Coolier - 新生・東方創想話

風見さんとマーガトロイドさんと

2010/08/04 15:46:22
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 ※拙作「ゆうかりん、ふぁいと」シリーズの続編となります。





 蝉時雨が耳に痛い。
 神社の縁側に腰掛ける二人は、同様に、その感情を覚える。頭の上からだけではなく、周囲全体から降り注ぐ、元気な蝉さん達の大合唱は、とかく――、
「……暑い」
「……そんな格好してりゃ、見た目にも暑苦しいってわかってるくせに」
「お前に言われたくないぜ。
 知ってるか、赤って熱をためこむんだぜ」
「黒はもっとためこむのよ」
「暑いぜ、近寄るな」
「あんたがここに来たんだろ」
 そこで、またしばらく沈黙。
 時折、ちりんちりん、と風鈴が涼しげな音色を奏でるものの、それが聞こえた途端、『それ、負けてなるものか』と蝉さんが全力になってしまうため、むしろ暑さがマックスハート。
「……なぁ、何か冷たいもの、欲しいな」
「そーねー……」
「カキ氷なんかいいよな」
「何言ってるのよ。やっぱりアイスクリームよ、アイスクリーム」
「ソフトクリームもいいよな。
 ところで、ソフトクリームという名前をした、ソフトクリームの形をしただけのアイスクリームについてどう思う」
「殴りたくなるわね」
「だよな」
 冷たいものばかり食べるとお腹を壊すよ、といわんばかりに蝉さん達の合掌が第二パートに突入する。心なしか輪唱気味だ。今年の蝉たちは歌の練習を、土の中で行ってきたらしい。
「……なぁ」
「……何よ」
「……暑いな」
「……暑いわね」
「……何で、今、私達は、縁側で真夏の日差しを浴びて、額に汗をかきながら熱いお茶を飲んでるんだろうな」
「…………………………」
 蝉の合唱、パワーアップ。
 よく聞いてみれば、各蝉ごとに担当しているパートが違うらしい。何と見事な合唱だろうか。お前ら、合唱コンテストにも出たらどうだ。虫限定の。
「……仕方ないじゃない」
「なぜ血涙する……」
「麓の村の、人のいいおじいちゃんが『ほれ、博麗さんのお嬢さん。美味しい大福があまったからあげるよ』なんて持ってきたんだから!
 大福には熱いお茶って相場が決まってるでしょ!? お茶以外ありえないのよ! 冷たいお茶はダメなの! わかる!?」
「……わかる」
「ああっ! おじいちゃん、ありがとう! だけど、次からは水菓子にしてね!?」
 そんなこんなで、今日も神社は平和だった。

「さっきから、アリスは何をしてるのよ」
「ほれ」
 突き出されるのは一冊のノートだった。そこにびっしりと、数字やら文字やらが書かれている。
 その表紙を見て、彼女は納得した。
『出納帳』。
「一応、忘れているみたいだから言っておくけどね、幽香。
 このお店のパトロンは誰だと思う?」
「……あなた」
「別にいついつまでに返せとは言わないけど、赤字が出ると、やっぱり気になるの」
「いいじゃない、別に……」
「よくない。潰れてもらっちゃ困るわよ」
 そういうところにとんと無関心の彼女――風見幽香へと、ぴしゃりと、アリスは言い放った。
 ――さて、舞台は移って、ここは太陽の畑の中に佇む喫茶店『かざみ』。この花妖怪、風見幽香の『友達百人……あ、うん、別にそこまで贅沢は言わないわ、10人……ううん、ひ、一人でも増えてくれればいいの計画』を達成するための拠点である。
 今からさかのぼること、ずいぶん前になってしまうが、彼女のそんな悩みと夢を聞いて、『仕方ないわね、もう』とアリスが手を貸して、この店が開店してから、日々、店にはお客さんが絶えない状況が続いている。お店が小さく、イートインスペースがそれほど取れないため、大抵の客が持ち帰り専門となってしまっているが、それでも客単価はそこそこであり、一般的に言えば、月ベースで黒字決算を続けられるだけの地力がある店だ。
 ところが、である。
 この幽香、妙にお菓子(主に洋菓子系統)を作るのが得意というスキルを持っているのだが、それに妥協しない性格なのである。
 やれ、ケーキを焼くにはなになにの材料がないとダメだ、だの、やれ、ジュースを造るためのフルーツはどこそこの生産地のいついつのものじゃないとダメだ、だのとこだわりだしたらきりがないというほどのこだわりを持っているのだ。
 加えてお店を『経営する』ということに関して、完全に経済観念の欠落した人物でもあるため――基本的に、妖怪が日々を暮らすのに銭は要らないから仕方ないのだが――、お店に並ぶ品物は格安。子供が硬貨一枚持ってやってくれば、美味しいチョコレートが食べられるという良心的な経営を行っている。そのため、端的に言うと、『客単価=原価』なのである。場合によっては、『客単価<原価』になることも珍しくはなかった。
「ったくもー。
 あんた、私が協力しなかったら、このお店、どういうことになってたのよ」
「べ、別に頼んでないもの」
「あ、そう。
 なら、手を引いてもいいんだけど」
「……うぐ」
「ったく。素直じゃないんだから」
 人のこと言えるのか、と幽香は声を大にしてアリスに言ってやりたかったが、言えば、現在、接客を行っている人形たちが一斉に飛び掛ってきそうな気がしてやめた。お互い、ほぼ同類であるため、相手が次にどのような行動に出るか、大体読めるのだ。
「別に、あんたの趣味に口出しするつもりはないし、あんたの経営方針がそれなら別にいいけれど。
 だけどね、幽香。今のところ、何とかかんとか黒字でやっていけてるのって、一日の売り上げが、ほぼ、作った量とイコールになってるからよ」
「それで?」
「作った量が一日の売り上げを上回るようになってくれば、あっという間に赤字が雪だるま。遠からず、お店を畳むことになるわ」
「な、何でよ!?」
「……いや、何でって……」
 時々思うのだが、もしかして、こいつって、意外とバカなんじゃないだろうか。
 本気でその意味がわからない、といった具合に目をむく幽香を見て、アリスは思う。支出が収入を上回る状況が続けば、『月決算で、辛うじて黒字』程度の蓄えしかない店など、あっという間である。それを噛み砕いて説明すると、「……確かに言われてみれば」と彼女は納得したりする。
「それに、うちの商売敵のこと、忘れたの?」
「あんな超大型店舗に、元からかなうわけないって思ってるんだけど……」
「……いや、まぁ……」
 そこで落ち込む幽香に対して、後ろから『ゆうかりんファンクラブ』の面々が「そんなことないっす!」「俺達は、幽香さんのお店に、破産するまで通い続けます!」と頼もしい声を上げてくれる。ちなみに、このファンクラブ、本人非公認だ。公認をもらおうとしたことがあったらしいのだが、『わ、私のファンクラブ? そ、そんな、う、嬉し……じゃない、は、恥ずかしいもの、認めるわけないじゃないっ!』と半分笑顔のままの彼女に吹き飛ばされたらしい。
 しかし、その後もファンクラブは勢力を拡大し続け、つい最近、構成員が1000人を突破したらしいのだが、それはともあれ。
「いい、幽香。
 あそことうちとの違いは、商品のラインナップや資本の大小だけじゃないのよ」
 そう、神妙な面持ちで語るアリス。
 なお、このお店の商売敵として、今、話題となっているのは、紅の悪魔の館から紅のテーマパークへと変貌しつつある紅魔館である。そこの経営者は『別に潰しあいをするつもりはないわ』とは言っているものの、昔から、大型店舗に個人商店が客を取られることなど、ままあることである。
「あそこはね、時機を逃さないのよ」
 年に何度かある、大きなイベント。そのイベントごとのたびに、あのテーマパーク……もとい、館は、色々な企画を打ってくる。そのたびに、多数の新規顧客を開拓し、確固たるベースを築いているのだ。
 それだけではない。資本力に物を言わせた宣伝にも抜けがない。幻想郷中、あちこちの人里にメイド達が出向き、チラシを配ったり、試供品を提供したり、もっと端的に期間限定の出張店舗を構えたりしている。
「対して、うちはどう? この店から外に出ないじゃない」
 対する『かざみ』はというと、客の口コミに頼るだけが、唯一の宣伝方法だ。資本がないため、大々的な活動が出来ないというのもあるのだが、全ては店主のこの一言が、その方針を決定付けている。
「だって……その……あ、あんまり大々的なことをしたら恥ずかしいじゃない!」
 ――以上。
 しかし、ここで、普段ならあきれながらも『あー、はいはい』と一定の理解を示してきたのがアリスなのだが、今回は違った。
 大きなため息をつくと、言う。
「幽香、気づいてた?」
「え?」
「この頃、お店の売り上げが落ちてきているのよ」
「嘘っ!?」
「……もちろん、目立って数字の落ち込みがあるわけではない。けれど確実に、前月比でいくと数字は落ちてきているわ。
 今は、まだそれほど痛手にはなっていないけれど……あと、半年もすれば、この帳簿は真っ赤になる」
 それは、あまりにも具体的な予言だった。
 思わずよろめく幽香に、後ろから、やっぱりファンクラブの面々が「んなことないっす!」「俺達が、今の倍、買いますから!」
「ケーキを五つ追加だー!」などと声を上げる中、『……どうして……』と幽香はつぶやく。
「言うまでもないでしょ。消極的なお店は、積極的なお店に客を奪われるものなのよ」
 それは、厳然たる事実だった。
 沈黙し、幽香はうつむいたまま、その場を去った。厨房の中に引っ込んでいく彼女を見ながら、『……さて』とアリスは考える。
「……どうしたものやら」
 ――実を言うと、この店の知名度は、あまり高くない。
 場所が場所だけに、人里から通うにはあまりにも距離があり、やってくるのは、今現在、レジの前で『チョコレート一袋追加だ!』『なら、俺はクッキーを所望する!』『甘いな、お前達! この店にあるものを全部というのがファンクラブの姿だろう!』『なるほどそうか!』などとやっている熱意あるもの達が大半なのだ。確かに連日、お客はやってきてくれるのだが、あまりにも既存顧客に頼りすぎているのである。
 この店が潰れてしまうのは惜しい。アリスはそう思っている。
 単に、投下した資本を回収できない程度なら、別段、気にすることではない。何といっても、『友達』宣言をした相手が、また落ち込んでしまうのを見るのがいやなのだ。
 減った顧客分を、どこかから開拓する必要がある。ならば、どうするか。
「口コミに頼るのも限界があるわよね」
 この熱意ある顧客たちは、実に頼りになる存在なのだが、それでも限度はある。もっと単純に、大勢の人に、この店の存在を周知して回らなければなるまい。
 そのためには……。
「……ま、二番煎じになるのは仕方ないか」
 頭の中に浮かぶのは、先達の知恵に学ぶことだった。

「それは由々しき事態ね」
 話を聞くなり、早速、紅の館のメイド長は協力を申し出てくれた。
 彼女達から見れば、幽香の店は商売敵であるのだが、館の主人が『潰しあいはしない』と宣言している上、『咲夜、ケーキ買ってきなさい』と、その店のお菓子を気に入っているため、それが食べられなくなったらどれほど落胆することか。
 常に主人を最前に考えるメイド長としては、何としても、そうした事態だけは回避しなくてはならないのだ。
「けれど……そう、悪かったわね。
 私達も、ちょっと調子に乗りすぎていたかしら」
「ああ、いえ、咲夜さん達は別に悪くはないんだけど……」
「お嬢様が乗り気でねぇ……。
『もっともっと、お客さんを呼び込むわよ!』って」
 元々、ここって何の館だったかしら。
 思わず頭を抱えて冷静になり、ため息をつく十六夜メイド長。その気持ちもわかるのか、アリスは彼女の肩を優しく叩いた。
 気を取り直したのか、咲夜は少し考え込むと、
「そうなると、業務提携という形になるのかしら。
 たとえば、こちらの館の一角に、あなた達の店のコーナーを作って、とか」
「う~ん……。そこまで甘えるのもどうかと……」
「確かに。あの女のプライドが許さないでしょうね」
 商売敵に塩を送ってもらうなんてごめんよ!
 ――言うならば、こんなところだろうか。リアルに、幽香がそんなことを叫ぶのが想像できる。本当は、そんな他人の好意に甘えたいはずなのだが、強がってしまうのは彼女の性だ。
「お客さんを分散できれば一番なんですけどね」
「そうなんだけどね……。
 けれど、申し訳ないけど、それは出来ないわ」
 紅魔館の収入源の一つが、やっぱり、幽香と同じく『お菓子』である。確かに、単品の味に関しては、幽香の店のものには負けているかもしれない。しかし、やはり、ここのお菓子も『美味しい』のだ。かく言うアリスも、月に何度かは足を運んでしまうほどである。そして、それを求めて、彼女と同じように足を運ぶものがいるのもまた事実。その収入源の一角を、いかに知り合いの頼みとはいえ、放棄することは出来ない。咲夜の言葉に、アリスは『仕方ないよね』という雰囲気を漂わせて肩をすくめる。
「とりあえず、私達が普段、どういうことをやって顧客を増やしているかについては、全部、教えるわ。実行できないと思ったら声をかけてちょうだい。資金は難しいけど、人の手配はしてあげる」
「すいません。……ほんと、迷惑ばっかりかけます」
「いいのよ。わからないでもないから」
 そう言って、二人は互いに、声を潜めてくすくすと笑う。
 何となく、お互いに、考えていることがわかってしまったらしかった。

 続けて、紅魔館から『紅魔館広報ノウハウ』を借りてきたアリスが頼るのは、普段はあんまり頼りにならないこの人物である。
「世の中、変な意味で便利になったわよね」
 手に持った笛を、空の彼方に吹き鳴らす。『ぱー……ぷ~……』という、夕暮れ時の町の片隅で、屈託のない笑顔の青年が台車引っ張ってやってきそうな音色がしばし響いた後。
「幻想郷の空に羽ばたく風の音にブン屋の使命がこだまする! 風から風に聴く声の希望を背負って情報提供! 幻想郷旋風射命丸! お呼びとあらば即参上!」
「普段なら『呼んでない』ってツッコミ入れてひっぱたくところだけど、今回はそうでもないのよ」
 ソニックブームを巻き起こしながら現れる、毎度おなじみ射命丸に、とりあえずハリセンでその後頭部をひっぱたいてから、『あのね』とアリス。
「……はあ、なるほど。
 とどのつまり、幽香さんのお店の宣伝をして欲しい、と」
「ええ。あなたのゴシップでも、ばら撒かれれば、とりあえず一面だけでも目に入るじゃない? そこにどんと載せて欲しいの」
「……それ、頼む態度じゃないですよね」
 ゴシップじゃないですよ、とぶつぶつつぶやく文。
「もちろん、タダじゃないわよ。確か、文。あなた、うちの店に、結構、足を運んでいたわね」
「まぁ、疲れたときの甘いものは格別ですからね」
「マフィンセット、好きだったわよね?」
 ぴくっ、と文の肩が震えたのを、アリスは見逃さなかった。
 彼女は、服のポケットをごそごそやると、そこから、ずらっと連なった回数券を取り出す。その回数券には、こう書かれている。
『マフィンセット無料。追加でコーヒーマフィン、一個進呈』
「そっ、そそそれは……!」
「別に買収しようというわけではないの。ただ、労働への報酬って言うの?」
「……くっ! で、ですが、ちゃんと記事を載せるに当たってはしかるべき……!」
「一日限定5個。幽香特製花の蜜ケーキ二段重ねを、一ヶ月、確実に、一日一個食べられるチケットなんだけどなー、これ」
「やります。やらせてください!」
 結局、文ちゃんも女の子。甘いものには目がないのです。
 彼女はアリスからチケットを受け取り、ほくほく笑顔になりながら、「それで、私は何をすればいいんですか!?」と、ちょっと上ずった声を上げた。
「そうね……。
 とりあえず、これから何かキャンペーンを打ったりして行動を起こそうと思うんだけど、その内容が決まってないの」
「あれ。そうなんですか」
「うん。
 でね、それが決まってから、改めて依頼するって形でもいい?」
「もちろんです!
 この射命丸、幻想郷に正しい情報を伝える一流新聞記者として、義理と人情と、あと掛け替えのない報酬のかかった仕事は全力で遂行させて頂きます!」
 主に、今回は、その三番目が強いんだろうなと思いつつも、アリスは「じゃあ、その時に改めてお願いするわね」と言うだけだ。
 一方、文は「あの、それで、このチケット、今日から使えるんですよね!?」と早速、アリスに詰め寄る。アリスが『もちろん』と返すと、
「それじゃ、私、頑張りますね!
 マフィンにケーキっ♪ マフィンにケーキっ♪」
「ちゃんとマーケティングしといてよかった」
 小躍りしながら飛んでいく文を見て、アリスは内心でほくそ笑む。
 実は、彼女、店に来る顧客が一体何を購入しているかを、きちんとリサーチしているのだ。その上で、幽香に『これこれを多めに作りなさい』や『これは人気のない商品だから、販売打ち切り。残りは格安サービスでね』などと指示を下しているのである。
 普段から几帳面で、色々細かいところに気がつく彼女ならではの『はまり役』であった。
「さて、ちょっと頼りないけど、広報係も獲得した、と。
 あとは……」
 ここで一つ、もっと他に、目新しい、だけど、自分たちにも実行できる程度のインパクトがあるアイディアが欲しいものだ、とアリスは内心でつぶやいた。
 店の経営のほとんどをアリス自身が手がけている現状、どうしても、その手法は『自分主体』のものになってしまう。かといって、外部からのアイディアとなると、この手のことに関して有益な情報をくれるのは咲夜などの、やっぱり自分と『同じ』相手ばかり。どうにかして、小さくてもいいから、オリジナリティみたいなものが出せないだろうか。
 空を飛び、何の気なしに人里へと舞い降りた彼女は、ぶつぶつとつぶやきながら、道を歩いていく。
「何か悩み事でもあるのか?」
 後ろから、声。
 足を止めて、少しの間をおいてから振り返る。そこには、里で有名、ついでに言えばアリスたちの間でも有名な知識人が、片手に大根の入った手提げ袋を持って立っていた。
「慧音さん」
「私で構わなければ相談に乗るが」
 どうする? と彼女。
 歩み寄ってきた彼女に、『実は、これこれこういう事情なんです』と立ち話。すると慧音は、ふむ、とうなずいた。
「……いやはや、なるほど。経営というのは難しいものだな。
 正直、手を貸してあげたいのは山々だが、私が手を貸しても、かえって事態を悪化させてしまいそうだ」
 ははは、と笑いながら、慧音。
 二人は肩を並べて、道を歩いていく。
「何かいい話ってありませんか? たとえば、お店の評判とか」
「……と、言われてもな。
 やはり、村の若い娘には人気が高いというくらいか」
 あと、幽香殿の店には、妙に男性が足を運ぶとも聞いている、と彼女は付け加える。
 まぁ、元々、それは承知の上だ。ゆうかりんファンクラブの構成員の9割は野郎なのだから。
「あとは……そうだな。
 いや、正直、いい話題しか聞かないよ。お菓子が美味しい、また行きたい、安い、なんて言葉が多いからね」
 それを聞いたら、きっと、幽香は喜ぶのだろうなと思いながら、『う~ん』とアリス。
 店にいてはわからない、お客の生の声というものを期待したのだが、どうやら、それは期待はずれになりそうだ。直接、アリス自身が尋ねてもいいのだが、その店の関係者を前に無用心なことは言わないだろう。こういうことは、言葉を変えれば『陰口』ほど、役に立つものなのだ。
「まぁ、あとは……遠い、というのはよく聞くか」
「ああ、やっぱりそれはあるわよね……。
 歩いて行くにはちょっとね……」
「太陽の畑に近い人間にとってはそうでもないのだろうが、この辺りの里はちょっとね。その分、『いつでも食べられるわけではない』という点から、期待度も高まっているようだが」
 しかし、正直なところ、『いつでも買える方が嬉しい』というのが、そのお客様の心理ではあるらしい。
 その点、アリス達は、やはり紅魔館には及ばない。聞けば、最近は『通信販売』というものも、あそこはやっているらしい。注文が入ったら即日配達、をモットーにしているのだとか。その辺り、どうやっているかは、咲夜に借りてきた例のマニュアルに書かれていることだろう。
「それくらいか。
 しかし、アリス殿はまめというか、献身的なことだな」
「まぁ、一応、友達宣言しちゃったし。
 それに、ちゃんと投下資本は回収してもらわないと」
「ははは、そうか。
 ……ああ、そうだ。思い出した。幽香殿の店に、よく行く客を一人、知っているよ」
「え? 本当?」
「ああ。彼女にも、いっそのこと、話を聞いてみたらどうだろうか」
「……そうね。情報は、多ければ多い方がいいって言うしね」
「そういうことだ」

 ――というわけで。
「……幽香さん……は、いない……」
 こっそりと、店のドアのところで店内の様子を伺っている娘が一人。その脇を『何やってるんだろう、この子は』という視線を彼女に向けながら、お客様たちが歩いていく。
 今、店内は、言うなれば無人だった。
 アリスが操る人形たちが、一生懸命、接客をやっている。アリスの仕込みの賜物とはいえ、人形が普通の人間並みに働いている光景というのは、実に珍しいものだ。やってくる客も『あら、かわいい』と笑いながら、『ケーキ、もう一個ちょうだい』と買い物をしている。
「よし、今です!」
「何が『今』なの?」
「のわぁっ!?」
 いきなり後ろからかかった声に、その人物――東風谷早苗は盛大に驚き、飛びすさり、つるっと足を滑らせて後ろ向きに転倒し、ごちん、という痛そうな音を立てて床に後頭部を打ち付けて悶絶する。
「……何やってるの? 早苗……」
「い、いたたたぁ~……」
 よっぽど痛かったのだろう。目元にじわりと涙を浮かばせながら、早苗はふらふら立ち上がる。
「お、驚かせないで下さい!」
「……いや、何か理不尽に怒られても……」
 実際、立派に不審人物だったのは早苗の方である。
 それを指摘すると、彼女は顔を紅くしながら、「し、仕方ないじゃないですか」と口ごもる。
「何でさっさとお店に入らないのよ」
「え? えっと、それは……」
「幽香ー、早苗が来たわよー。この子のケーキとお茶、用意してー」
「い、いいです! いいです、アリスさん! あの、私、もうすぐ帰る……!」
「……早苗?」
「ひっ!?」
 ごごごごごご、という擬音を背後に背負いながら、半眼になって早苗をにらみつける幽香が登場する。
 何やらいやな汗をだらだら流し、硬直している早苗などお構いなしに、アリスは「早くしてよ」と幽香に一言。彼女は、入り口で固まっている早苗の手を引っ張って、店の奥のイートインスペースへ。
「……どうぞ」
「あ、ありがとうございまひゅ……」
「ちょっと、幽香。何、威嚇してるのよ。相手はお客よ」
「……ふんっ」
「ったく……。
 ああ、ごめん。それでね、早苗。ちょっと聞きたいことがあるのよ」
「は、はい……」
 怖い。幽香の視線がとても怖い。カウンターの裏に戻って、じーっと、こちらを見つめてくる幽香のあの目が、とにかく怖い。
 萎縮しまくり、目の前の、おいしそうなケーキと紅茶にも手を出せずにいる早苗に、アリスは『実はね』と話を振る。
「――というわけなの」
「は、はあ……。お客さんを増やそう作戦……ですか……」
「そう。
 あ、お茶とか冷めちゃうから。食べながら聞いてくれればいいわ」
「……うぅ。食べられない……」
 後ろからかけられる圧倒的なプレッシャーを前に、背筋を伸ばした姿勢のまま、動けないでいる早苗は、にへら、とでも形容できる笑みを浮かべて、小さくうなずく。
「ずばり。
 早苗は、どうして、この店に来てるの?」
「えっ?」
「だって、紅魔館でもいいじゃない? ぶっちゃけ、こっちって、交通の便も悪いし。
 向こうなら、お菓子を食べたついでに、一家そろって食事、なんてことも出来るんだけど」
「え、えーっとぉ……」
 喉が渇く。声が引きつる。
 下手なことは言えない。言えば多分、私はひまわりの養分になってしまう。
 後ろの怖い視線を受け止めながら、「え、えっとですね……」と彼女は言葉をつむぎだす。
「その……えっと……あ、ほら、幻想郷って、和菓子が一般的じゃないですか?」
「まぁ、そうね」
「それで、その……その頃は、ちょうどケーキとかの甘さに飢えていて……。
 た、たまたま、幽香さんのお店の話を聞いて、近くを移動していたから立ち寄ってみて……」
「ふんふん」
「……それで、えっと……食べたケーキがすごく美味しくて……。こ、これしかない、って思って……。
 だから、あの……こっちのお店にばかり……な、なんて、ダメですよね! もっと具体的な意見、欲しいですよね! 待っていてください、今、捏造しますから!」
「いや、捏造て」
 とりあえず落ち着け、とアリス。その言葉を代弁するように、ふよふよ飛んできた人形が、手に持ったハリセンで、すぱん、と早苗の頭をはたいた。
「けれど……ふ~ん、なるほど……」
「あ、あの~……」
「ファーストインプリティングが大切、ってことか……」
「……え?」
「よし。
 早苗、あなたもちょっと手伝って」
「えぇっ!?」
「幽香、お店が終わったら作戦を実行するから。私たちの分のご飯、お願いね」
「私『たち』……?」
「あ、あの、私、ご迷惑ですから! 帰りますから!」
「いいのよ。ご飯くらい食べていって」
「い、いいいいやあの……」
 後ろから、露骨に『ちっ』とかいう舌打ちが聞こえた。早苗は全身にいや~な汗をかきながら、この時、『ああ、お父さん、お母さん、ついでに神奈子さま、諏訪子さま、先立つ不幸をどうかお許し下さい……』と、命を諦めていたのだった。

「……で? 具体的に何をどうするのよ」
「紅魔館の二番煎じよ」
 アリスはあっさりと、幽香の問いに答えた。
 チラシを作って、人里で宣伝をする。たくさんの人が来てもらえるように、試供品を配る、その他諸々。
「先達には倣わないとね」
「けれど、そんなお金、ないわよ」
「私が出すからいいわよ」
「……アリスさんって、意外とお金持ち……?」
「さあ?」
 幽香に『ぎろり』とにらまれて、「よけいなこと言ってごめんなさい!」と早苗は頭を下げる。
 そんな一触即発を無視して、アリスは手元に、白い画用紙と色鉛筆を取り出した。
「じゃあ、幽香。ちょっと一枚、描いてみてよ」
「えっ? 私?」
「そう。店主でしょ?」
「い、いや、その……アリスのがいいんじゃないかしら。何せ、パトロンなんでしょ?」
「パトロンは、お店の経営は、店主に任せるものなんだけど?」
 うぐ、と言葉に詰まる幽香。
 そして、しばし沈黙した後「……わかったわよ」と、なぜか画用紙を抱えて席を外す。アリスは、そんな彼女の仕草に首をかしげ、早苗は恐怖からの解放に、ほっと一息をつく。
 ――ややしばらくして。
「……描いたわよ」
「じゃ、見せて」
「……笑わない?」
「何で笑うのよ」
「……はい」
 果たして、渡されたそれは。
『ぶっ……』
 見るなり、思わず噴出してしまうような内容だった。
「ち、ちょっと! 笑わないって言ったじゃない!」
「だ、だって……!」
「幽香さん……これっ……!」
「早苗、あんたに笑われる義理はないわ!」
「かっ、かわいすぎ……」
 それは、一言で言うなら『暖色ほわほわ、ふんわり』な絵だった。
 確かに、絵はうまい。間違いなくうまい。しかし、その雰囲気と言ったら。年頃の少女が思いのたけをつづるポエムにも近いのではないだろうか。
 これは子供には人気が出るのは間違いないだろう。ついでに言うなら、女の子受けもしそうだ。
 問題は――、
「あー、もう! だからいやだったのよ!」
 と、店主が恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤にして怒っていることなのだが。
「なるほどねぇ~。幽香がお菓子作りとかが得意な理由、何となくだけどわかったわ」
「私も……何となくですけど」
「う、うるさいわね! そういうあんた達はどうなのよ!」
「はい、どうぞ」
「あの……私も」
「……うぐ」
 アリスのチラシは、文字通り『チラシ』という感じのものだった。
 商品の写真(なお、いつ撮影したかは不明)がバランスよく配置され、値段なども見やすく表示してある。加えて、一番上の目立つところに『セール!』の文字が躍っていた。
 一方の早苗は、幽香ほどではないにしろ、女の子らしい、柔らかな色使いが特徴的な絵を描いている。ただ、幽香と決定的に違うのは、ちゃんと商品の宣伝もしていることだろうか。
「……くっ」
 結局、何も言えずに幽香は椅子につく。
「あとは、出張店舗ね。一週間の限定で、どこに出そうかな」
「あの、お金と時間が許すなら、あちこちに、っていうのはどうですか?
 やっぱり、一つの里だと、行ける人も限られてくると思うんです」
「ああ、いいわね、それ。
 あとは、里のお店に交渉して、『ご自由にどうぞ』みたいな形で、日持ちするチョコレートとか置いてくるのもいいかもね」
「そうですね」
「あとは……そうね」
 そんなこんなで、話は進む。
 いつのまにやら、しっかりと早苗も、その会話で意見を主張するようになっていた。時折、幽香に話を振り、『どうですか?』などと同意を求めながら。
 そんな様子を、一人、眺める幽香の視線は、何となくつまらなさそうだった。

「……あの」
「何よ」
 その日の夜。
 結局、幽香の店に泊めてもらうことになったアリスと早苗だが、その片方は、厨房の明かりを見て、眠い目をこすりながらその場に姿を見せていた。
「……あの、寝ないんです……か?」
「あんたは人間と妖怪とを混同しすぎているわね」
「ご、ごめんなさい……」
 じろりとにらまれ、思わず頭を下げる。
 しかし、それ以上の追求はなかった。恐る恐る、早苗は顔を上げる。
「あの……」
「何よ。人間のくせに夜更かししてるんじゃないわよ」
「……何、作ってるんですか?」
「明日から、アリスが言ってたでしょ。宣伝に行く、って。
 それなのに新製品の一つもないんじゃ、かっこがつかないじゃない」
「……はあ、なるほど」
「全く……。私は、このままでいい、って言ってるのに」
 ぶつぶつつぶやく幽香の元に、そっと、早苗は歩み寄る。
「うわ、かわいい」
 幽香が手元で作っているのは、小さな小さなホールケーキだった。その上に、色とりどりのクリームが踊っている。それらは一見すると、花畑のようにも見えた。
「……食べる?」
「え? いいんですか?」
「あんた、甘いもの、好きなんでしょ」
「それは……否定は出来ないですけど……」
「いるの? いらないの?」
「いっ、いります!」
 プレッシャーをかけられ、びくっ、と彼女は背筋をすくませる。幽香は『ちょっと待ってなさい」と、厨房の片隅にある食器棚からお皿とフォークを取り出すと、それを彼女へ。
「はい」
「い、いただきます……」
「何、怯えてんのよ」
「……いや、その……」
 そもそも、これが怯えずにいられるか、と早苗は心の中で叫んだ。
 目の前のケーキに視線を戻し、彼女は誓う。どんなに美味しくなくても『美味しい』と言おう、と。
 今、自分を守れるのは自分だけなのだ。フォローをしてくれていたアリスは、今、ベッドの中で気持ちよく熟睡しているのだ。すなわち、今、確実に早苗が生き残るためには『幽香の気を損ねない』ことしかないのである。
 ケーキを前にして、その人生の数々が去来する。
 そして、早苗は覚悟を決めた。今、死んだとしても惜しくはない! 我が生涯に一片の悔いなし!
「ていっ!」
 ぱくっ。もぐもぐもぐ。ごっくん。
「……」
「どう?」
「何これ……?」
「は?」
「美味しい!」
「あ、そう」
 ふんわりふわふわのスポンジの中に、何重にも重ねられた、クリームとスポンジの層。そのクリーム一つ一つに、ケーキの上で色づくクリームと同じ色がつけられている。そして、その色に合ったフルーツが、クリームの中に埋もれている。これもやはり、フルーツケーキと言うのだろうか。それに加えて、ケーキの中心部にある、幽香お得意の、花の蜜を使ったソースが絶品だった。
 クリームの甘さにフルーツの甘さ、加えてソースの甘さがたまらない。
 どれもこれも、ちゃんとお互いに調和しあい、格別と言っていいくらいの味になっている。ただ、甘いだけではないのだ。ともすれば甘ったるく、あるいは、破綻してもおかしくない組み合わせだというのに、一口食べれば、思わず笑顔になるこの味を演出する幽香の腕前といったら。
「美味しい~……! こんな美味しいケーキ、初めてですぅ……幸せぇ~……」
「そう。よかった。
 あんたは、まぁ、味覚はまともそうだから、他の人間に出しても評判はよさそうね」
「幽香さん、おかわりないですか!?」
「ないわよ。一つしか作ってないんだし」
「そこを何とか! あ、お代なら払いますから!」
「だーめ」
「……けちー」
 あっという間にケーキを一つ食べ終えて、『まだ満足しない』という顔を浮かべている早苗に「これ以上、食べたら太るんじゃないの」と幽香は強烈なボディブローを放った。
 しかし、
「太ってもいいです! これをもう一つ!」
「……ったく」
 わかったわかった、と言わんばかりに彼女は肩をすくめた。そして、「ちょっと待ってなさい」と苦笑する。
 早苗は、おあずけをされた犬のごとく、『早く早く』という期待の眼差しで、彼女を見つめている。
「はい、二つ目。本気で、これでおしまいよ」
「いただきます!」
「……ったく。霊夢じゃないんだから」
 美味しいケーキに舌鼓を打ち、顔をとろけさせる早苗に、思わず、幽香の顔も優しくなる。
 そして、二つ目を平らげて、ようやく満足したらしい早苗が『ご馳走様でした』と幽香に頭を下げた。
「……あの」
「何よ。もうないわよ」
「……その……ごめんなさい。私、ずっと、幽香さんは怖い人だって思ってました」
「怖い妖怪よ。稗田の本、読まなかったの?」
「あれは嘘です誤解です偏見です! こんなに美味しいケーキが作れる人が悪い人のはずがありません!」
 果たして、そこにどんな理屈があるのかはわからなかったが、鼻息も荒く言い放つ早苗に、『はいはい』と幽香。
「あの……そのですね。アリスさんから聞いたんですけど」
「何よ」
「幽香さん、友達が欲しい、って……」
「はぁ!? 誰が言ったのよ!」
「い、いえ、その……アリスさん……」
「別に、そんなこと、これっぽっちも、全然、全く、容赦なく、ないわよ! ご、誤解しないように! いい!?」
「その……そ、そういうことだろうとは思うんですけど……。
 えーっと……これはですね、私の打算で……その……幽香さんとお友達になれば、美味しいお菓子、一杯食べられるかなぁ……とか」
 てへへ、と早苗。
 ちらりと上目遣いで幽香を見れば、彼女は顔を紅くしながらそっぽを向いていた。
「それで、あの、今までのお詫びもこめて……」
「……好きにしたら」
「は、はい!」
「言っておくけど、うちは誰であろうと、ちゃんとお金は取るわよ! ただでさえ、アリスに『採算度外視でものを作るな』って言われてるんだから!」
「わかりました」
「ほら、さっさと出て行って! あんたがいると調子が狂う!」
「あ、は、はい」
 慌てて踵を返す早苗。しかし、つと、立ち止まると、幽香へと振り返る。
「ケーキ、ご馳走様でした」
「……はいはい。
 歯磨きして寝なさいよ。あと、暑いからって、布団をかぶらないで寝たら風邪を引くからね」
「はい」
 ぺこりと頭を下げた後、彼女は小さな足音を立てて去っていく。その後ろ姿を見送ってから、『……ったく、何が友達よ』と幽香はつぶやいた。
「……あの子の分、少し多めに作りたくなるじゃない」
 明日の朝ごはんの後に、また食べさせてやろうか。
 そんなことを思い、つぶやく幽香の口許には、小さな笑みが浮かんでいた。



(以下、文々。新聞一面より抜粋)
『喫茶店「かざみ」、一週間だけの特別出張店舗開店。

 本紙にて、以前、紹介した太陽の畑に佇む喫茶店「かざみ」が、このたび、人間の里での出張店舗を、期間限定で開店するとの情報を、先日、入手した。本喫茶店のパトロンでもあるアリス・マーガトロイド氏の発案によってなされた今回の出張店舗は、一週間の期間限定で、幻想郷各地の人里に店舗を構えるのだという。
 ただし、その間、本店の方は休業となってしまうのは致し方ないこととして本紙読者にはご理解頂きたい。
 前々から、「かざみ」には、立ち寄るお客の声に『お店が遠くて来るのが大変。もっと手軽に、「かざみ」のお菓子を楽しみたい』という要望が多く、このたび、アリス氏と店主の風見幽香氏の粋な計らいによって、それが実現したのである。
 もちろん、出張店舗だからといって心配は無用である。「かざみ」の一番人気である、看板商品の「花の蜜ケーキ」を始めとした60種類もの品が提供されるとのことだ。さらに、今回の出張店舗限定、「特製フルーツケーキ」は、筆者も一口頂くことが出来たが、絶品の一言である。本店でのラインナップへの追加は、まだ少し先とのことなので、この出張店舗に訪れた際には、ぜひとも、その味を堪能して頂きたい。
 各里への滞在は一日とのことだが、これも、多くのお客に美味しいお菓子を食べてもらいたいとの店主の願いをかなえるための日程であるため、「かざみ」ファンの方はもちろん、美味しいお菓子を食べたい方は足を運んで頂きたい。きっと、満足できるはずである。
 なお、店舗撤退後も、三日ほどの間は生菓子以外の品物に関しては、里の甘味処で味わうことが出来るため、どうしても都合がつかない方は、そちらも利用して欲しい。これの評判次第では、里の甘味処へと、お菓子を卸すことも検討しているとのことなので、その際には是非とも、備え付けのアンケート用紙に回答をお願いしたいところだ。
 これまでに「かざみ」を訪れた方。行きたくても行けなかった方。美味しいお菓子を食べたい方は、この機を逃さず、お店を覗いてみてほしい。きっと、そこには、幸せな時間が待っていることだろう。(著:射命丸文)

 今回、各出張店舗での先着20名に限り、店主が描いた「かざみ」のチラシをプレゼント!
 また、同じく先着50名に限り、「かざみ」でのケーキセット無料チケットもプレゼント!

 なお、商品売り切れの際はご容赦下さい。店主:風見幽香(代筆:アリス・マーガトロイド)』
ゆうかりんファンクラブ入会条件
1:ゆうかりんに愛を注げること(種族は問いません)
2:紳士であること(淑女も歓迎します)
3:ゆうかりんの照れ隠し弾幕を回避できること(ルナシューターでなくても構いません。ただし、被弾時の責任は、当方では負いかねます)
4:かざみにて、毎月、必ず大紙幣一枚以上を消費すること(なお、多ければ多いほどいいというものではありません)

前回の投稿から……8ヶ月くらい?
ほとんど新参状態になってきましたので、心機一転して、シリーズタイトルを変えてみました。
別にゆうかりんが血まみれになったり泣いたり炎の中に飛び込んだり屋上オチしたりする話ではありませんのであしからず。
……ところで、ゆうかりんの自機昇格はまだでしょうか。花映塚以外で。
haruka
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コメント



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10.100名前が無い程度の能力削除
相変わらずかわいすぎるだろこのゆうかりん
13.100名前が無い程度の能力削除
ノーマルシューターの俺はゆうかりんの愛(弾幕)を 
回避せずにこの身にうけましょう!
15.100名前が無い程度の能力削除
嗚呼、相も変わらずここのゆうかりんはかわいいなぁ
16.90可南削除
あ~と思って読み始めたら爆死しました。ゆうかりんには愛を尽くします。
とても、面白かったです。ありがとうございました。

個人的には、ラスボス返り咲きでも良い気がするのです。
22.90名前が無い程度の能力削除
お久しぶりです。相変わらずあなたの書く少女はみんなかわいらしいですね。素晴らしい。
友達が増えてよかったねゆうかりん。
31.100名前が無い程度の能力削除
ゆうかりんマジキュート。
是非ゆうかりんファンクラブの一員に……!
32.100名前が無い程度の能力削除
>別にゆうかりんが血まみれになったり泣いたり炎の中に飛び込んだり屋上オチしたりする話ではありませんのであしからず
見事に引っ掛かりました。
タイトルでアレのパロを連想したのはほかにもいるはず。
38.100名前が無い程度の能力削除
乙女すぎだろ、ライフが足りません
42.100名前が無い程度の能力削除
こ、これが……幽香りんパワー……
44.100名前が無い程度の能力削除
いいですねー。
48.100名前が無い程度の能力削除
ゆうかりんのかわいさのやられた…
55.100名前が無い程度の能力削除
さすがゆうかりんだぜ……
64.100名前が無い程度の能力削除
ヴオー