Coolier - 新生・東方創想話

小悪魔の憂鬱

2010/09/18 06:53:13
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 私たちが住む世界とは違う世界、幻想郷。博麗の結界によって隔離されているため、
通常では私たちは幻想郷に行き来できない。そんな幻想郷での出来事。

 霧がよくかかっている湖の近くにそびえ立つ、紅く立派な館、紅魔館。その館には
大きな図書館があり、数百年生きている魔女のパチュリー・ノーレッジと、その司書
の小悪魔が住んでいる。パチュリーは、図書館で得た多大なるその知識から「動かない大図書館」
という異名を持つ。そんなパチュリーに思いを寄せている司書、小悪魔が今回の主人公である。

「パチュリーさま、紅茶はいかがですか」
「ええ、お願いしようかしら」

 いつもの光景、いつもと変わらない好意による行為。それが私、小悪魔にとっては何よりの至福であった。
ところが時たま、パチュリーさまの心はとある人物に奪われそうになる。それは・・・

『ガシャーン!!』

 図書館の窓ガラスが割れ、激しく飛び散った。

「よお、パチュリー!今日もさくっと借りてくぜ!」
「魔理沙、また来たの!?いい加減にして頂戴!」

 魔法の森に住んでいる魔法使い、霧雨魔理沙である。もとい、私の天敵でもある。
彼女はいつも突然窓を突き破って図書館に侵入し、適当な本を持ってさっさと帰ってしまう、
いわゆる泥棒猫なのである。それだけならまだ良いのだが、最近のパチュリーさまの行動が
おかしいのだ。初めの頃は、スペルカードを駆使して全力で食い止めていたのだが、ここ最近は
そんなこともなくただ怒鳴るだけ。明らかに言動が変わっているのだ。

 その原因はきっと紅霧異変にあると、小悪魔は考えていた。紅霧異変とは、紅魔館の主の
レミリア・スカーレットが、幻想郷中を紅い霧で覆った異変のこと。それを解決するために、
魔理沙は紅魔館にやってきた。それがパチュリーさまと魔理沙の初めての出会いであった。
その時の戦いで、パチュリーさまは魔理沙に完全に負けている。レミリアさまも魔理沙に敗れ、
異変は解決。その後和解という形にはなったのだが、どうもパチュリーさまはそれをきっかけに
魔理沙に好意を寄せているらしい。小悪魔はそれが何よりも気に食わなかった。

「じゃあな、また来るぜ!」
「待ちなさい、魔理沙!」

 まるで台本を読んだようなやり取りの後、魔理沙は割れた窓から出て行った。すぐにメイド妖精を
呼びつけ、片付けと修繕を命ずる。

「はあ・・・また持っていかれたわ」
「パチュリーさま、なぜもっと抵抗しないんです?」
「被害を最小限に留めるには何も出来ないの」

 それは言い訳に過ぎないじゃないですか、と本音が出そうなのを飲み込み、小悪魔も仕方なく
メイド妖精と一緒に片付けと修繕の手伝いを始めた。思うところはいくらでもある。しかし
この気持ちを知られてしまっては、パチュリーさまにお仕えする司書としていられなくなってしまう。
それだけは絶対に避けなければならない。パチュリーさまのそばに居ることが、小悪魔にとっての
幸せなのだから。小悪魔はいつからか、司書としてというよりは、一人の女性としてパチュリーを
想っていたのだった。

ある日、小悪魔は休憩時間に魔道書を読んでいた。パチュリーが不思議に思い彼女に尋ねた。

「貴女が魔道書を読むなんて珍しいわね」
「私もパチュリーさまのお役に立つためには、もっと修行をするべきだと考えたのです」
「あら、ふふふ・・・簡単にはスペルは扱えないわよ」
「ええ、わかってます、でも本気なんです・・・私」

 小悪魔は真剣だった。ただ一つだけ嘘をついていたのだ。パチュリーのためではなく、
魔理沙を倒すためであったのだ。それも相当本気だった。彼女はそれから毎日魔道書を読み、
密かに修行を重ねていった。その間にも魔理沙は現れ、いつものように去って行く。小悪魔は
必死だった。パチュリーさまが魔理沙に盗られてしまう。私のパチュリーさまが、私の
パチュリーさまを渡すわけにはいかない、渡してなるものか。

 パチュリーが寝ている間、外出中、休憩時間、仕事以外の時間は惜しみなく修行をした。
そうして彼女は強くなっていった。彼女はパチュリーのスペルをも扱えるほどになったのだ。
パチュリーを想う一心が、彼女をここまで強くさせた。しかしその愛情はどこか歪んでいた。

「パチュリーさま・・・パチュリーさまは私のモノ・・・」
「魔理沙・・・許さない・・・殺す殺す殺す・・・」

 小悪魔の気持ちは、パチュリーへの愛情が強すぎたせいか、魔理沙への憎しみと比例して
増幅していったのだ。

「アハ・・・パチュリーさま、今しばらくお待ちください・・・」
「もう少しで、もう少しで一緒になれますカラ・・・」

 ついに彼女は睡眠をとることも忘れ、パチュリーと接している時間以外は、常にスペルの
修行をこなすようになった。魔理沙がきても目もくれず、いつか来るであろうその日をただ
待ち望んでいたのだ。残念ながら、パチュリーは彼女の変化に気づくことも無く、普段と変わらない
日常を過ごしていた。それは魔理沙や、紅魔館の住民にとっても同じであった。

 時は既に季節を一周しただろうか。小悪魔はいつもと変わらず仕事をこなしている。
パチュリーもいつものように本を読んでいる。

「パチュリーさま、紅茶はいかがですか」
「ええ、頂くわ」

 いつものやり取りの中で、小悪魔は何かを決心していた。今日も魔理沙は来るだろう。
そう思っていた矢先。

『ガシャーン!!』

 窓ガラスが割れ、四方八方に飛び散る。もう何度見た光景だろうか。

「やっほーパチュリー!今日もよろしくだぜ!」
「魔理沙、貴女また・・・!」

 小悪魔は静かに身構えた。

「火符!アグニレイディアンス!!」

 刹那、魔理沙とその周りが炎に包まれる。

「水符!プリンセスウンディネ!!」

 パチュリーの周りのみが水に包まれる。魔理沙は不意打ちを受けたため、小悪魔のスペルを
真正面から食らってしまった。そして乗っていた箒から落とされ、地面に叩きつけられる。

「土符!レイジィトリリトン上級!!」

 地面に倒れている魔理沙に、容赦なく巨大な岩盤が落とされる。

「ぐああっ・・・!!」
「魔理沙っ!!」

 炎に包まれたまま、魔理沙は岩盤の下敷きとなった。パチュリーは水の膜の中で身動きが取れない。
小悪魔は無表情で魔理沙をただ見つめている。

「あぁ・・・パチュ・・・助け・・・」

 魔理沙は火傷を負い、恐らく数箇所は骨折してるであろうその身体を何とか起こそうとしながら、
パチュリーに助けを求める。しかしパチュリーは身動きが取れない。パチュリーもスペルを唱えようとするが、
何故か発動しない。

「フフ・・・パチュリーさま、無駄ですよ、結界を張っております」
「な、何ですって・・・!?」

 小悪魔は、事前にパチュリーの水膜の中にスペルを封じる結界を張っていたのだ。

「これでパチュリーさまと二人きりになれますね・・・フフ・・・」
「貴女、何を言って・・・」
「うあ・・・あ・・・」

 魔理沙は声ともならない声を上げながら、何とか身をよじり岩盤から抜け出そうとする。

「あら、まだ生きてらっしゃったのですか」
「今終わらせてあげますね・・・日符!ロイヤルフレア!!」

 魔理沙の周りに超高熱の業火が纏い、魔理沙の姿が無くなった。小悪魔は不適な笑みを浮かべて、
パチュリーに近寄る。そしてパチュリーの水膜を解き・・・

「金符!シルバードラゴン!!」

 銀の竜の姿をした鎖がパチュリーを縛りつける。

「パチュリーさま、これで邪魔者は居なくなりました」
「あ、貴女・・・自分が何をしているか解っているの・・・」
「パチュリーさまのためなのですよ」
「あんなモノのそばに居るより、私のそばに居たほうが幸せなんです」

 パチュリーは何とか抜け出そうとするが、結界を破ることは出来そうに無い。諦めの表情を見せた
パチュリーに小悪魔は言った。

「パチュリーさまは、これからずっとワタシのモノですよ・・・♪」
小悪魔のヤンデレを書きたくて前に書いたものです。文脈とか結構雑ですが、読んでみてください。ぱちゅこあ最高です。
ぱっちぇ
http://tool-7.net/?Patchouli
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コメント



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22.100紅魔館の執事長削除
小悪魔のヤンデレ…ナイスでした!