Coolier - 新生・東方創想話

終わらない日々

2005/01/07 15:48:59
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今日も変わらぬ一日だった。
明日も変わらぬ一日だろう。


…そんな暢気な日々を過ごせるのも、あと僅かであろうか?などと少ししんみりと考える。
時がたっても私は変わらない。神社の庭掃除をし、縁側でお茶を啜る。


魔理沙もあまり変わっていないように見える。
まあ、口調は女性らしくなったといえばそうだが恋する乙女という年でもない。
所帯は持たなかったそうだが、結局の所魔法使いらしい生き方を選んだという事だろう。


紅魔館の連中は結構変わった。
咲夜が天寿をまっとうした後、レミリアは新しいメイド長を迎える事もなかった。
レミリアの容姿は、まあ少しは成長したような、そうでもないような感じだ。
ただ性格の方は昔のような我侭お嬢様ではなく、自立した一人前の女性になった。
咲夜との別れが彼女を強くしたのだろうか。


白玉楼にいるあのお嬢様と庭師は変わっていない様子だ。
庭師の方は少し背が伸びたようにも思える。
ただ、相変わらず亡霊嬢に振り回されている毎日を送っているようだが…。


そういえば以前幽々子に此方にこないか、と誘われたな。
だが私は断った。人は生まれいつかは死ぬ。それは博麗の巫女でも変わらない。
1つの人生が終わる。ただそれだけだ。





















今日は、変わった一日になるだろう。



正直自分で自分の死期が解るというのは、なんとも妙な気分である。
だが、それが怖いとは思わなかった。むしろ、いつもと変わらない…そんな穏やかな気持ちだ。
平平凡凡とした人生ではあったが、それなり楽しかった気がする。
目を閉じると、今でも昨日の出来事の様に思い出される。


妖霧を止めに、紅い館まで行った事

春を取り戻しに冥界まで行った事

満月を取り戻すために竹林の奥底にいる月人に会いに行った事




「こんばんは。霊夢」

「…あら、来てたの。紫」


不意に、声に呼ばれて返事をする。そこには私と同じ力を持ち、異質な力を持った妖怪…八雲 紫がいた。
彼女はいつも突然現れては突然居なくなる。…まあ、ここ数十年は見なかったが。


「久しぶりね。何時振りかしら?」

「さあてね。もう昔過ぎて思い出せないわ」

「まったく、こんな皺くちゃのお婆ちゃんになっちゃって。でも、貴女は変わらないわ。変わったのは姿だけね」

「あんたも変わらないわね…紫。それで、何しに来たのかしら?」

「貴女を最後を見届けにきたわ」

「あら嬉しい。妖怪に最後を見届けられるなんて、博麗の巫女としてこんな不名誉な事はないわね」

「言ってくれるわね。こんな寂れた神社の老けた巫女の最後なんて、誰も見届けに気やしないわよ」

「……それも、悪くはないのかもしれないわ。まあ残念なのは…あんたとこういうやり取りも出来なくなるって事かしら」

「そうね…本当に残念だわ。でも、楽しかったわ。霊夢。貴女のお陰で有意義な時を過ごせたもの」

「…」

「いつだったかしらね。満月を取り戻しに行った時も、貴女は面倒臭がってたわりに乗気だったわね」

「…」

「聞いてる、霊夢?」

「…」

「…」

「………そう。……終わったのね…」


霊夢は、いつもこのような寝顔だったのだろうか。
あっけなく逝ってしまった。本当に穏やかな顔をして、逝ってしまった。


「…ねえ、霊夢。何故博麗神社が、巫女しかいないか…解るかしら?」

「…」

「何故…博麗の巫女以外、血筋の者が居ないか…解るかしら?」

「…」

「霊夢、幻想郷にはね…貴女という存在が必要なの。だから、私が貴女を殺さないでおいてあげる」

「…」

「大丈夫よ。明日起きるときは、貴女はいつもの能天気な巫女の少女。ただし―――」

「貴女も、貴女を覚えていた者も。等しく何も覚えてない。私以外はね」

「私は、あらゆる境界を操る者。そう、あらゆる、境界を」

























昨日も変わらぬ一日だった。
今日もきっと変わらぬ一日だろう。

いつものように庭掃除をしていると、妙な妖怪がやってきた。




「ちょっとそこの通りすがりの巫女さん、お時間あるかしら?」

「通りすがってるのは、あんたの方だ。で、何?用事ならお茶でも飲みながら聞くわよ」

「あら、ありがとう。―――自己紹介がまだだったわね。私は八雲 紫。あなたは?」

「私?私は…博麗 霊夢よ。八雲紫さん」

























今日も変わらぬ一日。
そして、明日も変わらぬ一日が約束されている。
黒幕はゆかりんでした。
ホラーチックにやってみましたが…そうでもないような。
ちょんまげ
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コメント



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43.40上泉 涼削除
 いつまでも繰り返され、決して終わらない日々。
 霊夢たちは気付かなくとも、傍から見ると彼女たちがまるでメビウスの輪の中に閉じ込められているようで、空恐ろしい感じがします。そしてもちろん、紫自身もその輪の中に。そのことに、紫は気付いているのでしょうかね。