Coolier - 新生・東方創想話

こいフラ!

2010/04/05 20:52:37
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「はあ~退屈だなあ~」

今日は曇りということもあり吸血鬼にとって過ごし易い天気
のはずだが浮かない顔をする吸血鬼が一人庭園でぼやいていた。
紅魔館の主レミリア・スカーレットの妹フランドール・スカーレットである。
彼女は少々気がふれているため長い間地下牢に幽閉されていたが、紅霧異変以来は自由に
館を闊歩出来るようになっている。
しかし、彼女の持つ能力ゆえか彼女に近寄ろうとする物好きはほとんどいなかった。(紅魔館の住人は除く)
妖精メイドにいたっては、顔を見ただけで逃げ出す始末だ。

「湖の方でも行ってみようっと」

色鮮やかな翼を広げ、上空へ飛び立ち湖の方へと向かった。
門番は昼寝をしているようで、彼女には気付かなかったようだ。
あとで、メイド長にたっぷりお仕置きされたのは言うまでも無い。


「はあ・・・つまんない・・・」

妖精達が何かしていたので自分も仲間に入れてもらおう
と声をかけてみたものの、妖精たちは一瞬で自分の前から消え去った。
やはり、自分の能力がいけないのだろうか?
いや、能力というよりも吸血鬼という種族にビックリして逃げたのかもしれない。
胸の辺りに手を当てる。
分かってはいたことだが、こうやって拒絶されると度に胸が傷むのには慣れない。



「・・・・・私もお姉さまみたいに異変でも起こしてみようかしら」

そうすれば、異変解決に巫女や魔法使いが自分の下へとやって来るだろう。
退屈せずに済むかもしれない。
でも、

「・・・やっぱ止めよう」

そんなことをしても何の意味もない。
一時の退屈を紛らわせるための異変なんか起こしても不毛なだけだ。

「そろそろ帰ろうかな」

と、翼を広げて飛び立とうとした時である。

「あら、もう帰っちゃうの?」
「うわっ!」

いきなり声を掛けられたのでかなりビックリした。
彼女はそれを見てクスクス笑っている。
自分の隣にいつの間にか黒い帽子を被った少女がこちらを見ている。
それに、左胸の辺りに蒼いボールみたいなものが付いている。
みたことのない妖怪だな。

「・・・貴女誰?」
「古明地こいし、地下の旧都からやってきたの」
「旧都?」

パチェに聞いたことがある、たしか地下には旧都という地上で忌み嫌われた
妖怪達が住む町があると。
一度、自分も訪れたいと思ったことがあった場所だ。

「貴女はだれ?みたところ妖怪のようだけど」
「・・・フランドール・スカーレット、吸血鬼よ」
「吸血鬼?わあ凄い、初めて見たわ!」

自分の身分を明かすと大抵の妖怪は一目散に逃げるはずなのだが
古明地こいしという妖怪は物珍しそうに自分を眺めている。
そんなにジックリ見られるとさすがに恥ずかしい。

「吸血鬼がそんなに珍しい?」
「うん、だって地下には吸血鬼なんていないもの」

そう言いながら翼を触ったり、揉んだりしながらこいし
は答えた。

「ふ~ん、ところで貴女はなんの妖怪なの?」
「私はさとりって妖怪なの、相手の心を読めちゃう妖怪よ」
「心を?」
「うん、でも私はその第3の目を閉ざしちゃったからもう読めないんだ」

こいしは自分のことを教えてくれた。
心を読めることでたくさん嫌な思いをしてきたこと、
第3の目を閉ざしたことでその能力が失われ代わりに無意識を
操る能力を手に入れたこと。
しかし、その能力のおかげで他人から全く干渉されなくなったこと、
こちらから話しかけなければ相手は自分の存在に気付いてくれないこと。

そして、何よりも自分が孤独だということ・・・・・・

「・・・・・」
「ごめんね、変なこと聞かせて」

こいしは笑いながらそう言った。
目のあたりが少し濡れているようにも思えた。
フランはこいしの境遇と自分の境遇が似ていると感じていた。

「やっぱり変だよね、私って」
「ううん、そんなことない。私も貴女と似た境遇だから・・・」

フランも自分の過去、境遇、能力をゼンブ話した。
ここまで包み隠さず話したというのは初めてかもしれない。
こいしは黙って聞いていた。

「そうなんだ」
「うん」

胸のうちをゼンブ話したことで心が軽くなった気がした。
二人はしばらく湖を眺めていた。

しばらくすると、こいしはスクッと立ち上がりこう言った。

「じゃあ、弾幕勝負でもしよっか?」
「弾幕勝負?」
「ええ、やりましょう。貴女強そうだし」

さっきまでの暗い雰囲気はどこへやら、急に禍々しい妖気が辺りを覆う。
鳥達が一斉に飛び立っていく。
ここまで大きな妖気はお姉さま以外に見たことが無い。

フランは久しく弾幕遊びしてないことを思い出した。

「ええ、良いわよ」
「ふふっ、決まりね」

最強の妹VS最凶の妹の弾幕勝負が始まった。






「はあ、はあ、やっぱ吸血鬼は強いわね・・・」
「こいしの方こそ、はあ、はあ・・」

数十分経っても決着が付かなかったので引き分けということで勝負は収まった。
湖一帯は穴だらけで、至る所地面が抉れている。
おまけに服もボロボロだ、咲夜に叱られるかもしれない。

あたりを再び静寂が覆う。
湖を吹き抜ける風が火照った身体に心地いい。

「あー楽しかった、あんな楽しい勝負久々だったわ」
「うん、私もだよ」

そろそろ、夜も深くなってきたのでお開きということになった。

「ねえ、フラン明日も一緒に遊びましょうよ」
「え?」
「また、ここで待ってるからさ、ね?」

笑顔でそう言うこいしの顔が眩しかった。
他人との遊びの約束はフランにとって初めての出来事だった。
フランは嬉しくて心が弾んだ。

「うん!絶対だよこいし」
「ええ。あ、そうだ」

そう言うとこいしは自分の小指を絡ませて来た。
これは一体なんだろうか?

「こいし、これは何?」
「これはね、約束を守る儀式みたいなものよ、私と同じようにしてね」
「う、うん」
「「嘘ついたら針千本飲~ますっ!指切った!」」
「はい、約束やぶったらフランには針千本飲んでもらうからね」
「ええ、無理だよ~」
「フフッそうね」
「もう、こいしったら・・・」

別れるのが名残惜しい。
明日遊ぶ約束をしているとしても。
もっとこいしと遊びたい。
しかし、そんな我が侭言っても仕方ない。

「じゃあね、こいし」
「あ、待ってフラン」
「なに」

チュッ

「ふぇ、こいし?」
「えへへ、じゃあまた明日ね///」

そう言って逃げるように彼女は夜空へと飛び立った。
きっとこいしの顔も真っ赤になってることだろう。

「・・・チューされちゃった」

彼女の唇が触れた頬をそっと撫でる。
まだ少し温かかった。

「えへへ♪」

彼女は鼻歌混じりに夜空へ舞う。
明日こいしと会うのが楽しみで今夜は寝られそうにない。

お姉さま、私初めて友達が出来ました。
初めての投稿で緊張しております。
一応続く予定です。
皆様の暇つぶしになれば幸いです。

こいフラいいですよね!
カオス
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コメント



0.560簡易評価
4.70名前が無い程度の能力削除
て・・・展開の進みが早い・・・

もう少しゆっくり展開が進むといいですね
7.90名前が無い程度の能力削除
更なるこいフラを要求する!
9.70不動遊星削除
 はじめまして。面白い作品でした、ありがとうございます。ちょっと尺が足りない気もしますが、出来は上々といった所でしょうか。面白く読めたので続きを楽しみにしております。あと、中黒(・)と三点リーダー(…)は区別してお使い下さい。では。
11.100名前が無い程度の能力削除
こいフラいいね
12.無評価名前が無い程度の能力削除
>>9
ご指摘ありがとうございます。
以後、気をつけます。
14.100名前が無い程度の能力削除
こいフラはいいよねえ
てか初めて会ってその日にチューとはこいしちゃん大胆な子!
15.70ずわいがに削除
こいフラはどっちも純粋でくすぐったくなるわね!
22.100名前が無い程度の能力削除
ゆるふわ