Coolier - 新生・東方創想話

門の前で、独り。

2010/02/14 05:12:39
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 あの日、あなたは巫女と戦ったね。
 
 わたしだって負けたけど、しかたないじゃない、ブランクあったんだもの。

 あの日、あなたは魔法を求めて外に出て行ったね。

 必ず帰ってくる、なんて気のきいたことは言ってくれなかった。

 あなたが出ていった後のこと、ちゃんと考えてくれていたのかな?

 皆、あなたのことが大好きだったんだよ。

 わがままでどうしようもないけど、強くてときどき優しいあなたは館の、わたしたちの世界の中心。

 太陽だったあなたがいなくなってから、どうなったか教えてあげたいな。

 

 ねえ、知ってたかな。
 
 あなたが出ていった後からしばらくしたら、夢幻世界とのつながりが消えちゃった。
 
 最後に双子の悪魔と会った時、泣いてたんだよ。

 あの、幻月と夢月が!

 あなたが知っても、信じないよね。

 でも、あの時はきっと、嘘泣きなんかじゃなくて本当に泣いてたんだと思う。

 
 ねえ、あなたはこうなることを見越していたのかな。

 昔から頭は良かったし、きっとわかってたんだろうね。

 でも、ここまで早いとは思わなかったんじゃないかな。

 双子の悪魔と会えなくなってから、今度は幻想郷にも行けなくなったんだ。

 くるみちゃんとオレンジはほとんどいつも幻想郷側にいたから、閉じ込められずに済んだみたい。

 二人とも、元気にしているのかな。

 特にくるみちゃんは弱いくせにいたずら好きなんだもん。

 人間にいじめられてないかな。

 オレンジは大丈夫だろうね。

 あの子は芸達者だから。

 きっと今でも元気なら、バトンを振りまわしてるのかな。

 
 


 ねえ、あなたは、帰ってこないつもりだったのかな。




 「わたしを、一人ぼっちにするつもりだったの、かな?」 




 門の前で一人つぶやいた。
 
 相変わらず世界のはざまにあるこの空は、不可思議に彩られているのに、暗い。

 風も吹かないけれど、雨も降らない。

 逆刃の鎌は、相変わらず重くて、冷たい。

 長い間、ずっとこうして門の前で立っていた。

 一人で。

 「一人ぼっちになってからずっとこうしてたわけじゃないんだよ……」

 庭の手入れも、館の掃除も全部やった。

 ただ、すぐにやる意味を見失って、やめてしまった。

 花は枯れて、とうの昔に腐った根しか残っていない。

 生命力の強いものだけが、壁につるを伸ばして生きながらえている。

 「好きだって言ってたのに、ひまわり。忘れちゃったのかな。ほら、みんな泣いてるよ」

 館も荒れ果て、明かりだってつくことは二度とないのかもしれない。

 「ベッドがほこりだらけで全然眠れなくて……馬鹿みたいだよね、当たり前なのに」

 口元だけを無理にゆがめて、笑おうとしてみる。

 鏡はないけれど、きっとひどい顔になっているんだろう。

 やることがなくなってからは、ほぼずっとこうして門の前に立っていた。

 どうして、と聞かれたならば、それは。

 「帰ってこないかな。幽香」

 待っているから。

 

 「この前ね、久しぶりにお料理したんだけど、多分もうアレで最後だね。寿命なのかも」
 
 それは、わたし自身のものなのか、館のものなのか、どっちだっていいのだけれど。

 「本当、馬鹿みたい……。無駄になるのに決まってるのに」

 すでに何度目かわからないが、渡せないチョコレートを作った。

 どうして作るんだろう。

 出られないのに。
 
 会えないのに。

 帰ってこないのに。

 

 「ハッピーバレンタイン、幽香」

 ハッピーなのに、まるで呪いみたいだ。

 そう思いながら、わたしは目を閉じた。
バッドエンド……とも取れるし、ネバーギブアップとも取れる彼女は、ゲートキーパー。

創想話ではお初となります、リーオです。
プチから飛び出してきました。

皆さんもよいバレンタインを。
リーオ
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コメント



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1.80名前が無い程度の能力削除
いつか呪いが呪いじゃなくなる時が来る。
だからバッドエンドなんかじゃない。
10.90名前が無い程度の能力削除
一人ぼっちなエリーさんがかわいそう過ぎる…
ゆうかりんは即刻迎えに来るべき
12.100名前が無い程度の能力削除
これちょっとシャレにならんでしょ・・・ハッピーエンド書くべきそうするべき
13.80名前が無い程度の能力削除
おふぅ