Coolier - 新生・東方創想話

東方決闘談

2010/04/17 18:56:30
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ここは幻想郷の東端にある、博麗神社の境内。

そこで二人の少女が、トランプのような大きさのカードを並べ、向かい合っている。

―――――デュエル・マスターズ。一組40枚の「デッキ」を使い、対戦するカードゲーム。

外の世界で生まれたその遊戯は、ここ幻想郷へと流れ着いていた。

そしてたった今、その少女たちの戦いに終止符が打たれた。

「よっし!3連勝だ!」

黒を基調とした服に、とんがり帽子の少女、霧雨魔理沙はガッツポーズをとりながら言った。

「やれやれ……今回は惜しかったんだがねぇ」

その向かいでうなだれる少女、小野塚小町は、そう呟きながらため息をこぼした。

「さすが、一番初めに”これ”を見つけ出したやつは違うねぇ」

「へへ。まぁな」

始まりは、魔理沙が森でカードの入ったボックスを見つけたことだった。

霖之助に相談することなどによってルールを知った魔理沙は、あっという間にそれを習得し、広めていった。

デュエル・マスターズを行うもの、決闘者(デュエリスト)は増えていき、

カードも足りなくなっていったが、そこはやはりあの境界の妖怪の手によって

解決された(入手経路は本人しか知らない)。

そうして、幻想郷の者達の多くがデュエル・マスターズを楽しむようになった。

ちなみにそんな魔理沙、現在通算147戦138勝9敗である。

「よくもまぁ、毎日飽きないわよね。今日これで何戦目よ」

縁側で茶をすすりながらその戦いを見ていた博麗霊夢は、呆れたようにそう言った。

彼女はこのゲームにほとんど興味を持っていない。

魔理沙も何回か薦めたが、「興味が持てないから面倒くさい」の一点張りだ。

「そういうなよ。これだって弾幕勝負に負けないくらい楽しいもんだぜ」

「それにはあたいも賛同するよ」

「ふーん……」

やはり巫女の心情に変化はないようだ。


しかし、次の魔理沙の一言が、彼女を豹変させた。





「いや、いっそ喧嘩になったら弾幕勝負じゃなくて、これで決着をつければいいんじゃないか?」




「…………なんですって?」

霊夢がゆらり、と立ち上がる。

「……ど、どうした?霊夢」

なにやらただならぬ気配を感じ、魔理沙は恐る恐る尋ねた。

「…………私が苦労して考え出したスペルカードルール……

それがこんな簡単に塗り替えられて、たまるもんですかっ……!」

なにやらどす黒いオーラが全身から湧き出ている巫女。

「れ、霊夢?」

「……そうだ、こうなれば大会を開きましょう、デュエル・マスターズの。ただし!

私がそこで優勝したら、デュエル・マスターズは幻想郷から永久追放よ!」

「な、なんだって!? 本気かよ、霊夢!」

魔理沙は衝撃を受けた。いつもなら何事にも動ずることのないような彼女が、

こんな宣言をするとは思わなかったからだ。

しばし呆然とする魔理沙。しかし、その表情が笑みに変わる。

「……いや、いいぜ。私も実力を試したかったしな。

それに、霊夢がデュエマをやるって言うなら、大歓迎だぜ! 勝負だ!霊夢!」

「ええ、勝負よ、魔理沙」

二人はしばし、対照的な笑みを浮かべながら、相対していた。











そんなやり取りを傍目から聞いていた小町は、

自分がまるっきり無視されているという事実は気にせず、

その光景を面白がっていた。

「へぇ、面白いことになったねぇ。これは私も是非参加s」

「フム、最近サボりの頻度が増えたと思ったら、こんな遊びをしていたのですか。

偉くなったものですねぇ」




小町の頬をつっ、と落ちる冷や汗。恐ろしい、しかしよく知るものの気配。

後ろを振り返ることなく、小町は静かに尋ねた。

「……………いつから、ここに?」

「霊夢さんが大会開催の宣言をしたあたりでしょうか。唐突ですね。

あなたもそう思いませんか?小町」

「ははは……ここはあの二人のトラブルに白黒つけるべきでは?」

隙を見て逃げ出そうとするも、小町の首根っこは、すでに彼女が掴み取っていた。

「いえ、ここはあなたの断罪を先に済ませることにしましょう」

小町の顔が、一気に青ざめた。

「四季様、どうかお許しを!今までたまった分の仕事、今日一日で片付けて見せますって!」

「もうあなたの言葉など信じません!今日という今日は、覚悟してもらいますよ!」

「た、たーすーけーてーーーー!」

そんな死神の悲鳴も、渦中の二人には届かなかった。








幻想郷の一角。そこに、真新しいドームが聳え立っていた。

それほど大きくも見えないドームの内部は、しかし広大な面積を持っていた。

もちろん、瀟洒なメイドやサボり魔の―――先日の件の処罰によって舌が5mmほど伸びた―――死神の功績である。



楽園の素敵な巫女、博麗霊夢の宣言から、1ヶ月。

あのあと霊夢は、反対を押しのけ強引に大会を開催し ―――会談の中であのスキマ妖怪も「だって面白そうじゃない」

と賛成したためにただでさえ多くない反対派は諦めるほかなかった――― その予選大会が昨日、行われた。

予選大会に勝ち残ったベスト10が戦い、幻想郷一を決める。

いよいよ「デュエル・マスターズ 幻想郷最強決定戦」の決勝大会が開催された。

「では、第一回、デュエル・マスターズ、幻想郷最強決定戦を開始します!」

山の天狗、射命丸文がマイク片手にそう叫ぶと、群衆は歓声を上げた。

「まずは代表選手の紹介から。まず最初は、幻想郷でデュエマを見つけ、広めた元凶、いや人物!

最強となるのもやはり彼女か、霧雨魔理沙選手ー!」

現れた魔理沙の顔には期待からか、かすかな笑みが浮かぶ。

「次はこの人、この大会の発案者、しかし彼女が優勝ならデュエマは幻想郷から永久追放!

いったいどうなってしまうのか、博麗霊夢選手ー!」

霊夢は口を真一文字に結び、険しい表情をしている。魔理沙とは対照的だ。

他の選手たちも続々と入場する。

紅い悪魔。

その悪魔の近衛騎士。

魔法使いの人形師。

反人半霊の侍。

死神の亡霊。

幻想郷の不死鳥。

死体を操る猫。

人にして神の風祝。


「さぁ、代表も出揃いました。早速試合と行きたいところですが、先にルール説明です。

四季映姫・ヤマザナドゥさん、お願いします」

呼ばれた映姫は壇上へと上がった。

「はい。ではルール説明を行います。と言っても、基本的なルールは特に変わりません。

いつも通りに行っていただいて結構です。しかし今回は大会ですので、

全員が公平でなくてはいけません」

「ですから、注意事項は一つです。皆さんが持っている固有の能力を使うことを禁止します。

デュエル中、また控え室などでも使用しないでください。

特に十六夜選手や西行寺選手などの場合、何でもありになってしまうので気をつけてください」

「そんなこと分かってるわよ」

「あ、そっか、そういう手もあったわね~」

「……幽々子様、今気づかれたのですか?」

―――ちなみに咲夜が名指しされたのは、時間停止による反則し放題が可能なため(無論本人はそんな汚い手を使うつもりはさらさらない)、
幽々子は能力による連続不戦勝が可能なためだ―――

「不正が発覚した選手は、旧地獄の一泊二日ツアーですので。覚えておいてください」

もちろん普通の、ではない。

「もう一つ、今回の特別ルールです。今回、決勝大会に進出した皆さんの招待状に、カードが一枚入っていましたね?」

確かに魔理沙も持っている。幻想郷の者なら誰もが知る、――――――――の名を冠するカードだ。

「そのカードは、皆さんのスペルカードを元に作られたただ一枚のカードです。この大会でしか使えませんが、

どれも強力な効果を持つそうです。大事に使ってください。

なお、他人のスペルカードを使うことは禁止ですので、これも覚えておいてください」

以上でルール説明を終わります、と映姫は壇上を後にした。

「次に、主な係員を説明します。

司会、実況はこの私、射命丸文が行います」

「そしてこちらがカードやプレイングの解説を行っていただく、稗田阿求さんです」

「よろしくお願いします」

ほぼ全てのカードの内容を記憶した彼女。

自分の仕事の時間を削ってしまうが、楽しそうだから、と二つ返事でこの仕事を受けた。

「審査は、先ほどの四季映姫さん、そして小野塚小町さんが行います。係員の説明は以上です」

お辞儀をする二人。……魔理沙には心なしか、死神がやつれているように見えたが。

ここで魔理沙は、デュエルをする場所がどこなのかが気になった。

見回しても、台のようなものは見当たらない。 と、鴉天狗が再び話し始めた。

「次に、実際の試合のときについて説明します。今回の戦いは、この上で行います!」

すると、スタジアム全体が振動し始める。

轟音とともに場内の中心に現れたのは1つの巨大なテーブル。

しかし天板に描かれた線や、備えられた装置からしてただのテーブルでないのは明らかだ。

「これこそ、河童の技術力を駆使して製作された特製バトルフィールド!

なんとこれ、召喚されたクリーチャーが立体となって見えるのです!まさに迫力満点!」

文の言葉どおり、フィールドの上には巨大な龍の姿。魔理沙も納得の完成度だ。

おお、と群集からも驚きの声が上がる。

文はそこで一度言葉を切ってから、高らかに叫んだ。

「さぁ!用意は全て整いました。いよいよ試合開始です!第一回戦第一試合で戦うのは…………




霧雨魔理沙選手と、アリス・マーガトロイド選手だー!」

呼ばれた二人がバトルフィールドを挟み、相対する。

「いきなりアリスと対戦とはな」

「同感ね」

二人は互いのデッキをシャッフルし合い、シールドを展開する。 

そして手札を引き、先攻、後攻を決める。魔理沙が先となった。

「準備はいいですか。それでは、試合、開始ッ!」

――――――幕が、上がった。
SS書くのは初めて、このように投稿するのも初めてなのに、クロスオーバーです。
まだ続きが出来ていない(ぉぃ ので、分割して投稿します。
読んでいただきありがとうございました。


2010/4/18 追記
皆さんの意見を参考に加筆修正を行いました。
ここでの意見を再び参考にしながら、まずSSを書ききる事とします。
ありがとうございました。
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コメント



0.180簡易評価
6.40コチドリ削除
このお話の流れでは、デュエル・マスターズの魅力は伝えられたとしても、
幻想郷のキャラの魅力を引き出せるとは、正直思えないですね。
次回作の内容に、良い意味で裏切られることを祈ります。
「幻想の素敵な巫女」→楽園の素敵な巫女です。正式な二つ名ではなくても、幻想郷の素敵な巫女
じゃないと不自然かと。
9.30名前が無い程度の能力削除
読んで感じたことをつらつらコメントさせていただきます。

>現実世界
現実というより外の世界では?
>魔理沙と小町の登場部分
魔理沙に外見の描写があるなら、小町にも同様に描写を付けた方がバランスがとれるでしょう。霊夢もですね。
>紆余曲折
突っ込んだら負けかもしれませんが、魔理沙一人がやる分ならともかく、幻想郷中の人妖が遊べるほどの量のカードはどこから来たのか、どうやって広まったのか詳しく書いた方がよさそうな。
>大会開催まで
あまりに唐突ですが突っ込むのも野暮なんでしょう。
>自分がまるっきり無視されているという事実を頭の片隅に追いやりながらも、その光景を面白がっていた。
個人的には、この部分は逆接で繋がないで順接で繋いだ方が自然かと思いました。
>首根っこはすでに「彼女」が掴み取っていた
「彼女」のかぎかっこに特別な意味はあるのでしょうか。あまり必要性を感じられませんでした。
>断末魔
あの程度の悲鳴に断末魔は言い過ぎかと。死ぬ瞬間の最期の叫びですから。
>そのままの流れで、選手たちが続々と入場する。
会場の様子が全然分かりません。オリジナルの会場なんですから、詳しく設定を描くべきでしょう。

全体的に描写が薄いです。文章を読んだだけで、貴方の頭の中を知らない他人が貴方の作中の情景を想像できるのか、よく見直して考えてみるといいと思います。

慣れないうちは一話完結のお話を書いた方がいいと思いますし、この長さで分割すると不快に思う方もいますので、長めに書きたいなら全編書ききってから、必要に応じて分割してはどうでしょう。
14.10名前が無い程度の能力削除
あまりにも説明不足で展開が早すぎ。
それとキャラの描写が軽いし、その扱いから先がなんとなく読めてしまう。
発案者の魔理沙と、それに対抗意識を燃やす霊夢で決勝戦になって霊夢が優勝とかになるんじゃない?
安易に魔理沙とか霊夢を強キャラにしたがる作家が多いからなぁ

なんと言うか、主人公キャラ優遇のストーリーになりそうな匂いが漂っていて、イマイチ期待できん。
まあ、勝手な予想に過ぎないけど……

……とは言ってもこの手の話で魔理沙や霊夢が活躍するのはパターンだし、お約束みたいな部分もあるけど、他のキャラを蔑ろにするような展開にはして欲しく無いです。
16.80名前が無い程度の能力削除
懐かしいな……そうか、もう幻想入りしてたのか……
経験者としてはキャラの性格とか出てきやすいから面白くなるかもしれない
オチが読まれても過程で十二分に楽しませればいいと思うし、個人的には応援するよ
ただこの長さで区切るならプチでやるという選択肢もあるけど……
17.無評価名前が無い程度の能力削除
プチだろうとこっちだろうと作品を小分けしすぎるのはどうかと
貴方のブログ等でするのならともかく不特定多数の人間が投稿する場で細切れの作品(前、中、後にするぐらいならともかく)を投稿する事は他の人の作品が流れてしまう原因になります。 
よって、今回はフリーレスで
作品の着眼点は面白いと思うので完成に期待します。
19.70名前が無い程度の能力削除
前に遊戯王のSSがあったのでそれを参考にすると良いかもしれないですね。
21.無評価9削除
色々膨らみましたね。
もっとじっくり進めると良いと思いますよ。
話の流れは面白そうと思うので、完成に期待します。
23.50ずわいがに削除
ぬ、続くのですか
デュエマを知らない俺でも楽しめますかね?
今はまだ何とも言えませんが