Coolier - 新生・東方創想話

とても眩しい向日葵の

2010/08/20 01:03:49
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……今日も私は山に行く。


「む。あれは……」
山の麓に小さな影を見つけて私はすぐにその影の元へと飛んで行った。
「また貴方ですか。ここより先は天狗の領域ですよ。って何度言わせれば済むんですか?」
「だって、ここに来ないと椛さんに会えないし……」
そう言いながら、彼女は――橙は――小さくなってしまった。
「いや、私は別に怒っているわけではなくてですね。……で?今日はどんな要件ですか?」
そう聞くと、一変、彼女は太陽のように顔を光らせ
「はい!椛さんと一緒にピクニックに行こうかな、って思って」
「いや、私はまだ仕事残ってますし……」
そう告げると、彼女は少し涙目になってしまった。
「……分かりました。そんなに仕事が忙しいわけじゃないですし、見回りは私だけではないですし……」
最後まで言い終える前に彼女はまたあの、太陽のような、顔をとりもどし
「本当ですか!」
と顔を赤らめながら言った。
「それじゃ、少しまっててください。準備してきますので」
そういうと彼女は、はい!、と元気よく返事をした。

とりあえず私は他の同僚に仕事を肩代わりしてもらった。
……これでまた貸しが増えた。


「それで、今日はどこに行くの?」
「えっと、この前ヒマワリがたくさん咲いているとこを見つけたんです!そこに行こうかなって」
「なるほど、向日葵畑かいいね」
そうして私たちはその向日葵畑に行くことにした。


『……うっわぁ!』
山では見ることのできない向日葵の大群を見たら思わず声が漏れてしまった。
そして隣にいる橙ともハモってしまった。彼女は一度ここに来ているはずなのになぜそんな声をあげたのか聞いてみると、
「だって、前来た時はこんなにいっぱい咲いてなかったから……」
と、向日葵に見とれながら答えた。


私たちは一通り向日葵を見た後、橙が作ってきたというお弁当を食べ、日向ぼっこを興じていた。

「そういえば、椛さんって山で合った時と口調違いますよね、毎回。なんでですか?」
「ん?まあ、仕事とオフの切り替えかな」
「おふ?」
「まあ、メリハリみたいなものかな」
「ふーん。よくわかんないです」
そういうと彼女は、またあの太陽のような笑顔をうかべた。
……向日葵畑にいる所為か、まるで向日葵のようにも思えた。
「それじゃあ、質問のお返しにこっちも質問」
「なんですか?」
「どうして何度も山に来るの?」
「椛さんに会いたいからです!」
……そう彼女は間をおかずに答えた。
その真っ直ぐな顔がまぶしくて私は、思わず顔を背けてしまった。
顔が赤いのはきっと暑さの所為だ。そういうことにしておく。
「どうしたんですか?」
「な、なんでもない!」

と、陰がさしてきた。雲が出たのかと思い、空を見ようとすると
「っ!か、風見幽香!な、なんでここに!」
「あら?ここは私の住処なのだけど?」
なんてことだ。知らなかったとはいえ、あの風見幽香の住処に無防備な状態で入ってしまうとは……
「あ、幽香さん!」
「あら。貴方は紫のとこの……」
「はい!紫さまの式の式の橙です!」
私が警戒をしているのをよそに彼女は、ふぅん。と私と橙の顔を交互にみた後に、
「お邪魔だったかしら?」
「な、何を言って……」
「……少し、お邪魔でした」
「ちょっと!?」
顔は熱くなるし、冷汗は出るし、尻尾の毛は逆立つしで今の私は大変な状態だった。
「あらあら」
お邪魔と言われた幽香は笑みを絶やしていなかった。逆に怖い。
「あら。それじゃお邪魔者は退散しましょうかしら」
そういうと幽香は笑みを絶やさずに立ち去って行った。笑顔が怖い。
一度振りかえった。笑みが怖い。

「ちょっと、橙!なんであんなこと言うのよ!死ぬかと思ったよ!」
幽香が見えなくなってから私は彼女に問うと、
「だって、椛さんと久々に二人きりになれたから……」
「え?」
思わず固まった。
どんどん顔が熱くなっていくのが自分でも分かった。ついでに赤くもなってるだろう。
ていうか止まれ尻尾。
「椛さんは、私と一緒はいや、ですか?」
そ、そんな上目づかいで私を見ないでほしい。
「い、いやじゃ、ない」
私がそういうと、彼女は、橙は、あの向日葵のような眩しい笑顔になった。
……私はきっと、その笑顔には敵わないのだろうと実感した。



「それじゃあ、そろそろ帰ろうか」
日は傾き、夕刻の時間。
「そう、ですね」
橙は少し寂しそうに、そう言った。
「…………また、誘いにきてもいいから」
そう告げると、今日何度目かのあの笑顔を私に向けて、はい!、と元気よく言った。
「い、家まで送ろうか?」
「あ、大丈夫ですよ」
「そう。それじゃあ、気をつけて」

「あら。そこは強引にでも『送っていくよ!』って言うとこじゃなくて?」
「か、風見幽香!?」
何故か背後にはあの風見幽香が立っていた。
「ふふ。まあ、それが貴方たちの在り方ならいいけどね」
そういうと、幽香は何かを私たちに差し出した。
「これは?」
「今日の思い出に」
そう言うと、向日葵の植木鉢を私と橙にそれぞれ手渡して、戻って行った。
その笑顔はとても温かみがあった。ような気がする。



その後、私たちはそれぞれの帰路についた。






朝、起きたらまずすることがある。
あの向日葵にあいさつ。
向日葵を見ていると、彼女の、あの笑顔が思い出せるから。
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『熱愛発覚!?二人の密会は向日葵畑!!』

そんな記事が文々。新聞に載ったとか載らないとか。
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どうも初めまして、お久しぶりです。
春夏秋冬 閏 です。

どうにも『書く』というのに慣れません。
表現力も豊かではないので、私が考えているものが皆さんに伝わって欲しいと願うばかりです。
春夏秋冬 閏
jun_hitotose@yahoo.co.jp
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コメント



0.330簡易評価
5.100名前が無い程度の能力削除
椛が藍様に食い殺されないことを祈る
6.100名前が無い程度の能力削除
もみちぇん……
実に良いものだ!