くーりえの掲示板

ライダー!ライダー!

2014/04/01 16:26:31
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里から少しずつ人が消えている。
その事実が発覚し始めたのは行方不明者の数が両手の指で収まらなくなってからであった。
異変である。そう結論を出した人里の守護者、上白沢慧音は博麗の巫女へと解決の依頼をしつつ自らも調査を始めた。

それから一週間程経ってからであろうか。ついに慧音は行方が知れぬ者達がどのようにして消えていくかを目撃者の証言により知った。

「神隠しのように突然消えているんじゃない……これは謎の怪人による犯行だったんだ!」

その事を博麗の巫女、博麗霊夢へと伝えるために神社へと向かった慧音は神社に来ていた霧雨魔理沙に驚くべき事を聞かされる。
曰く、霊夢の姿が3日程前から消えている。

「まさか霊夢までやられたのか……」
「考えたくはないが、その可能性も視野に入れておかなきゃならんかもな」

事件の概要を知っていた魔理沙の表情は平静を保ってはいたが、その声色には明らかな動揺を感じられた。
博麗の巫女までもがやられたとなると、犯人は恐らく幻想郷の中でもかなりの力を持つ存在であることは間違いない。慧音も魔理沙もその姿を見せない怪人に大きな畏怖を覚えた。

そんな彼女達の様子を覗き見る視線が一つ。正体は山の天狗、ブン屋の射命丸文である。
彼女は今までの会話と独自に作成した事件の調査記録からある程度の全貌を理解した。

「これは大スクープになる予感ですね……ふふふ」

文はまだ見ぬ一面記事とそれを読んだ読書の反応を妄想し、思わず笑いが零れた。
大反響間違い無し。新聞大賞も夢じゃない。購読者数の大幅上昇。
そこまで考えると自然に体が動いていた。 いち早くこの妄想を実現させるためにも一分一秒たりとも無駄には出来ない。文は未だ神社の境内で暗くなっている二人にバレないように事件の黒幕と思われる場所へと飛んだ。

場所はやはりというか何というか紅魔館である。




紅魔館に着いた文の目に飛び込んできたのは紅い屋敷もそうだが、その庭にいるかなり多くのメイドの姿であった。いや、そんなにいらんだろという数である。

「一体これはどうなっているのでしょう……?」

一人疑問を浮かべつつ潜入取材を試みるために紅魔館の門番の元へと向かう。
しかし、そこにはいつもニコニコしながら立っているかシエスタを満喫している門番はおらず、代わりに数人のメイドが配置されていた。

「門番さんがいないとは都合がいいですね、この機会にちょっと侵入してみますか」

そう独り言を呟くやいなや、文は文字通り風の如く紅魔館内部へと侵入した。


紅魔館内部へと潜入した文が見たものは、おびただしい程の数のメイドの姿であった。
よく見るとそのメイドの中には人里で行方不明者となっている者の顔があり、また紅魔館付近では見かけない妖精や妖怪達の姿もあり、文の顔見知りの者の姿もあった。

「一体これはどうなってるの……」

よく見るとあの八雲紫までもがメイド服を着て歩いていたが、文はあえて知らんぷりした。見なかったことにした。夢に出そうだったからである。
しかもなんか操られているっぽい様相を示す他のメイド姿の者達に対して明らかに自我を保ちながら楽しんでいるようだ。なんかルンルン気分である。痛い。ヤバい。
でもヤバいものに限って注意を払ってしまう。怖いもの見たさなのだろうか。知らんぷりしつつも八雲紫のメイド服のフリルが視界から外れるまで見送ってしまった。

「あなた、ここで何してるの?」
「!!??」

突然背後から声をかけられた。

「そ、その声はメイド長の十六夜さく……や、さん? ですよね?」

驚き、身を少し竦ませつつもゆっくりと顔を後ろへと向けると、そこには普段とは違う格好のメイド長が立っていた。

「ふっ、それは過去の名。今の私は秘密結社スカーレッツの幹部……」
「ひ、秘密結社スカーレッツ?」
「そう、秘密結社スカーレッツの幹部、咲夜・ザ・ワールド!!」

射命丸文は一瞬何を言われたのか理解出来なかった。きっと鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていただろう。カラスだけど。
だが実際目の前で知人が秘密結社の幹部とか言い出したらきっと誰もが同じ反応をすることだろう。その上完全で瀟洒なメイドとまで言われている彼女、十六夜咲夜がボンテージを着ていたから尚更である。

「あ、あの、ちょっと何をおっしゃっているのか分からないんですけど……」
「無理はないわ。我々の存在はあなた達のような者にはとても理解の出来るものではない」

秘密結社のわりにおもっくそ地上に出とるやん、しかもあんたら知り合いやん、というツッコミをしたくなったが我慢し、文は思い切って目的を聞いてみた。

「一体何故人々を攫ってメイドにしているんですか……?」
「ふふ、知りたいのかしら? それはね、幻想郷中の人妖を全て我が主であらせられるスカーレット首領のメイドにするためよ!」
「全ての人妖をメイドに? 何故そんなことを……」
「分からないのかしら? 全ての人妖がメイドとなる。つまり、全ての人妖がスカーレット首領の下僕となる!」
「なっ……!」

結構バカなことやってるなと思う一方、幻想郷の征服という野望という壮大な、壮大な? 計画に戦慄した。

「今そこらのメイドが着ているメイド服は特別製よ。着るとメイドとしての自覚とスカーレット首領への忠誠心が湧いて、本物のメイドへと変身するの」
「なんてことを……」
「文字通り征服、ね。制服による征服」
「それは言わないで我慢して下さい」

文が戦慄し、咲夜(略)が得意げに計画を話す一方、二階踊り場に設置された大きな鏡の前ではメイド服に身を包んだ八雲紫が嬉しそうにポーズを決めていた。
何故こんなことを書いたか? 特に意味は無い。強いて言うならサービスである。

「さて、ブン屋さん? 何故私があなたに私たちの計画を話したのか分かるかしら?」
「も、もしかして……」

射命丸は理解していた。悪党が計画を喋る時は相手を無事で返すつもりは無いということを。同時にフラグでもあることを。

「いやーいいお話を聞かせてもらいました、ではこのへんで失礼しますっ!」
「逃がしはしないわ!!」

射命丸は全速力で逃走した。
天狗の中でも抜きん出たその速度は幻想郷最速。まさに風神である。
彼女を捉えられるものはおろか、その姿すら見える者が限られるスピードを全力で開放して脱出を試みた。

結論から言おう。あっさり捕まった。

「いや、時を止めるのズルくないですか?」
「勝てば官軍よ。安心しなさい、あなたをメイドになんかしないわ」
「え? 本当ですか?」
「ええ、代わりに……あの子と同じ、改造妖怪になってもらうけどね」
「あ、あの子って? 」
「あら? 分からない? じゃあヒントをあげる」



門番がシエスタなんて……あなた、許せる?



そう、耳元で呟いた彼女の声はどこまでも冷たかった。
そして射命丸文は意識を失った。









「う、うーん……」
「あら、目が覚めたのかしら」
「ここは? って身動き出来ない!?」

射命丸はいつの間にか手術台のようなものに身体を固定されていた。
そして横には医師のような格好をした七曜の魔女の姿があった。

「ぱ、パチュリーさん! これは一体どういうことですか!?」
「あら、咲夜(略)から聞いているでしょう? あなたには改造妖怪になってもらうわ」
「なっ! いや、やめてください!」
「無駄よ。あと私の名はパチュリーではないわ、魔女博士よ」
「魔女なのか博士なのかはっきりして下さい!」
「それは本家に言いなさい。さ、始めるわよ」

「「イー!!」」

いつ間に現れたのか、手術台の周りにはメイド服に身を包んだ者達が道具を持ち、奇声をあげながら取り囲んでいた。

「や、やめてー!!」

そして再び文は意識を失った。





















「……す……すか……?」
「う、うん……」
「だい……か? 大丈夫ですか?」
「だ……誰ですか?」

意識を取り戻した文はぼんやりとした視界の中で自分に呼びかける者へと焦点を合わせた。

「気がついて良かった、でもゆっくりはしていられません! すぐにここを離れましょう!」
「え、えと、状況が飲み込めないのですが……」
「それは後です、さぁ、私に着いて来て下さい!」

次第にはっきりとしてきた視界に映ったのは、ボロボロになった図書館と手術台、そして様々な機械とメイド服を着た妖怪達、そして……。

「え、ほんとに誰ですかあなた!?」
「いいから早く! また捕まりたいんですか!?」
「え、それは困ります!」
「じゃあ急いで下さい!」
「わ、分かりました」

最後に視界に飛び込んできたのは、まさに怪人としか形容のできない者であった。
そしてその怪人は必死に自分を逃がそうとしてくれている。

「誰だか分かりませんがありがとうございます!」
「礼は後です、さぁこちらへ!」

怪人に案内され館の中を駆け抜ける。
何故助けてくれるのか? 正体は? そして改造妖怪って?
走りながら様々な疑問が湧いてくる。しかし、今はゆっくり聞いている暇はなさそうだ。射命丸はひとまず目の前の怪人の言う通りに駆けた。

「あの扉が外に通じてます! もう少しです!」
「た、たす
「助かった、これで帰れる。と、あなたは言うわ」

「助かった、これで帰れる……はっ!」
「っ! この声は!!」

脱出まであと数メートル、という所で足を止めざるを得なかった。
目の前には外に通じる扉だけがあった……はずなのだが、いつの間にかボンテージを着たメイド長が立っている。

「残念ね、まさか身内から裏切り者が出るなんて」
「やはり咲夜さんですか……」
「うそ、ここまで……なの?」

時間を止める能力の前では何人も逃げることは許されない。例えそれが幻想郷最速を誇る射命丸文であってもだ。それは先のことで自分自身が体験していた。

「分かっているわよね? スカーレッツは裏切り者を許さない」
「……分かっています、でも! こんなの間違ってます!」

怪人は射命丸を守るように前に出た。その時初めて射命丸は怪人の全貌を見た。
暗い緑を基調としたライダースーツ。その背中には金色の龍の刺繍がされている。
頭に被った仮面はヘルメットの様だがどことなく昆虫を彷彿とさせるようなデザインであった。

「メイド服を着た瞬間から、皆一様にメイドとなる。服に着られて、スカーレット首領に仕えられる幸せに満たされる。何が間違ってるの?」
「服に着られるなんて間違ってます! 人は人! 服は服です! 偽りの忠誠を得て、お嬢様が喜ぶとでも思ってるんですか!?」
「ふぅ、残念ね。そんな考えを持ってるようじゃ、いずれ我がスカーレッツに仇を為すでしょう……ここで、始末するわ」

一触即発とはまさにこの事であろう。肌を裂くような殺気と、それを燃やさんとする程の闘気が溢れ、千年を生き、数多の闘争を経験した射命丸でさえ手汗を握り立ち尽くすことしか出来ない。

「覚悟はいいわね? ヴラド」
「いつでも、咲夜さん」

高まる戦いへの緊張感。
ぶつかり合う殺気と闘気。
ヴラドと呼ばれた怪人が構えた。その時。

「変身」

そう射命丸に聞こえた時には既に怪人と相対していたはずのボンテージ咲夜はいなくなっており、代わりにその場所に立っていたのは黄色を基調とした服に身を包み、額に飾りを付けた逆髪の咲夜がなんか凄い格好で立っていた。
分かりやすく言うとディ○・ブラ○ドー。

「な、なんて分かりやすい変身!」

思わず射命丸はツッコんだ。

そしてそれを皮切りに二人の激しい戦闘が開始された。
怪人が間合いを詰めれば咲夜は消え、後ろに回り込む。
だがそれを読んでいたか怪人は後ろへ蹴りを放つ。
しかし時間を止められる咲夜には当たらず、蹴りは空を切る。そして体勢を整え再び構えた時には既に数多のナイフに囲まれていた。

「くっ!」

しかし怪人も負けてはいない。飛来するナイフの尽くを避け、捌き、打ち落とした。
その動きは洗練されており、射命丸の目から見ても見事というほかなかった。

「やるわね、改造といっても変身出来るような機能しか付けていないというのに」
「努力家なもので」
「でも、私に攻撃を当てる事は出来ないわ。既に貴方の時間は、私の物ですもの」
「さて、それはどうでしょうね」

この戦いは長引くだろう。時間を操る咲夜に対して怪人は攻撃を当てる事は出来ず、対して咲夜は怪人の防御の前では攻撃の尽くが無駄になるであろう。
たった数秒ではあったが、そう予感させた。

しかし

「この戦い、長引けば長引く程……私達が不利!」

そう、この戦いは追われる者と追う者の戦い。当然追われる立場の二人にとっては時間がかかればかかるほど敵に囲まれる可能性が高まるのだ。

「さて、この状況……どう乗り切るつもりかしら? めいr、ヴラド?」
「手は……あります!!」
「じゃあ、見せてもらおうかしら!?」

再び激しく争う両者。
打つ、弾く、斬る、捌く、投擲、躱す、蹴る、消える……

完全な攻撃対完全な防御。
弾幕が主流となった幻想郷の中では中々見られない攻防である。

「す、すごい……」

普段ならカメラを構えて取り続けるであろう射命丸も、その息つく暇さえ無い闘争に目を奪われ呆然と立ち尽くす他なかった。

だが、そんな二人の攻防にもやがて終わりが訪れた。

「しまっ!」
「遅いわ!!」

咲夜は投擲したナイフを全て回収するのではなく、怪人の足元に数本残すようにしていた。そしてそのナイフを踏んでしまった怪人はバランスを崩してしまったのだ。

「終わりよ」
「ぐっ!」

時間が停止したかのような錯覚を起こした。
つい一瞬前まで激しく動いていた両者が止まっていた。
咲夜が怪人の腹にナイフを突き立てた姿で、だ。

「そ、そんな……」
「次はあなたよ? ブン屋さん? 諦めなさい」

終わった。諦めて投降してしまおうか、と射命丸が思ったその時。
腹部を刺され崩れ落ちそうになっている怪人がゆっくりと静かに手を動かし

「捕まえ……ましたよ!」
「なっ!!」

咲夜の手を掴んだ。

「あなたの時間停止は……! 触れている物を、対象に、出来ない!!」
「な、何故それを!?」
「何年一緒に、いると……思ってるん、ですかあああああ!!」

ナイフを突き立てた手を掴んだ怪人はそのまま壁へと咲夜を叩きつけた。

「かはっ!」
「これで……終わりです!!」

背中から思い切り壁に叩きつけられた咲夜は身動きがとれない。その隙に怪人は高く飛び上がると天井に足を付け、地面へと跳躍した。

「こ、こんなところで……!」
「ライダー……キック!!」

跳躍と同時に半回転した怪人は勢いそのままに突き刺すような蹴りを炸裂させた。
いつ間にか見物してたメイド服の八雲紫が興奮して「ライダー!!」とか叫んでいる。
射命丸は頑張って聞こえないフリをした。

「お嬢様ぁ〜……ごめんちゃい!」

ライダーキックを食らった咲夜はよろめきながら最後の言葉の残し爆発した。
なお爆発したといってもギャグ補正を受けているため服だけが粉々になり、本人はちょっと煤けているくらいである。最後の言葉次第でギャグ補正を受け死を免れる高等テクニックである。ワザマエ!

「さぁ、逃げましょう……うっ!」
「だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫です、さぁ、行きましょう」


















こうして、脱出を果たした二人は人里に身を隠した。
だが、そこで怪人から衝撃の事実が告げられる。

「射命丸さん、あなたは既に改造されてしまっています」
「な、なんですってぇー!?」





一方紅魔館、今は秘密結社スカーレッツでは秘密会議が開かれていた。

「ヴラドとレイヴンが逃げ出したようね」
「あの子には我が先祖の崇高なる名を与えたというのに……」
「教育がなってないんじゃないの?」
「……とにかく、スカーレッツは裏切り者を許さない」
「ふーん、じゃ、私が咲夜(略)の仇をとってこようか?」
「ふふ、期待しているわ。フランプール」
「任せておいてお姉様、いえ、スカーレット首領?」
「「ふふふ、くっくっくっ、アーッハッハッハッハッ」」





こうして新たな魔の手が二人に忍び寄る!
はたして人里の運命は?
そして射命丸を助けた怪人の正体は!?
エイプリルフールだからと勢いに任せて書いてしまったこの作品は!?

次回、『風見幽香死す』 デュエルスタンバイ!
続きません。

迫る〜スカーレッツ! 悪魔の軍団〜♪
メイド服を着せる影〜
幻想郷を守りぬけ〜
Go! Go! レッツゴー!
輝く龍バッチ〜♪
U.N.owen
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コメント



0.15555554簡易評価
1.8888888名前が無い程度の能力削除
なんかもうものすごいノリで押し切られました。ライダー。
2.12345678キリ番ゲット!(核笑)削除
やっぱり3人目は赤と緑の風見なんだな
4.12345678キリ番ゲット!(核笑)削除
わけのわからないスカーレッツの光を遍く世界に叛逆ですか?おかしいと思いませんか?あなた
5.7キリ番ゲット!(核笑)削除
ライダーネタは美鈴と幽香が多すぎるないいぞもっとやれ