MYST

○二・「爆発音がした」 in 創想話200選

2015/04/01 00:11:18
最終更新
ページ数
1
閲覧数
2105
評価数
9/10
POINT
121

分類タグ

ニーハオ♪
ようこそ、娘々ハウスへ。
この芳香はサービスですから、まずはよしよしして落ち着いてくださいな。

ええ、「去年」の倍なんて話はなかったんですの。ごめんなさい。
聖の胸も三度までって太子様が仰ってましたしね、謝って許してもらおうとも思っていませんわ。

でも、このタイトルを見たとき、あなた様は、きっと言葉では言い表せない「また爆発かよ」みたいなものを感じてくれたと思いますの。
変化の目まぐるしい世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい、そう思って、このお話を投稿しましたわ。

それでは、爆発音を聞きましょうか。



小説
「後ろで大きな爆発音がした。俺は驚いて振り返った。」



ケータイ小説
「ドカーン! 俺は振り返った。」



ライトノベル
「背後から強烈な爆発音がしたので、俺はまためんどうなことになったなぁ、とかそういや昼飯も食っていないなぁとか色々な思いを巡らせつつも振り返ることにしたのである。」



門司柿家氏
 昼下がりの柔らかい日差しを背負って、里の通りをとろとろと歩いていると、背後からどおんと景気の良い音が耳に入った。
 霊夢は露骨に顔をしかめ、ひたと歩みを止めた。まず面倒事に違いない。確かなので振り返りたくなかったが、このまま立ち去るのも逃げるようで片付かない。
 そのうち男衆が「エッヒャッヒャッ」と言いながら立ち尽くす霊夢を追い抜くが、途端にぐるりと振り返った。一同は霊夢を見るや、にわかに顔をギョッとさせ、それから全力で駆けだした。
 たちまち霊夢の心は決まり、すぐに揺れる背中を追いかけた。



しょこらふれんち氏
 太陽が話好きであることは周知の事実だが、彼の発音の悪さには誰もが辟易したことだろう。だが、ここで彼を責めてはいけない。彼(ところで彼と太陽の性別を決めつけていることについての言及はご容赦願いたい。それは話の本筋とは関係ないのである)の仕事は燃えることであり、そのため常に爆発し続ける運命にあったからだ。
 フレアと言葉を交互に噴き出す太陽との会話を立派にこなせるものはそういない。いるとすれば、そう、君も知ってる通り、古明地こいしくらいだった。

「やあ……お嬢……ん…………」
「あらお天道様。今日もお元気そうですね」

 どうだろうか。この見事な切り返しは!
 もちろん、こいしも太陽の一言一句を聞き取れたわけではない。太陽は相変わらず咳きこむようにドッカンドッカン爆発をかましてるので、当たり障りのない言葉で華麗にお茶を濁したのだ。こうした処世術なぞ彼女にとっては、人様の目を濁すことよりも簡単なのである。

「元気……? とんでも……! …………」

 ところが、太陽はまたもや爆発を続けながら、具合が悪そうな口ぶりをみせた。世の中には例外というものが存在するので、こいしが太陽の健康状態を見誤ったのも仕方のないことなのかもしれない。
 しかし、地上は快晴で雲ひとつないというのに一体どこが悪いというのか。頭?頭なの?頭だよこんな奴の悪いところなんてのは、とこいしの表情は次第に遠慮のないものになった。



図書屋he-suke氏
 我慢などできるはずもなかった。
 ナズの甘い匂いに包まれて、息をするのも忘れてしまう。ドクドクと血液の流れる音で、ワタシの頭はさらにうるさくなった。
 もう一度距離を縮める間、ナズは少しも目をそらさなかった。

「…っ」

 声がもれた。それがどちらのものかすら、もうわからない。ワタシとナズの間でカチリと硬い音が何度か鳴った。
 ワタシの意識はもうほとんど燃え尽きていた。ナズの吐息の熱さが、唇の赤さが、その柔らかさが、ワタシのアマノジャクに火を灯す。
 体の奥底にある爆弾のような本能は、ワタシをいっぺんに爆発させた。



haruka氏
「はぁ~……幸せっ! 今の私、幻想郷で一番幸せっ!」

 里の甘味処でスペシャルあんみつを味わいながら、幸せの絶頂にいるのは、『スイーツ仙人』の名が定着したあまりほとんどの人が本当の名前を知らずにいる仙人、茨木華仙こと華扇ちゃん。
 人体の70パーセントは水分であり、女の子の70パーセントは糖分だと信じてやまない彼女にとって、行きつけのお店でスイーツを楽しむ時間はまさに至福の一時である。
 この時間がずっと続けばいいのに――そう思いながら、華扇は目の前の甘味に夢中になっていた。
 すると、その時。

「ああ、茨華仙さま! やはりこちらにいらしたのですね!」

 店内に爆発させたかのような大音声が飛び込んだ。
 何事かと振り返った彼女の目に入ったのは、青い邪仙、霍青娥。
 残念美人と(華扇ちゃん界隈で)名高い彼女の登場に、華扇は『やっぱり幸せって儚いものね……』と考えながら、白玉の上にトッピングされた、溶けかけのクリームを口にした。



平田凡斎氏
 閃光と轟音が咲夜を遥か後方から一瞬で追い抜いた。続いて莫大な熱量が爆風を引き連れ、紅魔館名物三町廊下を圧倒的な速度で駆け抜ける。
 咲夜は振り返ることなく、魔理沙の五指から伸びる青いレーザーの隙間を縫ってナイフを投げ続けた。爆発の衝撃は咲夜の背中に届くことなく、彼女が膨張させた空間の時間経過に押し潰された。
「何度やっても同じよ。この館で私に敵うと思っていたの?」
「わかったわかった、認めるよ」魔理沙が笑った。
「今回はもう駄目だな。続きはまた今度にしようか」
 魔理沙は縁に無数の切傷がつけられた帽子を押さえ、箒の高速飛行に備える。柄を掴む手から魔力を通わせ、穂先は異様に逆立った。
「わかっていないようだから、教えてあげるけど」咲夜は一本のナイフを構え、流れるような動作で魔理沙に投げつけた。
 魔理沙が瞬く間に、一本だった小さなナイフは無数の刃先へと変貌する。通路を埋め尽くす銀色の幕は、咲夜の鋭い声音だけを通した。
「あなたに次はもうないわ」



手負い氏
「うわあああああ太子様の角みたいなアレを爆破してしまったああああああ!!」
「お前ふざけんなよ、またじゃねーか!」

 早朝、物部布都の再犯が発覚したので、蘇我屠自古は自慢のイナズマキックで迎え撃った。

「うぐ……屠自古、いきなり何を!?」
「それ、こっちの台詞だからな。この前切り落としたくせにまたやったのか」

 生まれたてのバンビも道を譲るほどに足を震わせる布都に対しても、屠自古は容赦なく追及する。
 屠自古の言葉に、布都はがっくりと項垂れた。

「すまぬ……日課の太子様寝顔ウォッチングをしていたら、またしても虫めが……」
「日課の件は面倒だから無視するけど、それがどうやったら髪を燃やす事態に発展するのよ」
「うむ、確実性を重視した結果と言えばお主にもわかるかな?」
「何で得意げなのか微塵も理解できないし、もっと他に重要視するところあるだろ」

 ドヤ顔させたら一等賞と道教の弟子たちからも評判の布都の笑みに、屠自古の握力は急激な上昇を見せた。

「とにかく太子様がまだ寝てる内に何とかしてくれ。屠自古しか頼れるものがおらんのだ」
「……はあ、まったく仕方ないな。そこまで言われて黙ってるわけにもいかないね。よし、私に任せてみろ。やってあんよ!」
「うう、感謝するぞ屠自古。だが、失った足への未練が断ち切れないことを何もこんなときに主張しなくとも」
「噛んだだけだよ! そこはスルーしろよ! 本当に気にしてるみたいになっちゃうだろ!」
「なんだ、では気にしてないのだな。よかったよかった。ほれ、何をやっておる。とっとと行くぞ」
「お前、今日から夜道には気をつけるといいよ」



じょにーず氏
あらすじ

 by ハドソン





 ボンバー ボンバー

 ジェラシーボンバー

 今日もあの子は嫉妬する


「まったく皆どうかしてるわ。あんなに見せつけなくてもいいじゃない」


 地底の橋のお姫様

 誰も彼もがうらやましくて

 今日も今日とて妬いている


「キスメとヤマメはいつでもどこでも、二人一緒のなかよしこよし」


 釣瓶落としと土蜘蛛二人

 毎日橋へとやってきて

 ニコニコ笑っておしゃべりタイム


「勇儀とさとりも楽しそう。いつも宴や晩餐会」


 酔って楽しい鬼の宴

 お前も来いと手を引っ張る

 豪華絢爛覚りの会食

 あなたも来てと手を握る


「空と燐はいつも明るい。毎日が充実してるから?」


 地獄の鴉と火車の猫

 普段は遊んでいるけれど

 愛する主人のためならば

 働きものに早変わり


「眩しいわ。皆が眩しい」
「地底なのにね」
「あら、こいし」


 橋姫様のひとり言

 お返事返してふたり言

 誰かと思えばさとりの妹

 いつの間にやら隣に佇み

 水面のような目を向ける


「でも、眩しいのはあなただけじゃない」
「ほかに誰か?」
「皆よ」


 ボンバー ボンバー

 ジェラシーボンバー

 今日もあの子は嫉妬する

 皆もあの子に嫉妬する


「こんなに可愛いお姫様が、眩しくないはず、ないじゃない」
今回で107作完了。
いつも素敵な話を読ませて頂きありがとうございます、という感謝の気持ちとかそういう感じのあれ。

ところで、特に意味はありませんが、皆さんの好きな創想話の作者さんも良かったら教えて下さい。特に意味はありませんが。
智弘
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.50簡易評価
1.14青段削除
創想話の作品は八割が智弘さんのゴーストライティングだと言うことはあまりに有名ですね。智弘さんの作品が好きです
2.3緩衝材削除
200もあるんだったら俺も居るかなってちょっとドキドキした気持ちをかえして
4.14無名のプレイヤー削除
そろそろアレを言うべきなんじゃないですか。ワシの爆発したはいくつまであるぞ、みたいなやつ
5.14図書屋he-suke削除
何時か爆発してみたいと思っていたんだ
6.3無名のプレイヤー削除
じょにーずさん懐かしいっす
7.無評価無名のプレイヤー削除
大体コメント2さんに同意
俺のドキドキ…プリキュアを返して!
8.33削除
智弘さんの作品が好きですが、ところで智弘さんとは想像上の存在に過ぎないのではないでしょうか
9.3無名のプレイヤー削除
最近だと、茨木春氏、むーと氏、ピノ吉氏……まだまだ好きな作家さんが増えていくそそわがやっぱめっちゃすっきやねん
10.3無名のプレイヤー削除
アッハイ私はいませんよね……
11.14無名のプレイヤー削除
誰が紹介されてないのか把握しきれんぜ。