Coolier - 新生・東方創想話

穣子汁

2010/10/25 13:58:02
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稲刈りも無事に終り、豊穣神、秋穣子が一人もくもくとアンポ柿の準備をしている時の事だった。
突然自室に静葉が入ってきて、穣子の目の前で大きな紙片を広げてみせた。

『新発見!!豊穣神、秋穣子を水に一晩漬け込んでおくと次の日には上等な芋焼酎になっている!!』

そうデカデカと書かれた紙片を静葉は穣子の前で広げてニコニコとしている。

「……何コレ?」

書いてある意味等が解らず、穣子は渋柿の皮を剥く作業を止めて、静葉に聞いた。

「ん?穣子ちゃんならコレくらい出来るでしょ?」

「いやいや、意味わかんないから、どういう原理で私が入っただけの水が上物の芋焼酎になるのよ?」

「……それはほら穣子ちゃんから神様的な汁が出て水をお酒に変えるのよ」

「お姉ちゃん、汁とか言わないで卑猥だから」

「じゃあエキス?……穣子エキスよりも穣子汁の方が語呂がいいと思うなお姉ちゃんは」

「いやいやいや、語呂とかどうでもいいから、お姉ちゃん落ち着いて聞いて?」

「何?」

「そもそもその発想が何なのよ?どうしたのいきなり?」

自分の知る姉はこんな斜め上の発想の持ち主ではなかった。
静かに紅葉を眺めるのが好きな地味な性格の大人しい姉だった、はずだ。
とりあえず、突飛にこんな変な事をやる人物でなかったのは確かだ。

「だって穣子ちゃん今年は天候不良で作物が上手く実らなかったでしょう、お米とか特に」

「……まぁね」

確かに静葉の言う通り、今年は水が必要な時に日照りが続いたり、突然寒くなったり
いざ収穫だ!という時期に長雨が続いたりで例年になく稲の生育、作物の生育が思わしくない状態だった。

人間達に頼まれて作物や稲の生育を確認に行く度に、突き刺さる様な視線を向けられていたのも事実である。
自分の力が及ばず、『豊穣の神のくせに……』という言葉が聞こえてきた時もあった。

「それじゃあ、ただでさえ味噌っかすみたいだった信仰がまた減っちゃうわ」

「アンタもあんまり変わらないじゃない、むしろ私より低いくせに……」

姉の上から目線にイラっとする。

「だからそんな哀れな穣子ちゃんのために考えたの」

「聞いちゃいねぇ……」

「穣子ちゃん聞きたい?」

「聞きたくない」

「そうそんなに聞きたいのね?」

「聞けよ!」

「ふっふっふ、信仰の薄い穣子ちゃんのためにお姉ちゃんは考えたのです」

「……」

穣子は何だかもうどうでも良くなってきて、止めていた手を動かし始めた。
一先ず、後十個皮を剥いたら夕飯の支度をしよう。

「穣子ちゃんの人気を増やして、穣子ちゃんが多くの人に信仰されるようにしよう!ってね」

「…………」

夕飯は何がいいだろうか?
ハロウィンとか言う祭りが近いせいか南瓜の中身がやたらと奉納されてきた。
何だか厄介払いみたいな気もするが甘露煮にでもしよう、甘めに煮込んだホクホクの南瓜は美味しい。
あとは茄子の味噌汁もいいな、茄子のしょうが焼きとか、今日はそのメニューでいこう。

穣子は静葉の言葉を聞き流しながら夕飯の献立を決めていた。

「その一歩がコレなのよ」

ソレに気が付いていないのかそれとも見ぬフリをしているのか、静葉は気にせず語り続ける。

『新発見!!豊穣神、秋穣子を水に一晩漬け込んでおくと次の日には上等な芋焼酎になっている!!』

「………………」

今年は秋の天候がおかしかった、極端に暑かったり、極端に寒くなったりだった。
きっとそのせいで姉の頭もイカれたに違いない。
穣子はそう結論した。

「嬉しさのあまり声もでないのね?安心してコレで穣子ちゃんは人気者よ、幻想郷の人たちは皆お酒好き
だからきっと、多くの人がこの穣子汁を買いに来てくれるわ」

「お姉ちゃん大丈夫、頭?あと汁は止めてっていってるでしょ!」

「……もしかして、気に入らなかった、でもコレは穣子ちゃんの信仰を得るためなのよ!」

「お姉ちゃん 私 そういう変な事で 得られる信仰 いらない」

「……そっか、じゃあ第二案にしましょう」

「まだあるの!?」

「これはね自信作よ、山の頂上にいる早苗ちゃんと相談して決めたのよ」

フフンと胸を張る静葉、しかし早苗の名前が出た瞬間に穣子はもう嫌な予感しかしなかった。

「何でだろう、もう嫌な予感しかしないよお姉ちゃん」

妹の不安そうな声を姉は聞き流す。

「ふふ、見て驚きなさい」

不敵に笑い、静葉は新たな紙片を広げる。

『豊穣の神、秋穣子のおしっこは上等な麦酒だった!!』

室内にパン!、と乾いた大きな音が響いた。
その件を見た瞬間、穣子は条件反射で姉を叩いていた。

「……何をするの、いきなり叩く何て今までなかったのに反抗期?」

「そうね、反抗期でいいわ、叩いてお姉ちゃんの頭が直るなら何回でも叩くわよ私は」

「そ、そんなに気にいらない?早苗ちゃんと考えた時は凄い事思いついたって、二人で話してたのに……」

そうだろうとも、確かに凄い事を思いついたと思うよ……
ベクトルが斜め上で変態的な凄い事を!!

「ねぇ馬鹿なの?死ぬの?どこの世界に自分のおしっこがビールって言われて喜ぶ奴がいるの!?」

「……そう、だよね、……ごめんね」

叩かれた頬を押さえて、静葉はその場に座り込んで俯いた。

叩いたのは少しやりすぎたかもしれない。
普段は良い姉なのだ、今回だって内容はアレだが、自分の事を考えての事だ。
目に涙を溜めて俯く静葉に思わず罪悪感を感じてしまった。

「お姉ちゃんの心配してくれる気持ちは嫌じゃないけど、……少しは常識で考えてよ、お姉ちゃんらしくないよ」

「幻想郷では常識に囚われてはいけないのです!!」

常識という言葉に反応して、パッと顔を上げて静葉はどや顔で言った。
どうやら俯いていた時に見えたと思った涙は見間違いだったようだ。
意外と余裕があって腹が立つ。

「それアンタのキャラじゃないでしょ?ふざけているとはったおすわよ?」

「ごめんなさい、そうよね……、おしっこが麦酒だなんて嫌よね、女の子だもんね」

「……女の子云々以前の問題だと私は思うわ」

「うん、私が間違っていたわ……」

「……まぁ解ってくれればいいわよ」

どうやら正気に戻ったのだろう(多分)。
とりあえず、変な事を姉に吹き込んだ現人神に文句でも言いに行こう。
そう考えていた穣子に静葉は続ける。

「女の子だもんね、麦酒よりもオシャレな葡萄酒がいいわよね」

「何一つ解ってねぇよ!!」

前言撤回!
何一つ理解してない上に何一つ変わっていない。

「でもコレも穣子ちゃんの信仰を上げるためなのよ!!」

バンとテーブルを叩き叫ぶ静葉、衝撃で柿が宙に舞う。

「何でそこで逆ギレすんの!?こんな事で得られる信仰なんていらないってさっき言ったでしょ!!」

「じゃあどうするの!?一生日陰者でいいの!?お姉ちゃんは穣子ちゃんには幸せになって貰いたいだけなんだよ!?」

「アンタも私と信仰そんなに変わんないでしょ!?むしろ私より低いんだからお姉ちゃんがやればいいじゃない!!」

「え?」

穣子の叫びに静葉は少し考えてから真顔で穣子に言った。




































「嫌よこんなの恥かしい」

「ぶっ殺すぞコノヤロー!!!」

Fin
お久しぶりです。
もうすっかり秋ですね、だから書いた事ない秋姉妹を書いてみました。
いやぁ、まぁアレですね、ごめんなさい、読み返してみて酷いネタだと改めて思いました。
タイトルも酷いなぁ今回

読んでいただきありがとうございました。
少しでも楽しめたのなら幸いです。



1様
私にもよく解りません。
(農)<1リットル注文はいりましたー

3様
私も弱いので焼酎とかは飲めません
(農)<二人目注文入りましたー

爆撃様
一晩漬け込んでみましょう。
妹思いな良い姉、エクストリーム静葉

5様
……何でしょうね、本当に、はい、誤字です。
報告ありがとうございます、修正しました。

Admiral様
(農)<穣子汁は深きコクと味わいながらも呑み口がすっきりとしています。
また仄かに香る果実の香りが云々……

奇声を発する程度の能力様
……返す言葉もございません。
書いた本人が言うのも何ですがどうしてこうなったか全く解らない

幻想様
(農)<毎度ありがとうございまーす

14様
少々やり過ぎた感もありますが、書いてて面白かったのも事実ですwww
本当に勢いで書いてました。

17様
(農)<朝一でお越し下さい

19様
(農)<在庫がないため発注となります。
何時納入されるかは未定です。

22様
(農)<貴方はむしろ紳士ですね?
これを被るといいですよ、つ(農)

25様
予定ではもうちょっと長かったんですが、無理でした
あと、色はですね、白ワインだったら何とかいける、はず

27様
(農)<あくまで豊穣神秋穣子の信仰アップが目的のため決まった値段はありません
その人の気持ちで左右します

コチドリ様
まぁ姉の一方的な感じでしたがww
何と言いますか、私は偉そうにしている秋姉妹が思いつきません。
一緒に農作業とかしている姿は安易に想像出来るのですが……
まぁ、そんな感じを詰めました、南瓜の甘露煮が食べたい

おぅ様
キテるよぉw

ぺ・四潤
ちなみにこのネタ考えた時は私も風邪で頭がヒットしていました。
だからしょうがないですよね?うん
(農)<……飲まれてきます

36様
(農)<現在在庫がなく、お取り寄せとなります

42様
稔子だと……!?誤字報告ありがとうございます。修正しました。
人気だなぁ、穣子汁……
(農)<追加オーダーはいりまーす

46様
(農)<まずは被るんだ話はソレからだ、つ(農)

52様
(農)<諦めたらそこで試合終了ですよね?頑張れ穣子様!!


コメントありがとうございました。
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コメント



0.1680簡易評価
1.90名前が無い程度の能力削除
なんだこれはwww
とりあえず稔子汁を1リットルいただこうか
3.90名前が無い程度の能力削除
下戸だけど、欲しい
4.90爆撃削除
なんてノリ。
果たして本当に穣子汁が出るのかどうか、検証することからはじめようか……。
それにしてもいい姉じゃないかー
5.80名前が無い程度の能力削除
とりあえずおっしこってなに?
7.100Admiral削除
タイトルに惹かれホイホイと読んでしまいました。
アンポ柿とか時事ネタの不作とか、ツボにはまる表現が素敵。
それにしても静葉さんパネェw
穣子汁…!一体どんな味わいなんだ…?
9.100奇声を発する程度の能力削除
色々ひど過ぎるwwww
10.80幻想削除
葡萄酒かあ・・・穣子汁おいしゲフンゲフンww
ともあれタグ通りの静葉さんwww
14.80名前が無い程度の能力削除
なにこのお姉ちゃんぶっころですね。
勢いのある秋姉妹に笑わせていただきました。
17.80名前が無い程度の能力削除
いちばんいい穣子汁を頼む
19.80名前が無い程度の能力削除
穣子汁の販売所はここですか?
22.無評価名前が無い程度の能力削除
ビールでも葡萄酒でもなくていいから私は飲みたい
25.100名前が無い程度の能力削除
久しぶりに引き込まれる冒頭でした、もうね最初三行読んだら最後まで読むしかありませんでした。
ノリと勢いがすさまじくもっと長く読んでいたかった、あと葡萄酒は色がおかしいだろww
27.90名前が無い程度の能力削除
いくらで売ってくれますか?
29.90コチドリ削除
姉妹二人のボケとツッコミ、とっても面白かったです。
ただ私が一番惹かれたのはちょっと別の所。
何て言えばいいんでしょうか、穣子さんの佇まいというか醸し出す雰囲気というか。

ちまちまとあんぽ柿の仕込をする彼女。
人間に捨て台詞を吐かれてしまう彼女。
今日の夕飯の献立に思いを馳せる彼女。

神様なのに凄く小市民的な彼女に、僅かな切なさとほのぼのした想いを抱きました。
おそらくこの物語を拝読した時の私の精神状態がちょっと変だったのでしょう、自分でもずれた感想だと思います。
でもそれで良かった。とても癒されました。
ありがとう穣子様、ありがとう作者様。
30.90おぅ削除
キテるねぇw
33.90ぺ・四潤削除
うん。作者は穣子さんに飲まれて立派な麦酒になってくればいいと思う。
葡萄酒よりは色とか泡がリアルな麦酒のほうがいいと思う。
今年は暑かったから頭がアレになっててもしょうがないと思うんだ。
36.100名前が無い程度の能力削除
うん、この静葉姉はダメだな

ところで、樽買ってきたんだけど販売会場はどこですか?
42.100名前が無い程度の能力削除
駄目だこの姉www
穣子汁飲みたい人はここにいるよ!

>「でもコレも稔子の信仰を上げる」
稔子になってますw
46.90名前が無い程度の能力削除
麦酒直飲みをお願いします
52.80名前が無い程度の能力削除
できるできる! なんで諦めるんだ頑張れがんばれ気持ちの問題だ!
お姉ちゃんだって信仰が薄い中で頑張って考案してるんだよ! 諦めなければ尿もお酒になるって!