Coolier - 新生・東方創想話

七人の紅い咎人 -greed-

2010/06/23 23:24:12
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※このSSは連作の最後に位置しています。先に同作品集内「七人の紅い咎人 -lust-,-wrath-,-sloth-,-pride-,-envy-,-gluttony-」(順不同)を読んで頂く事をお薦めします。





    ◇    ◇    ◇




 初めまして、私は紅魔館です。
 え?建物が喋るなんておかしい?

 それは貴方の偏見ですよ。生き物でないからって、意思を持つものが喋ってはいけないというルールなんてありません。

 そう、私は意思を持っています。
 貴方がた人間が持っている意思を、どうして物質が持っていないと言えますか?

 ええ、もちろん声に出してお喋りなどは出来ませんよ。そうしたら世界は喋り声で一杯になってしまう。
 だからこうして、特別な形で貴方にお話させてもらっているのです。




    ◇    ◇    ◇




 ええ、私は紅魔館です。

 だから紅魔館の中で起きた事しか分かりませんよ。そして、紅魔館の中で起きた事ならば全て分かります。
 貴方にも、私の中で起きた事を教えてあげましょうか?

 記憶力は良い方ですから、私が建てられた時の事から、全身を真っ赤に塗られた日の話、そしてここに引越してきた時の事まで何でも覚えています。

 そうですねえ、ではまず。この幻想郷に引越してきてから、しばらく経った後の事をあるお話をしましょう。
 これは、一人の人間が紅魔館を尋ねて来た時のお話です。




    ◇    ◇    ◇




 1.就職戦線異常あり


 紅魔館のメイド妖精たちは、レミリアの期待に応える事が出来ていなかった。
 ましてや、昔レミリアが従えていた有能なメイドたちと比べると、あまりにも拙すぎたのだ。

「うーん、駄目ね。もっと、この私に相応しい従者が欲しいわ」

 幻想郷に引っ越してきた紅魔館。そこには人も妖怪も、あまり近寄らなかった。
 やって来て早々に“戦争”という大きなトラブルを起こした事もあるし、まず雰囲気からして近寄りがた過ぎる。
 しかし人が寄り付かないからといって、レミリアがこの広い屋敷を一人で切り盛りする訳にもいかない。そこで、ふらふらと館に近づいてきた妖精を捕まえては強制的にメイドにしているのである。

「こうなったら求人を出すしか無いわね」

 こうしてレミリアはメイドを募集する事にした。
 住み込みで有給休暇有り、お給金も沢山出して福利厚生もばっちりだ。我ながら素晴らしい働き場であると、レミリアは手作りのチラシを見ながら唸った。

 そのチラシを人里や、そこら辺の妖怪などに配って、レミリアは紅魔館の門を叩くメイド志望の人材を待ってみた。

 しかし

「来ないじゃないの」

 レミリアは今日も自分で料理を作りながら、独りごちた。
 チラシを配ってから1ヶ月。誰一人として紅魔館で働こうという人材は現れなかった。

 レミリアは頭を抱える。地下に引きこもる友人を養っていくには、もう自分ひとりで生活していくのは限界だ。



    ◇    ◇    ◇



 ある一人の女が、幻想郷の夜空の下を孤独に歩いていた。
 人間が夜に出回るなどは、妖怪に食べてくれといっているようなものであるので、大半の人間はそのような自殺行為をするはずがない。
 だがその女は虚ろな瞳で、どこか遠くを見ながら無防備に森の中を彷徨っていた。

 周りの妖怪なども、当然この女を狙って森の深みの中からこれを観察している。
 だが、妖怪たちは野性的な勘で気付いた。自分たちにこの人間は狩れぬと。――むしろ、狩られるのは自分たちであると。

 女はボロのような汚れきったマントを羽織り、蝋のように白く細い腕をマントの隙間から少しだけ見せている。
 彼女は本当に生きた人間なのか? 妖怪たちはそう疑問に思いながら、彼女を見過ごしていく。

「あれは……?」

 女は行く手に落ちている一枚の紙切れに気付いた。
 それを細い指で拾い上げると、紙についた砂や泥を払いのけながらその文面に目を通した。

「へぇ、この世界でも求人広告なんてあるのね」

 女はクスリと笑うと、そのチラシを持った手をマントの中に戻した。



    ◇    ◇    ◇



 レミリアは柄にもなく緊張していた。
 ようやく来たメイド候補生だ。良い人材であれば、なんとしてでもウチに来てもらわなければならないと覚悟を決めた。

 面接は紅魔館の応接室にて行われる。レミリアはその候補生が書いてきた履歴書に目を通す。
 対する相手はレミリアの向かいのソファに腰を掛けて、背筋を綺麗に伸ばし、まっすぐにレミリアを見ていた。
 その女の格好は薄汚いものの、磨けば光る容姿であるとレミリアは見抜いく。彼女のメイドに美しくない者は論外である。

「ふむ、十六夜さんね。貴方、名前は十六夜だけなのかしら?」
「はい、他に偽名はありませんわ」
「ふむふむ、特技は化物退治にタネなし手品とありますが……?」
「はい、私の家系は昔から吸血鬼退治を生業としておりましたので、私も人外を狩る事には経験と実績があります」
「うーむ、私が吸血鬼って知ってるよね? 紅魔館で働くにあたって、その特技がどういう風に役立つのかな」
「はい、吸血鬼退治のノウハウを活かし、吸血鬼に襲いかかる外敵の手法を予測した護衛が可能ですので、より安全にお過ごし頂けると思います」
「それで、何でウチで働こうと思ったの?」
「はい、私は昔は外の世界で生きていたのですが、馴染むことが出来ずに幻想郷にきました。しかし、ここでも人里には溶け込めずにさ迷っていたので、そんな私には丁度良い職場なのではないかと思ったからです」
「ふーん、採用」

 レミリアは、十六夜を採用した。

 レミリアはとにかく、自分で作った料理をだだっ広い大広間で一人で食べるのは、もう嫌だったのだ。
 人格には大いに問題がありそうだが、愚図ではなさそうなので、この人間をとりあえず採用とした。

「ありがとうございます。よろしくお願いします。ご主人様」
「ふむ、『お嬢様』と呼んでくれ。昔、メイドたちにはそう呼ばれてたんだ」

 まず、この新米メイドに着替えてもらう事にした。
 紅魔館に住む気高い吸血鬼、レミリア・スカーレットの従者にしては、今の十六夜の格好はあまりにも汚い。



    ◇    ◇    ◇



 十六夜に与えられた部屋は、元は二人部屋だったのだろう。ベッドと机が2つずつある、こぢんまりとした部屋だった。
 レミリアに命じられたままに、十六夜はとりあえず薄汚れた服を脱ぎ捨て、部屋についているシャワーを浴びた。
 流石にシャワールームの壁は、赤ではなく白いタイルだったので彼女は少し安心した。

「さぁ、これを着なさい。紅魔館特製の由緒正しき制服よ」

 レミリアはクローゼットから一着のメイド服を取り出してきた。
 十六夜は自分の胸の下あたりまでしか背丈の無い主から、少し身をかがめてそれを受け取った。

 清潔感のある白を基調としたメイド服は、なんともクラシックで典型的なデザインだった。
 それに袖を通した十六夜は、それのサイズが自分にぴったりだった事に驚いた。

「新しいメイドがくるごとに、その子に見合ったメイド服を渡してあげるのか慣例だったのよ。昔はね」
「なるほど、それで他人の服のサイズを見抜くのは慣れていると。見事に一発で私に合ったものを見繕って下さったのですね」

 十六夜はメイド服を着た瞬間に、今までの漂泊の旅人といった雰囲気から一気にメイドらしい空気を纏い始めた。
 それを見てレミリアは「器用な奴だな」と口中で呟く。

 十六夜自身にしても――彼女は人間であるから見た目からも十代半ばのはずであるが――この古めかしいメイド服のデザインをむしろ懐かしむように楽しんでいた。

「それじゃあ、まずは一から仕事を教えてあげるわ。ついてきなさい」
「はい、お嬢様」

 十六夜はすっかり様になってレミリアについていく。



    ◇    ◇    ◇



 キッチンに連れてこられた十六夜は、まず紅魔館での料理についてレミリアから教えられた。
 この紅魔館で食事を出さなければならないのは、レミリアとその妹。――時たま、気分転換に居候の友人も食事をするという。

「はぁ、その妹様はどこにいらっしゃるのですか?」
「あいつは地下に閉じ込めてあるから、十六夜は時間になったら食事を持っていったら良い……って」

 レミリアはそこで重大なミスに気付いた。
 この十六夜がどれほど強いのか知らないが、妹と会話が出来る程の強さが果たしてあるだろうか?
 ただの人間では、扉を開けた瞬間にバラバラに引き裂かれてしまうのがオチだ。

「なぁ、十六夜や。ちょっとお前の実力を見せてくれないかね」
「はあ。それでは何をお見せしましょうか? 手品でしたらトランプを一束貸して頂ければ、得意なものを披露させて頂けるのですが」
「十六夜。お前、ちょっと私の命を奪ってみろ」
「はあ。それではナイフを一本貸して頂けますか? 出来るなら銀のナイフを一本貸して頂ければ、お嬢様を殺させて頂けるのですが」

 レミリアはフッと笑うと、キッチンの引き戸から銀のナイフを取り出した。
 吸血鬼である自分たちは使わないが、客人が来た時のために置いてある切れ味鋭いナイフである。――ここ数百年は使われていないが。

「どうぞ、これをお使いください」

 レミリアは冗談めかして仰々しく、その銀のナイフを十六夜に手渡した。

「はい、ではやりましょう」

 吸血鬼は、この人間が一体どのような手で自分を殺そうとするのか興味深く思っていた。
 そして、その動きの一挙手一投足を見逃さず、しかと見届けようという心持ちで構える。
 と、思っていたレミリアの視界から、人間の姿が消えた。

「あっ?」

 レミリアが人間の姿を見失ったと思うのと同時、ナイフはレミリアの首を深く切り裂いていた。――いや、正確に言えば“既に”切り裂かれていた。

 キッチンに真っ赤な血が飛び散る。十六夜はレミリアの後ろで、懐から取り出したハンケチでナイフの血を拭き取っていた。
 レミリアは振り返ると、その首から吹き出る血を掌で抑えながら、その牙を唇から零して笑った。

「ふふ、なるほど。そういう事かい」
「ええ、恐らくは。そういう事ですわ」

 拭き取ったナイフの刃に鼻腔を近づけて、くんくんと臭いを嗅ぐ十六夜の冷たい目に、レミリアは満足げに視線を合わせる。

「どうだい? 吸血鬼の血の匂いは?」
「思いのほか、鉄臭いですわ」

 言いながら咲夜は、銀のナイフをレミリアに返すこと無く己の懐にしまった。

「おいおい、こっそりと盗むんじゃないよ」
「だって、どうせ使わないのでしょう? ついでに、他のナイフも頂きたいですわ」

 言った十六夜の懐には、いつの間にか大量のナイフが隠し持たれていた。それを見てレミリアは再び「おいおい」と漏らした。
 しかし、確かにずっと使われなかったナイフも、このまま戸棚の中に眠るよりは使ってもらった方が嬉しいだろう。――使われ方は、本来と随分と違うが。

「ところで、私たちはなんでキッチンにいるんだ?」
「お料理について、仕事の内容を教えて頂いていたのですわ」
「ああ、そうだった。十六夜、お前は料理が出来るのか?」
「さぁ? したことはありませんわ。だけど、きっと出来ると思います」

「そう、お前は器用だものね」

 レミリアはそういって、とりあえずは血に濡れたお気にのお洋服を、急いで洗濯させようと考えるのであった。



    ◇    ◇    ◇



 窓の外を見てみた。夜空の中を銀色の光が飛び回っている。

『とりあえず、飛べるようになっておいて』

 レミリアがそう命じてから数時間。十六夜はもう夜空を自由に飛び回っている。

「本当に器用な奴だな」

 自分の部屋から、その様子をガラス越しに見ていたレミリアは、しばらく時間が経つのを忘れた。

 濃紺の星空の元で、長い銀の髪を靡かせながら舞う姿は、吸血鬼さえ魅了するほど美しい。

――まるで、夜空に咲く一輪の花ね

 心の中で呟いたレミリアは、その言葉の陳腐さに一人で赤面した。もし、こんな事を呟いた事が誰かにバレたら、自分は吸血鬼としての体面がなくなってしまう。
 レミリアは慌てて窓際から離れる。
 そして、明日から家事に追われなくて済む事に気づいて、本当に気が楽になった。

 なにせ十六夜は実に飲み込みが早く、今日一日で紅魔館でやるべき仕事のほとんどを覚えてしまったのだ。
 しかもメイド妖精たちに担当を割り振って、さっそく部下のように使い始めたのだから驚いた。

「本当に良い拾い物だわ」

 レミリアは久しく、その完璧なる従者を持つ恍惚を忘れていた。ほんの昔には自分が持っていたあの矜持を。

 いや、十六夜は今までに自分が得た、どの従者よりも出来が良い。それは出来過ぎているといっても良かった。
 それが、レミリアの唯一気に入らないところでもあった。
 その完璧さは、何処か人間離れしている。

「あいつ、本当に人間なのか?」

 いや、外見を見る限りアレは人間である。しかし、レミリアには十六夜に対して感じる違和感がどうしても拭えなかった。

 そこでレミリアは最後にもう一度、窓の外へと目をやった。そこでは、まだ夜空を銀の花が舞っている。
 その様子をじっと見つめたレミリアは、ようやくその違和感の正体に気付く事が出来た。

「ああ、あいつ。――時が止まっているのか」

 レミリアは疑問が解決して、一安心する。昼間に活動し過ぎて眠たいので、今日はもう寝る事にした。

    ◇    ◇    ◇

「十六夜。お前、名前が呼びにくいんだよ」

 ある日、レミリアは廊下の掃除をしているメイドに向け、いきなり文句を言った。

「はぁ、それはどうもすみません」
「だから、下の名前もつけといて」

 レミリアは“いざよい”と発音するのが、苦手だった。メイドの資質には、呼びやすい名前である事も含まれているというのがレミリアの持論だ。十六夜にはその資質がない。

「しかし急に名前と言われましてもねぇ。お嬢様、適当で良いので私に名前をつけてください」
「え? あ、そう? ふーん、急に言われても困るけどー、じゃあ『さくや』っていうのはどう?」

 如何にして自分が名付けれる話の流れにしようか、と考えていたレミリアは、あちらから自分に名づけて欲しいと言ってくるとは思ってもみなかったので、かえって動揺してしまった。しかし、ちゃんと考えていた通りの名前を提案できた。レミリアは内心、親指を立てる。

 一方で十六夜は、その名前について第一印象、響きは悪くないと感じていた。
 だが、彼女は響きと意味合いの両方を重んじていた。他人任せの名づけであるが、そこに妥協はしたくなかった。

「ほー、それはどういう理由ですか?」
「ええ!? 理由……? り、りゆうなんてないんだけど」
「幾ら私でも理由の無い名前は嫌ですよ。十六夜というのも、きっと私が、何か強い思い入れがあってつけた名前に違いないですから」
「違いないって、それ自分でつけた名前だって言ってたじゃない……。まぁ、どうでも良いわ! 理由なんて簡単よ! あんたは昨日からウチに来たんだから、“昨夜”って意味よ! これで良いでしょ?」
「いやいや、そんな投げやりな理由。ますます嫌ですわ」
「うるさいね。ちゃんと漢字は名前っぽくしてやるわよ」

 そういうとレミリアは何故か懐からメモ用紙を取り出して、御丁寧に持ち歩いていた万年筆を走らせる。
 そして書いたメモ用紙をメイドに向かって見せつけて、宣言する。

「あんたは今日から、十六夜咲夜。紅魔館のメイド長、十六夜咲夜よ」
「まあ、いいですけど。ところで、働き始めて2日目でメイド長とはどういう事ですか?」
「仕方ないじゃない、だって新人のあんたが一番使えるんだもの。まったく、妖精たちときたら……」

 レミリアはぶつぶつと愚痴を言いながら廊下を去っていった。

 後に残された十六夜咲夜は、無言で箒を動かして廊下に溜まった塵を取る。

「十六夜、咲夜」

 彼女は一回だけ自分の名前を呟くと、僅かに口元を緩ませた。



    ◇    ◇    ◇



 咲夜が紅魔館で働き始めてから、1ヶ月ほどが経った。彼女は24時間、休むことなく働き続けた。
 しかし心配に及ばず。そんな彼女は自分だけの時間を“作って”休憩をたっぷりとっている。

 自室で机に座って、ただゆっくりと時が過ぎるのを待つのを咲夜は好んだ。それには自分で“作った”休憩時間では得られない安らぎがあるのだ。
 そんな一時を邪魔するように、部屋をノックする音がした。

「咲夜? いるかしら? 失礼するわ」
「ええ、どうぞ」

 レミリアが咲夜の部屋に来るのは珍しい事ではない。何かしら用事がある時に、咲夜が休憩中であれば、主は良く呼び出しにくる。
 しかし、今回はレミリアに特に用事はないらしく、咲夜の部屋に入ってくると何かを言う事もなく、ただ部屋の中をうろついていた。
 それを咲夜は椅子に座りながら、じっと見つめる。

 レミリアは咲夜に目線を合わせずに、咲夜の部屋をきょろきょろと見渡していた。

「お嬢様、あまり人の部屋を舐め回すように見るものじゃありませんよ」

 咲夜の言葉を無視して、レミリアはその視線をテーブルの上に向ける。
 そこには、レミリアの見慣れぬ二つの小物が置いてあった。
 それは、への字に曲がった金の懐中時計と小汚い小さな鈴。

「あら、何かしらそれは? ……随分と変なものを集めているのねぇ、咲夜」
「それは私が持っていた唯一の“形見”ですから」

 レミリアはそれらの妙な道具を手にとって見る。別に魔力が込められていたりするわけではなく、ただの壊れた懐中時計だ。ただ鈴の方からは微かに異物の匂いがする。

「“形見”って誰の?」
「昔の私の、ですかね?」

 ふーん、と興味なさそうに答えたレミリアは、壊れた懐中時計から視線を外さずにそれを凝視していた。

「咲夜、貴方は時が止まっているわね」
「私が時を止めますが、私自身は止まっていませんわ」
「そう、気付いていないのね。どう? 私が貴方の時を、動かしてあげるわ」

 そういうとレミリアは手の中の懐中時計の、今は刻まれた数字を読むことすら出来ない文字盤を、咲夜の鼻先に突きつけた。

「お嬢様、機械にお強いんですの?」
「まさか、私が直すわけじゃないわ。森の近くの道具屋にでも持ち込んで直してもらうのよ」

 レミリアはあっけなく言うと「じゃあ、借りてくわよ」といって懐中時計を持って部屋を出て行った。
 咲夜は残された鈴を指で弾いてから、大きく伸びをして立ち上がった。

 さて、今からパチュリー様のお茶の準備とお洗濯の仕事だ。



    ◇    ◇    ◇



 彼女には従者が必要であった。
 どんな苦境でも彼女を支えてくれる従順で完璧なる従者が。

 彼女の犯した過ちは大きかった。自らに付き従うものを、自らの手で生み出した力によって失ったのだ。それは彼女が永い年月で築きあげてきた、その全てを失う事に等しかった。

 この100年間の彼女には、守るべき愛しい者と、そして心の通じる友しかいなかった。しかし、それは充分ではないのだ。
 孤独な王には従者が必要である。いくら数を揃えたところで満たされる事のない、大きく深く広がった、王の弱い部分を優しく包んでくれる従者が必要だった。

 彼女は従者を思い通りにしたいのではない。彼女は、従者が自分自身でも気付いていない自らの望みを、叶えようとしているのである。
 それは、自分と出会ってくれた事へのお礼のつもりなのかもしれない。



    ◇    ◇    ◇



「それじゃあ、これを修理してもらおうかしら」

 道具屋にやってきたレミリアは、くの字に折れ曲がった懐中時計を店主の前へと置いた。
 この道具屋は拾ってきた道具を売りつける古道具商であったが、また壊れた道具を修理する事も請け負っていた。

 店主はその原型を留めていない懐中時計を前にして、目をぱちくりさせて目の前の幼き吸血鬼に聞き返した。

「これを直すのかい?」
「ええ、金ならあるわ。出来るだけ早く直してちょうだい」

 店主は小さく溜息をつくと、その懐中時計を手にとってみた。そして眼鏡越しに、その時計を見つめて、しかしすぐに吸血鬼の前へと戻した。

「無理だよ。これは直せない」
「え?」

 レミリアは口を半開きにしたまま固まった。それを見て店主は丁寧に説明を始めた。

「いいかい? これは人間で言えば鬼に金棒で殴られたようなものさ。全身の骨が砕けて、内蔵も全てぐちゃぐちゃ。良く見れば人間だって分かるけど、到底人間の形は残していない。そんな人間はどんな薬があっても治せないだろう? それと同じ状態が、この時計なのさ」

 店主の言葉を耳に入れながら、レミリアは呆然とその時計を見つめていた。
 やがて我に返ると、店主に向かって牙を剥いた。

「そんな事言ったって、もう咲夜には直してきてあげるって言っちゃったのよ! 今更、直せなかったなんて言えないわ」
「それは僕に言われても困るさ。なんだったら、新しい時計を買ってあげたらどうだい? ここにも幾つか懐中時計が置いてあるけど……」

 さり気なく商売に繋げようとした店主であったが、それはレミリアの鋭い声が否定した。

「駄目よ! この時計じゃなきゃ、駄目なのよ……。この時計が動き出さなきゃ、咲夜の時も動き出さないのよ」

 店主は困って頭を掻いた。どうにかして、この我侭なお客様を満足させなければ、何時までも自分の店に居座られてしまいそうだ。

「うん。それじゃあ、こうしよう」

 店主が渋々と出した提案に、レミリアは怪訝な顔で聞き入った。
 そして、聞き終わった頃には彼女は明るい笑顔になっていた。

「それじゃあ。それでお願いするわ!」
「ん? ああ、じゃあ報酬はコレでお願いするよ」

 店主は内心でニヤリと笑って、金の懐中時計を受け取った。



    ◇    ◇    ◇



 十六夜咲夜は今日も紅魔館の中を忙しなく動き回っている。料理、掃除、洗濯、お嬢様の我侭。それらを彼女は全て完璧にこなしてみせた。

 彼女は自分でも分からないが、何故か時間について異常に正確であった。自分の体内時計だけで、一日のスケジュールを狂いなく進められた。
 しかし、彼女は一日の仕事をこなす為に、頻繁に時間を止める。そうすると、自分の体内時計と世界の時間にズレが生じてしまう。
 彼女は、こんな時に時計があったらな。と思う。――そして思い出した。自分がお嬢様に預けた懐中時計の事を。

「お嬢様。そういえば1ヶ月ほど前にお預けした金の懐中時計、修理は終わりましたか?」

 咲夜は紅茶を愉しんでいたレミリアに尋ねる。レミリアはカップの端を牙にぶつけてカチリと鳴らすと、咲夜に目線を合わせずに答えた。

「ああ、あれ? あれなら、明日には咲夜に返せると思うわ……」
「そうですか。最近になって時計が要り用になったので楽しみですわ」

 珍しく笑顔になった咲夜の顔を見ながら、レミリアは内心焦っていた。
――あの時は店主の口車に乗せられて、ああいう事になったが、実際に咲夜に言うとなると勇気がいる。

「じゃあ、早速取ってくる」
「あ、道具屋の場所を教えてくだされば、私が行きますわ?」
「いいんだよ、ちょっと一人で散歩がてら行ってくるさ」

 レミリアはその日、日が沈むと同時に慌てるようにして紅魔館を出て行った。



    ◇    ◇    ◇



 その次の日、レミリアが咲夜の部屋を尋ねた。咲夜は仮眠中だったが、敏感にそのノック音に反応して、素早く身なりを整えた。

「咲夜、いる? お邪魔するわ…」
「ええ、どうぞ」

 入ってきたレミリアは、両手を後ろに回していた。咲夜はメイド服に身を包んで部屋の中央で待っている。

「咲夜、実は……」
「はい」

 レミリアが歯切れ悪く喋るところを、咲夜は初めて見る。それで、なんとなくではあるが、咲夜には察しがついた。

「ごめん。実はあの時計、道具屋でも直せなかったみたい。だから、代わりに里でこれを買ってきたわ」

 レミリアは両手を前に差し出した。そこには、ちょうど咲夜が持っていた懐中時計と似たような、銀の懐中時計があった。
 その時計は、文字盤の意匠も以前の懐中時計によく似ている。まるで双子の兄弟のようだ。
 時計の針はもちろん、カチコチと正確に時を刻んでいる。

「あら、まあ。お嬢様……ありがとうございます。とても嬉しいですわ」

 咲夜はその銀の懐中時計を受け取った。それは、まるで使い古した愛用品のように咲夜の手に馴染んだ。

「それで、私の壊れた時計はどうしたのです?」

 咲夜に聞かれて、レミリアは言い淀んだ。
 しかし、言い淀んだ事を悟られたくないレミリアは、すぐに意を決したかのように切り出した。

「実は……。あの時計……無くしちゃった」

 それを聞いた咲夜は、あまり驚かなかった。確かに、あの時計は自分が記憶を無くす前から持っていた、大切な品物の一つではある。しかし、それが無くなったという事に対して、咲夜は悲しみも怒りもしなかった。
 むしろ今は、レミリアから渡されたこの銀時計の方が、咲夜の心の中に安らぎをもたらしてくれるのであった。

「無くしたのですか。それは残念ですが、しかし今の私にとっては、お嬢様から頂いたこの時計の方が大事ですわ」
「……! そう、それは良かった」

 レミリアは言い出そうか悩んだ。しかし、言える訳がなかった。
 あの金の時計を一度、全て溶かした上で部品から造り直したのが、咲夜の手の中にある銀の時計であるとは。
 溶かした中から抽出したヒヒイロカネを店主が報酬として受け取って、代わりにただの貴金属である銀を使って造り直したとは、口が裂けても言えなかった。

 だが、もし。それをレミリアが咲夜に告白したとしても、今の咲夜は気にしないだろう。
 何よりも、その銀時計こそが彼女の中で一番の宝物となったのだから。

「これで、もっとお嬢様の為に仕事が出来るようになりますわ」

 咲夜は嬉しそうに、その銀色の懐中時計を懐へとしまい込んだ。



    ◇    ◇    ◇



 彼女には主が必要であった。
 いかなる時でも揺るがない、絶対的で本物の気高さが。

 彼女が100年前に失ったものは、あまりにも大きすぎた。人間に対する信頼を失った彼女は、やがて暗い洞の中で自ら人間である事を辞めた。それまでの全てを捨てて、彼女は心を失ったのだ。

 この100年の間に彼女は真に孤独であった。薄い憧れと一瞬の機会を頼りに移り住んだ国は、彼女が本の中で読み想像したものとは全く違う世界だった。そこには魔法と剣はなく、数字と機械しかなかった。
 孤独な旅人には属する事が必要であった。自分の全てを委ねても良い、俗世とは違う恍惚の世界に生きる主が必要であった。

 彼女は、まさしく生きる為に忠誠を誓った。自分が存在する為に本物の忠誠が必要だったのだ。
 それが人間という存在とは相容れないものであったとしても、それは自分とて同じ事だった。彼女は下僕である事に愉悦を憶えている。



    ◇    ◇    ◇



「咲夜の時間が、動き出したわね」
「はぁ、確かに時計の針はちゃんと動いていますが」
「これで、貴方は人間になったわ」
「私は最初から人間ですわ」

「人間であるからこそ、私の従者に相応しい」
「吸血鬼でいらっしゃるからこそ、私の主に相応しい」




    ◇    ◇    ◇




 はい、私は紅魔館です。

 如何でしたか? 吸血鬼と人間の出会いの物語は。

 彼女が来てからは、私の中も随分と綺麗にしてもらって……ありがたいものです。

 それでは、続いてこんなお話はどうでしょう? 先程の話の、少し後から始まる出来事なのですが……




    ◇    ◇    ◇




 2.誰が為に鈴は鳴る


 十六夜咲夜は悩んでいた。わが主、レミリア・スカーレットに相応しいプレゼントとは何かと。

 彼女はレミリアから銀の懐中時計をもらった事に感謝し、何かお返しをしようと考えていた。
 だが、彼女のお眼鏡に適うようなプレゼントはそうそう思いつかない。人里にいけば高級な貴金属は手に入るだろう。だが、そのような人間的な価値観に基づいたプレゼントを主が気に入るとは到底思えなかった。――まぁ、金銀財宝を集めるのがレミリアの趣味でもあるのだが。

 咲夜は自分の部屋で天井を見ながら悩み、そしてやがて諦めて視線を前へ戻した。
 すると、その時であった。自分の視界にあるモノが映った。それは机の上で忘れ去られたように転がっている。

「ああ、そういえばこんなのも持っていたわね」

 咲夜はその小さな古ぼけた鈴を右手でつまみ上げた。鈴に付けられた紐も既に何度も付け替えられてきたのだろう、本体に比べれば新しいものの、いつ千切れてしまってもおかしくない程に傷んでいた。

「そうだ、これにしましょう。あれのお返しにはぴったりだわ」

 紅魔館のメイド長は嬉しそうに鈴を右手に収めると、左手での中にある上等な銀の懐中時計を見た。ちょうど、今は丑三つ時。――お嬢様も起きていらっしゃる、とメイドは思った。



    ◇    ◇    ◇



「咲夜、こんなもんを主人に対して贈るかね。普通」

 レミリアは受け取った小さな鈴をつまらなそうに眺めた。右手の鋭く伸びた爪で軽く弾くと、思いのほか綺麗な音が響いたものの、それがレミリアの鈴に対する評価を上げる事はなかった。
 咲夜はレミリアの後ろをついて飛行しながら、涼しい顔で答える。

「それは私の心の半分なのです。失ったもう片方の心は、お嬢様に直して頂きました。だから、残った方も差し出させて頂くのです」
「よく言うよ。どうせ迷った挙句の苦肉の策なんだろ?」
「ええ、ご名答でございます。流石はお嬢様ですわ」

 二人は夜の空を散歩していた。吸血鬼にとっての時間は、人間が感じるそれとは逆である。彼女は現在、いうなれば、昼下がりの暖かい日差しの中で、自分の庭を優雅に散歩しているようなものだ。
 そんな散歩も丁度終わりを迎えて、彼女らは紅魔館の正門に戻ってきた。
 赤いレンガによって作られた館を囲む高い塀の中に、その正門はまるで無防備に存在した。もとより、門を閉じていなくても紅魔館に訪問をするような奴はいないし、施錠してもやってくる奴は空を飛んで塀を乗り越えてくるので、その門は全く意味がないのだ。
 レミリアはそんな錆びついた鉄の門に目をやると、続いて今さっき受け取った小さな鈴へ視線を見やった。そして、鋭い牙を口元から見せて笑った。

「咲夜、せっかくもらった鈴だ。有効に活用させてもらおう」
「あら、それはありがたいですわ。どのように使うのです?」
「呼び鈴にしてやるのさ」

 レミリアは錆びついた門の鍵穴の近くに、その鈴の千切れかけた紐を括りつけてやった。レミリアの手を離れた鈴は門の鉄柵に当たると、チリンと一回だけ鳴った。

「これでうちに来客があっても、すぐに応対が出来るわね」
「これが呼び鈴だと分かる人がいればですけどね。あと、こんな小さな音じゃ聞き取れないし」

 そんな事を話しながら、人は門をくぐって紅魔館へと帰っていった。咲夜も小さな鈴をそこまで大事に思っていたわけでもない。いや、確かに以前は記憶のない自分が持っていた唯一の“遺留品”の一つであったから大事にはしていたが、今となっては銀の懐中時計が咲夜の大切なものとしての地位を確立しており、小さな鈴も存在を忘れられてしまうほどにその地位を下げていた。
 そんな訳であるから、咲夜はその鈴の所有権を放棄してレミリアへとそれを譲渡した。
 もしも、鈴に自我があるのならば。彼の持ち主はレミリアに変わったのだ。――それが、その鈴にとってどれ程の意味があったのかは、それから数日後に分かる事となる。



    ◇    ◇    ◇



 レミリアと咲夜は珍しくも昼間に外出をしていた。レミリアが突然、歩いて散歩がしたいというから咲夜も渋々とそれに付き添っているのだ。
 ピンク色の大きな日傘を差して、レミリアはゆっくりと中庭を歩く。庭には花壇があるのだが、あまり手入れもされておらず、お世辞にも綺麗だとはいえないものだ。咲夜もそこまでは手が回らない。

「花壇、雑草まで生えちゃってるわねえ。自分の家の庭なのに気付かなかったわ」
「そうですね。今度、時間がある時にでも妖精たちに草むしりさせましょうか?」

 そういいながら、やがて正門から敷地の外へ出ようとしたレミリアと咲夜は、門の前に一つの人影がある事に気付いた。それは門の脇、赤いレンガ塀の端っこに背中を預けて突っ立っている。
 二人は顔を見合わせると互いに首を捻る。まず、咲夜が人影に近づいて話しかけた。

「もし。どなたかしら? うちに用事があるのだったら、とりあえずお断りしますわ」

 話しかけられた人影は、少し身体をゆすってから、ハッとしたように咲夜の方へと向き直った。
 そいつは、緑を基調とした如何にも中華風のデザインをした服に身を包んだ、全く見覚えのない女だった。咲夜はすぐに、その女が妖怪であると看破する。
 妖怪は腰まで伸びた長く、燃えるように赤い髪を揺らしながら、咲夜とレミリアに頭を下げた。そして、大きな良く通る声で挨拶をした。

「ご挨拶が遅れました! 私は美鈴という名の、門を守る妖怪です! この度はこちらの門を守るべく出て参りましたので、よろしくお願いします!」

 言って美鈴は、門に括りつけられている小さな鈴を指差した。
 それを見てレミリアと咲夜は「あぁ……」と小さく声を漏らして納得した。

「なるほど。お前はその鈴から現れた妖怪という訳か」
「はい、その通りです。門を守る為だけに存在している妖怪です」
「あー。それなら、悪いんだけど……うちには守るような門はないよ? 誰も攻めてきやしないし」
「そうですか。それならば良いのですが……。しかし私は泥棒や災害など色んな事からも門を守れますので、ぜひここに置かせて下さい。お願いします」

 美鈴はレミリアに対して頭を下げる。レミリアは咲夜に耳打ちをするように「今、うちの妖精メイドって足りてるの?」と聞き「シフトは問題ありません。むしろ多すぎて邪魔なくらいです」と答えを得た。吸血鬼は日傘で日光から身を守りながら、再び美鈴に向かって告げる。

「悪いんだけどさ。うちはもう人員充分で雇う必要はないんだよね。他を当たってくれるかい?」
「あう……。いいえ、ここでなくては駄目なんです……。別に賃金もいりませんし、寝床もいりません。ただこの門の前に置かせて下さい!」

 美鈴は負けじとレミリアに食い下がる。
 吸血鬼は、このまま食い下がられて、せっかくの散歩の時間が少なくなっていくのも嫌だし、それにどうせ門なんかに人がいたっていなくたって同じなのだから、と美鈴の願いを聞いてやる事にした。

「しょうがないね。じゃあ好きにすると良い」
「おお、本当ですか! ありがとうございます、お嬢様!」
「ああ、よろしくね。さぁ、咲夜。散歩の続きといきましょう」

 そう言って門を通り過ぎていこうとするレミリアたちに、美鈴は「あ、いってらっしゃいませ」と言って視線を送る。

 その時、美鈴の脳内にとある既視感が生まれた。それは、レミリアの隣にいるメイドらしき女の姿についてである。そのメイドの姿には見覚えがあり、自分はその女と過去に戦った事があると美鈴は感じた。
 鈴の中にいる間は、一人で思念だけの存在となる美鈴であるが、今のように肉体が顕在化している間の記憶というのは鈴の中に帰っても受け継がれている。その記憶の中に、自分が過去に顕在化していた際に、このメイドと出会って戦ったという記憶があったのだ。

「あ、あの。メイドさん」
「ん? 何かしら」

 声を掛けて、ふと美鈴は思い直した。このメイドは見た感じでは人間である。確か、自分が前回顕在化したのは100年は前の話であった。あの時に戦った人間も生きている訳はなく、長寿だったとしてもこれほど若い姿の訳がない。この人間のメイドはどうみて十代半ばである。
 もしかしたら、あの時の女の血筋のものかも知れない。――それにしては似すぎているが――そうだったとしても、そこまで詮索するのは失礼であると感じた美鈴は、咲夜に感じていたその感覚を自分の胸のうちに仕舞っておいた。

「今日から門番をする事になりましたので、よろしくお願いしますね。門を守る妖怪の美鈴と言います」
「ああ、私は紅魔館のメイド長をしている十六夜咲夜よ。貴方が本当にここで働くのなら、色々教える事もあるかも知れないわ。よろしくね」

 そうして挨拶だけをすると、咲夜は素早く踵を返してレミリアと散歩をしに出かけていった。その後姿を見送ってから、美鈴は頭上に広がる幻想郷の青い空を見上げた。
 確かにここは、火薬の匂いがしない懐かしい空気だ。ここならば、ついに。ついに門を守り切れるかも知れない。――そう美鈴は思うのであった。



    ◇    ◇    ◇



「いやー、すっかり日が昇ったね。早く寝よう」

 レミリアは欠伸をしながら自分の家へと帰ってきた。
 すると、自分の家の門で一匹の妖怪が居眠りをしているのが目に入った。その妖怪は器用にも塀に背を預けて、立ったまま熟睡している。

「……おい、咲夜。こいつ門を守る気あるのか?」
「……」

 咲夜が無言で放った銀のナイフは、美鈴の頭の上を紙一重で通り過ぎる事なく、額に突き刺さった。

「あだだだだ! はっ、おはようございます」
「ありきたりな反応するんじゃないわよ」

 咲夜は美鈴に歩み寄ると額に刺さったナイフを抜いてやった。美鈴はまるで額をどこかへぶつけたように、傷口を手でさすっていた。

「それで? 門番を雇ってみたものの、早速居眠りこいてるとはどういう事なのかしら?」
「あわわ、すみません。あんまりいいお天気だったので……。でも、不審者は門を通っていないので安心してください」

 美鈴の台詞を見計らったかのように、紅魔館の中から何匹かの妖精たちがやってきて、門の上を通って行った。無論、妖精メイドたちではなく、不法侵入したそこら辺の妖精たちである。

「どこが『不審者は通っていない』よ。思いっきり妖精が入り込んでるじゃない」
「え? あれ~? おかしいなぁ。門を通してしまったら、私は鈴の中にまた戻ってしまうはずなんですけど」

 咲夜に突っ込まれて美鈴も困惑した表情であった。その美鈴の言葉を聞いて、レミリアは一人納得したように「ふーむ」と顎に手をあてた。

「ここは、私が説明してしんぜよう」

 得意げに笑ったレミリアに対して、咲夜と美鈴は「はぁ」と気のない返事をする。レミリアはオーディエンスの反応にやや不満を持ちながらも、自分の考えを披露した。

「いいこと? 美鈴という妖怪は、恐らく、門を守るという制約を課せられて生み出された妖怪。だから今まで、門を守れなかった時には鈴に封印されていたのでしょう? だけど、今回は門の主である私が、特に門を守ろうとはしていない。だから妖精たちが紛れ込もうが、門を守らなければならないという制約は発動しなかったのよ」

 その説明を聞いて咲夜は「なるほど」と頷いた。しかし、美鈴はますます困ったような表情になる。

「えぇ……!? それじゃあ、私はこの門を守る意味がないって事じゃないですか?」

 美鈴の言葉にレミリアは辛辣に言い返す。

「あんた、今までも門を守れてなかったんでしょ? それならここは丁度いいわ。いくら居眠りしてても封印される事はないんだから」
「そんなぁ……」

 美鈴は張り切って出てきたものの、特に自分が必要とされていない事に落胆した。紅魔館の中に戻っていったレミリアたちの背中を見つめながら、美鈴はとりあえず居眠りはしないようにと気を張って門の前に立つのであった。



    ◇    ◇    ◇



 それから数日後、美鈴は一日中門の前に立って見張りをしていた。かといってやって来るのは、悪戯好きの妖精たちばかり。美鈴がその力を発揮して止めるまでもなく、ちょっと警告しようと話しかけただけで、紅魔館に潜入しようとしていた事さえ忘れて世間話を始めるようなレベルである。
 美鈴は暇を持て余して、今日も門の前で一人呆ける。
 すると、そこに紅魔館のメイド長がやってきて彼女に話しかけてきた。

「ご苦労様ね、美鈴。ちょっと貴方にお願いしたい事があるのだけれど、良いかしら?」
「あ、咲夜さん。……お願いしたい事、とは?」
「ええ、貴方にちょっとコレをして欲しくてね」

 そういうと咲夜は右手に持ったスコップを美鈴に差し出した。

「へ? なんですかコレ……? もしや私に埋葬を手伝えとでも?」
「違うわよ。あそこにある花壇を綺麗にして欲しいの。私は手が空いてないし、妖精たちには任せられないし……お嬢様は荒れている花壇を見て嘆いていらっしゃったわ。貴方も紅魔館の一員ならば、お嬢様のお役に立つことね」

 美鈴は「門を守る事で役に立っているのに」と内心思いつつも、スコップを受け取ってしまった。
 しかし、改めて考えると、自分には花壇の整理は出来ない。

「待って下さい咲夜さん。私には、その仕事は出来ません」
「なんでよ、こんなのは子供でも出来るような仕事よ」
「いえ、そういう意味ではなくて……。私はこの門を離れる訳にはいかないのです。この門を守るのが私の役目ですから」

 屹然とした態度でそう言い放つ美鈴に対して、咲夜は呆れた様子で溜息をついた。そして、少しの間を置いて美鈴の肩に手を置いた。

「大丈夫よ。花壇はすぐそこだから、彼処からなら門の様子もちゃんと見えるし。第一、門を破ろうとしてくる奴なんていないんだから。それは貴方もこの数日で身に染みて分かったでしょ?」

 咲夜の言う事に美鈴は反論出来なかった。確かに門を守る意味については自分の中でも疑問符がついている。
 そして、自分はこの上なく暇であった。結局の所は美鈴がスコップを受け取る事で、咲夜は紅魔館の中に戻っていったのだ。

「はぁ。花壇の整理なんて、私の仕事としては役不足だわ……」

 美鈴は暫くの間、自らの鍛え上げた拳を振るう機会がない事に憂鬱になっていた。



    ◇    ◇    ◇



 更に数日が経った。

 紅魔館の花壇は、以前のような荒れ放題の有様から一変して、綺麗な花が咲き誇る美しいものとなっていた。これにはレミリアもご満悦だ。

「流石は我が紅魔館の花壇ね。きっと幻想郷のどのお花畑よりも美しいわ」

 喜ぶレミリアの顔を見て、咲夜も胸をなで下ろすと同時に歓びを感じていた。
 そして、思い出したようにこの花壇を整理した妖怪の顔を思い出したのだ。

「お嬢様。この花壇は門番の美鈴が管理しているのです。どうでしょう? 褒美を取らせてやっては」
「ほう、あの門番がねえ。門番というよりも庭師やった方がいいんじゃないか? あいつ」

 レミリアはご機嫌なままに門の方へと向かった。

 門の前では相変わらず、美鈴が塀に寄りかかって見張りをしている。この幻想郷では昼間よりもむしろ夜間の方が、妖怪などによる不法侵入の可能性がある。美鈴も居眠りなどはせずに、猫のように目を光らせて闇夜を見つめていた。

「おい、門番」
「はい、なんでしょうかお嬢様」

 美鈴は素早く振り返ると最敬礼でレミリアに挨拶をした。その様子にはレミリアは、どこか人間的な帰属感がある妖怪であると印象を持った。

「花壇の管理、見事だったよ。そこで、花壇復活記念と称して今からホールでパーティを開こうと思う。主賓としてお前も来ると良い」

 レミリアの台詞に驚いたのは咲夜である。
 まあ、いつもの事といえばそれまでである。急にパーティをすると言われても準備をするのは自分であるから、咲夜は今から全ての段取りについて頭の中で急ピッチで構築を始めた。

 一方で美鈴は、レミリアの発言に一瞬は驚きの表情をしたものの、すぐに落ち着いた声で答えた。

「お嬢様。とても、ありがたいお話ではありますが……。私は紅魔館の門番です。その私が門を離れてパーティに行く訳にはいきません」

 その発言を聞いて、レミリアは先程までの機嫌の良い表情から一転して、ムスッと口をへの字に曲げた。

「おい、その門の主の私が誘っているんだ。いいから、来なよ」

 レミリアは少しの殺気すらブレンドさせた鋭い眼差しで美鈴に迫った。咲夜も同じように冷たい視線でレミリアの背後から美鈴に向かって圧力を掛ける。
 だが、彼女は折れない。

「……申し訳ありません。私はどうしても門を離れる訳にはいかないのです」
「何故だ? 何がお前という存在をそこまで“門”に縛り付けるのだ?」

 レミリアの問いに、美鈴は答えに窮する。それは、自分が生まれた瞬間に命じられた絶対的な命令であり、しかし自分にもその理由は分からないものなのだから。

「分かりません。しかし……門を、扉を守れなかった時。私の胸に大きな穴が開けられたように、苦しむのです。私の中の何かがそうはさせまいと、何かが燃え上がるのです」

 そういって美鈴はそう言って、腹の中心に握りこぶしを当てた。そこにまるで大きな杭が打ち込まれたかのように、美鈴は苦悶の表情を見せる。
 レミリアは冷ややかな目でそれを見つめると、やがて興をそがれたと言った様子で踵を返した。

「分かったよ。無理強いはしないさ」

 そう言って去っていくレミリアに向かって、美鈴はただ一言「申し訳ありません」と声を絞り出した。
 咲夜は無言のままでレミリアについていく。そして一瞬だけ、ナイフのようにひんやりとした鋭く冷たい眼差しを送った。



    ◇    ◇    ◇



 美鈴が紅魔館で働き始めてから、一ヶ月が過ぎようとしていた。
 最初の頃は咲夜やレミリアもよく門にやって来て、美鈴と話をしたものだが、最近はそれも見られなくなった。美鈴はそれが、あの夜の事が原因だったとは考えたくなかった。
 花壇の管理だけは、門が目に付く所で出来るので継続して行っている。そして、たまに遊びに来る妖精たちを追い返したり、他愛もない話をしたりして毎日が過ぎていくのであった。

 彼女の中にあった漠然とした怒りも、今は火種が尽きたように収束していった。今や、自分ですら門を守るという事を放棄しつつある。

「私、死ぬのかな」

 妖怪の存在は人間とは違って肉体よりも精神に依存している。美鈴は言わずもがな『門を守る』という意義に依り存在している妖怪である。その妖怪が門を守るという事を放棄した時、それは妖怪の死を意味するのだ。

 今日も夜が来た。

 紅魔館の中からは、なにやら喧騒が聞こえてくる。もしかしたら、今日も何かしらのパーティが開かれているのかもしれない。
 レミリア・スカーレットは、よくパーティを催した。何かしらの理由をつけて、とにかく人を集めて宴を催すのが彼女の趣味であった。

 美鈴はその僅かに聞こえてくる喧騒を背にして、一人佇んでいた。こうして、この“幻想郷”と呼ばれる地において、自分はその長い生に終止符を打つのだと達観していた。

「おい、門番」

 その声は彼女の頭上から聞こえてきた。しばらく聞いていなかった主の声は、塀の上から降り注いだのだ。

「うわわ、お嬢様!? 何故、そんな所に?」

 上を向いて慌てる美鈴を他所に、レミリアは塀を蹴って門の前に降り立った。そして、それに追従するように咲夜もレミリアの脇に控える。

「さて、門番よ。今日はお前に、一つ良い知らせをやろうと思ってね」

 レミリアはニヤリと笑うと、門に背を預けて後退りする美鈴に向かってにじり寄った。

「は、はい。なんでしょうか」

 美鈴は、レミリアのその得体の知れない笑顔に恐怖しながら、なんとか返事をした。
 それを見て満足したように、レミリアは鋭い爪が剥き出しになっている右手を美鈴に向けて繰り出した。

「うわ!」

 咄嗟に避けた美鈴の、しかし脇を通り過ぎたその右手は、門に括りつけられている小さな鈴をむしりとった。

「ああーっ!」

 美鈴は門から取られた鈴を見て呆然とした。
 門から鈴が取られたという事は、つまりは自分は門番としてクビを宣告されたのと同義である。きっと、すぐにでも鈴の中に封印されてしまうのであろう。

「そ、そんな……」

 でも仕方ないか。――美鈴はそのように繋ごうとして、沈黙した。
 レミリアが、引きちぎった小さな鈴を彼女に差し出しながら近づいてくる。そして、困惑している美鈴の首元から、服の中へとその鈴を放り投げた。
 チリン、と涼やかな音を立てて、鈴は美鈴のお腹の辺りに入っていった。

「ホン・メイリン」
「は、はあ?」

 美鈴は何がなにやら分からないままに、レミリアに聞き返す。それに答えるように、レミリアは続けた。

「お前の名前だよ『紅美鈴』。紅魔館に務めている私の部下だから“紅”と書いてホン。確か、お前の国ではそう読むんだよな」
「感謝しなさい、美鈴。お嬢様はパチュリー様に教えを乞いながら、この二週間程ずっとお悩みになっていたのよ。貴方の名前を」

 レミリアは咲夜に「なんでそれを言うのよ」と赤面しながら鋭い目線を向けた。咲夜はそれを涼やかな顔のままに受け止める。

「さて、それでだ。お前に転属通知だ。――美鈴、お前が守る門は紅魔館のこの古錆びた門じゃない。今から鈴の在処はお前自身になった。だから、これからは、お前自身が守るものを決めると良い」

 レミリアは、美鈴の服の中で小さな膨らみを作っている鈴を指差して、そう言った。

「え、え、あの……」

 事態に頭が追いつかずに、疑問の声を上げる美鈴を無視して、レミリアは紅魔館へと足を向けた。そして、最後にこう言ったのだ。

「さて、美鈴。今からパーティだ。お前の歓迎パーティを開くのをすっかり忘れていたからね。今度は主賓が来ないと、話にならないぞ」




    ◇    ◇    ◇




 さて、私は紅魔館です。

 どうでしたか、紅魔館の門番がやって来た時のお話は。
 彼女は門を守るという束縛から開放されたものの、未だに私の門を守っている事は、皆さんもご存知かと思います。さて、それは何故でしょうかねぇ?
 私は紅魔館の中で起きた事ならば分かりますが、人妖の心の中までは分かりませぬ故、分かりかねます。

 いやはや、次は如何いたしますか?
 そうですねぇ、それではこんなお話はどうでしょう?

 これは、結構最近の話なので御座いますが……『紅霧異変』と呼ばれる異変が私を中心として起きた、その後の話です。




    ◇    ◇    ◇




 3.星に願いを


「結局、私たちが神社に遊びに行っている間にあいつは部屋から出ていっちゃったってわけね」
「そうですわ。パチュリー様が外に雨を降らせておかなければ、紅魔館の外に出て行ってしまったかもしれません」

「やれやれ、あいつは全く。いつまでも私に迷惑を掛けてばかりで」
「お嬢様。何故、妹様を地下の部屋に閉じ込めているのですか?」

「前に言ったじゃないか。アレは気が狂ってるから、外に出したら何をしでかすか分からないからよ」
「ええ、確かに聞きましたが……。それならば、妹様は何故まだ生きているのでしょう?」

「……お前ねぇ。実の妹を私に殺せって言うのかい」
「でも、お嬢様は過去に一度、妹様を殺していらっしゃいますわ」

「何故、知っている。咲夜」
「私は毎日のように妹様のお食事をお持ちしています。妹様が一度、お亡くなりになった存在である事は勘づけますわ」

「流石は私の部下、優秀だな。しかし、何故私がフランドールを殺したかまでは分からないだろう?」
「推測で良いのでしたら申し上げますわ」

「面白い。言ってみなよ」
「はい。お嬢様は過去に妹様と二人で、幻想郷以外の場所で暮らしたと聞きます。そこでは、お嬢様が妹様を教育する立場にあったのでしょう。しかし、ある日妹様は何らかの重大な過失を犯してしまった。そこでの生活が困難になるほどの、重大な過ちを。――お嬢様が度々口にされている事から考えるに、恐らくは妹様が多くの人間や妖怪かを殺してしまったのでしょう」

「ふーん、まあそこまでは合ってるよ。それで?」
「そして、その責任を取ってお嬢様は妹様を殺した。しかし、お嬢様にとって妹様は唯一の肉親。大きな過ちを犯したとしても、そのまま殺す事は出来なかった。そこでお嬢様は、妹様が時間と共に蘇生出来るまでの傷を負わせた所で、その肉体をあの地下室に放置した。そして長い時の中で妹様は蘇生した」

「咲夜、お前。それは本当に推測か?」
「妹様は蘇生した際に、死の間際の大部分の記憶を失っていらっしゃった。そこでお嬢様は、果たして妹様が再び同じ過ちを繰り返すのか否かの判断に迷った。そこで、妹様が同じ過ちを繰り返さない為にと、あの地下室にずっと閉じ込めていらっしゃる」

「咲夜、何が言いたいんだ」
「過保護過ぎますわ、お嬢様。妹様を心配する余りに、触れては壊れてしまう硝子のような扱いをしていらっしゃる。しかし、それは妹様にとっては孤独を募らせるだけ。お嬢様の想いは、妹様には伝わりません。妹様は、記憶を無くした孤独の中で暗闇に一人。それは、それは辛いものですわ」

「フランドールは、あいつは多くの人間を殺して、私の国を殺した。あの時には、私が決着をつければ済む話だった。しかし、この幻想郷では一度そんな事をしてしまえば、私たちだけの問題では済まない。私が妹を庇おうとすれば、それは再び“戦争”を呼ぶ事になる」
「しかしお嬢様。このままでは妹様は、自分が何者なのかも分からないままに、ただ無意味な生を消費する事になります。それはもはや、死んでいる事と同じですわ。結果としては、お嬢様が妹様を殺した事に他なりません」

「主に対して随分と言ってくれるじゃないか。お前の主はフランドールじゃないだろ」
「私もかつて、記憶を失っていた人形でしたから。私にしてくださったように、妹様にもお嬢様の手で時間を取り戻させていただきたいのです」

 その時であった。激音が紅魔館に鳴り響いたのは。
 爆発音は紅魔館全体を揺り動かすほどの衝撃で、それは天から鳴り響いたもののように感じられる。

「何事だ?」
「外に行ってみましょう」

 レミリアと咲夜が外に出ようとした時、部屋にパチュリー・ノーレッジが駆け込んできた。駆け込んできたといっても、廊下をヒュンと飛んで来ただけであるが。

「レミィ、あなたの妹が部屋を抜け出して外に出てったみたいよ」
「……! あいつの仕業か」

 爆発音の原因が妹であると理解したレミリアは、不安に胸を締め付けられながら窓の外へと飛び出していった。
 それに続いた咲夜は、外に出た瞬間に目を見張る。

 紅魔館の上空からは、流星群のように、燃え尽きた何かが降り注いでいた。それは、上空で何らかの大爆発が起きたという事を示していた。

 そして、庭の端に一人で佇んでいるフランドール・スカーレットを見つけたレミリア・スカーレットは、妹に向かって突き進んだ。

「フランドール! あなた、何をしたの!」

 レミリアの叱咤に、フランドールは何事も無かったかのように無表情で振り返った。

 それは、随分と久しぶりの姉妹の対面である。

 レミリアにとっては、常日頃から妹の身を案じて、その姿形を思い描いていたものだから、自然と叱咤したものであった。
 しかしフランドールにとっては、レミリアは姉という存在であると分かっていても、得体の知れない存在なのであった。

 そして、二人は目を見合わせる。

 レミリアにとっては今、目の前にいるフランドールが、自分の頭の中に存在していた妹よりも、幾分か成長して変わっているように見えた。吸血鬼といえども少しずつは歳を取る。レミリアの頭の中にいる100年前のフランドールと、今のフランドールは違う姿であった。
 フランドールにとっては今、目の前にいるレミリアは、どこか懐かしい存在のように思えた。ずっと地下に閉じ込められていたという恨みのようなものは感じるものの、それよりは何故だか、自分の事をなんで今まで放っておいたのだ、という寂しさの感情があった。

「あら、お姉様。久しぶりですわ。今ちょうど、流れ星が落ちてきたから、それを撃墜していたところなの」
「何を馬鹿な事を言ってるのよ。さぁ、早く部屋に戻りなさい」

 フランドールはレミリアに腕を引っ張られて、紅魔館の中へと連れ戻されようとしていた。しかし、その腕にはレミリアの予想していたよりも大きな力が加わって、フランドールはその場に踏みとどまった。
 そして、彼女は呟いた。

「お姉様、なんで……。“言って”くれないのよ」

 レミリアがその言葉を聞き取って、僅かにフランドールの腕を掴む力を緩めた時に、彼女はその腕を振り払って空高く舞い上がった。

「あっ、コラ! フランドール!」

 レミリアが咄嗟に追いかけようとするが、フランドールは目にも留まらぬ早さで紅魔館の中へと逃げ込んでいってしまう。
 それを見て一同は「やれやれ」と一様に胸を撫で下ろした。

 未だに流星群が降り注ぐ紅魔館の庭で、レミリアは咲夜に言った。

「お前の言っていた事も、少しは分かった気がするよ。これから、ちょっとフランドールと“対話”をしてこようかね」

 そうとだけ言って顔を背け、紅魔館に戻る主を見て、咲夜は満足げに笑顔を作ると、庭に散らかった星の欠片を掃除し始めた。



    ◇    ◇    ◇



 あの日以来、レミリアのフランドールに対する頑なな態度は少しは軟化した。
 しかし、未だに二人が以前のような姉妹に戻る事は無かった。それは、流した血の数だけの罪が彼女たちに罰を与えているのかもしれない。
 そうならば、フランドールの罪はいつ流されるのだろうか。彼女が流した血は余りにも多すぎた。しかし、それは少しずつ流されていくはずである。少しずつ、少しずつ。




    ◇    ◇    ◇




 そう、私は紅魔館です。

 悪魔の姉妹に関する、ちょっとしたお話でした。どうでしたか?
 まあ、私の中で大暴れするのはいい加減に控えて頂きたいんですがねぇ。

 最後となりました。
 これは何も考えずに聞いてください、そんな日常的な話で御座いますので。

 ごく最近にあった、楽しい楽しいパーティのお話であります。




    ◇    ◇    ◇




 4.饗宴


「咲夜、パーティの準備よ」

 お嬢様が早くに起きてきたと思えば、突然にそんな事を言い出した。私は面食らって掃除の手を止める。

「それで、今日は何のパーティをするのですか?」
「そうねぇ、紅魔館主催納涼弾幕大会とでもしておきなさい」

 確かに今日は蒸し暑い。もう日が沈みかけているというのに湿気を含んだ暑さが、私の肌を汗ばませている。

「はぁ、それでは準備しますが……。どのくらいの人を呼べば良いのですか?」
「とにかく、沢山呼んでちょうだいよ。庭で立食形式にして、皆が楽しんでいるのを肴に、私は時計台の上でワインを嗜むの」
「畏まりました。それでは、1時間程のお時間を下さい」

 私はお辞儀をして失礼すると、紅魔館の中をかけずり回った。とりあえず、妖精メイドたちにテーブルや料理の下準備を命令する。(頼んだって、半分以上は役に立たないから目測の倍の数に頼まなければならない)
 お次は招待客の所へ出向いて、パーティに来てもらうように頼む。とりあえずは紅魔館の中にいる人に広告だ。
 時間がもったいないので、逐一、時間を止めて移動する。

「パチュリー様。そういうわけですので、18時からお庭でパーティをします。きてくださいまし」
「気が向いたらね。行けなかったら小悪魔を代理でよこすわ」
「え、本当ですかパチュリー様! やったぁ、こう見えても私ってお祭り好きなんですよね」
「あんた、そういって出向いていって、何度も酔い潰されて帰ってくるじゃない」

 とりあえず地下から出る。次に紅魔館の門へと向かう。時間は私の手の中で止まっている。

「というわけで、美鈴もパーティには顔を出すように」
「はい、分かりました。あ、咲夜さん。私にも手伝える事ありますか?」
「そうねぇ、それじゃあ妖精たちがサボってないか監督しといて。私は外部に誘いを掛けてみるから」
「了解です~」

 美鈴の返事を聞いてから、私は再び時を止めた。

 私は幻想郷を飛び回る。

 神社に人里、竹林に冥界。山に別の方の神社。地下まで出向いて、ついでに寺。取り敢えずは幻想郷の全ての勢力に掛けあってみる。
 そうする事で、我が紅魔館の威光を周囲に知らしめる事が出来るからだ。

 普段は博麗の神社に集まって宴会を開いている連中ばかり。だから、たまにうちでのパーティとなれば、珍しがって結構な人数が集まる。そうして集まった有象無象を見下ろす事で、お嬢様は吸血鬼としての矜持を得られるのだ。

 紅魔館に帰ってきた私は、銀の懐中時計に目を向ける。パーティの開始まで30分あまり。ちょうど良い時間に帰ってきた。
 私は紅魔館のキッチンへと向かう。今日は腕によりをかけてお食事を作ろう。



    ◇    ◇    ◇



 紅魔館主催納涼弾幕大会は盛況であった。

 広い庭では、所狭しと大勢の妖怪が溢れ、少しの人間たちが食事と酒を楽しみながら語り合っていた。

 当初は時計台の上から高みの見物をしようとしていたレミリアも、たまらず下に降りてきて皆と盃をぶつけ合っていた。

「あら、パチェ。貴方が来るなんて久しぶりね」

 レミリアは酒の席にいた友人を見つけると、声を掛けた。パチュリーはチキンサンドを咀嚼しながら椅子に座って本を読んでいる。「立食パーティのはずだったのに、何故椅子があるのだろう」レミリアはそう思ったが、良く見れば彼女が座っているのは、地面から生み出された木で作られた椅子。この魔法使いが、自分で作りだしたようだと分かった。

「ねぇ、折角だから紅白とか白黒と話してきたら? 私が主催したパーティなんだから」

 レミリアはグラスに並々と注がれた緋色の液体を飲み干しながら言った。パチュリーは本のページをゆっくりと捲りながら答える。

「私は良いのよ。これでも、このパーティを楽しませてもらってるわ。小悪魔、飲み物ちょうだい」

 パチュリーが言って右手をスッと横に出すと、後ろに控えていた小悪魔が慌てて、ワインの入ったグラスを手渡す。
 そして、魔女はグラスに唇をつけ、少しずつその液体を口の中へ流しこんでいった。

 レミリアは「そうならいいけど」とつまらなそうに呟くと、ふと小悪魔へと目線を送った。レミリアに見つめられた小悪魔は、まるで蛇に睨まれた蛙のようだ。

「パチェ、ちょっとこいつ借りるわよ」
「え? まあいいけど……」
「ええ!? パチュリー様……?」

 小悪魔は異論を挟もうとしたが、レミリアは有無を言わさずに小悪魔の腕を掴んで、狂乱の宴の中心へと彼女を引っ張っていった。

「小悪魔。お前、名前をなんと言ったっけ?」
「あ……名前はないんです。小悪魔とお呼び下さい」
「ないの? 昔はパチェも小悪魔たちに名前を付けていたんだがねぇ」
「うぅ……。気にしているんですよぉ、名前もらえなかったこと……」

 宴の中心では少女たちが酒を呷って、どんちゃん騒ぎであった。
 優雅な会食の開かれる環境で育ってきたレミリアであったが、幻想郷に来てからはこういった騒ぎの中の酒も美味いと感じられるようになっていた。

 見れば、紅魔館の門番がワインボトルを片手に太極拳の型を演じている。それをお手本にするように、美鈴の後ろでは、白黒の魔法使いやら妖精たちがフザけて真似をしている。

「やぁ、魔理沙。楽しんでるかしら?」

 レミリアはゆっくりと変な動きをしている霧雨魔理沙に話しかける。彼女は酒気に顔を赤らめながら、とろんとした目つきでレミリアの顔面をじーっと見つめた。どうやら、暗さと酔いで誰に話しかけられたのか、しばらく分からなかったようである。

「おう、吸血鬼か。呼んで頂いてありがとうよ。今日のご飯とお酒はまた、一段と美味しいな」
「それは良かったわ。給仕係に言ってやりなよ、喜びはしないと思うけど」

 会話を中断させると魔理沙は、再び妖精たちと一緒になって美鈴の真似をし始めた。美鈴も調子が上がってきて、段々と動きを激しくして踊り始めた。

「あーあ、あいつら明日は死んでるな」
「死、死んでる?」
「酔いが回って、て事さ」

 小悪魔はビクビクしながらもレミリアについて行く。何故にこの主の友人は、自分を連れ回しているのだろう。漠然とした不安を抱えながら、小悪魔はただレミリアに付き従って酒気の中を歩いていく。

 ふと小悪魔が周りを見れば、改めて考えるに、それは何とも不思議な光景だ。
 妖怪と人間が混ざり合って酒を愉しんでいる。しかもそれは妖精などから、まさかの鬼。終いには神様までと、ありとあらゆる種族が入り乱れての宴である。

「分かるか、小悪魔よ」
「へっ!?」

 レミリアはパーティに来た客たちと話をしながら、時折小悪魔に問いかけた。

「な、何がでしょう……?」
「このパーティの意味さ」

 レミリアの問いに、なんとか答えを出そうとした小悪魔であったが、幾ら考えても答えは出てこない。小悪魔は覚悟して正直に言った。

「すみません。分かりません……あの」

 レミリアは小悪魔の答えを待たずして、滔々と語り始める。

「見よ、この宴の混沌とした顔ぶれを。この幻想郷の縮図なんだよ、このパーティは。お前は召喚されてから長くないから理解出来ないかもしれないが、ここでは私の吸血鬼という種族でさえも、ただの一つの種族としてしか見なされない。はみ出し者たちの中ですら、私たちは王には成れないのさ」

 吸血鬼の唐突とした否定的な発言に、小悪魔はどう返事をすれば良いのか分からずに困惑した。だが、それを予め分かっていたように、レミリアは続ける。

「だから、私はこうやってパーティを開いてみたり、たまに異変を起こしてみたりしているのさ。要は憂さ晴らしみたいなものだ」

 レミリアは通りがかったテーブルの上に置いてあったワイングラスを掠め取ると、中に入った液体を飲み干した。そして、酒気に満ちた息を吐きながら立ち止まると、小悪魔に向けて。

「そう、私は吸血鬼としての矜持は失ってはいない。私はいつだって、自分の考えた事を貫いて、決して妥協もしない。自分が思った通りに、この幻想郷を狂乱させたいのさ。そして、ほら、こうして幻想郷は狂乱した」

 レミリアは談笑と乱痴気の入り交じった会場を小悪魔に見せつけるように、両手を広げた。

「レミリア様、何故私にそのような事を……?」
「上司の愚痴を聞くのも、部下の大切な役目さ。それをお前に教えておきたくてね」

 そう言ってレミリアが、小悪魔をパチュリーの所へ返そうとしたした時。

 一つ、強力な爆音が夜空に響いた。

「ひぃ! なんですかー!?」

 頭についた蝙蝠の羽を両手で抑えながら、腰を抜かした小悪魔が悲鳴を上げる。咄嗟に小悪魔の前に立ったレミリアは、すぐに爆音の発生源へと目をやった。
 そこは紅魔館の一角、爆発によって吹き飛んだ壁が爆粉をまき散らしながら、内部から飛び出した一筋の光をレミリアに視認させた。

「フ、フランドール! 何してるのよ!?」

 レミリアは紅魔館から飛び出してきた妹に、慌てて駆け寄っていった。

「おう、喧嘩か。酒の席に喧嘩は付き物だからなぁ。やれやれー」

 空中で戦いを始めた吸血鬼の姉妹を見上げながら、下にいる人間や妖怪たちは好き勝手に呑気な歓声を上げ始めた。

 レミリアとフランドールはお互いに光り輝く弾幕を展開しながら、夜空で交錯しあった。その戦いを見上げながら、酔っぱらいたちはより盛り上がり、弾幕を鑑賞するのであった。

 小悪魔は血相を変え、喧騒の中を駆け抜けると、パチュリーの元へ帰ってきた。そして、空を見上げながら紅茶を啜っている主へと詰め寄った。――隣にはティーポットを持った咲夜もいる。

「パチュリー様! レミリア様とフランドール様が喧嘩していますよ!? 止めなくていいんですか?」
「私に二人を止められるわけないじゃない。それに、ちょうど出し物としても良いんじゃないかしら? みんな盛り上がってるし、水を差すのは無粋よ」
「ええ! そんな……! 咲夜さん、止めなくて……」
「パチュリー様のおっしゃる通り。止めたいのならば、貴方が止めるといいわ」
「そんな~、私には無理ですよ~」

 言いながらも、夜空には真っ赤な十字架と虹色の波紋が広がって、幻想郷の夜は華やかに彩られた。

 そこで小悪魔は、はたと気付いた。パチュリー様が笑っている。と
 そして、その横にいる咲夜すらも、うっすらと笑みを浮かべているではないか。

 この二人がこんなにも、楽しそうに笑っている所は見たことがない。特にパチュリーには何年も仕えているが、こんなにも楽しそうに笑う主は見たことがない。

 小悪魔はこう思った。

「げに恐ろしきは宴なり」




    ◇    ◇    ◇




 ああ、私は紅魔館です。

 如何でしたか? 最近の紅魔館はといえば、概ねこういった感じなのです。
 ところで、貴方には私という存在が、一体なんなのか理解出来ましたか?

 私は一建物であり、悪魔の住む城であり、紅魔館なのです。

 それでは、最後にそんな紅魔館からメッセージをお伝えしましょう。
 おっと、貴方にではありませんよ? 長らくお話を聞いて頂いて申し訳ありませんが、これは貴方宛てのメッセージではありません。

 ごほん。

 この幻想郷では資本主義も社会主義もない。云うなれば享楽主義者たちの作る世界なのです。
 そんな世界ですから、この幻想郷には“欲”というものがまるでない。誰も彼もが平和に殺し合いをしたがるものなのです。

 でも、そんな中にあって、この紅魔館だけは違う。ここに住まう者たちは欲に充ち満ち溢れている。

 傲慢な吸血鬼に暴食な妹、愛欲の従者に憤怒の門番。地下には怠惰な賢者と嫉妬の司書が。
 そう、ここだけは欲に溢れた禍々しく甘美なる館。


 だから


 欲に流され踊り続けろ、紅魔の住人たちよ。
人間の意識とは、もろもろの妄想・欲望・意図が混然と雑居しているところでおり、夢想のるつぼであり、恥ずべき思考の巣窟なのである。


――Victor-Marie Hugo,“Les Miserables”より







というわけで、連作『七人の紅い咎人』をご読了ありがとうございました。

東方紅魔郷といえばWin版の一作目にして不朽の名作、昨今の東方ブームを作った礎であると私は思います。
そんな作品の人気キャラクターたちは、この8年の間に星の数ほどの二次創作が作られた事と思います。
特に前日譚などは、各キャラクターそれぞれに掘り下げられる魅力があって、溢れ返るほどの人が物語を作った事でしょう。
そこで、私なりのやり方で紅魔郷の前日譚を書くことにしたのです。相変わらずの展開でしたが如何だったでしょうか。


この投稿形態については、当初は一つにまとめて投稿させて頂こうと思っておりました。
しかし、一つにまとめるとそこそこの量になるので、読むのも大変になるのではないかと感じたのです。
そこでこの-greed-以外はどこから読んでも、出来るだけ一つの物語として完結しているように、そして他の物語と世界を共通したものを作ろうと思ったのです。
その結果として、このような7つのSSの同時投稿と相成ったワケでございます。どうなんだろう、ご意見お待ちしております。


そういう事で。読んで頂いたみなさんのご感想をお待ちしております。
それではまた。
yunta
konparo@gmail.com
http://
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コメント



0.940簡易評価
3.20名前が無い程度の能力削除
とりあえず全部読みましたが・・・
まずオリキャラ出すならタグなりなんなりで注意って書いておくべきだと思います
7分の2がオリキャラ中心だったのでそこで読むのやめた人も多いんじゃないかと
文章自体は綺麗だけどなんかかっこつけようとしてスベってる感じがしました、あとがきの格言含めて
これからに期待ということでこの点数です
7.100名前が無い程度の能力削除
東方二次創作において、紅魔館の過去話っていうのは誰もが妄想する内容で、だからこそ尻込みしてしまって、最近書かれるのは簡単で短い話がほとんどになっていると思います。
ここまでの力作かつ大作は久々に読ませていただきました。ありがとうございます。
悪魔の館らしく七つの大罪に絡めたテーマも見事だと思います。特に最後である「紅魔館視点」という発想は、着眼点が奇天烈で素晴らしい。その発想はなかった。
8.90名前が無い程度の能力削除
結構面白かったです。
長かったんで時間がかかりましたが、それも面白かったと言えます。

ただ、話の当たり外れがありますねぇ。
つまらないってわけではないんですが、もう少し話をふくらませることもできるのではないか、というものがチラホラ。
短いながらも面白かったんでそこが多少残念といえば残念でしょうか。
10.100名前が無い程度の能力削除
一つひとつの作品が折り重なってgreedへつながる一種のパズルのような感覚は好みでした。
長さを感じさせない文章で期待感も持続し、一気読みも苦では無かったです。
小出しスタイルは賛否両論あるかと思いますが私はこれで良かったと思います。短くてさっと読めそう、贔屓キャラがメインだ等一つにまとめるよりも取っ掛かりやすくなっているので。

最後に力作の執筆、お疲れ様です。私は十分に楽しめました。
12.100名前が無い程度の能力削除
とても良かったです
15.100薬茶漬削除
すげぇの一言に尽きる。
16.100名前が無い程度の能力削除
大作だなあ、それでいて文章も全然崩れてないし感服です
こういう大作には3みたいなアンチが沸くもんですが、気にせずにこれからも投稿待ってます
17.100削除
うまい具合にまとめられていてとてもおもしろかったです
くそ面白かったです!!
ご馳走様でした!
19.100名前が無い程度の能力削除
それぞれの住人に過去があって、今の紅魔館がある。
作品毎に当たり外れを少し感じましたが、それを差し引いても素晴らしい作品でした。

投稿形態に関しては、出来るなら少しずつ(一日一本ペースくらい?)で
小出しにしてもらった方が、読みやすかったかもしれません。

ともかく、執筆お疲れ様でした。ありがとうございました。
23.100名前が無い程度の能力削除
 連作がまとめて投稿されるのを見たときには正直ちょっと嫌な印象をもったのですが、
じっさいに読み進めてみれば作者さまがこれを一気に投稿したかったという気持ちがよくわかりました。
 息もつかせない急展開に、斬新であり説得力のある設定の数々、
そしてなにより作品全体に漂っている、悲劇が起こりそうな雰囲気から目を離せなくて、ついつい夜更かししてしまいました。
 それぞれの作品ごとに異なったジャンルを取り扱っていたので飽きることもありません。
 しかしそれぞれ作品の密度の高さに比べて、まとめといえる最後の作品だけはあっさりしすぎているといいますか
盛り上がりに欠けているような印象をうけました。
花火大会のおおとりで、しんみりとした線香花火を差し出された気分です。
 作者さまの作るお話は前々から追いかけ贔屓にさせて頂いております。大作お疲れ様でした。
これからも一層のご活躍をお祈りしております。
25.90山の賢者削除
何か始まりそうでなにも始まって無いような。
前日譚ってことは続くんですかね?
28.無評価yunta削除
皆さんご意見ご感想ありがとうございます。一部抜粋してお返事をさせていただきます。

>>3.さん

 タグについてなのですが、私の個人的な意見としてはタグは作者側が「こういうジャンルです」と提示する機能で、内容を伝えようとする機能ではないと思っています。過度な性的描写やグロテスクな描写への警告や、「これはギャグ作品ですよ」と作者が提示したい場合には有用だと思います。しかし、クーリエさんで規約として明記されていないので私としてはタグは自由でいいのではないかと思います。管理人さんの発言などで事例がありましたら、教えて頂けると幸いです。
 作品の評価については了解しました。これから精進していこうと思います。

>>7.さん

 個人的には東方っていわゆる中2的な要素を煮詰め切って出て来た味が魅力だと思うんですよね。だから最強の中2アイテムである「七つの大罪」とも親和性があるのではないかと思いました。そして出来たのがコレなんですね。
 紅魔館にはキャラクターは6人しかいませんので、紅魔館自身にも出てきてもらいました。
 楽しんで頂けたのなら幸いです。

>>8.さん

 そうですねえ、個人的には7つの話の全部を色んなタイプの話にしようという目論見があったのですが、あまり上手くいきませんね。話を膨らませるべきか短くまとめるべきかは、なかなか第三者視点から見て頂かないと自分で気付けないのが悩みですね。

>>10.さん

 そういったパズル感覚を感じて頂けたのなら、私としては感無量ですね。私がやりたかった部分の一つですから……
 今回はこの話の為に小出しにしたので、多分これからは普通に投稿すると思います。どうもありがとうございます。

>>19.さん

 そうですね、投稿形態については難しいですね。一日一本だと、7つで一週間。それだと作品集が終わっちゃうんじゃないかと思って、一気に投稿してみました。今思えば、別に作品集を跨いだっていいんですけどね(笑)

>>23.さん

 どうもありがとうございます。違うジャンルで書こうとして、実際出来ていたのかよく分からなかったので有り難いです。
 最後の作品だけ~、という事に関してですが……。
 私の中では、このgreedは過去の話というよりも原作に片足を突っ込んでいる状態なので、悲しい過去とか重いしがらみは無い話を書こうと思いました。東方でいうところの永夜抄のように、設定では暗い過去があるんだけれども、この幻想郷での暮らしは幸せである、っていうのが私はとても好きなんですよね。だから、そういった雰囲気を出せればな、と思っていました。というわけで、そのような話を書けるように頑張ります。
 いやはや、追いかけられたらドキドキしちゃうな。それほど期待せず、たまに良いの出すかもしれないのでよろしくお願いします。


>>25.山の賢者さん

 そうですね、何か始まりそうで何も始まらないです。強いて言えば、これからの東方に続いていくのかもしれないですね~。
 自分ではこの話の続きは書かないと思います。紅魔館のSSは書くかもしれませんが……
30.100名前が無い程度の能力削除
読むのに疲れたのとその後の開放感で、言葉にすることはでないけれど、
なかなか心地よいお話だったと思う。
31.100名前が無い程度の能力削除
面白かった
34.100名前が無い程度の能力削除
時を忘れて読みふけってしまいました。
誰一人としてその魅力を損なわせず、生き生きと動いている。
その流麗な描写に感服致しました。

言葉では、その全ては言い表せないほどの読了感と感動を、ありがとうございました。
37.80即奏削除
面白かったです。
39.90名前が無い程度の能力削除
楽しく読ませていただきました。キーワードを繋ぎ繋げてここまで読ませる作品を書いたのは凄いと思いました。
が、今の小悪魔や美鈴が嫉妬や憤怒の象徴だとはあまり思えないのでまとめに少々不満が残りました。

とはいえ、かなり楽しめた部類の作品群でしたのでこの点数で。
40.100名前が無い程度の能力削除
過去作品を漁っていたら、なかなか面白い作品に出会えたので良かったです。
小悪魔の話が一番好きでした。
44.80名前が無い程度の能力削除
面白かったです
45.100パレット削除
 面白かったです!