Coolier - 新生・東方創想話

人形遣いととある吸血鬼のおはなし

2010/03/19 04:07:21
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「ふわあ…今日もいい天気ね」
アリスはベッドから体を起こして側にあった窓から外を見た。
外は見事なまでに晴れ渡っている。
「さて、顔を洗ってこよう」
彼女が起きてまずやることは顔を洗うことだ。
「こうやって顔を洗うと、さっぱりした気分になれるのよね」
家の中にいる人形たちに言うかのように喋った。
「さて、あとは着替えて…」
アリスはパジャマからいつも着ているお気に入りの服に着替えて、台所に向かった。
「今日の朝食は目玉焼きにでもしようかしら」
そういいながら卵を手に取って温めたフライパンに卵を流した。
じゅぅ…と卵の焼ける音といい香りが台所に漂う。
「うーん、いい香りね」
アリスは卵を焼きながら一人呟く。
いつもの朝の風景…のはずだった。

コンコンという音が後ろのほうからした。
誰かが扉をノックしているようだ。
「はーい! 今行きまーす!」
(こんな朝早くに誰かしら?)
アリスは慌てて火を止めて、こんなことを考えて玄関へと向かう。
「はい、どちら様?」
扉を開けるアリス。
「ご機嫌はいかがかしら?」
「おはようございまーす!」
少し偉そうな挨拶をするレミリアと元気のいい挨拶をするフランの姉妹がドアの前に立っていた。
「ふう、またあなたたち?」
アリスは呆れていた。
なぜならこの姉妹は一週間連続でアリスの家にやってきているからだ。
ある日は昼間、ある日は夜間…
アリスにはこの姉妹がなぜ毎日家に来るのかがわからない。
「そうよ。何か文句があるかしら?」
「いいえ、ありませんよ…」
ふう、とため息をつきながらそう言葉を返す。
「ま、とりあえず入って」
「失礼するわ」
「お邪魔します」
(それにしてもこの姉妹は全く似てないわね…性格的な意味で)
そんなことを思いながら二人を家に上げるアリス。
「む、この匂いは何かしら…」
レミリアは目玉焼きの匂いをかぎつけたようだ。
「あ、ちょうど目玉焼きを焼いていたところなんだけど、二人とも食べるかしら?」
「うん、食べる!」
「私も頂くわ」
「はいはい、それじゃあちょっと待っててね」
台所に戻って、フライパンの上に放置してあった自分の分の目玉焼きを皿に移してから二人の分を焼き始める。
目玉焼きを焼きながらちらりと二人を見ると、彼女たちは家の中にある人形をじっくりと眺めていた。
「それにしても、こんな人形が勝手に動くとはねえ…」
「お姉様、こっちの人形はかわいいわよ!」
「ふふふ…二人とも人形に興味津々みたいね」
アリスは二人に聞こえないようにそう呟いた。
二人が人形を見ている間に目玉焼きは完成した。
「二人とも、出来たわよ」
「ん、わかったわ」
「わあ、おいしそう!」
アリスの持ったお盆の中には綺麗な色をした目玉焼きが乗った皿が三つあった。
「さて、頂きましょうか」

「で、味はどうだったかしら?」
皿を片付けながら二人に聞いた。
「うん! アリスのご飯はとてもおいしかったよ!」
「ありがとね、フラン」
「咲夜には負けるけど…まあ、おいしかったわ」
「…はいはい、そうですか」
(まったく、素直においしいって言いなさいよ…)
アリスはレミリアの答えに心の中で苦笑した。
アリスはこの一週間でレミリアの返す言葉は照れ隠しであることを見抜いていたのだ。
(あれほど分かりやすい照れ隠しも珍しいけどね)
そんなことを考えながら使い終わった皿を流し台に置いた。
皿を片付けてからアリスはテーブルに戻る。
「で、今日は何をしに来たの? 朝食を食べに?」
彼女たちが来る理由はいつもこうだ。
夕食を食べに来た、午後のお茶をもらいに来た…
(確か1日目だけは道に迷ったから泊めて欲しい…だったわね)
この姉妹は私の食事が気に入ったのだろうか?
そんなことを思いながらアリスはこの姉妹に一週間付き合ってきた。
「いえ、遊びに来たわ」
「あら、今までで初めての理由ね?」
「うん。私もアリスと一緒に遊びたかったし、お姉様に無理を言ってまで来ちゃった!」
「…? 私"も"?」
「それはともかく…今日は遊びに来たの。これでいい?」
「まあ、理由がなんであろうと拒みはしないけどね…」
「やったぁ! それじゃあ、何して遊ぶの? 弾幕ごっこ?」
「…弾幕ごっこはやめておきましょうか」
アリスは苦笑してフランの意見を却下した。
「えー。それじゃあ何するのー?」
「私は…あなたが人形を動かすところを見たいわ」
「え? そんなものでいいのかしら?」
レミリアがそんなことを言ったのでアリスは少し驚く。
「いいのよ。とても興味深いし」
「そ、そう。そのくらいなら見せてあげるわ」
アリスは立ち上がって人形を一体取った。
その人形をテーブルの上にゆっくりと降ろす。
「いい? 動かすわよ?」
アリスが力をこめると人形がぴょこりと立ちあがり、ひとりでに動き始める。
「わあ、すごい…」
「面白いわね…」
二人は驚いている。
その時、アリスは面白いことを考え付く。
「次はどうしようかしらね…ほらっ!」
アリスは人形をジャンプさせて、フランの頭の上に着地させた。
「キャッ…!」
「その次は…こうよ!」
今度ははフランの頭からレミリアの頭へとジャンプさせる。
「うわっ…ちょ、ちょっとアリス! やめてよ!」
「ふふふ、ごめんなさい」
アリスは笑いながら人形をテーブルの上に着地させた。
「まだ見たい?」
「うん! すっごい面白かったからもう一回みたいな!」
「そう? なら、まだ見せてあげる。」
アリスはフランの喜ぶ姿を見て、もう一回人形を動かそうとした。
しかし…
「あら、レミリア? どうしたの?」
レミリアは下を見ながらプルプルと震えている。
「決めた! アリス! 私にも人形の動かし方教えてもらえないかしら!?」
「ええ!?」
「お願いよ…! ね? いいでしょ?」
いきなりのレミリアのお願いにアリスは戸惑った。
アリスもこれが普通の人形だったら動かし方を教えてあげるところなのだが…
「うーん、でもこれは魔法の力だから…あなたには無理よ…」
「そ、そんな…」
落ち込むレミリア。
そんなレミリアを見たアリスは慰めようと声をかけようとした。
その瞬間、彼女はいいことを思いついた。
「あ、そうだわ! ちょっと待ってて!」
そう言ってアリスは寝室に小走りで入っていった。
少し待っているとアリスが何かを持って戻ってくる。
「これなら魔法を使わなくても動かせるわよ」
アリスが持ってきたのは魔法の力で動く人形ではなく、糸を使って動かす操り人形だ。
「…これなら動かせるの?」
「ええ、少し難しいけどね。ちょっとやってみましょうか」
アリスはレミリアの腕をつかんで後ろからサポートをする。
「ここをこうすれば足が動くわ」
「えーっと、ここをこうして…」
「お姉様、頑張って!」
アリスのサポートが付いているにもかかわらずレミリアはなかなか動かすことが出来ない。
「あー! 全く出来ない! もうやめた!」
「お、お姉様、諦めるのは早いわ」
練習を始めてから十分も経たないうちにレミリアは音を上げた。
フランはそんなレミリアをなだめる。
これではどちらが姉なのか全くわからない。
「…もうやめるのかしら?」
アリスは叫ぶレミリアに向かって小さく言った。
「な、何よ…」
「いきなりやれって言われてすぐに出来る人なんてこの世にはほんの少ししかいないわ。
 そのほんの少しから外れた人はどうすると思う? …努力するのよ」
「そ、それがどうかしたのかしら?」
「私もこんなふうに人形が操れるまでこの人形で練習をしたわ。もちろん魔法の勉強もしながらね。
 だからあなたも努力さえすればこの人形をうまく操れる日が来るわよ」
「…」
レミリアは黙り込んだ。
「わかったわ…やってやろうじゃない! 私もアリスみたいに人形を操れるように頑張るわ!」
「そう、その意気よ! さあ、一緒に頑張りましょう」
レミリアはフランが見守る中、アリスと一緒に人形を動かす練習をした。
足の動かし方、手の動かし方…
それらの基本動作の練習が一通り終わるころには時刻は夕方に近くなっていた。

「それにしても何でレミリアは人形の動かし方を習いたいなんていったのかしらね…」
レミリアは疲れたと言ってイスの上に座っているうちに寝てしまっていた。
アリスとフランはそんなレミリアを見ながら紅茶を飲んでいた。
「実はね…」
「え?」
「お姉様が一週間アリスの家に来たのは人形の動かし方を習おうとしたからなの」
「そ、そうなの?」
「うん」
フランの話によるとレミリアは初日は道に迷ったと嘘をついて家にやってきたのだが、
レミリアは照れくささのせいでその日に聞けなかったのだという。
それがずるずると続き…
「で、今日になってやっと聞くことが出来たと」
「うん、そうみたい」
「全く…あの子も素直じゃないわねえ」
アリスは笑った。
「そういえばフランは何で?」
「私? 私はお姉様に頼まれたのよ。『アリスの家に行くからついてきてほしい』って」
「大変ね」
「ううん、ぜんぜん。アリスと一緒にいるのは楽しいから!」
「そう言ってくれるとうれしいわ。話を戻すけど、彼女が人形を操りたいって思ったはなんでなの?」
「それはね…前に紅魔館のパーティで見せてもらった人形劇が面白かったからだって」
「そういえばそんなこともあったわねぇ」
レミリアはよく紅魔館でパーティを開く。
彼女はパーティが好きなのだ
その参加客の中にアリスがいて、ある時紅魔館でたまたま人形劇をしたのである。
レミリアはそれを見て自分もやりたいと思ったらしい。
「自分もあんなふうに人形を操れたら楽しいだろうな、とか言ってた」
「だから私に習いに来たってわけ・・・か」
アリスはそう言い終わると紅茶を口に含む。
「それはいいけど、そろそろ帰らないとあなたたちのメイドは心配するんじゃない?」
外はほんのりと暗くなってきている。
「あ、ほんとだ。お姉様、起きて!」
「う、うん…?」
「早く帰らないと咲夜が心配するよ!」
「あっ! そ、そうね!」
フランはレミリアを起こして、帰り支度を始めた。

「それじゃあお邪魔しました!」
フランはそう言って頭を下げる。
「気をつけて帰ってね」
アリスは玄関まで二人を見送る。
「あ、レミリア。忘れ物よ」
「え?」
アリスはレミリアにさっきの操り人形を渡した。
「え、これはアリスのなんじゃ…?」
「貸してあげるわ。たまにでいいからまたうちにそれを持ってきなさい。
 私でよければ動かし方を教えてあげる」
「あ、ありがとう…」
「…うまくなったら私にあなたの演技、見せてね?」
「…わかったわ。絶対うまくなって見せるからね!」
「ふふ、楽しみにその日を待っているわ」
「ありがとうございました! お姉様、帰ろ?」
「ええ、そうね。また来るわね」
そう言って姉妹は帰っていった。
アリスは二人の姿が見えなくなるまでずっと後ろ姿を見送っていた。

あれから数週間が過ぎた。
レミリアは紅魔館で人形の動かし方を猛練習した。
一週間に最低でも一回はアリスの家にやってきてアリスから手ほどきを受けた。
そして、ある日の夜。
アリスは紅魔館へと向かっていた。
手には紙が握られていた。
紙には「レミリアの人形ショーチケット」と、書かれている。
「ふふ、あの子がどこまで出来るか楽しみね」
紅魔館に着くとアリスはチケットを門番に見せて中へと入る。
「もうこんなに混んでるのね」
紅魔館の中はすでにたくさんの妖怪や人間、妖精たちで溢れかえっていた。
始まるまでにはまだ少し時間がある。
「ようアリス!」
「こんばんは魔理沙」
アリスが壁にもたれかかっていると、魔理沙が近寄ってきた。
「今日のレミリアはショーをするとか言っていたが…お前が一枚噛んでるのか?」
「いいえ、私は手を貸しただけよ。教えてといってきたのは彼女のほう」
妖精メイドから手渡されたワインをくいっ、と飲みながらアリスは答える。
「ふーん、そうなのか。
 まあ私はここでうまいもんを飲み食いするために来たんであって、あいつの劇には興味ないんだがな!」
「あそ…」
ゲラゲラと笑う魔理沙を横目で見ていると、メイド長の咲夜の声が響いた。
「えー、今夜は紅魔館に来ていただいてありがとうございます。
 今夜はお嬢様の人形によるショーを披露します。音楽担当はプリズムリバー楽団。それではどうぞ!」
パチパチと拍手が起こると、レミリアが現れた。
レミリアは緊張した面持ちで指を動かす。
「お、あいつなかなかやるな」
魔理沙は興味ないと言いながらしっかりとレミリアを見ている。
プリズムリバー三姉妹の音楽に合わせて人形を動かすレミリア。
ぶちっ
突然そんな音を立てて操り人形の糸が切れた。
「えっ!?」
いきなりの展開に驚くレミリア。
観客はざわざわと騒ぐ。
「え、えー! 皆さん、しばらくお待ちください!」
咲夜も慌ててそういいながらレミリアを観客に見られないところへ連れて行く。
「おい、見たか? ぶちっ、だってよ、ぶちっ!」
魔理沙は笑っている。
バチン!
「あなたは一生懸命やっていたあの子のことを笑うの!?」
アリスはそう怒鳴りながら魔理沙の頬を叩いた。
観客は一斉に二人を見る。
「どいて…」
アリスはそのまま魔理沙や他の人のことなど気にせずにレミリアが消えていったほうへと走った。

「レミリア!」
「あ、アリス!」
アリスはレミリアの前で止まる。
「どうしよう…人形が…」
「…大丈夫、このぐらいなら糸を取り替えればすぐに直るわ。だけどあいにく糸は家にあって…」
「わかったわ。急いで取ってきてもらえるかしら?」
咲夜は冷静に言った。
「ええ、取ってくるわ!」
そう言ってアリスが駆け出したとき、声がした。
「私が取ってきてやるよ!」
「魔理沙!?」
アリスの目の前には魔理沙が立っていた。
「…さっきは笑ってすまなかったな。その罪滅ぼしをさせてくれ。
 アリスの家なら十分で往復できる」
「魔理沙…お願い! 糸はベッドの横のタンスの上から3段目に入っていたはず!」
「よし、わかった! 飛ばすぜ!」
そう叫んで魔理沙は外へ飛び出した。
「出来る限り急いで、魔理沙…!」

十分程度経った時だ。
「よし、取ってきたぜ!」
「ありがとう魔理沙!」
アリスは糸を受け取って、慣れた手つきで糸を交換した。
「よし、これでいいわ」
「ありがとう、魔理沙、アリス…」
レミリアは礼を言った。
「さ、お嬢様。戻りましょうか」
「…アリス」
「な、何?」
次の瞬間、レミリアはアリスに向かってこう言った。
「私と一緒にショーをやってもらえないかしら?」
「…ええ、いいわよ」
「うれしいわ。さあ、行きましょう!」
「ええ!」

「お待たせいたしました! 今度はアリスも飛び入り参加! 目が離せませんよ!」
咲夜のそんなアナウンスとともにアリスとレミリアは入場した。
二人の演技は一回も打ち合わせなどしていないのに、息がぴったりだった。
観客も二人の動きに見とれている。
もちろん演技が終わった後に惜しみない拍手が送られたのは言うまでもない。
パーティ終了後…
「レミリア、あなた頑張ったわね」
「ええ、アリスのお陰よ。改めてありがとうと言っておくわ」
「レミリアが素直に感謝の言葉を言うのも珍しいわね」
「そ、そんなことないわよ!」
笑うアリスと顔を真っ赤にして怒るレミリア。
「…これからも、その人形大事にしてね?」
アリスは微笑みながら言った。
「え、これ…このままもらっていてもいいの?」
「ええ、あなたが頑張った記念にプレゼントするわ」
「わかった。大事にするわ」
「ええ、今日はお疲れ様」

それからレミリアはたまに紅魔館のメイドたちに見せたり、パーティの出し物として人形を使いこなしたという。
もちろん、彼女は人形をずっと大切に扱った。
アリスとの特訓の日々の思い出を大事にするように。
まず最初に謝罪をさせてください。
先日とある問題を扱った小説を投稿したことによって皆さんを不快な気持ちにさせてしまいました。
今後このような軽率な行動を取らないように気をつけていきたいと思います。
また、今後皆様が楽しめるような作品を作っていくことでお詫びの意を示したいとも思っています。
今回は誠に申し訳ありませんでした。

今回はアリスとレミリアを主役においてみました。
まだまだ実力不足で至らない点があると思います。
ここがおかしい等の指摘がございましたら、書き込んでいってもらえたら幸いです。
双角
[email protected]
http://blogs.yahoo.co.jp/soukaku118
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コメント



0.610簡易評価
11.20名前が無い程度の能力削除
これは、レミリアと言う名の別人だな、それが良い悪いは置いておくとしても、単純にもう少しやりようがあるんじゃ? 
辛い食べ物に大量の砂糖をまぶしたようで鳥肌が(=_=)
14.30蛮天丸削除
全体的に文章が淡白すぎるように感じます。
特に心情描写が少ないせいか、読んでいてあまり彼女たちの世界には入り込めませんでした。
ですが、ストーリーはわかりやすく、文章力さえついてくれば十分面白くなりそうです。
「あんたが言うな!」という感じではありますが、私としてはそんなことを思いました。
15.無評価双角削除
文章力・・・ですか
心情描写をしっかりすればいいということですね。
それとストーリーがわかりやすいとお褒め頂きありがとうございます!
16.90名前が無い程度の能力削除
おぜうさま・・・
多少展開が急だった気はしますが 楽しかったです。
18.無評価終焉皇帝オワタ削除
これは心情描写の多さからみてアリス視点ですね・・・
こういうのも大アリです。面白い。
21.無評価双角削除
お褒めの言葉ありがとうございます^^
楽しんでもらえたなら小説を書く人間として嬉しい限りです!
これからもよろしくお願いします。
22.60不動遊星削除
 読ませて頂きました。面白い作品をありがとうございます。起承転結が分かりやすく、展開も伝わりやすい。まとまった良作といえるでしょう。アリス・マーガトロイドとレミリア・スカーレットの「特訓」を題材に、努力の軌跡を描いた心温まる作品になっていると思います。上でも仰った方がいらっしゃいますが、作品の主題や展開自体は悪くないようです。レミリア・スカーレットが、アリス・マーガトロイドに人形の使い方を学ぶ。満を持しての劇の上演中に思わぬ事故が起きる。万事休すの危機に、魔理沙の理解を得て無事再開。大団円につなげる。ありきたりといってしまえばそれっきりですが、王道であって悪くない。穏当で扱いやすい主題設定と思います。
 さて、あらすじをざっと書いてみましたがどうでしょう。このあらすじはそのまんま、あなたの小説になっていると思いませんか?14,16氏が仰っていますが、この作品の最大の欠点は尺が短い事、表現が淡泊な事です。意識して書かれたのかもしれません。文章を書く時、はきはき書かないといけないのは事実です。長々書いて相手に伝わらなければ意味がないから。ですが、これが短すぎると逆効果なのは論をまたないことでしょう。たとえば、本文中で糸が切れてから繋がるまで38行。内セリフが20行。地の文は淡泊で控えに徹しています。この場面(糸が切れてから修復されるまで)は、単純に山場です。レミリア・スカーレットが特訓の成果を、大勢の聴衆と恩師であるアリス・マーガトロイドに披露する、大切な劇のさなか、人形を操る糸が「ぶちっ」と「音をたてて切れ」てしまう。それを笑った霧雨魔理沙だが、アリス・マーガトロイドに「あなたは一生懸命やっていたあの子のことを笑うの!?」と叱責され、己の態度を恥じ、協力をもうしでる。10分の後、糸の修復終えて物語は大団円へ向かう。
 ズバリ言ってしまえばこの10分間の為に、このSSはあるのです。起承転結と最初に言いました。この10分間は、作中のレミリア・スカーレットにとって最も長い10分間ではないでしょうか。ただ待つしかない10分の間に何を思うのでしょう。どんな心境なのでしょう。アリス・マーガトロイドにとってもまた然りです。教え子の初舞台で、10分の綱渡りをするのです。この時の心境はどんな物でしょう。霧雨魔理沙の背中を見送るアリス・マーガトロイドの気持ちはどんなに揺らいでいる事でしょうか!
 本文中でこの10分間はどうなっているのかといいますと、こうなっています。
「『出来る限り急いで、魔理沙…!』

十分程度経った時だ。」
中央の改行は何ですか。文章構成は悪くない。ストーリー展開も可。100点差し上げても差し支えないと思います。ですが、この作品の価値は60点です。あの改行には-40点分の価値がありますので。では。
23.無評価双角削除
ものすごく細かく丁寧な解説、ご指摘ありがとうございます!
以前、地の文が多いといわれたので、意識して地の文を少なくしていたのですが…
どうやら今回はその意識が裏目に出てしまったようです。
今回のコメントから地の文は大切な役割を果たしていることを痛感させられました。
また、最後の文章が私の心に一番大きく響きました。
「あの改行には-40点分の価値がある」
改行一つで40点分。
それほどに小説というものは繊細なものなんだと感じさせられました。

今回はわざわざこんな長文を書いてくださってありがとうございます!
24.無評価名前が無い程度の能力削除
糸が切れた時、3つの選択肢があった。
1、魔理沙が取りに行く。(10分)
2、咲夜が取りに行く。 (10秒)
3、髪の毛で代用する。[また切れる可能性あり](1秒)

この選択肢をアリスが決めるシーンが入っているともっとよかった気がする。
25.無評価双角削除
なるほど・・・
選ばせるというのも面白そうですね^^
28.70ずわいがに削除
レミさんがプライドを越えて己の興味を優先し、努力する。なんだか純粋だなぁ。
それを応援するアリスも良いお姉さんですね。
そしてさりげなくフランも良いキャラしてますな、しっかりしてるv
29.無評価双角削除
お嬢様は一度なついた相手にはとことん甘える・・・はずですw
アリスも面倒見がよさそうですし。
今回のフランはレミリアの気持ちについて説明する役しかありませんでしたね^^;