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東方幻葬郷 EX最終話~その後~

2010/04/29 22:26:28
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このお話は前作「東方幻葬郷 最終話~幻想の終わり~」の後の話です。
正直「つまらなくてもいいよ。」という人だけ進んでください。
読む前に言っておきます。
本当にすみません。










答えが――――欲しいか?
答えが欲しいなら――――くれてやる!!



「これで……終わりかしらね。」
「お疲れ様です。紫様。」
そう言って藍は卓袱台の上にお茶を置いてくれる。
「でも……よろしかったのですか?」
「何が?」
「とぼけないでください。正直なところ私は……あなたが怖いです。」
正座をして膝の上にある藍の手が震える。
「……蒼のことね?あれはしょうがないことよ。」
「それはわかっています。ですが、まさか蒼まであの世界に置き去りにするなんて……」
さっきとは違う震え。
怒りによる震え。
「藍!!」
そう言われてビクッと体を大きく震えさせる。
「……わかってます。紫様はこの為だけに蒼を……」
そう、蒼は……
私の作った、幻想の存在。
「彼女は最初からこの世界に存在していないわ。全ては、幻想よ。
彼女が怒るのも無理はない。
彼女の妹のような存在を、私は……殺したのだから。
まるで、使い終わったティーバッグのように、ただ不要になったからと。
「蒼は重大なミスを犯したわ。その存在を知られてはいけなかったのよ。」
「あなたの目的は何なのですか!?長い間あなたの傍にいましたが、これほどまでにあなたを理解出来なかったことはありません!!」
夜の静寂が場の空気を包み込む。
「……答えが、欲しい?あなたは本当にそれを望むのかしら?」
目の前の式が無言で頷く。
「幻想郷の妖怪全てに同じ事をやってきて、なぜ文だけをもとの世界に帰したか、わかるかしら?」
「……彼女が、ジャーナリストだからじゃないのですか?」
「それじゃあ口封じをした意味はないでしょう?文は、最も多くの妖怪と関わるからよ。」
「……申し訳ありませんが、意味がわかりません。」
やはり藍では理解出来なかったか……
「そうね……幻想郷は、あの世界だけで成り立っているわけではないのよ。」
「確かに外の世界ともつながってますが……」
頭に大きな疑問符を浮かべているのがよくわかる。
「いいかしら?私は幻想郷を元にあの世界を構築したでしょう?あの世界も幻想郷とつながっているのよ。」
そう、まるで影のように。
影が変化したのならその元となる存在もそのように変化しなければならないが、変化は最小限に留めてあるため
妖怪たちは確かな記憶は無くとも感覚的にはあの世界のことを覚えている。
「元の世界に帰った文が私の言った通り口外しないとは限らないわ。でもね、聡明な彼女のことよ。今度は妖怪らしく、とは何かを考えるとはおもわない?」
「そして色々な妖怪に取材に行くと?」
「彼女の取材は妖怪とは何たるかを問うものになるわ。それこそが私の望みよ。」
「……彼女の取材で本当にそうなるでしょうか?」
「なるわ。大事なのは『意志』よ。」
人間の『意志』が大きな力をもたらすように、妖怪のそれもまたしかり。
「この世界でも忘れ去られてしまったら、妖怪の存在できる場所は……無いわ。以前、博麗神社に、神になった悪霊がいたでしょう?」
「ええ、天に神と認められはしたが、信仰を集めるには至らなかったなかった……」
「彼女と同じよ。私たち妖怪は、人間がいなければ生きていけないわ……だから妖怪一人一人が自覚を持たなければならないのよ。」
そう、妖怪の役割というものを……
彼女が消えたあの日、私は誓ったのだ。
「もう誰も私の愛した幻想郷から消させたりしないわ!!」
言い終わってからなんだか急に気恥ずかしくなって紅くなった顔を見せないように藍に背を向ける。
「藍、話は終わりよ。出掛けてくるわ。」
まだ納得は出来ていないようだったが無理やり話を終わらせる。
まだ、『真実』は話すべきではないだろう……
「どちらへですか?」
「決まっているじゃない。霊夢を可愛がりによ。」
私の可愛い霊夢と一緒に居られる時間もそう多くはない。
「楽しい時間ならなおさら短く感じられるもの。」



「この世界の私はまだ『真実』を話せていないわね……」
私は覗き込んでいたスキマを閉じ、そう呟いていた。
「無理も無いわね……私だって最初は認めたくなかったもの……」
あんな残酷な『真実』が『事実』になった今でも、信じたくはない。
「この幻想郷が……いえ、言葉にするものではないわね。あなたも、そう思うでしょう?」
そばにいた彼女に同意を求めるが、彼女も決めかねているようだった。
「あなたも元の世界に帰りなさい。」
そう言って、彼女を元の世界に送ろうとする。
「紫様、最後に一つだけいいですか?」
彼女は今まで口を挟んでこなかったが、せっかくだから聞いてあげることにする。
「私は今まで紫様に連れられて射命丸文の見た世界を見てきましたが、あなたの言う『真実』とは?」
「根本的な質問ね。『真実』とは……妖怪の滅亡よ。」
いえ、妖怪だけでなく神も霊も天人も魔法使いも、人間以外の、滅亡。
「私の居た世界はすでに手遅れだったわ……」
「そうだったのですね……わかりました。それでは紫様、ありがとうございました。」
そう言って彼女はスキマを潜る。
「さよなら、外の世界で忘れ去られた人間。」
「……という夢を見たのよ。」
「夢オチですか紫様……」



結局なところ私にも紫様の考えていることはわかりません←オイ
創想話に投稿したのはこれで10作目ですが……
私なりに納得の出来る作品を作ることが今の目標です。

今まで読んでくださった皆様
今まで評価を下さった皆様
今までコメントを下さった皆様
ありがとうございました。
ちょっとした一言
「勿忘草の花言葉は『私を忘れないで』」
それでは皆様、お元気で。
勿忘草
[email protected]
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コメント



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4.40コチドリ削除
「男は黙ってサッポロビール」
11.無評価勿忘草削除
コチドリ様
残念ながら私は未成年なのでお酒は……
こんな話に付き合ってくださってありがとうございます。
12.90陽のあたる丘削除
いつも,「みなも」と名乗るものです.

これより後に書かれた作品のコメントを先にしたのですが,やはり
わかりやすくすれば,と思います.
「この世界の私はまだ『真実』を話せていないわね……」
この行の視点の転換について行くのに苦労しました.

また,自分の書いたものに「つまらない」とおっしゃっていますが,自分の手で作り出したものは,きっと誰かを楽しませることができると信じてあげてください.それの欠点がどれだけ目立とうともです.
勿忘草さんは将来,親になるのでしょうがその時,自分の子供の欠点が見えたからといって,その子が成功する,人の役に立てる,たくさんの人を愛し愛される,と信じてあげないのですか?それと似た部分があると私は思うのです.

私の正直な気持ちを書かせていただきました,僭越でしたらご容赦ください.
14.60ずわいがに削除
うーん、どうせ付け足すならもちょっと詳しい話が読みたかったですかねぇ;

妖怪が消え去るまでに、藍は紫の考えを理解出来るかな
16.100名前が無い程度の能力削除
最初の一文… どこのナノマシン漫画ですか!w
しかし、ここにきて話をひっくり返すとは…
いやはや、こうきたか~w