Coolier - 新生・東方創想話

夕暮怪談「訪問者」

2010/10/20 17:58:27
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 所々から雑草を生やしている道を去るバスを見送る。
 じりじりと強い陽射しがひび割れたアスファルトから照り返され両面焼きの気分。
 生意気なことに、荒れた道でも夏の暑さは都会と変わらない。
「公共交通機関が走ってるなら整備したらどうなのよ」
 思わずそんな言葉が漏れた。噂には聞いていたけど、東京の放置っぷりは並じゃない。
 まったく、おしりが痛いったらないわ。腰痛になったらどうしてくれるのよ。
 嵐山の奥の竹林をタクシーで走った時だってここまで酷くなかったっての。
「風情があるでしょ?」
 余裕たっぷりの笑みに恨めしい目を向けてしまう。
「ノスタルジーは体に悪いのよ」
 学友にしてサークル仲間である蓮子は私の悪態に笑みを深めるばかり。
 皮肉の百八つでも浴びせてやりたい笑顔だわ。
「少し歩けば林のトンネルあるから。メリーの当面の敵である暑さはしのげるわよ」
 言いながら歩き出す彼女の後を追う。
 バスが通る道以外は舗装されていないらしく、すぐに土がむき出しの道に入った。
 それだけでも体感温度が随分違う。涼しいなんて言えないけれど、風を感じる余裕は出来た。
 山から吹き下ろす風かな――髪を揺らす強さが心地いい。
 これなら蓮子の言う通り、木陰にでも入れば涼めそうね。
 その林のトンネルとやらも見えてきたけれど……どこまで行くのかしら。
 今向かっているのは蓮子の実家。この分だとまだまだ辿り着けそうにない。
 ここまでだってバスで結構な時間移動してきたのに。
「こんなに東京駅から離れてるなんて聞いてないわ」
「言ってないからね」
 得意げな声音が憎らしい。可愛さ余ってなんとやらよ。
 ここはひとつ、いじめてやりましょうかしらね。
「蓮子の実家は初めてだわねぇ。前のお彼岸はお墓参りだけしてとんぼ返りだったし」
「う」
「レポート提出忘れてくるなんてあなたらしいけどね」
 ここら辺には春先にも来た。彼女の彼岸参りのついでに東京観光をするという名目で。
 しかしその目論見は蓮子の失敗で砂上の楼閣の如く崩れ去った。
 京都―東京間日帰り旅行になってしまったのだ。
 蓮子の家のお墓がある墓地は彼女の実家から随分離れたところにあった。
 日帰り旅行では彼女の実家に寄る時間なんて取れなかった。
 いくらヒロシゲが早いとはいえ問題は東京駅から墓地までの移動時間である。
 バスで片道1時間半。ろくに観光も出来ないままタイムリミットになっちゃった。
 おかげで蓮子のレポートはギリギリセーフだったけど、お泊りセットも全部無駄。
 なんとも散々な小旅行だったわ。
 ごめんごめんと謝る彼女に冷たい視線を送る。
「だから今回はちゃんとご招待したじゃない」
「東京観光楽しみだわ」
「だから今回はちゃんとお墓周りの結界探しするわよー」
 悲しいかな、皮肉は通じていないようだった。
 溜息が洩れる。なんにつけにっぶいのよね蓮子は。
 聡い蓮子なんて想像も出来ないけれど。
 ったく、彼岸参りがお盆参りに変わっただけじゃない。
 どうせなら涼しい春先のお彼岸に済ませたかったわ。
「いやー、東京は涼しくていいわ」
 横を見ると、彼女の顔には上機嫌と書いてあった。
 涼しい? 木陰に入って大分楽になりはしたけど……
「京都の夏は頭おかしいんじゃないかってくらいだもの」
 私の顔には疑問符が浮かんでいたのか、蓮子はそう続けた。
 確かに京都は冷房がないと命にかかわる暑さだけど、そこまで差があるかしら。
 蝉の声を聞くだけで脳が茹だる。私にとっては日本の夏なんてどこでも許容値を越えている。
 ああ、蝉がうるさい。
「こんな田舎なのにこれも合成蝉の鳴き声かと思うと風情がないわねぇ」
 八つ当たり気味にそんなことを呟く。
 すると噛みついてきたのは蝉ではなく、蓮子だった。
「今時蝉の声なんて気にしてるのは懐古主義者くらいよ? さっきはノスタルジーを否定したくせに」
「体に悪くないノスタルジーは心の栄養なの。心理学は矛盾を孕むものよ」
「唯一つの解答を目指す数学の方が好きだわー」
 理系と文系の溝は深くて広い。
 時々不思議になるわ。なんで私たちの友情続いてんのかしら。
 気づかれないように、そっと蓮子の横顔を見る。
 どちらかが、一方的に執着してるから――なんて、思いたくないのだけれど。
 片方は厭いているのに――――私だけ、なんて。
 もう一度、深く溜息を吐く。悩むだけ無駄よ。鈍い蓮子が気づいてくれるわけないのだし。
「あ、あれよ私の家」
 声に顔を上げる。
 足が止まった。
 無意識に口が半開きになっていたようで、慌てて閉じる。
 目の前には――本の中か、京都の高級住宅地でしか見たことのない武家屋敷があった。
 まばたきしてもう一度見る。大きいとしか言えない木造建築。歴史を感じさせる。
「これ?」
「これ」
 確認しても肯定しか返ってこない。
 いや、蓮子の実家の話なんて聞いてなかったけど。
 だからってこんな立派な門までついているようなお屋敷なんて想像しなかったわ。
「…………蓮子の家ってもしかしてお金持ち?」
「ただの土地持ち。知ってるメリー? 土地って持ってるだけだと税金しか生まないの」
 至極真っ当な突っ込みに素っ頓狂な返事。
 いやまあそれは知ってるけど。
「貸したりしてお金は得てるけど税金とどっこいなのよね。プラスにはならないわ」
 なにこれ。そういう発言ってお金持ちしか許されてないんじゃなかったの。
 身近だった筈の蓮子がえらい遠くのお方に見えてきた。
 え。なに、嘘。蓮子ってお姫様だったわけ?
「都会の住宅事情に慣れ過ぎよメリー」
 気づけば溜息をつかれてるのは私だった。
 慌てて取り繕う。
「結婚して、蓮子様」
「財産目当てはお断りよメリー」
 素気無くあしらわれてしまった。
 彼女は呆れた顔で開けっぱなしの門を潜る。
「大体財産なんて大して――」
「あだっ」
 蓮子は急に立ち止まり、後を追おうとしていた私は彼女にぶつかってしまう。
「なによいきなり……」
「なんだこりゃ」
 ? どうしたのよ。
 彼女の肩越しに見るとそこは玄関――んん?
「まためんどくさいことを……悪戯かしらね」
 京都でもたまに見かける二枚戸。作り自体は何の変哲もないものだけど、あれ?
 取っ手が真ん中にある……これ、戸が逆に閉められてる。
 なんだろう、どこかで見た――いや、読んだことが……
「――これ、逆戸じゃない?」
 そうだ。オカルト系の小説か何かで読んだことがある。
「さかど? なにそれ」
「なんで日本人のあなたが知らないのよ」
 ええと、確か本には……
「その家の人が亡くなった時に二枚戸を逆に閉めておくって風習。詳しくは知らないけど」
 言って気づく。
「……誰か亡くなった?」
「そういう話は聞いてないけど」
 あっけらかんと答えられる。どうやら本当にそういうことはないらしい。
 それじゃなんでこんな不吉な感じのすることをしたのだろう。
「というか、そういう風習があるって初耳だわ」
「……そう?」
 そうなると、これは家人がやったことではないことになる。
 いくらなんでもここで育った蓮子が風習自体知らないなんてあり得ない。
 彼女の言う通り誰かの悪戯と考えるのが自然なんでしょうけど……
 この地域に存在しないらしい風習を誰が?
「あ、でも」
 からからから。
 引戸が開けられる。
 聞こえてきた彼女の呟きは、何故か耳に残った。
「何度か見たなぁ、これ。意外とポピュラーな悪戯?」
 そんなわけないでしょと応じ彼女が開けてくれた扉を潜る。
 ……何度も? やっぱり、彼女が知らないだけでこの風習はあるのだろうか。
 だけど普通に考えてこんなバチ当たりな悪戯をする? 子供がしたとしても、咎められる。
 何か、おかしいような――気がする。
 扉が閉められる音。振り返った私は、目を剥く。
「ただいまー」
 蓮子は、逆戸をそのままに家に入った。




 なんか――薄暗いな。
 それが宇佐見家に対する私の第一印象だった。
 日本家屋ってこんなものなのかしら? 採光が悪いってわけじゃなさそうだけど。
 それとも、私が不安を感じているからそう思うのだろうか。
 靴を脱ぐ蓮子を見つめる。二枚戸は、逆戸のまま。
 悪戯か、なんて言っていたのに、何故戻さないんだろう。
 何故か――不安が煽られる。
「どうしたの? ほら上がりなよメリー」
「あ、うん……おじゃまします」
 一歩。三和土を上ることで家に入ることになる。
 しかし不快感などは感じなかった。やはり、私の気のせいなのかしら。
 普通の、家だ。
「ただいまー。……帰ったよー?」
「蓮子?」
 数度彼女は廊下の奥に呼び掛ける。しかし返事はなかった。薄暗い廊下はただ静寂だけを返している。
 別に埃が積もっているわけでもないのに、廃墟のようだと、そう感じた。
 ――廃墟? 蓮子の家族が今も住んでいるだろう家に?
 我ながら突飛な感想だ。何を根拠に思ったのだろう。
「……あれ。誰も居ないのかな」
「人の気配ないわね」
「今日帰るって言っておいたのに」
 唇を尖らせる。その顔が妙に可愛くて笑ってしまった。
「そういや車なかったわね。出かけてんのかしら」
 私は気付かなかったけど彼女は色々見ていたらしい。
 数ヶ月空けても我が家は我が家か。些細な変化にも敏感なのね。
 居ないものはしょうがないということで、私は蓮子の部屋に通される。
 やや広めだけど極々平凡な和室。ここが蓮子の部屋かぁ……
 荷物を置いて座り込む。はあ、疲れたし、暑いわ。
「よっと」
 蓮子は足が折り畳まれたテーブルを広げていた。
 あれは、えっとちゃぶ台? とかいうテーブルだっけ。
「なんか飲み物取ってくるわ。リクエストある?」
「冷たいのならなんでも。あ、でも話に聞いたドクターなんちゃらってのはカンベンね」
 何故か意地悪く笑いながら蓮子は部屋を出ていった。ちょっと、返事は?
 あー追う気にもなれないわ。暑い暑い。窓開いてるのかしら。
 ほんっと蝉がうるさいなぁ……気が狂ったように騒ぎ立てて。
 暑さが耳からも沁み込んでくるようで嫌になる。
 京都と変わらない、普通の夏。
 なんなのかしら。蓮子の家に着いてからというもの、なにかおかしい。
 妙な不安感がべったりと貼りついて離れない。
 日本家屋に慣れてないから?
 違う。この家に不快感は感じない。
 感じたのは、不安感。――何に対して?
 家じゃない。家自体は普通だった。
「うーん……わからないなぁ」
 見当もつかない。暑さがイライラを加速する。
 ああ、暑さで脳が処理不全起こしてるせいなのかも。
 それか前に見た和風ホラーのせいね。あれ結構怖かったし。
「おまたせー」
 からりと戸が開けられる。
「お行儀悪いわよ」
 蓮子は足で戸を開けていた。
「いいじゃん私ん家なんだし。お茶しかなかったわ」
 テーブルに置かれるのは氷の入ったグラスにペットボトルに入った緑の液体。
 アイス緑茶か。いいわねぇ、こう暑いとジュースより爽やかなお茶の方が美味しいわ。
 蓮子も座り二人で休憩タイム。あー、生き返るわ。
「これからどうしようか? 買い出し行っちゃう?」
 数日間お世話になる間の買い出し。忘れてたけど着いてから行く予定だったわね。
 旅先でも健全な日常を送る為にはお菓子とジュースが外せないのだ。
「ちょっと休みたいなぁ。大体買い出しってどこまで?」
「2キロ先のスーパー。ちなみに車がないから歩き」
「お願い休ませて」
「暗くなっちゃう前に済ましたいんだけどなー」
 今夏よ? まだ3時過ぎなのにそんな早く暗くなるわけないじゃない。
 まあ先に疲れちゃってあとでだらだらする方がいいか……
 汗だくで蓮子の家族にご挨拶、なんてしたくないし。
 御厄介になるのだからちゃんとしておかないと
じりりりりりん
 びくっと肩が震える。
 え、なに? ベルの音?
 ドラマなんかで聞いたことがある。電話の呼び出し音。
 電子音じゃない。何百年も前から構造の変わっていないベルの音だ。
 そういう電話が売っているのは知っていたけど……蓮子の家の電話がそうだったのね。
じりりりりりん
 正面に座る蓮子を見る。
 彼女は暑さにか、呆としたまま動かない。
「……ねえ蓮子、電話鳴ってるよ?」
「え、ああ……そうね」
じりりりりりん
 動かない。
「蓮子」
じりりりりりん
「蓮子、電話鳴ってるってば」
「ん……ああ、出なきゃね」
 ……なんだろう。あんなこと言ってたけど、彼女も疲れてるんだろうか。
 いやにのろのろと立ち上がり彼女は部屋を出ていく。
 やっぱり、買い出しはもう少し休んでからの方がいいのかしら。
「――え? ……なの? …………った。うん」
 途切れ途切れに会話が聞こえてくる。
 その声からは疲れなんて読み取れないけど――彼女、暑いの苦手だしね。
 言っても聞かないだろうから私が疲れてるってことにしてもう少し休もう。
 いざとなれば買い物は家の人が帰って来てから車で行ってもいいのだし。
 私も蓮子も免許は持ってるから車さえあればどうにでもなるわ。
 会話を終えたのかどたどたと足音が近づいてくる。
「ごめんメリー、暫く待機」
 顔を出した蓮子はそんなことを言った。
 彼女は疲れてるみたいだからそれはいいのだけれど。
「どうしたの?」
「親戚のおじさんが倒れたんだって。どうなるかわからないから一応待ってなさいって。
居ないと思ったらうちの皆向こうに居るらしいわ」
「え、それ蓮子は病院に行った方がいいんじゃ……あ、医者をおじさんの家に呼んでるの?」
「お金持ちっぽい発想やめてよ。ちゃんと救急車で病院行ったって。私は来なくていいらしいわ。
あんまり付き合いのない人だし……そりゃもしものことになれば顔は出すけど」
 お気楽な帰省がとんだことになってしまった。
 居辛いなぁ……私、帰った方がいいんじゃないかしら。
 もしものことがあったら客人なんて邪魔なだけだし……
 さてどうしよう、と呟いて彼女は座る。
 ことがことだから声掛け辛いなぁ。
 あまり付き合いのない人、とは言っていたけど。
 そわそわしちゃって落ちつかない。私こそ、どうしよう。
 彼女の方もそんな感じなのか、視線を泳がせながら唸っていた。
 空気が重い……そんな風に感じていたから、彼女の呟きはよく聞こえた。
「……なんでおかあさんケータイじゃなくて家の電話にかけてきたんだろ」




 蓮子に借りた本を読む。
 疲れのせいか暑さのせいか、それとも空気のせいなのかあまり頭に入ってこない。
 ぬるくなったお茶を飲む。蓮子、どこに行ったのかしら。ふらっと出ていって戻ってこない。
 探しに行った方がいいのかなぁ。でも勝手にひとの家うろつくのもねぇ。
 まあここは蓮子の家なんだし、心配することもないかな。
 お茶のおかわりが欲しいけど取りに行けないから探すってのもなんだし。
 びゅうと強い風が吹く。開きっぱなしの本がぱらぱらと捲られる。
 ――蝉の声が止んだ。
 静か、だな。どこか冷たくさえ感じる静寂。
 あんなに煩わしかった蝉の声が、恋しくなるほど。
 そんなことを思ったからだろうか。家の奥から騒がしい音が響いてくる。
 電子音ではなくベルを鳴らす音。また電話だ。
「蓮子ー、電話よー」
 ベルは鳴り続けている。まだ電話は取られていない。
 なに、出掛けちゃったの?
「蓮子ー?」
 居ない、の? ベルが鳴り止む様子はない。
 うるさいな……出た方がいいのかしら?
 こんなずっと鳴らし続けるなんて大事な用があるのかもしれない。
「蓮子ー、電話だってばー」
 言いながら部屋を出る。電話は――音からしてこっちか。
 やれやれ、この家の電話は留守電ついてないのかしら。
 電話に辿り着いても、蓮子の姿は見えなかった。
 観念して受話器に手を添える。えーと、私は蓮子の友達のマエリベリーでと答えて……
 うん、蓮子に伝えると言えばいいでしょ。
 喧しくベルを鳴らし続ける電話から受話器を持ち上げる。
「はい」
『今から行くから』
 ……え?
「あ、あのどちらさまでしょう?」
 訊いたってわからないのに訊いてしまう。
 蓮子の家にかけてきてるんだから私の知らない人に決まってる。
 件のおじさんの用件かもしれないから訊いて、蓮子に取り次いだ方がいいんだろうけど、
『宇佐見でしょ?』
 名指し。
 何もおかしいことはない。ここは蓮子の家で、その電話にかかってきているのだから。
 でも、何故か、蓮子の名字を言われたことがたまらなく不安だった。
「そ、そうですけど」
『今から行くから』
「でも、あの今家人が出払ってまして……」
『宇佐見だよね』
 なんだろう。
 鳥肌が立つ。
 気持ち悪い。
「居ない、んです。みんな、用事があって」
『今から行くから』
 気持ち悪い、気持ち悪い気持ち悪い……!
「ですから、来られても誰も居なくて、私たちもこれから出かけるので……!」
 そんな予定はない。自宅待機を命じられてるのに。
 でもそうしたくてたまらなかった。蓮子を見つけたらすぐにでも家を出たかった。
 心臓が痛いくらいに跳ね回る。息がし辛い。足から手の指先まで震える。
「居なくなりますから! すぐに出かけます!」
 返事はない。受話器からは沈黙しか流れてこない。
 声を荒げ過ぎたのだろうか。びっくりされて、黙っちゃってるんじゃ――

『今から行くから』

 乱暴に受話器を置く。
 通話を切る。
 なに。
 なによ今の!?
 鳥肌が治まらない。震えが止まらない。
 薄っぺらい、抑揚のない声。思い出すだけで怖気が走る。
 小走りに蓮子の部屋に戻る。戸を閉めて、座り込んだ。
 荒くなった息が整えられない。苦しい。気持ち、悪い。
 あの声が耳に染み付いて離れない。耳の奥で何度でも再生される。
 行くって、来るの? ここに? この家に?
 苦しい。息が出来ない。呼吸、整えなきゃ。
 蓮子。早く蓮子探さなきゃ。ここに居ちゃダメだ。
 どこ行ったのよ。あいつ、宇佐見って名指しで。
 早くしないと、探さなきゃ、蓮子。蓮子。蓮子――――
 息が、出来ない。




 揺すられる。
 やめて、起きたくない。
 肩に触れる感触が暑くてたまらない。
「……リー、メリー」
 しつこいな。私は起きたくないのよ。
 怖かったの。休みたいの。察してよ。
「メリー、メリーってば。メリーっ」
 だから、しつこいわよ蓮――
「――蓮子?」
「ようやく起きた」
 体を起こそうとして目眩に止められる。
 っあ――うわ、気持ち悪い……
「びっくりしたわよ。部屋に戻ってみたら寝てるんだもの」
「え……蓮子、居たの……?」
「居るわよ。そんなことよりメリーったらスカート捲れて下着が見え」
 がばっと起き上がってスカートを押さえる。
「……るんじゃないかとわくわくした」
 ――根性悪め。
 ニヤニヤ笑うなっつの。生意気よ蓮子のくせに。
 あー、でもおかげで頭に血が巡ってきたわ。もうふらふらしないで済みそう。
 ええと、なんで私寝てるんだっけ。今何時かしら。窓に目を向ける。
 私はどれぐらい、
「え、うそもう夜……!?」
 四角い窓枠の中は、真っ黒だった。
 黒い絵の具で塗りたくったような景色。
 窓の外は何も無いんじゃないかと錯覚してしまう。
「あー、曇ってきたわね」
「……は?」
 曇り? 何言ってるのよ、曇りなんてレベルじゃないでしょ。
 こんなに暗いのに、蓮子は何を見て……見て、見えて、ない?
 もう一度窓の外を見る。目を凝らす。あまりに現実感のない黒さ。
 のっぺりとした、カーテンにでも覆われているかのような暗闇。
 なのに、部屋の中は電灯もつけてないのによく見える。夜じゃ、ない。
 現実の黒じゃない。線の先、本来届いてはいけない向こう側の。
 ――蝉の声が聞こえない。
「ねえ、蓮子」
 暑さのせいではない汗がこぼれる。
 指先が震えるのを自覚する。
「なんで、さっき電話に出なかったの」
「電話? なんのこと? 出たじゃない」
「最初のじゃなくて、二回目」
「二回目?」
 彼女はきょとんとしている。私の話が通じていない。
「そんなのあった?」
 嘘じゃない。彼女の嘘なんて簡単に見破れる。
 蓮子は本当にあの電話に気づいていなかった。
 なんなの。あれ、私の夢? ただの悪夢?
 つばを飲み込む。口の中が乾いているのか、どろりとした感触。
 違う。違う。違う。じゃあこの黒さはなんだ。私の眼で視てしまっているこれは。
「あの電話、本当におかあさんだったの?」
 質問を変える。蓮子の表情は、困惑に変わっていた。
「は? 何言ってるのよ。間違える筈ないでしょ」
「じゃあ着信履歴調べてみて」
「メリー?」
「いいから」
 蓮子の背を押して電話の元に向かう。
 記憶通りの場所に、電話はある。やっぱり、あれは夢じゃない。
 さっきも見た。呼び出し音こそ古いベル式だけど本体はそう古くない。
 だからこの電話機は着信履歴を表示できる筈だ。
 なんなのよ、と彼女は不満げに電話機を操作し始める。
 これで確信が持てればいいのだけど……
「あれ」
 声に彼女の顔を見る。
 横顔なのにすぐわかるほど、目が見開かれてる。
「……着信履歴、ない」
 当たってほしくなかったのに、ビンゴ、ね。
「え? 三時頃、よね。私たちが家に着いたのって。なんで履歴ないの?」
 困惑し切った目を向けられるけど、すぐには答えられない。
 まだ私の中でも整理がついてないのだ。
 最初から、落ちついて考えなきゃ。
 ――蓮子は何故電話に出なかった?
 気づいてなかったなんてあり得る? この家が広いっていってもあの大音量よ。
 聞こえなかった、なんておかしい。それこそあり得ない。
 自分の家なのに。客人である私が出ても動かないなんておかしい。
 家人が全員出払ってるのは何故?
 蓮子の話では大して付き合いもない筈のおじさんが倒れたから。
 大して付き合いもないのに家族総出で行くものだろうか。
 そも、最初の違和感は蓮子が受けたあの電話。
 私が指摘するまで彼女は電話に出ようとしなかった。
 電話。
 二回の電話。
 その両方とも、蓮子は出ようとしない。
 一回目は私が指摘したから。
 二回目は私が受けた。
 …………あの電話は、受けてはならないものだった?
「ねえ、今、何時?」
「え、ええと、五時、だけど」
 二回目。二回目の電話は何時だった。
 あれから何時間過ぎてる?
 ここからは外が見えない。だから思い出す。
 私が見た景色。
 黒く塗り潰された景色。
 窓から見える世界は、真っ黒。
 ――蝉の声が、聞こえない――
「台所、どこ」
「メリー?」
「案内して」
 彼女の手を掴む。
 全然状況が理解出来てないだろう蓮子はそれでも台所まで案内してくれた。
「蓮子! 塩! 塩どこ!?」
「しお? 塩ならいつもここに」
「貸して!」
 袋ごと塩を持ちだす。
 蓮子の手を掴み走り出す。
 早く、早くしないと。
 蓮子の部屋に戻り戸を閉める。
「ごめんあとで掃除するからっ!」
「え、め、メリー?」
 部屋の四隅に塩を盛る。
 こんなの気休めでしかないかもしれないけれどやらないよりマシだ。
 私たちはその道の専門家じゃない。聞きかじりの知識しかない。
 でも今はそれに縋るしかなかった。
「あの、盛り塩って普通家の外に」
「しっ!」
 蓮子の口を押さえる。
 聞こえた。
 玄関が、開いた。
 逆戸を気にせずに、誰かが入ってきた。
「め、メリー」
「蓮子、喋らないで」
 気づいた。彼女もこの異常な空気に気づいた。
 大丈夫。大丈夫だと信じろ。
 盛り塩で結界を張った。塩は清めの力があるんだ。
 ぎしり。
 ぎしり。
 誰かが、廊下を歩いている。
 妙にゆっくりとした、なにかを探しているような歩み。
 私たちを――探している。電話に出た私たちを、探している。
 ぎしり。
 ぎしり。
 ぎし。
 止まった。
 この部屋の前で、止まった。
 自分の口を強く押さえる。悲鳴が、漏れてしまいそう。
 みし。
 ――? 何の、音。
 みし。みし。
 なにか、軋むよう、な。
 戸がたわんでいた。
 強風でも受けたかのように。
 なにかが、寄りかかっているかのように。
 やぶ、破られ、る。戸が破られる。やだ、うそ、やだ。
 けっかい、結界があるの。塩で結界を張ったから大丈夫よ。
 入ってこれるわけない。入ってこれない。入ってくるな……!


あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ


 ――――っ!!
 思わず蓮子に抱きつく。
 ただ互いの震えを共有しただけ。
 微塵すらも恐怖は薄れなかった。
 戸のたわみが、戻る。
 ぎしり。
 ぎしり。
 去っていく。
 入るのを諦めたのか、私たちに気づかなかったのか、他に行った。
 足音が聞こえなくなるまで待って、蓮子は口を開く。
「めり、メリー、なに、なんなのあれ」
「わかんない。わからないけど、ここから出ちゃダメよ」
 それしか答えられない。
 でも、あれは、この世のものじゃない。
 あんな声、どんな生物だって出せるものか。
 会っちゃいけない。遭っちゃいけない。
 そういう、ものだ。
「なんで、あ、メリー? あの、電話って」
 彼女は鈍いくせに頭は切れる。からくりを見抜いたらしい。
「……あいつ、電話で確認してたのよ。この家に誰かが居ないかって」
 蓮子を騙して家から出さないようにした一本目の電話。
 まるで話の通じなかった私の受けた二本目の電話。
 あれがあいつの手口だ。
 きっと、蓮子は本能的にそれを避けてた。
 だから電話に出ようとしなかった。
 なのに、私のせいで……
「ごめん」
 私のミスだ。私のせいでこんなことになった。
 蓮子を巻き込んでしまった。
 彼女だけなら、回避できただろうに。
「ごめん、蓮子――私が電話に出ちゃったから」
「メリー」
 手を握られる。
 熱い。熱い、彼女の手が、私の手を包んでいる。
「後悔とか、後回し。まずは助かる手段を考えましょ」
 こんな状況で――彼女は微笑んでいた。
 きっと無理してる。彼女だって怖い筈。
 私を元気づける為に、無理して笑っている。
「――蓮子……」
 足音。
 戻ってきた……!
 視線を戸に戻し、私たちは抱き合う。
 かちかちと歯の鳴る音が、いやに大きく響く。
 聞こえないで。あいつに、聞かせないで。
 願いが通じたのか、今度は戸に寄りかかることなく通り過ぎる。
「ど、どうしよう――あいつ、まだいる……っ」
 ぐるぐると家の中を回ってる。私たちを探し続けている。
 執拗に、逃がすまいとするかのように。
 どうすれば、諦めさせれるのか。
 あいつに、諦めるとかあるの?
 このままずっと追われ続けたら、あいつに、捕まる――?
「――電話」
 声にびくりと震える。
 蓮子。蓮子の声。
「な、に?」
「メリー言ってたわよね、あいつは電話で確認してたって」
 それは、言ったけれど。
 多分間違ってない。そういうルールであいつは獲物を探している。
 じゃなきゃ説明がつかないようなことが多々あったし。
「電話を鳴らして出なければいいのよ」
 言葉を返せない。
 いや、それは……あいつが来る前の話でしょ?
 でも、確かにあいつが電話に依存する存在なのなら……
「……試してみる価値は、あるけど」
 あいつのかける電話じゃないとダメじゃないのか。
 他所からの電話なんて意味がないんじゃないのか。
 否定ばかりが思い浮かぶけれど――蓮子の顔を見ていると、いける気がしてくる。
「で、でもどうやって……」
「文明の利器があるでしょ?」
 取り出したのは、私の携帯電話。
 え、何時の間に――鞄に入れっぱなしだったのに。
「私の名前が電話機に表示されたらまずいから、悪いけどあなたの借りるわ」
 私が何か言う間もなく彼女は電話をかける。
 数秒の間を置いて鳴りだすベル。
 家中に響く、呼び出し音。
「……あいつが出たら、どうしよう」
「私たちが見つけたルールが当たってることを祈りましょ」
 ベルが鳴り続ける。
 けたたましいベルに混じって、足音が聞こえる。
 あいつはまだ私たちを探している。
 二度、部屋の前を通り過ぎ――何分経っても、戻ってこなかった。
「…………行った?」
「……わかんない。もう少し」
 その瞬間、ベルなど比べ物にならない大音響が耳を劈いた。
 二人して飛び上がる。抱き合ったまま畳に倒れ込む。
 蝉。
 やかましい、蝉の声が――戻ってきた。
「――はぁ」
 ベルの音が止む。
 数センチも離れていないところで溜息を吐く蓮子の顔。
 視界は彼女の顔で埋め尽くされてしまって見えないけれど、ケータイを切ったらしい。
「秘封倶楽部、無事生還ってことで」
 そんな台詞に返せるのは、やはり溜息だった。
 ごろりと体を転がし半身を起こす。
 窓の外を見る。
 夕暮れというにはまだ早い傾いだ陽射し。
 時計を見ると、針は五時四十五分を指していた。







 縁側で蚊取り線香が燃えるのを見つめる。
 古式ゆかしい渦巻型。日本人ではない私でも何故か懐かしく感じるにおい。
 背に届くのは蓮子の声。携帯電話で色々話している。
 暫くして、彼女は私の隣に座った。
「電話してないって」
「は? じゃ、おじさんは?」
「入院してないどころかそんな話聞いてないってさ」
 やっぱり全部あいつの嘘だったわけか。
 嘘なら嘘に越したことはないのだけれど、やっぱり疲れるわね。
「つーかおとうさんとおかあさんは温泉旅行だって。おばあちゃんは友達と浅草でお芝居旅行。
私今日帰るって言ってあったでしょうがっ!」
「いや私に当たられても」
 家人が不在だったのはそういう理由。
 あれの来訪に気づいていたかのようにばらばらに家から離れていた。
 なんなのかしらねー、これ。蓮子の家って予知能力者の家系とか? んなわけないか。
 でも、本能としか云えないなにかであれから逃れていた。
 逆戸も多分、そういう意味合いがあったのだろう。
 想像でしかないけれど、家人は死んで誰も居なくなった――と思わせるように、とか。
 電話に出てしまったから通じなかったけれど……あれへの対策だった。
「ねえ蓮子、あの逆戸なんだけど……何度か見たって?」
「ん? ええまあ。あれもやっぱり今回のあれ絡みなのかしら」
「多分ね。確証はないし――確かめようもないけど」
「そういえば、たまにあったのよね。何故か家族全員出払っちゃう日。毎年必ずってわけじゃないし――
こういう怪異が起きてるって知らなかったから忘れてたわ」
「はあ?」
 なにそれ。
 思わず団扇を落としちゃったわよ。
「なに、つまり、あいつ何度も来てるの?」
「さあ。電話に出てなかったわけだし、来てはいなかったんじゃない?」
 あんなわけのわからない怖いのが――呆れてものも言えやしない。
 団扇を拾って扇ぐ。あー涼しい。恐怖で涼むのと違って健全な涼しさだわ。
「はぁ……冥界だとか言い出さずとも、あなたの家自体がオカルトスポットじゃない」
 これから数日、この家で過ごすのかと思うと気が重い。
 ……冥界、お墓参り。
 お盆か――あの世とこの世の境目が曖昧になる。
 陽炎のように、全てが融けて混ざって……見通せない。
 こんなに長い期間結界が薄れてしまうなんて、とんでもない国だわ。
 あんなものまで出てきてしまう――とても怖い、夏。
「あれ、なんだったと思う?」
 答えを期待せずに問い掛ける。
 蓮子は暫し唸り、ぽつぽつと語り出した。
「ん――……通り魔みたいなもんだと思う」
「通り魔? 人間の?」
「人間でも文字通りの魔でもいいわね。どっちも同じだから」
 同じって、違うでしょ?
 魔と人間は別物じゃない。
 今日遭遇したあれが人間と同じだなんて信じられないわよ。
「過程じゃなくて結果が同じ。遭っちゃったら痛い目見るでしょ?」
 包丁を持った人間と、今日のあれを想像の中で比べてみる。
 まあ、そうね。どっちも遭って捕まったらろくなことにならないわ。
「運が悪いと出遭っちゃうモノ。出遭ったら不幸になるモノ。それが何かは、わからないわね」
 ふぅん――運、か。
 確かに、運が悪かったからあんなのに出遭った。
 彼女の話では毎年来るものではないらしい。忘れるほどの頻度。
 それは怨念というより、ただ転がり続ける悪意しか感じられない。
 何の因果も因縁もなく唐突に現れ去っていく――通り魔。
 正体なんて、わかりゃしない。
「ま、今回のことでハッキリしたわね」
「? なにが?」
「私たち二人揃っていれば楽しい上に頼もしいってこと」
 彼女が見せるのは晴々とした笑顔。
 滅多にない大当たりのサークル活動の後に見せる表情。
 ……過程じゃなく結果? それってあなたのポリシーじゃない?
 こんな怖い目に遭ったってのに、無事に終わればそれでよしなんてね。
 いろいろ、文句は言いたいけれど――自然浮かぶ表情は、笑顔だった。
「――そうね」
 微笑みを返す。
 今日何度も触れた彼女の手に、私の手を添える。
 驚いた顔が愉快で、可愛かった。
「あなたの隣はこの先ずっと予約させてもらうわ」












じりりりりりん じりりりりりん













七十一度目まして猫井です

ここまでお読みくださりありがとうございました

……七十一話目、以上です



七十一本目の蝋燭が、消えました


10/21
※文字色変更しました
猫井はかま
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コメント



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1.100名前が無い程度の能力削除
じりりりりりん じりりりりりん
2.100名前が無い程度の能力削除
ゾッとしました。
黒電話系統のベル音ってかなり怖いですよね。
3.100名前が無い程度の能力削除
じりりりりりん じりりりりりん
4.100名前が無い程度の能力削除
これは恐ろしい…
通り魔、妖怪ではない
それ以上
7.100名前が無い程度の能力削除
雰囲気で怖さを引き出す、日本らしい怪談。
田舎の大きな家ってたまに怖さを感じるのは自分だけでしょうか?
8.100名前が無い程度の能力削除
留守番中の電話の怖さは異常
9.80名前が無い程度の能力削除
正体不明が一番怖いのはいつの時代も変わらないと。
12.100奇声を発する程度の能力削除
後書きで一気に鳥肌が……
19.100爆撃削除
普通の東方キャラに比べて、秘封組は無力だなあ、と。
無力だからこそ、ホラーで映えるなあ、と。
いい雰囲気でした。
実家は黒電話です。変なトラウマができたらどうしましょ
22.100名前が無い程度の能力削除
寝る前によんだわたしはばかだ
眠れねぇ……
25.100名前が無い程度の能力削除
後29本か…
26.100名前が無い程度の能力削除
こわいよ・・・
27.100名前が無い程度の能力削除
おもしろかったです。映画化してほしいくらい
28.100名前が無い程度の能力削除
上質なホラーだと思います。いや、恐かったです。
お見事!
30.100名前が無い程度の能力削除
100本目が消えたらどうなってしまうのか
31.100名前が無い程度の能力削除
ルスバン デンワ ロクオン ハ イッケン デス

「……今から行くから」

ツー
ツー
ツー
38.100名前が無い程度の能力削除
背筋がぞっとする話ですね・・・・・・
何か察知してた筈の家族が蓮子に伝えてあげないとこに違和感があって、ラストでどんでん返されるかと思ってましたけどw
2人が無事で良かったです
40.100名前が無い程度の能力削除
姿が見えないからこそ感じる恐怖というものが見事に描かれていました。
これは映像で見てみたい。
動きが全くない空間での蝉の音と無音は非常に怖いです。
41.100名前が無い程度の能力削除
秘封でホラー、とても良かったです。
42.100名前が無い程度の能力削除
ドンドンドン…
ジリリリン…
43.100名前が無い程度の能力削除
なるほどなぁ~。
私も秘封でホラーは映えると感じました。
面白かったです!!
44.100名前が無い程度の能力削除
塩だ!塩を持ってこい!!
46.100Taku削除
無機質的なベル音の怖さが……!
それにしても蓮子さん少し慣れすぎてやしませんか――!?
こんな夜中に読んでしまったので、なんだかいろいろと怖いです。
良いお話でした、ありがとうございました。
48.100SAS削除
こうして私のトラウマがまた一つ
49.100名前が無い程度の能力削除
なんて上質なジャパニーズホラー
おもしろい!こわい!
51.100名前が無い程度の能力削除
面白かったです。
55.100名前が無い程度の能力削除
ほっとしたところに後書き……
56.100名前が無い程度の能力削除
こわっそそわで読んだホラーでもトップクラスにこわいよ
あー電気消せない
57.100名前が無い程度の能力削除
夢に見てしまった……
60.80deso削除
実話系怪談本を思わせる良いホラーでした。シンプルだけど、じっとりと怖い。
途中、蓮子がいなくなったのが何かの伏線かとびくびくしてましたが、何事もなくて良かった。
61.100名前が無い程度の能力削除
前回の木製電柱のときにも思いましたが、猫井さんのホラーは本当に面白い。
最近は人の狂気みたいなものを書いた猟奇的なホラーしか書かれていないと感じていたので、雰囲気から怖さが伝わってくる本格的な怪談が読めて本当にうれしい。
今回も怖がらせてもらいました。
62.100名前が無い程度の能力削除
普通に話に引き込まれてしまった
63.100名前が無い程度の能力削除
紫「蓮子に会いたいだけなのに……」というのをあとがきに期待したがそんなしょっぱい答えはなかったぜ!
こわかった~
66.100リペヤー削除
機械に適応した妖怪もいるのですね

……おや、こんな時間に電話が? 誰からだろう
67.90euclid削除
冒頭からゆっくりと、作品全体の雰囲気が怖さ・恐ろしさに蝕まれていく感覚が
なんともゾッと来ました。
68.100名前が無い程度の能力削除
よ夜中に電気消しして読んだ俺はきっとささ最強さっ

……誰だよ、こんな時間に電話かけて来るヤツは…。
73.100名前が無い程度の能力削除
妖怪も忘れられ、そして生まれていく。
74.100名前が無い程度の能刀削除
真夜中とか明け方の電話ってイヤだね、緊急とか不幸でもないとかけてこないハズだし…
怖かったけど読ませる話でした。
93.100名前が無い程度の能力削除
怖かった。
面白かったです。
98.100名前が無い程度の能力削除
メリーが蓮子の実家に挨拶ひゃっふぅ!とか思ってた自分を殴りたい。
一人で留守してる時に電話がかかってくると怖いですよね。
100.100名前が無い程度の能力削除
くそ…明るいうちに読んだはずなのに嫌な汗をかいてしまった
かわらず背が冷たくなる思いをさせられました 完敗
102.100名前が無い程度の能力削除
秘封のこういうSSはどことなく落ち着きますね。
2人の絡みも素晴らしい
104.100名前が無い程度の能力削除
暑さが吹き飛んだぜ……。
しかし、怖すぎないというか、読んだ後に気持ちの悪さが残らない。
いやはや楽しませてもらいました。
106.100名前が無い程度の能力削除
ただいま猫井さん名前読み中
怪談シリーズ、ほんと面白いです
109.100名前が無い程度の能力削除
あとがきいいね
114.100非現実世界に棲む者削除
かなり良質なホラーでした。
黒電話マジ怖い。