも面白い効果を持っていて、服用した人が心の奥底に抱く本当の願いを叶えてくれるらしい。
 夢だった魔法使いとなって自由に振舞い、現状に不満のないつもりでいる自分が心の底で願うこと。それがどんなものなのか知りたくなり、私はその薬を服用した。
 効果は今日を含めてちょうど50日間、さっき数えてみたところによると、来年の1月7日まで続くとのこと。
 ちなみに、叶えられない願いは出来る範囲で適当にどうにかするはずだから。薬を既に飲んでしまった後で、パチュリーのこんなつぶやきに少し不安になったが、まあ大丈夫だろう。

 効果の出始める時期は言うに及ばず、そもそも効果自体がわからないので、今から非常に楽しみだ。
 ずっとこんなことを考えていてもしょうがないので、今日はここらで寝ることにする。明日、嬉しい驚きが待っていますように。










――わかってる?一日交代だからね。
――ああ、もちろんだぜ。










     †     



 新年を迎え、幻想郷全体が正月特有の気だるさにつつまれていた。
 だが、普通の魔法使い、霧雨魔理沙に相対しては倦怠感すら尻尾を巻いて逃げ出してゆく。
 今日も今日とて元気なこの少女は、初詣を兼ねて命蓮寺を訪ね、ついでに聖から魔法指南を受けようと考えていた。
 こう書くと元の用件がどこにあるのやらわからないが、それも魔理沙にとっては珍しくないこと。
 常に自由奔放な魔法使いは、怠惰な空気を切り裂き空飛ぶ船を目指す。

 目的地である命蓮寺は、訪れるものを拒まない寺院の部分と、その横につつましく付属する聖以下数名の居住空間とから成る。
 聖輦船の上という立地が訪れる前から拒んでいる、という事実を無視すれば確かに見えてくる寺院の開放的な性格は、居住空間の方も何かと開放的に変えてしまっていた。
 具体的には、鍵もかけず時には開いたまま放置される玄関口。ぽっかりと空いた出入り口は、通りすがる人を自分から招き入れているのだと魔理沙は勝手に解釈している。

 音もなく船に降り立ち、開け放たれた玄関へ誘われるように入り込んだ魔理沙は、そこでロッドを手にしたナズーリンと遭遇した。

「やあ侵入者君。あけましておめでとう」
「よう自称賢将。あけまして……いっつも思うんだが、毎年毎年何がそんなにおめでたいんだろうな?」
「さあね、君の頭かな?私は少なくとも、今年がねずみ年じゃないだけでめでたいよ」

 そう言って玄関に飾られた門松と、その横の兎の置物をちらりと一瞥するナズーリンの仕草には、辛い過去を思い返すような苦々しい様子がみられた。
 知らないナズーリンの過去に同情すると同時に、今頃永遠亭では兎が何匹か行方不明になっていないかと心配しながら、魔理沙は話題を変える。

「ところでお前は、こんな正月からこんな所でなにを探してるんだ?」
「自分はなにを探しているのか、それを探しているところだったんだが、なにかいい探し物はないものかね?」
「生憎だがないな。だが代わりに提案がある。そのロッドで探し物をしている人を探したらどうなんだ」

 そう言われたナズーリンは少し奇妙そうな顔をして、魔理沙の表情を訝しげにうかがう。
 だがすぐにいつも通りの様子に戻り、チッチッと言わんばかりに指、は諦めてロッドを振った。

「残念だったな。その案なら君より先に誰かからもらったよ。えーっと、あれは誰だったかな……?」

 そんなことをつぶやきながらチラチラと魔理沙のほうを意味ありげに見やるナズーリン。
 だが、その意味のわからない魔理沙が黙ったままでいると、ナズーリンのほうも思い出すのを諦めたようで、

「まあいいや。そんなことより、これは私の勘なんだが、君は最近物忘れがひどいということはないかい?」
「たった今思い出すのを放棄したやつにそんなことを言われたくはないんだが。でも確かに……」

 最近の自分の行動には一貫性がなく、気が付けばいつ始めたかわからない研究を一心に続けていたり、記憶が曖昧な箇所があったりする。
 折しも魔理沙はそう思っていたところで、ナズーリンの言葉に思わずうなずく。
 それを見たナズーリンは納得したような表情で続けた。

「そういうことだろうと思ったよ。単に疲れているだけかも知れないが、アルツハイマーだとか、病気の可能性だってある。一度病院に行っておくことをお勧めするね」
「なっ、アルツハイマー!?お前ら妖怪よりは年若いつもりだぜ、私は」

 本当はナズーリンの判断の根拠を徹底的に問い詰めたいところだった魔理沙だが、予想以上に真面目な賢将の様子に思わずひるんでしまう。
 その隙にナズーリンは軽く体を伸ばし、玄関口から立ち去る気配を見せ始めていた。
 魔理沙は尋ねる機会が失われたことを悟ったが、後悔先に立たず、魔理沙に背を向けたナズーリンは、振り向きざまに尻尾を揺らして言う。

「じゃあ、普通の魔法使い君。私はもう少し探し物を探すことにするよ。お大事にね」

 そして、強く床を蹴ったと思うと空へ飛び立つナズーリン。魔理沙はその後姿を複雑な気持ちで見送っていた。
 当の賢将は、勢いよく空へ飛び出した後、ロッドに従った結果命蓮寺に舞い戻り、困り果てた自らの主の手助けをする羽目に陥るのだが、魔理沙はそんなことを知る由もなかった。



 ナズーリンと別れた魔理沙は、勝手知ったる人の家へと上がりこみ、尋ね慣れた聖の部屋へと向かう。
 いつもならばここらで、騒がしい船幽霊のムラサだとか、喧しい正体不明のぬえだとかに出会うところだが、今日はどうしたことかひっそりと人気がない。
 不気味なほどの静寂の中を進み、見慣れた障子を確認すると、戸惑うことなく手をかけてひき開けた。

「お邪魔してるぜ。聖、あけましておめで……およ?」

 そんな魔理沙の目に飛び込んで来た光景は、予想と少し違っていた。
 しかし、それは単に見たことがなかったというだけで、今の行為が聖に似合わないわけではなく、むしろ聖以上に似合う者もないかもしれない。
 聖は筆を持って半紙に向かい、早い話が書き初めをしていたのである。

 習字など性分に合わん、と羽ペンや鉛筆ばかり使っている魔理沙だが、墨で文字を書くのが難しいことで、静かな場所で集中する必要があることくらいは心得ている。
 そんな知識を動員したところで、先ほどの自分の挨拶が聖の集中を乱したのではないかと急な不安を覚えたが、当の聖は魔理沙の存在にすら気づかないらしく、一心に筆を動かしていたので安心する。
 とりあえず聖が書き終わるまで待とうと考えた魔理沙は、聖の筆が生み出す黒々とした文字をぼんやりと眺めていた。

『兼愛』

 その愛の字を、聖はまさに完成させようとしているところらしい。
 聖にぴったりの言葉だな、と魔理沙は思う。恐らく自分だけでなく、誰もが似たような感想を抱くだろうと考えながら。

 一枚の紙に一つの作品を完成させた聖はふうとため息をつき、紙から目を上げてようやく魔理沙の存在に気づいた。

「あらあら。来ていたのですね、魔理沙。あけましておめでとうございます」
「ああ、おめでとう。聖って習字も上手かったんだな。知らなかったぜ」
「うふふ。気付きましたか。去年からこの部屋に飾ってあった『隣人愛』も実は私が書いたものなんですよ。どうですか、私の株、あがっちゃいました?」

 そう言って聖は悪戯っぽく笑う。そんな表情ですら我が物として使いこなす聖に、魔理沙が漏らすため息は感嘆か、あるいは賞賛か。
 ……キリストの息のかかった言葉を流用しておいて、うふふの三文字で済ませるのは僧としてどうなのかとも思ったが。

 そもそも、自分が聖に惹かれる理由は三つある、と魔理沙は分析する。
 一つはもちろん、今回の訪問目的たる――あるいはそれもただの方便かもしれないが――魔法使いの先輩としての話が聞けること。
 二つ目には、まさに兼愛、隣人愛という言葉が表すように、聖が周囲へと与える包み込むような愛情。
 特にこの二つ目は、複雑な事情で実家に帰ることもままならない魔理沙にとって、空いた母親の席を聖が少し埋めてくれるかのような感覚をもたらす、大きな一要素だった。
 様々な面で自分を凌駕し、母親のような愛でもって接してくれる存在。聖のことをそう捉えているだけに、『魔理沙』と呼び捨てされるのも、聖が言うとこそばゆく感じた。

 そして最後の三つ目。二つ目に勝るとも劣らない大きな要素であるこれはすなわち……。

「あれ?届かない!た、助けて魔理沙!」

 愛らしさ、だろうか。額縁の半紙を取り替えようと、背伸びした状態でぷるぷる震える聖を見て、魔理沙は思った。飛べばいいのに。
 人に無限の愛を与えつつも、どうしたってお返しを受け取ってしまう、それが魔理沙の中の聖像である。そんな聖を魔理沙も自分の手で助けたかったが、あいにく自分も背が高くないもので、手近にあった踏み台を聖の下へ持っていく。

「ありがとうございます。これならなんとかっ……!」

 踏み台の助けを借りてどうにか取替えを終えた聖は、満足そうな表情で自分の書いた文字を眺める。
 しばしの沈黙の後、聖は突然思い出したかのように魔理沙の方へ向き直って言った。

「……っと、そういえばお茶すら出していませんでしたね。今すぐ持って来させますので」
「いや、いいんだ。私から勝手に尋ねてきただけだし、別に喉も乾いてないしな」

 魔理沙はそう言いつつ、自分らしくない言葉だと感じていた。どうにも聖と話していると調子が狂う。
 そんなことを思って眉をしかめる魔理沙に対し、そうですかと微笑んだ聖は、すぐ側の座布団を指差して座るよう促した。

 魔理沙が座ったのを見届けた聖が自分も座りなおそうとしたところで、それまで静かだった部屋の外がにわかに騒がしくなる気配があった。
 ムラサが騒がしく話す声。ぬえが喧しく歩く音。ずしーんと腹の底まで響くのは雲山が朝の体操をしているのだろうか。
 どうやら先ほどまでの静寂は、書初めをしている聖を気遣ってのことだったらしい、と魔理沙は気づく。

「とやかく言っていたわけではないのですが、私の邪魔にならないように考えてくれたみたいですね。本当にいい子達ばかりですよ」

 外の変化に耳を傾ける魔理沙の様子に気づいたのか、聖がそっとつぶやいた。
 魔法使いの先輩たる聖が皆から敬われているのが羨ましく、少しだけ嫉妬も感じて、魔理沙は曖昧な言葉を返した。

 それから聖と魔理沙は、正座で向かい合ったまま、魔法について少しだけ談義した。
 当初はもっと深くまで話し合いたいと思っていた魔理沙も、足が痺れて正座を崩す頃になると、いつの間にか聖との雑談を楽しんでいる自分に気がついた。
 その理由の一つには、魔法の研究はいつも日が沈んだ後から始める魔理沙が、障子ごしに漏れ入る明るい日の光の下での魔法談義に違和を感じたことがあるだろう。
 曰く、魔法使いは夜の生き物であり、昼日中から放つ魔法は『普通』ではないのである。

 そうした雑談の折、魔理沙は先ほど玄関口で遭遇したナズーリンのことを話題に上らせた。

「そういやさっき、例の賢将が外出しようとしてるところに出くわしたぜ。『最近物忘れがひどいだろう、アルツハイマーじゃないか?』なんて面白いことを言い置いて飛んで行ったよ」
「アルツハイマー?まあ、そんな失礼なことをナズが……」

 顔を曇らせる聖に、ナズーリンを悪く言うつもりではなかった魔理沙は慌てて弁明する。

「いや、別に私は気にしてないからいいんだぜ?ただ、あいつも幻想郷になじんできたよなーと思ってさ」
「魔理沙がそう言うならばまだ……。でもやはり、お客に対してそういうことを言うのはあまり感心できませんね。後できちんと注意しておかなければ」

 結果としてナズーリンに不利なことを言ってしまったことにわずかな罪の意識を感じつつ、魔理沙はこの言葉を聞いていた。
 そして、不用意な話題で少し気まずくなった空気を振り払うように、聖に尋ねる。

「あー、でも、なんだ?ナズーリンはもともと毘沙門天の使いであって、聖を慕って一緒に住んでる他の奴らとは少し違う境遇だろ?それでも礼を正したり、そういうことを聖がするんだな」
「もちろんです。礼儀作法に身分の差はないはずですからね。それに……」

 聖はここで一旦言葉を切り、魔理沙のほうへ微笑みを向けて、また口を開いた。

「同じ屋根の下で暮らす中で、身分や境遇の違いはありません。皆平等に愛を与えられるべきですし、時には厳しく叱ることも必要だと、そう思います」

 聖と母で、聖母。その微笑みは、魔理沙にそんな感想を抱かせるに足る柔らかいものだった。
 目の前の大きな存在に圧倒され、いつまでもみつめていたいと思ったのも束の間、後ろの襖が突然吹き飛び、ムラサとぬえが絡み合ったまま乱入してくる。
 喧嘩をしていたのかじゃれ合っていたのか、ともかく今は仲良く横並びで聖のお叱りを受けている二人の姿に、今度は笑いをこらえ切れなくなる魔理沙であった。

 この日は結局魔法談義が再開されることもなく、昼食の用意が出来たのでご一緒しませんか、という一輪の誘いに魔理沙は乗った。
 食堂までの道のり、結局アルツハイマーはどうすれば治るのか、と聖に問いかけてみると、「若返りの術を試してみてはどうでしょう?」と返ってくる。
 アルツハイマーなどというのはナズーリンなりのジョークだと思うので、私もそれに乗ってみました。そんなことを言う聖が満面の笑みで勧める治療法だったが、魔理沙としては是非とも遠慮したいところであり、全力で断った。











  1月2日

 今日もまた初詣に行こうと前々から決めていたので、命蓮寺に出かけた。と見栄を張ろうかとも思ったが、意味がないのでやめよう。初詣は行き当たりばったりの思い付きだ。
 どうでもいい話だが、最近すさまじい勢いで寺や神社が増え続けている気がする。
 少し前まで丘の上の博麗神社だけだったのが、山の上にもう一つ神社が建ち、間髪いれず雲の上に寺が出来るという有様。次はどこだろう、月の上か?だとすれば来年の初詣が楽しそうで実に嬉しいことだ。

 新年早々来年の話などしていては鬼も笑い疲れるだろうから、話を戻そう。
 ともかく、空飛ぶ聖輦船の上、命蓮寺に私は行ったのだ。
 あの寺を訪ねるたび、住居ごと移動させるなんて無茶をしてまで何を急ぐ必要があるのか、現代人の時間感覚に甚だ疑問を覚える。まあ、元祖幻想郷最速の戯言だ。

 あそこで聖に会い、少し話をしたものの、魔法研究に関しては特に進歩があったようには思えない。
 ただ少し気になったのは、聖に会う前に、出掛けのところを捕まえた件の賢将の言葉、”アルツハイマー”。
 あいつなりの冗談だろうという結論は出たものの、あの言葉を口にしたときの彼女の表情がどこか気にかかる。
 それに、最近いくつか記憶の欠如が怪しまれる場面に遭遇したこともあり、不安に思ってしまった。私らしくもない。

 しかし、最後に食べた夕餉の献立ならばそつなく思い出せるし、心配するほどのことでもないだろう。
 ちなみに、今日の夕飯はご飯と焼き魚と味噌汁だ。その前はどうだったか。そうだ、ご飯と焼き魚と味噌汁だったな。



     †     



 太陽が地平線下へと隠れたばかりの、日が変わるにはまだ遠い時刻。丘の上の博麗神社境内には既に、多くの人妖が集まりひしめきあっていた。三日に一度ほど開かれる宴会である。
 この定期的な宴会は、最近日没が早いのをいいことに、どんどん開始が早くなっていた。だが不思議なことに、大方の人妖が眠りに落ち、自動的に閉会となる時刻は変わらなかったので、宴会はどんどん長くなっていった。
 もちろんそれに異議を唱えるものは――一部の博麗巫女を除いて――いないため、日没と共に境内が喧騒で包まれる日々がずっと続いている。

 そんな宴会を、どこか諦観交じりながらも楽しむ霊夢。今日はその霊夢と共に酒を飲み交わそうと、研究の手を止めた魔理沙が境内にやってきたのだが。

「おい、なんだこりゃ。霊夢、説明してくれ」
「私だって知らないわよ。なんでこんな早くから」

 霊夢も魔理沙も未だ全くの素面だというのに、既に酔いつぶれて倒れている早苗の姿を発見し、縁側で二人、呆然と立ち尽くすことになった。

「早苗って確か下戸だったよな」
「ええ、そうだったわね」
「誰かに飲まされてこうなったのかな」
「ええ、そうじゃないの」

 その時、どこからともなく「呼んだ?」と声が聞こえたと思えば、いつの間にか周辺を漂っていた霞が目の前に凝縮し始めた。
 こんな登場の仕方をするのはただ一人、宴会狂とも言うべき鬼の萃香しかいないだろう。

「あんたか、犯人」
「やだなあ霊夢、犯人だなんて。私はただほんのちょーっぴり飲ませただけだよ?」
「鬼のちょっとなんか当てにならないわよ。こいつが飲めないことくらい知ってるでしょうに、なにやってるんだか」
「いやあ、ちょっと前の宴会の時なんだけどね。下戸だって知らずに飲ませてたら、すぐ酔っ払って脱ぎ出しちゃってさ。脱ぎ上戸ってやつ。なかなか面白かったもんだから今日もやってくれないかなあ、と思ってつい」
「エロ親父か!」

 すかさず霊夢の拳骨が飛んだが、殴られた当の本人は朗らかな笑いを崩さない。
 この小鬼には何を言っても無駄だろうと思い、魔理沙は霊夢に言葉をかけた。

「霊夢、そんなやつに構わないでこっちも飲み始めようぜ。早苗の方は心配するほどでもないだろうし」
「ええまあ、それはいいんだけどね……。あ、萃香ちょっと待ちなさい!早苗をここから……って、もういないし」

 霊夢が魔理沙の方へ顔を向けた一瞬の内に、萃香はすっかり霧散、退散してしまっていた。
 呆れたようにため息をつき、縁側にへたりこむ霊夢。その姿を横目に入れつつ自分も腰を降ろした魔理沙はふと疑問を覚えた。
 下戸である早苗が自ら進んで宴会に参加するということは考えにくい。だとすれば誰かが彼女を連れてきたのか。普通に考えると、その誰かというのは……。

「なにぃ!?早苗が脱ぎ上戸、だと……。お、おい諏訪子、あれを準備だ」
「ほいさ!一気飲み用の大盃と……。あ、そうだ、天狗に言ってカメラも借りてくるね!」

 こんな馬鹿らしいことになると抜群のコンビネーションを見せるあいつらに違いない。魔理沙は一瞬にして確信する。
 しかし、折しもその時、傍らの霊夢がよいしょと立ち上がる気配があり、二柱のことは瞬時に魔理沙の頭から消え去った。

「お、ついに霊夢が重い腰を上げたということは、酒だな?」
「そうよ。それも、魔理沙と飲むためだけにとっておいた秘蔵のお酒があるの」
「おお、珍しく気前がいいじゃないか!後で賽銭ねだられても私は屈しないぜ?」
「そんなことしないわよ。その代わり、私がお酒を持ってくる間にあんたは早苗をなるべく遠くに捨ててくること。いい?」
「……この、酔いつぶれて力が全く入らない結果等身大の人形みたいに運びにくくなった重たい早苗を?」
「早苗がここにいたら、今にもあの辺のバカ達が集まってきて騒ぎ始めるわ。そしたら秘蔵のお酒は恥ずかしがって出てこないかも。残念ね」
「よーし、行くぞ早苗。あの空の向こうまで!」

 こうして二人は、秘蔵の酒を酌み交わすための準備をテキパキと始めた。
 早苗を抱えて縁側を離れた魔理沙は、どこか誰にも踏まれないような場所に早苗を寝かせておくつもりだったが、途中で酔神二柱に捕まったため、素直にその身柄を明け渡した。
 顔をにやつかせて盃とカメラを構える二柱の姿は異様だったが、魔理沙はそれを歯牙にもかけない。人間、うまい酒にありつくためならば魂さえも神に売りとばすのである。

 ところが、ほくほく顔で戻った魔理沙を待ち受けていたのは、いつもと同じ安酒だった。

「……おい霊夢、話が違うぜ。私のための酒は、秘蔵の酒は、どこにあるんだよ」
「いやあ、こんな安いお酒、安易に人に出せないからね。買いすぎたと思ってから実に三ヶ月くらい秘蔵しちゃったわよ。やっとこれでラスト」
「私ほど普通の『人』は他にいないはずなんだがなあ。あーあ、結局霊夢は霊夢か。このドケチー」

 そして魔理沙は、やりきれない思いに任せて乾杯を済ませ、小さな杯の安酒を一気に煽り、

「……感想は?」
「うまいに決まってるだろ!まったく、自分の舌の安さに呆れ果てるぜ」

 うふふ、と笑みをこぼした霊夢は、早速空っぽになった杯に新たな酒を注いだ。結局落ち着くところはいつもの風景である。
 二人がしぱらく無言で飲んでいると、それまで空を覆い隠していた雲が道をゆずるように流れ去り、すこし欠けた丸い月が杯の水面にゆらゆらと映りこんだ。
 それを飲み込んだ魔理沙は、ふと思い出してつぶやいた。

「そういえば、宴会に来るのって久しぶりだったな。最近研究が忙しいせいで、もう半月ぶりくらいになるんじゃないか?」

 しかし、対する霊夢は怪訝な顔をして魔理沙を見る。

「何言ってんのよ、魔理沙。あんたついこの間の宴会にも来てたでしょうが」
「え?そんな……」

 訳ない、と言い返そうとして思い出す。幾日か前の自分が、霊夢の言うとおり宴会に参加しようとしていたこと。
 しかし、思い出せたのはそこまでで、宴会自体の記憶がない。わずかな焦燥感に駆られつつ、魔理沙は記憶を呼び起こそうと試みる。

 まず、思い出せるのは宴会の日の夕方。夜から宴が始まると聞いていた魔理沙は、手がける研究の区切りが付いてから行こうと、日が暮れてからも自室にこもっていた。
 没頭するあまり時を忘れ、やっと一段落して気がついたのが、あとわずかで日も変わりそうな深夜。宴の前ですら魔法ばかりにかまけている自分に苦笑しつつ、博麗神社へと向かうため魔理沙は急いで準備をしたのだ。
 そして、それから……?肝心の、自分がどうやって神社にたどり着き、宴会をどう楽しんだか、その部分の記憶が全くなかった。

「あの時魔理沙がここにいたのは間違いないわよ?なんなら他の妖怪にでも確認したらいいじゃない」
「いや、いい。多分嘘じゃないだろうから。ただそうすると、道中や宴会での記憶がないのがどうも……」
「家出た時点でもう酔っ払ってたんじゃないですかあ?私はよくありますよお」
「うわぁっ!驚かすなよ早苗……」

 足元に人の気配がしたと思うと、いつの間にか戻ってきていた早苗が、ふらつく手足で縁側に這い上がろうとしているところだった。
 先ほどまで眉根を寄せて記憶を辿っていたはずの魔理沙は、早苗の顔を見て思わず吹き出しそうになった。
 だが、なんとか自制してこらえる。隣を見れば、霊夢も必死で笑いを噛み殺していた。

「それ、似合ってるな」

 こみあげる笑いを抑えつつ、魔理沙に言えるのはこれが精一杯だった。その意味のわからない早苗がきょとんとした表情を見せるのもまた可笑しい。
 平静を取り戻すため、早苗が酒を飲まされていたと思われる一角に目を向ければ、早苗を囲んでいたはずの二柱やら鬼やらは何故か地面に倒れ伏している。
 自らの足元すら危うい状態で早苗が成し遂げたこの脱出劇は、どう考えてみても奇跡としか思えなかった。
 そう考えて早苗の潜在能力に感嘆してから、話が逸れそうになっていることにようやく気づいた魔理沙は、仕切りなおすように言った。

「いやいや、それはともかく、だ。お前と違って、宴会の前から酔っ払ってるなんてことはあり得ないぜ?」

 しかし、早苗に言ったつもりのその言葉に、返事は一向に来なかった。いつの間にか傍らに緑色の巫女服姿が見えないことを怪訝に思い、目線を下げてみると、早苗はちょうどそこにあった大きめの石に向かってくだを巻いているところだった。
 完全に気が抜けた魔理沙はがっくりと肩を落とし、今度は霊夢に向かって話しかけた。

「……なんかもういいや。こいつを見てると、考えるだけ無駄な気がしてくるぜ」
「ふうん、そう。まあ私はいいけど、私の記憶のほうはどうしようか?無かったことにしちゃう?」
「うーん、そうだな。じゃ、あれは私の分身だったって事でひとつ」

 そう言うと霊夢は、分身ね……、と妙に納得した表情で頷いていた。
 それを不思議そうに見ている魔理沙の様子に気づくと、大したことじゃないんだけど、と口を開く。

「あんたさ、このまえ自分がやった宴会芸のこと覚えてる?……ってそうか、覚えてないから問題だったのよね」
「ああ。なんだ、もしかして酔っ払って変なことでもやらかしたのか、私?」
「びっくりしすぎて腰が抜けるかと思いましたよお。あぁ、思い出すとトリハダが」
「あんたは急に会話に入ってくるなっての。まあ、あれよ。ほんとに大したことじゃないから、記憶がないなら無理に思い出す必要もないわ」
「なんだよそれ!私は一体何をしでかしたんだ、教えてくれよ霊夢~」

 霊夢の曖昧な物言いが気にかかり問い詰める魔理沙だったが、当の霊夢は素知らぬ顔で、これ以上なにも言おうとしなかった。
 地面に落書きをする早苗を足蹴にしつつ、のらりくらりと質問攻めをかわす霊夢から答えを得るのはあきらめ、それならば他の妖怪にでも聞こうかと魔理沙は腰を上げかける。しかし、その瞬間強烈な眠気が襲ってきた。

「ふぁ……。悪い、霊夢。私は限界みたいだ。お先に……」
「あら、もう帰るの?馬鹿騒ぎと一心同体みたいな魔理沙にしては珍しいじゃない」
「いや、そうじゃない。お先に眠らせてもらうぜ」

 そう言って魔理沙は、閉じた襖の向こう、宴会の度に眠りこけた人妖たちの宿代わりとなる大部屋を指差した。
 がっくりときた霊夢は盛大なため息をつきつつ言う。

「はなからうちで寝ていく気満々ってわけね。いいわよ、もう。好きにしなさい」
「恩に着るぜ。最近研究が忙しくて寝不足でな。実を言うと宴会も来ようかどうか迷ってたくらいなんだ……」

 そうつぶやきながら我が物顔で襖を開ける友人の後姿を、霊夢は呆れつつ眺めていた。
 さて、それならば今度は誰と飲もうか。そう思った霊夢の眼前、何もなかったはずの空間に裂け目ができ、覚えのある特徴的な帽子がのぞき始めていた。










  1月4日

 今、私は博麗神社の大部屋で日記を書いている。霊夢一人ではもてあますであろう大きさがあり、私たちが定期的に宴を催すことで有効利用してやっている例のアレだ。
 人の家、ないし神社で日記を書くことに違和感はあるものの、最近これを書かないと落ち着いて眠れないので仕方がない。古い習慣でもないのに、いつの間にここまではまっているのやら。

 私がここにいるということは、つまり今日宴会があったわけで、そういうことで今日は魔法の研究があまり進んでいない。立派な三段論法だ。
 しかし、ここへ来る道中ふと思いついたことがあり、流石に魔道書まで持ち歩いてはいないのでこちらに記しておくことにする。
 研究に必要な件の成分のことだが、ヤモリの内臓から抽出できるのではないかと思う。今度捕まえてこよう。

 ヤモリ。守宮と漢字を当てるが、ひっくり返して宮守にしても、ミヤモリだ。ずいぶん自己主張の激しい動物らしい。
 宮守といえば、巫女の霊夢が――いや、むしろ霊夢の巫女か?どちらにしろ大差はないだろう――言っていたのだが、私は少し前の宴会に参加し、妙な宴会芸をやらかしたらしい。
 らしいと書いたのは要するに私の方にその記憶がないのであり、特に宴会芸に関しては一刻も早く真相を突き止めて対処しなければならない。酒は怖いものであるからして。
 先日のナズーリンとの一件もあり、本当に記憶障害があるのではないかという不安が持ち上がってきたので、今度同じようなことがあれば永遠亭を訪ねてみることにしよう。

 こんな暗い話で一日をしめるのもなんなので、最後に笑い話を一つ。
 ヤモリの巫女、間違えた守矢の巫女は今日も散々な目にあっていた。酒を無理やり飲まされそうな空気から逃げ帰ってきたと思えば、その額には落書きがされている。
 顔に大きな『神』の字が踊る現人神の姿に、思わず声を上げて笑いそうになったが、それで落書きがバレては面白くないので何とかこらえて乗り切った。
 夜が明けた時のあいつの反応を楽しみにしながら、今日は寝ることにする。いい夢を。



     †     



 まだ早い時刻から、魔理沙は冷たい冬の空気を切り裂いて箒を飛ばしていた。目的地は紅魔館。いつも通り、図書館とパチュリーとが目当てである。
 念願のヤモリを体よく手に入れた魔理沙だったが、いざそれを研究に用いようとした段階でようやく気づく。自分はこの手の小動物を扱ったことがない、と。
 使う部位が別の部分だったならばまだしも、内臓を用いるために解剖は避けられない課題であり、魔理沙にはそのための知識が不足していたのだ。
 今日の目標はこの知識の不足と本棚の空きを補うことにある。

 冬真っ盛りのこの時期、上空は想像の及ばないほど寒いのだが、魔理沙の装いを見ると、黒白服が冬仕様である以外普段と変わらなかった。
 マフラーくらいすればいいじゃないですか、と文にはよく言われるが、マフラーは危険なので使わない。マフラーの先が箒に巻き込まれて首が絞まる事故が魔界では多発している。

 ものの数分もしないうちに、見慣れた紅魔館の紅い門が見えてくる。魔理沙が上述以上の寒さ対策をしないもう一つの理由として、このようにどこへでも数分で到着できることも大きかった。
 並みの人間ならば動体視力が追いつかないほどの速度で門に近づく魔理沙。その存在をとうに感知していたらしい門番、紅美鈴が魔理沙の行く手に立ち(飛び?)ふさがり、叫ぶ。

「ストーップ!今月分の私の給料が惜しければ止まりなさ」
「マスタースパーク!」

 両手を広げて道をはばむ格好だった美鈴は、最大出力のレーザービームを浴びて吹っ飛んだ。
 近距離戦ではあれでうっとうしいほどの強さを誇る美鈴だが、遠距離からの一撃にはなす術を持たない。魔理沙が長年の研究で学んだことである。
 自分で飛ばされ方を調節して庭の花壇を守った美鈴に、気持ちいいほど吹っ飛んだのには若干の演技が混ざっているのではないかと疑いつつ、魔理沙はそのまま館へ向かって飛んだ。

「あーあ、最近毎日やられてる気がするなあ」

 紅魔館に来るのも今週は初めてじゃなかったか?と思い返し、誇張を多分に含んだ美鈴のぼやきに苦笑しつつ。



「病弱な少女の話し相手になりに来てやったぜ!」
「要らないわ、帰って」

 いつも通りの軽口の応酬。それをいつも通り無視した魔理沙は、パチュリー御用達の肘掛け椅子の向かいにどっかと腰掛けた。
 そんな魔理沙の反応もお見通しなのか、あるいは単に関心がないのか、パチュリーは顔も上げずに本の続きを読みふける。パチュリーに動きがないことにしびれを切らした魔理沙は自分から口を開いた。

「なんだ、客にお茶の一つも出さないのか、この屋敷は」

 パチュリーから返事はない。それはある意味予想通りであったが、意外なことも一つあった。
 半分冗談のつもりでお茶を要求した時、ある懐かしい茶菓子がふと魔理沙の頭をよぎったのだ。
 実家にいた頃よく作ってもらったその茶菓子は、しかし、自分では作ることが出来ないために最近は口にしていなかった。
 それにも関わらず、パブロフの犬になったかのように、今にも咲夜が運んでくるのが当然のように思える、その茶菓子とはすなわち……。

「羊羹と紅茶をお持ちしました」

 突然心を呼んだかのような声がかけられ、魔理沙は危うく飛び上がりそうになった。
 洋館に羊羹。これ以上ない珍妙な取り合わせに加え、紅魔館において魔理沙は客扱いされないのがこれまでの常である。
 先の妙な予感も考え合わせ、いよいよ不審に思う魔理沙をよそに、パチュリーは顔をしかめて咲夜に文句を言っていた。

「咲夜、羊羹に紅茶は合わないって何度も言ったじゃない」
「何度も?そう何度も羊羹を作ってるのか、咲夜は」
「なにとぼけてるのよ。私はただ、前来たときにあなたが言っ」
「もういいわよ咲夜。紅茶は自分で入れるから下がって頂戴」

 唐突に、そうとしか表現できないタイミングで咲夜の言葉を遮る早口のパチュリーも珍しければ、対する咲夜の反応も珍しいものだった。
 退出を要請されたにも関わらず、瀟洒なメイドはなんとなく不服そうな顔で、すぐには退出しようとせず、魔理沙の顔をじろじろと見つめてきた。
 静寂の内に疑惑や不満がこめられているような気がして、耐えられなくなった魔理沙は言葉を発する。

「な、なんだよ。私は至って普通だぜ?」
「……そのようね。期待した私が馬鹿だったってことかしら。……それ、うまくできてる?」

 そう言って、咲夜は皿の上の羊羹を指差した。まだ全く手をつけていなかった魔理沙は、無言で強要されているような気分になりながら、一かけら切り取って口に入れる。
 気まずい空気の中でも、その一かけらは甘さを口いっぱいに伝え、かといって甘すぎることもなく、一言で表すならば完璧だった。
 しかし、素直に賞賛する気にもなれない魔理沙は、

「まあ、ぎりぎり合格点ってとこだな」

 それに対し、そう、と静かにつぶやいた咲夜は、それ以上何も言わずに図書館から出ていった。その瀟洒な背中からは一切の感情が読み取れなかった。
 なんとなく気になり、咲夜の去った方向をみつめ続ける魔理沙の耳に、パチュリーの独り言めいたつぶやきが届く。

「そう。何か変だと思っていたら、今日は『普通』の方だったのね」

 魔理沙にはその言葉の意味がわからないものの、あえて問い返すことはしなかった。パチュリーのつぶやきがわかりにくいのはいつものことなので、いちいち確認していてはキリがないのだ。
 その代わり、魔理沙は気を取り直し、今日の目的である本を探すことにした。
 探す本の目処はついている。ヤモリの解剖専用の入門書らしき本を紅魔館の図書館で見かけた記憶があるのだ。確か、割とインパクトのあるタイトルだったような……?

「えーと、なんだっけ?や、や、や…………?」
「『やさしいヤモリの開き方』」
「それだ!……ってパチュリー、よくわかったな?」

 予想だにしない合いの手に驚いた魔理沙が振り向いてみると、パチュリーは本から目を上げ、椅子に座ったまま魔理沙をじっとみつめていた。紫に透き通る両の瞳が魔理沙を射抜く。

「あなた、この前来たときにその本『借りて』いったわよ?不思議なことにまだ返ってきてはいないようだけど」
「は?なんだよそれ……。え、借りたっけ?」
「ええ、間違いないわ。帰ったら自分の部屋の本棚でも見てみなさい」

 全く身に覚えのない話に反論しようとした魔理沙だったが、揺らぎのないパチュリーの視線に思わず口をつぐんだ。
 魔理沙が何も言い返さないのを見て取ったパチュリーは続けて言う。

「それと、魔理沙。自分では覚えていないだろうけれど、あなたは今週四回紅魔館を訪ねてきてるわ」
「おいおい、そんなはずは」
「ない、と思うわよね。彼女から聞いた感じだと、今はいくら考えてもわからないのでしょうから、明日の魔理沙に聞くわ。体の調子はどう、何も変わりはない?久しぶりに彼女が戻ってきた感覚は?」
「おい、一体何の話を」
「後で色々、それこそ五十日分の感想を教えてちょうだい。後学のために、参考にさせてもらうわ」
「私に理解させる気はないのか?明日の私ってどういうことだ!」
「それも全て合わせて、明日になればわかるわ。だから、今日のところはもう大人しく帰りなさい」

 そこまで言うと、パチュリーは再び本に目を落とし、元のように黙り込んでしまった。一瞬前までの畳み掛けるように話す様子と比べれば、それこそ操り人形の糸が切れたような温度差がある。
 ますます疑問の増えた魔理沙だったが、周囲に関心のない様子で本を読みふけるパチュリーにどう声をかけて良いかわからず、立て掛けてあった箒をやけになって引っつかむなり一言叫んで飛び立った。

「非常にわかりやすいアドバイスをありがとよ!お茶、ごちそうさん!」

 魔理沙のロケットスタートで本のページが浮かび上がった。それを手で押さえつつ、パチュリーはわずかに目を上げ、口の端に妖しい笑みを浮かべながら、箒の去っていった方を見やった。
 もう後姿すら見えない魔理沙のカップはいつの間にかしっかりと空になっており、皿の羊羹一かけらさえ残っていなかった。










  1月6日

 今日は 久しぶり に紅魔館に出向き、研究に必要な本を調達するつもりだったのだが、完全に無駄足だった。
 借りる予定だった本は既に自分で借りていたようで、帰って見てみると、パチュリーの言うとおり研究室の本棚に並べてあった。
 これほど印象に残るタイトルの本も中々ないと思うのに、訳がわからん。

 しかし、今日あった訳のわからないことをランク付けするならば、間違いなく別れ際のパチュリーの言葉がダントツで一番だ。
 曰く、実は今週四度も紅魔館を訪れていたらしい私は、明日になればそれを思い出し、後学のために自分の体験を語れば良いらしい。
 非常にタチの悪い冗談だと思う。自分に記憶障害があるのではないかと疑っている今だからこそ特に。

 ……いや、落ち着こう。そもそも、私の記憶云々の話をパチュリーが知っているわけはないのだ。だからあの言葉が冗談だとしても、単に間が悪かっただけということになる。
 今何かを考えても冷静な判断が出来そうにないので、早めだがもう寝てしまうのがいいだろう。

 ……少しだけ気が変わってきた。例え冗談のような話でも、明日全てが思い出せるというのなら大歓迎だ。自分の記憶が信用できないなんて状況は早く打開してしまいたい。
 明日――この言葉を使うのもずいぶん久しぶりのような気がするが、最近の私はそこまで後ろ向きだったのだろうか?――最高の結末を期待している。



     †     



 次の朝目覚めてみると、部屋はまだ薄暗かった。少し夢から覚めるのが早すぎたかと思い、もう一度寝なおそうかと考えたところで、ふいに強烈な違和感を覚える。
 昨夜、きちんと布団の上で寝たはずの魔理沙は今、行儀よく食卓についていた。訳がわからないままに、ひとまず立ち上がって辺りを見渡すと、目に入るのはいつも通りの食堂の風景。しかし、それを見る魔理沙の頭は霞がかかったようにぼんやりとし、体全体に気だるさがはびこっていた。
 体調でも悪いのかと思い、細かいことを考える前に、とりあえず寝室に戻ってもう一度寝ようと歩を進めかけた魔理沙は、ふと窓から外を見て驚愕した。

 予想に反し、太陽は西の空を照らしていた。日が西から昇ったということではない。外は既に、立派な夕焼け空であったのだ。
 『まだ』薄暗いのではなく『もう』薄暗いのだ、と理解する冷静な魔理沙の傍らで、驚きに立ちすくみ動けないでいる魔理沙がいた。
 早寝早起きの健康体を自称し、どれだけ遅くとも昼前には目を覚ます自信のあった魔理沙には当然の驚きである。

 しばらくぼんやりと夕日をみつめ、我に返った魔理沙は一度頭を振って顔をしかめる。
 とりあえず大寝坊の驚きからは抜け出たものの、はっきりしない思考は起きぬけのままで、一向に改善される気配がない。
 記憶のほうは大丈夫だろうか。そう考えたとき、心に何かがひっかかった。

 それは最初、捕らえどころのない、漠然とした不調。しかし、確かにそこにある違和感は考えるほどじわじわと広がっていき、魔理沙の頭から離れなくなる。
 今日は1月7日だ。それは間違いがないはず。6日は、つまり昨日は、紅魔館へ行った。そこでパチュリーに、明日になったら思い出すわ、などとよくわからないことを言われたのだ。
 明日になれば、そう言うパチュリーの妖しい笑みが、魔理沙の記憶の中で広がる。しかし、これは本当に自分が見た笑みだろうか。魔理沙にはわからない。

 魔理沙は実際、思い出さないといけないことがある、と感じ始めていた。
 自分の中に、今日と昨日の記憶はある。では一昨日は? 1月5日、自分は何をしていたのだろうか。解剖しようとして断念したあのヤモリはどこから現れたのだろう。
 4日という日付には見覚えがある。確か宴会に出席していたはずだ。では、宴会を引き上げ眠りについたとき楽しみにしていたはずの、落書きに対する早苗の反応を自分は見たか?……思い出せない。
 では3日は?思い出せないのだ。ことごとく、記憶の海の底に沈めてしまったように、どうしても思い出せない部分がある。そんなことに魔理沙は気づいた。

 その場で立ち尽くし、記憶を探るのはもう限界だった。寝室へと向かう足を速め、机に駆け寄り、引き出しを開けて日記を取り出す。
 今では毎日つけないと落ち着かないため、思い出せないところの答えを全て教えてくれるはずの日記である。
 しかし、はやる心を抑えてページを繰った魔理沙は、またしても驚愕することになった。

 最新のページは 1月6日、昨日の記事。これはいい。ところが、一つページを戻して目に入る日付は4日。記憶と同じ、5日の項が存在しない。
 その前のページも全て同じだった。3日を飛ばして2日。元日がなくて大晦日。その前は29、27、25、奇数、奇数、奇数、奇数奇数奇数奇奇奇奇奇奇奇。

 手に汗がにじむのを感じながら、魔理沙は狂ったようにページを繰り続けた。永遠に続くように思える、奇数の日記の果てを求めて。
 ほとんど初めのページまで戻った頃、隔日日記の起点がやっと姿を見せた。11月19日。パチュリーが作った願いの叶う薬を飲んだ、という記事。
 たった今まで忘れていたそんな事実を読み返した時、不思議な記憶がよみがえってきた。

 夢の中のような、幻想的な世界。白とも黒とも虹の七色とも見える、明るく輝く視界の中、魔理沙は自分と生き写しの少女と約束を交わす。

「わかってる?一日交代だからね」

 そう言った目の前の『魔理沙』に対し、魔理沙は……。

――ああ、もちろんだぜ。





「うふふ、やっと思い出した?」





 突然、頭の中で声が響いた。その声は自分とよく似ていながら、柔らかな口調、優しい声色は、自分と似ても似つかないという正反対の印象を抱かせる。
 しかし、そんな表層的な矛盾は、先ほどの記憶の中の少女にこの台詞を重ねてみることで、すぐさま解消した。

「お前、昔の私か?」
「うふふ。正解。どうして今こんな状況になっているのか、それも思い出せたかしら?」

 ひとまず脳内の声の存在がわかり、魔理沙は一息ついてまた考え込む。
 昔の自分の声が聞こえた瞬間、忘れていたことが堰を切って戻ってくるような感覚が走ったのだ。パチュリーの薬が叶えた願いはなんだったか、昔の自分と交わした約束はなんだったのか、今度はそれを思い起こそうと……。

「……そうだ。私は昔の自分が嫌いだったんだ。それで、自分の過去が消えれば良い、と心の底で願っていた。違うか?」
「半分正解よ。ただ、それだけでは単純に私が消えておしまい。でも現実にはそうならなかったわ。あなたは私がいなければ良いと望む一方で、自分の中の私の部分を前面に押し出してみたいとも思っていたの。そんなアンビバレンスの結果、あなたは私のことを忘れ、私は一日おきにあなたの行動を支配できるようになった。わかる?」

 魔理沙は黙ったままで、頭の中の自分が発した長い台詞をゆっくりと反芻していた。
 しかし、どう考えても同じところに帰結する。今、頭の中にいる『自分』を、私は嫌いで、嫌いという感情しかない、だからこの理論は成り立たない。そんな単純な結論に。
 その結論でもって反論しようとしたところで、再びもう一人の自分の声が届いた。

「信じてないわね。あくまでも私を嫌われ者にするつもりなのね」
「まだ何も言ってないぜ。どうしてそう決め付けるんだ」
「言わなくたってわかるわよ。私とあなたは元々同じ存在。妙な薬の効果で今は分裂しているようにも思えるけれど、それも切れかかっていて、言ってしまえば自分ひとりで会話しているようなものですもの」

 そう言って再びうふふと笑う彼女に、魔理沙は自分を重ねてみる。しかし、早苗やパチュリーや聖の前でそういう仕草をする自分を、どうしても想像することが出来なかった。

「そこまで疑うのなら、あなたがどうやって今の自分に変わっていったか、その経緯を思い出してみなさいよ」

 あくまで楽しそうな声で、諭される。魔理沙はその言い分に従い、普段はあまり思い出さないようにしている自分の過去を探ってみることに決めた。

 そもそも、魔理沙という人間が大きく変わったのは、紅い霧の異変の少し前くらいである。
 あの当時の魔理沙は、実家を飛び出して弟子入りした魅魔の元をそろそろ離れ、独自の路線で魔法の研究を始めようと画策していた頃だった。
 そんな折、自分が人とどう接しているかを省みて、魔理沙はふと思ってしまったのだ。独立して一人前の魔法使いになろうとする今、保護者にすがるか弱い少女の頃と変わらない態度で人と接していて良いものだろうか、と。
 気にすることではないという思いも自分の中にはあったのだが、一度抱いた疑念はそう簡単に払えず、ついに魔理沙は人生最大の意識の変革を決意した。

 世間に対しては、斜に構えた一癖ある向き合い方で。素直に認めてしまうのも抵抗があることだが、あの頃の魔理沙は、そんな態度を『大人びて』『格好いい』とも思っていたに違いない。
 そして、そんな自分を維持するために、精神活動だけでなく行動に対しても枷がはめられ、いくつかのタブーが出来上がった。
 そのうちの一つが、霊夢などには今でもからかいのネタにされる、うふふ口調だった。これから独立して羽ばたいてゆく自分に少女のような話し方は似合わない。そんな誤解がそこにあった。
 それまでの口調を廃した上で、新しい自分に似合う話し方、それを考えた時、一番自然に思われたのが今の口調だったのだ。

 こうやって思い出してみると、自分が大きく変わった余りにも小さなきっかけに魔理沙は呆れざるを得なかった。同時に、そんな急ごしらえの態度や口調が意外なほどしっくりときて、結局そのままとなったことに驚く。
 複雑な思いを抱いた魔理沙の様子を察したか、脳内の彼女はまたうふふと笑って言った。

「どう?思い出してみると案外大したことじゃないでしょ」
「ああ。おかげで色々と理解したぜ」

 薬の効力で明らかになった心の底の願望を通して、魔理沙が自分の中に認めたのは、一人前の魔法使いになろうと決意した日に捨て去ったと思っていた少女の影だった。
 自立、独立、そんな言葉にあこがれつつも、結局魔理沙は捨て切れなかったのだ。
 誰かに守ってもらう生活は御免と実家を飛び出した魔理沙が、迷わず魅魔の所で教えを乞うたのは何故?『聖母のよう』と自ら評した聖に、自分があれほどまでに惹かれるのもそういうことではなかったか?
 心のどこかに残ったその影が、今一度昔のような自然体で、人と接してみたいと魔理沙に望ませた。全てはこれが原因だった。

 自分に嘘はつけない、魔理沙はそう思う。だからこそ彼女が自分に伝えたことは全て真実であり、今自分が考えたことも全て彼女にお見通しなのだろう。
 思ってもみなかった事実を目の当たりにし、魔理沙は深く息をついた。

「うふふ。これから先、私とどう向き合って、周囲とどういう態度で接したらいいか迷ってるわね。まあ当たり前か」

 彼女の言葉は的を射ており――自分自身なのだから当然だが――魔理沙は頷くほかなかった。
 しかし、そんな魔理沙に予想外の言葉がかけられる。

「でもね。そんな心配は無用よ。与えられた25日間を過ごしながら、『あなたの望み通り』道は切り開いておいたわ。もっとも、私の趣向はどうも昔のままみたいで、どうしても日記を書く気にはなれなかったから、記録はどこにもないんだけどね」
「は?一体どういうことだよ」
「額面通りの意味よ。昔の自分を忘れたいという願いを叶えたのがあなたなら、昔みたいに真っ直ぐ人と接したいという願いを叶えたのが私。せっかく一日交代で主導権を貰ったんだから、そりゃあもう自由に……」
「ちょっと待て。まさかお前霊夢やら早苗やらに」
「そんなもんじゃないわよ。パチュリーにも、咲夜にも、萃香や聖、ナズーリンにだってこんな感じで話しかけてみたわ。皆驚いていたわね」

 なんてこった。そう叫びたい気分で、魔理沙は頭を抱えた。どれほどお節介なやつなんだと、昔の自分を罵ってやりたかった。
 自分の中に確かに残る少女の部分とどう向き合うか考えていたら、それどころの話ではなく、知り合い全てにどんな顔をして会ってよいのかわからない状態である。
 突然の友人の変化に驚き呆れたに違いない彼らの表情を想像するだけで、羞恥から顔が赤らむ魔理沙。その耳元では、うふふと耳障りな笑い声が止まなかった。やり切れなくなった魔理沙は弱々しくつぶやく。

「お前のせいで、私は明日家から出られないぜ……」
「うふふ。そんなに恥ずかしがることないわよ。第一、みんな面白がってはいたけれど、それなりに……っと、これは自分で思い出してもらうことにしようかしら。ともかく」

 魔理沙は、話題を転換する彼女の声が徐々に遠ざかるような感覚を覚えた。漠然とながら、自分と彼女が一つに戻りかけているのだと理解した。

「これだけは覚えておいてね。周りの目を気にして背伸びするのもわかるけれど、たまには自分の素直な声にも耳を傾けてあげて。これは他人からの助言じゃなく、あなたの心の声なんだから」

 そして『魔理沙』は、うふふと一際楽しそうに――昔の自分のよう、真っ直ぐな感情をあらわにして――笑い、最後の言葉を、投げかけた。

「短い間だったけれど、自由にさせてくれて、ありがとね。久しぶりに、とっても楽しかったわ」

 ゆっくりと、デクレッシェンドしてゆくもう一人の自分の声に、魔理沙は静かに耳を傾けていた。
 『楽しかった』という一言に、たった今までの羞恥も忘れ、これからはちょくちょくあいつのことを思い出してやってもいいかな、などと魔理沙は思う。
 そんな自分が何となく恥ずかしくなり、「言いたいことだけ言って消えやがった、あいつめ」と一人肩をすくめようとしたところで。

 彼女の消失と入れ違いに、魔理沙の中から消えうせていた25日間の記憶が戻ってきた。一瞬で三週間分の追体験をする感覚に、魔理沙は軽いめまいを覚える。

 1月5日。正気に戻って慌てふためく早苗神をにやにやと眺めて満足した後、博麗神社を出て無事ヤモリを捕まえた魔理沙は、ヤモリの扱い方を調べるために図書館を訪れていた。
 どことなく実家にいたころを彷彿させる自然さで、咲夜に羊羹を要求する魔理沙。瞬時に運ばれてきた甘い菓子を頬張り、素直に喜んで礼を言うと、咲夜の方も満更でもない表情を浮かべている。

 1月3日。この日も魔理沙は紅魔館で羊羹をご馳走になっていた。というよりも、向こうの魔理沙はほとんど毎日のように羊羹をたかりに行っていたらしい。
 昔の自分はこんなにも羊羹が好きだったのか、と新しい発見をした気分になるのと同時に、昨日の美鈴や咲夜の態度にも合点がいくように感じた。

 1月1日。見事に記憶が抜け落ちていた元日の宴会は、初詣も兼ねて博麗神社で。
 霊夢にとっては懐かしい、その他大勢にとっては初めて知る魔理沙を目の当たりにし、神社の境内は湧きに湧いていた。
 なるほど霊夢が言った通り、この時は宴会芸の一種として受け止められていたようだ。

 12月26日。聖と何事かを議論しに行った魔理沙は、やはり玄関口でナズーリンに出会っていた。
 探し物している人をロッドで探せば、と最初に提案したのも魔理沙だった。二度目に同じことを言ったとき、ナズーリンが怪訝な表情を浮かべるのも当然である。

 この他にも魔理沙は、およそ知り合いと呼べる人全てと会話を交わし、反応を貰っていた。どれだけ冷や冷やさせれば気が済むんだ、と魔理沙は別の意味でめまいを覚える。
 しかし、最も驚くべきはそこではなく、大概の知り合い達の反応が魔理沙の予想に反して好印象だったことである。
 霊夢のように昔の魔理沙を知っている者は、わずかに驚きの表情を浮かべるものの、別段いつもと変わらず接してくれる。
 その他の者は、驚きの程度こそ大きいが、意外とそういう魔理沙も良いのではないか、というような反応。中には咲夜のように、そういう態度の方がレディーとしてふさわしいわ、などと推してくれる者もあった。

 恥ずかしがらなくていい、と言った自分の意図がようやく魔理沙にもわかった。周囲はありのままの自分を受け止めてくれるので、後は自分が最後の一歩を踏み出すだけということ。

 よし、と気合を入れた魔理沙は、明日からはもう少し素直に、肩の力を抜いた生き方をしようと誓った。口調も昔のものに戻してみようと思った。
 一度そう決意してしまえば恥ずかしさは消え、かえって周囲がどんな反応を示すか楽しみで仕方なくなった。
 この楽しさをどうやって今日の日記に記そうか。そんなことを考えてわくわくしながら、勢いをつけて立ち上がった魔理沙は、晩餐の用意をするために台所へ向かうのであった。










 次の日。
 空で出会った早苗にうふふと話しかけたところ、早苗は卒倒、墜落した。やっぱり口調だけは変えないほうがいいんだぜ、と再確認する魔理沙であった。
気が付いたらせんたあ試験一週間前じゃないの。
次に書きたい話はもう決まってるのに、しばらく書けそうにないわ。嫌になっちゃう。
でも、そんな苦境ごとき、盛大に笑い飛ばしてやりましょう♪うふっうふっうふふふふふふふふ……。


では、最後まで読んで下さった皆さん、ありがとうございました!


追記1
うわぁ、やっちゃいけない誤字が大量に……。
大変失礼しました。奇声を発する程度の能力さん、ご指摘ありがとうございます。
しかし、今度は右下のリンクがおかしい。一体どうなっているんだ……。


追記2
コメ返し。

>奇声を発する程度の能力 様
楽しんで頂けたなら幸いです。序盤の?は計画通り。
ただ、今から考えてみると?の部分が長すぎて読み進めるのが厳しい話になっているかなあと、一人で勝手に反省しています。
オチまでの流れが平坦すぎてちょっとつまらなかったか、山や谷をもっとつけるべきだったかと。
こんな所で書くようなことではないかもしれませんが、精進しようと思います。

>3 様
魔理沙いいですよね魔理沙。魔理沙のキャラクターには何故か惹かれます。
自分と被る所が多いのでしょうか。僕はあんな努力家ではありませんが。
うふふな魔理沙も、ひねくれてないのは、それはそれで。

さて、とりあえず後一週間は、ポイント4桁いくかどうか楽しみにニヤニヤしながら勉強、っと……


追記3
>21 様
そう言って頂けると非常に励みになります。心より感謝。
同意というのは昔魔理沙視点のこと?僕もそろそろトリハダが止まらなくなりそうなので、それだけは勘弁してもらいたいなあw

うにゅ。4桁到達したぜ。満足じゃ~
半妖
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コメント



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2.100奇声を発する程度の能力削除
>妙蓮寺
命蓮寺
>守屋の巫女
守矢?
最初?だったけど読んでいく内に納得。面白かったです
3.80名前が無い程度の能力削除
これはいい魔理沙、昔魔理沙視点の話も見てみたいものだ
21.90名前が無い程度の能力削除
素直に読んでいて面白かったです
そして>>3にはげしく同意
28.80名前が無い程度の能力削除
ドラマチックさが足りないように感じました
でも、良い魔理沙でした