Coolier - 新生・東方創想話

こうまハウス~100年後の紅魔館と幻想郷~

2010/05/27 03:19:47
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※このssにはグロ表現、原作は投げ捨てるもの、パロネタ、オリ設定、超展開、、キャラ崩壊・壊れ、捏造設定、未来設定、原作改変、一応カップリング要素、関係ないけど一応初投稿、永淋が匙を投げ捨てた。

※命蓮寺もってないんで命蓮寺キャラはでません




















どうも

ようこそ、紅魔館へ。

この気を込めた全力の一撃はサービスですので、まずは避けないで楽に一撃で死んでください。

うん。「絶対に通さない」って霊夢との約束なんです。すいません。
仏の顔もっていいますけどね、妖怪ですので許してもらおうなんて思ってません。

でも、この紅魔館を潰そうとやって来て私を見たとき、あなた達の考えは、きっと言葉では言い表せない
「絶望」みたいなものを感じてくれたと思うんです。

霊夢や咲夜さん達が死んで殺伐とした妖怪の天下の世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しいな。
そう思って門まで来てもらうのをわざわざ待ってこんなに殺気全開の本気で相手してるんです。

じゃあ、閻魔と会う事が可能なら霊夢と咲夜さん達によろしくいっといてください。


――――

 館に来た妖怪達……侵入者を片付ける。

 ……ふぅ、今日の襲撃はもう無いでしょう。
 私は、殺した妖怪達の亡骸を片付ける。
 拳で急所や弱点の部位を打ち抜いたり切断したりした時に、飛び散った破片を集める。丁度門のところにいた非番の門番隊の子に頼んで、袋を持ってきてもらい袋に詰める。
 経験上、これで本日の門番の業務は終了したといっても過言ではない。後は、門の前で何か起こっても直に対応できるように、気で周囲の気配でも探っておけば寝ててもかまわない。

 後は、兼任してるメイドの仕事をこなすだけ。取り敢えず、食事を作る。

 後は、いつもどおりこの妖怪達を、お嬢様の食事に混ぜる用の血にして、体は調理して食事にでもしよう。

 袋を厨房まで運び、調理に入る。

 今のメイドの数は大量に辞めて昔の5分の1程度しかいないので、十分私一人でも食事は作れる。

 妖怪の首を刎ね、急所や弱点の近くの血管を切って、血を別の容器にいれる。
 人間とか鳥なら首を刎ねれば大体の血が抜ける。でも、妖怪は人間に身体構造が近くても循環が心臓まで行ってなくて、足なら足で手なら手で一周する妖怪や、体の上下で構造が別物とか、それぞれの部位に体があって合体して一つの妖怪、なんてよくある事だ。
 そして、腸詰にすると歯ごたえが抜群で美味しいので、腸を毒や血がが抜けるように無味の薬草に漬け込み、消化器官や毒、酸などの入った内臓は取り除く。取っておけば、後でパチュリー様や妹様が魔法の実験に使うだろう。使わなくても、悪魔へのお供え物にでもするだろうから、捨てずに別のところに置いておく。

 人ではないが妖怪は十人十色。種族は妖怪でも中身なんて全部バラバラだ。
 だから、肉の血の気を抜くには、切り刻むのが一番早い。だけど、それだと使える料理の内容も限定される。
 なので、妖怪の弱点や急所を見極め突いて殺す事。その事に特化した私の仕事になる。

 妖精は非力で覚えが悪く、一匹一匹の特徴を見極める選定眼を持ちながら、固い肉体の妖怪を解体する事なんて不可能に近い。
 だから、私一人でやる事になった。
 どうせ、肉質なんかも一人で見極める事が出来るんで、一人で作った方が早いって理由もあるが。

 今日の妖怪は全部で八体。徒党を組むのはいいですが、この程度の実力では百体程はいないと私は殺せません。
 その事を理解してくれるといいんですけどね。なんて思いながら切り刻んでいく。


 部位ごとに切り分けたので、今日の献立を考える――今日のは筋張ってるから煮込んで肉質を誤魔化し、野菜を庭から持ってきて洋風野菜煮込み。それと、外にあった花と果実でも使ってデザートでも作りましょう。
 二品しかないが、今のお嬢様なら何も言わないだろう。

 献立が決まったら作っていく。
 妖怪は変化や努力が嫌いだ。武術を使い努力をしている私でも例外ではない。だから、妖怪は料理なんかの作り方を一度覚えればその作り方を忘れない。
 その気になれば、大体の料理なら久しぶりに作っても百年以内程度なら同じ味が出せる……同じ材料を使った話なら、だが。
 つまり、後は作業だ。火力なんかも無意識で調整できるので、考え込んでも無意識でも同じように作れる。
 アクを取る事とか、材料によって違う事以外なら。の話ではあるが。

 ――野菜を切って、肉は刻んでたので水を入れて沸騰させた大鍋に入れる。
 肉の血は、気で内部の血管を圧迫して細部まで抜いた。なので、血なまぐさい煮込みができる事も無い。
 後はアクを取りながら、デザートの下ごしらえをしてしばらくとろ火で火にかける……肉質が筋張ってそうなので長時間煮込まないと固いだろうし。
 そして、大鍋の内部に気で圧力を加える。昔、霊夢が紫さんに聞いた、外の世界の便利な調理器具の方法だった。
 一応、その調理器具……圧力鍋は今は幻想入りしたが、自分で掴んだ感覚の方が上手く出来る。
 ちゃんと、空気が逃げるようになってはいるし、実際効果があるからこれでいいはずだ。

 後は、アクを取り終わって頃合を見計らい、軽く炒めた野菜たちをいれる。
 予想以上に肉の色がアレだったので、誤魔化しの意味を込めて、収穫してたトマトでトマト煮にする。

 赤色なので、血を少し大量に入れる。色が色なのでお嬢様も大量に血が入ってる事に気づかないだろう。
 今のお嬢様は咲夜さんの事で血が飲めないし、血の匂いを感じない。だから、丁度いい。
 
 鍋の状態に気を遣いながら、デザートを作っていく。
 今日のデザートはパイにしよう。

 ――そんな感じで調理は終わった。
 出来上がった料理をメイドに頼み、持っていってもらう。

 これで、今日の私の仕事はお終い。後は念のための門番警備。
 そんな事を思いながら門につく。

 やる事もないので目を閉じたら、昔の事が浮かんでくる。

 咲夜さんが来た時や、霊夢達と異変で初めて会った時。
 それからの宴会やパーティーの賑やかな日常。その宴会で霊夢に告白されたこと。そして、体が老いていく霊夢や咲夜さんと一緒にいた日々。

 時に笑いながら、時に泣きそうになりながら、時に嬉しくなりながら過去の楽園を思い出す。

――そして、霊夢と咲夜さん達が死んで幻想郷に与えた影響を……霊夢が死んでから一年経って、今の私の生きる理由を――約束を誓ったあの日を思い出す。



―――――……



 咲夜さんや、魔理沙さん、山の巫女の早苗さん。そして、霊夢が死んで幻想郷は変わった。

 最初に、異変解決のスペシャリストで、妖怪退治の専門家みたいな魔理沙さんが老衰で死んだ。
 他の二人の魔女や、色々な妖怪は彼女の死を悲しんだ……一部が受け入れられずに壊れたくらい。
 アリスさんは自動人形で魔理沙さんを作ろうとしてますし、パチュリー様は自分の魔法や悪魔との取引で、魔理沙さんを生き返らせる方法を毎日探している。
 ……魔女でない妖怪の私でもわかる。生き返らせることは出来ない。もし、姿形を復元しても、それはもう魔理沙さんではない。魂という中身は既に黄泉に渡った。そんな物を作れば、ただの形が同じ人形か、容器が似ていて中身が違う偽物でしかない。
 
 そんな簡単な事も分からないくらい魔女の二人には、それ位魔理沙の……大切な人間の死は堪えた。
 妖怪や魔女は、本来精神的な生き物だ。依存していた“モノ”……その人の全てや世界と同義である“モノ”がなくれば、消滅したり狂ったりする。生きてく価値を見出せずに。
 人で例えれば、物ならその人の全てだった事が二度と出来なくなる――例えるなら、腕が動かなくなった画家や、目が見えなくなり研究できなくなった研究者。ってところでしょうか? 生きてる価値が無いから死ぬのは、消滅する妖怪と同じです。
 者なら、最愛の人や依存してた人……特に、周りにその人しかいないと思うくらいの依存や愛。
 妖怪は、一度愛したり依存すると、二度と他の者に関わらなくても生きていける。二人でいるなら。
 本来なら、妖怪は寂しがり屋だけど、その状態なら満たされて生きていける。
 
 そして、二人の魔女は、一人で生きていると思ってるのに、本当は誰よりも他人に認めて欲しかったり、触れ合っていたかったりする。私の目に映る彼女達はそんな魔女だ。

 そうじゃないと、自分の研究の成果なんて後世に残したり、他の二人に参考で見せたりしない。
 理由なんて簡単だ、何でワザワザ一人がいいとか言うのに、自分から関りあうきっかけを提供して、研究内容――自分の手の内を相手に明かす?
 何故、関わらないのなら、他人に解読されないように暗号も使わず、魔法使いなら誰でも解るような言葉で、書物に自分の魔法の記録を残す?
 失敗が解るようにとか、自分で思い出せるように記録を残したい? 残念ながらそれは違う。
 理由は、簡単。魔女は記憶力が良すぎる。
 一度見た本の内容なんて、三百年程度なら覚えていられるらしいです。
 それに、必要な知識なら使用する。だから、忘れなんかしない。パチュリー様が、昔実験中に、二百年前もこの実験をしてその時は失敗した。とか、普通に言ってましたしね。生きる意味でもある魔法の事を忘れたりなんかしません。


  なら、なんで?
――理由は簡単、他人に認めてもらいたいから。

 そして、口では彼女達は魔理沙の事を嫌がってましたが、実際本気で嫌なら結界でも張るなり、全力で追い返すなり、私に全力で通すなとでも命令します。
 残念ながらそんな事も無かったですしね。
 
――理由は簡単、本当は寂しがり屋なんですよ二人共。

 まあ、こんな事を二人の前で言ったら、認めたくなくて私を殺すでしょうね。生憎、私は殺せませんが。

 でも、それは今はどうでもいいですね。そして、彼女の死によって同胞を退治され恨んでいた妖怪達が、魔理沙さんの家と墓を破壊した。
 その事によって自信を持った妖怪達は、少しずつ昔に戻っていった。
 過去に人間が必死に努力してる姿を嘲笑っていながら、その人間――魔理沙さん相手に恐怖してた妖怪達。
 そんな魔理沙さんの死は、妖怪達に効果が……特に低級の凶暴な妖怪達に効果があった。

 少しずつ、少しずつ凶暴な妖怪達は、昔の妖怪達に戻っていく。
 
――この時から、少しずつ、平和な幻想郷は壊れていった。




 次に、直接の面識は殆ど無かったけど、外の世界から来た山の巫女の早苗さんの死。死因は寿命。
 そして、早苗さんの死で、早苗さんは子供を残してなく、守矢の血は滅んだ。
 血が滅んだから新しく巫女を探そうとしても、信仰の関係上今は幻想郷でしか行動できない。つまり、残念ながら必然的に探せる範囲は狭い幻想郷の中に絞られる。
 そんなに都合よく見つかるはずも無く、守矢の二柱は巫女を失い信仰を昔のように得られなくなった。
 そして、徐々に力の無くなっていく二柱を、信仰する人は少なくなっていき……最後は消滅した。


 二柱の方は、いずれ信仰を無くし消滅することに納得していたんだと思う。
 そうじゃないと、子供を残さなかった早苗さんを許さなかっただろう。子供を残さなかった理由は、早苗さんが愛したのは妖怪で同性。子供なんてできるはずも無く、出来ても半妖だから巫女にはなれない。
 そこまでは霊夢に聞いて知っていた。だから、それ以上の事は想像でしかない。それでも、実際には納得していたんだと思う。


 そうやって、幻想郷のパワーバランスの一角を担っていた守矢の二柱は消えた。
 そして、妖怪の方も早苗さんのいない世界に絶望して、後を追って消滅した。そう霊夢は言っていた。
 
 二柱は消えパワーバランスが崩れる。近くの山には天狗がいるが周囲の妖怪はあそこを無法地帯に変えた。

――人間の力は、どんどん、落ちていく。少しずつ、今までは対等だった人間と妖怪の関係が壊れていく。




 そして、咲夜さんが死んだ。彼女の死因は過労。

 咲夜さんは年老いても働き続けた。彼女の生きがいは仕事……お嬢様に仕えること。
 故に、お嬢様も休めと懇願してはいたが、彼女は働き続けた。最後の時まで。

 そして、限界が来て倒れて、二度と目を覚まさなかった。

 お嬢様と咲夜さんは互いを愛していて、共に依存していた。
 でも、お嬢様は最後まで咲夜さんを眷属にはしなかった。咲夜さんが人間として生きる事を望んでたから。

 咲夜さんは「私は、人間だけど、お嬢様にとっては特別な存在。
 そして、お嬢様との恋愛に関しては、人間で主従だけど対等の関係で愛してもらえる。勿論私も愛してる。
 もしも、悠久の時を吸血鬼として、お嬢様の僕として、特別でもなんでもなくって、ただ共に生きてるだけの私でいたら、お嬢様は私に飽きるかもしれない。そんな事嫌なのよ。愛してくれてるのなら、人間として……そのままの私を愛して欲しい」それは咲夜さんの口癖で……そう、咲夜さんは望んでいた。
 お嬢様もこの話を聞いて『十六夜咲夜』が好きだったから考えを尊重する事にしたらしい。

 そして、咲夜さんは死んだ。最後までお嬢様に尽くして。
 咲夜さんが死んだ事を認めたくなくって、お嬢様は変わって……精神が壊れてしまった。

 最初の変化は、人間の血が飲めなくなった。
 食事を出したメイドが、料理に人間の血を混ぜたら戻したらしい。
 想像だが、自分の愛した咲夜さんと同じ人間。その人間の血を飲めないんだろう。

 試しに、妖怪や妖精やの血を混ぜたら大丈夫だった。
 妖怪は精神的に生きてる。普段の妖怪は人間の想像や見た目どおりだが、精神が変われば本質が変わる事なんて普通だ。
 だから、人の血ではなく妖怪の血を飲む吸血鬼になってしまった。

――それくらい、深く愛してたんでしょう。咲夜さんの事を。

 普段は部屋から出ずに引きこもり、外に出たら皆に咲夜さんの事を尋ねて周る。
 そして、毎日咲夜さんの絵を書いたり、咲夜さんへの思いを詩にして想像上の咲夜さんに聞かせてる。喜ぶ咲夜さんに褒めて貰う。そんな想像の中で生きている。
 一時期、専属の従者がいないから専属の従者になって、一週間ほどそんな様子を見ていたが、ある日全てを思い出したのか泣き叫び始めた。しばらくして泣き止み、私を見て「違う……お前は咲夜じゃない……咲夜は咲夜は何処? ねぇ、美鈴。咲夜は何処なの?」
 そう言って咲夜さんを探し、いないと認めたくなくて気絶する。それが一週間ほど続いたが、ある日また元に戻った。

 私はこの二人の絆には立ち入れない。咲夜さんの変わりになる気はないが、私では変わりなんて無理だ。
 そして、私は専属の従者を止めた。お嬢様にその事を話すと「それよりも、咲夜は?」って言われた。

 今思えば、パーティーなんかをよく行った理由は、咲夜さんと一緒に楽しみたかったのかもしれない。
 パーティー時の二人は本当に楽しそうで、咲夜さんもお嬢様の我侭に答えて一緒に楽しむ事が好きだったらしい。
 そのせいか、咲夜さんが死んでからパーティーなんて行われない。
 我侭も言わなくなった。精神が壊れたからだと思ったが多分違うだろう。
 もう、共に楽しみたい相手がいなくて、自分の願いを聞いて叶えて欲しい人がいないからやらないんだと思う……本当に、お嬢様は心の底から愛して、依存していたようですね。


――こうして、紅魔館は壊れた。正確には当主のお嬢様が……だが。





 そして、最後に歴代の博麗の巫女の中でも最強だった霊夢の死。死因は……妖怪に殺された。

 咲夜さんが生きていた頃、老いていく霊夢さんと共にいる事をお嬢様に頼んだ。そして、私許可された。
 ……もっとも、一週間に二日だけですけどね。

 でも、咲夜さんが死んで、私は紅魔館の事で忙しくなった。
 霊夢と一緒にいたかったが、霊夢に話したら怒られた「私なんかに構わないで、美鈴は美鈴のやるべき事を全力でやりなさい。そんな貴女が私は好きだったんだから」と、そう怒られた。
 本心は最後の時まで一緒にいたかったが、霊夢に言われた事だ。紅魔館を立て直した。

 メイド長の咲夜さんの死。それに伴う館の縮小……元々の紅魔館は二階建てで、一階三十部屋+地下部屋+地下の図書館+妹様の地下牢で、使ってない部屋も多かったからそれは大丈夫だった。
 そんな事はどうでもよく、一番の問題はメイド達の憧れで、一番仕事してた咲夜さんの死。

 それによる他のメイド達への影響は痛過ぎた。まず、咲夜さんが死んでメイドの三割が辞めた。
 それでも、まだ館のメイド達の仕事は私も手伝い上手く回った。

 次に、従者が減れば一人当たりの仕事は増えて、忙しい環境。これで、また最初の三割位の妖精が辞めた。
 そして、最後に……咲夜さんが死んで、壊れたお嬢様の姿を見て、残ったメイドの半分位は辞めた。

 そうなれば、必然的に忙しくなる。咲夜さんの後任のメイド長も、その状態で無理に働き倒れてしまった。

 となれば、体力の一番多い私が、仕事の量を増やさなければならなくなった。
 ……だから、最初は週に一度は一緒にいれたけど、段々二週に一度と延びていき最後は月一程度になった。

 妖怪達が、未だに現役だった霊夢を襲う事もあったが、霊夢の強さは知っていてどこか安心してた。
 ――霊夢が妖怪に殺されるわけない……と。心の底から思ってて忘れていた。彼女の弱点を。

 瞬間移動して、彼女の放つ弾幕は自動追尾、使用可能回数は限られるが問答無用で封印する夢想封印。
 これだけ聞けば、昔の霊夢でも。例え、今の老いた彼女ですら殺せるものなんていない……そう思える。

 でも、そんな今の彼女にも致命的な弱点はある。
 それは簡単。
 一つ目は、今の彼女は霊力が切れたら、普通の人間より少し強い程度の老母になる事。
 二つ目は、昔と変わらない反応速度でも、彼女の反応速度を超える妖怪には歯が立たない。
 
 一つ目は、弱点ではあるがまず起こりえない。霊夢の霊力は老いてもかなり高いからだ。
 霊力がなんて、例に出すなら、夢想転生を五分位使い、夢想封印を三十体位に連続でした時くらいだ。

 それよりも問題は二つ目。霊夢は妖怪じゃない、人間だ。ゆえに人間の限界を超えられると勝てない。
 例に挙げるなら、霊夢の強さの一因でもある瞬間移動。

 彼女の瞬間移動を簡単に説明すると、完全無意識で発動し、自分ではまっすぐ動いたとしか思ってない。
 ここまで聞けば弱点なんて無く思える……でも、問題がある。

 彼女は自分で動くと思うか、動いたときに無意識で瞬間移動する。動いてなかったり、突然奇襲をかけられた時みたいに無意識の時に瞬間移動はしない……なんてことは無いような気や当たり前に思えるが大問題だ。

 彼女が瞬間移動するのは、動いた時のみ。座ってる時や寝てる時にいきなり瞬間移動なんてことはない。
 それに、いくら無意識で瞬間移動できても、心の何処かではたぶん理解して行ってる。
 そうじゃないと、あんな都合よくベストポジションに毎回瞬間移動なんて、都合よく行えるはずない。
 ……まあ、あの幸運で体が無意識でランダムに瞬間移動してて、たまたま毎度成功してるだけかもしれなかったけど。今はもう霊夢はいないし、私の分野でもない。本来、こんなのは魔女が研究するべき事ですしね。

 つまり、自分の考えで移動→実際は無意識で瞬間移動。みたいな事を行ってる……なら、ここで問題。彼女が移動や反応する前に動く事が可能な妖怪なら?
 例えば、吸血鬼や天狗。そして、私みたいに一部の速さや近接戦闘に特化した妖怪達。
 ……まあ、お嬢様や文さん達は気づいてないでしょうが。

 弾幕勝負は本気の遊び。速さと殺しを競わないからこそ彼女は勝てた。
 彼女が実際に、本気の吸血鬼や天狗を退治……本気の殺し合いをしたことなんてない
 いくら彼女が最強で、誰も触れられない夢想転生を持っていても、発動する前に殺されたら意味がない。

 そして……彼女は老いた。性格は昔と変わらないけど、身体と霊力などの実力は流石に少し衰えた。
 かつては一時間は使えた夢想転生も、限界で十分程度までに落ちる位衰えた。
 それでも、現役で凶暴化していく妖怪を退治する。その姿に妖怪達は恐怖を覚えた。

 ただの老母に見えるのに、鬼神のような強さ。
 ただの人間の老母なのに反則的な能力。

 だから、目障りだったのだろう。霊夢を殺すために神社を襲撃した妖怪も多い。
 毎日とまでは言わないが、三日に一度位のペースだった。

 最初の頃は一緒に私も相手してたが、忙しくなり中々会えなかったから、ずっと霊夢が一人で退治してた。

 ――そして、二年近くたった満月の晩。その日は朝から、突然ただ無性に霊夢に会いたくなった。いつもなら、抑えて皆に迷惑をかけない時を作って会いに行っていた。でも、最近は一ヶ月近く会えなかったから、我慢も限界だった。
 久しぶりに霊夢に会うから、驚かしたくて夜に行くことにした。
 だから、仕事を終わらせてから神社まで全力で駆けた――神社の階段に着くと、神社から騒ぎ声と血の香がして……嫌な感覚が背中を虫のように蠢いて、胸騒ぎがした。
 限界を超えたくらいの全速で神社の境内まで行ったら……霊夢がたくさんの妖怪に囲まれてて――丁度、霊夢の胸が妖怪の手に貫かれた瞬間だった。

 そこから先はよく覚えていない。
 気がついたら周りにいた妖怪は全て死んでて、私の全身が紅く染まって手足が黒くなっていた。

 そして、霊夢は、痛いだろう、に笑いながら、胸と口から血を流して……冷たくなっていた。

 ただ、ただ叫んで、悲しくて、“冷たく”なった霊夢を認めたくなって、認めた瞬間霊夢ともう会えない事を……霊夢の“死”を認めるから認めたくなくって、ただ、ただ泣いた。比喩でもなんでもなく幻想郷中に聞こえるくらい、私の最大の声で泣き叫んだ。
 泣き叫んで、奇跡を信じて全力で永遠亭まで駆けた。
 胸を貫かれて体が血で黒く染まり、冷たくなってても今の霊夢は仮死状態だ。絶対に治せると信じて。あの医者なら、絶対に治してくれるって希望に勝手に縋って……そんな事ありえないのに。

 彼女に霊夢を見せた時……ただ、彼女は首を振った。

――それから先は覚えてない。気づいたら自分の部屋のベットだった――後でフランお嬢様に聞いたら、死んだように眠ってて三日ほど目を覚まさなかったらしい。
 目を覚ました瞬間、悪夢だと思って、霊夢に会いたくて彼女の元に全力で駆けた。なにもかも忘れて。

 博麗神社に着いたら、見かけない娘が巫女服を着ていて、八雲紫が一緒にいて……全てを悟った。

 気づいたらまたベットの上で、今度は一週間たっていた。

 今度は全部覚えてた。霊夢の最後も、神社の新しい巫女の事も。全部、全部覚えていた。
 そして、何も出来なかった自分が許せなくて、もう少し会いにいってればよかったと後悔して、彼女の元にもっと早く行けば助かったと思い、この現実を受け止められず死にたくなって、ただ声をあげて泣いた……それしか知らない赤子のように。

 もう一度神社に行き、新しい巫女と八雲紫に霊夢のお墓を聞き参りにいった。
 空は暑いくらい晴れてたのに、何故か雨が降ってきて……しばらく止まなかった。

 ――紅魔館に帰り、ただ認めたくなかった。

 彼女の事を考えて、思い出すのが嫌になって。考えた瞬間、最初に胸を貫かれた彼女と、最後の笑った彼女の姿を思い出して、呼吸が苦しくなって、ただ泣く。
 忘れたくて……でも、忘れたくなくって。本当はただ、守ってあげれなくてごめん。と一言謝りたくて……そんな事ももう二度とできない。その事実にまた泣く。

 私はそんな状態だったから、館の立て直しに、メイドと門番の仕事に熱中した。全てを忘れたくて。

 門番の仕事をしてて、「従者の人間が死んで、壊れて地に落ちた」そう、妖怪に噂されてるお嬢様の首を取りにくる妖怪を殺して、偶に全部食べて、凄く胸が苦しくなって突然視界が濡れて、声を上げて叫ぶ。
 そんな状態が一年続いた。

――――――……

 一年たったある日、冥界との結界が整備され現世と行き来が出来なくなる。そう、紫さんに言われた。
 整備される前日に、妖夢さんとは顔馴染みだったから、最後の別れに挨拶に行く事にしたが、お嬢様は壊れてて、パチュリー様は無関心。妹様がそんな事に興味ある訳も無く私一人で行く事にした。

 ――道中、私は考えてた。最後の別れで行って見たいなんて言い訳だ。私は種族上、死んでも冥界に行く事は絶対にありえない。地獄にも天国にも行けず、閻魔に会うことも無く罪を裁かれる事も無い。
 本当は妖夢さん達はどうでもよかった。もう何年も会ってないし。今更、最後に会っても何も変わらない。だから、多分自分の心を納得させる言い訳なんだ。
 本心はただ、霊夢の最後を思い出さず、純粋に最後に冥界で……あの楽しかった霊夢との日々と、楽しかった皆が生きてた日々の欠片を見たくて、冥界に行きたいんだろう。そう思った。

 ――そんな事を考えてたら、冥界……白玉桜についた。

 階段を登りながら、時々振り返り懐かしむ。
 この時、私は特に何も深く考えてなかった。ただ、懐かしい風景を見て過去を思い出していた。

――私は気づいていない

 霊夢と一緒にデートして来た時や、結婚するって言って幻想郷を周った時。そんな事を思い出す。

――懐かしいその気配に

 この時、何故か久しぶりに霊夢の事を考えても、霊夢の最後と最後の笑顔を思い出さなかった。

――ずっと求めていたその気配に

 ふと階段の上の方から、影がさした。妖夢さんか亡霊が迎えにでも来たのかと思い顔をあげ――

「遅いじゃない。ずっと、待ってたのよ。判決を受けて今日まで、毎日ずっと」

 ――そこにはずっと考えていた

「こんにちは、美鈴。久しぶりね」

 あの楽しかった頃と変わらない少女の姿で巫女服を着た

「…っ、あっ、あれ? 可笑しいわね? ここは感動の再開で、美鈴が泣くと思ったのに…私が泣いてるわ」

 もう二度と会えないと――触れられないと思ってた彼女がいた

「っ! 駄目ね私――涙が溢れてくる。心配させたくなくって、美鈴の前で泣かないって決めたのにっ…ッ」
 
 もう二度と謝る事も出来ないと思ってた彼女はそこで声を上げて泣きはじめて

「っ…お久しぶりです。れい…む……っ!」

 そして震える霊夢を前から抱きしめ――久しぶりの愛しい人の感触に私の目に涙が浮かび……零れ落ちた

――――――……

 あの後、二人とも泣き止んで、お互いに顔を腫らしてて、互いを指差し笑いあった。
 本当は聞きたい事はいろいろあった。何故いるの? とか、どうしてここに? とか。
 それでも、この平穏な時間が互いに酷く懐かしくて。そして、久しぶりに会った私達の口からでた言葉は昔の二人の事だった。階段に二人で座り、思い出を紡いでいく。

 初めて会った時。異変を解決して暫くの間、私に対しても何処か冷めた感じで話していた頃。
 館に来た霊夢に初めてお菓子を作ってあげて、美味しそうに食べてくれた事。
 告白された時や、一緒にいた日々。色々な思い出があったけど、大切な思い出のみに絞り言葉で紡ぐ。

 時々、私と霊夢が顔を赤くしたり、思わず笑ったり、私の失敗を思い出して霊夢が怒ったり拗ねたり……もう、二度とこないと思ってた日常に、再びいる今の状態が嬉しくて笑ったりした。

 そして、とうとう会話は霊夢の最後の時の話になる……その話をする前に、私は彼女に謝った。

「ごめんなさい、霊夢。私は貴女にずっと謝りたかった。
 あの日私がもっとはやくいってれば貴女は死ななかった。だから――ッ!?」

 謝ろうとして、言葉を話すため開いてた私の口を……霊夢の口で塞がれる。
 呆然として霊夢を見ると、顔を真っ赤にして口を開く。

「もう……一応恥ずかしいのよ? いい? 美鈴。私の死は私のせい。貴女には罪なんて無いわよだか――」
「違います!! あの時、私が霊夢と一緒にいれば貴女は生きていました。
 まだ、生きてたはずなんです。貴女の隣にいれたはずなんです。それなのに、私が驚かしたいから遅くに行ったから……全て、全て私が悪いんです」

 そう、あの時に朝から……速くに行っていれば未来は変わっていた。
 偶には我侭を言って、他の皆に迷惑をかけるけど会いに行けばよかった。許されなくてもそうしてれば……

「ハァ……美鈴一つ教えてあげる。貴女があの日の早くに来ても、次の日に私は殺されてたわよ。
 貴女は知らないでしょうけど、妖怪達はある時期から私達が二人でいるときに襲ってこなくなって、私が一人の時に襲うようになった。
 だから、私は美鈴があそこで来てくれて……最後の時に一緒に居てくれて感謝してるわよ。
 恨みなんて、これっぽっちも持って無いわ。下手すれば、私の最後は一人で妖怪に死体を食べられて、貴女に会う事も無く死んでたかもしれない。
 だから、私が恨むなんてお門違い。むしろ感謝してるわよ」

 私は霊夢に恨まれてる。もしそうだったら……それが怖くて、霊夢の最後をずっと思い出してたんだろう。
 霊夢は私を恨みなんかせず……私に感謝してくれてた。そう思うと心が軽くなる。

「ありが――とうっ!  れい……むっ――っ!」

 おかしいな。涙はさっき涸れたと思った。悲しくなんて無いのに。なのに、また溢れてくる。
 背中を震わせ、声は上げずに涙を流す私。そんな私を霊夢は抱きしめてくれる。

「美鈴、貴女は何も悪くない。あれは、ほぼ寿命みたいなものだったもの。
 実際、貴女が居ても一日、二日寿命が延びただけで、私の最後は一人だったはず……そっちの方が嫌よ。
 だからね、何も責任なんて感じないで微笑んでて。さっきもいったけど、貴女には感謝しかしてない。
 私の最後に、貴女が一緒に居てくれて、私は心の底から嬉しかった。だからね、ありがとう美鈴」

 霊夢にそう言われて、まだ涙を流してる顔だけど、たぶんぎこちないけど、笑顔を作って霊夢を見る。
 霊夢も、私の顔を見て微笑んでくれて、私は……あの日の私の罪は全て赦された気がした。

――しばらく経って、涙は乾いた。もう涙は流さない、そう心に誓った。
 そして、ずっと気になってた事を聞く。

「そういえば、霊夢? なんでここにいるんですか? 霊夢は……言いたくないですが、死にましたよね?」
「ああ、そうだった。
 紫~、どうせ聞いてるか見てるんでしょう? 後何分くらい時間あるかしら? 出て来て答えなさい」

 そう、霊夢が言うと三~四個したの階段の辺りにスキマが出来る。
「残りは、五分四十二秒よ霊夢。言う事があるでしょう? とっとと、言っときなさいな」

 そこまで言って、またスキマは閉じる。
 紫さんの言った、残り時間の意味がわからない。霊夢は死んで、たぶんだが今は亡霊で冥界……まさか――

「美鈴、後五分ほどでお別れよ。
 私は閻魔に裁判を受け、判決は転生になった。後五分程で転生の準備は終わり……私はいなくなる」

 霊夢のいった事を理解する……つまり、彼女とは本当にもう二度と会えなくなる。そういう事だ。
 霊夢の顔を見ると、彼女は何かの決意を固めた顔をしてる……私に話したい事はそれだろう。
 
「そしてね、美鈴。今は、一応昔のように結界を操って、冥界の結界を出入りできるようにわざと緩めてる。
 だけど、私が転生……現世に干渉できなくなったら、紫と新しい博麗の巫女に結界の管理権が渡る。
 そして、紫達は結界を完全なものにして、もう二度と現世と冥界の行き来を出来なくするわ。
 あっ、でもね、転生まで残り十秒になったら、紫が貴女を外に転移するようになってる。だから安心して。

 そして、本題よ。
 私は転生するわ。博麗霊夢としての全ての記憶を忘れ、今から次の生をうけるまでに、何年経つ事になるかはわからない。だけど、私は他の命に転生する。

――でも、必ず貴女に会いに行く。転生したら記憶を全て失うけれど、必ず貴女に会いに行く。
 例え、生まれ変わったのがまた人間でも、妖怪でも、神だったとしても必ず貴女に会いに行く。
 もし、無機物や八百万の神だったなら、何年かかるかわからないけど、また転生して貴女に会いに行く。

 だからね、お願いだから私の事を忘れないで。
 そして、貴女の元に行くから待ってて欲しいの。あの紅魔館の門へ行くから。

 だから、約束して。
 私が会いに行くまで、貴女は生きてあの館の門に居て。そして私を忘れないで」

 そんな事言われたら、期待してしまう。
 こんな事起こりえない。起これば正に奇跡。本当は霊夢も無理だと思ってるでしょう。
 極々稀に、前世の記憶なんかを持った人間や妖怪が生まれる事もある。
 でも、パチュリー様が前に話してたが、データによると百年に一人とからしい。
 本に、そう書いてあったそうだ……それでも、その僅かな可能性――今は奇跡にすら縋りたい

「わかりました。約束します。
 ついでに、私からの約束です。貴女が来るまで誰も侵入者は通しません。絶対に生きて館を守ります。
 そして、貴女と会うまで、もう二度と泣きません。例え、寂しくても耐えて見せます。
 だから、約束してください。絶対に帰ってきてくださいよ」
「わかったわ。美鈴が約束を守ったら会いに行くわよ。破ったら、しらないわよ?」

 そんな事を互いに笑いながら言って、ただ、今が楽しくて、笑いあった。

「霊夢……さよならは言いませんよ? また会うんなら、さよならじゃないですよね?」
「そうね……ねぇ、美鈴。私にキスして。貴女の事を私の魂に刻み付けて、忘れられないようにして」

 そういわれ、微笑んで、いってしまう貴女の唇に、私の唇を重ねた。
 ただ、触れるだけの……言葉にできなかった想いを込めた最後のキス。

 ――気づくと、霊夢の体がだんだん透明になっていく。どうやら、時間のようですね。
 そう思って唇を離し、口を開いて膨大な想いの中から言葉を紡ぐ。
 自然と涙は浮かばなくて、最後じゃない気がして、貴女をまた会えると安心させたくて、ただ、微笑む。

「霊夢……いってらっしゃい」

 霊夢も、笑ってくれて、昔のように楽しそうな笑顔で私を見てくれて 

「……いってきます。美鈴――」



 ――そうして、私は紫さんの手によって、外に転移した。

――――――……

 その後、外に出てから紅魔館の門まで送ってもらって、紫さんとあの楽しかった幻想郷の事を話した。

 そして、最後に――霊夢と、また会えると思いますか? そう訊ねた。

 紫さんは笑って――普通なら無理ですわね。でも、ここは幻想郷。外の世界から見たら非現実が現実で、非常識が常識な世界。信じてれば、奇跡は起こるかも知れませんわよ?

 そう言って「それでは、また会いましょう。紅美鈴。柄ではありませんが、願わくば今度は三人で」
 スキマを開き、いなくなった。


――――――……

 あの日の事をこうやって思い出す。それが、夜に何も無い時の日課だ。

 最後の霊夢との約束を思い出したら、その日に霊夢の事を考えるのはお終い。
 あまり考えすぎると、霊夢が今はいないことを意識しすぎてしまうから。泣きはしないが、やはり寂しい。

 そっと、目を開けたら、暗い闇の筈なのに星の光で明るい。
 綺麗な夏の星空を眺める。星座を思い出しながら、霊夢の顔を星で無意識に描いたりしながら。

 ――そして、ふと、頭上の月を見る。今夜の月は満月の紅い月……紅い月? 館から懐かしい気配がする。今は、もう変わってしまってて、感じられなくなった傲慢な夜の王の気配。まさか――

「門番のお勤めご苦労様。美鈴。
 なんだか、久しぶりね。こうやって話すの」

 そこには……昔と変わらない表情のお嬢様がいた。

「お嬢様!? ……失礼ですが、もう大丈夫なんですか?」
「フフフ……美鈴、私は気づいたのよ。想像の世界で溺れるのもいいけど、所詮想像でできた虚像のまやかし。それは、咲夜であって咲夜ではない。咲夜はもう幻想郷にはいない、その事実を受け止める事にした。
 でもね、探しに行ったら、また会えるかもしれないと思ったのよ。
 昔、咲夜は私が暇つぶしで外の世界にいた時に、偶々私に会い、私を殺そうとして負けて面白そうだから連れてきた。
 ……予感がするのよ。咲夜は今、外の世界にいる。私の能力や勘が告げる。

 だからね、ちょっと八雲紫に頼んで、外の世界に咲夜を探しに行って来るわ。だから、留守番よろしく」

 昔と変わらない、傲慢で、我侭で、突然無理や無茶な事を言い出すお嬢様。だけど、昔と変わらず人を惹きつける魅力がある夜の王。
 だけど、それが酷く懐かしくて……思わず泣きそうになる。

「返事は――紅美鈴?」
「――はい。わかりました、お嬢様」

「よろしい」なんて笑いながら言って、自分を誇示するかのように翼を広げ、旅立つお嬢様を見送る。
 だけど、何かを思い出したのかこちらを振り返る。

「そうそう、私の能力で先が少し見えたから話しておくわ。
 パチェとフランは二人で、今から十度目の夏にここを経つ。
 パチェ一人だと暴走するから、フランについていくように頼んどいた。

 貴女は、それを笑って送り出しなさい。そして、メイドを全部解雇して結界で館を凍結しなさい。
 貴女なら、それ位できるでしょう? この土地と湖なんかの気や、魔力を使えば。
 後、歓迎すべきお客様は殆ど来ないと思うから、全て追い返しなさい。
 歓迎すべきお客様も、一人を除き館には通さないでいいわよ。貴女が門前で相手しなさい」

 無理難題を言ってくれる性格は相変わらずで。だけど、何処かやっぱり懐かしくて。
 自分の主人が無理難題を言う時は、それを実行できると思ってるとき。つまり、信頼の表れ。
 ……それなら、従者として応えなければならない。

「知りませんよ? 私は弱いですから」
「本気じゃないからね。勿論、本気で追い返しなさいよ?
 一応、皆いなくなったら貴女が当主代理なんだから。職業門番の当主代理だけどね。
 ――とにかく、任せたわよ。下手すれば、暫く帰らないからよろしくね。
 じゃ、また生きて会いましょう。美鈴。今度は皆でね」

「当主代理」って言葉に反論しようとして、私が口を開く前にお嬢様は前を向き空に浮かんだ。
 話しが終わったからか、昔のように不敵な態度で全力で空を翔けていくお嬢様。
 あっという間に、姿は見えなくなって、消えた。

「仕方が無いですね。主の頼みです。応えて見せましょう、その命令」

 そして、門番業務を再開した。

――――――……

 あれから、十度目の夏になった。あの日から特に変わった事は無く、何時も通りの門番とメイドの兼任生活だったけど、今日は朝からフランドールお嬢様が門に来た。

「美鈴、私とパチュリーは今日から魔界にいく事にしたわ。
 互いに研究が行き詰ってて、息抜きに本場の魔法の世界……魔界にいってくる。
 お姉さまが私とパチュリーに「研究に行き詰ったら、餅は餅屋。木は森に――って言葉を思い出しなさい」って言ってて、魔法といえば魔界だと思ったからね。

 すでに、魔界神とは交渉してて、許可も貰ってるの。図書館と地下の私の部屋を転移させる事もね。
 だからね、安心していいよ。それと、館は結界でも張って凍結しといていいよ。
 一応、結界の本を置いとくね。血や雨に濡れても、戦闘に巻き込まれてボロボロになったり燃えても大丈夫なように、私が魔法でコーティングした、手書きの写本だから安心していいよ。

 たぶん、向うで研究しだしたら、学ぶ事が無くなるまでいるだろうからさ、百年位帰らないけど、私達の帰る場所だから凍結してる館の事はよろしくね。
 ――向うにいれば、パチュリーも魔理沙を生き返らせるのは不可能だと、ちゃんと認めて昔みたいなパチュリーに戻ってくれるだろうしさ……案外、魔法の研究をしだして、帰るのが更に延びるかもしれないけどさ。

 やっぱ、何時帰ってこれるかはわからないよ。だけど、ちゃんと帰ってくる。
 ……じゃあね、美鈴。また会おうね。今度は紅魔館の皆でさ」

 フランドールお嬢様は、笑いながら私に告げて屋敷に戻って行った。

 そう言った、その日の夜。フランドールお嬢様とパチュリー様は地下と共に、魔界へ転移していった。

 次の日に、お嬢様の行った通りに妖精たちを全て解雇した。意外な事に皆不満そうだったが、凍結して館に入れなくなる事と、お嬢様たちが帰ってきたら、また雇うと言ったら納得してくれた。
 やっぱり、お嬢様たちには、他人を惹きつける魅力みたいなものがあるらしい。

 次の日に、結界の本を読み始めた。知識は少しあったので、千ページを超える本だけど、読み終わるのに三日とかからなかった。

 そして、周辺の見回りをしながら、紅魔館の壁沿いに本を読みながら術式を書き、妖怪の襲撃してこない時間を見計らって、紅魔館の中を一度キレイに掃除する。
 そして、結界を私の気や妖力と、この地から気や魔力と、妖力を供給するように術式を書き足していく。

 理由は簡単。私の気や妖力だけだと、結界が弱すぎるからだ。少し名のある妖怪なら結界を壊せる程度に。
 だから、紅魔館の土地柄湖に近い。その湖を利用する事にした。
 湖には川が流れてきてるが、湖につながる川は大体人がいたり気や魔力や障気が濃い場所に繋がっている。

 博麗神社や、魔法の森、人里や、妖怪の山に、今は無き守矢神社。
 つまり、ここは大地を流れる気や魔力、妖力、川に流れて湖に集まり、他の場所へ流れていく通過点。
 だから、土地柄に湖周辺は魔力や気が多く、それにつられた妖怪や、妖精達が集まっている。
 そんな場所だから、気や魔力の供給も不可能では無い。
 これなら、霊夢や紫さんみたいな結界に詳しい人か、それなりに強い妖怪くらいしか通れない。

 本当なら、山で龍脈が流れてる方がいいが、この土地なので仕方が無い。
 空間を凍結する最後の式を書き、気と妖力を込める。

 ――少し、不安定だけど一応成功した。

 この結界は、私が死ぬか気等の供給が切れた時。それか、私の意志で解除しないとまず破られない。
 名のある妖怪……例えば、紫さんや、今は滅多に幻想郷に来ない鬼の萃香さんや勇儀さん。天狗や、蓬莱人。それと、地霊殿の人達。後は幽香さんや、アリスさん位でしょうか?
 この人達なら、よっぽどの事が無い限り、ここに来て結界を解除するか、私を殺そうとはしないでしょう。

 後は霊夢に会うまで、誰も通さないで生き残り、再会する。

 何年かかるか……本当に会えるのかもわからない。
 それでも――私は信じる。霊夢にまた会えることを。



―――――……



 あれから、かなりの季節が過ぎた。
 二十回目の夏を境に数えるのを止めたけど、更に倍位の時が過ぎてもおかしく無い気がする。

 弾幕ごっこなんて一部しか守らなくなった、無法地帯化した今の幻想郷。
 そんな幻想郷で、私は今日までまだ生きてる。

 あの後、私しかいなくなった紅魔館の噂は広まって、その地位を狙う妖怪がけっこう来る。
 勝てば、紅魔館と私を殺したって実績が手に入りますし。
 今日も今は太陽の位置から朝の八時くらいなのに、丁度十体ほどの相手をし終えたところだ。


 ――血を浴びて、緑の服が、紅から黒に染まってるので体と服を清めるために、気を操り箱の形にして、湖から水を汲み少し離れたところで服と体に流す。
 その間が暇なので、今の生活について考える。


 襲ってくる妖怪達は、基本的にいなくならない。三~四日に一度くらいのペースでくる。
 その妖怪達を殺し、同胞を殺され復讐にくる妖怪をまた殺す。
 今度は、殺した妖怪達の血の香に誘われて来て、正気を失ってた妖怪は気絶させ元に戻し帰す。それ以外の私を殺す気だった妖怪は殺す。
 そんな事をしてると、名があがるので純粋に力試しに来る妖怪は生かす。稀に、力試しと言って徒党を組んで殺しに来るが、その時は殺す。

 殺すことに、いい加減疲れてくる。毎度毎度殺すのは、いい加減嫌になってくる。
 妖怪は本来なら、戦闘では殺せないと人間達に思われてるが、実際は心臓と脳や急所などの弱点を全部破壊すれば大体死ぬ。吸血鬼などがいい例だ。首を刎ね心臓を清めた白木の杭で刺す。みたいに一応殺せはするのだ。

 碑田の一族や、上白沢慧音さん達は普通は殺すのは不可能と人間達に教える。
 理由は簡単……人間には高い身体能力を持つ妖怪の急所や、心臓や脳を壊すのが不可能に近いから。
 霊夢や、魔理沙さんみたいに特殊な人間でも無いと、ただでさえ人間より高い身体能力をもち、その上魔法や能力を使う妖怪を殺すことなんてできないから。

 可能と言ったら、人間達は少し弱い妖怪なんかは殺そうとするだろう……無謀すぎる事なのに。
 もし普通の人間が、徒党を組むか罠や武器を使って殺すのに成功しても、同胞や仲間にいずれその人達は報復されて殺されるだろう。
 下手すれば、その人の家族や一族、住んでた村や里まで巻き込まれかねない……いくら、慧音さんみたいな人がいても、数で攻められたり同時侵攻されたりすれば止めれない。

 ゆえに、特殊な人間以外その事を知らない。

 妖怪にも、この事は口止めするように契約させられてる。
 破れば、その妖怪を紫さんが殺して、慧音さんが歴史を弄って、聞いた人間のその時を無かった事にする。
 そうなってるから、一応人間達は知らない。


 ――流石に、昔はこんな殺伐とした事になると思ってなかったので、気が滅入ってそんな事を考えてた。
 血をつけて湖に入ると、人食魚なんかが襲ってくるので、ある程度取れたので今なら大丈夫ですね。
 湖に服のまま入り、全身や髪を洗っていく。


 服が破れたり、血の匂いや色が取れなくなると服を変えるが、今はまだ大丈夫だ。
 服の変えは、一応、森近霖之助さんってお爺さんに頼んで作ってもらうか、妹紅さんに頼んで慧音さんに、里の服屋で服を作ってもらってる……文無しなので、何か拾うか持って行って物々交換するか、妖怪退治を引き受ける事になるんですけどね。
 一度、鋭い爪を持った複数の妖怪に、服を裂かれ裸に近い状態になった時がありましたが、その時は霖之助さんに頼んだら無料で作ってくれました。

 最近は、三食妖怪肉や、服を変える対価が無くて血の匂いを撒き散らしてる事も多いですが……里に入れないので仕方ないんだが。
 今の私は妖怪を殺してるとは言え、人間からすると恐怖の対象です。服を変える時なんて、血の匂いが酷いから里に入れません。
 だから、人里に入れないから妹紅さんに頼んで、慧音さんに頼んでもらって、服屋に作ってもらったりするんですが。


 ――簡単に洗い終わって、湖からでる。
 そして、服と肌や髪に、気を纏い体から離す。こうすれば、水が取れて乾くので便利だ。


 門の前まで戻る。今は服も乾いてるので、門に背中を預け座る。
 そして……最近では珍しく、眠くなってきた。昼寝って訳でもないが、二度寝ってところでしょうか?
 多分、こんな時間に寝るのは魔理沙さんが元気だった頃以来だ。

 ……一応、気を周囲に巡らせ、目を瞑り、ゆっくりと、意識を手放した。


―――――……


 ……め……り…ん
 ちょ……め…い……りん

 ――なんだろう、誰かに呼ばれてる。

 だか……おき…さい……めいりん

 誰だっけ、この声は?

 起きなさいっていってるでしょう!? 美鈴!!
「わっ……って、なんだ、咲夜さんですか。今何時ですか?」
「なんだとはご挨拶ね。今は夕方の六時よ。パーティーするから、物を運んでもらうって言ってたわよね?」

 そうだった。今日はお嬢様がパーティーをするから、重い物を運ぶのを任されてたんだった。
「えぇ~っとですね、咲夜さん。パーティーの開始って何時からでしたっけ?」
「呆れたわねそんな事も忘れてるなんて。七時からよ、七時から」
 今は六時。開始が七時で、そこまで行くのに十分、運ぶのに五分位。準備して設置するのに二十分で、それから色々な物を持ってきて置いてタラ……
「すいませんでした~~!! 今から急いで行ってきます」
「ハァ~。頼んだわよ、本当」

 そこまで聞いて、全力で駆ける……このままでは遅いので気で力を上げて、足元に気を貯め「二歩一撃」の要領で踏み込んで、踏み込んだその瞬間気を爆発させる。
 これで、人間の達人の「二歩一撃」なら四~五mの踏み込みを今のこの状態なら五十m程度に延せる。
 限界は三百m程ですが、髪が紅くて瞳が翠の今の状態じゃ無理です。

 弱点は、歩いた後が爆発でクレーターみたいになる事と、爆発音が酷い事と、連続使用が不可能な所です。
 でも、足元に気の板みたいな物を作り、地面が爆発するのを防げるし、私の武術は五百年ほど使ってるので当然元の技を改良してて、少し負担が大きいが連続で使えます。
 ……音はどうしようもないです。他のメイドが何か何かと見に来てますが、私の姿を見て納得する。
 ――普段から、寝れる昼に寝過ぎてる証拠ですね。武術家として、少し反省しましょう。

 そうして、置いてある所に着いたから運んでいく。
 運び終わって、設置も完了する。

 後は、色々持って来るがそれも終わる……この状態だから流石に早いです。
 そうすれば、咲夜さんも準備が終わったのか私に話しかけてくる。
「お疲れ様美鈴。本当、何時もあれ位働いてくれればいいのに。
 まあ、それはいいとして、お嬢様も喜んでると思うわよ。なんせ、今日はお嬢様の誕生日だし」
「ですねー。お嬢様が喜ぶのは嬉しい事ですしね、従者ですし。
 まあ、この力はあまり使いたくないんですよ。長時間使いすぎるか制限解除すると、封印とけて紫さんに頼んで封印しないと元に戻れなくなりますし」

 そう、この力を使いすぎると私は戻れなくなる。昔のあの頃に戻ってしまうから、普段は使わない。
「ふ~ん。今度詳しく話して貰いたいわね。
 取り敢えず、門番なんだからお客様の出迎えしてきて」

 私は頷いて、門に戻る。
 道中皆忙しそうに物を運んでた。それを見ると、少し急ぐ気になる。

 さっきの「二歩一撃」を気を爆発させないで使う。
 これなら、少し早く着ける。

 門に着くと、開場三十分前なのにお客さん達が結構いた。

 プリズムリバー三姉妹や、妖夢さん達に、魔理沙さんとアリスさんや紫さん達。閻魔様や死神さん。
 永遠亭組みや、天狗と鬼達。地底の妖怪に、チルノちゃんやルーミアちゃん達。河童や厄神もいる。
 そして、幽香さんや、早苗さんや二柱、人里の人間や慧音さん。皆楽しそうに待っていた。

――そんな、皆の姿を見て、違和感でも有るのか、何故か少し頭痛が走った

「まだ、三十分前ですよ皆さん?」
「何言ってるんだ、楽しい事があるときは早く行くに限るだろう? と言う訳で酒でも飲んで待ってようぜ」

 そう言って、持ってきたお酒を飲み始める魔理沙さん達。
 そんな所は相変わらずですね。

――まただ、また違和感がある。“相変わらず”なんて、昨日も一緒に宴会したのに……宴会? あれ? 何処で宴会したんでしたっけ?

 何か、致命的に違和感が有るが、私には何もわからない。
 魔理沙さんが中心にいる今に違和感が――誰かが足りない。
「あれ、誰か足りなくないですか?」
「そうかしら? これで全部じゃないの紅美鈴?
 誰か、私達が知らない新しい妖怪でも来るのかしら?」
「いえ、そんな事無いんですが――」

 誰かがいない。でも、皆には誰かが分からない。と言うより皆いると思ってる……私の思い違いですか?
 確か、黒い髪で、冷めて無愛想な顔した――

――思い出してると、今度は、頭に、酷い頭痛が走る

 間違いない、今思い出した人がいない。
 でも、あんな印象的な人を忘れられる訳無い。私だけではなく、皆覚えてるはずだ。
 ……となると、あの頃の私の知り合いか、殺した人間?
 紫さんが知らないなら、私と出会って無い頃だから、千五百年以上前の人?
 いや、違う。あの人は最近会った。

 思い出せ、思い出すんだ。他人の目なんか気にしないで、思考の海に潜り思い出す。
 最近なら、スカーレットと一緒にいた頃? いや、違う。
 スカーレットといた頃から、私は門番だ。そうすれば、あの人は館の人になる。
 それなら、あんな人がいたらスカーレットは紫さんに紹介してるだろう。
 そんな話を紫さんと一度でも話した記憶は無い。

 幻想郷に来て、私は最初に何をした?
 契約の対価にこの辺りの妖怪を虐殺した。それなら、彼女は殺した妖怪?
 いや、違う。記憶の中の彼女は人間だった。人間は千五百年近く一人も殺してない。

 その次は紅霧異変。
 確か、魔理沙さんと――彼女がいた。私は門の前で彼女に始めて会った。
 そう彼女の名前は――博麗霊夢。全て思い出した。
 彼女との日々を、一緒に居た日々を、ここはまやかしの世界だと。


――そう思ったら、周りが白くなる。そして、一度だけ“私”が昔死ぬ前に会った“人”の形になる。


【貴女は私のお気に入りです。昔、あの状態であの世界で貴女は気を狂わせずに生きていた。
 本来なら、精神が壊れてもおかしくない状態だったのに。溺れても可笑しくないのに。
 その呪いは解けないけど、一度だけ機会を与えたのに、貴女は彼女達を守るために再び紅に染まった。
 綺麗なキレイな色をしていたのに、その身をその中の一つの紅に……やがて、黒に染めてしまった。
 だから、貴女はお気に入りなんです。

 そして、彼女も私のお気に入りです。彼女の幸運は私の加護ですから。
 特殊な人間として生まれ、賢者に拾われ巫女として育った。でも、そんな彼女を見るのが楽しかった。

 ――だから、もう二度と私に会ってはいけませんよ。それでは、お帰りなさい元の世界へ】

 彼女……“  ”の言葉が分からなくて、ただ白かった世界が黒くなっていって。上に浮遊して行くような感覚を味わってる気がした。
 ――ただ、なんとなく“  ”に感謝した。



―――――……



 目を覚ました。何か重大な夢を見ていた気がしたが、覚えていない。
 周りを見て、太陽の位置と光から今が丁度お昼時だとわかった。

――懐かしい感じがした

 森の……丁度屋敷の正面。距離にして三百m位に気配を感じた。

――昔毎日のように共にいたあの人の気

 誰が来るのかは、わかった。間違えようがないから。

――あの楽しかった頃と変わらない気配

 ただ、距離が近づいてくる。向うは歩いてて、木が邪魔で姿は確認できない。

――間違えようも無いあの気配

 泣かないって誓ったはずなのに、目から滴が落ちる。

――彼女も同じように泣いてて

 距離はもう離れていない。涙を止め、彼女のために微笑む。

――彼女も涙を止めて笑った気配がして

 あの楽しかった頃と変わらない少女の姿だけど、巫女服は着ていなくて。

「おかえりなさい――」

「――ただいま」 

――ただ、互いに言葉を交わした。
取り敢えず、 正 直 す い ま せ ん で し た 。

この小説ができた経緯は四日前
めーさく書く→行き詰って息抜きに世界樹を弟に返してもらう→鹿に殺される→久しぶりにFOEをニコ動で聞く→タグからしっこくハウスを見る→大百科からバーボンハウスを思い出す→一番の最初のを思いつく→書いたら短すぎて足す→息抜きにウテナのDVDを見る→こうなった\(^o^)/

反省はしてる、後悔はしていない。

これ書いてる時に命令って変換しようとしたら、最初にメイレイがでるんだ。
それと、最後の人“  ”は“女神”です。霊夢の幸運は神に愛されてて、それは女神の加護だったんだよって妄想したら気づいたら書いてた。
反省はs(ry

咳酷くて、熱が8度あるんで誤字脱字の修正は明日します。
序盤は推敲してるけど、最後の方はまだやってないんで(ナラアゲルナヨ

次は今書いてるめーさく仕上げて投稿します。

最後に、メイレイもっと流行って。メイレイいいよメイレイ
電波@はまじ葉留佳
http://yakumohamazi.blog133.fc2.com/
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コメント



0.1120簡易評価
7.100名前が無い程度の能力削除
メイレイはいいものですはい。
そうか…こーりんもおじいちゃんになるほどの時間が経ってるのか…
霊夢が転生しても美鈴のことを覚えてたのは…それを問うのも野暮か。
11.無評価名前が無い程度の能力削除
どんな作品を書こうと作者様の自由だということを承知で少し偉そうなことを書かせて頂きます。
まず超展開、超設定についていけませんでした。個人的には、超展開自体は悪いものではなくそれに説得力を持たせられなかったところがこの作品の惜しまれるべき点だったと思います。淡々と物語が展開していく中で、なんの前触れもなく霊夢との恋人設定が入ったり最後の女神?の言葉が出てきたり…
しかし何よりも残念に感じたのはあとがきを見たときです。一生懸命書き上げたわけではなく、勢いでやっつけてしまったということが良く伝わってきました。
次回作も書かれているということですが、次回作ではあとがきで言い訳する必要のないような仕上がりの作品を期待して待っております。
14.無評価名前が無い程度の能力削除
大丈夫

誰も命蓮寺なんか持ってないwww
18.10名前が無い程度の能力削除
う~ん・・・
23.80コチドリ削除
ラストで頭の中に『Nowhere Girl』(いえろ~ぜぶら様)がフェードインして来た時点で
こちらの敗北は確定した。

面倒くさい事も多いし、報われるとは限らないけれど
それでも捨てられないですよね、愛ってやつは。

次回作は万全の状態で仕上げられる事を願います。
初投稿、ご苦労様でした。
26.無評価名前が無い程度の能力削除
>※命蓮寺もってないんで命蓮寺キャラはでません

えっ
27.無評価名前が無い程度の能力削除
いろいろと酷いな
28.無評価名前が無い程度の能力削除
色々言いたいことはあるけど一言だけ。
永淋じゃなくて、永琳です。永遠に淋しいとかひどいじゃないか。
41.100名前が無い程度の能力削除
この話、超展開だけど、凄い好みの話でした。お疲れ様!
43.80名前が無い程度の能力削除
美鈴の一途さが美しかったです