Coolier - 新生・東方創想話

鏡の境界

2010/04/03 20:37:44
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「きゃっ!」

突然吹いた強い風に私は帽子を押さえる。

「強い風ね。メリー、大丈夫?」

少し前を歩いていた蓮子が振り向く。

「ええ。蓮子、早くに行きましょ。」

私達は帽子が飛ばされる前にさっさと構内のカフェに向かった。



「中は暖かいわね。ってメリー、髪がすごいことになってるわよ。」

「え?蓮子はそうでもないのに。」

「私は違くてもメリーはすごいわ。」

一緒に歩いてきたのにそんなに違うのかしら?

「じゃあ、お手洗いで直してくるから蓮子は先に座ってて。」



「うわ…、本当にひどいわ…。」

蓮子の言う通り、私の髪は凄く乱れていた。

「枯葉も付いてるし…。」

私は誰も居ないのにぶつぶつ呟きながら枯葉を取り、髪を整えていく。

違和感に気付いたのはその時だ。

鏡に映る私。そう、それは私の筈なのだ。

でも私の顔は、こんな顔だったかしら。

私の帽子は、こんなだったかしら?

いや、私はこんな顔だったかも。こんな帽子だったかも。

それよりも、私はこんなドレスみたいな服だったかしら?

「貴方はだあれ?」

鏡に言ってみる。

「私は貴方であって、貴方じゃないの。」

返事が返ってきた。

夢かしら?

夢よね。きっとそう。起きれば私は立ったまま寝てたんだわ。

「これは夢じゃないわよ。いや、貴方は普段の生活も夢と現の境界のようなものよね。」

「それは言えてるわ。それじゃ、鏡の向こうの私じゃない私。」

「何かしら?」

鏡の向こうの私は楽しそうに微笑む。

「貴方は何なの?本当に私なの?」

「そう言ってしまえばそう。でも、そうとも限らない。」

「全然分からないわ…。じゃあ、貴方は何なの?人間?それとも何か別のもの?」

「自分かもしれないのにそんな質問をするの?分かったわ。私が何なのかね…。」

鏡の向こうの私の周りに境界が現れる。しかしそれはいつも見える境界とは違う。

境界の向こう側に見えるのは私を見ている無数の目。私を手招く無数の手。

気分が悪くなる。

「やっぱりこれが見えるのね…。」

「蓮子…。」

私は無意識のうちに彼女の名前を呼んでいた。

「大丈夫。とって食べたりはしないわ。だって、貴方は私だもの。」

鏡の向こうの私は悪戯っぽい笑みを浮かべる。

「でも貴方のお友達、今名前を呼んだ彼女。彼女のことは大切にしなさい。でないと、いつか必ず後悔する日が来るわ。」

「蓮子を…?どうして…?」

「彼女を大切にしなければそれを知る日が来てしまう。だから、この言葉の意味が分からないように彼女を大切にしなさい。」

私が無言で頷くと、鏡の向こうの私は小さく笑った。

さっきまで感じていた違和感が無くなった。

そして、鏡の向こう側の私は本当の私を映している。

いつもの私の顔だし、いつもの私の帽子だし、いつもの私の服だ。

鏡に向かって手を振ってみる。鏡に映る私は手を振り返してくる。

「蓮子を大切にって何だったのかしら…?」



「おまたせ~。」

「遅いわよ。境界の向こう側にでも行っちゃった?」

蓮子の前には空になった皿が置かれていた。

「なんか立ったまま寝てたみたい。」

「ついに立ったまま寝れるようになったの?」

「ええ、羨ましいでしょ。ところで、隣良いかしら?」

「良いけど…、珍しいわね。メリーはいつも向かい側に座るのに…。」

不思議そうにする蓮子の横に座る。

向こう側の私、最初はこんな所からで良いかしら?

「別に、隣に座ってみたくなっただけよ。」

「何で座ってみたくなったのかが気になるわよ。」

「ただの気まぐれよ。この世にはどんな凄い人でも説明できないものがある。これもその一つよ。」

「メリーは自分の気まぐれを随分壮大に語るのね。」

「私の気まぐれは壮大だもの。」
始めまして。鹿墨といいます。
初投稿なので何を書こうかと悩みましたが蓮子とメリー+αにしました。
CDのような書き方をしてみたかったのですが、うまくいきませんでしたね。
短い話ですが、読んでいただいた皆様、ありがとうございます。
鹿墨
http://haisuinozin.jugem.jp/?PHPSESSID=479d7147dcae8034bf57cd1f3fb0d33f
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コメント



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4.70名前が無い程度の能力削除
なんとも秘封っぽい感じでした。
これからに期待、という事で。
6.無評価鹿墨削除
ありがとうございます。
これからもがんばらせていただきます。
7.80名前が無い程度の能力削除
あっさり味だけどおいしかったです。

それにしてもCDか、いったいいつになったら…。
15.70名前が無い程度の能力削除
三点リーダーは「……」てな感じで使うのがお約束らしいですよ。
描写が少ないですが、いろいろ想像の余地もありました。
16.70名前が無い程度の能力削除
行間が開きすぎていて読みにくい。CD風に挑戦は失敗かもしれないね。
内容は面白かった。もっとどっしりしたのも読んでみたいかな。