Coolier - 新生・東方創想話

夏の風物詩

2010/07/19 23:42:09
最終更新
サイズ
43.41KB
ページ数
1
閲覧数
1143
評価数
4/25
POINT
1320
Rate
10.35

分類タグ

 みーん、みーん、と蝉の鳴き声がうるさいほど響き、自分の存在を示すため自己主張している。太陽は無駄に輝き大地をギラギラと照りつけ、その気温の高さに苦しむ。おまけに空気は湿気て汗をかいた体にベタベタと肌に纏わりつく。
 
こんなに太陽が出ていて暑いのにカラッとした空気にならない。この国独特のジメジメしたむさ苦しい暑さ。
 
そう、幻想郷にも夏が来た。



第一章 夏の四人



「あっついわね~」
「ああ、暑い、暑すぎるぜ。こんなに暑いとあの⑨じゃなくても溶けちまうぜ」
「ホントよね~。早く冬になってほしいわ。暑いのは勘弁してほしいものだわ」
「でも冬になったら夏になってほしいって言うだろ霊夢は。それにそんな腋露出した巫女服着てるんだから私よりかは涼しいだろ?」
「そんなことないわよ。これ見た目よりそこまで涼しくないのよ」
「へ~。まぁどうでもいいか。そんなことより……」
「「あつい~~」」

 太陽が一番輝くお昼時。神社の縁側で霊夢と魔理沙が今すぐにでも溶けだすんじゃないかと思うくらいに、だら~とのびている。まったく、これくらいの暑さでだらしないわね。

「博麗の巫女がそんなだらしなくていいの? また紫に怒られちゃうわよ。ほら魔理沙も寝てないで起き上がる」
「「ん?」」

 二人が同時に頭を上げる。

「「なんだ、アリスか」」

 そして、私の顔を見たとたん再び二人同時に縁側にひっくり返る。驚異のシンクロ率。それにちょっと、人の顔見て『なんだ』って失礼でしょ? 

 私の目の前でダラダラと倦怠感全開の二人を見てると、今まで数々の異変を解決してきたプロフェッショナルには思えない。

「ほら、二人ともそんなダラダラゴロゴロしてないでもっとシャキッとして、とっとと起きなさい。今日はお土産も持ってきたんだから」
「「お土産!」」

 今度は二人同時に目を輝かせて飛び起きる。現金ねぇこの娘たちは。

「スイカよ。冷やして夕食後のデザートとして食べましょう。だから起きなさい。今日は私以外にお客さんも来てるんだから」
「お客さん?」

 霊夢が不思議そうな顔をする。

「ええ。人里へ買い物に行ったとき偶然会ったから、一緒にこない? て誘ったのよ。ね、早苗さん?」
「はい、今日はアリスさんにお呼ばれされて来ました。それにしても霊夢さんも魔理沙さんも暑いからって怠けてたら体壊しますよ?」

 うんうん、ホントいい娘よね、早苗さんは。魔理沙と霊夢は少し彼女を見習った方がいい。

「なんだ早苗か。早苗はアリスみたいにお土産ないの? 今日は私、動く気ないわよ。あとお賽銭はあっちね~」

 うわ~このダラけっぷり。神様が見たら泣いてしまうだろう。それにお客さんに土産は? って、たかってるし。巫女がそんなのでいいのかしら?

「ご心配なく、霊夢さん。そのために今日の夕飯の材料を買ってきましたから。今日は夏バテ防止の為のウナギですよ! 鰻丼は美味しいですからね。あとお酒も買ってきましたよ♪ 少し値はしましたが『山崎二五年』です」
「おお! 流石は早苗だぜ! でもいいのか? 自分の家の神様ほったらかしにしといて?」

 魔理沙の疑問がもっともだ。あの親バカ神様をほっといて大丈夫だろうか?

「大丈夫ですよ。神奈子様、諏訪子様にはもう連絡を入れましたので。久々に友達と楽しんできなさいって。私もその言葉に甘えさせてもらいました。同年代のみんなでご飯食べてお喋りするのって……久しぶりですしね」

 早苗さんが一瞬だけど少し寂しそうな顔をする。そっか、少し前まで外の世界じゃ早苗さんはまだ友達と普通に遊んで、こんな妖怪退治とは無縁の生活を送ってたはず。

「そうね、じゃ久々に巫女二人と魔法使い二人で飲みましょうか。ちょっとした宴でも始めましょう。善は急げよ、魔理沙。神社の裏倉庫からお酒取ってきて!」
「了解だぜ!」

 霊夢が言うやいなや魔理沙は倉庫の方に走っていく。二人とも早苗さんの気持ちがわかったのかしら? それともただ飲みたいだけ? でも二人とも優しいからきっと早苗さんのこと、気付いたに違いない。

「で? 本当は何を企んでるの?」

 霊夢がジト目で早苗さんを問いただすように言う。

「あれ? 分かりましたか? 私的にはポーカーフェイスを貫いてたつもりだったのですが……ばれました?」

 早苗さんが大げさに肩を竦めて苦笑する。

「寂しそうな顔して何がポーカーフェイスよ。で、目的は?」
「さすがは霊夢さん、バレバレですね。実を言いますと今日は夏にぴったりな怪談を語ろうかと思いまして。アリスさんに神社に行かないかって誘われた時に思いついたんですよ」

 怪談? あのオバケとかが出てくるお話の。でもこの幻想郷で幽霊や妖怪なんて日常で見ることができるのに、今更怪談なんて。

 霊夢も同じことを思ったのか難しい顔をしている。

「お二人とも怪談なんてと思っていますね。でも心配しないで下さい。私が語るのは外の世界に伝わる『都市伝説』です。そして今回のターゲットは……魔理沙さんです」
「ちょっと魔理沙に何かする気?」

 いくら早苗さんでも魔理沙に何かするのは許せない。

「まぁまぁ、話は最後まで聞いてください。今日は魔理沙さんに私のお話でうんと怖がってもらおうと思いまして。それにはアリスさんの協力が必要なんですよ」
「別にいいけど、あまり酷いことなら断るわよ」

 魔理沙にそんなことは私がさせないんだから。

「いえいえ。私はただ魔理沙さんを怖がらせる協力をしてほしいんですよ。それにアリスさんだって、普段と違う、恐怖で目に涙をためた魔理沙さんを見たくありませんか?」
「~~~っ!!」

 それは見たい! 魔理沙が怖がるなんて激レアだ。それに、もしそんな魔理沙が見れたらあまりの可愛さに私は卒倒してしまうかもしれない。

「協力してくれますか?」
「…………OK、協力しましょう」
「ふふふ、ありがとうございます。アリスさん」

 そう言ってほそく笑う早苗さん。

「魔理沙……今日のアンタは厄日よ」

 そして霊夢が倉庫の方に手を合わせていた。



第二章 小さな晩餐



 あれだけ強い日差しを放っていた太陽も今は西に傾き青かった空を赤から黒に変わろうとしている。だけど、日が落ちて幾分涼しくなったとはいえ、まだまだじめじめとした纏わりつく暑さは残っている。

 時刻は六時過ぎ、そろそろお腹も減る夕飯の時間帯だ。今日の夕食は神社の台所を借りて私と早苗さんで鰻丼を作っている。夏バテ防止には本当にもってこいの逸品だ。私の買ってきたスイカも井戸水に付けて冷やしている。夕飯を食べ終えた頃にはちょうどいい冷たさになっているだろう。

 魔理沙と霊夢は用意が出来るまで居間でのんびりとしている。いや、のんびりしてるのは霊夢だけで、魔理沙は『アリスぅ~早くしてくれ。腹減って死にそうだぜ』なんて言いながらゴロゴロと床を転がり、足をばたばたと動かして、まるで駄々をこねる子供のようだ。そんな仕草が可愛いんだけどね。

「もう少しだから待ってなさい。あとそんなことしてたら、埃が立つし、服も汚れるから止めなさい」
「は~い。でも早くしてくれよ」
「はいはい。期待して待ってなさい」
「おう!」

 魔理沙がニカっと笑う。ふふ、ころころと表情を変えて、本当に元気な子供みたいね。実際に私から見れば子供だけど、魔理沙が決して子供だけじゃないってことは私が一番よく知ってる。魔理沙の親友である霊夢にも魔理沙のことなら負ける気がしない。

「アリスさんって本当に魔理沙さんのことが大好きなんですね」

 トントントンと心地よいリズムを奏でて包丁を動かしている早苗さんが言う。

「そりゃそうよ。私の世界で一番大切な人なんだから。あ、ご飯炊けたわね」

 うん! 色、艶、硬さ、全てのバランスが最高に良い状態で炊けたわ。流石は私。

「そうですね。でもアリスさんはその『世界で一番大切な人』を罠にはめようとしてるんですよ?」

 鰻丼のタレを作りながら早苗さんが悪戯な笑みを浮かべる。

「貴女も意地が悪いわね。発案者のくせに」
「あら、でもその提案に乗ったのはアリスさんご本人ですよ?」
「ぐっ……」

 そう言われると言い返す言葉もない。実際に私は怖がって目に涙を浮かべてる魔理沙が見たくて早苗さんと協力してる訳だし。我ながら中々ヒドイことを考えてる。
でも魔理沙の怖がってる顔ってあまり見た覚えがない。

「今更だけど成功するのかしら? 私、魔理沙が怖がってる所って見たことないのよ」

 これが正直な気持ちだ。勇んで妖怪退治に行く魔理沙が怖がるなんて想像がつかない。早苗さんの家、守矢神社の神様も霊夢と一緒にシバきに行ってたし、魔理沙は恐怖というものを知ってるのかしら?

「安心してください。幻想郷にあるもので怖がらないのなら、幻想郷にないもので怖がらせればいいんですよ。うふふふふ」
「幻想郷にないものねぇ。そんなので魔理沙は落ちるのかしら?」

 丼に四人分のご飯を盛る。こんな人数でご飯は久しぶりだわ。いつも魔理沙と二人だけだったからね。別に二人がイヤってわけじゃないけど、たまには大人数で食べたい時もある。

 で、話を戻すと『幻想郷にないもの』ってやっぱり外の世界の言い伝えか何かよね? でも外の世界で忘れられたものが幻想入りする世界なのよ、ここは。人が一般的に怖いと思う幽霊や妖怪、果ては悪魔までいるこの世界の住人を怖がらすなんて至難の技だと思う。どうして早苗さんはこんなに自信たっぷりなのだろう?

「えぇ、きっと魔理沙さんは怖がります。オカルト研究部元部長、東風谷早苗の力を見せてあげましょう。くすくすくすくすくす」

 ちょうどいい大きさに切り分けたウナギをご飯の上に乗せながら、早苗さんが笑う。でも包丁を持ったまま不気味に笑う早苗さんを見た時点で、私はもう怖かった。

 そう、ここは幻想郷、まともな人は少ないのである。早苗さんもまた、普通とは少し違った人なのかもしれない。

「そ、そうね。ともかく早くタレをかけちゃいましょ。これで完成なんだから早くしないと魔理沙がごねるわ」
「そうですね。霊夢さんが秘蔵のお酒を出してくれるそうなんですからね」

 出来上がった鰻丼四つをおぼんの上に載せて。居間へと運ぶ。

「は~い! 霊夢さん、魔理沙さん、お待たせしました~! 私とアリスさんの愛がたっぷり入った特製鰻丼で~す!」
「待ってました! もうお腹ペコペコだぜ~。なあ霊夢?」
「ええ、もう待ちくたびれたわ。はやく食べましょう」

 二人ともささ~と素早く移動してお膳の前に座る。

「アンタたちは食事の準備はしなくても、食べる準備は恐ろしく速いのね」

 私と早苗さんが頑張って作ってる間、二人はゴロゴロしてただけなのに、いざご飯が出来たとなるとこれだ。ある意味素直でいいんだけどね。

「今日は私たちだって準備したものがあるぞ! 霊夢、見してやれ!」
「そんな自慢するもんじゃないでしょ。はいアリス。早苗が持ってきたのと一緒に飲みましょう」

 そう言って霊夢が私に手渡したのは、一本の酒瓶だ。えっと、獺祭って! ウソ!? なかなかの上物じゃない! こんなの霊夢が買えるはずないわ! いったいどうして?

「随分と失礼な驚き方ね。でもアリスの想像通り、そのお酒は私が買ったものじゃないわ。神社に誰かがお供えしてくれたのよ。ま、お賽銭代わりね」
「でも神社にお供えしてあったということは、それはこの神社の神様のものじゃないんですか?」
「ここにあるんだから私のものよ」

 早苗さんの質問に、霊夢はしれっと答えた。アンタ少しは神様のこと考えて上げなさい。きっと神様も泣いているに違いない。もしかしたら現在進行形で山の神様に愚痴りに行っているかもしれない。

「なぁ~! そんなことどうでもいいから早く食べようぜ。目の前にあるのに食べれないなんてお預けくらった気分になっちまう」
「そうね。魔理沙もお腹空かしているし、食べましょうか」

 私と早苗さんもお膳の前に座る。うん、いい匂い。こりゃお腹も空くわけだ。

「それでは皆さん、手を合わせて、いただきます」
「いただきます!」

 早苗さんの『いただきます』の号令が終わった瞬間魔理沙は丼にかぶりついた。そんなに慌てて食べなくてもいいのに。でもこのタレとウナギの香りは食欲をそそる。そこまで難しくない料理をここまでハイレベルにできるなんて、早苗さんは料理の腕はかなり高い方ね。

「うめぇ! アリスの腕がすごいのは知ってるけど、早苗もなかなかのもんだな。アリスには遠く及ばないけど一応合格点だぜ」
「ありがとうございます」

 何で魔理沙が採点なんてしちゃってるのよ。それに早苗さんも素直に喜んでるし。魔理沙は基本食べる専門だから舌が肥えているのは確かだけど。

 魔理沙には美味しいもの食べさしてあげたいから、どうしても気合が入ってしまう。

「なに偉そうに点数なんて付けてんのよ? アンタろくに料理もできないくせに」
「ぐっ……」

 霊夢の痛いツッコミが入る。私と出会うまでは一人暮らししてたはずだから全くできないってことはないと思うけど……どうなのかしら?

「私だってある程度のものは作れるぜ。そりゃアリスや早苗には遠く及ばないけど、キノコ料理なら大得意だ! それに霊夢の方こそ料理できるのか?」
「私だってできるわよ! それに紫のためにもっと美味しく作れるように練習だってしてるもん! ……って、あ! その、今のは何でもない、忘れて」

 慌てて前言撤回する霊夢だけど言ってしまった時にはもう遅い。魔理沙と、それに早苗さんまでもが霊夢を見てニヤニヤとしてる。私もニヤニヤしてるけど。

 あの博麗霊夢が赤くなって大慌てしているんだから。楽しまなきゃ損だ。

「へぇ……霊夢が紫のためにな~。ははは、意外だぜ! 霊夢にも可愛いとこあるじゃないか。しっかし、冷酷無情の霊夢を一八〇度変えるなんて、八雲紫、恐ろしい奴だぜ」
「魔理沙? 誰が冷酷無情で血も涙もない貧乏巫女ですって?」
「別にそこまで言ってないぜ」
「じゃかしい!! 魔理沙! アンタは私をどんな風に見てたのよ!?」
「私をフルボッコにして半殺しするヒドイ奴」

 それは喧嘩売っていつも返り討ちにあってるだけでしょうが。

「ほう……。魔理沙、ちょっと表出ろ」

 あ~あ。笑顔で魔理沙に言う霊夢だけど、青筋浮かべて誰がどう見ても怒っている。魔理沙も素直に謝っていた方が身のためだと思うのだが。

「あ、あれ? ちょっと? とりあえず霊夢、待て、話し合おう。話せばわかる」
「聞く耳持たん! 天誅!」
「ちょ、やめ…れ、霊夢さん? 落ち着い、ぎゃああぁあ!!」

 霊夢が魔理沙はフルボッコにしてる中、私は早苗さんと顔を見合わせる。

「どうする、早苗さん?」
「とりあえず止めましょうか」
「そうね、そうしましょう。じゃないとまともに食事もとれたものじゃないわ」

 まだ半分も食べてないんだから私たちは。

「はいはい。その辺にしなさい。せっかくのディナーが大なしでしょ? 霊夢も魔理沙には私がちゃんと言っておくから」
「しょうがないわね。でもご飯は大事だし、今回はこれくらいにしときましょう」

 そう言って霊夢は何事もなかったかのように食事を再開した。さてと、次は私の目の前に転がってるコレをなんとかしないとね。

「魔理沙、起きなさい。霊夢も許してくれたんだから」
「うう、アリスぅ」
「もう世話の焼ける~」

 魔理沙をさっと抱き起して、服や髪の毛についた埃を払う。

「うわあぁぁあぁん! 霊夢にイジメられたぜ!」

 それは十中八九、いや100%魔理沙が悪いような気がするが言わないでおこう。

「はいはい。それより早く食べましょう。冷めちゃうわよ。せっかく魔理沙のために頑張ったんだから」
「うん、食べる」

 素直に席に着く魔理沙。うん、えらいえらい。

「でも、霊夢さんが私のところに料理を習いに来てたのって紫さんのためだったんですね」
「ちょっと早苗! 内緒にしてって言ったのに」

 どうやら霊夢も早苗さんの元で修業をしていたらしい。

「へぇ、霊夢って早苗さんのところで教えてもらってたんだ」
「う、うん。早苗なら家庭的な料理とか、色々知ってそうだし。それに教え方も上手かったし」
「そんな大袈裟ですよ。私はただ自分の知ってることは霊夢さんに言っただけですから」

 早苗さんは本当にいい娘だ。人里の男たちもそりゃ振り返るわけだ。嫁が早苗さんならさぞかし幸せだろう。私の嫁は魔理沙ただ一人だけど。

「なぁなぁ! 早苗! これ、そろそろ開けていいか?」

 魔理沙が大きく掲げてるのは早苗さんが買ってきたお酒だ。

「そうですね。喉も渇きましたし、開けましょうか」
「よっしゃ!」

 待ってましたと言わんばかり魔理沙は嬉々とした表情で栓を抜き、全員のグラスに注ぐ。

「ん? これ、名前から日本酒だと思ってたけど違うのね」
「なんなんだぜ? これ?」
「ああ、霊夢さん達は日本酒の方が多いんでしたね。私はウィスキーの方が好きなので、つい自分の趣味に走ってしまいましたね。でも一度飲んでみてください。きっと虜になりますよ。食事中は水割りの方がいいんですが二五年は一度ストレートで飲んでもらってその味を確かめてほしいので、どちらにしますか?」

 ん~難しいわね。本来の味を楽しむならストレートが一番だろうけど、食事中にストレートは少しキツイ気もする。

「ここはやっぱり最初は水割りでいきましょうか」
「そうするか!」

 私の意見に全会一致、始めは水割りでいただくことにした。

「良い香り。それに色も綺麗な色だわ」

 美しい輝きを放つ濃い赤褐色の液体。甘美な芳香がこのお酒のよさを引き立てている。そっと一口飲む。

「おお! これは、甘味と苦みが織り成す複雑で重厚な味、こんなの初めてだぜ」
「ふふ。たまにはウィスキーもいいものでしょ? この美味しさがシングルモルトウィスキー山崎なんです。山崎の香味を最もよく堪能できるのは、氷を入れない水との一対一。トワイス・アップと呼ばれる飲み方です。それに一対二、一対三と水の割合を多くしても香りが崩れることはないんですよ」

 いいわ。たまにはウィスキーも。宴会の時は日本酒。紅魔館のパーティーではワインが多いからね。最近はビールさえ飲んでないわ。

 山崎の水割りに舌鼓を打ちつつあっという間に、鰻丼を平らげてしまった。

「よし! そんじゃ今度は水割りなしのストレートといきますか」

 魔理沙はどうやらこのお酒が随分と気に入ったようだ。私も気に入ったけどね。特にこの香りが私は一番好き。もちろん味も保証付きよ。

「いいですね。二五年はストレートで飲んでこそ真の美味しさが分かるんですよ」
「じゃあいたただきます」

 一口飲んだだけでも分かる。口当たりはとてもしなやかで、食後の後にゆっくりと飲む。今この瞬間がたまらないわ。本当にいいお酒ね、今度買おうかしら?

「それでは皆様。ちょうどほろ酔いで気分もいいことでしょう。それでは、本日のメインイベントを始めたいと思います」

 早苗さんが立ち上がって、少し芝居がかった口調で言う。

「おう! 何が始まるんだぜ? 面白いことか?」
「ええ。魔理沙さんもきっと楽しめますよ。これから始まるのは……」

 早苗さんがわざともったえぶるように言う。


「怖い怖いお話です」





第三章 都市伝説



 太陽はもう沈み切り、外は真っ暗な暗闇が支配し、その夜空に浮かぶ月がなんとも美しい……はずなのだが、さっきまで雲ひとつなかった空は、いつの間にか暗雲立ち込めるイヤな空になっていた。

 怖い話をするときに急に天気が悪くなるなんて、ちょっと縁起が悪い。この調子で雷と来たら、ある意味最高だろう。

 都市伝説とは外の世界の話なので、私たちじゃ分からない話が多いんじゃないかと思ったけど、少し前、早苗さんが外の世界の常識と、どんなものがあるのかを私たちに写真を交えて教えてくれたけど、それで十分わかるらしい。車とかテレビとか色々見せてもらった。便利な道具らしいが電気がないとまったく機能しないという欠点があるらしい。

 そして現在、私たちは部屋の一室に集まっている。早苗さんはご丁寧に部屋の灯りを、蝋燭だけにした。小さく光る弱々しい灯りが、みんなの顔を照らすが、灯りが小さいせいで、その顔がとても不気味に見える。

「さて、準備も整いました。そろそろ始めようと思いますが、皆様、お手洗いの方は大丈夫ですか? 話を聞いたあと、怖くてトイレに行けないということが無いように、今のうちに行っといた方がいいですよ」
「へっ! さっき行ったから大丈夫だぜ! それにここは幻想郷だぜ? 幽霊や妖怪が日常にいる世界で怖い話なんて大した意味はないと思うぞ」
「くっくっく……くすくすくす、くくくくくくく」

 早苗さんが怪しげ笑い声を上げる。人間がそんな笑い方しない方がいい。というより早苗さんにそんな笑い方をしてほしくない。なんか、私の中の早苗さんのイメージが。

「な、なに不気味な笑い声上げてるんだよ? 私変なこと言ったか?」
「ダメですよ魔理沙さん。怖いモノが人間以外と思ってる時点で……くすくすくす」
「お、おい……それってどういう意味だよ? なぁ、おい!」
「すぐに分かりますよ。それでは皆様、心の準備はよろしいですか?」
「えぇ」
「大丈夫」
「だ、大丈夫だぜ」

 私、霊夢、魔理沙と、順番に返事をしていく。どんな話が出てくるのか楽しみだ。この蒸し暑い空間を話だけでどこまで涼しくできるのか。さぁ、楽しませてもらいましょうか。

「よろしいみたいですね。そうですね~この話からしましょうか」

 そう言って一区切りおく早苗さん。

「これは、友達の友達から聞いた話なんですけど……」

  1

ベッドの下の斧男


 あるマンションで一人暮らしをしている女性の部屋に友人が遊びに来た。

 その女性の部屋にはベッドが一つしかないので、自分はベッドに寝て、友人は床に布団を敷いて寝させることにした。

 遊んだり、ご飯を食べたりしてあっという間に時間は過ぎ、そして夜も更けて寝ようとする女性に、突然友人は外へ出ようと誘う。

「ねぇ、急にアイスが食べたくなったから、ちょっと外のコンビニまで行かない?」
「え? そんなの一人で行けばいいじゃない」
「それじゃダメなの! お願い、お願いだから一緒に行こうよ!」
あまりにしつこく誘うのでしぶしぶ部屋を出ると、友人は血相を変えて彼女を部屋の外に引っ張ります。まるで速くそこから逃げるように。
「痛い、痛いって! なんなのよいったい?」
「今すぐ警察に連絡して!」
「は? なんで」
「ベッドの下に斧を握った男がうずくまっている」

その男はマンションの真下の部屋の男で、床に通り穴をあけてそこから頻繁に出入りしていた。


 ***


「なんなんだぜ? その話」

 魔理沙が正直な感想を述べた。
確かに自分の部屋に知らない男がいるのは気味が悪い話だけど、二人とも無事に助かっているし、別に怖いという感じはしない。

「ふふ、これじゃただ不気味な男が部屋にいたってだけになりますよね? でもこれは色々な派生形があるんですよ。だからもう一つのバージョンをお話しましょう」


***


 女子大生のA子がある日、先輩のB子の家に遊びに行った。A子とB子はとっても仲がよく、その日も夜遅くまで先輩のB子の家でたわいもない話をしていました。

 時間を見ると終電ギリギリの時間なので、B子の家から自分のアパートへA子は帰ることにした。けど途中でA子は自分のアパートの鍵をB子の家に忘れているのを思い出し、B子の家に引き返すことにしました。

 真夜中ということもあり、B子の部屋には明かりがついていなかった。だけど幸運なことに鍵もかかっていなかったので、B子の部屋の構造を良く知っていたA子は電灯をつけるまでもなくB子の部屋に忘れてしまった自分の部屋の鍵を手に入れてぎりぎりの時間で家に帰りました。

 そして次の日。A子は昨日の非礼をわびると同時に、どこかへ食事にでもB子を誘おうと思い、B子の部屋に行きました。しかしそこには警察車両と大勢のやじうまがいた。A子は人ごみをかきわけて入っていくと警察にB子の友人だと名乗り出ました。

 警察はB子が殺されたことと、ちょっとわからないことがあるのでとショックを受けているA子をB子の部屋に入れました。B子の血で染まったベッドの横に血文字でこう書かれていたんです。



「あ か り を つ け な く て よ か っ た な」



 そう、A子が鍵を取りに戻ったとき、すでにB子は殺されており、まだ部屋にはその犯人も潜んでいたのです。もしそのとき電気をつけていたらA子も殺されていたでしょう……ベッドの下に潜んでいた殺人犯に。


 ***


「うわ、うわうわうわぁ~! 何なんなだよその話! 気持ちわりぃ~、それに殺されてるじぇねぇか!」
「えぇ。最初の話とは違い、こちらのパターンは殺されてしまいます。そして殺したのが幽霊などの怪奇現象ではなく、普通の女性の家に忍び込んだ人間の犯行です。そう、普通の人間でもできるんです。どういうことか、分かりますよね?」
「ど、どういうことだよ?」

 聞き返す魔理沙だけど声が少し震えている。私もちょっとこれは怖かった。

「人間の犯行ということは実際に起こってもおかしくないんですよ。魔理沙さんは普段自分の家はキチンと戸締りしていますか?」
「え? いや~、普段家に来るやつなんてアリスか霊夢くらいだし、他に誰も入ることないから鍵は掛けないな」

 魔理沙は基本家に鍵を掛けない。人間が殆どいない魔法の森に住んでいるから、しょうがないと言えばしょうがない。魔理沙が鍵を掛けるのは魔法の研究で家に誰も来てほしくない時だけだ。
私はキチンと戸締りしてる。昔妖精が家にイタズラをして人形を散らかしていったからだ。それ以来、キチンと施錠している。

「そうですか、では今夜はベッドの下に気を付けてくださいね。魔理沙さんのベッドの下にもいるかもしれませんよ? 斧を持った男がね。ふふふふ」
「え………」

 部屋に嫌な、重い沈黙が流れる。冗談だろうけど、人間が犯人である以上、あり得ないと思っても、『もしかしたら……』という考えが支配する。あり得ないと拭い去ろうとするけど、簡単に拭い去れない。恐怖の方が勝ってしまうからだ。早苗さんは不安を上げるようワザと言ったに違いない。

「は、ははは……そんな、魔法の森は人間なんか滅多に足を踏み入れないんだぜ。そんな私の家のベッドの下に誰かいるなんてありえない」
「滅多に踏み入れないんですよ? 絶対ではないんですよ? だったら魔理沙さんが知らないだけでベッドの下に誰かが潜んでいるかもしれませんよ?」
「だから、あり得ないって……」
「そう思うのは勝手ですが、私は嫌ですよ。ベッドの上で魔理沙さんの惨殺遺体が見つかったなんて新聞は」
「あ、ぁ……………」

 早苗さんの追い打ちが完全に決まった。魔理沙は少し目に涙をうかべて、口をぱくぱくさせている。何か言い返したいみたいだけど、言葉が思いつかないようだ。

「ア、アリス……」
「な、なに?」
「アリスの家に泊めてくれ~! 今日は家に帰りたくない!」

 そう叫びながら私にだきついてくる。

「ちょっと、言い方ってものがあるでしょ!? 別に家に泊まるくらいいけど」

 今日は帰りたくないって誤解を招きそうな言い方を! アンタは私の家でなにする気なのよ!?

「おやおや。魔理沙さんは随分と大胆ですね。それとも一人が怖くてアリスさんに泣きついたんでしょうか? うふふ」
「な! べ、べべ別に怖くなんてないぜ! それにアリスに泣きついてもない! ただ今日はアリスと一緒に朝までいたいだけだ!」

 かなり苦しい言い訳だ。だいたい涙目でウチに泊めてと言ったのに怖くないとは、どれだけ負けず嫌い、もしくは意地っ張りなんだろうか。魔理沙がビビってたことが分かってる霊夢なんて、今の魔理沙の言い訳を聞いて笑いを堪えている。

「では、魔理沙さんも平気そうなので次の話をしましょうか」
「ま、まだあるのかよ!?」

 魔理沙が情けない叫び声を上げる。

「えぇ。誰かが根をあげるまで続けようかと。それとももう魔理沙さんはギブアップですか」
「そんな訳あるか! 全然、余裕で平気だぜ!」

 あ~あ。完全に売り言葉に買い言葉。魔理沙も意地なんて張る必要ないのに。

「そうですね~………ではこのお話を。これも友達の友達から聞いた話なんですけど……」

  2

メリーさんの電話


 ある女の子が学校から自宅へ帰る途中に捨てられている人形を見つけました。捨てられているのに新品同然のとても綺麗で可愛らしい西洋人形でした。

 女の子は一目でその人形を気に入り家に持ち帰り、その人形に『メリー』という名前を与えました。

 女の子はメリーさんを大変可愛がり、オシャレな服を着せてあげたり、綺麗に髪を結って上げたりと、とても微笑ましいものでした。

 しかし、一ヶ月経った頃からおかしなことが起こり始めました。女の子は寝る前にメリーさんを机の上にある人形用のベッドの上に寝かしているのに、朝女の子が目を覚ますと、メリーさんが女の子ベッドにいたのです。

 最初は寝ぼけてメリーさんを抱いて、一緒に寝たのかな? と思いましたが、次の日も、その次の日も続きました。朝になるとやはりメリーさんが女の子のベッドの中にいるのです。

 不気味に思った女の子は母親に聞きました。

「お母さん? あたしのベッドにメリーさん一緒に寝かしているの?」
「え? お母さんはそんなのしらないわよ」

 母親は何も知りませんでした。人の仕業ではないとすると、人形が勝手に動いたとでも言うのでしょうか?

 そして次の日の朝もまた、メリーさんは女の子のベッドに入っていました。女の子は怖くなり、メリーさんを押し入れの奥底に箱に入れてしっかりと蓋をしてしまいました。これで安心と思い女の子は眠りにつきました。

 だけど女の子が目を覚ますと背筋が凍りつきました。メリーさんがベッドの中にいたのです。そんなバカなと女の子は思い、慌てて押し入れの奥にしまった箱を取り出しました。その箱はボロボロになって大きな穴が開いていました。まるで箱の中にいたメリーさんが箱を破いたような……。

 もう女の子は人形に愛はありませんでした。恐怖、畏怖、そして自分だけこんな思いをしているという理不尽さ、怒り、様々な負の感情が人形に向きました。そして女の子はメリーさんを壊してバラバラにしました。それからメリーさんはベッドの中に入ってくることはありませんでした。



 あるとき、女の子が遠くへ引っ越すことになりました。引っ越すときに女の子はメリーさんを捨てる必要がありました。女の子はちょうどいいと喜んでメリーさんをドブ川に投げ捨てて、新しい街へ移り住みました。

 新しい県境での生活にも慣れてきた女の子はメリーさんのことなど忘れて、楽しい生活を送っていました。

 その日も学校から家に帰ってきました。女の子の両親は共働きで、帰ってきても女の子一人だけの日が多かった。どうやら今日もその日のようです。

 家に帰るとすぐに電話のベルが鳴りました。誰だろう? と思い電話を取ると

「私、メリーさん。今■■にいるの」

 人工的で無機質な、ロボットのような声。■■とは女の子が前に住んでいた街でした。それだけ告げると電話は一方的に切られました。電話を掛けてきた人は自分をメリーさんと名乗った。人形が電話をかけてくる訳ないと女の子は悪戯だと思い気にしませんでした。

 それからしばらくすると電話が鳴り響きました

「私、メリーさん。今●●駅にいるの」

 ●●駅とは女の子が住んでいる家の最寄り駅である。女の子は恐怖のあまり電話を切ってしまいます。
しかしまたすぐに電話が鳴りました。

「私、メリーさん。今あなたの家の前にいるの」

「あなた誰なの? ねぇ、誰なのよ!?」

 女の子の問いかけに無情にも電話は切れた。こんな日に限って両親は帰ってこず、家には女の子一人しかいない。

 女の子は恐る恐るカーテンを少し開けて家の玄関を見てみたが、何も人影はありませんでした。

 少し安心した女の子のそばで電話がまた鳴った。

「私、メリーさん。今……」



      ア  ナ  タ  ノ  ウ  シ  ロ  ニ  イ  ル  ノ



 ***

「ヒギャアアアアアアアアアアアアアアアァアッ!!!」

 魔理沙の恐ろしい大音量の叫び声が部屋中に響き渡る。

「なんなのよ! そんな大きな叫び声上げて!」
「れ、れれれれれ霊夢! 今声がしたんだよ!『ア ナ タ ノ ウ シ ロ ニ イ ル ノ』ってはっきりと! しかも肩に手がおかれたんだよ、人の手の大きさじゃない、もっと小さい、まるで……本当に人形のような」
「何言ってるの、それは話のオチでしょ? 怖くなって幻聴でも聞いたんじゃないの?」

 霊夢が至極まともな返答をする。

「絶対に幻聴なんかじゃない! 耳元ではっきりと聞こえたんだよ! なぁアリスアリスは私の近くにいたから聞こえただろ? なぁ!! このさえ早苗でもいい、聞こえただろ? はっきりと!」
「ごめん、魔理沙。私は何も……」
「私も何も、聞こえませんでした」
「は、ははは……なぁ、ウソだろ? 冗談だよな?」

 魔理沙の顔から血の気が引きどんどん青くなっていく。自分以外誰も聞こえてないことが相当ショックだったようだ。

「嘘だって言ってくれよ」
「嘘じゃありませんよ。その声はメリーさんです」

 早苗さんが抑揚のない声でつぶやく。

「そんな訳ないだろ? じゃあ肩におかれた手はなんだったんだよ……」
「だからメリーさんですよ。何度も言わせないで下さい」

 魔理沙がどんどん涙目になっていく。なんだろう? こう、普段は勝気な魔理沙ばかり見ているから涙目で弱々しい魔理沙を見ると、もっと見たい、イジメたいと黒い感情がふつふつと湧き上がる。

「聞いた声はメリーさんしかあり得ないでしょう」

 早苗さんが冷たい声で言う。

「だからそれは早苗の作り話だろ?」
「何を言っているんですか? 魔理沙さん。これは私が友達の友達から聞いた話。別に作り話でもなんでもないんですよ? 魔理沙さんは子供のころ、人形を粗末に扱ったことはないですか? それともアリスさんの家の人形に酷いことをした覚えはありませんか? もしかしたらもしかするかもしれませんよ? くすくすくす」
「そんなこと……」

「けど現に魔理沙さんだけがメリーさんの声を聞いたんですよね? どうして? 答えは簡単です。魔理沙さんが人形に、ヒ ド イ コ ト ヲ シ タ カ ラ デ ス ヨ」
「そんなこと、してない。ぐす……してないもん」

 とうとう魔理沙が泣きだした。悪いと分かっていてもその涙で濡れる魔理沙の顔をもっと見たいと思う自分がいる。どうして? こんなにそそられるの? 今までこんな感情は無かったのにもっと魔理沙の困った顔、泣く顔、恐怖に引きつる顔が見たい。私ってこんなに酷い性格だっけ?

「この話は女の子がどうなったのかが分からないんですよ。後ろにメリーさんがいて、そのあとどうなったのか。やっぱり殺されちゃったんですかね? 女の子がメリーさんをボロボロにしたのと同じように。魔理沙さんも後ろにいるって言われたんですよね? せいぜい殺されないように気を付けてくださいね。じゃないと魔理沙さんのバラバラ死体をアリスさんや霊夢さんが見ることになるんですから……」

 早苗さんがこっちも恐ろしくなるくらいの冷たく、冷徹な声で言う。

「う、ぅぅ…ひっく、ヤダよ、殺されるの、やだ……ひく、すん、ぐす」

 胸が痛む。これ以上はさすがに私の良心が止めろと叫んでいる。

「魔理沙、おいで。大丈夫、大丈夫だから。気にすることないから」

 魔理沙をそっと抱きしめる。

「だって、すん…わ、わたし、今までアリスの人形に乱暴したことあるし、子供のころも、ぐすん、何かヒドイことしてるかもしれない」
「大丈夫、大丈夫だから、泣かないで」
 そっと頭を優しく撫で、落ち着くように背中をぽんぽんとたたいてあげる。
「そろそろいいでしょ? 早苗さん。これ以上は魔理沙が可哀想だわ」
「そうですね。私はもう十分に楽しめましたし」
「え? アリス? どういうこと?」
「ゴメンね。魔理沙こんなに怖がらして」
 
 ここからネタばらしの時間だ。



「はあぁっ!? 私をビビらすために仕込んだドッキリだぁ!?」

 魔理沙が素っ頓狂な声を上げる。口をポカンと開けて、放心状態。鳩が豆鉄砲を食ったような顔とはこういう顔だろう。

「ゴメンね! 魔理沙。本当に、でも私も少し、ほんの少し面白そうだったから」

 キチンと魔理沙に頭を下げる。魔理沙が泣いてしまうとは正直私は予想外だった。

「いや~楽しかったですね! 普段の魔理沙さんとは比べ物にならないあの泣きべそを浮かべた顔、最高ですよ! 久々でしたよ、人の泣き顔を見たのは! 他人の恐怖に染まった顔って何でこんなに素敵なんでしょうか! そのためにオカルト研に入ってたんですから私は! うふふ♪」

 決定。早苗さんはかなりのドSだ。これは幽香といい勝負かもしれない。魔理沙の泣き顔に興奮した私も人のこと言えた立場ではないが……。

「本気で怖かったんだからな! 耳元で声がして、肩に小さな手がおかれた時は本気で後ろにいると思ったんからな!」
「そう、それですよ。私も特に気にしないことにしていましたが、肩に手をおかれたってどういうことですか?」
「は? どういうことだよ?」
「実はね。私は早苗さんと協力して、最後の『アナタノウシロニイルノ』って台詞を魔理沙の耳元で腹話術を使ったけど、肩に手をおくなんて仕掛けはしてないの」
「え? じゃあ私が感じたのは……」

 部屋に沈黙が広がる。誰も、早苗さんでさえ喋ろうとしない。ま、まさか本当にメリーさんが? そんな、けどこの幻想郷だったら。

「ま、魔理沙さんも冗談言わないで下さいよ。きっと気のせいですよ、気のせい」

 早苗さんが顔を引きつらせながら言う。これは早苗さんの顔色からして早苗さんが内緒でそういう仕掛けをしたという線は消えた。

「そ、そうだよな! わ、私の気のせいだよな。あは、あはははは……」

 乾いた笑い声が部屋中に響く。

「ア、アリス! 少しここにいさせてくれ!」

 魔理沙は私の体にもたれかかり私の足の間にすっぽり入り座り込む。その行動が可愛すぎて、私は魔理沙を抱っこして太ももの上に座らせ、ぎゅーっと抱きしめる。

「これで怖くないでしょ?」
「……うん」

 夏だけど今はこの魔理沙の温かさが気持ちいい。ゴメンね、さっきは怖がらせて。

「さて、では気を取り直して、次の話をしましょうか」
「まだやるのかよ!? もう勘弁してくれよ~」

 魔理沙がなんとも情けない声を上げる。

「大丈夫です。もう悪戯はありませんから。では、この話も、友達の友達から……」

  3

山小屋にて……



 ある冬山で4人の登山サークルのメンバーが遭難してしまいました。道に迷ってしまった彼らは吹雪の中をあてもなくさまよい歩き続けました。そしてやっと一軒の山小屋を見つけて命からがら転がりこんだ。

 小屋はもう誰も使っている気配はなく、吹雪を避けることだけは出来るようだが暖を取るものは何一つありませんでした。吹雪から逃れられましたが、こんなところで眠ってしまえば凍死してしまうかもしれません。

 そこで一人の部員が眠らない工夫を考えました。彼の考えとは……。

 まず部屋の四隅に一人ずつが立ち、最初の一人目が壁沿いに角まで走る。そして角にいる二人目の人間にタッチする。そして二人目が角まで走り三人へ……というものだった。こうすることで眠らないし、体を温める運動にもなる。彼らはこの運動を朝まで繰り返しました。

 そして彼らは無事に小屋を訪れた救助隊によって救助されました。大学へ戻った彼らは他の部員達にこの日のことを報告した。

 だが話を聞いた部員は不思議そうに彼らに尋ねました。

「その話おかしくないか? だって、四隅に立って運動を始めるだろ。 四人目が走っていった角には誰も居ないんだぜ。そこで運動は終わらないか?」

 救出された四人は背筋が凍りつきました。あのとき運動は一度も止まることがなかったのです。もしかすると、いるはずのない五人目が……。


 ***


「これは……今までで一番怖いわね」
「私も、誰もいないはずないのに誰かいるってのは、人間には一番怖く感じるもんよ」

 私と霊夢が同じ意見を上げる。どうやら感じたものが似ているようだ。

「ふふふ、霊夢さん達はこの話が気に入ったようですね。メリーさんのように異界のモノの存在が殆どのほのめかされていませんからね。『いないのにいる』これほど怖いモノはありませんよね」

 そう、この話はどう足掻いても四人では不可能なのだ。五人いない限りどうしても二人分歩かないといけなくなるのだから。

「なぁアリス、少しいいか?」
「ん、どうしたの?」

 私の膝の上で丸くなっていた魔理沙が声を上げる。ちなみに魔理沙は私のムネに顔をうずめて、周りは見ないようにしていたみたいだけど、話は少しだけ聞いていたようだ。

 こういうのは何故か怖がりな人ほど聞きたくないと思っても聞くから不思議である。

「何で五人必要なんだ? 部屋の四隅に四人立ったんだろ? それだったら普通に回れるんじゃないか?」
「バッカね、四人だったら最初にいたところが空になるでしょ?」
「ん? なんでだよ?」

 霊夢が言っても魔理沙は全く分かってないらしい。というより魔理沙はこのシステムを理解してないということは、この話の恐ろしさを理解してないことになる。

「では実際にこの行動、スクエアをやってみましょうか。ちょうど四角形の部屋。そして私たち四人いるんですから」
「早苗に賛成ね。これで魔理沙もこの話がとてつもなく奇妙だと分かるから」
「う、うん、分かった。やってみようぜ」

 みんな立ち上がり部屋の四隅へ移動する。ちょうどこの部屋は綺麗な正方形なので、上から部屋を見たとすると、左上に霊夢、左下に早苗さん、右下に私、そして最後、右上に魔理沙の形になる。

「では始めましょうか。スクエアを。霊夢さん、壁伝いで私のところに来てください」
「了解」

 霊夢は壁伝いに早苗さんの方へ歩いていく。そして早苗さんのところにたどり着き早苗さんの肩をタッチする。今の状態は霊夢と早苗さんが左下にいて、さっきまで霊夢がいた左上が空いている状態だ。

「じゃあ次は私がアリスさんの方に行きますね」

 次は早苗さんが壁伝いに私のところに軽い足取りできて、私の肩にタッチする。

「はい、次はアリスさんの番です」
「OK それじゃ、行きますか」

 私も壁伝いに魔理沙のところに向かい、魔理沙の肩をタッチする。今の状態は、霊夢が最初に早苗さんがいた左下、早苗さんは私がいた右下、私は魔理沙が元からいた右上にいる。霊夢がいた左上には誰もいない。そう、誰もいないのだ。

「じゃあ魔理沙、今度は魔理沙が壁伝い霊夢のところへ向かって」
「わ、わかったぜ」

 少しおっかなびっくりに背中を丸くしながら壁伝いに歩いていく。そして……。

「あれ?」

 とうとう魔理沙も異変に気づいたようだ。そう魔理沙は壁伝いに霊夢のところに行くわけだから、誰もいない、最初に霊夢がいた左上を通って左下の霊夢のところへ行く必要がある。つまり魔理沙は一人分余分に動かないと霊夢のところに行けないのだ。左上に五人目がいれば可能なのだが……。

「魔理沙さんも気づきましたね。そうです、どう足掻いても四人では運動が一度も止まることなくやることは不可能なのですよ。普通は魔理沙さんのところで誰もいなく、そこで運動は止まります。霊夢さんのところには行くには余分に歩く必要があります。なのに、さっきの話の四人は止まることなく動き続けたのです。何故? それはいたんですよ。いるはずのない五人目が、ちょうど魔理沙さんのいる場所に」

 いるはずのない五人目。これがこの話の一番恐ろしいところだ。

「…………う、うぅ、うわああああぁぁん!! アリスのバカ! バカバカバカ! アリスはこの話どんなのか分かってたんだろ? なのに何で私を怪しいのがいるかもしれない場所に行かせるんだよ! こ、怖かったんだからな!」

 魔理沙が泣きべそを浮かべて私に飛びついてくる。そうだった、この立ち位置だと魔理沙が最後になるのをすっかり忘れていた。

「あ~ゴメンね魔理沙。だからん泣きやんで、ね?」
「うっく、ひっく……アリスのバカ、アリスの…バカ、ぐすん」

 私のムネに顔をこすりつけて涙を拭いて泣き顔を見せないように健気に頑張っている。私はそんな魔理沙の頭を撫でてあげる。優しく、大丈夫だよと言い聞かせるように。

「まるで姉妹ですね。そう思いませんか、霊夢さん?」
「ん~~? 私はあんなの日常茶飯事でなんとも思わないわ」
「そうですか……。そりゃ霊夢さんも紫さんと毎日似たようなことやってますもんね」
「シャラップ!! アンタは黙ってなさい!」
「恥ずかしがっちゃって、霊夢さんカワイイ!」
「う、うるさいうるさいうるさい!」

 なんだか外野が騒がしいがそんなことはどうでもいい。今はこの恐怖にぷるぷると震える魔理沙を存分に堪能したい。

「さて、今夜のお話はこれでお終いなのですが、皆さん第二回もお望みですか?」
「もう絶対にイヤだ!」

 怒った犬みたいにフゥー、フゥー息を荒げて早苗さんに噛みつこうとする。

「あら、そんな態度を取るなんてまだまだ色んな話を聞きたいんですね」
「ごめんなさい私が悪かったですごめんなさい」

 切り替え早!

「今日はこれにて解散としましょうか。帰らないと神奈子様や諏訪子様が心配しますので」
「そう? せっかくだから泊まっていけばいいのに」

 霊夢にしては随分気前がいい。どういう心境の変化だろうか。

「特に理由はないわよ。ただ今日は紫が飲みに行ってるから、私一人だからってだけ」
「なるほど、霊夢さんは寂しんですね!」
「なんでそうなるのよ!」
「いいですよ! 今日は泊まります! 神奈子様なんて知りません!」
「おい、今とんでもないこと言ったわよ、アンタ!」

 やっぱり巫女同士、仲がいいのね。

「アリス、私たちも」
「そうね。じゃあ霊夢、早苗さん、私たちはそろそろ帰るわ。ありがとう、今日は楽しかったわ」
「ん、じゃ~ね。あ、冷やしたスイカ、ありがたくいただくわね」
「あ! 霊夢ずるいぞ!」
「どうぞご勝手に。魔理沙も家帰ったらアイスがあるから」

 帰り支度を終え、部屋の障子を開く、こう暗雲はどこかに立ち去り、綺麗な星空が広がっている。

「帰ろっか」
「うん! けど今日は絶対にアリスの家に泊まるからな!」
「はいはい」

 今からは怖い話など忘れて、私の家まで魔理沙との星空デートの始まりだ。



終章  温もりがあれば怖くない



        1


 帰り道、魔理沙と美しい星の海を泳いで我が城、マーガトロイド邸に到着。帰ってきた頃にはもう日付けも変わっており、今は深夜の零時ごろ。これからは妖怪の時間、人はもう寝る時間だ。

 私も魔法使いとはいえ、ちゃんと寝るので、さっさと就寝準備をする。服も着替えて、今は動きやすいベビードールにチェンジ。魔理沙もいつもの白黒服を脱ぎ、可愛らしい薄桃色のパジャマに着替えている。

「いつ見ても魔理沙のパジャマ姿はカワイイわね~」
「そういうアリスはそんなスケスケなの着てエロいぜ。そもそもそれは服なのか?」
「エロいは余計よ。でもいいのよ、ベビードール。動きやすい、可愛いし、薄いから夏は涼しいし」
「ふ~ん……でも私はアリスが作ってくれたこのパジャマが一番だぜ」

 そう言いながら魔理沙はベッドの上に飛び込む。

「ほら、眠いしそろそろ寝ようぜ。……あ、その前にアリス、ベッドの下、覗いてくれないか?」

 は? ベッドの下? あぁ~早苗さんの話を怖がっていた魔理沙はベッドの下に何かいないか不安なのだろう。いる訳ないが、ちゃんとベッドの下を覗いてあげる。これで魔理沙の不安もなくなるだろう。

「大丈夫。誰もいないし、何もないわよ」
「そ、そっか…よかった~」

 魔理沙が安堵のため息を吐く。

「心配し過ぎよ。安心しなさい、早苗さんの話は作り話だから。実際にあったわけじゃないんだから」
「そ、そうだよな! あんなの作り話だよな! うん、怖くない怖くない」
「もう大丈夫ね。それじゃあ明かりを消すわよ」

 私もベッドに入り込み、部屋の明かりを消す。今この部屋を照らすのは、窓から入る月明かりだけだが、その光でも魔理沙の顔はハッキリと分かる。

 月明かりに照らされる魔理沙の顔をとても美しかった。可愛いではい、本当に、幻想的な、霧のように見えてても掴むことのできない、儚い美しさだ。

「アリス? どうしたんだ? 急にボーとして」
「ううん、ただ魔理沙がキレイだな~って思っただけよ」
「えへへ、ありがとう」
「それじゃあお休み、魔理沙」
「うん。おやすみ、アリス」

 …………
 ………
 ……

「ねぇ、魔理沙」
「ん?」
「熱いんだけど」

 そうダブルベッドだから魔理沙と二人で寝るには十分の広さがあるのに、魔理沙は私にぴったりとくっ付いてる。嬉しいんだけど、この季節は、やはり熱い。

「だって、その……いいだろ~? イジワル言うなよ~」
「別にいいけど、どうしたの?」
「だって今日の話が怖かったんだよ~。だから今日はアリスにぎゅってしがみ付いたまま寝たいんだよ」
「ほえ? あ、あぁ~その、うん、それなら、いいわよ」
「じゃあ遠慮なくアリスに抱きつくぜ」

 魔理沙はベッドの中で私の胸にしっかりしがみ付いてくる。私は魔理沙をもっと抱き寄せて頭をクシャクシャと撫でまわす。

「アリス、あったか~い。きもちいい……」
「甘えん坊ね~。でもこれで怖くないでしょ? こんなに温かいんだから」
「うん。アリスに、つつまれたら、なんか、眠く……なって……」

 とろんとした瞼がどんどん閉じていき、だんだんと規則正しい寝息が聞こえてくる。

「寝ちゃった。怖いからって、子供みたい。そんな可愛いことされたらもっと好きになっちゃうでしょ」

 普段は暑くて寝苦しい夏の夜。けど、たまにはこんな温かさもいいのかもしれない。人の温かさは一番安心できるものだから。


       2


「アリス~いるよな? どっかいかないよな?」
「ふわぁ~~…ちゃんといるわよ。だから早くすませちゃいなさい」
「分かってるよ。けど、絶対一人で先に部屋に戻るなよ!」

 今いるのは私の家のトイレの前。何故こんなところに連れてこられたかと言うと、それは数分前の話だ。

 魔理沙が夜にトイレに行きたくなり目が覚めた。そこまでは別になんの問題もないのだが、なんと魔理沙は。

「ア、アリス…トイレに行きたいんだけど…」
「ん? 場所なら知ってるでしょ? 行ってきなさいよ」
「や、ヤダぜ。だって……一人じゃ、怖いもん。だからアリス、一緒にきてくれ!」
「……はぁ!?」

 寝ぼけた頭もすっきり爽快になるくらいの驚きだった。こんなことを言われるなんて完全に予想外だった。

 しょうがないから一緒にトイレに付いていき、現在に至る。

「ア、アリス~~」
「いるわよ! だからそんな泣きそうな声出さないの!」

 はぁ~おかしいな? 魔理沙ってこんな娘だった? もっと生意気で勝気な娘だったけど、やっぱり苦手なモノや、怖いモノがあるらしい。

 それでいいと思う。その方が人間らしい。怖がったり、驚いたり、泣いたり、笑ったり、色んな魔理沙の表情が見られる。それが私にとっては幸せだ。魔理沙の新たな顔、怖がりな顔を発見させてくれた早苗さんには感謝しないといけない。

「ごめんなアリス。お待たせ」

 終わった魔理沙がトイレから出てきた。

「まったく。怖いからついてきてなんて言われると思わなかったわ」
「霊夢たちには絶対には内緒な! 恥ずかしいから」

 それは大丈夫だ。私もこんな可愛い魔理沙を誰にも言うつもりはない。これは私だけしか知しらない、私だけの魔理沙なんだから。

「魔理沙、ちょっとこっち向いて」
「ん? なんだ―――んっ…ふむ、ん」

 魔理沙の唇を奪う。なんだか唐突にキスがしたくなった。

「アリス? どうしたんだ、急に」
「眠いのに私を起こしたバツだとでも思いなさい」
「えへへ~こんなバツなら毎日、毎時間でもいいぜ! えへへ~」

 ふにゃっとした幸せ笑顔を浮かべる魔理沙。キスは毎日何回もしてるんだけど。おはようのキスから、ただしたいだけのキス。

「戻ろっか、眠いわ。やっぱりこんな時間に起きたら」
「うん。起こしてゴメンな」

 手を繋いで寝室に戻る。ただ一緒に寝るだけ、だけど今日のこの時間は大切にしたい。魔理沙が私にぴったりと抱きついて優しい温かさをくれるから。

 おやすみ魔理沙。夢では怖い夢を見ないでね。
 ここまで読んでくださった皆様ありがとうございます。

 こんにちは&こんばんは showheyです。今回は趣味全開で自分の大好きな『都市伝説×東方』という、なんとも誰得なお話です。

 しかも怖くないという最悪の状況orz みなさん怖かったですか?


 そして今回一番の謝罪は魔理沙を子供っぽく書きすぎたことです。魔理沙ってもう少し大人ですよね?
 でも子供っぽいほうが可愛いような気がしてやりましたww 魔理沙は今回泣いてばかりです、ごめんなさい。


 アリスと魔理沙二人の寝巻きって何が似合うとおもいますか?

 アリスのベビードールは完全に私の趣味です。だって可愛いしエロいk(ry
 魔理沙はパジャマのほうが似合いそう。でもネグリジェもいいかも!


補足

お酒についてですが、私は未成年ですので、お酒についての知識は0です。ネットで調べた付け焼刃なのでボロがあります。なので本編で出ているお酒の飲み方はかなり間違っていると思います。

都市伝説についても自分なりにかなり調べましたが少しへんな部分もあるかもしれません。そもそも都市伝説とは人から人に語り継がれて行く間に形を変えていくものです。
 なので地方によっては違う伝わり方をしているかもしれません。

誤字脱字など、間違えがあればお手数ですが報告をお願いします
showhey
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.920簡易評価
5.100名前が無い程度の能力削除
怖がる魔理沙が可愛すぎる!
10.100名前が無い程度の能力削除
早苗さんまじおにちく。


ウナギは回遊魚なので海のない幻想郷ではごにょごにょ
18.100土管の糸目削除
面白かったが夜に読むには怖すぎる。かわやに行きたい
24.100非現実世界に棲む者削除
少女達の夜はこうして、更けていくのであった。