Coolier - 新生・東方創想話

東方熊本弁

2010/10/03 23:29:52
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 前回の東方九州弁が、わりと簡単に解読されたようなので、今回は熊本弁に特化して書いて見ました。前回よりもさらにキツイ訛りで喋っております

①東方キャラが熊本弁で喋るだけです
②てるもこ?です
③なんと言ってるか分からない方は、コメントで聞いてください
④第一回『てるもこ・オブ・ザ・イヤー』ノミネート作品です





 日も西の空に傾き、幻想郷は誰彼時を迎えようとしていた
 いつもなら、妖怪変化や物の怪が跋扈しだす時間だが、今日は違っていた
 幻想郷の東の果てにある『博麗神社』から、艶やかな笛の音と、勇壮な太鼓の音が響いている
 艶やかな衣装に身を包んだ人々が、まるでその音に誘われるかのように神社へ向かって歩いている
 今日は、『博麗神社』のお祭りであった



「永琳、なんばしょっとね。はよ来んね」

 蓬莱山輝夜は、早足で駆けながら永琳に催促する。暗い農道に神社の提灯を飾らせ、遠近からの祭りの参加者を参道に導いている

「はいはい、そやん急がんでも神社は逃げはせんたい」

 そういって、八意永琳はゆったりと歩いている
 神社のお祭りは、もちろん毎年やっているのだが、ここ数年は診療所が忙しく永琳は神社まで来れなかった
 今年は、優曇華とてゐが留守番を買ってでてくれたので、こうして輝夜と二人で祭りに行ける様になった
 そんなわけで、輝夜ははしゃいでいた
 いつもは竹林に隠れ住むためか地味な服装を好む輝夜が、今日は藍色の浴衣に髪を結い上げ、お気に入りの珊瑚のかんざしを差している
 永琳は、浴衣を着ているが、色の配色はいつものように赤と青のコントラストになっている
 あの色には何か理由があるのだろうか、しかし、輝夜はそんなものは気にならなかった

 輝夜は十歩ほど走っては永琳を振り返り、また十歩走っては永琳を呼びかけるという動作を繰り返しながら神社を目指した

 やがて、拓けた参道に出ると、埋め尽くすような提灯と篝火に迎えられた
 参道には、輝夜達と同じように着飾った人々がごった返していた

「いつもは妖怪ばっかいおるクセに、今日は人ん多かね」

 幻想郷では、人間の数は妖怪よりも少ないと聞いている
 神社には普段、訳の分からぬ鬼だったり、吸血鬼だったり、境界を操る妖怪だったりが跋扈しており、普通の人間は近寄ることはない
 神社がこれほど賑わうのは、このお祭りの日だけだった

「そうね、でも昔はもっとに賑わっとったとよ。遠くかい旅の一座が芝居小屋ば立てたり、市川雷蔵の映画をやったりね…。市川雷蔵ゆうても、姫は知らんやろうね」

 そういって、永琳は懐かしい顔になる
 今でも一番の賑わいを見せるお祭りだが、昔はこんなものではなかった
 旅の一座が義経千本桜を演じたり、怪しげな笛の音で蛇を踊らす芸人や、高らかな売り口上で縁起物を売りつける的屋の一座、中でも神社の境内で上映させる映画は人気が高かった

「知ってる。眠狂四郎やろ」

 八代目・市川雷蔵と言えば、三島由紀夫の『金閣寺』を原作とした、市川崑の代表作『炎上』で主役に抜擢され、銀幕のスターとしての地位を確立し、眠狂四郎シリーズで人気を不動のものとした
 しかし、三十七歳という若さで死亡した。その人気は死後五十年経った今も衰えることはない

「わ、姫様よう知っとぅね。ウチは若い頃、雷蔵のファンやったんよ」

 そういって、永琳は顔を綻ばせた
 永琳の年齢はともかく、永琳は市川雷蔵のファンだった
 勝新太郎の見ているものの息を呑ませる様な迫力のある殺陣よりも、まるで死相を背負ったような顔で人を斬る雷蔵の殺陣が好きだった

「ふぅん、でもウチはあの人あんまり好かんなぁ。あの人すぐに女の人にやらしいことするもん」

「………!?」

 輝夜がそういうと、永琳は顔を紅くして足早に歩き出した
 眠狂四郎といえば、市川雷蔵と有名女優との濡れ場も人気の一つだった

「あら…!?」

 不意に、永琳が声を挙げた
 向かいから女の子を連れた女性がやってきている

「まぁ…!?」

 その女性も、永琳を見つけて驚きの声を挙げた
 黒い衣装に、黒い髪に天辺あたりにグラデーションが掛かっている
 年は永琳と同じくらいだろうか、ともかく同じ波長を持っている女性である

「白蓮さん!」

「永琳さん!」

 そういって、二人は手を取り合った
 お互いに名前を知っている辺り、知り合い同士のようである

「まぁご懐かしか。四百年ぶりぐらいたい。どやんしなはったと」

「色々あって魔界に封印されとったつよ。ほんなごて、懐かしかねぇ」

 そうやら、二人の話を聞く限り、かなりの永い間あっていなかったようである
 いったい、彼女は何者なのだろうか

「永琳…、だいね?」

 輝夜が聞いた

「あんた覚えとらんとね、命蓮寺の住職さんたい」

 永琳は説明するが、輝夜はちっとも思い出せない
 そもそも、そんな名前のお寺は知らない

「あんたが本尊ばせせくっち、仏像ん指ば折ったとこたい」

 そこまで説明されて、輝夜はようやく思い出した

「ああ、あそこん寺ん人ね。えらいあくしゃ打ちよらしたもんねえ」

 あれは輝夜がまだ竹林に隠れて住んでいた頃。輝夜は命連寺の本尊の指を折ってしまったのだ
 そして、そこの住職にたっぷりと叱られていた。その住職こそ、聖白蓮、彼女なのである

「そうねえ、あん頃は(今も)姫はおてんばで手のかかりよった。ほんなら、そん子が星ちゃんね。大きゅうなったねえ」

 そういって、永琳は白蓮の陰に隠れるように引っ付いていた女の子を見る
 ワイルドな金髪に、黄色と黒の帯状の模様がついた浴衣を着た女の子
 名前は寅丸星と言った

「そうよ、ほら、ちゃんと挨拶ばせんね」

 そういって、自分の服を掴んでいた星を前に出そうとする
 おずおずと星は二人の前にでると、顔を真っ赤にして頭を下げ、すぐに白蓮の後ろに下がってしまった

「ごめんねえ、ずっと魔界に封印されとったけん、人見知りになってしもたんよ」

 自分から離れようとしない星に裾を掴まれながら、白蓮は永琳との話を続けた

「でん、四百年ぶりとけ、前と変わらんねえ」

「弟の法力で、若返りの法ば使ったとよ。永琳さんこそ変わらんやんね」

 二人は、まるで四百年分の会話をするようにどんどん話が続いた
 おばちゃん同士の会話は長くなるのが常である

「四百年ぶりやけど、神社の祭りも寂れたねえ。昔はダゴんごつ人がおって、はぐれんごつ歩くだけで大事やったとん。今は昔んごつぁにゃあじゃにゃあね」

「そやんねえ、昔は芝居小屋やら見世物小屋やら、雨後ん筍んごて来よったとん、今は里ん人間の屋台ば出しよるくらいで、やおいかん」

 そういって、二人は四百年前の祭りの風景を懐かしみ始めた

「そやんいうたら、まだ杏月堂はまだあっとね」

「うん、まだあるよ。今はあんたがおった時から十代目がしよんなは」

「あすこんきんつばは、まぁごうみゃあもんねえ」

「あんた、あすこんきんつば好きやったもんねえ」

 二人が輝夜と星を置き去りにして、ずっと二人で会話を続けている
 輝夜もさすがに退屈だった。ふと目をやると、星もビクビクしながら白蓮の服をしっかり握り締めている
 輝夜は懐をまさぐった。中には、色んなものが入っている
 おやつだったり、玩具だったり、あとは妹紅をからかう為のものである

 輝夜はチューインガムを取り出し、星に渡した
 星は右手を恐る恐る伸ばし、輝夜が渡したチューインガムを受け取る

 輝夜が包み紙からガムを取り出し、口に放り込んだ
 星はそれが食べ物なのか判別できず、いきなり口に放り込んだ輝夜を見て驚いた


 クチャクチャ…
      クチャクチャ…


 口の中でガムを噛む輝夜を真似て、星もガムを噛み始めた
 甘い柑橘系の味が、星の口の中にあふれ出してくる

 そうしているうちに、輝夜はガムを口から膨らまし始めた
 輝夜の膨らましたガムが、どんどん膨らんでいく


 パン―――!


 …という音が聞こえるわけでもないが、人の顔くらいに膨らんだガムが弾けるのを見て、星はさらに驚いた
 それを尊敬の眼差しと受け取った輝夜が、星にもガムを膨らませるように言った
 しかし、星は上手く膨らませられない

 輝夜が舌を出してやり方を教えるが、それでも星は上手くできない

 そのうち、噛んでいたガムを飲み込んでしまった

「うぁぁぁん」

 ガムを飲み込んだことに驚いた星が、大きな声で泣き出した


 ガン―――!!


 永琳の鉄拳が、輝夜の頭に炸裂した

「また姫はいらんことばっかいして。ちっとは大人しゅうしなっせ!」

 永琳の鉄拳を受けた輝夜が、頭を押える
 医者のクセに、なんて力で人の頭を殴るものか…

「よかよか、ちょっと驚いただけやけん。ほんなら、そんうちウチにも遊びに来てはいよ」

「ええ、なんさん今度はゆっくり話しばせんばね。星ちゃんもまたね」

 そういいながら、白蓮は星の手を取って境内を後にした

「もう、たいぎゃ話したけんよかろうもん」

 輝夜が星を泣かしたため、急に白蓮との話しを打ち切られてしまった永琳
 不機嫌そうに歩く永琳に、輝夜が言った

「姫はいつでんかんなしんするけんたい。今日は妹紅ちゃんも屋台ば出しとろうが」

 少し早足になる永琳

「なんね、祭りん日も働きよるとね。貧乏暇なしたい」

 そういって笑う輝夜に、再び永琳の鉄拳が飛んだ

「今日が一番の稼ぎ時やろうもん。さしより、神さんにお参りしてかい顔ば出さなんでしょう
 優曇華とてゐにも、おみやげば買うていかなんけん」

 そういって、二人は本殿へと向かった
 さすがに、境内に入ると人が溢れてきている
 屋台もここが一番集中していて、中でもみすちーのヤツメウナギの屋台は大繁盛である

「姫様が就職できますように…」

「これからも遊んでくらせますように…」

 賽銭箱に小銭を放り込み、それぞれが願をかけた
 脇手の方にどき、みすちーの屋台を過ぎると、妹紅のたい焼き屋が出ていた

「妹紅ちゃん、えらいがまだすね」

 鉄板の熱気で汗が吹き出る中、妹紅は魚の形をしたカタに生地を流し込んでいた

「おお、いらっしゃい。今日は二人とん来たつね」

 顔を上げた妹紅が、二人を見つけていった
 普段は、永琳は働きづめで、滅多に祭りに顔を出すことはない

「祭りん日も働かなん貧乏人の顔ば見に来たったい」

 永琳の影から輝夜が言った
 …瞬間、輝夜の脳天に永琳の鉄拳が落ちた

「さしよりたい焼きば十個しこくれんね」

 頭を押えて悶える輝夜をよそに、何事もなかったかのように永琳は注文した

「はいよ、焼きたてばやっけん、ええしこ待っときなっせ」

 そういいながら、妹紅は鉄板に生地を流し込む

「ウチは芋入りやけんね」

 食い意地の張った輝夜が、頭を押えながら言った

「姫はまうごつ、唐芋が好きねぇ」

 とても鉄拳を振るった後とは思えない笑顔で、永琳が言った
 妹紅は何も言わず、ふかした唐芋の皮を剥き始める

「妹紅ちゃん、一万円ば両替してくれんね」

 妹紅がたい焼きを焼く中、隣のみすちーがやってきていた
 どうやら小銭が切れてしまっていたらしい

「なんや、みすちー。えらいばたくるうとっごたんね」

 妹紅はタバコに火をつけながら、ザルに入れていた小銭を数えだす

「しゃんこつぁなかけど、なんさん白玉楼のお嬢様が来てねえ
 ヤツメウナギば百人前しこ頼んで行ったっちゃん」

 白玉楼のお嬢様といえば、いわずもがな、西行寺幽々子である
 彼女が現れたということは、これから祭りも佳境を迎えることである

 妹紅は千円札と小銭を渡す。みすちーは慌てて店に戻っていく

「…こうやって祭りん来っと思い出すねえ」

 突如、永琳が口を開いた

「妹紅ちゃんが、祭りん来ったび『輝夜ば嫁御に貰う』ち言いよった」

「―――!?」

「―――!?」

 懐かしそうに思い出す永琳
 あれは、いったい何百年前になるだろう。今のように殺し合いをする前の二人の事…
 まだ幼かった二人は、そういえば祭りの度に結婚の約束をしたものだった

「あ、あいは頑是にゃあガキん時分の話たい!」

「とつけむにゃあ昔んコツたい!」

 二人は顔を真っ赤にして反論した
 どうして保護者と云うものは、そんなことばかりよく覚えているのだろうか

「照れんでよかやにゃあね。死んだ藤原のお父さんも喜んどらしたろ」

 実際には、藤原の父も輝夜にゾッコンだったのだが…
 まあ、女同士で結婚できるわけもなく、子供同士の他愛もない話ではある
 しかし、いまや殺し合いが日常茶飯事の二人にとっては、最も触れられたくない話である

「医者や、医者はおらんか!」

 輝夜と妹紅の羞恥心が最高潮に達した時、見計らったかのような声が境内に響いた

「大事や!、篝火が倒れて人が下敷きになったばい!」

 どうやら、事件が起こったようである。悲鳴が鳴り響く中、永琳は駆け出した

「永琳、私も行く!」

 永琳について行こうとした輝夜だが、永琳はそれを止めた

「こやん人が多かつ邪魔んなっけん、姫は妹紅ちゃんの店でんかせしよんなっせ」

 そういうと、永琳は脱兎のごとく人ごみを抜け出し、現場へと向かった
 こうなると、輝夜はやることがない。一人で帰るのはイヤだが、永琳は患者が助かるまで診てるだろう

「しょんにゃあたい。永琳に任せて、大人しいしちょけ」

 タバコの火をもみ消しながら、妹紅が言った
 そうは言うものの、さっきの永琳の話のせいで、妹紅といるのも気まずい








「ほら、また生地の入れすぎたい。そやん、しゃんむっでん入れんでよかと」

 そんな訳で、輝夜も妹紅の屋台でたい焼きを焼くことになった
 しかし、如何せん輝夜は無職である

 たい焼きといえど、一朝一夕で焼けるものではない

「そやんダゴんごつアンコば入れんでよかったい。アンコばっかいんなってうもぉにゃあたい」

 屋台の椅子に腰掛けたまま、妹紅は輝夜にダメ出しを続けた

「なんね、こやんあんならよかろーもん。残したらねまったい!」

「アホ!、あとで霊夢やら紫やらに配らなん分も入っとるったい!
 ああ、ほら、返すのが早かったい。まだ煮えとらんやろう!」

 さっきまでの気恥ずかしさを隠すように、二人はギャーギャー喚きながらたい焼きを作った
 通行人は、或いはクスクスと笑い、或いは不気味に思いながら通過していく

「もう飽いたばい。こっしこ焼いて一匹百円じゃ割りんあわなんげな」

 そういうと、輝夜は前掛けを外し、クーラーボックスからコーラを出して缶を開けた

「ああ!、売りモンば勝手ん飲むな!」

 輝夜が開けたのは、売り物のコーラだった

「ふん、妹紅のケチンボ!、貧乳!、天狗の新聞に竹林に住むM・Fさんはリグルより胸が小さいって投書してやる!」

 そういうと、輝夜は妹紅の屋台を飛び出した

「輝夜ン、あやつァ…、こんきけんしゃんがぁ!!」

 いつかと同じようなシチュエーションで、二人は大喧嘩してしまった






「妹紅ン、あやつァ…。次ん会ったら『金閣寺の一枚天井』ば不意打ちで食らわしちゃあ」

 周囲に怒りを撒き散らしながら、輝夜は参道を逆戻りしていた
 この辺で事件はあったはずだが、すでにけが人の姿もなく、永琳も見えない
 神社の中で治療しているのか、それとも永遠亭まで連れて行っているのだろうか
 輝夜には皆目見当もつかない

「うう~、永琳があやんかこつば言うけん…」

 輝夜は永琳の言葉を思い出していた
 確かに、幼い頃の二人はまだこんな風に殺し合いをしてはいなかった
 あの頃は、本当に純粋な遊び仲間として過ごせていたのだ…

 その頃に戻りたいと思っても、当然のことながらどうしようもできないのである

 永琳はただ昔を懐かしんだだけかもしれないが、当事者である輝夜にとっては、それは酷く切ない思い出なのだ



(いまさら、仲直りしようち言うてん、妹紅は聞かんやろうね)



 ―――ドン!?



 そんな事を考えて歩いていた輝夜は、前方に立っていた酔っ払いの集団にぶち当たってしまった
 みんな、輝夜より大きな入道のような男たちである

「なんじゃぬしゃ、誰にぶつかっとんじゃ」

 ガラの悪そうな、タチの悪い酔客であった

「なんね、道ん真ん中で止まっととがいかんちゃろうが!」

 しかし、輝夜のいつもの習性で相手に謝ることはしなかった
 逆に、喧嘩を買うような言動で、酔っ払いに食って掛かる

「なんじゃ、こんオナゴは!。わがぬすけんじゃろがい!」

 輝夜の言葉に、酔っ払いが逆上する

「なんね!、てれーっとしとったつぁあんたらやろうもん!」

 輝夜は、さらに売り言葉を売る
 輝夜だって、こんな酔っ払いには負けるわけにはいかない

「あんまのぼせよっと、うっころさるっぞ、こやつぁ!」

 そういうや、酔客の一人が拳を振り上げた
 輝夜もスペルカードを発動しようとしたが、能力が開放できない
 今日はお祭りであるため、神社の敷地内にはスペカが使えないよう結界が張ってあるのだ



「キャー―――!?」



 自分に振り下ろされる拳に、輝夜は目を背ける
 いくら輝夜でも、生身の喧嘩では分が悪い



「………?」



 しかし、いくら待っても、輝夜に衝撃は訪れなかった
 輝夜が目を開ける…。そこには…



「妹紅!」



 そこには、酔客のパンチを受け止めた妹紅の姿があった
 喧嘩別れした後、妹紅は輝夜が心配になって後を追っていたのだ

「なんじゃ、お前は!」

 パンチを繰り出した酔客を押し戻す
 妹紅の異様な雰囲気に、酔客が押されている

「ふん、わっどみゃ、オナゴん一人にかかっちかい、恥ずかしゅうなかとや!」

 妹紅が酔客に近づいていく
 さすが妹紅、こんな場面に慣れている

「ふん、せからしか!。やっちめぇ!」

「うぉぉぉ!」

 三人の酔客が、一斉に妹紅に殴りかかった



「せからしかつぁ、わいどんたい!」



 妹紅が叫んだ瞬間、三人の酔客に妹紅の蹴りが入った
 妹紅の一蹴りで、三人は一気に神社から吹っ飛ばされた



「まうごつ、むしゃんよかぁ!」

「はうごつ、キャアくろた!」


 周囲の観衆が、妹紅の勇姿を称えた
 そして…

「妹紅」

 …そういって、輝夜が妹紅に抱きついた
 絶体絶命のピンチを救われて、輝夜はたまらなくなったのだ

 周囲の目も憚らず、輝夜は妹紅にきつく抱きついた

「よさんや、恥ずかしかじゃにゃあや」

 妹紅は戸惑いながら、輝夜を離そうとするが、輝夜はどうしても離れなかった
 それほど、妹紅の勇姿に感激したのか…


 パシャ―――!!


 しかし、次の瞬間、乾いたシャッターの音が周囲に響いた

「あやややや、神社の祭りの風景を撮ろう思ってたら、いい写真が撮れました」

 黒い兜巾、ショートヘアの黒髪、黒い翼
『文文。新聞』でお馴染み、射命丸文の姿がそこにあった。無論、片手にはカメラを構えている

「あ、あや…」

「こりゃ違う、間違うとるばい」

 二人は抱き合ったまま、固くなってしまった

「う~ん、宿命のライバル、実は相思相愛。衆人環視で結ばれる恋…
 筆が進みますねえ」

 そういうや、懐から取り出した紙にサラサラと記事を書いていく

「ま、まてー!」

 二人が文を捕まえようとした瞬間、幻想郷最速の鴉天狗は、あっという間に見えなくなるほど遠くに飛んでいった

「記事はすぐできますから、お楽しみにぃー!!」

「待たんか~い!」






 後日、天狗の新聞に二人の抱き合った姿が掲載された
 輝夜と妹紅はしばらくの間、外を出歩くのを止め、殺し合いも止めた…

 後に、輝夜は時々、妹紅の屋台を手伝うようになったとさ…
最後までお付き合いありがとうございます。前回の九州弁では、難解な訛りを使ったつもりでしたが、それほど困った人がいなかったので、今回は熊本弁に特化し、さらにきつい訛りを多様しました

難しくて読めませんと云う声をいくつ聞けるか、楽しみです

*補足 妹紅が屋台の場面で 煮える という表現を使っていますが、熊本人は焼こうが茹でようが、火が通ることを 煮える と表現します


第一回てるもこ・オブ・ザ・イヤー 開催中です
自薦、他薦は問いません。また、SSでなくても、イラスト、動画なんでもありです
ふるってご応募ください
ダイ
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コメント



0.570簡易評価
2.80名前が無い程度の能力削除
おかしいな……熊本に住んでいたことあるのにわからんかったw
結構高齢の方限定なきがすー。
6.80葉月ヴァンホーテン削除
ほとんど何言ってるのかわからなかったですけど、なんかもにょもにょと楽しめました。
方言って憧れるなぁ……。
もっと流行ればいいと思います。
7.50名前が無い程度の能力削除
熊本弁といっても場所によって意味が同じでも表現が違いますからねぇ。
例えばだご、まご、たいぎゃ、と言うように。
10.70名前が無い程度の能力削除
誰得?
俺得です
意味は74%くらいわからんかったけど
白蓮とえーりんの会話が、懐かしかった
ガキンチョのころに両親の田舎へ帰省したときの、おばちゃん同士の会話みたいな
んで、従姉妹同士でお菓子食わせあったりしてね
11.無評価名前が無い程度の能力削除
>2
今回は実際にはあんまり使われない訛りも混じってます

>ヴァンさん
そういって下さると幸いです

>8
天草や人吉の方言はいまだに何て言ってるか分かりません
荒尾・玉名はあんまりいかないから知りません
12.無評価ダイ削除
ああ、また名前入れ忘れてる…orz

>11
永琳と白蓮は、同じBBAキャラゆえ波長があってるという設定です
輝夜は親戚の小さい子を泣かすタイプ
14.100jon@彩夢削除
九州弁の方も見て参りました。
方言で喋るてるもこがわざれかもじょかでよかですb
16.90名前が無い程度の能力削除
>11のおばあちゃんの会話ってところに(スキマ送りされました

長編のやつも期待していまーす
17.100図書屋he-suke削除
阿蘇郡小国町出身の私に隙はなかった。
今は大学で横浜ですが帰省した気分を味わえましたww

文字になってるだけ分かりやすいほうですよね
田舎のばーちゃん達の会話は発音からして難解です
18.80名前が無い程度の能力削除
対馬住みですが島原弁をしゃべるじーちゃんに比べたらまだ解読できました
19.80名前が無い程度の能力削除
"がまだす"は使うだろうなと思ってたら案の定あったw
次があるなら、ぜひ"あとぜき"も使っていただきたいww
27.100名前が無い程度の能力削除
good
29.100お嬢様・冥途蝶削除
すごいおもしろかった!もう文面全部熊本弁にしましょうよ!!! お嬢様
方言はかわいく聞こえてしまいますわね。ずっと大事にしていきたいと感じましたわ 冥途蝶
34.無評価ダイ削除
>jon@彩夢

永遠亭組が方言では一番合う気がします

>16

第三章では、あの人 も出ますので、ご期待ください

>図書屋he-suke

おお、そば街道のある…
あそこのベスト電器に行ったりしますよ

>18
島原弁…長崎の方言と似てるんでしょうかね…
天草方面は近いけど…

>19

がまだす さしより あとぜき は熊本でしか使われない、熊本弁オブ熊本弁ですね

>27

( ・ิω・ิ)

>お嬢様・冥途蝶

全部が全部方言だと、情景描写が意味不明になってしまいますので
37.100名前が無い程度の能力削除
地元の方言満載で俺得でした。
私が住んでるのが南の方なので少し違和感を感じたものの面白かったです。