Coolier - 新生・東方創想話

「死のワナの地獄の館をさまよえる真夜中のチルノ」

2005/03/22 08:42:45
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さあ、ページをめくりたまえ























〈これまでのあらすじ〉
 真夏のさかり、紅魔館は暑かった。
 主人、「何とかして頂戴」
 従者、「何とか致します」
 そこで冷気供給用に氷精チルノが拉致された。
「何すんのよ!?」
 館の奥にチルノは監禁された。
「脱出してやるわ!」
 できるのだろうか?


◆1 脱出への道

 チルノが閉じ込められているのは、館の中心部にある大広間だった。
 そこに吊り下げられたカゴの中に、カナリアよろしく放り込まれているのだ。
「ちょっとーー! 出しなさいよーーっ!!」
 ガシガシと格子を揺らすと、見張りの平メイドが懐からナイフをひらめかせ、
「煩い小娘ね。あ? なに? チルノだかチビルノだか知らないけどね、なんなら鼻の穴もう一個増やす? あ?」
 刃の背でぴたぴたと氷精のほっぺを撫でた。
「……ゴメンナサイ」
 喧嘩っ早そうなメイドの恫喝に、すごすご引き下がるチルノ。
 どうやら、ちょいと頭を使わなきゃいけないかもだ。

□頭を使う →◆1A
□頭を使わない →◆1B


◆1A

 ガンガンガンガン!!
 とりあえず格子に頭突きしてみた。
「煩いっつってんだろこのガキ氷がぁ!!」
 プスッ
「アッ」
 平メイドの投げたナイフがチルノの眉間に命中した。
 チルノの冒険は終わった。


◆1B

「とりあえず寝ようっと」
 ZZZZ……

「……あーよく寝た。ン?」
 目を覚ますと、見張りが席を外していた。
 カンバンには「*トイレきゅうけいちゅう!*」と書かれている。
 ラッキー! この隙に脱出しよう。
 ◆2へ進め。


◆2 脱出決行

 もっとも、見張りがいないからといって、そのまま出られるわけではない。
 カギがあれば、カゴの南京錠を外せるが……
「んっ?」
 見れば、見張り用の椅子に、カギが乗っている。
 ううーんと手を伸ばしても届かない。
 何とかならないだろうか?

□狙いをつけて氷のつぶてを撃つ →◆2A
□適当に氷のつぶてを撃つ →◆2B


◆2A

「そりゃあ!」
 チルノはめいっぱい気合をこめて、氷の弾を放った。
 威力抜群の弾丸は、狙いあやまたず、椅子ごとカギを粉砕した。
「……アッ」
 戻ってきたメイドが怒り、チルノの顔面にナイフを叩き込んだのはいうまでもない。
 冒険は終わった。


◆2B

「とりゃあ!」
 あさっての方角に飛んでいった氷弾は、あっちこっちに跳ね返り、たまたま椅子に命中、カギを跳ね飛ばした。
 うまいぐあいに、カギはカゴの中に飛び込んできた。
 おかげでチルノは首尾よく脱出できた。
「日ごろの行いってやつね!」
 それは違うけどね。
 ◆3へ進め。


◆3 廊下の攻防

 広間を出ると、長い廊下が続いている。
 たくさんの平メイドどもがひゅんひゅん忙しげに飛び回っており、うかつに出て行くと危険そうだ。
 どうしたものかと迷っていると、一人のメイドがうとうとと居眠り飛行をしながらやってきた。
 それを見たチルノは、

□「あのメイド服を奪ってやろう」 →◆3A
□「あたしも眠くなってきたなぁ」 →◆3B


◆3A

 チルノが「キエーーッ!」とカラテふうの奇声をあげながら襲いかかると、メイドはびっくりして目を覚まし、仲間を呼んだ。
 たちまちメイドB,メイドC、メイドD……メイドXXくらいまでが集まってきて、チルノをナマス斬りにしてしまった。
 冒険は終わった。


◆3B

 チルノがうとうとしていると、メイドは壁にぶつかり、失神してしまった。
「こりゃいいや」
 さっそく身ぐるみをはぎ、メイド服を装備した。
 半裸のメイドを氷漬けにして隠し、廊下を突破する。
 ◆4へ進め。


◆4 魔女の書斎

 気がつくと、だだっぴろい部屋に出た。
 あちこちに棚があり、革や紙でできたものが並んでいる。
 どうやら「本」とかいうものらしい。
 ためしにめくってみたが、へんてこな記号のようなものが並んでいるだけで、てんでわからない。
 とはいえ、貴重なものではあるようだ。

□一冊くらいくすねていく →◆4A
□一冊くらいくすねていかない →◆4B


◆4A

「何だか知らないけど、一冊くらいならいいか!」
 と持って行こうとすると、
『モッテカナイデー』
 そんな呪詛の声とともに、本から炎が噴き出した。
 盗難防止用の処置らしい。ご苦労なことだ。
 ちなみにチルノはもう溶けていて、冒険はすでに終わっている。


◆4B

「一冊といわず、いっぱい持っていこうっと」
 そこらの本を思い切り積み重ねた。
 いざ運ぼうとしたところ、ついあやまってドサドサと倒してしまった。
「ギャース!!」
 悲鳴がしたので見てみると、本の山で黒い服の少女がノックアウトされていた。
 どうやら同業者だったらしい。
 駆けつけた書斎の主やその従者に感謝され、チルノはお小遣いまで貰って書斎を後にする。
「情けは人のためならず、ってやつね!」
 いや全然違うけどね。
 ◆5へ進め。


◆5 地下室へのいざない

 書斎を抜けて進んでいると、地下室への階段を見つけた。
 カンバンには
「*あなたのレベルでは はいれませんよ*」
 と書かれている。

□素直に入らない →◆5A
□好奇心に駆られて入っちゃう →◆5B


◆5A

 世の中には二種類の妖精がいる。
 生きている妖精と死んだ妖精だ。
 ところでチルノが地下室をスルーして先に進もうとすると、
「アッ」
 流れナイフがぷすりと背中に刺さった。
 特に理由もなく、チルノは散り、故チルノとなった。
 人生はおおむねそんなものかもね。
 冒険は終わった。


◆5B

 好奇心に勝てず、チルノは地下室へ入っていった。
 そこには閉じ込められた少女がいた。
「あんたはどうして閉じ込められてるの?」
「さぁ? 世の中、理由があることばかりじゃないしね……」
 同じような境遇に同情したチルノは、扉を開けて彼女を解放してあげた。
 少女は大いによろこび、遊びに出かけた。
「いいことをしたなぁ」
 背後で起きる爆発音や悲鳴には気もとめず、チルノは鼻歌交じりに出口を探した。
 ◆6へ進め。


◆6 時計台の影

 どこをどう迷ったのか、時計台に出てしまった。
 見ると、長針に人が縛りつけられている。
「あぁ……っ、お嬢様……こんな仕打ち……
 でも私を時計に拘束するだなんて、流石お嬢様、
 粋でいらっしゃいますわ……嗚呼……」
 メイド姿の女はうっとりとつぶやいていたが、チルノを見ると
「何見てるのよ!」
 逆ギレして、襲いかかってきた!

□一目散に逃げ出す →◆6A
□むしろ逆に迎え撃つ →◆6B


◆6A

 慌てて逃げ出そうとしたので、時計台から落ちてしまった。
 飛べばいいのだが、焦りのあまりいっぱいいっぱいで、飛び方も忘れてしまったのだ。
 とどのつまり、チルノの死因は時計台からの墜落死ということとはなった。
 冒険は終わった。


◆6B

「……あっ! しまった……縛られてた……」
 威勢は良かったが、このメイドはどこか抜けているのかもしれない。
「……プッ」
 思わず吹き出すと、真っ赤になって怒っているが、どうしようもない。
 時計台を立ち去った。
 ◆7へ進め。


◆7 門番エレジー

 ついに館の門まで達した。
 さすがに入り口だけあって警備が厳重だ。
 とはいえ、外からの者には厳しくても、中からの者には緩いのがこういうところのお決まり。
 特になにごともなく、門を抜けられた。
 ◆8へ進め。


◆8 さいごの戦い

「やった! ついに自由の身~~!!」
 門を抜け湖上に出ると、チルノは喜びのあまりメイド服も脱ぎ捨て、氷精につたわるアイスダンスを踊った。
「――そりゃ、虫がいいってものね」
「!?」
 悪い予感に振り向くと、そこにはかの屋敷の主、紅い悪魔が立っていた。
「ちょっと散歩に行ってきたんだけど……ホント、うちのネズミ捕りたちは無能だわ」
「~~~~っ」
「さ、戻って頂戴。あなたがいないと、暑くって仕方がないのよ」
「…………っ」
 チルノは、

□素直に従う →◆8A
□徹底抗戦する →◆8B


◆8A

「……わかった」
 なにせ相手はスカーレットデビル。
 まともに刃向かって勝てるわけもない。
「お利口ね。……なぁに、いつまでもってわけじゃない。
 夏が終わったら、帰してあげるわよ」
「うぅぅ……」



 ――時は流れた
 夏は過ぎ、秋もたけなわ
 しかし、今なお……
「……ちょっとおっ! いいかげん出してよおっ」
「煩いわね。削るわよ? むしろ掻くわよ?」
「……スミマセン」
 チルノは紅魔館に居た――
 冷凍庫がわりとなって
 いつまでも屋敷に監禁され続けるのだ
「いやぁ、チルノは役に立つわ」
「そうね、チルノは最高ね」
「チルノは可愛いわ」
「……うぅぅぅぅ……」

(ENDING A)


◆8B

「……やなこったっ」
 チルノ、あかんべーで返答。
「何ですって?」
「悪魔だろーが妖怪だろーがっ!
 あたしは誰にだって頭なんか下げるもんかっ!」
「……別に、あなたの忠誠なんか望んじゃいないわ。
 欲しいのは……その、能力だけなのだから」
 ざわり、と紅魔の周囲に凶悪な気が溜まってゆく――
「…………!」

 ピカーー

「っ! 日の出……!!」
「隙ありっ!!」
 チルノは、全力で――
 逃げ出した。
「あたしが欲しかったら!」
 振り返りながら、叫ぶチルノ。
「たくさんのワイロで気を引くことねっ! じゃーーねっ」
 暁の空を駆け巡り、軽やかに翔んでゆく氷の精。
「……フン。大口を叩く」
 鼻で笑い、レミリア・スカーレットは屋敷へ向かった。



(……あの氷精)
 たるみきった門番を湖に投げ込み、吊るされたメイドを短針に結びなおし、暴れる妹を裸締めで落とした後、知識人とモーニングティーを飲みながら、紅い悪魔はぼんやりと思った。
「氷精が好きなものって、何かしら?」
「そりゃ、決まってるわ」
 知識人は、本から目を離さず、答えた。
「あの連中が、好きなのは――」


 奔放に舞い、気ままに跳ねて。
(ここはあたしの湖! この空はあたしのもの!)
 いつだってどこへだって、飛んでいけるのだから。


「――『自由』よ」


(ENDING B)
まァさいきンご無沙汰なンで、リハビリ的にひとつ…
STR
http://f27.aaacafe.ne.jp/~letcir/
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コメント



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4.50上泉 涼削除
 最萌の時にはニヤニヤしながらリアルタイムで読んでました。GJです。やっぱりチルノはこうでなきゃ。
16.70七死削除
チルノめ、ハハハ!
17.90名前が無い ただの門番のようだ削除
ほとんど裏目に出てるところがチルノたる所以
笑わせていただきました。
個人的には時計メイドの咽び声は「んふおおおお」のままがよかったです。

21.80名前が無い程度の能力削除
最初の一文が懐かしさと期待感を煽り、
中身も期待を裏切らぬ素晴らしいチルノでした。
短針に結びなおしたのは、長針のままだと1時間に1回ほど危機が訪れるからでしょうか。
56.90名前が無い程度の能力削除
アレ?
自分で選んだらほとんど全部死んだぞ?

俺、ある意味チルノ以下…?