Coolier - 新生・東方創想話

氷の中の紅い魂

2005/01/28 07:53:10
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フランはいつもどおりご機嫌斜めで紅魔館を脱走していた。



「やっぱり外がいいよね~」
紅魔館ではフランが脱走する事などもはや日常茶飯事だったので誰もあせらない。
一日か二日すれば戻ってきているからだ。
フランは夜の湖に一人の妖精がいることに気付き近づいた。
「ねえ、何してるの?」
フランは妖精に話しかけた。
「見てわかんない?蛙で遊んでるのよ…って、誰?」
「私?私はフランドール・スカーレット。紅魔館主の妹よ…で、あなたは?」
二人はしばらく話をして…
「私はチルノ、氷の妖精よ」
「ねえ、人間の所に遊びにいかない?」
「いいけど…?」
「ちょっとお腹すいちゃってね」
フランとチルノは近場の人間の里に向かった。


「あ、人間発見」
林道を歩いている人を見つけてチルノは近づき、
「ひっ、よっ妖怪!?」
「凍れっ」
カチン
人はすぐさま凍りついた。
「蛙よりおもしろいな、やっぱり」
チルノがいってるそばから…
パキィィィン
人が砕けた。
「あれ…失敗失敗…えへへ」
こおりづけもいまいちで砕けた部分からは血が流れている。
「ねえ、チルノ…」
「何?」
「この紅い液体って…血…?」
「そうだけど…」
「…」
フランは黙って砕けた『物』を取り、血を啜った。
「…」
「これが…血の味なんだ…」
フランは頷き黙った。


チルノとフランはその後、
一月程一緒に暮らし、友情が芽生えていた。



「お嬢様…最近人里で吸血鬼と氷精が暴れているとのことですが…」
「おそらくフランとチルノね」
レミリアはゆっくりと立ち上がり
「咲夜!行くわよ!」
「はい」
レミリアと咲夜はフランを連れ戻しに向かった。



「!」
チルノは気付いた。
恐ろしい程の威圧感…それが『ここ』に向かって来てる事に…
そして…それは降り立った。
「誰!?」
そこには吸血鬼とメイドの二人が立っていた。
「私はレミリア」
「十六夜 咲夜と申します」
「貴女がフランを誑かしたのね…」
さらに高まる威圧感…
「フランちゃんになんの用!?」
チルノは恐くても口に出す。
「フランを返してもらいにきたわ」
「私に…勝てたら聞いてもいいけど?」
チルノは怯えていた。だけど…知らない相手にフランを連れていかれると思うと…。
「ここじゃ戦いにくいわね…空にしましょう」
「いいわ…勝負してあげる」
二人は空中へと戦いの場を移した。
「チルノ…お嬢様と戦うのはやめたほうがいいわよ…貴女、存在すら無くなるわよ」
「そんな嘘に引っかかるものか」
咲夜は嘘はついていない。
今日は満月、紅い月だった。
吸血鬼の力が本領発揮できる夜なのだ。
「咲夜…手出しは無用よ」
「分かりました」
咲夜はそういうと地面に降り二人を見上げている。

一陣の風が靡く。
先手必勝!
「アイシクルフォール!」
チルノの手から氷の刃がレミリアに向かって高速で襲い掛かる。
「これくらいどうってことはないわね」
レミリアは氷の刃の隙間を拭いチルノに向かって迫る。
「そんなっ、私のアイシクルフォールが!?」
レミリアはチルノの懐に潜り込み、鳩尾を一撃!
二撃目にチルノを蹴り飛ばし、それに追いつき頭を鷲掴みする。
「ふふ、もう終わり?」
「くそっ!離せっ!離せっ!」
チルノはレミリアの手を掴む。
しかしレミリアの手はびくともしない。
(なんなの!?この力?)
「私のフランを返してもらうわ!」
レミリアの手に力が篭る。
「あっ!があっ!」
(私、このまま死んじゃうのかな…)



「!」
チルノちゃんが危ない!
フランは咄嗟にそう感じた。
紅い月が出ているから今日はいかないと思っていたが、
そんな事を言ってる暇は無い!
「待ってて!チルノちゃん」



「これでお終いよ!」
「チルノちゃんから離れろー!」
フランが横から突っ込んでくる!
「!」
「!」
レミリアは咄嗟に手を離し、間に入った者をみる。
「フラン!」
「フランちゃん!」
「お姉様…」
「フラン…帰りましょうよ…紅魔館へ」
「いやだ!」
「!」
「紅魔館に帰ってもまた地下室に閉じ込められるんだもの!」
「そう…フランは変わってしまったのね…全てはあの氷精が脅かしたこと」
レミリアはチルノに向かって攻撃しに行った。
「!」
ガキィィィィン
「なぜ、邪魔するの!フラン!」
「いくらお姉様でも、私の親友を殺すなんて許さない!」
「こうなったらお仕置きが必要ね…」
「出来るものなら…」
「すぐに終わらせてあげるわ」
「スカーレットディスティニー!」
「レーヴァテイン!」
レミリアが出した弾幕をフランが全て掻き消している。
終わったあと、全てが紅煙に包まれた。
「これで終わりよ!」
「ここね!」
フランは声がしたところにレーヴァテインを振り下ろす。
だが…
「蝙蝠!」
「残念ね!フラン!私の勝ちよ!」
レミリアは高速でフラン目掛けて爪を差し出す。
「フランちゃん!危ない!」
一瞬の後、レミリアとフランの間にチルノが割り込む。
それはフランを庇うかのようにチルノが覆いかぶさった。


ドシュ!


レミリアの爪はチルノの腹部を貫通していた…
「フラン…ちゃん…だい…じょうぶ…?」
「私は大丈夫だよ…でも、チルノちゃんが…」
「ちっ、余計な事を!」
レミリアは手に刺さっているチルノを地面目掛けてぶん投げた。
ドサッ
チルノは力なく地面に倒れた。
「う、うああああああああああああああああ」
「くっ、この力は!」
フランはレミリアの頭を掴み地面目掛けて投げつけた。
ドガァァァァァァン
レミリアは地面に叩きつけられた。
「がはっ!」
「お嬢様!」
「手出しは無用よ!咲夜!これは私とフランの問題よ!」
「ですが…!わかりました。危険と感じたら割ってはいります。私の力が通じるか分かりませんが…」
(フランの相手をしないと…)
「このままじゃこっちがやられる!」
レミリアが体勢を整える前に…
「ああああああああああああああ」
フランがレミリア目掛けて突進してきた。
そして、そのままレミリアの腹部に蹴りをくらわした。
ミシッ…ビキッ…
「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
レミリアは蹴りの勢いで後ろにある木まで押されていた。
フランはレミリアに向かってゆっくり歩いている。
「いけない!プライベートスクウェア!」
咲夜が空間制御の符を発動した。
時の止まった中フランに攻撃をしようとした…が、
ギンッ
フランの顔が咲夜に向いた。
「そんな…この時の中で動けるなんて」
ザシュ
「きゃあああああああ」
咲夜はプライベートスクウェアごと切られていた。
(咲夜まで…あの血量は人間には危険ね)
(私もここでおわるのかな…まあ、妹を長い間地下室に閉じ込めてた罰がきたのかもね)
フランがゆっくりとレミリアに近づく…が
足が止まった。
なぜならチルノがフランにしがみついていたからである。
「フランちゃんもう止めてよ!姉妹で戦う必要なんてないんだから!
 いつもの優しいフランちゃんに戻ってよ!」
フランの目に光が戻ってくる。
「あ…チルノちゃん無事だったんだね!」
「うん…」
「フラン…」
「お姉様…」
「フラン…あなたを無理に連れ戻すのは諦めたわ、いくら遊んできてもいいから、
 でもちょくちょく紅魔館に顔を見せなさい…貴女は私の大切な妹なんだから、
 それに皆心配するし」
「ごめんなさい…お姉様」
「わかればいいのよ」
「今は貴女につけられた傷と咲夜の治療に専念しないといけないから帰るけど…」
「あう…ごめんなさい」
「いいのよ…それから、チルノ…」
「は…はい」
チルノは怯えている。
「フランの事…宜しくお願いね」
「は、はい!分かりました!」
「いい返事ね」
「それじゃあ、フラン、チルノ、またね」
「ばいばいお姉様」
「またね、レミリアさん」
「そうだ、フラン。今度チルノを連れて紅魔館に来たらどうかしら」
「そうだね」
「かんがえといてね。じゃ!」
レミリアは紅魔館へと戻っていった。



「チルノちゃん…」
「何…フランちゃん」
「もう…寝よう、なんだか眠くなっちゃった」
「そうだね」
フランとチルノは家に戻りゆっくりと睡眠をとった。
その後、紅魔館にはわいわいとさわぐレミリア、フラン、咲夜、チルノ他紅魔館に住む者全ての者も声が響いていた。
フランとチルノは二人とも遊ぶ時期かな、ということで書いてみました。
カシス
[email protected]
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コメント



0.830簡易評価
10.30名前が無い程度の能力削除
人間が凍らされてるという事実はどうでもいいとは・・・
さすがはスカーレットデビル