Coolier - 新生・東方創想話

夜ごはんにっき

2010/10/14 19:24:46
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 11月 9日
 夜ごはん:うさぎのおにく

 きょうからにっきをかくことになった。
 もう子どもじゃないんだからって、お母さんが言ってた。
 でもただかくんじゃつづかないから、夜ごはんを書きなさいって。
 きょうはうさぎのおにくをたべた。おいしかった。
 お父さんはあんまりすきじゃないみたい。
 わたしにちょうだい。

 
 11月 10日
 夜ごはん:うなぎ

 お父さんがもってきたうなぎをたべた。
 でも、どうして。お母さんはおこってた。
 ようかいって言ってたけど、なんのことかな。
 よく分かんないや。
 おいしいのにな、すきじゃないのかな。
 
 
 11月11日
 夜ごはん:おなべ

 大ごちそう。たくさんたべた。
 お母さんはおやさいもちゃんとたべなさいって。
 わたしだけじゃないよ。
 ごちそうさま。
 

 11月 12日
 夜ごはん:おうどん

 きょうのごはんはおうどんだった。
 やけどして、あんまりよく分からなかった。
 でもまえにたべたときはおいしくなかったとおもうから、いいや。


 11月 13日
 夜ごはん:おうどん

 このまえもおうどんだったのに。
 でもそれをいったらお母さんにおこられるので、がまんした。
 おさけをのんだお父さんがおこられてて、がまんしてよかったとおもった。
 お母さん、こわいもん。
 おうどんはやっぱりおいしくなかった。


 11月 15日
 夜ごはん:おでん

 きのう、にっきをかくのをわすれちゃった。
 お母さんはみないから、だいじょうぶかもだけど。
 あれ? それなら、にっきをかかなくてもいいのかな。
 でもいいや。さいきん、たのしくなってきたから。
 きょうはおでんだった。
 あしたはもっとおいしいから、たのしみ。


 11月 16日
 夜ごはん:おでん

 おいしいはずのおでんがおいしくなかった。
 お父さんとお母さんが、けんかしたからだ。
 あしたはおいしいごはんがいいな。


 11月 17日
 夜ごはん:なし

 お父さんのばか。


 11月 18日
 夜ごはん:おうどん
 
 お父さんはかえってこなかった。
 おいしくない。
 おいしくないおいしくない。
 ぜんぜんおいしくない。


 11月 19日
 夜ごはん:おにぎり

 さむい。くらい。こわい。
 お母さんどこに行っちゃったの。
 どうしてわたしににげろなんて言ったの。
 どうしてつれてってくれないの。
 おにぎり、つめたい。おいしくない。


 11月 20日
 夜ごはん:おにぎり

 お母さん、わたし、やくそくちゃんときいてるよ。
 一日一こだけしか、おにぎりたべてないよ。
 にっきもちゃんとかいてるよ。
 だからほめて。
 ねえってば。


 11月  日
 夜ごはん:おにぎり

 おきたらまっくらだった。
 どこ。なんじ。なにもわからない。
 お父さんがはなしてくれたようかいのはなしをおもい出して、こわくなった。
 お父さんの、やっぱりばか。
 お母さんも、おんなじくらいばか。


  月  日
 夜ごはん:きのこ

 おいしいけど、おいしくない。
 つかれた。ねむい。
 おやすみなさい。


  月  日
 夜ごはん:きのみ

 おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。おなかへった。


  月  日
 夜ごはん:くさ

 おなか。


  月  日
 夜ごはん:つち

 が。


  月  日
 夜ごはん:いし

 へった。


  月  日
 夜ごはん:なし



  月  日
 夜ごはん:なし


 
  月  日
 夜ごはん:ずーっとなし



  月  日
 夜ごはん:みつけた



  月  日
 夜ごはん:にんげん

 

 
 おいしかった。





  月  日
 夜ごはん:とり

 たくさんいたから、たくさんたべた。
 だからおなかがいたい。
 くちばしとつめがひっかかって、もっといたい。


  月  日
 夜ごはん:

 なにをたべたのかよくわからない。
 あまりおいしくはなかった。


  月  日
 夜ごはん:うさぎ

 やわらかい。
 もっともっともっともっともっと。

  
  月  日
 夜ごはん:にんげん

 くさっていたけど、せっかくだからたべた。
 まあまあだった。
 いきてたらもっとおいしかったのに。
 いきてるにんげん、もっとこないかな。

  
  月  日
 夜ごはん:むし

 むしゃむしゃ。
 ぐちゃぐちゃ。
 ばりばり。
 ごくん。
 ごちそうさま。


  月  日
 夜ごはん:いぬ

 へんなにおいがした。
 へんなものをたべて、まざったにおい。
 どうせならおいしいものをまぜたらよかったのに。
 だったらわたしはおいしいのだろうか。
 きになったけれど、いたそうだからやめた。
 ためすのはさいごにしておこう。そのためにも、もっとたべなくちゃ。

 あしたは、なにをたべよう。


   ◇


 久々に仕事をした帰りに、見知った顔が石に腰掛けているのを見つけた。
 近付くと、何やら上機嫌によく分からない鼻歌を歌っているのが聞こえた。泥まみれの手帳のようなものを手に持って、万年筆をもう片方の手で弄んでいる。
 里の近くで見かけた以上放っておくわけにもいかず、私は渋々声をかけた。

「妖怪がこんな所で何やってるのよ」
「あー、霊夢。日記書いてるのー」
「それは見れば分かる」

 問題は、妖怪には無縁そうなものをどうしてこのルーミアが持っているのかということだ。
 私がそれを聞くと、ルーミアは書く手を休めないまま答えた。

「森の中に落ちてたから拾ったの。最近暇だから、人間の真似事してもいいかなって。途中まで書いてあったけど、別にいいよね」
「森の中に? ちょっと見せて」

 無造作に放られたそれを受け止めて、ぱらぱらとめくる。最初の方を見れば、この日記の持ち主がどういう運命を辿ったのかは大体分かった。
 いずれにせよ、これは遺品という事になるのだろう。だとすれば、面倒だが届けないわけにはいかない。
 しかしその前に、私には一つ聞いておかねばならない事があった。

「ねえ、ルーミア」
「んー?」





「あんたが書き始めたのは、どこから?」
こんな変な作品を読んでいただき、ありがとうございました。

10/16 脱字修正しました。ご報告ありがとうございます。
とりb
http://blog.livedoor.jp/birdb/
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コメント



0.4030簡易評価
2.100名前が無い程度の能力削除
これは、簡単そうに思えるけど深いな
かなり怖い
3.60名前が無い程度の能力削除
シンプルでよし。
4.100半妖削除
うーん、どっからだろうな。
何処からとも考えられるし、どう考えたとしてもちょっと怖い。
とてもおもしろかったです。
12.100名前が無い程度の能力削除
最後のセリフで日記の冒頭から最後までの文章が一気にぞわわわってきた。
気持ち悪いのが凄く気持ちよかったです
13.90名前が無い程度の能力削除
これは頭に残る
14.80名前が無い程度の能力削除
分かりにくかったけど、なんとなく正解らしき答えは分かった気がする。
シンプルイズベスト。面白かった。
16.100名前が無い程度の能力削除
最後のが利いた、鳥肌立った。
18.90名前が無い程度の能力削除
ゾクリとしました。そ、そう来るかぁ。読み返してみたらこれが怖い。
20.70名前が無い程度の能力削除
筆跡を…とか思った俺は無粋なのか
それよりも餓死した子の死を悼みます
21.無評価名前が無い程度の能力削除
連レスさーせん;
餓死かどうかは分かりませんでしたね;;
24.80爆撃削除
なんだかもやもやとしましたが、もやもやするのを狙ってるんだろうなあ、網にかかってしまったなあと思いました。
定番のネタのようにも見えましたが、思ったよりオチが定番でないのが楽しかったです。色々考えるのが。
関係ないですが、一番最初のうさぎのおにくで、「ああ誰か食われたな」とかいう変な読みをしてしまいました。
28.90名前が無い程度の能力削除
どこからルーミアが書いてるんであろうと私得であるのには変わりない
かわいいなぁ人食い少女かわいいなぁ
31.100名前が無い程度の能力削除
途中で妖怪になったのかなと思ったけど、なんかもやもやする。

読んでおもしろかったと久々に思いました。ありがとう。
33.80名前が無い程度の能力削除
私の見解ではあの日記からルーミアだぁぁ!
34.90名前が無い程度の能力削除
ああなるほど。ルーミア
36.100冬。削除
ルーミアの前。子供がどんな環境に置かれ、移り変わったのか。
妄想するだけで、御代わり三杯ぐらいできますね。それが食尽少女だとしても。
最後の台詞。霊夢の顔色を思うだけで、ゾッとします。
あー、楽しかった! 楽しませて貰いました。ありがとうございます。
37.80名前が無い程度の能力削除
是もまた致し方無き事。
38.90名前が無い程度の能力削除
ルーミア「まだ何も書いてないよ?」
41.100名前が無い程度の能力削除
なにこれこわい
42.100名前が無い程度の能力削除
読み返してあれこれ想像出来る作品は楽しいです。
素晴らしい。
46.100奇声を発する程度の能力削除
怖い…
途中までも怖かったけど最後で一気に鳥肌が…
48.100名前が無い程度の能力削除
何とも言えない恐怖が・・・。
どこまでが日記の持ち主の書いたものなのだろうか。
53.100名前が無い程度の能力削除
最後でぞわっとしました。思わず読み返してしまう。
読み返すのにもシンプルで良いですね。
面白かったです!
55.100名前が無い程度の能力削除
おー……これはなかなか……
これは全部抜粋かも知れなくて、夜ごはんがいぬの日が最後とも限らないんですよね
どこで切り替わったか、それとも切り替わっていないのか、それぞれ想像すると面白い
57.100名前が無い程度の能力削除
よみかきができるかどうかですね
58.100名前が無い程度の能力削除
えっ、えー・・・。えっ!?
61.40名前が無い程度の能力削除
読みにくい形式や文体と、それに見合わないありがちなオチでした
……女の子が変化したのがルーミアってことはないですよね?
その辺がわかりにくくてもやもやしたのも含めて(想像の羽が広がるということでもあるのでしょうが)、この点数で失礼します
63.100シンフー削除
話の構成、展開、そしてオチ。
その全てが素晴らしい!

あなた様の書くこんなお話をもっと読んでみたいものです。
64.100名前が無い程度の能力削除
最初に日記を書いていた子が人を食ったのか?それともルーミアが人を食ったのか?
どちらにせよあまりいい結末は来なさそうですね。
65.100名前が無い程度の能力削除
さらっと受け入れる霊夢が恐い
68.100名前が無い程度の能力削除
色んな解釈を許す素敵な作品だと思います。
幻想に必要なのは物語であって、答えではないですものね。
69.90v削除
先入観こわい。かゆ、うま。
72.90名前が無い程度の能力削除
面白かった。
いくつか「日記にかかれた文章」としては(著者が精神に異常をきたしているとしても)不自然なモノがありましたが、
そこを気にしなければ、スラっと読めて仄かに余韻や考察を残してくれる良い作品でした。

お父さんがはなしくれた→お父さんがはなし「て」くれた かな
73.100名前が無い程度の能力削除
「夜ごはん:とり」のところで腹の中にくちばしや爪が刺さる痛みを想像して鳥肌が立っている所に追い討ちをかけられた気分。
79.100あーるわん削除
ルーミアが少女を食べたんじゃね?

拾ったていうかその場で遺品をもって帰ったという
80.80名前が無い程度の能力削除
最後の霊夢の台詞がいい味出してますね。一気に深くなった。
81.50名前が無い程度の能力削除
たぶん他の誰かも指摘してるだろうけど、筆跡から違いがわかるはず。
別にそれだけ小説ならではのトリックでいいんだけど、霊夢が最後に
問いかけてるのがアウト。
霊夢は日記を見てその筆跡の違いに気づける立場であり、なのに質問してるのは不自然だから。
83.100名前が無い程度の能力削除
だから筆跡が違うはずなのに変わらない
前の持ち主を誰もみていない

でまさにコメ欄の人たちと同じ違和感を感じたから
霊夢は問いかけた、と思っていた私は百点をおいていく
84.100名前が無い程度の能力削除
なるほど…この少女はルーミ
【このコメントは美味しく食べられました】
86.90名前が無い程度の能力削除
これは上手いなあ。
こういうの好きです。
88.100名前が無い程度の能力削除
おお・・・。
90.100名前が無い程度の能力削除
うわぁ…ゾクッとしました。
ルーミアがどこから書いたか霊夢には解らない=筆跡に変化が見られない…ってことは…
94.100名前が無い程度の能力削除
一本筋のルーミア誕生の話かと思ったら、最後の霊夢の一言で裏切られました。この一言は怖い
95.90名前が無い程度の能力削除
何てことない話だけど、ものすごく怖いな。
ところで、最初のほうのうさぎやうなぎは本筋に関係ないんだろうけど、タグのせいで妙に緊張した。
99.80幻想削除
シンプルですが見入ってしまいました。
101.80名前が無い程度の能力削除
この霊夢の質問が、念押しなのか、本当に分からなかったのか…
こういう、視覚的にわからない小説故のギミックは面白いです。
104.100名前が無い程度の能力削除
:うさぎ でてい(変換できねぇ)かうどんげ死んで
:とり でみすちーが逝ったと思って、
あれー?幽々子サマー?と思ったが
幻想郷の文化水準は明治前期がモデルだったような…
それなら一般人がウサギ食っても別におかしかないよな
さすがに鳥をナマでダイナミックに踊り食いはどうだろう

個人的には日付けが消えた辺りからルーミアに渡ったかと思うんだが…
元の持ち主はどーなってるんだろ
105.10名前が無い程度の能力削除
作者は日記を書いたことがあるのか?
リアルさ皆無
108.90名前が無い程度の能力削除
予想外の展開で面白かった!
けど咀嚼音の描写は必要なかったんじゃないかな?
日記なんだし、ちょっと露骨に感じられた。
109.100名前が無い程度の能力削除
とても素晴らしい話でした
112.90粒状斑削除
引き込まれました。
細部を伏し、想像させるホラーはとても好きです。
113.80名前が無い程度の能力削除
最初からルーミアの可能性も・・・
116.80名前が無い程度の能力削除
曖昧なところの恐怖。
122.100葉月ヴァンホーテン削除
コメントを残していませんでしたね。
久々に読みましたが、やはり怖い。シンプルだからなおさら。
良かったです。
125.90名前が無い程度の能力削除
ルーミアはまだ何も書いてないんじゃないかな…。多分。個人的には、おとうさんとおかあさんに何があったのかが気になって仕方ないです←
139.90名前が無い程度の能力削除
人間はまっくらな場所じゃ何も書けない。
長い年月を生きる妖怪には日付の認識が薄い。
まぁそんなところかな。
面白かったです。
140.100ばかのひ削除
すばらしい。
おもわずうむむとうなってしまう