Coolier - 新生・東方創想話

被告人レミリア・スカーレット

2010/08/05 08:25:52
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「これより開廷するわ。判決死刑」

パチュリー裁判長は厳かに宣言した。
超スピード判決である。

「ちょっと待ちなさい!」

あまりの展開に、被告人レミリア・スカーレットは抗議の声を上げる。
しかし、パチュリーはちょっと顔をしかめると、

「レミィ、発言するときは挙手しなさい」

と窘めた。
しぶしぶレミリアは手を挙げる。

「被告人、発言を認めるわ」
「なんでいきなり死刑なの!」

もっともな抗議である。
パチュリーは肩を竦め、

「レミィ、バカは死ななきゃ直らないのよ」

本当に彼女は自分の親友だったのだろうか、友情に疑問を持つレミリアだった。

「お待ちください。裁判長」
「なにかしら、弁護人十六夜 咲夜」
「お嬢様はまだご自分の罪を自覚していられない様子。一からきちんと審議を行うべきは無いでしょうか。そうでなければお嬢様も罪を反省することも出来ません」

レミリアは、私は無実よ、と抗議するが弁護人は軽く無視した。

「しかたないわね。それじゃ原告、発言しなさい」

パチュリーは、レミリアの正面の席に座る紅 美鈴に発言を促した。
美鈴は真面目な表情で、勢い良く立ち上がる。

「裁判長、まず最初に被害者の声を聞いていただきたい」
「いいでしょう。発言を認めるわ」
「ありがとうございます」

美鈴は謝辞を述べると、隣に座るフランドールに目で合図を送る。
フランドールは軽く頷くと、ゆっくりと立ち上がった。傍聴席、要は部屋の隅にいる妖精メイド達、がざわめく。
目を瞑り、場が静まるのを待ってから、フランドールは静かに口を開いた。

「皆さん、私は、お姉様を信じていました。いえ、今でも信じようと思っています」

普段のフランドールからは想像しにくい、ゆっくりとした重みのある口調で言葉を紡いでいく。

「お姉様が、躾と称して咲夜にセクハラまがいのお仕置きするのは、
 主としての嗜みだと思って、認めてきました」

少し顔が俯き加減になる。

「スキンシップといってパチュリーと抱き合ってるのも、黙認してきました」

その言葉に、パチュリーはあらぬ方向を向く。
徐々に声のトーンは落ちていき、目には涙が溜まってきた。
その姿に傍聴席の妖精メイド達からはため息が漏れる。

「霊夢の所に通い詰めても・・・・・・我慢して・・・・・・」

とうとう目からは涙があふれる。
傍聴席からは同情の声が聞こえ始めた。

「それでも・・・・・・それでも、お姉様を・・・・・・
 お姉様の愛を・・・・・・信じ続けてきたのに・・・・・・」

フランドールが頭を振ると涙が周りに飛び散り、光を乱射して虹のように輝く。
それはさながら一枚の絵画のようであった。

「まさか・・・・・・こいしちゃんにまで手を出すなんて!」

そこまで言うと、一気に泣き崩れる。
慌ててフランドールの背中をさすり、慰める美鈴。
そんな妹の姿を、レミリアは三文芝居を見させられているような気持ちで眺めていた。




事の起こりは少し前に遡る。
夜明け前、姉の寝室を訪れたフランドールは、そこで信じられないものを見た。
自分の親友である古明地 こいしが姉のベットのなかで寝ていたのだ。
あまりのショックに言葉を失ったフランドールは、パチュリー、咲夜といった紅魔館主要メンバーを集める。
そこに間が悪く姿を現したレミリアは、全員に取り押さえられ、かくて紅魔館大法廷が開廷されたのだった。
ちなみにこいしは、この騒ぎにも関わらず、今もベットの中で寝息を立てていた。



フランドールに同情的な空気が場を支配する中、レミリアが手を挙げる。

「パチュリー、喋っていいかしら?」

一気に敵意の視線がレミリアに突き刺さる。
パチュリーですら、厳しい視線をレミリアに向けた。
その目は存外に、せめてフランドールが泣きやむまで待てないのか、と訴えている。
しかし、そんな事はお構いなしにレミリアは話始める。

「まず、最初に言っておくけど、私はこいしちゃんには一切手を出していないわ」

場がざわめき、敵意の視線が強まる。
傍聴席の妖精メイド達は、今更言い訳する主の姿に幻滅していた。

「詳しく説明しなさい」

そんな中、パチュリーだけがある程度冷静にレミリアの言葉を捉えていた。

「簡単な事よ。私は今さっき外から帰ってきたの。
 夜中出かけていたのだから、こいしちゃんに手を出すなんて不可能よ」

いまだ立ち上がらないフランドールとは対照的に、レミリアは胸を張って堂々としていた。

「どこに行っていたの?」
「そ・・・・・・それは・・・・・・」

言い澱むレミリア

「言わないと証拠にはならないわ」
「・・・・・・アリスの所よ」

レミリアは観念したように白状した。

「一晩中?」
「そっ、一晩中お茶会してたの」

その言葉に、泣き止みかけたフランドールが再び泣き出し、
傍聴席からレミリアに突き刺さる視線が強さを増す。

「小悪魔、アリスの所に行って話を聞いてきて」
「アイアイサー」

だがパチュリーはあくまで冷静に小悪魔に指示を出すと、15分間の休憩を宣言した。



休憩中、フランドールを落ち着かせている美鈴を見た後、
いつの間にかメイドの仕事に戻って居なくなっていた弁護人席を見て、
レミリアは四面から楚歌を聴いた兵士の気分を味わっていた。



15分後、再会した法廷に小悪魔から通信が入った。

『あーあー、こちら小悪魔送れー』
「こちら紅魔館、感度良好状況送れ」
『了解、アリスさん宅までやってきたんですが、
 こちらはちょっと大変なことになっています』
「どうしたの?」
『映像を送りますからそっちで見てください』

そういうと水晶玉に映像が送られてくる。
それをパチュリーが魔法で壁に投影する。

映像の中ではアリス・マーガトロイドと霧雨 魔理沙が言い争っていた。

『あんな奴と一緒にいたってどういうことだよ!』
『レミィをあんな奴だなんて言わないで!』

「!!」
アリスが『レミリア』ではなく『レミィ』と呼んだことに目を見開くパチュリー。
だが、そんな彼女の様子に気が付いた者は一人も居なかった。

『レミィってお前・・・・・・』
『レミィは優しく愛を囁いてくれたわ。あなたと違ってね!』
「小悪魔、もういいわ」
『はっ、はい!』

向こうではまだ言い争いが続いていたが、パチュリーは構わず中継を切るように命じた。

「これで私の無実が立証されたでしょ」

周りの敵意が最高潮に達する中、楽しそうに胸を張るレミリア。
だが、

「いいえ。立証されていないわ。だってアリスから直接証言が得られたわけじゃないもの。
 それに一晩中一緒だったかもわからない」
「そんな!」

無慈悲な親友の声に驚くレミリア。

「というわけで、判決は死刑ね」
「待ってパチュリー!」

パチュリーは懐からロイヤルフレアのスペルカードを取りだそうとする。
しかし、そんなパチュリーを制止したのは意外な人物だった。

「待って・・・・・・とは、どういうことかしらフラン」

止めたのは、被害者であるはずのフランドールだった。
彼女の行動に、隣にいた美鈴も驚きの表情を隠せずにいる。

「あのね・・・・・・確かにこいしちゃんに手を出したことは許せないけど、
 それは私も悪いんじゃないかと思うの。そうでしょ、私がもっときちんとしていれば、
 きっとお姉さまもこいしちゃんに手を出さなかったと思うの」

唐突にレミリアの弁護を始めたフランドールを、誰もが固唾をのんで見守っていた。

「だからね、お姉さまの罰を軽くしてあげて。私が立派に更生させてみせるから。ねっ、お願い」

レミリアが紅い悪魔なら、今のフランドールは七色の羽を持った天使だった。
フランドールのあまりの優しさに、傍聴席では感激のあまり気絶する者が現れ、
美鈴も、ご立派になられて、と呟きながら涙を流していた。

そんな様子にパチュリーも、一つ清々しく息を吐くと判決を下す。

「わかったわ。減刑して地下室で懲役495年、服役中の世話は全てフランに任せるわ」
「ありがとうパチュリー」

歓声と拍手に包まれる法廷。
こんなの茶番だー 私は無実だー、と叫びながら引きずられていく紅魔館の主。
ここに一つの罪が裁かれた。











閉廷され、皆が出ていったレミリアの部屋。
フランドールは寝ているこいしに声をかけた。

「もう起きていいよ、こいし」

その言葉に、こいしがむくっと起きあがる。

「もうフランってば、あまり面白いこと言わないでよ。思わず笑いそうになっちゃったじゃない」
「ごめんごめん・・・でもこれで全てが終わったわ。
 お姉さまは今頃鎖に繋がれて悔し涙を流しているでしょうね。
 まずはその涙を枯れ果てるまで舐めとってあげるの。
 そして495年かけて調きょ・・・じゃなかった教育を施すの。二度と私以外見えないようにね」
「フランってば、次はお姉ちゃんの番なんだから、忘れないでよ」
「わかってるわ。うふふふふふふふふふふふーー」
「あははははははははははーー」


「なるほど、そういうことだったのね」

この上なく悪魔的な笑いをあげる2人の耳に、此処にいるはずのない声が響く。

「お姉さま!」
「えっ!」

とっさに扉の方を振り返るフランドールと、状況を理解できていないこいし。
フランドールの視線の先には扉に寄りかかるレミリアがいた。

「どうして・・・・・・」

呆然と呟くフランドール

「腐ってもこの館の主だからね。無理言って部屋に来たのさ。ねえパチェ」

扉が少し開くと、妙に無表情なパチュリーも顔を見せる。

「フランごめん! 私帰らないと」
「ちょっとこいし!」

慌てて場を離れようとするこいし。だがそうは問屋がおろさないとばかりに、レミリアがこいしの腕を掴む。

「あら、大丈夫よ。さとりには私から言っておくわ。こいしちゃんはしばらく家にお泊まりするみたいですってね」
「あはは~ おかまいなく~」

笑ってごまかそうとするこいし。
だが、レミリアは壮絶に意地の悪い笑いを浮かべると、

「遠慮しなくてもいいのよ。
 それにね、私もあなたとお話したいと前から思っていたの。
 なんなら今から一緒にベットの中でお話しましょうか」

と言いながら舌なめずりをする。
その姿は、こいしを恐怖のどん底にたたき落とすには十分だった。

「ひぃぃぃぃぃーー!! フ、フラン!
 そんなのダメなんだよね! 許されないことなんだよね!」

こいしは藁にも縋る思いで親友に助けを求める。
しかし・・・・・・

「そうね、フランだけ仲間外れじゃ可哀想よね。
 それじゃフランも加えて3人仲良くベットの中でお話しましょうか。優しくしてあげるわ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん」
「フラーーーーーン!」

驚愕するほどにあっさりと堕ちた親友に絶叫するこいし。

「ふはははははははははははーー」

逆転勝利に高笑いが止まらないレミリア。
だがしかし・・・・・・

「楽しんでるところに悪いんだけど・・・・・・」
「へっ?」

パチュリーの手がレミリアの肩を、指が食い込むぐらい強く掴む。

「レミィ、貴方とアリスの関係をベットの中で詳しく話してくれないかしら。ねえ、レ・ミ・ィ」




後に古明地 こいしは語る。あの時レミリア・スカーレットの後ろにいたのは、
無意識すら震え上がらせるなにかであった、と・・・・・・
ここまで読んでくださってありがとうございます。

テーマは逆転、いろんな意味で。
この後、おぜうさまがどうなったかは、皆さんのご想像にお任せします。

誤字脱字、その他指摘事項あればよろしくお願いします。
では、お粗末様でした。

10/08/06 09:50
誤字などを若干修正しました。
clo0001
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コメント



0.2780簡易評価
1.40名前が無い程度の能力削除
何この昼メロ真っ青な桃魔館w
5.100名前が無い程度の能力削除
なんという修羅場
6.100名前が無い程度の能力削除
このレミリアはどう考えても有罪だわw
12.100名前が無い程度の能力削除
syu ra ba
13.100名前が無い程度の能力削除
レミリアなになってんだw
16.100名前が無い程度の能力削除
うむ、言い逃れの余地なく有罪だな!!
19.100名前が無い程度の能力削除
黒!黒!真っ黒ですっ!
20.80名前が無い程度の能力削除
レミリアとアリスの間に何があったか、詳細を要望しても構いませんね!
26.90再開発削除
お嬢様はテンプテーションの術を張っているに違いない。あるいは吸血鬼の魅了の力を。
28.100名前が無い程度の能力削除
許します! 超・許します!
レミィと呼ぶアリス……その一晩こそ見たかったッ!
47.100名前が無い程度の能力削除
このあとは3人を踊り食いですねわかります
51.90名前が無い程度の能力削除
こいレミの続き!と思ったがそんなことはなかった
いや、よかったデス
52.80名前が無い程度の能力削除

レミリアとフランとこいしをパチュリーが踊りくいしてるのが幻視でけた
ノシ
58.100名前が無い程度の能力削除
有 罪 確 定 !
63.100名前が無い程度の能力削除
判 決 死 刑 !

取り合えずサブタレイニアンサンと Capital panishmentとロイヤルフレアのどれかを選ぶ義務をあげようか
64.100名前が無い程度の能力削除
なんという愛憎……!