Coolier - 新生・東方創想話

記憶の欠片 前編

2005/03/01 06:58:58
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「お嬢様、ではおやすみなさいませ」
咲夜は、レミリアにお休みの挨拶を済ますと自分の部屋に戻った。
「ふうっ…お嬢様ったら、霊夢とあんなに楽しそうに…複雑な気分だわ…
 明日も、霊夢に会いに行くって言ってるし…」
咲夜はそんな事を言いながら睡眠についた。

ガタガタガタ…

「…ん?」
咲夜は窓が激しく揺れる音で目が覚めた。
シャッ…
咲夜はカーテンを開けて外を見た。
ピカッ…ゴロゴロゴロ…
「雷…ね、風もすごいし、今夜は嵐になりそうね…」
咲夜は外で尋常では無い量の稲光に目を奪われる。
「どうやら博麗神社付近で発生してるみたいね…
 霊夢と神主さんは大丈夫かしら?
 まあ、神主さんがいれば大丈夫ね、霊夢と違って頼りがいがあるし…」
咲夜はそう言い、カーテンを閉めて、再び、睡眠につく。
その一夜で幻想郷の歴史に関わりある事件が起きるとは誰も予想していなかった。




「お嬢様、おはようございます」
「おはよう、咲夜」
起きてきたばかりのレミリアに挨拶を交わす。
「ただいま朝食をお持ちしますので、少々お待ち下さい」
「わかったわ」
レミリアは席につくと、肘をついて待った。
「どうぞ」
「ありがと」
レミリアと共に朝食を食べる。
「お嬢様、今日はいつごろお戻りになられるのですか?」
「どこから?」
「?…どこからって、霊夢の所からですよ」
「霊夢?霊夢って誰?」
「!」
「私はどこにもいかないわよ」
「お嬢様、ちょっと失礼します」
「ちょっ、咲夜!」
咲夜はレミリアの制止も聞かず、博麗神社へと向かっていった。



「神主さん!」
「咲夜か…」
「霊夢はいる!?」
咲夜は神主の詰め寄る。
「君は覚えているのかい?」
「覚えているって?どういう…」
「霊夢は…幻想郷から存在が抹消された…」
「抹消ってそんな!」
「いまでは記憶が残っている方が珍しいんだ」
「昨日の嵐!」
「あれが前触れだったんだよ…誰かの仕業だ」
「なぜ、そう思うんですか?」
「霊夢は巫女です。
 職業柄妖怪や悪魔退治はしなければならない。
 だから、妖怪や悪魔に狙われていてもおかしくない…
 ましてや霊夢は修行しない…霊夢より実力がつく妖怪も例外ではない」
「まさか…霊夢よりも強い妖怪が霊夢を抹消したの!?」
「多分…あくまでも想像ではあるが…」
「…」
「そうだ…君みたいに記憶のある人を探してきてはくれないか」
「わかりました…できるかぎりあたってみます」
咲夜はすぐさまそれぞれの場所へと向かった。



「霊夢…君は…抹消されてはいけない…
 君は…これからの幻想郷を創造する者なのだから…」



咲夜はとにかく聞きまわった。
そして霊夢の記憶のある人物を見つけた。
「魔理沙!いる!」
「あー、どうした?メイド長。そんなにあわてて」
「霊夢の記憶、ある!?」
「なに言ってんだ、霊夢の記憶なんてあるわけないだろう」
「そんな…」
「霊夢の事は覚えているけどな」
「わかるの!?」
「そりゃあな。で、なにかあったのか」
「詳しくは博麗神社についてから連絡するわ」
「なんだよ、まあいいか。ついてくぜ」
魔理沙を加えて次の場所へ聞きに行く。



「なあ、咲夜?」
「何?」
「記憶とかなら慧音に聞いたほうがよくないか?」
「そうね…すぐに行きましょう」



慧音の護る村人に聞いてみた
「慧音さんはいる?」
少女に聞いてみる。
「慧音お姉ちゃんは奥の小屋にいるよ」
「ありがと」
咲夜と魔理沙は慧音のいる小屋に向かった。
「慧音、いる?」
「どうした、私に用とは珍しい」
「あなたの歴史の中に霊夢という人は存在する」
「霊夢?ちょっと待ってて…霊夢霊夢」
巻物を開いて確認する慧音。
(なあ、歴史を覚えている慧音がこんなんじゃ覚えていないんじゃないのか)
(まだ決まったわけじゃないのよ)
「私の歴史の中では霊夢という人物は存在していないな」
「そんな…あなたの歴史の中にもいないの?」
「残念だが…」
「わかったわ、ありがとう」
「悪いわね…協力できなくて」
「いえ、それだけで十分よ」
咲夜と魔理沙は慧音に挨拶を交わして小屋を出る。
村を歩いていると声をかけられた。
「どうした、咲夜に魔理沙」
妹紅だった。
「ねえ妹紅、霊夢、覚えてる」
「ああ、あの針投げてる奴だろ」
「覚えてるの?」
「ああ」
「ちょっと、来て」
「お、おい、ちょっと待てよ!」
妹紅を捕まえて博麗神社へと向かう。



「お、戻ってきましたか」
神主が見上げると三人いた。
「神主さん、記憶のある人を見つけてきました」
「まず、咲夜、魔理沙、えーと初めて目にしましたね」
「藤原 妹紅だ、よろしく」
「よろしくおねがいますよ、妹紅さん」
「でさ、説明してくれないか、神主さん」
「いいでしょう…
 まずは霊夢の記憶が幻想郷すべての者からなくなった
 そして君たちには記憶がある」
「ちょっとまて、私達にはなぜ記憶があるんだ」
魔理沙は問う。
「そうね…共通点…」
「人間って事?」
妹紅が言う。
「多分そうでしょう…妖怪、悪魔は全て記憶はないでしょう」
「私達三人で霊夢を助けなくっちゃいけないの?」
「おそらくそうするしかないでしょう…」
「でも、どこにいるんだ、そいつは?」
「目星はだいたいついています
 いくら霊力があっても幻想郷全てに影響を与えるのはほぼ不可能です」
「あそこね」
「霊峰山…」
「おそらく霊峰山のどこかに入口はあるでしょう」
「そうとわかればいくわよ!」
「ちょっと待ちなさい…これを…」
そういうと神主は霊夢の陰陽玉を差し出した。
「これは咲夜、魔理沙に一つずつのほうがいいでしょう」
「私には…?」
「あなたは強いですから必要ないでしょう
 それに…あなたは大事なひとからの贈り物があるでしょう」
「…そうだな」
「いくわよ…霊峰山へ!」
「「おう」」
咲夜、魔理沙、妹紅は霊峰山へと向かっていった。
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