Coolier - 新生・東方創想話

乙女の血が欲しい

2010/04/26 23:55:41
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運命を操る程度の能力。


皆はこれを聞いてどんな能力を思い浮かべるだろうか。
文字通りに解釈するならば、何者にも負けず、どんな状況でも勝てるという恐ろしい能力だ。
しかしそんなことが現実的に考えてできるわけがない。
それならば、未確定ないくつかの未来の中で自分の都合の良い未来を選べる能力だろうか。
そんな能力があるならば私は幻想郷になんて来ないで世界征服をしている。
欲深く考えるなら、金運等を操り宝くじや株式等で大もうけする能力だろうか。
これも違う、そんな便利な能力ならやはり私はここに来ていない。
解釈のやり方は人それぞれであり、どんな能力かは私以外誰も把握していない。
実際の所、
妹のフランも、私の親友のパチュリーもその司書の小悪魔も、メイドの咲夜も、門番の美鈴も誰も私の能力を理解していない。
私も説明する気がないから、未来が全て見える能力ということにしている。
そのため何か事件が起きると最初から起きることがわかってたような態度を取り。
悲劇が起きたとしても「運命は変えられない」などといい、黙って詰られる。

しかしここで思い出して欲しい。
私は吸血鬼だ。
日光に弱く、流れ水を渡れず、にんにくや鰯の頭が苦手と割と弱点が多く。
怪力で、蝙蝠になれる。
そして誰もが浮かべる吸血鬼の特徴の吸血行為。
簡単に吸血行為と言っても、吸血鬼以外にはわからないが奥が深い。
人間の血の味は生活態度、血液型、食料、年齢などでだいぶ変わる。
私が好きな血液は早寝早起きのA型、菜食主義の十七歳八ヶ月の女性の血だ。
しかし、この他に何より大切なものがある。
あまり人前では言えないが、吸血するに至り大切なもの
そう、それは乙女であるかどうか。
乙女か乙女では無いか、これによって味は変わる。
どれくらい違うかというならば、旬の魚か、一ヶ月ほど経ち腐った旬の魚。
それぐらい味が変わるのだ。
だから私は乙女の血を好む、しかし乙女の血より美味しい血というものも存在する。
そうそれは乙女が乙女で無くなる瞬間の血だ。
あれほど喉越しがよく、濃厚で格別な血はあの瞬間の血しか無い。
少食の私は血を余り吸えない。
だからまずい人間の血でも口直しをする前に満腹になってしまう。
だからこそ、細かい味に拘りをもっているのだ。



話を元に戻そう
ようするに私の能力は、血を吸おうと思う人間が乙女か乙女じゃないかがわかるという能力なのだ。
私のような吸血鬼にとってこれほど最高の能力は無い。
しかし人前で
「乙女かどうか判断できる程度の能力」
こんなことはいえるはずが無い、私は花も恥じらう乙女なのだ。
だから私はこの能力をごまかす方法について必死に考えた
そして思い浮かんだのが名前の変更。
それっぽくてかっこいい名前を名乗っておけば、私のカリスマが維持できる。
そしてできたのが「運命を操る程度の能力」なのだ。

これならば当主としての面目が立つかっこいい能力で、なおかつ私のカリスマオーラが出ている最高のネーミングだ。
私が幼い頃からカリスマ当主を目指すに至り、徹底的に訓練したことは。
1、威厳のある話し方
2、クククの笑い方
3、運命を操る程度の能力を持っている振り
この三点だ。

この三つを徹底的に訓練した結果により、私は紅魔館当主としてのカリスマ当主の座を手に入れた。



しかしこの乙女かどうか判断できる程度の能力には致命的な欠陥がある。
考えて見て欲しい。

「ねぇパチュ、何か面白いことは無いかしら」
「特に無いわね」

こんな風な会話を日常を送っていた乙女だった親友が突然乙女じゃなくなった衝撃を。
あの時はショックが大きすぎて、いつの間にかテラスから身を投げ
太陽の光を全身に浴び消滅仕掛けた。
ぎりぎり美鈴に助けて貰わなかったら危なかったわ。

「お嬢様自殺行為ですよ!」
「………」
「なんでこんなことしたんですか!」
「ごめんなさい…」
「もう少しで完全に灰になるところだったんですよ!」

意識を取り戻すと美鈴に説教された、パチェはいつものように本を読んでいた。
しかしこの日常、前日と違い大きな違いがあることを知っているのは私とパチェ本人だけだ。
そうして私が呆然としていると、愛する妹のフランがやってきたの。

「お姉さま大丈夫?」

心配そうなフランを見てあまりに可愛くて、吐血したわ。
別にフランまで乙女じゃなくなってて、少々がに股気味で部屋に入ってきた絶望感で吐血した訳じゃないわ。
私の能力はきっとおかしくなってしまったのよ

そうして十日程寝込んだ私は自暴自棄になり妹を幽閉した。
私は悪くない、私は悪くないんだ。
寝込んでる最中にフランが太陽の下にでて消滅する夢があったのが悪いんだ。
だから必死に抵抗するフランと、初めて感情を荒立ててるパチェの大反対を受けたけど
「フラン、貴方が滅される運命を見てしまったの…」
そういい、無理やり納得させ幽閉した。
数日経ち正気に戻った私は、幽閉を止めさせようとしたが

「私あの部屋が気に入ったからあのままでいいよ」
「フランがそういうなら私もその意見に賛成ね」

いつのまにか妹を呼び捨てにしていたパチェと、何故か首元に縄の跡がある妹を見て私はそれを許可した。
その後も時折パチェが夜地下へ訪れ、朝まで出てこないことを知っているが。
私は何も見ていない、何も見ていないんだ。


そんな事があり、毎日のように自殺したい衝動に駆られてた時拾ったのが、咲夜だ。
初めて出会った頃は全身傷だらけで、ボロボロで痩せこけていた。
腕の怪我を少し舐めさせて貰ったが衝撃が走った。
なんと素晴らしい味なんだ、幼少でこれなら私好みの年齢になれば神の味になるに違いない、と。
咲夜は私好みの顔立ち、私好みの血の味で、そうして私好みの乙女。
パチェから見せてもらった本の中に光源氏計画というものがあった。
親友と妹に何とも言えぬ、そう裏切られたような感じで傷心状態だった私はこの少女を自分好みに育てる。
そう心に誓った。
光源氏計画を思いついた人物は天才だ、私の当主の座を明け渡していいぐらいだ。
私はその日からキッチンと図書館に入り浸り、人間の教育と人間の料理について学んだ。
私好みの乙女で十七歳八ヶ月目の乙女の血にするために、
料理の材料はパチェに協力して貰い、作物を育てる魔法で人間の体に害が無い作物を。
その途中一部の野菜を生のままフランの部屋に持っていくパチェを私は見てみぬ振りをした。
咲夜の体のために人間の体に良い栄養バランスが取れた料理を自ら作り、
運動をさせすぎたり、運動させなさすぎて体を悪くしないように適度に運動させ、
病気にならないように一緒にお風呂に入り丹念に体を洗い清潔にし、必死に育てた。

太陽の下に出れない私は美鈴に運動を任せていた。
彼女なら気を使う力とやらで咲夜の体を常に健康にしてくれるだろうと。
それが最大の間違いになるとも知らずに。

自分好みの最高の血液が飲める。
怪我した時を例外とし、私は咲夜の血を飲むことはなかった。
そのときが来るまで我慢に我慢を重ね、最高の食事をただ待つ。
そう考え、その日も日の出前から仕込んでいた朝食を完成させメイドの部屋にご飯を持っていった。
そうすると何故か部屋から乙女だったはずなのに、乙女ではなくなってる美鈴がでてきた。
ベットに行くと咲夜は乙女じゃなくなっていた。
もうだめだ、死のう、私はそう決めた


「もう何も信じられない…」

あまりの絶望感に廊下を彷徨っていると、空室のはずの部屋から気配を感じた。
何故か妙に気になり部屋に入ってみると首を吊ろうとしていた小悪魔を見つけた。

「小悪魔なにしてるの!」
「死なせてください!私なんて私なんてぇぇぇぇ」
「ダメよ!どうして自殺なんてしようとしてるの!」
「レミリア様には私の気持ちなんて!」
「とにかくいってみなさい!」
「でも…」
「もしかしたら私がなんとかできるかも知れない、私を頼りなさい」
「……」
「お願い、言ってみて」
「……私が本の整理をしている時に……パチュリー様とフラン様が…」

小悪魔は泣いていた。
泣きながら、その言葉の続きを話そうとしたが私は止めた。
小悪魔は私だ。
私と同じ事で苦しみ、生きることが嫌になってしまったのだ。

「わかりませんよね、こんなこと…」
「わかるわよ…」
「嘘です!レミリア様に私の気持ちなんて!」
「私だって今さっき咲夜の部屋から美鈴がでてきたわよ!」

それから何をいったか覚えていない。
自分でも言ってることがわからないぐらい頭の中がぐちゃぐちゃだったのだ。
私はいつの間にか泣きながら、何かを喚いていた。
そんな私を小悪魔はやさしく抱きしめてくれた。
そうして私も抱き返し、二人で泣いた。

散々泣いたあと私は決心した。
逃げよう、私はここにいたくない。
「ここは悪魔の住む館なんだ、そう思わないか小悪魔」
「はいそう思います」
「よかったら私と一緒に逃げよう小悪魔」
「はいっレミリア様!」

そうして私と小悪魔の逃避行が始まった。




私たちは自由だ。
「あちゃちゃちゃちゃ太陽がぁぁぁぁぁ太陽がぁぁぁぁぁ」
「レミリア様ぁぁぁぁぁぁ」

一瞬で終了した。



どうもこんにちは。
今作品読んで頂きありがとうございます。
前作の幽香の秘密が四千超えて、首吊るぐらい嬉しくて。
感想が嬉しすぎてとにかく嬉しかったです、続き期待されてる方多いし頑張って書きます。
どうもありがとうございます。

本当ならこの作品が最初に投下される予定でしたが、色々危険な気配がしたので後回しにされました。
「処女作です」というネタのためだけに書き上げたこの作品、色々と問題な気がしますが覚悟はできてます。

誤字や指摘や評価をよろしくお願いします。

0:44 誤字訂正
ケチャ
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コメント



0.3740簡易評価
4.100名前が無い程度の能力削除
いやはや、凄すぎて何と言えば良いのやら。
微エロなストーリーも勢いも最高!!
前作も面白かったが、それを超えるクオリティだと思います。
特に、後書きでのオチがもう、ね。
5.100奇声を発する程度の能力削除
>幻想卿
幻想郷

ラストwwwww
凄い面白かったです!
7.100名前が無い程度の能力削除
NTRレミリア最高です
8.100名前が無い程度の能力削除
>「はいっレミリア様!」」
」が一つ多い

ここにも処世術で出世したものが1人……ww
オチがwwww
9.100名前が無い程度の能力削除
レミリアカワイソスw
10.100ぺ・四潤削除
おそらく誰も考えもしなかったパチュフラwww
そして夢にも思わなかったレミこぁwww
まさかのオチに大爆笑www
そして後書きの二段オチで呼吸困難www
畜生なぜこれを処女作にしなかったんだwww
してればもっとインパクトあったのにww
一つ言わせて貰いたいが、乙女と乙女がちゅっちゅすると更に乙女になるんだぞ!!

ところで『ケチャ』って女性のアノ日の隠語ですけどまさかそのつもりで作者名……
11.100名前が無い程度の能力削除
後書きでココア吹きそうになったwww
13.80名前が無い程度の能力削除
カリスマもクソもあったものじゃないなこの吸血鬼はw
16.100名前が無い程度の能力削除
前作もさることながら今回も面白かった!
うまいなあホントうまい
22.100名前が無い程度の能力削除
>色々危険な気配がした
馬鹿なっ、何故そこで怯んでしまったんだw
「私だって今さっき咲夜の部屋から美鈴がでてきたわよ!」でなんかよく分からない泣き笑いの表情にさせられたwww
23.90名前が無い程度の能力削除
乙女か否か判別出来る程度の能力とかどんな発想だよ……
また腹筋が鍛えられてしまった
33.90名前が無い程度の能力削除
落ち着けお嬢様www
確かにクククの笑い方って大事だw
42.100名前が無い程度の能力削除
パチュフラ、めーさく、レミこあ
誰一人としてあぶれなかった、さすが紅魔館だぜ!(マテ
47.100名前が無い程度の能力削除
バカスwwwwww
49.100名前が無い程度の能力削除
待って
これ俺全世界に公表できるレベルだと思うwww
久々に腹筋崩壊
50.100名前が無い程度の能力削除
メッチャ面白いww
最後とあとがきとで二重のオチww
52.100名前が無い程度の能力削除
泣いたw
58.100名前が無い程度の能力削除
声出して笑った
やべえ
59.90名前が無い程度の能力削除
パチェフラ自体滅多に見ないというのにその上背徳系だとw
お嬢様の能力にエライ納得しつつ他キャラ調べたらどうなるのか見たいw
62.100名前が無い程度の能力削除
あれ、お嬢様はBが好きって非公式だっけ
63.100名前が無い程度の能力削除
パチュリー様は攻めに限る
64.100名前が無い程度の能力削除
処女作だな
71.100名前が無い程度の能力削除
>「ここは悪魔の住む館なんだ、そう思わないか小悪魔」
おめーらだから!
73.80ずわいがに削除
マジかよwww紅魔館wwwwwゲスいwwwwていうかレミさん涙目wwwwwwうぇえwwwww

個人的にレミさんの能力はキング・クリムゾンの強化版だと思ってる
75.80即奏削除
これはひどいこれはひどいと呟きながら作品を読み進めていき、
あとがきで腹筋が光になりました。

このアイディアは凄いとしか言いようが無いです。
81.100名前が無い程度の能力削除
ははは、腹を抱えて笑ってしまったw
これを最初に投下しなかった、それだけか残念でならない。
……まあやったらやったでコメントが凄まじいことになったでしょうが。
83.100名前が無い程度の能力削除
これはひどい(褒め言葉
84.100名前が無い程度の能力削除
これはひどいひどいのう
87.100ピカドンじゃああああ!!削除
わろすわろすwwwwww
103.無評価名前が無い程度の能力削除
何でこんなの思い付くw