Coolier - 新生・東方創想話

ちゅー血鬼レミリア

2010/02/26 07:17:47
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「お待ちどおさま。では皆様、いただきましょうか」
「それじゃ、いただきます」
 
 咲夜の手料理を前にして、平穏な晩御飯タイムが始まった。
 いや、始まるはずであったと言うべきか。
 真っ赤なトマトスープに口付けし、レミリアはただ一言ぽつりと漏らした。
 その魔の言葉は、まさに晴天の霹靂であったのだ。
 
「うんめえ」

 場の空気は瞬時にしてパーフェクトフリーズした。
 パチュリーもフランも咲夜でさえも、手からナイフが滑り落ちてしまった。
 ナイフは床を跳ね跳ね、壁を跳ね跳ねし、ステーキがサイコロステーキになってしまった。
 フランは驚きのあまり、ついステーキをミンチにしてしまい、ハンバーグをこしらえたほどである。
 そんなこともどこ吹く風、美鈴だけは黙々とたら子スパゲティを食していた。
 静寂をぶち壊すことがいかに楽しいものであるか。
 皆が心地よい反応をするものだから、レミリアはついつい調子に乗ってしまう。

「ああ、うんめえ」
「百済が無いわ、お姉さま」
「うんめえをくだらないの一言で片付けるなんて、甘いわよフラン。いい? 『うんめえ』を操ることがいかに恐ろしいか、見せてあげる」

 高らかに宣言して、じろりじろりと一同を凝視する。
 うんめえを操られてえやつはいねえが、とでも言いたげである。

「あ! 咲夜、今紅茶飲んだでしょ。どうだった、どうだった?」
「ええ、とっても『おいしい』ですわ」
「くそ、あんたは礼に捕らわれすぎ! フラン、あなたは空気の読める娘よね? 今のハンバーグ、うんめえでしょ?」
「ふつー」
「ああ、もういい! 美鈴! 美鈴なら分かってくれるわよね?」

 いやいや、そんなこともどこ吹く風、美鈴は黙々とたら子スパゲティを食している。

「おいこら美鈴」
「す、すみませんお嬢様! 頭の中までたっぷりたら子で……」

 スパゲティ星人と化した美鈴では、きっと期待した答えは返ってこないだろう。
 そうなると、頼りになるのは彼女だけだ。

「全く、みんな使えないんだから。ぱちぇー。何とかしてよー」
「もしかしてレミィ。うんめえを操るというのは、食事以外にも適用されるのかしら」
「ええ、もちろんよ! 食べ物だろうが歌だろうがスポーツだろうが、みんなうんめえってなるに違いないわ!」

 その言葉を聞いて、パチュリーは口元を微かに緩ませて笑った。
 ろくでもないことが始まる合図である。
 長い付き合いをしているレミリアには、それがよく分かった。

「ということはね。キスだって、さぞかしうんめえキスになるんでしょ」
「あ、当たり前じゃない。私のバンパイアキスで全世界ヘヴン状態になること請け合いよ」

 そう言ったか言わなかったかの瞬間。
 レミリアの足元から、咲夜がぬるりと現れた。
 そのまま、レミリアは後頭部を優しく抱きかかえられてしまう。

「では、試してみましょうか。お嬢様の素晴らしい能力を皆様に証明してみせます」
「……え?」
 
 まるで時が止まったかのようだった。
 唇が、ふんわりとしたものに包まれる感覚である。
 ただひたすらに呆然としながら、レミリアは柔らかな刺激に耐えていた。

「ワインの効いたデミグラスソースの風味。まさにうんめえキスですわ、お嬢様」
「ふえ……。そ、そうよ! うんめえでしょ!? ほら見なさい」

 だが、誰一人見てくれていない。
 咲夜以外、全員たら子スパゲティを黙々と食している。
 スパゲティ星人だらけの紅魔館ではないか。

「なんてこと! こうなったら全員、私のうんめえキスの餌食にしてくれるわ!」

 ガオーと手を伸ばした瞬間、パチュリーの冷ややかな目と合った。

「はあ。そこまでうんめえキスだと言いたいのなら……」

 何やらポケットをごそごそし始めた。
 怪しげな薬しかり、魔導書しかり、こういう時は、決まってろくでもないものを出してくる合図である。
 もはや、パチュリーという魔女自体がろくでもない存在であるとレミリアは理解している。
 ただし今回出てきたものは、一見普通の広告であった。

「これに参加してみる気は、ない?」
「何、それ。……えーっと、天下一ぶちゅー会。幻想郷で最も上手いキスは誰か、選手権?」
「うわーお姉さまこんなのに出るんだー」
「そんな蔑んだ眼差し向けなくてもいいじゃない! どきどきするでしょうが! ……で、どういう大会なのよ」
「ルールは簡単。キスで相手を先にキス不能にしてやればいい。優勝者には賞品も出るわ」
「ふ、ふーん……」
 
 レミリア、困惑。聞いたことの無い大会であった。
 それ以前に、いかがわしいにもほどがあるというものだ。
 だが、「うんめえなんて冗談だし」とでも言って逃げるのも今更という話である。

「本当にキスがうんめえというのなら、これで優勝できるはず。そうすれば、また新しい名誉を築けるわ」

 とどめは、パチュリーの一言であった。
 うんめえキスの王女として幻想郷に君臨する。
 これに浪漫を感じてしまい、レミリアは新たなケツイを胸に秘めてしまった。

「いいわよ。私、うんめえんだもん。キス、デミグラスレベルだもん。出場してやるわよ」
「そうしましょう、お嬢様。この大会に向けて、早速私とキスの特訓をしましょう。そうです。特訓しましょう。特訓」
「ええ咲夜。目指すは優勝よ! でも、私には特訓なんて必要ないわ。実力主義でのし上がってみせる」
「いいえお嬢様。デミグラスでは足りませぬ。オイスターレベルが必要です。さあ、早速あちらの部屋でキスノック百本を致しましょう」
「……いや、ちょっと咲夜。眼の色が変なんだけど! こっち来ないで、こっち来ないで! いやあああ!」

 かくして、特訓の日々が始まったのだった。
 ただひたすら、咲夜からのキスを受けるという、厳しい特訓。
 レミリアは、それをふと思い出していた。
 まさか、よりによってこんなことになろうとは。



   ――――――――――――――――――――――



「天下一ぶちゅー会、準決勝は大荒れの模様を見せております!」

 二月某日、紅魔館ロビー特設会場にて。
 簡単な作りのリングと観客席用のベンチが設置され、物と人とでロビーは溢れかえっていた。
 会場は夏と間違えるほどの熱気で溢れ、観衆の野次に応援が響いている。
 そこに実況の、バードキスなら右出るものはいないという、ミスティアの騒がしい声まで加わっていた。

「レミリア選手が一方的にキスをされ続けているこの状況! 解説のナズーリンさん、どうご覧になります?」
「ふむ……。私もありとあらゆるちゅーを見てきたが、時を越えるキスというのは極めて珍しい。興味深い技だけに、私も燃えているよ」

 準決勝の対戦相手は、咲夜であった。レミリアのキスの師匠役を買って出たのが、まさに彼女だ。
 大会当日まで、特訓という名の下に何十、何百と咲夜からのキスを受けてきた。
 しかし、本番ではレミリアの想像をはるかに上回るキスを繰り広げてきたのである。

「このままじゃ、やられる……」

 未来を読むことができたとしても、無限に広がる過去のキスを完全には覚えきれなかった。
 その少しの隙から、キスへとつながる。
 うまく避けたつもりが、過去の咲夜の唇に突っ込んでしまうのである。
 しかし、分からなくとも避けなくてはならない。
 現在の咲夜と過去の咲夜が、レミリアを左右から挟み込むように突進する。
 十分に咲夜を引き付けたところで跳び上がる。レミリアは正確な回避をしたはずだった。

「な、上からも咲夜って……。うわあああ!」

 全力を出した咲夜のキスが、こんなに恐ろしいものだったとは、レミリアは考えもしなかった。
 一発、また一発と、確実にキスを受けてしまう。
 どこへ逃げても、行く先々に咲夜の唇が待ち構えているのだ。

「そんなことでは私を倒すことはできませんよ。お嬢様」

 二人の咲夜が同時に跳びかかる。
 このままでは、ダブルでキスを受けてしまう。
 だがここでレミリアは吸血鬼らしい、静かに歪んだ笑みを見せた。

「……? ちょっと甘いよ、咲夜」

 低空では体の自由は効かない。
 最大のチャンスをレミリアは察知する。
 後方へ宙返りをし、咲夜が着地寸前のところを狙い打つ。

「そこ、バンパイアキス!」

 が、伸ばした手と唇はむなしく空を切る。
 突っ込んだ先の咲夜は幻影と化していたのだ。
 状況に気づいたレミリアはすぐさま反転しようとしたが、既に現実の咲夜がレミリアの背中を抱きしめていた。

「どうして!? これぐらい、読めるはずなのに!」
「キスをしようという、強い心が足りないからですよ」
「咲夜、やめなさ……。ひゃあああ!」

 レミリアのうなじに電流が走った。
 背後からの強烈なキスで、レミリアは床を転がってしまう。
 柔らかく、それでいて鋭い刺激がレミリアの体を支配し、もはや気を失いそうである。

「これで、決めます」

 そこに、冷たい宣告がなされた。
 レミリアが立ち上がるその隙に、咲夜はリングの周りをぐるぐると駆け回っていた。
 咲夜の描く軌跡から分身の咲夜が次々と現れる。
 一秒前、二秒前、三秒前の分身と、幾人もの咲夜がレミリアを取り囲む。

「おーっと! 何と咲夜選手、増えましたよ! 主人相手に本気で仕掛けているみたいです!」
「ざっと見て、百はくだらないね。キス百連打は基本的だが、同時に百となると、失神を通りこして一瞬冥界が見えるほどだ」

 レミリアを囲む咲夜が、じりじりと近づいてきている。
 もしレミリアが何もしなければ、夥しい数のキスを同時に受けることとなるだろう。
 逃げるとしたら、上しかない。しかし、一つしかない逃げ道を咲夜が塞がないわけはないだろう。

「一体、どうすりゃいってのよ! また、キスされるだけじゃない!」
「キスを恐れてはいけません、お嬢様」

 分身の一人の声が、レミリアに向けられた。

「恐れてなんか、ない! 私は、吸血鬼よ? キスの象徴たる存在なのに!」
「ええ。私はお嬢様の本来の姿が見たいのです」

 決断の時間を迫るかのように、なお一歩分ずつレミリアに近づいている。
 互いに手を伸ばせば届いてしまいそうな程の距離。
 レミリアはまだ、咲夜の真意が掴めずにいた。

「何が、言いたいの?」
「お嬢様は、逃げてばかりです。私のキスから、逃げることしか考えていません」
「そ、そんなこと!」
「よくお考えください」

 静かに、レミリアは目を閉じた。
 すると心の隅っこのほうで、それを同意する声が聞こえた。
 せっかくの反撃のチャンスをふいにした、あの時。
 キスを恐れたレミリアは、あえて失敗する方を選択していたのかもしれない。
 心の隅から、少しずつ咲夜を肯定する声が広がって行く。

「恐れている……。いや、恐れていたのかもしれないわね」

 特訓のときも、大会でも、自らしたキスは、ただの一度もなかった。
 キスに対する抵抗感というものが、レミリアを縛っていたのかもしれない。
 レミリアはただただ、咲夜からのキスを待つ者であった。
 
「時間です。キスへの強い意志を、見せてください」

 その声に応じるかのように、レミリアはその大きな眼を見開いた。
 同時に数百もの咲夜の手がレミリアへと伸びる。
 
「後悔させてやるけど、いい?」

 最後の逃げ道を塞ぐようにもう一人の咲夜が跳び掛る。
 レミリアには分かっていた。
 それが、現在の咲夜だ。
 地面を蹴り、今の咲夜へ真っ向から立ち向かった。
 その余りの速度に、咲夜も驚きを隠せない。

「なんと! 両選手が突然リングから消えて……。あれ、どこへ?」
「真面目に試合を見ていないからだ。ほら、あの壁だ」

 天狗の目をも欺く、瞬間の動作だ。
 咲夜を抱いたまま、レミリアは試合会場の壁まで跳躍していた。
 それに気づいた観客席から、どよめきの声があがる。

「お、お嬢様!?」
「私のちゅーを食らうがいい!」
 
 壁に叩きつけられたピンポン玉のように、瞬時に方向転換する。
 反動の衝撃波を唇から唇へと直に伝える。
 推進力を得たレミリアはそのまま錐もみ回転しながら咲夜へ突撃し続ける。
 
「出た、えーっと……。バッドレディスクランブルです! レミリア選手の得意技が炸裂しました!」
「おっと、あれはドリルキスか。唇が常に摩擦し続けるという、恐ろしくも魅惑的な高等キス技の一つだよ」
 
 咲夜の背後には、壁が迫っていた。
 レミリアは速度を落とすことなく咲夜を壁へ追いやった。
 残った推進力を、キスの力へ変換する。レミリアと咲夜が、一点で激しくぶつかりあう。
 その衝撃に、壁の一部にひびが入ってしまうほどであった。
 会場の端から端までを使うという、ダイナミックなキス。
 レミリアは名残を惜しむように、咲夜からゆっくりと顔を離してフィニッシュを迎えた。
 咲夜はもう、にやにやしながらふらつくことしかできない。

「お嬢様の強い意志、しかと受け取りました。お嬢様の中、あたたか……」

 そこまで言ったところで、咲夜は清清しい笑顔を見せたまま倒れた。
 同時に、端整でくっきりシャープなお鼻からヴォルケイノ。

「ちょっと咲夜? 咲夜、しっかり!?」
「あーっと、ここで八意氏が手を振った! ドクターストップが入りました! ナズーリンさん、咲夜選手は大丈夫でしょうか?」
「馬鹿! 主がいるんだ、デリカシーがないぞ。その……。大事を祈るとしか、言えないじゃないか」

 担架をもった妖精メイド部隊がやってきた。
 レミリアは最愛の従者が運ばれる様子を、呆然と眺めることしかできなかった。
 天下一ぶちゅー会、レミリアは決勝へ勝ち進んだ。
 しかし、レミリアの心は真っ黒い影に覆われてしまった。

「後悔させてやる」
 
 試合中にそう言ったものの、実際に後悔したのはレミリアであった。
 自分が原因で、咲夜の身を傷つけることになった。

「咲夜!」

 ワンテンポ遅れて、レミリアは妖精達の後を追った。



   ――――――――――――――――――――――



「……それで、どうだったんです? 咲夜さんの様子は」

 決勝戦を目前にし、レミリアは選手控え室へ入った。
 そこで待ち構えていたのは、美鈴であった。
 レミリアは自分の唇を噛み締めながら、つぶやいた。

「急性れみぃ中毒、だってさ……」
「急性れみぃ中毒? それって?」
「試合中、過度にれみぃ分を取りすぎた。それで、精神までれみぃまみれになって、失神」
「そうだったんですか……」
「何やってるかな、私。人間相手に、あんなにするなんて」
「お嬢様?」
「咲夜ね。一時間あれば起きるってさ。でもそういう問題じゃ、ない!」

 美鈴も心配の色は隠せない。しかし、精一杯の笑顔をレミリアに送る。
 そして主の小さな両肩に、力強く手を添えた。
 
「いいんですよ。咲夜さん、お嬢様のためにキスをしていたんです」
「そうかもしれないけど!」
「お嬢様が優勝したいと言ったから、そのお手伝いをしたにすぎないのです。自分の体がれみぃ分に犯されようとも、お嬢様を強くする一心で戦っていた。私は、そうだと思います」

 いつの間にか、美鈴は一言一言に力が篭っていた。
 それを正すように、次は柔らかい口調にして、告げる。

「ここで弱気になって、決勝で力いっぱい戦えないほうが、咲夜さんは悲しみます。きっとそうです」

 咲夜への悲しみも、自分に対する怒りも混ざった、ごちゃまぜの中にレミリアはいた。
 だが、今のどんな気持ちでも咲夜は喜ばないだろう。
 だから、レミリアはごちゃごちゃを心の奥に押し込めて、今できる限りの拙い笑顔を作った。
 笑顔になった途端、咲夜への感謝の気持ちが溢れてくる。

「いい、笑顔ですね」
「咲夜の気持ちを無駄にしない。それだけよ」
「素晴らしい心構えです、お嬢様。これなら、あいつにも勝てますよ」
「……知ってるの?」
「もう一つの準決勝。私はあいつと戦って、負けてしまったのです」
「あんたも出てたのね、この大会に……」

 美鈴もまた、ちゅー獄拳法の使い手として、キス業界で名を轟かせるものであった。
 その美鈴が負けたとなると、指折りの実力を持つものだろう。
 美鈴は目を鋭くして、低いトーンで言う。

「恐ろしいことに……。試合が始まった瞬間、私は負けていたのです」

 その言葉には、レミリアも驚きを隠せなかった。

「どういう、こと?」
「分かりません。だからお嬢様……。油断しないでくださいね。只者じゃありませんから」
「……関係ない。私は全力を出す、それだけだから」

 そういって、試合会場へつながる扉へとレミリアは向かう。

「咲夜さんの分、それから私の分まで、がんばってくださいね」
「ええ。必ず優勝して帰ってくるわ」

 その扉を開いた瞬間、割れんばかりの歓声が飛び込んできた。



   ――――――――――――――――――――――



「天下一ぶちゅー会決勝、その火蓋が切って落とされようとしています! 実況はミスティア・ローレライ、解説はナズーリンでお送りしています。ナズーリンさん、この決勝、どうご覧になりますか?」
「想像以上にハイレベルな大会になっていて、非常に楽しみだ。私もちゅーの伝道師として、もっと活動したくなったよ」
「ではこの後、私との熱い活動はいかがです? ……おほん、さて選手の紹介にうつります。現在赤コーナーにいるのは、レミリア・スカーレット選手です」
「バンパイアキスで一躍有名の実力派。吸血鬼ならではの体術を活かしたキスが見所だね」
「対する青コーナーは、地底からの使者。ばったばったと対戦相手を瞬殺してきた、キスメ選手ですね」
「無名の新人でここまで勝ちあがるとは素晴らしい。是非、健闘してもらいたい」
「さあ、キスが最も上手い人は誰になるのか、試合はこの後すぐです!」
「この後って何の後なんだい?」

 レミリアは拍子抜けしていた。
 美鈴を倒した相手はどんな屈強なものかと想像していたが、単に可愛らしく小さな娘だったのだ。
 その上、「キスしてください」と言わんばかりのどうにも逃げられない桶スタイル。
 試合が始まる前から、勝負あり。レミリアは優勝を確信していた。
 対するキスメは、無表情でじっとレミリアを見つめている。
 その姿はどこか緊張しているようにも見える。

「両者、準備はよろしいですか?」

 妖精メイドがひょっこりやってきて、確認を求めた。
 試合がもうすぐ、始まる。
 美鈴の警告をレミリアは頭にもう一度思い起こしていた。

「もちろんよ」
「よ、よろしいです!」

 さすがは決勝の舞台というだけある。観客の熱気はピークに達し、実況の声ものりにのってきている。
 その異質な場の中心のリング、場慣れしていない者は緊張するのも無理はない。
 キスメの上ずった声を聞いて、レミリアはどこか安心した。

「それでは用意……。始め!」

 その合図の瞬間だった。
 レミリアは無重力の中にいた。

「うわあああああ!」

 レミリアの体はいとも簡単に吹き飛ばされた。
 理解が追いつかないまま、会場の壁に叩きつけられる。
 全身が痺れる衝撃を受けて、レミリアは我に返った。
 何が起きているのか理解しようと、全神経を尖らせて立ちあがる。
 しかしもう一発。
 唇に一種の魔力が飛び込む。
 そのエネルギーに逆らえず、再度壁へ直撃してしまう。
 もはや壁に穴が開きそうな勢いだ。

「吸血鬼の体を舐めんじゃないよ」

 これしきのことでは、へこたれないのがレミリアだった。
 もう一度、立ち上がる。
 そして堂々とリングに鎮座しているキスメをにらみつける。
 すると彼女が、口元に手を当てるのが見えた。

「見切った!」

 キスメが得意とするのは、投げキッスだった。
 キスの間合いに入らせないうちに、彼女は投げキッスだけで勝利を収めていたのだ。
 漢字で書くと接吻女、アルファベットで書くとKiss me。
 その名に恥じぬ戦いぶりである。

「もうリングには上がらせないよ?」

 キスメは回転しながら、両手を使って投げキッスを繰り広げる。
 投げキッスの弾幕が渦巻き状に形成されてゆく。

「あ、ああ! キスメちゃんのキッスがここまで……!」

 あまりの物量に、観客席にも被害が出ているほどである。
 だが、レミリアは弾幕には自信があった。
 時には身体を捻らせ、時には敢えてひたすらダッシュし、投げキッスを誘導し続ける。
 そう、レミリアは弾幕をうまく打たせ、翻弄する避け方が得意であった。
 投げキッスが目に見えずとも、空気を縫うようにすらすらと避けられる。

「この程度の弾幕じゃ、かすりさえしないね」

 キスメの猛攻むなしく、レミリアは悠々とリングへ舞い戻ってきた。
 草色のツインテールをふりふり、キスメは動揺の色が見て取れる。

「一度近づけば、こっちのもんさ!」
「えっと……。えっと!」

 遠距離が得意なやつは、得てして懐がお留守というものだ。
 跳び込むように間合いをつめて、勝負を決めにかかる。
 そこで、キスメの指が唇に添えられるのが見えた。
 
「し、しまっ……」

 弾幕は遠くで避けるから、避けられるようになっていたのだ。
 普通、弾幕は近づくほど回避困難である。チルノ等一部を除き。
 いかにレミリアの身体能力が高くとも、跳び込んで相手にキスするのと、唇に手を当てて離すという動作では、速さに差がありすぎた。
 うかつに近づいたことを悔やんでも、どうすることもできなかった。
 覚悟を決めて瞳を閉じたレミリアに、もう一撃。

「ふがっ!」

 容易く弾き飛ばされ、観客席に沈み込む。ベンチを何脚か折ってしまった。
 いつになく、レミリアは弱気になっていた。
 美鈴を一撃で倒したキスを、三度も受けてしまった。
 しかも最後のは、至近距離でのキス。
 咲夜の特訓の甲斐あって、何とか耐えられた。
 しかし、レミリアはもはや自分の唇がふやけてしまいそうな心地であった。
 キスメの声が聞こえる。

「お願い、そのまま立たないで!」
「こ、これ以上は!」

 今度はキスメが勝負を決めにかかる。
 拡散した弾幕ではない、ただレミリアの唇のみを狙う。
 そこに両手を交互に使って、何連発も投げキッスをする。
 レミリアは反射的に右手を口に当てた。これ以上唇に侵攻されたくない、その一心。

「あれ? これって……」
「わ、私の投げキッスが届かない!?」

 レミリアは気づいてしまった。
 自分の唇を手で覆ってしまえば、投げキッスされることはない。
 目を細めながら、ゆっくりと立ち上がる。
 最高の盾を得たレミリアは、またしてもリングに悠々と戻っていく。
 ただ淡々と一歩ずつ歩くその姿からは威圧感が放たれている。
 リングに上がってみれば、キスメもまた自らの口に手を当てていた。
 投げキッスの専門家である。この構えはすぐに投げキッスに移行できることを見破っていたのだ。
 両者、投げキッス寸前のところでにらみ合う。
 レミリアはそのまま、相手の目の前まで歩を進める。
 会場からは声が消え、緊迫した空気に包まれる。
 その光景はまさに、互いの額に拳銃を当てている状況。
 引き金を引くのが見えた瞬間、相手も引き金を引いてしまう。
 だが、レミリアは拳銃を叩き落すことができる。
 余った左手を使い、力づくでキスメの手を口から引き剥がす。
 この瞬間、キスメは無防備となってしまった。

「う、うあ……。キス、するの?」
「当たり前じゃない。そういう大会だしょ?」
「えっと、私。えっとね。なんというか……」
「何? さっさとしなさい」

 キスメの手が震えているのが、レミリアへ伝わる。
 おまけに顔を真っ赤に染めて、目を潤ませてしまっている。
 試合開始前にレミリアが見た、ただの可愛らしい小さな娘がそこにいた。

「初めて、なの! 直接、キスするのは……」
「……はあ!?」
「ご、ごめんなさい! 突然変なこと言い出して!」
「そそ、そんな。初めてなら仕方ないって。大丈夫、大丈夫だから!」

 会場は未だ、静寂に包まれている。その中心にあるリングもまた、やけに静かに感じられる。
 どうにもこうにもおかしくなってしまった雰囲気を、レミリアは全身に受けていた。

「だから、ファーストキスの相手、よろしくお願いします!」

 ふぁあすときっす。
 その甘美なるものをこんな意味不明な大会という名目で奪ってもよいのだろうか。
 レミリアは背徳感さえ覚えて、心臓が暴れ始めていた。
 キスメはすっと目を閉じた。
 
「そ、それじゃあ……。するよ?」
「へ? あれ? 私……」

 動いたのは、キスメだった。
 動揺に動揺が重なり、リングの上に順序というものが消え去っていた。
 戸惑うレミリアに、キスメの小さなお口が迫る。
 ほっぺに、ちゅう。

「にゃあああああ!」

 天使のキッスであった。頭の先からつま先まで、びりびりと麻痺してしまう。
 そしてそのままレミリアは膝が折れ、リングに伏した。
 よりによってほっぺとは、あまりに初心で純すぎた。
 綺麗な極光が、レミリアの瞳に映った。

「おっと、ここでレミリア選手、またもダウンです!」
「一生に一度しか繰り出せない、ファーストキッス。しかも照れ隠しのためにほっぺか。レミリア氏がうらやましくなるほど、レア物の上等品じゃないか」
「……レミリア選手、まだ起き上がれませんね。」
「キスは技法だけで成立しないからねえ。雰囲気や状況に左右される面も大きい。キスメ氏はそれをうまく掴んだ。この一撃は大きい」
「おっと、あれはフランドールさん。レミリア選手の妹さんがリングに駆けつけましたよ」

 レミリアには、ぼんやりと実況の声が聞こえていた。
 わが妹が駆けつけていると知り、目を開く。
 開こうとするが、さほどうまくいかない。
 心地のよい夢を見ていたい、そんな春のひと時に近い気持ちなのだ。
 だが、それすら打ち破るのが夜王、レミリアであった。
 膝を立て、体勢を立て直そうとする。
 そこに、やってきた。

「お姉さま!」
「フ、フラン……」

 リングの外から、フランはロープを掴みながらレミリアへ訴えかける。

「私、もう見てられない! もうこれ以上お姉さまがキスされるなんて、見たくない!」
「だけど、私には優勝が……」
「こんな大会で優勝して、何になるっていうのよ!」

 涙と怒気を共にして、フランは感情のままに姉へぶつけていく。

「わけの分からない大会で、こんなわけの分からない小者にやられてさあ?」
「え、私、わけの分からない小者……?」
「お姉さまは十分がんばったじゃない。だから誰も文句言わない。だから、こんな恥ずかしいだけのキス大会辞めよ? さっさと降参しようよ!」

 その言葉を聴いて、レミリアの瞳に炎が宿った。

「恥ずかしいだけ? フラン。今、キスが恥ずかしいだけとか言った!?」
「そうじゃん! 誰の目から見てもそうじゃん! 観客のあのいやらしい視線感じなかった!?」
「恥ずかしいとか、恥ずかしくないとか、キスはそんなんじゃない!」
「ああ、お姉さまが無視するー!」
「咲夜だって。キスは想いが大切だって教えてくれた! キスはなあ、キスはなあ!」

 握る拳に力をこめる。
 勢いよくレミリアは立ちあがり、その拳で天を突き刺す。

「愛と愛とのぶつかり合いなんだよ!」
「お姉さま、気でも狂ったんじゃないの!? 悪魔が愛とか言い出したよ!?」

 反論にこめる熱い気持ちからなのか、咲夜の記憶が鮮明に浮かんだからなのか。
 この瞬間、レミリアは「ちゅー血鬼」として覚醒を遂げた。
 鮮紅の瞳をキスメへと向ける。

「ま、まだやるの……?」
「行くよ、桶女。ちゅー血鬼の恐ろしさ、見せてあげる!」
「わ、私だって鬼火落としちゃうんだから。鬼同士だよ!」
「ああ、またやりはじめるんだ。もうお姉さまなんか知らない!」

 愛と愛とのぶつかり合いである。
 ただ一直線に、目標めがけてレミリアは突進した。
 しかし、キスメの姿は消えていた。

「それは残像だよ」

 いつの間にか、レミリアの背後にキスメがいたのだ。
 それを瞬時に察知し、ふりむきざまにキスをしかける。
 しかし、それもはずれ。
 またも背後を取られてしまう。
 レミリアは何度もキスメへ跳び掛るが、その度にキスメは消え、背後へとまわっていく。

「キスメ選手の荒業! 目にも留まらぬ速さで上へ行ったり、下へ行ったり! 釣瓶落としならではです!」
「ふむ……。しかし、これはひどいな」
「レミリア選手が翻弄されているからですか?」
「ほう、そう見えるのかい?」
「え……? だって、レミリア選手のキス、みーんな外れているじゃないですか」
「そりゃあ、あんなにゆっくり跳んじゃ、避けられるさ。いや、避けさせている」
「えーっと。一体どういうこと?」
「両者の位置を見てみろ。キスメの落下地点、どんどん端に追いやられているじゃないか」
「なんと! ということは……」
「空振りというより、これはキスメ氏を操っていると言える。うーん、器用だね」

 誘導するのが、レミリアは得意だった。
 レミリアの意思をもって、キスメを落とさせているのだ。
 リングの中央から、本人に気づかれぬよう、じわじわとロープ際まで。
 もはや、キスメはレミリアの手のひらの上で転がされている。

「ほら、言ったでしょ! それも残像……」
「私も残像、と言ったら?」

 キスメはむしろ、レミリアを追い詰めていると考えていた。
 うまく翻弄して、やっと端まで来たはずだった。
 
 それがどうだ。レミリアがいるはずだったロープ際に、誰もいない。
 いや、端にいるのはキスメだけだ。
 キスメは後ろから、レミリアの声が聞こえた。
 急いで飛びあがろうとするも、桶を押さえられている。
 振り向かなければ、負けない。そう思って真っ直ぐを見つめていたら、桶をぐるりと半回転。
 にこやか笑顔のちゅー血鬼さんとご対面。

「こんにちは、キスメさん」
「ひっ!」
 
 すかさず、キスメの唇へクリーンヒット。
 離脱しようとキスメはもがき、再上昇を試みる。
 その力を利用して、レミリアは垂直に飛び上がった。
 キスメはもう、どこにも逃げられない。
 急激にかかる重力と、どこまでも甘ったるいキスとで、キスメはめまいがしてしまう。
 レミリアは空中でぐるり身体を捻り、天井へ足をつけた。

「ふう……。私の愛の大きさ、受け止めきれる?」

 天井を鋭く蹴り上げる。
 二人の身体にソニックムーブが走る。
 無重力独特の全身がふわりと浮く感触に、キスメは足から頭へと蛇か何かが這い上がってくるような、何ともいえないぞくぞく感を得た。
 そこに、強烈なキスがコラボレーションする。

「えーっと。シーリング、フィアです! レミリア選手のシーリングフィア! でました!」
「二人の間にかかるGを使って、キスのどきどき感を演出しているだと!? 知らないぞ、こんな技!」

 猛烈なスピードを保持したまま、床へ墜落した。
 同時に轟音と砂煙が高々と上がった。

「あ、あの速度でキスしたまま床と激突。常識に捕らわれないキスだ……」
「えーっと。両選手は無事なのでしょうか……」

 砂煙の中から、両者のシルエットが映し出される。
 あろうことか、レミリアはおろか、キスメさえも立ち上がっている。
 ただ、キスメの桶は耐え切れず、大破してしまった。

「キスメ選手、耐え切った、耐え切りました!」
「あれだけのキスで耐えるとは、やはり彼女はキッサーの素質があるな」

 だが、キスメの足はおぼつかない。今にも倒れそうなほどふらふらである。
 一方のレミリアもまた、大技を出した後だけあって、疲れが見えている。

「い、いたた……」
「ん? 血の匂いがする」
「え、ちょっと、何するの!?」

 レミリアは屈んで、キスメの白装束をわずかにたくし上げる。
 そこからのぞかせたキスメの白い膝小僧から、赤黒い血が染み出していた。

「全く、この程度で怪我するなんて、ひ弱すぎない?」
「ふ、ふつう怪我するって、あんなの!」
「仕方ない。診てあげるから」
「み、見なくていい! 見なくていいから!」

 キスメが言ったか、言わないかであった。
 レミリアはその傷口を、ぺろりと舐め取った。

「な、なんで舐め! う、うあ……!」

 レミリアはあくまで、応急処置のつもりであった。
 しかし、相手にとってはそれがとどめのキスであったのだ。
 相手をいたわる慈悲のキスが、キスメの心を制したのだ。

「キスメ選手、起き上がれません! こ、これは……」
「ふむ。純のキスを純で征したレミリア氏の勝ち、かな?」
「き、決まりました! 天下一ぶちゅー会、優勝はレミリア選手です!」
「え、え、何が? いつの間に? わーい」

 無我夢中で動いていたためか、レミリアは何が起きたのかすらよく理解できていなかった。
 まだキスをしよう、その気でいっぱいであったのだ。
 美鈴が真っ先にリングにあがって、抱擁を求めてきた。
 そのときになって、ようやくレミリアは優勝の実感がわいて、満面の笑みを見せた。



   ――――――――――――――――――――――



「――それでは、優勝商品授与に移ります。優勝商品は本大会主宰者から送られます」

 レミリアにとって、閉会式なる儀式は退屈以外の何でもなかった。
 ただ、優勝商品とやらは気になっていた。
 ついでに、大会主宰者の存在もアナウンスによって気になり始めたところである。
 そこに、見知った声が会場に響いた。

「ご苦労だった、と言いたいところだが、優勝商品は私のキスである」
「……ぱちぇ。何のつもり?」
「我が千年のキス研究はれみぃという実験者により、更なる発展を迎える」
「何が言いたいの?」
「私は今までずっと、キスで悩んできた! 様々な技法を何万、何十万回と小悪魔に試したわ。もう、今の私を超えるキスはどこにもない。
だけど、それでも、より快楽に満ちたキスを産み出したい!」
「そのためにわざわざこんな大会を……」

 主宰者は他ならぬパチュリーであった。開催場所が紅魔館であったのも、彼女縁の地であるからこそ可能であった。

「これかられみぃはただひたすら、私にキスされるだけだ。どこまで快楽を味わえるか、見せてもらおう」
「そう。ぱちぇ、あなたにとってキスとは研究対象だったのね」
「そうね。研究対象であり、快楽を得る手段の一つといったものかしら」

 それを聞いて、レミリアは笑いがこぼれてしまった。

「そんな個人的な、私利私欲のためにちゅっちゅはされるものじゃあないよ」
「そうかしら? 単に互いがどきどきしあう。精神的欲求を満たす、それだけのものよ」
「ちゅっちゅは愛だ。愛は平等に分け与えてこそのちゅっちゅなんだ!」
「れ、れみぃ? 何を言い出すの?」

 パチュリーの鼻先に、レミリアは人差し指を突きたてる。
 そして、あの静かに歪んだ笑みを見せた。
 こういう時は、レミリアは決まってろくでもないことを考えている。パチュリーは分かっていたのだ。
 もはや、レミリア自体がろくでもない存在であるとパチュリーは確信していた。

「私はね。ちゅっちゅ色の幻想郷にしたい!」
「いくらなんでもそれはアウトよ!」
「この大会を突破した私のキスならば、みんなちゅっちゅの魅力にとりつかれること間違いないわ」
「確かに、そうかもしれないけれど……」
「いつでもどこでもみんながちゅっちゅ! 愛に飢えるものがいない、住みよい世界になるのよ?」
「そんなの、危険すぎる!」

 くすくすと笑いながら、レミリアは手のひらをパチュリーの顎にやった。

「ぱちぇもキスがお上手なんでしょ? それなら、仲間になりましょう。共にちゅっちゅ郷を作り上げましょう」
「断るわ。れみぃがそんなに不特定多数の者とキスするのは、うれしくない」
「そう。それは幸運よ、ぱちぇ。あなたがちゅっちゅ郷の住人一号になれるのだからね!」
「私を甘く見ないほうがいいわよ。七つの属性を持ち合わせた究極のキス、あなたには早すぎる」
「知識だの技術だのに頼りすぎなのよ。私は愛で打ち勝つ!」
「たった数件の実践データで何を言う。何十万もの研究データに裏づけされた、智徳のキスを味わうがいい!」

 かくして、新たな戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。

「愛ある限り、私は負けない! パチュリー・ノーレッジ、あなたをラブラブ地獄に落としてやる!」
「今の私はパチュリーではない。チュパチュパチュリーよ。磨かれたキス四十八手で悶えるがよい!」
「うおおおおお!」

 レミリア達の戦いは、これからだ、というところにフランドールの姿が。

「何なのこの二人! もう、いい加減にしてよ!」

 紅魔館は、今日も爆発した。その炸裂音は、ちゅっちゅであった。
レミリアの愛が幻想郷を救うと信じて……。

ご愛読ありがとうございました!
飛び入り魚先生の次回作にご期待ください
飛び入り魚
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コメント



0.1090簡易評価
8.100名前が無い程度の能力削除
ちゅっちゅは平等…なんて素晴らしい言葉なんだ。生きる希望が湧いてきた。
10.70名前が無い程度の能力削除
なんじゃこりゃww
色々と無節操すぎるw
タグにありがちネタとあるが、これはありがちなのか…?
17.100名前が無い程度の能力削除
ちゅっちゅすげぇwww
21.100名前が無い程度の能力削除
なんぞこれ・・・                     gj
23.100名前が無い程度の能力削除
なあにこれえ
24.90名前が無い程度の能力削除
ちゅっちゅは誰にでも平等…
なんと素晴らしい世界なのか…
27.80ずわいがに削除
信じられねぇwwwこの作品の冒頭が「うんめえ」から始まってこんな結末になったのが信じられねぇwwww
そしてフランが哀れ過ぎるッ
28.100名前が無い程度の能力削除
ちょwwwおまえらwwwwって感じだったw
とりあえずありがちか?w
29.100名前が無い程度の能力削除
うんめえとかkissmeとか色々センスが光ってて面白いです
登場人物たちが皆無駄に熱いのもいいw
それにしてもチュパチュパチュリーってwww