Coolier - 新生・東方創想話

夜の花火をもう一度 2

2010/08/28 22:46:32
最終更新
サイズ
20.11KB
ページ数
1
閲覧数
959
評価数
1/9
POINT
340
Rate
7.30

分類タグ


駄文です
『夜の花火をもう一度』の続きです
星ナズの百合です
口調がおかしいです
読みにくいかもしれません
一部文の内容が薄いかもしれません
誤字・脱字にお気をつけください
意味不明と思われる内容があるかもしれません
苦手な方はご注意を



◆0





さて、今日は何を書きましょう?
宴会であった出来事を書きましょうか。
昨日ナズーリンは来ていなかったから知らないと思いますが、大変でしたよ。まだ宴会が始まっていないのにも関わらずもう酔っている方々がいらっしゃいましたから。
特に、宴会中一番酷く酔っていて恐かったのは風見幽香さんでした。
私が「マスタースパークって凄いですね」って話題を出したときです。幽香さんがいきなり
「マスタースパークなら私も出せるわよ~。見てなさい~…!!」
と言いましてね。マスタースパークと同じ、いえ、それ以上に危険と思われるマスタースパークを出しました。
迷わず私に向かって撃ってきたときは死ぬかと思いましたよ。霊夢さんが素早く、こう~、結界?みたいなものを出してくださらなければ死んでました。本当に。…あの結界はなんでしょうね?今度聞いてみます。教えてもらいましたらナズーリンにも教えますね。
ん~、それにしても、幽香さんは優しい方ですが酒を飲むと大変らしいですね。
マスタースパーク?を出したときもアリスさんと私の方を見て、「どう?どう?凄いでしょ?」と満面の笑みで自慢げに胸を張っていました。私は何も言えませんでしたよ。殺されかけましたしね。
…あ~、でも、アリスさんが言うには悪気はないらしいんですよ。聞くと、幽香さんは褒めてもらいたがっているみたいで、アリスさんが幽香さんの頭を撫でると嬉しそうでした。
『えへ、えへへ』と甘い声でアリスさんに甘える幽香さんと、それを抱きしめながら頭を撫でるアリスさん。何故かイライラしている魔理沙さんと、衝撃映像を見ているような表情になっている皆さん。
私はそれを横目に少し羨ましかったです。
覚えていますか?昔、無知な貴女が良いことをしたら頭を撫でてあげてましたよね。恥ずかしそうに嫌がる貴女でしたが、喜んでいましたよね。
貴女は無表情のままが多いですからわかりにくいですが、尻尾が犬のように動きますから丸分かりでしたよ。今も嬉しいと尻尾が面白いほど動きますよね。例え、それを指摘してあげても、尻尾は動かなくなりますが、その代わりに耳が動いて…本当に可愛らしいです。えぇ、とても可愛いですよ。
ん~、そうですね、もし良ければまた今度頭を撫でてあげます。楽しみにしていてくださいね?




―――――――――




 私は居心地の悪さを感じながら目覚めました。
 ぼ~っとする頭を軽く小突き、目の前に見える見覚えのある天井を見ます。次に、右、左と周囲を確認。私の備品が見えます。……どうやら私の部屋のようです。眠ってしまったようですね。
 覚醒して間もないためか、体が重いです。何となく寝転がったまま天井へ右手を伸ばしてみます。はは、天井に触ることなどできませんよね。
 …はぁ、何故こんなに私はちっぽけな存在なんでしょう。あのとき、聖のときも救えなかった。あとから救えたからよかったじゃないか、と彼女は言ってくださいましたが、事実が変わることはありません。…今回はあのときとは違う。完全に救えない。何をしても救えない。消滅したものを救う力など私にはありません。ただの一匹の妖怪です。

「…今の自分が嫌いです」

 めちゃくちゃな考えしかできない今の自分が嫌いです。自分を責めることしか出来ない自分が嫌いです。今ここで生きている自分が嫌いです。全てが嫌いです。嫌いです。嫌いです。嫌い。嫌い。嫌い。嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い。何もかもが嫌い。嫌、もう嫌です。嫌なんです。嫌で嫌でもう我慢が出来ません。全てが嫌です。
 嫌、嫌い、大嫌い。一番嫌いです。大嫌いです。

「何も出来なかった自分も、泣くことしかできなかった自分も嫌い、大嫌い…!!」

 もう、本当に嫌なんです。誰か助けてください…。…あぁ、ナズ、何故消えたのですか。何故私を一人にしたのですか。ダメな上司の私でも貴女が居てくれたからこそ、居てくれたからこそ今の私が居るのに。…あぁ、もう彼女と日記交換も出来なくなるのですね。他にも、当たり前だったものが当たり前ではなくなる。…生きていくのが辛くなりそうです。
 
「あれ?何泣いてるの星?」

 部屋の入り口から声が聞こえます。聞き覚えのある声。今は誰にも会いたくないのに、タイミングが悪いですよ…。

「…あぁ、ムラサ。おはようございます」

「ん、おはよ~星。」

私の横まで来て、ムラサが腰を下ろします。…早く出て行ってもらえないでしょうか。…一人になりたいのに。

「もう朝食の時間だから寝ていないでさっさと起きたら?」

 あぁ、もうそんな時間ですか。いつまでも寝ているわけには行きませんね。

「わかりました。すぐに行きますよ」

「そう言ってまた二度寝でもするんじゃないの?…ナズももう朝食に向かったから早くしなよ」

「…はは、そうですね。ナズももう行かれましたか。なら私も急がないと…」

 …ん?

「…あの、今なんて言いました?」

「いや、だから、もう朝食の時間だから二度寝とかしていないで…」

「違います!!その後ですよ!その後なんて言いました?!」

「…はい?……ナズも朝食に向かったって…さっき、そこで、部屋から出てきたナズと擦れ違ったから」

 …ナズが居る?

「え、しかし、ナズは死んだはずじゃ…」

「…あぁ~、寝ぼけるのは別に構わないけど、…離してくれない?」

 …いつの間にかムラサの肩を思い切り掴んでいました。

「ご、ごめんなさい!」

「うぃ~、大丈夫だよ。…気になるならナズに会いに行けばいいじゃん」

 …盲点でした…。そうですね。百聞は一見に如かずといいますしね…。

「…失礼します!!」

「…え?ちょっ、星!?」

 ナズが居る。ナズが。
 もし、もしムラサの言うとおりなら、ナズが生きている。もし本当なら。
 ムラサが何か言っていますがそんなことどうでもいいです。そんなことより、そんなことより今は真否の確認を…!!ここの角を曲がれば…!!

「失礼します!!」

襖を思い切り開けます。食卓に着きましたが、ナズの姿が確認できません。あるのは唖然としているみんなの顔だけです。

「すみません聖!ナズの姿を見ませんでしたが!?」

「…へ?…な、ナズーリンでしたら先ほど出かけると言って博麗神社へ出て行かれましたが…」

「ありがとうございます!!」

「え?あ、あの、星?朝食は食べないといけませんよ?星?星―――?!」

 聖が私を呼ぶ声が聞こえた気がしますが今はそれ所ではありません。聖もナズを見たということは居るはずなんです。消えたはずのナズが、とにかくこの目で確認しないと…!!





 あぁ、やっぱり、星の全力ダッシュのせいで食卓までの廊下が大破してるわ。襖も壊れているし…。

「ん~?…あれ?星とナズはいないの?」

「…えぇ、二人とも出かけてしまったわ。わざわざ呼びに行ってもらったのにごめんなさいねムラサ」

 家を壊すだけ壊して逃走ですか。

「いいえ、大丈夫ですよ。…ただ、星の反応が少し変でしたね」

「えぇ、そうね。…頭でも打ったのかしら?」

 …それにしてもあの反応は…。ん~、何故あんなに取り乱していたのか、…よし。

「すみません聖。私も少し出かけてきますね?」

「え?朝食は…」

「行ってきます!!」

 朝食を食べている暇なんてない!!早く追わないと見失ってしまいそうだもん!!聖の泣き声が聞こえるけど気にしない!!こんな面白そうなイベントは逃せないわ!!

「…三人が、三人が反抗期です…」

「ぬぇ、ぬぇ、ぬぇ~、…まぁ、仕方がないよ。あの三人だもん。あ、ムラサの分も貰うね」




◆1




 朝、紫がこの前持ってきたこのでじたる時計?(何でも、太陽をご飯に永久的に動くきかいらしい)が10時を指している時間。庭の掃除も一段落し、のんびりと何も考えずに縁側でお茶を飲んでいたときにやってきたわ。あいつが。そう、人がせっかく気持ちよく縁側で仕事の後のお茶を飲んでいるというのに、…最悪な妖怪が来たわ。

「ねぇ、霊夢。妖怪は消滅したらどこに行くのかしら」

 あのスキマ妖怪、八雲紫が。

「スキマからいきなり現れたかと思ったら…意味のわからないことを言うわね紫。お賽銭を入れてさっさと帰ってくれないかしら」

「あら、いきなり御挨拶ね。御利益があるのなら入れてあげても良いわよ?」

「信じるものは救われる。はい、だからお賽銭入れてさっさと帰れ」

「冷たいわね霊夢。寂しさのあまりあの鼠みたいに消滅してしまいそうだわ。うぅ…」

 あぁ、本当にさっさと帰ってくれないかしら。…絶対に話し相手にならないと帰らないわ。嫌だ。本当に面倒で嫌だ。でも、このまま無視すると絶対に鬱陶しいと思う。…聞くだけ聞いてさっさと帰ってもらおう。

「…少しだけなら聞いてあげるわよ。で、妖怪が消滅したらどこに行くか、だっけ?それはあの閻魔様とやらに行くんじゃないの?」

 あぁ、見るからにわかるほど目を輝かせているわ。…無視したほうが良かったかしら?絶対長話しになるわ。…でも、無視したらこの前スキマ旅行に拉致されたわね。…やっぱり無視は無しか。

「ふふ、違うのよ霊夢。消滅しても閻魔様のところには行かないわ。むしろ閻魔様でもわからないところに行くって答えが正しいかもしれないわね」

「あぁ~、それは、消滅は消えるということだから魂も無くなってるってこと?」

 それならわからないってことも納得できるわね。存在していないんだもの。

「いいえ、それも違うわよ」

 …難しくて意味があまりわからないわ。

「つまり、どういう意味よ?」

「地蔵菩薩ってわかるかしら?」

「それぐらいわかるわよ。六道のことでしょ?」

「えぇ、そうよ。六体のお地蔵さんよ。簡単にせつめいするなら…そうね、釈迦の入滅後にね、確か、5、6億7000万年後に弥勒菩薩が出現するまでの間、仏が不在になってしまうから、その間、六道と呼ばれる獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道を巡って全ての人々を救い上げる菩薩として誕生したのよ。また、二十八種利益と七種利益があって、天龍護念というのも入っているわね」

「長々と説明ご苦労様。で、それがどうしたの?」

「消滅したらどこに消えるのかしら?」

 …また振り出しに戻ったわ。毎度思うのだけど、…紫は意味のないことしか話さないわね…。

「あぁ~、消えたら地獄か天国に行くんじゃないの?妖怪も人間も似たようなものだから」

「そうね、…そもそも消滅はどういう意味かわかるかしら?」

 スルーされた。もう知らないわよそんなこと。

「…消滅はね、それまで存在していたものがなくなるということ。生じること、滅びることという意味の生滅とは違うわね。」

 無視したら勝手に語り始めたわこのスキマ妖怪。

「さっき六道の話をしたわよね。その役目を背負った地蔵菩薩は閻魔様と同じ存在、または閻魔様が地蔵菩薩の化身と言われているわ。でもね、その閻魔様でも消滅した存在がどこへ行くのかわからない。もっと簡単に言えば、見つけれないから助けれないのよ」

「なら私が始めに言った通り消えてなくなるが正解ね」

「いいえ、残念ながら違うわ」

「…何で違うって言えるのよ?!」

 消えてなくなるが正解じゃなければ何が正解かはっきり教えなさい!!

「…そうね、私も昔は消滅したはずの存在だからわかるのよ」

「…は?紫、…どういう意味?」

「そのままの意味よ」

 …珍しく神妙な表情になっているわ。

「え、でも、だったら、だったら何で、何で今存在しているの?」

「それはね…」

 …それは…?

「…本当に消滅してたら面白いわよね」

「夢想封印!!」

「あらあら、恐いわね。当たったら死んでしまうわ」

 …あぁ、こいつ、スキマを使って避けやがって。ムカつくわ。

「…はぁ、まぁいいわ。どうせナズーリン関係の話でしょ。でも、残念ね。私は傍に居たからわかるわ。紫はいきなりどこかに行って傍に居なかったから知らないでしょうけど、妖怪に必要な生命力なんてなかったわよ。完全に死んだ。間違いないわ」

「ふふ、霊夢が言うなら本当かもしれないわね。でも、もし、もし今ここで死んだはずの存在が現れたら同じことを言えるかしら?」

 …さっきから私にナズーリンが生きていると伝えたいように聞こえるのは気のせいかしら?

「紫、いい加減にしないと本気で怒るわよ…?」

「あらあら、恐いわ。…それはそうと、珍しい客が来ているみたいよ?」

「…話を逸らさないで!…って、客?」

 一体誰よ、こんなタイミングの悪いときに来るバカわ…。




「こ、こんにちわ、…れ、霊夢、さん」

 つ、疲れました。飛ばずに、は、走ったから尚更疲れました。

「…物凄く疲れてるみたいね。星」

虎は、長距離は苦手なんです。

「す、すみません。そんなことより、ここへ、ここへナズが来ませんでしたか?」

「…は?」

はぁ、ふぅ、…大分落ち着きました。まだ苦しいですけど…。

「ええっとですね、ここへナズが来ませんでしたか?」

「…バカにしてるの?死んだ妖怪が来るわけないでしょ?」

 …来ていないみたいですね。取り合えず今朝の出来事だけでも話さないと。

「いえ、霊夢さん。実は今朝―――――」




少女説明中



「…はぁ、紫の言う通り、同じことは言えないわ」

「…私の話を信じてくれるのですか?」

「信じるも何も、ここに居る私と星、紫しかナズーリンが消滅したことを知らないのよ。聖とかには星から話すと思っていたからね~。…だから、嘘を吐かれたとは考えにくいし、それに、紫が一枚噛んでいるみたいだから…全ては信じきれないけど、取り合えず、話半分信じるわよ」

 あぁ、絶対に信じてもらえないと思っていましたが、…少しでも信じてもらえて嬉しいです!

「あぁ、ありがとうございます」

「別に礼を言われるほどのことでもないわよ。まぁ、確認してみないことには何とも言えないけど」

 それでも嬉しいですよ。絶対に呆れられると思っていましたから。

「…違うわよ霊夢?」

「…いきなり何?何が違うのよ?」

 違う?何が違うのでしょうか?

「あの吸血鬼も知っているわよ?」

「よし、一度死んでみようか紫」

「あらあら、物騒なことを言うわね霊夢。間違いを正してあげただけなのに…恐ろしいわ」

「そ、そうです!暴力はいけないと思います!!」

 暴力は何も生まないと最近聖が言っていました!!

「いや、もう紫だけは無理。ずっと隙あれば揚げ足ばかり取って本当に性格が悪いわ」

「ふふ、本当に面白いわね」

「次鬱陶しいと思ったら退治するわ」

「それは恐いわね。気をつけなさい、とらちゃん?」

「え?私が退治されるのですか?!」

 紫さんに対して言っていると思いましたが、まさか、私に対して言っていたなんて…驚きです。

「いや、紫に言ってるから!星には言ってないから!!」

 …あれ?違うのですか?

「…え?え?わ、私はどうしたらいいんですか??」

 私だけ完全に置いてけぼりですよ?!

「取り合えず、みゃ~と鳴いてたら大丈夫よ」

 み、みゃ~、ですか?

「何吹き込んでるのよ紫!!」

「み、みやぁ~…?」

「星も本当にするな!!」

「にゃぅ?!」

 あぅ~、ツッコミと共に頭にお札が、…い、いつの間に。…あぁ、…気持ち悪く…あぅ~…。

「…可哀想に、酷いわね霊夢」

「私は紫に向かって投げたわよ!!紫がスキマで星のほうへ飛ばしたのでしょうが!!つか本気で投げた御札をよく回避できたわね?!」

「ふふ、藍のほうが恐ろしいわよ?」

 あぁ、二人が喧嘩してる声が聞こえ…ま、す。





◆3




 私は居心地の悪さを感じながら目覚めました。本日二度目です。一度目と違うことがあるとすれば寝ている場所が博麗神社の一室というところでしょうか。
 …取り合えず

「…気持ち悪いです……」

「瀕死だねご主人」

「はは、すみません。ですが、思いのほかあのお札は凶悪すぎます。危険です」

 意識が戻った今でも気持ち悪いです。あれは下手したら滅されますね。

「ふむ、なかなか恐ろしい御札のようだ。私も気をつけよう」

「はい、ナズーリンも気をつけてください…」

「あぁ、僕の場合最悪、死んでしまうかもしれないからね。気をつけるよ」

「……?」

「ん?」

 …物凄く普通に溶け込んでいて気付きませんでした。

「…おお~い、ご主人。生きているか?」

「ナズ?!ナズ??!」

 今朝、まだ半信半疑でしたが、今目の前にいるのは紛れもないナズーリンです!ムラサ達の話は本当でした!!

「…ご主人。新しい鳴き声かい?」

「いえ!違いますよ!!」

「そう、ならいいけど…、流石に変態バカなご主人の下で働くのは嫌だよ?」

 …変態バカなご主人の下?…語呂が悪いですね。

「…それは私でも嫌ですね」

「あぁ、そうだろ?わかってくれて嬉しいよ」

「えぇ、微妙に貴女が私にどんな印象を持ったかわかりましたよ?」

 変態とバカ、ですか。…少し悲しくなりましたよ。

「あぁ~、これはまた説教タイムかな…」

「はい、いつもより長く説教しますから覚悟してくださいね?」

「うぅ、気が重くなるよ…」

 耳と尻尾が項垂れてます。可愛らしいですね。

「ふふ、…やはり、ナズーリンですね」

「…何馬鹿なことを言っているんだいご主人?僕みたいなのがいっぱい居たら大変じゃないか」

「えぇ、その通りですね。確かに大変ですね」

 ふふ、本当にいっぱい居たら大変です。

「笑うことはないじゃないかご主人?」

「あぁ、ごめんなさい。少し面白くて…」

「まぁ、別に構わないけど…。…で、わざわざ僕を追ってきて何のようかなご主人?」

「あぁ、そうです。消滅したはずの貴女がここへ向かっていると聞きまして…」

「…ん?…消滅?」

「えぇ、消滅です。…花火のあと、貴女が消滅したときは本当に死んだと思って泣きましたよ…。」

「花火の後消滅した?」

「そうですよ。消える間際にもあんな悲しくなるような台詞を残すなんて…酷いですよ」

 …あのときは、見っとも無く霊夢さんに泣きついてしまいましたね。…思い出したら恥ずかしいですね。

「それで、教えていただけませんか?消滅した貴女が何故ここにいるのか、どうやって消滅を免れたのかを」

 …あれ?ナズが変な表情で私を見ています。まるで…哀れんでいるような、そんな表情です。

「ご主人、どうやら寝ぼけているようだね。…僕は消滅なんてしていないよ?」

「…え??」 

「…覚えていないようだね。…昨日、ご主人が花火の後、倒れたんじゃないか。覚えていないのかい?」

 …何を言っているのですかナズ?それは可笑しいじゃないですか。

「ちょっと待ってください。昨日、昨日確かに花火の後、花火の後にナズがしょうめ…」

 …ナズ、何故そんな顔で私を見るのですか?…間違えているのは私ですか?

「……いえ、なんでもないです。どうやら私はまだ寝ぼけているみたいですね…」

「…変なご主人だね?顔でも洗ってきたらどうだい?」

「えぇ、そうします。…失礼しますね」

「ん、いってらっしゃい」

「…はい、行ってきます。待っていてくださいね…?」

 ………私はナズーリンを後に部屋を出ました。…彼女の顔を見たら何も言えなくなりました。彼女の目が、彼女の目が…私の言葉を止めます。…私は間違っているのでしょうか。…





―――――




「霊夢さん!!」

 私は顔を洗いに行かず、縁側に来ました。今、紫さんは居ません。ここに居るのはお茶菓子で休んでいる霊夢さんだけでした。
 私が声をかけるとため息を一度吐き、私に顔を向けます。

「…どうしたのよ。そんな、今からもう泣きますと言わんばかりの表情になって…。まだ体調でも優れないの?」

「いえ、違います。違うんです!!」

 そんなことではないんです!!そんなことで泣きかけてはいないんです!!

「…それじゃ何よ?言葉にしないとわからないわよ」

「…霊夢さん。昨日の花火でナズーリンは消滅しましたよね…?」

 …言ってから後悔しました。霊夢さんもナズと同じ表情です。

「…あぁ、頭でも打ったの?…消滅した妖怪が生きているわけないじゃないの。第一、私は昨日、紫としか会っていないわよ」

 …私と会ってもいない。

「それじゃ、それじゃ今朝は?!今朝私がここに来たときは!?」

「今朝?…ただナズーリンを星が追ってきただけじゃないの?…飛ばずに走ってきたせいでそのナズーリンを追い越したって所は呆れたわね」

 違います。知りたいのはそこではありません!!

「私は、私は何故ナズーリンを追いかけたのでしょうか?!」

「…いや、そんなこと私に聞かれてもわからないわよ」

 …そうですね。冷静に考えればわかるわけありませんよね。

「…はは、そうですね。…ごめんなさい霊夢さん、…失礼します…」

 …私が間違えているのでしょうか。霊夢さんとも記憶の違いがあります。…ナズが生きているのは嬉しいですが、私の知らないナズのような気がして恐いです。いえ、むしろここが私の知らない場所です。…私一人だけ違う場所に飛ばされたような、そんな感じがします。…全ては私の勘違いですか?…昨日の出来事は夢でしょうか…。…私が倒れたのが正しいのでしょうか。

「…あ~、ちょっと待ちなさい」

 霊夢さんに呼び止められます。何でしょう?

「…何ですか霊夢さん?」

「…周りなんかどうでもいいじゃない。周りが何と言っても自分を信じれば。…確かに今のアンタは可笑しいけど、…アンタが周りを可笑しいと思うのならとことん自分を信じなさい。それから自分を疑えばいい。…考えればいいのよ」

 言い終わると何事もなかったかのようにかすてぃら?というものを食べています。…どうやら霊夢さんなりの励ましの言葉らしいです。…言い方が不器用で、少し笑ってしまいます。

「…笑わなくてもいいじゃないの…?」

 あぁ、少し怒らせてしまったようですね。

「すみません、失礼いたしました。…そうですね。励ましのお言葉ありがとうございます。…それでは失礼します」

「ん~、帰る前にお賽銭入れていきなさいよ~」

 後ろから何か霊夢さんの声が聞こえましたが、…風の音であまり良く聞こえませんでした。まえ…か…お…なさいよ、とだけ聞こえましたから…恐らく顔を洗っていきなさいよ、と言ったのでしょう。…気にかけてくださり本当にありがとうございます。霊夢さん。
 それでは、顔を洗ったらナズーリンの下へ戻りましょうか。




―――――




「…いい天気だね、スキマ妖怪」

「あら?私に気付いていたの?」

 隠れもせずに襖の向こうで立たれていたら誰でも気付くと思うよ。もっとも、ご主人が出て行くまでは気付かなかったけどね。

「まぁ、勘だよ勘。決してわざとわかるところに居る君にムカついたわけじゃないよ」

「あら?勘なの?…てっきり私に気付いていると思っていたけど…気付かなかったのね。案外周りが見えてないのでわ?」

「…少し煩いよ八雲の妖怪?」

「ふふ、ごめんなさい」

「何故だろう?君に謝られると余計にムカつくよ」

「それはきっとカルシウムが足りていないのよ。ちゃんとカルシウムを取りなさい?」

 …あぁ、ダメだ。この妖怪と会話していたら疲れる。

「今度から気をつけるよ。で、用は何かな?」

「そうそう、忘れていたわ。なに、別にたいした用じゃないわ。簡単な確認よ、確認…」

 …どうせまた同じ内容なんだろうね。いい加減にしてくれないかな。

「…ちゃんとナズーリンを最後まで演じなさいよ?…もし最後まで演じなければ、どうなるかわかっているわよね?」

 やっぱり同じ内容だ。…少ししつこい気がするよ。

「…わかっているよ」

 もう何度も聞いているからね。嫌でもわかるよ。

「わかっているならいいわ。…それじゃあ失礼するわね」

 …忠告をするだけしたらスキマを使ってどこかへ消えた。恐らく帰ったのかな。
 ………あぁ、それにしても今日は本当にいい天気だ。…先ほどの話のせいか、悲しくなるほどにいい天気だと思うよ、本当に。
 …あぁ、早く戻ってきてくれないかな、ご主人。









To Be Continued
友「なぁ、何で星の喋り方がさ、少し、無理に敬語使ってますよ~って感じになってるの?」

R「小動物みたいで可愛いじゃん」


ラストシーンはいつだってハッピー
という言葉が好きなRekutoです。
前に投稿した夜の花火をもう一度 ~奇跡~を削除し、新しく、内容を大幅に変えて投稿しなおしました。
取り合えず、駄文ですみません。勝手に『~奇跡~』を削除し、書き直して申し訳ございません。
投稿も大分間が空いてしまい、すみません。


取り合えず、今回は在り来たりな内容で行こうと考えて書きました。
因みに、紫は場を荒らすキャラとして使おうと思います。だから意味のあることを言ったり、意味のないことを言ったりもします。


それにしても、やっぱり星ナズは可愛い……メガネ有りも可愛いよね

追記
8/29
タイトルを一部変更
「疑心の始まり」を「2」に変更

おまけ↓

幽「アリス~、アリィス~♪」


ア「はいはい、…全く、昔と変わらず酒が入れば本当に甘えん坊ね」


幽「ん~、いいじゃにゃぃの~別に~…」


ア「…はぁ、仕方がないわね。…いつもみたいに酔いが冷めた後暴れないでよ?」


幽「はーい♪」


魔「…あ、アリスが取られたんだぜ」


星「…羨ましいです(仲の良さに対して)」
Rekuto
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.250簡易評価
9.90ランツ削除
なるほど、だからナズの一人称が「私」じゃなくて「僕」だったのか•••