Coolier - 新生・東方創想話

紅い月、黒い月(1)

2003/07/23 10:06:32
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ここは真夜中の博麗神社の空の上。
今日は満月。だが、紅くて丸い月の隣には真っ黒な月が浮かんでいる。
いや、月というよりは闇そのものと言っていいだろう。濃紺の夜空を黒く染める闇が空にあるのだ。
そして、その闇の中には少女がいた。

彼女は『宵闇の妖怪』ルーミア。夜に目覚め、闇を操る妖怪。可愛い少女の姿をしているがれっきとした妖怪だ。
かつて、とある巫女の持つ莫大な霊力を得るために取って食おうとした事があったが返り討ちにあった。
だが今日は違う。とっておきの秘術がある。絶対に負けるわけがない。そう、絶対に・・・
口元をわずかに歪めつつ、少女は闇を纏いながら地上へ降りていった。



「・・・・で、夜中に人をたたき起こして境内裏まで呼び出して『勝負しろ』?」
「そう!この前のリベンジよ!」
「はぅ・・・妖怪の考えてる事って本当によくわからないわ」

博麗神社の巫女、霊夢は明らかに苛立っていた。
熟睡しているところをいきなり起こされれば誰だって嫌なものだが、霊夢の場合は特にそうだ。
着替えるのも面倒だから寝巻き姿で陰陽玉も持たず外に出てきた。だが霊符はたっぷり持ってきている。
短期決戦でリベンジ失敗させたらまた寝よう・・・何も考えてないようで霊夢はある程度考えていた。

「寝言は起きてて言うもんじゃないわ。それとも・・・」

欠伸を一つはさみ、霊夢は続ける。

「この前私にボッコボコにされた奴がいきなり勝てるようになったとでも?」
「あの時は切り札を持ち合わせてなかったのよ」
「随分な自信ね」
「そうよ・・・・私の本当の力、たっぷり見せてあげるわ!」

そう言ってなにやら呪文を唱え始める。
ルーミアの手の中に黒い札が表れる。スペルカードだな、と霊夢は直感した。

「これが私の切り札・・・・と言ってもまだ名前が決まってないの」
「名前なんてどうでもいいわよ。どうせすぐ決着つくから」
「そうよね。あなたが負ける・・・っていうか私が食っちゃうからいいか」

「さ せ な い わ っ !」

霊夢が空を駆ける。間合いを詰めながら霊符を一枚、空に放る。
霊符とは、術者が少しずつ溜めてきた霊力を凝縮し封印したものと考えればいいだろう。
印によって封印を解き、術者の意思で霊力の塊を操り敵を撃つ。
これこそ、人・人外を問わずその魂も肉体も破壊し得る『夢想封印』。
どんなに恐ろしいスペルカードを出そうが、発動前に本体を倒せば問題ない。
そう考え、霊夢はいきなり勝負に出たのだ。

だが、ルーミアを飲み込むはずの光はその直前で掻き消えた。
二発目、三発目も撃つが同じように当たらない。

(何・・・結界を張って防いだ!?いや、あれは弾いてすらいない・・・・)
「どうしたの?まだ御札が沢山あるじゃない。それ、全部使っていいよ」
「・・・・言われなくたってっ!!」

その後はありったけの声を張り上げながら夢想封印を叫び続け、気がつけば全ての霊符を使い果たしていた。
光弾に光弾が重なり、真夜中だというのに昼よりも明るく周囲を照らす。
これだけ撃てば1発くらい直撃があるはず・・・大きく肩を上下させながら、霊夢はようやく安堵の表情を浮かべた。

「ん?これで攻撃おしまい?」

だが、光の向こうから姿を見せたルーミアはピンピンしていた。
白と黒を基調とした服にも、柔らかそうな白い肌にも傷一つない。

「はぁ・・・はぁ・・・どうして効かないの・・・・・?」
「さぁね、これのお陰かな?」

そう言って召喚したスペルカードらしき物をちらつかせる。
カードには印も呪文の類もなく、ただ黒一色で塗りつぶされているだけ。
だが、カードそのものから何か禍々しいオーラが出ている事に霊夢は気づいた。

「・・・・ただのスペルじゃないのね」
「そう。私の力を全部つぎ込んだ特別製よ!」
「動くのが少しばかり遅かった、って事か。迂闊だったわ」

少し余裕のあるふりをしながら、霊夢は次の一手を考えていた。
直接殴りかかるか?否、丸腰では近づく前に撃ち落される危険がある。
一旦退いて体勢を立て直すか?否、背を向けた瞬間、後ろから撃たれかねない。
おとなしく諦めるか?否、それは絶対言語道断!

あれこれ考えていたが結論は出ず、そのうち辺りを包む闇がだんだん濃くなってきた。

「じゃあそろそろ仕上げ~。たたき起こした後で悪いんだけど少し眠っててね」

わずかに見える闇の向こう側で、ルーミアの手にあるスペルカードが霧散していくのが見えた。
ルーミアの仕業だろうか、急に睡魔がやって来て眠ってしまえと囁きかける。
夜中に起こされた霊夢には、それが天使の呼び声にも悪魔の誘惑にも聞こえてしょうがない。

「ねっ・・ねた、ら・・・だめ・・・なの・・にぃ・・・・・・」
「抵抗なんてできないでしょ?お休み~」
「・・・・・ぁ・・・・・・・・・・・・・・」

ルーミアが笑いながらそう言っているような気がした。
もはや周りは何も見えない。霊夢は文字通り漆黒の闇に飲まれ、
自分が目を開けているのか閉じているのかさえ分からなくなり、意識を深い深い闇の中へ沈めてしまった・・・・・・・

(続)
色々とオリジナル要素を作ってしまいました。
そして計画的に3話完結のつもりです。


いや、自分が長い文章書くとどうしてもキリのいい所で
分割したくなってしまうだけなんですがw
0005
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コメント



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1.50ななl_削除
これからどうなるかに期待ー。強いルーミアもイイ!
9.100名前が無い程度の能力削除
問う。遊戯王ZEXALは燃えているか。
ttps://www.tv-tokyo.co.jp/anime/yugioh-zexal/index2.html
ttps://w.atwiki.jp/kizuna1999/
ttps://www.nicovideo.jp/watch/so36847474
ttps://yugioh-wiki.net/