Coolier - 新生・東方創想話

東方昔話 『十二支のお話』

2004/12/30 11:16:22
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むか~しむかし、ほんと~に、気の遠くなるほどの、昔のお話です。
ある日神様は、森の動物達の前に現れて、言いました。

     魅魔「いいかい?」
    魔理沙「よくないぜ。」
     霊夢「何なのよ、久々に出てきたと思ったら、唐突な始まり方をして。」
    魔理沙「こっちにも事情とか準備とか色々あるぜ。」
     魅魔「そっちの都合なんか、誰も聞いちゃくれないよ。いいから私の話を聞けってば。」

動物達は、突然現れた神様にびっくりしつつも、お話を聞くことにしました。

     魅魔「あんた達の中から選ばれた奴に、私が役割を与えようと思うのよ。」
    魔理沙「役割?」
     魅魔「例えば、博麗神社宴会部長とか、博麗神社経理とか、博麗神社専属マスコットとか・・・。」
     霊夢「全部いらないし、勝手にそんなん決めないでよ。」
     魅魔「で、選出方法だけど・・・・。」
     霊夢「無視するな。」

神様は、いつでも勝手な存在なのです。

     魅魔「私は向こうの山に居る。夜明けまでに、私の所に辿り着いた奴から、順番に役を与えて行く。どう?」
    魔理沙「いや、どうって言われてもな。」
     魅魔「他の連中にも、そう伝えておいておくれ。じゃ。」
      
それだけ言うと、神様は消えてしまいました。

    魔理沙「せっかちだな。誰も、『うん』とか『はい』とか『おっけー』とか『イエス』とか言ってないぜ。」
     霊夢「・・・・どうすんのよ?」
    魔理沙「あ~、別に、行かなくてもいいんじゃないか?どうせ、ただの暇つぶしだろ。」
     霊夢「そうね。」

動物達も十分勝手な存在なので、誰も神様の言うことなど聞こうとはしませんでした。
そんなこんなで、次の日の朝。

     魅魔「・・・・・・・何で、誰も来ないかねぇ・・・・?」

当然、神様の所には、誰も来ませんでした。
仕方なく神様は、再び森に向かいました。
するとどうでしょう。
動物達は、いつもどおり、生活しているではありませんか。

     魅魔「天罰!」


 ずどどど~~~ん!!


 どか~~~ん!!


神様は、森に雷を落としました。
天の怒りです。
この雷で、ソドムとかゴモラとか言う都市が消滅したとかしなかったとか。

     霊夢「いきなり何なのよ!!」
     魅魔「何やってんだい!あれだけ口を酸っぱくして、来いっていったじゃないか!」
     霊夢「知ったこっちゃないわよ!」
     咲夜「これだけの面子を敵に回して、ただで済むと思ってるのかしら?」
     魅魔「あ~ん?やろうってのかい?」
    魔理沙「どうどう、魅魔様。殿中でござる、殿中でござる。」

びっくりした動物達は、神様の下へ集まってきました。
気性の荒い動物達の中には、声を荒げて神様に文句を言う者もいました。
でもまぁ、寛大な神様はそれらを許し、改めてお話をすることにしました。

     魅魔「ったく・・・。いいかい?お話をさっさと終わらせたかったら、私の言うことを聞け。」
     霊夢「聞かなくても、あんたを倒せばいいんで・・・・・むぐむぐ・・・。」
    魔理沙「続けておくれ。」
     魅魔「とにかく、明日の日の出までに、私の所に来ること。」
   レミリア「そうしなかったら、終わらないって言いたいのね。」
     魅魔「そういうこと。頼むよ、ほんと。さもなくば・・・・。」
    魔理沙「ん。よくわかったぜ。」
     魅魔「そう?それじゃ、頑張っておくれ。」
    
それだけ言うと、神様は消えました。

    魔理沙「やれやれ・・・・。」
     霊夢「むぐむぐ・・・・。んぐ~んぐ~!」
    魔理沙「おっと、忘れてた。」


 ぱっ


     霊夢「ぷは~・・・。危うく死ぬところだったわ。」
    魔理沙「大丈夫、手加減はしておいたぜ。」
     霊夢「まったく。あんたが止めるから、いちいち面倒なことをしなきゃならないじゃないの。」
    魔理沙「そう言うな。あそこで承知してなかったら、もっと恐ろしいことになるぜ?」
     咲夜「恐ろしいことって?」
    魔理沙「夜な夜な、枕元に現れては、何事かを囁いて帰る・・・・。」
     霊夢「・・・・・で?」
    魔理沙「夜な夜なだぜ?洗脳されるかノイローゼになる。」
     妖夢「そ、それは・・・・・。」
     咲夜「恐ろしいわね。」
    幽々子「ん?どうせなら私が、夜な夜な出勤して免疫つけてあげようか?」
     妖夢「勘弁してください、縁起でもない。」
     霊夢「幽霊が縁起云々言ってもねぇ・・・・。」

兎にも角にも、みんな神様を畏れ、今晩にでも神様のところへ行くことに決めました。
森の動物達は、その為の準備を始めました。

      橙「あれ?何時行けばいいんだっけ?」

そんなときに『猫』は、その大事な時を忘れてしまいました。
そこで、知り合いの『鼠』に聞いてみることにしました。

      紫「ぐ~・・・・・。」
      橙「ありゃ、寝ちゃってる。」

ところが『鼠』は、寝ちゃっていました。
『猫』は途方に暮れてしまいました。
そんなときです。

      藍「おや、途方に暮れてどうした?」

『猫』の前に、『狐』が現れました。
『猫』は『狐』に、恥ずかしがりながら、事情を話しました。

      橙「実は、例のアレ、何時行けばいいのか忘れてしまいまして・・・。」
      藍「あ~、そのことなら、心配ないぞ。」
      橙「何で?」
      藍「紫様を無理矢理行かせるから。」
      橙「寝てましたけど?」
      藍「だから、無理矢理。と、言うことで、私達が行く必要はないわけだ。わかった?」
      橙「は~い。」

『猫』は『狐』に説得されて、行くのをやめることにしました。

 ・
 ・
 ・

『牛』は自分の住処に帰ると、早速出かける準備を始めました。

     慧音「着替えと、角につけるリボンと・・・。おやつは300円以内と・・・。こんなところか。」

荷物を確認すると、それを背負いました。

     慧音「やれやれ、面倒なことには関わりたくないが・・・。こういうのは、さっさと終わらせておくべきだ。」

『牛』は早速、日付も変わらぬうちから出かけることにしました。
『牛』は足が遅いので、皆が出る前に、出ることにしたのです。

     慧音「やかましい。牛言うな。」

『牛』は荷物を背負って出発しました。
       
     慧音「むむ?私は、こんなに沢山荷物を詰めたか?」

予想に反して、荷物が多かったようです。
『牛』の胃袋は沢山あるから、食べ物は沢山必要なのです。

     慧音「いや、食料はそんなに沢山は要らないだろう。ってか、牛言うなって。」
     
考えても仕方ないので、歩くことにしました。

     慧音「(う~ん・・・。何やら臭うが・・・・・?)」

荷物を背負って、『牛』は夜道を歩き続けます。

      紫「zzzzz・・・・・・・・。」

 ・
 ・
 ・

さて、『牛』が出発して数刻が経ちました。

     鈴仙「私が兎役って、そのまんま過ぎよね。っていうか、嫌なにおいがぷんぷんするなぁ・・・。」

『兎』が、森を出発しました。
『兎』は足が速いことに定評があるので、あっという間に辿り着けるはずです。

     鈴仙「まぁいいか。私の後を追いかけてくる奴は、自慢の足と狂気の瞳で振り切ってやる。」

『兎』は自信満々です。
しかし、

    幽々子「・・・・・・・。」
     鈴仙「うわっ!お化け!」
    幽々子「うふふふふ・・・。丸焼き、兎の肉パイ・・・・。」
    
突然背後に、狩りの名人である『虎』が現れました。

    幽々子「皮を剥いで、すぱっと斬って・・・・。美味しそう・・・・。」
     鈴仙「な、何を・・・・?」
     妖夢「ああっ!やっと見つけた・・・って、ああっ!」
     鈴仙「ああっ!ああっ!って、何がああ!なの?」

ああっ!といいつつ、『虎』のお友達の、『みょん』が現れました。

     妖夢「へ・・・?みょんって何?」
     鈴仙「みょんだから、みょんじゃない?」
     妖夢「いやいや、そんな動物、居ないから。」

『みょん』は、自分の存在を疑問視し始めました。

     鈴仙「それは置いといて、ああっ!って一体何がああっ!なの?」
     妖夢「幽々子様は、空腹度が頂点に達すると、目に付く動物全てを食べようとする・・・。」
     鈴仙「・・・・・目に付く動物って・・・・。」

『虎』は、随分お腹が空いているようです。
『兎』を見ながら、よだれを垂らしています。
ちなみに、このとき垂らしたよだれが、後で固まり、石になりました。
あるとき、その石を拾った人がいて、大層美しいということで、
この石を『琥珀』と名づけ、大切に取って置いたそうな。

    幽々子「ああ、今日は食べ歩きツアーね・・・。うふふふふ・・・・。」
     鈴仙「私・・・・?」
     妖夢「・・・・頑張って、逃げてね。」

『兎』の、嫌な予感は当たったようです。

    幽々子「いただきま~す。」
     鈴仙「う、うわああああぁぁぁぁ~~~~!?」

 どどどどどどどど!!

『兎』は、『虎』に追われながらの出発となりました。

     妖夢「で、結局私は何?」

残された『みょん』は、暫く悩んでいたそうな。

 ・
 ・
 ・

そのころ、先に出た『牛』は。

     慧音「やれやれ、先はまだ長いが、とりあえず食事にするか。よっこいしょ。」

一休みをすることにしました。
『牛』はその辺に腰掛けると、背負ってきた荷物を降ろして、中身を確認しました。

     慧音「・・・・・・・あ~?」

『牛』が中身を開けると、どうでしょう。

      紫「ぐ~・・・・・・・。」

中には、『鼠』が入っているではありませんか。
『鼠』は身体が小さいので、狭い隙間に入るのが得意なのです。

     慧音「こらぁ!起きろ~!」
      紫「う~・・・・・・。」
     慧音「今は夜だろう!起きろ!」

『鼠』は基本的に夜行性なので、普通は起きているはずです。
『牛』は怒って、『鼠』を叩き起こそうとします。

      紫「・・・・後五分~・・・・・。」
     慧音「おい、こら~!」

しかし『鼠』は、全然起きる気配がありません。

     慧音「まったく、どうしてくれようか・・・・?」

『鼠』の処分に、『牛』は悩みました。
と、そのときです。


 どどどどどどど!!


     慧音「ん?」


 どどどどどどど!!


何やら、五月蝿い音が聞こえてきました。


 どどどどどどどどど!!


それは、どんどん大きくなっていきます。

     慧音「何事・・・・?」

『牛』が身構えた、次の瞬間、

     鈴仙「助けてぇ~~~!!」
    幽々子「待て~!」
     慧音「(がくっ!)・・・・・。」

『虎』と、それに襲われる『兎』が走ってきました。

     鈴仙「ああ!丁度良かった、助けて!」

『兎』は、『牛』に助けを求めます。
 
     慧音「あ~?冗談じゃないぞ。そんな義理が何処にあるって言うんだ?」
     鈴仙「あわわ・・・・・。」
     慧音「ほら、どいたどいた。私はこれの処分に忙しい・・・。」
    幽々子「・・・・牛肉。」
     慧音「!?」

『虎』と目が合う『牛』。
『牛』は、凄く嫌な気配を感じました。

    幽々子「焼肉、しゃぶしゃぶ、ステーキ・・・。素敵。」
     慧音「・・・・もしかしてもしかしなくても、私も標的にされたか・・・?」
     鈴仙「・・・・ごめん。」
     慧音「ごめんで済んだら、旧作の小兎姫とやらは要らないんだよ!」
    幽々子「二兎を追うものは一兎を得ず!されど一兎一牛ならばよし!」
     慧音「どういう理屈だ!」


 ぎゅん!


『虎』の攻撃。

     慧音「おお!?」

『牛』はその攻撃を、辛うじて避けることができました。

    幽々子「仕留めそこなったわ、酷い。」
     鈴仙「酷いのはどっちよ!」
    幽々子「知らないの?空腹の旅人に、自らを焼いて食べさせた兎の話。」
     鈴仙「あんたは神様じゃないでしょうが!」
    幽々子「そういう心構えが大切だって言ってるのよ。」
     慧音「意味がわからん。」
    幽々子「そういうわけで、草食動物は大人しく食われなさい!」

『虎』は、二匹に襲いかかります。
この自然一杯の世界で、壮絶な弱肉強食の世界が展開されています。


 どたどたどた!!


 ぎゃ~!!


 どか~ん!


 どどどどどどど!!


      紫「う~・・・・・。」


 ずどば~ん!


 ぱく!


 ああ~~~!!


 ずどどどどどど!


      紫「・・・・・五月蝿いわね~・・・・。」

効果音のボキャブラリーが切れたところで、鼠が目を覚ましました。

    幽々子「待て~!」
     慧音「待てるか~!」
     鈴仙「狂気のひと・・・・。」


 ぎゅん!


     鈴仙「うわっ!・・・駄目だぁ~!」
     慧音「ああもう!隙も何もあったもんじゃない!」

追うモノ追われるモノ共に、鼠が目覚めたことに全く気付きません。

      紫「・・・・・邪魔者は、アレね。」

鼠は、その様子を見ると。


 ぶおおおん


     慧音「うわ!すきまが開いた!?」

すきまを開いて、三匹を閉じ込めることにしました。
『牛』の目の前に、すきまが開き、『牛』は急停止します。
しかし、後ろからは『兎』、そして『虎』が追いかけてきます。


     鈴仙「わ!急に止まらないで・・・・!」
    幽々子「捕った!」


 どかっ!


     慧音「うわ~~~!」
     鈴仙「あ~~~~!!」
    幽々子「いただきま~す!」


 ひゅ~~~~~・・・・・・・


ドミノ倒し式に、三人はすきまに入ってしまいました。、

      紫「ふあ~・・・・・。zzzzz・・・・・。」

鼠は、二度寝してしまいました。
その後鼠は、数日間目を覚まさなかったそうな・・・・。

 ・
 ・
 ・

ここは、『龍』の住処です。
『龍』は、物凄く強いのです。
空を飛ぶことだって出来ます。
しかし、

     輝夜「面倒だから、行きたくないわね~・・・・・。」

『龍』は、動こうとしませんでした。

     輝夜「冬は冬眠するものよ。爬虫類は。」

どうやら、『龍』は爬虫類に分類されるようです。
それは仕方ありません。
何故なら、今は冬だからです。

     永琳「姫、動かなきゃ、目立てませんよ。」

部下の『鹿』は、ちゃんと動くように説得します。

     輝夜「で、何で永琳は鹿?」
     永琳「あ~、多分、鹿の角が薬になるからだと・・・。」
     輝夜「角だけの存在ね。出て行ったら狩られるわよ~。」
     永琳「私は出ませんけど、姫は今すぐ外に出て、大活躍してきてください。」
     輝夜「龍は、機を見て動くものなのよ。ほら、臥龍って言って、
        ずっと眠ってて、時期が来たら動くやつ。私にぴったりね。素敵だわ。」
     永琳「・・・『画竜点睛を欠く』って言葉、知ってますか?」

『鹿』が何を言っても、『龍』は動きませんでした。
そうこうしているうちに、『龍』は眠ってしまい、結局、神様のところへは行きませんでした。

 ・
 ・
 ・

爬虫類といえば、『蛇』もそうです。
『蛇』も冬は冬眠するものなのですから、動きません。

    チルノ「こら~!さっさと動け~!」
    レティ「嫌だ~。」
    チルノ「あんた主役の一人でしょうが!行って私たちの出番を増やしてくるのよ!」

相棒と思われる、『蛙』が、一生懸命『蛇』を引っ張ります。
しかし、『蛇』は動きません。
動こうとしません。

    チルノ「何で行かないのよ!冬はあんたの季節でしょうが!」
    レティ「蛇は冬眠するものなの。だから行かない。」

普通は、『蛙』も冬眠すると思うのですが・・・。

    レティ「どうせ私なんて、『重いから』蛇っていうオチなんだろうし・・・・。」
    チルノ「ん?おもいから蛇?・・・・・・どういうこと?」
    レティ「・・・・・・蛇だけに、ヘビー(重い)って。」
    チルノ「・・・・・・・・あはははははははははははは!!それ最高ね!あはははははは!」
    レティ「・・・・テーブルターニング!」


 ど~ん!


    チルノ「ぎゃあ~~!!」

『蛙』は、『蛇』にやっつけられてしまいました。
それ以来、『蛙』は『蛇』に恐怖を覚え、『蛇に睨まれた蛙』という言葉が出来たそうな・・・。

 ・
 ・
 ・
    
さてこちらは、『馬』と『羊』です。
同じ草食動物ということもあり、二匹は仲良しです。
今日もまた、二匹一緒に神様のところへ行こうと、お話していたところです。

   レミリア「・・・・はて?蝙蝠ならわかるけど、何で私が馬なのかしら?」
     咲夜「ああ、それはきっと、単体時には馬のように
        雑魚を蹴散らせるからですわ。そこのけ、そこのけ、って感じで。」
   レミリア「なるほど。それじゃあ咲夜は、単体じゃあ非力で、突撃してもそのまま食べられるから羊かしら?」
     咲夜「あら、酷い評価ですわ。」
   レミリア「まぁいいわ。雑魚は私が蹴散らすから、羊は後ろから付いてくることね。」
     咲夜「はぁ。」

と、ここで、知り合いあり、やっぱり草食動物の、『山羊』が現れました。
『山羊』は、紙を食べるので有名な動物です。
本を持っているのは、きっと食料にするためでしょう。

  パチュリー「思うんだけど。」
   レミリア「何?」
  パチュリー「こうま。」
     咲夜「ああ、お嬢様は背がお低いですから、
        『子馬』と言うくらいが丁度いいのかもしれませんわね。可愛らしくて。」
   レミリア「あら、可愛いだなんて・・・。正直すぎるわよ、咲夜。」
  パチュリー「いや、可愛いのは認めるけど、そうじゃなくて。」
     咲夜「?」
  パチュリー「『紅魔』。」
   レミリア「子馬・・・、こうま・・・、紅魔・・・・。」
     咲夜「ああ、なるほど!それで馬。」
   レミリア「安直過ぎるわ。」
  パチュリー「ちなみに、しつじ。」
     咲夜「・・・・・はい?」
   レミリア「ひつじ、じゃないの?」
  パチュリー「違うわ。執事よ。」
     咲夜「・・・・・・・・・・・。」
   レミリア「ああ、なるほど!」
     咲夜「執事じゃなくて、メイドですわ・・・・。」

納得したりしなかったり。
とにかく三匹は、色々な話をしていました。
すると、そのときです。


 どどどどどどどどど!!


何やら、音が聞こえてきました。

     咲夜「あら、これは・・・・?」
   レミリア「何の音?」
  パチュリー「ああ、この音は、あの子が。」
   レミリア「出動したのね。」
     咲夜「お嬢様、どうします?」
   レミリア「私たちの出勤は取り消し。あいつにぶつかったら、痛いもの。」
     咲夜「かしこまりました。」

『馬』や『羊』は、肉食動物に食べられてばかりかと思われがちなのですが、実は逃げ上手なのです。
嫌な気配がした二匹は、神様のところへ行くのをやめました。

 ・
 ・
 ・

ここに見えるのは、三匹分の影です。

    魔理沙「・・・・・・・・・。」
    アリス「・・・・・・・・・。」
     霊夢「・・・・・・・・・。」

今一緒に歩いているのは、『犬』と『猿』。
そして、『鶏』です。
『犬』と『猿』は、大変仲が悪く、いつもいがみ合っています。

    魔理沙「・・・・・・・おい。」
    アリス「・・・・・・・何よ?」
    魔理沙「どっちが犬で、どっちが猿なんだ?私たちは。」
    アリス「あと、何で霊夢が鶏なの?」
     霊夢「私は鳥目じゃないって、何度言えばわかるのよ。」
    魔理沙「・・・・そういうことだ。」 
    アリス「なるほど。」
     霊夢「鳥目じゃないってば。」

今日に限っては何故か、『鶏』も一緒にいがみ合っています。

    魔理沙「話を戻すぞ。どっちが犬で、どっちが猿だ?」
    アリス「あんたは、どっちがいいの?」
    魔理沙「どっちも嫌。」
    アリス「私も嫌よ。」

どちらも、お互いの主張を譲りません。

    魔理沙「仕方ない。ここは一つ、鶏に決めてもらうか。」
     霊夢「何でよ?」

そこで二匹は、結論を『鶏』に委ねることにしました。

    アリス「そうね。ここは、第三者に決めてもらうのが一番だわ。」
    魔理沙「と、言うわけで、決めろ。三秒だ。」
     霊夢「決めろって言われてもねぇ。」
    アリス「さん、にい、いち、はい。」
     霊夢「魔理沙が猿でアリスが犬。」

『鶏』は、結論を出しました。

    魔理沙「誰が猿だ!」 
    アリス「誰が犬よ!」


 ガン!


二匹は怒鳴りながら、『鶏』を殴ります。

     霊夢「いった~・・・。何するのよ!」
    魔理沙「ちゃんと考えな。」
    アリス「適当は、感心しないわね・・・。」
     霊夢「じゃあ、アリスが猿で魔理沙が犬!」
    魔理沙「誰が犬だ!」
    アリス「誰が猿よ!」


 ガン!


二匹はまた、『鶏』を殴りました。

     霊夢「う・・・・ぐ・・・・・。」


 ふら・・・


 ふら・・・


 ふら・・・


『鶏』は、三歩ほど後ろに下がりました。

     霊夢「う~・・・・・。あ~、記憶が一瞬飛んだわ・・・・。」

『鶏』が、三歩歩くと物事を忘れてしまうというのは、このときの出来事がきっかけだそうで・・・。

    魔理沙「無い無い。霊夢は元々、何でも忘れるからな。」
     霊夢「あんたも大概失礼よねぇ・・・。」
    アリス「事実じゃないの?」
     霊夢「事実じゃないわよ!」
    魔理沙「話を逸らすな。いい加減結論をつけろよ。」
     霊夢「逸らしたのは誰よ!」
    アリス「いいから。早く。」
     霊夢「じゃあもう、魔理沙が猿でアリスが犬!!」
    魔理沙「誰が猿だ!」
    アリス「誰が犬よ!」
     霊夢「あ~~~、もう!!どうしろって言うのよ!?」
    
タダでさえ仲の悪い二匹の喧嘩に『鶏』まで加わり、もう大変です。
『犬猿の仲』とは良く言ったものです。
この二匹をまとめ上げた『桃太郎』と言う人は、本当にすごい人です。

         
 どどどどどどどど!!


そんな時です。
何やら後ろの方から、音が聞こえてきました。

    アリス「ん・・・・、何か来るわよ?」
     霊夢「ん?暗くてよく見えないわ。」
    魔理沙「あ~・・・?」

三匹は喧嘩をやめると、いっせいに後ろを向きました。

 フランドール「とりゃ~~~!!」

現れたのは、物凄い突進力の持ち主である、『猪』です。
何と『猪』は、一直線に、三匹のところに向かってくるではありませんか!
『猪』は、一度走り出すと、何かにぶつかるまで止まりません。

    魔理沙「やばい!こっちに来るぜ!」
     霊夢「駄目、あいつは止まらないわ。」
    アリス「なら私が止めるわ。」

『犬』が止めに入ります。
群れを守るためなら、勇敢に立ち向かうのが『犬』なのです。


 ど~ん!!


    アリス「あ~~~~・・・・・・・。」

しかし、『猪』の圧倒的な馬鹿力の前に、『犬』は吹っ飛ばされてしまいました。

    魔理沙「むむっ!これは本格的にやばい。逃げるぜ。」
     霊夢「ちょっと!音は聞こえるけどどっから来て・・・・。」


 ど~ん!!


     霊夢「あ~~~・・・・・。」

『鶏』は、暗いところでは目が良く見えません。
そのため逃げることの出来なかった鶏は、犬と同様に、どっかに吹っ飛ばされてしまいました。

    魔理沙「やれやれ、ここまでくれば安心だろう。」

二匹が吹っ飛ばされてる間に『猿』は、その辺の木の上に逃げていました。
『猿』は木登りが得意なのです。
やれやれ安心と、『猿』がそう思った瞬間!


 ど~ん!!


     魔理沙「おおっ!?」
 

 ぐらぐら・・・・


大きな音と共に、木が揺れました。

 フランドール「あいたたたた・・・・・。」

どうやら『猪』が、『猿』の居た木にぶつかったようです。
木にぶつかった『猪』は、ようやく暴走を止めました。


 ぎぎぎぎぎぎ・・・・・


しかし、『猪』のその力を、まともに受けた木は、今まさに倒れようとしていました。

    魔理沙「うわ!た、倒れ・・・・・。」


 ぎぎぎぎぎぎぎ!!!


    魔理沙「お~~~~!?」


 どど~ん!!


    魔理沙「んぎゃ・・・・・・。」

倒れた木は、そのまま『猿』を潰してしまいました。
『猿も木から落ちる』ものです。

 フランドール「ん~?ここは何処かしら?」

『猪』は辺りを見回しますが、誰も居ません。
いや、近くで『猿』がつぶれているのですが、そんなことには気付きません。

 フランドール「まぁいいや。ええと、道はこっちでよかったっけ?」


 どどどどどどどど!!


『猪』は、そのまま見当違いの方向へ走って行ってしまいました。
何かにぶつかるまでは止まれないので、結局『猪』も、神様の所へは辿り着けませんでした・・・。

 ・
 ・
 ・

さて、参加者一同が全滅したころ、神様はというと。

     魅魔「ふあ~・・・・・・。暇だ・・・・。」

誰も来ないので、暇してました。

     魅魔「・・・新作出たから、私の影は益々薄くなるばかりだよ・・・・。」

暇なので、自然と独り言も出るものです。

   ルーミア「そーなのカァー。」

その辺飛んでた『鴉』も、相槌を打ったかのように鳴いています。

     魅魔「・・・・・天罰。」

 どか~ん!

   ルーミア「あぎゃ~!」

 ひゅるるるるるる・・・・

     魅魔「カラスも鳴かずば落とされまい。」

『鴉』は、神様の怒りに触れ、撃墜されてしまいました。
ちなみに『鴉』が真っ黒なのは、この時の雷のせいで、真っ黒焦げになってしまったからだそうです。

     魅魔「暇だな~・・・・・・。」

結局誰も、神様の下へは集まりませんでした。
呆れた神様は、とうとう動物達の前から姿を消してしまいました。
今日、神様が私たちの前に現れないのは、この時の虚しい思いを、二度と繰り返したくないからなのです。
神様が姿を消し、天罰を受けることが無くなった動物たちは、
その後も何事も無かったかのように、平和に暮らしましたとさ。

 ・
 ・
 ・

ちなみに、『狐』と、狐に説得された『猫』はというと・・・・。

      藍「な。行かなくてよかっただろう?」
      橙「ですね~。」

以来、『狐』と『猫』は仲良く一緒に、まったりするようになりました。
『狐』が犬の仲間なのに、『猫』のような生活をしているのは、この出来事が始まりなのだそうです。

      藍「んなことは無いってば。迷信、迷信。」


 おしまい。




 キャスト

子(鼠)  ・・・ 八雲 紫
丑(牛)  ・・・ 上白沢 慧音
寅(虎)  ・・・ 西行寺 幽々子
卯(兎)  ・・・ 鈴仙・優曇華院・イナバ
辰(龍)  ・・・ 蓬莱山 輝夜
巳(蛇)  ・・・ レティ・ホワイトロック
午(馬)  ・・・ レミリア・スカーレット
未(羊)  ・・・ 十六夜 咲夜
申(猿)  ・・・ 霧雨 魔理沙
酉(鶏)  ・・・ 博麗 霊夢
戌(犬)  ・・・ アリス・マーガトロイド
亥(猪)  ・・・ フランドール・スカーレット

神様    ・・・ 魅魔
猫     ・・・ 橙
狐     ・・・ 八雲 藍
鹿     ・・・ 八意 永琳
蛙     ・・・ チルノ
山羊    ・・・ パチュリー・ノーレッジ
鴉     ・・・ ルーミア
みょん   ・・・ 魂魄 妖夢

寝・牛・虎・優(曇華)・龍・ヘビー・紅魔・執事・猿・鳥目・犬・妹・・・。

今年の書き納めは、ウルトラランをお休みして、昔話。最早、昔話と言って良いのかどうか疑問ですが・・・。何か、年末特番な気分です。

結構久々に、魅魔様にご登場してもらいました。相変わらず、神様役で。他にも、結構沢山のキャラに出演してもらい、キャストのところが縦長に。何で、このキャラがこの役なのか不明な部分は、そんなには無いかと。輝夜はまぁ、『龍料理』ですし。

『猫と鼠は仲が悪い』というのは、この十二支の出来事から始まっています。そんなわけで、『何か、動物のいろんな習性とかの始まりをこじ付けちゃえ』的な思考が働き、『狐はイヌ科なのに猫的生活をする理由』とか、『鴉が真っ黒な理由』とか、無理矢理作ってしまいました。全ては迷信というか、私の妄想の産物なので、真に受けることの無いよう。

来年の干支は酉、このお話では、霊夢です。来年は、目出度い紅白な年だったらいいなぁ。

それでは皆さん、よいお年を。
Piko
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コメント



0.2670簡易評価
16.50名前が無い程度の能力削除
こいつはめでたいものを見せてもらった
28.40名前が無い程度の能力削除
…エ○レンジャー?また懐かしいものを。
50.30ダブルファイナルマスタースパーク削除
私は戌年なのでアリスですね・・・・・・
67.100⑨なす削除
優曇華か、てゐの方がよk