Coolier - 新生・東方創想話

いままでありがとう

2010/04/07 00:17:54
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赤紫に染まった雲と山の端が交わる中、
その山のひとつに古ぼけた神社がぽつんと建っている。
赤く染まった境内の石床に、竹箒の軽快な音が響く。
まだ少し肌寒く、白い息がほう、ほうと吐き出されては消えて行く。
ひんやりとした空気の中、朝焼けのゆったりとした暖かさを背中に感じる。

ふと手を止めて、しばらく境内にある桜の木をぼんやりと見る。
桜の蕾はまだ咲こうとはしていない。

白い息は、一度長く吐かれて、竹箒の音と共にまた繰り返され始める。

もう来ることはない。
そんなことはわかっているのに______





私は始めて境内の掃除を途中で止めることにした。
母家に戻り、湯を沸かす。
二人分の湯呑を盆に乗せ、縁側へ向かう。



______おっ、サンキューな。



と、元気な声がもう一度聞ける気がして。



縁側に座り込み、一口飲む。
中庭に見える桜も、先程と同じく蕾のままでいた。


思い起こせば、共に死線を乗り越えてきた。

紅霧異変、春雪異変、永夜異変。
大結界異変に、山の二神との戦い、緋想天。
地霊の地上進出、そして星蓮船の戦い。

邪魔したこともあったが、一番お互いを理解し、高め合うことができる
最高の親友だった_____



湯呑みを置いて、冷たい床に横になる。


なぜか涙は出ない。





そうしているうちに、空気はだんだん暖かくなっていく。
朝日も山から顔を出して、みるみるうちに明るくなる。

すると、じゃり、じゃりと音を立てて、誰かがやって来る。
体をゆっくりと起こす。




そこには、黒い服装にエプロンをした、いつもどおりの彼女がいた。

そして、何も言えない私にゆっくりと近づいて、体を抱き寄せる。




「_____いままでありがとうな」



彼女の暖かさが、私にも伝わってくる。




「______おかえり____おつかれさま」



そう言うと、彼女はふっと笑い、体から光を発しながら消えていった。



「_____ありがとう」



頬に一筋の涙が流れた。

桜の蕾は、いつのまにか開いていた。
とある閻魔と死神の配慮。








___________________
こんにちは、初めまして。
asyと申します。
こんな駄文にレスして頂いてありがとうございます。

確かに終わり方が雑...ですね...
読んで頂くにはまだまだ至らない点がありますが、
経験を重ね、皆様の意見を参考に、精進していきたいです。
よろしくお願いします。
asy
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コメント



0.910簡易評価
6.70ストイコビッチ削除
配慮のウルトラCですね。
8.40名前が無い程度の能力削除
こういう表現も好きですが……
個人的にはもっと濃密に書いてほしいなぁと思ってしまったりします。

以下、個人的意見です。読み飛ばしても構いません。
描写が少なく読者に想像を任せる文章はある意味万能ですが、
作者さんの個性が見えない、誰が書いてもいい文章にもなります(どれだけ描写を少なく抑えて作者の個性、物語を表すかと言うのを目指すなら話は別ですが。
個人的には、やっぱり作者さんの描く物語をや心情に振り回されたいです。
もっと、貴方が書きたい事を様々なことを利用して濃密に書いてみてください。
読者は想像出来ます。後書きのえーき様とこまっちゃんの「配慮」はどうしてか。そんなに彼女達の姿が痛ましく見えたのか。具体的に痛ましく見える姿をもっと書いてみるとか。あるいは「配慮」と言いつつ実は彼女に脅されたのがキッカケですとか。
是非もっと、彼女達を貴方の想像する姿を文章で書いてみてください。
……長々と申し訳ありません。
「判ってるよ!」「今回のは意図的だよ」でしたら、本当にすみませんでした。

次回、密かにお待ちします。では、失礼しました!
10.50名前が無い程度の能力削除
綺麗なお話だけに、あっさりさせ過ぎたのが裏目に。
14.90名前が無い程度の能力削除
な、この一瞬で泣きそうになりましたよ。
でも過程もみて見たかったので90で
15.無評価名前が無い程度の能力削除
うそだ…涙腺が崩壊した
17.100名前が無い程度の能力削除
↑追加
21.80名前が無い程度の能力削除
さらっと終わるのも一つの美しさですがもうちょっとじっくり
見たかったかな、と。以下、評価に関係ない読み手兼書き手の主張。
自分の作品を駄文だなんて絶対に言うな。
22.100名前が無い程度の能力削除
簡潔で無駄のないストーリー
感動しました!
26.無評価エル削除
シンプルにスマートに、しかしアッサリで読んだ後にジワジワ味が染み出て来そうな感じを受けました
でも、正直な所もう少しボリュームが欲しかった所かなぁ・・・
28.70名前が無い程度の能力削除
霊夢と魔理沙が再会するワンシーンだけを切り取りたいならもっとその瞬間を濃密に書くべき。
そこに至る過程とか細かい理由はあると白けるだけだけど、見せたい所はもっと強調しても良いと思う。

ともあれ、綺麗なお話でした。
29.100星束 霊雨削除
魔理沙の「いままでありがとうな」でやたら泣けてきたので
文句なしに100点です。

泣きすぎで両目のコンタクトが外れて画面の文字読めない…
30.70ずわいがに削除
なんでや魔理沙
35.90非現実世界に棲む者削除
泣ける...(号泣)