Coolier - 新生・東方創想話

二人

2010/05/08 23:21:02
最終更新
サイズ
5.17KB
ページ数
1
閲覧数
598
評価数
5/21
POINT
760
Rate
7.14

分類タグ

春は恋の季節である。
誰がそんな事を言い始めたのかは知らないが、とにかく世間一般ではそう言われているのである。

幻想郷にも春がやってきた、ここの住人たちはそんな事には流されず、普段と同じように暮らしていた。ある二人以外は…


「うーん、何もすることがないぜ」

魔理沙は暇を持て余していた。
店には誰一人としてこない。異変も解決してしまった今、魔理沙にはすることがないのだ。

「一人でいるのもつまらないし、アリスと出かけるかな」

アリスと出かけるのは久しぶりだった。

早速アリスに家に来るように伝えた。
一時間ぐらいして、呼び鈴を鳴らす音が聞こえた。

「あ~誰だよ」
「ちょっと、アリスよ!あなたが呼んだんでしょ」
「待て今開ける」

 ドアを開けると、いつもよりちょっとおめかししたアリスが目の前に立っていた。

「どう?ちょっと服をいつもと変えてみたんだけど?似あうかしら」
「あ、ああ、似合ってるぜ」
「なんでそんな無愛想なのよー、ほらもっと見てよ」
「しつこい奴は嫌いだぜ」

「もー」

二人は春爛漫の道を歩いていった。
二人はしばらく何も話さなかった。話すことがないわけではない、話したいことが一杯ありすぎて、どれから話していいか見当もつかなかったのだ。それに、そんな話は二人っきりでした方がいいと、お互い考えていたのだ。

 すると、近くで妖夢の姿が見えた。一人で何かしているようだ。

「あいつ何やってるんだ?」

「聞いた話だと、何でも紫様を呼び捨てしたとかで、罰として掃除をさせられてるらしいわよ」

「私たちも手伝ってやるか、おーい妖夢―」

「私の意見を聞いてないでしょ!全く勝手なんだから」

 というわけで、二人は一緒に掃除を手伝うことになった。

「あなたは箒があるからいいけど、私はどうするのよ」

「もう一本ありますから、アリスさんはこれを使ってください」

 渡されたもう一本の箒はとても短く、所々が色あせていて、しかも毛の部分が非常に短かった。

「なんなのよこれ、すごくボロボロじゃない」

「それしかないので我慢してください」

「なんで私ばっかり~」

 それでもアリスは懸命にその箒で仕事を全うし、辺りは二人の手伝いもありだいぶ綺麗になった。

「じゃああなた達はあちらの建物の中を掃除してください、私はあちらのほうを片付けてきますから」

「こっちの方はあまり行ったことがないぜ」

「なんだかすごく不気味ね」

(くくく…計画通り。二人がすごく仲がいいのは知っています…あそこには私がたくさん幽霊を集めておきました…一体二人はどんな顔をして返ってくるのだか…)

 建物の中は、かび臭い匂いが充満していた。
窓には蜘蛛の巣が張っていて、いかにもなにか出てきそうな場所であった。

「こんな所早く出ましょ」

 魔理沙は気にせず掃除をしているようだった。

「大して自宅と変わらないぜ」

 その時、アリスの後ろで何か物音がした。
(うわっ!やめてよこういうの苦手なんだから)

 アリスは幽霊の類は苦手だった。今すぐにでも大声を上げて叫びたい。しかしアリスは必死でこらえた。そばには魔理沙がいる、こんな格好悪いところは見せられない。そう思うと、ここは必死で堪えるしかないのだ。

(ここは集中するんだ、集中)

 アリスは掃除に集中することにした。人間(と言ってもアリスは魔法使いなのだが)集中すると、周りの声は聞こえなくなるものだ。こうすれば絶対に音は聞こえない、これで大丈夫、アリスは確信した。

しかし今度は、目の前を白い影が横切っていった。
流石に視界に現れると思っていなかったアリスは、つい叫びそうになった。

(今度こんなことあったら…出ちゃう…)

 もうどこから恐怖が襲ってくるかわからない、アリスは激しく動揺した。
すると、何かがアリスの肩をとんとんと叩いた。

「うわーっ」
 アリスは失神した。

「どうしたんだ?後ろから声をかけたのに。妖夢のところまで持っていかないと」
 魔理沙はアリスを抱き上げた。その時、アリスの意識が戻った。

(これ、お姫様だっこじゃない!)
アリスは顔が真っ赤になった。こんなことをされるのは生まれて初めてだったからだ。

「やめてよ、恥ずかしいじゃない」

「良かった、意識が戻ったのか、心配したぜ」

「余計なお世話よ、ちょっと寝てただけだもん」

 本当は嬉しかったのに、つい言葉では反対のことを言ってしまった。
なんでいつも反対のことを言ってしまうのだろう、本当は素直に気持ちを伝えたいのに。本当の自分を見て欲しいのに。アリスは少し自分のことが嫌いになった。

「あそこの掃除はおわったぜ」

「そうですか、ありがとうございました」

掃除も終えた二人は、また春の道を歩いていった。
アリスは一人考えた、自分には勇気が足りないのだ。いつも相手がどんな反応するかが怖くて、受け身でばかりいた。そんなことではいけないのだ。ちゃんと自分の気持ちを伝えないと、自分はずっとこのままだ。

「ねえ、あそこで一緒にお弁当食べない? 」

「アリスからそんな事を言うなんて珍しいな、いいぜ」

 良かった、心からアリスは思った。
ここは辺りに桜が咲いていて、風光明媚な場所だ。

二人は木陰に座ることにした。木漏れ日が二人を優しく照らした。

「こうやってずっと二人でいられたらいいのにな」

突然魔理沙が言った。

「自分はアリスと違って人間だから、すぐに寿命が来て死んでしまう、アリスに与えられた時間はすごく長いけど、自分に与えられた時間はとても短い。だから自分はとても不幸な存在なんじゃないかって。」

「でもこうも思うんだ、与えられた時間が短いからこそ、いろんなことに気づけるんじゃないかって。時間が短くても、一分一秒を大切に過ごせたら、きっとそれは幸せなんじゃないかって」

 アリスは気づいた、いつか魔理沙はここからいなくなってしまうのだ。今目の前で話している、世界で一番いとおしい存在が消え去ってしまう。

「ねえ、魔理沙、言いたいことがあるの」

「何だ?」

「今までずっと言えなかったんだけど、私、魔理沙のことが好きなの。ほんとに今までずっと思ってたの。だから、そんな悲しい顔しないで…」

 そう言って、アリスは静かに口付けをした。

二人の間を、桜が優しく包んだ。
今回も恋愛ものを書いてみたんですが、やっぱり難しい!

自分は展開を焦りすぎるところがあるので、そこを改善したいですねー。
月時
private.square.izyoi@gmail.com
https://twitter.com/gettosan
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.470簡易評価
1.50名前が無い程度の能力削除
その物ズバリの題名なのに数ある創想話作品の中に同じ題名が無い事にびっくりした。
2.60不動遊星削除
面白い作品でした。ありがとうございます。
展開を焦ると言うよりは、カメラ・アングルが動きすぎるんだと思いますね。カットごとの長さより、センスごとの安定感を追ってみた方が良い気がします。たとえば、アリス・マーガトロイドの視点で作品を捉える時、言葉の消費が少なすぎるので、ちょっと読者が付いていけないと思います。言葉は無駄遣いした方が良く映えるものです。尺を足そう、展開を伸ばそうとするのではなく、まずは1つの場面語り尽くす事から始めましょう。たとえば、幽霊がアリス・マーガトロイドの後ろを通り過ぎる場面を200文字で表すとかですね。

「そばには魔理沙がいる、こんな格好悪いところは見せられない。」

 この1文からでも変えようはあると思います。

「右を振り返れば魔理沙の金髪がゆらりと暗闇に揺れて見え、場違いなほどのん気な鼻歌がカビくさい空気をふるわせている。もしここで叫び声を上げたら……そんなことは私のプライドが許さない!」

 とかね。まあ、あくまで私観ですが、ちょっとでも参考になれば幸いと思ったまでです。ご容赦を。

とまれ、面白い作品でした。また会いましょう。では。
3.70へたれ向日葵削除
展開が少しばかり早いように感じました。
ですが、内容はほんのり甘くて、こういう雰囲気大好きですね。
恋の話は魔理沙にもってこいですね。

「聞いた話だと、何でも紫様を呼び捨てしたとかで」
アリスが紫様と呼ぶのに少しばかり違和感を感じました。

言いたいことは分かるのですが、少し違和感を感じたので……。
15.50名前が無い程度の能力削除
魔理沙がアリスを誘って散歩に出たのも、妖夢の手伝いを名乗り出たのも偶然なのに
「計画通り」ってどういうことなの…

しかも、わざわざそんな計画を練っておいて、出てきた二人に対する反応が
「そうですか、ありがとうございました」だけってどういうことなの…
16.60ずわいがに削除
妖夢について疑問があります
まず何故紫を呼び捨てにしたのか? そして手伝ってくれた二人をそんな場所に行かせたのか? しかも二人の反応に関心は無かったのか?
――です
せっかく作品に出したのですから、もう少し気を配ってあげて下さい^^;

アリス可愛いですね
最後の展開はかなり良かったです!b