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レミリアとエイプリルフール

2013/04/01 20:58:55
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「おねーさまー」
「ん? なにかしら、フラン」
「だいっきらい♪」



レミリアとエイプリルフール



唐突にフランから告げられる衝撃の事実。
妹に、満面の笑みで大嫌いと告げられてしまった。
どうしてこんなことになってしまったのか。
確かに一緒に外出などもせず、趣味も違うから一緒に遊んだりもせず、仕事にかまけてばかりでロクにかまってあげられなかったけれども……
あれ、私ダメ姉じゃね?
こんなダメな姉じゃ、嫌われてもしょうがないか。
自然と涙が溢れてくる。ああ、唯一の肉親に嫌われるということはこんなにつらいのか。
胸が、心が痛い。白木のくいを心臓に打ち込まれた時もかなり痛かったが、あれの何万倍も痛い。
もう何も考えたくない。

「ごめんなさいフラン、今ちょっと忙しいからまた後でね」

どうにか気力を振り絞ってフランを部屋から追い払う。

「う、そっか、邪魔してごめんね」

そそくさと部屋から出て行くフラン。扉が閉まるのを確認してから、鍵を掛けてベッドに横たわる。

「うー」

その日、久しぶりに私は泣いた。



---



紅魔館大図書館。
数えきれないほどの本がおいてあるその場所の一角。
私がいつものように本を読んでいると、妹様がふらふらとやってきた。

「エイプリルフールはうまくいきました? 妹様」
「全然。なんかすぐ追い出されちゃった」

ニヘラ、と元気なく笑う妹様。
いつもだと敬語使うなとか、妹様じゃなくフランと呼べだとか結構色々言ってくるのだけれども、それすら言ってこないことを見るとかなり重症のようだ。
エイプリルフールにかこつけてイチャイチャするように、妹様に吹き込んだのだが、何が悪かったのだろう。

「妹様はなんて言ったのですか?」
「おねえさまだいっきらい、って。ちょっと恥ずかしいけど、これならわかりやすいし気持ちも伝わるかなぁと思ったんだけど、忙しいからまた後で、って追い出されちゃった」

顔は笑顔だが、声に張りがない。こういう顔をさせたかったわけではないのだけれども、どうしてこうなってしまったのか。
妹様の嘘の内容を聞いても、わかりにくいものではない。頭のいい妹様のことだから、レミィに理解し難いレトリックでも使ったのかと思ったが、全くそんなことはなかった。聞いてるこちらが恥ずかしくなってくるほどの直球勝負だ。
おかしい。予定では姉妹でイチャイチャして機嫌を良くしたレミィから、図書館の追加予算を引き出す予定だったのに、このままだと私の計画もパーだ。
至急計画の修正をしないいけない。このままだとレミィにつられて咲夜の機嫌まで急降下しそうだ。そうするとこっちの負担も増える。

「うう、お姉様私のこと嫌いなのかなぁ」

妹様が涙目になっている! やばい、妹様を泣かせたなんてレミィに知られたらどれだけ面倒なことになるか。

「そんなことはないわ。レミィにとって妹様は一番大事な存在よ」
「そんなわけないよ。パチェのような親友や、咲夜とか美鈴とかの忠臣と比べたら、私なんて役立たずの穀潰しだもの」

妹様がネガティブモードに入ってしまった。
無駄に自意識過剰なレミィと違って、妹様は結構すぐ悪い方に考える。吸血鬼らしくないが、箱入り娘だしストレス耐性が低いのはしょうがないのかもしれない。
こうなるといささか面倒だ。

「私はパチュリー様の言うことの方が正しいと思いますよ」
「ひゃ!?」

どうしようか悩んでいたところだったが、妹様の後ろから小悪魔が抱きついた。
いつの間に近づいてきていたのやら。私の使い魔だが、この子の技能は結構わからないものが多い。
と言うか抱きつきながらさり気なく胸と尻を撫でてやがる。ちょっとは自重しろ。

(それ以上やったら殺す)
(大丈夫ですよ、さすがにお嬢様を怒らせるようなことはしません。私も命が惜しいです。ああ、妹様やわこい)

素敵な主従のアイコンタクトで、小悪魔と意思疎通を図る。
長年の付き合いのせいか、ちょっとした動作だけで互いに意思疎通できるようになってしまった。
こんな弱小淫魔、さっさと放り出したいのだけれども、意外とそつが無いので扱いに困る。

「小悪魔ぁ……」
「傍から見ていてもお嬢様が妹様を大事にしてるのは分かりますもの。パチュリー様の言うように、お嬢様にとって妹様が一番大事だと思いますよ」
「でも……」
「妹様の不安は心が弱っているからです。少しお休みになったほうがよろしいと思いますよ。そろそろ日も上がりそうですし」
「……うん、そうする……」

どうやら上手く丸め込んだようだ。口だけは相変わらず達者な小悪魔である。
でも尻を撫でるな。

「それじゃあ妹様を寝室までお連れしますね」
(ついでに添い寝してもよろしいですか?)
「よろしく、小悪魔。妹様も気にしちゃダメよ」
(手を出したら殺す。生まれてきたことを後悔させる)
「すぐ戻ります。それじゃあ妹様、行きましょう」
(適当に眠らせたら戻ります。鎮静香を使おうと思うので、一つもらっていきますね)
「うん……」

妹様を抱えて出て行く小悪魔。その雰囲気は優しいお姉さんそのものだ。
でも尻を撫でるな。

「さてと、妹様の方は小悪魔に任せるとして私はレミィの方を見に行こう」

妹様があんなになってしまったことを考えると、シスコンのレミィの方もいささか心配だ。ちょっと様子を見に行こう。



---



やって来ましたレミィの部屋の前。早速ノックをする。

「レミィ? いる?」
「ああ、パチェ? 今は調子悪いからまた今度にして」

予想以上に沈んだ声が返ってきた。まさか妹様の「だいっきらい」を真に受けてるなんてことはないわよね。
何にしろ放置する訳にはいかない。心に受けたダメージは、妖怪にはかなり響くのだ。
ドアノブを回して開けようとするが、鍵がかかっているらしく開かない。
むう、しかたがない。

「どっせい!」

鍵ごと扉を蹴破って中に入る。
その勢いでスタイリッシュにジャンプして華麗に着地。うん、十点満点確実ね。
白蓮に教えてもらった身体強化の魔法、中々使えるわ。まだ初歩だけだと言っていたし、また教えて貰いに行こう。

「ぱ、ぱちぇ?」

レミィがありえないものを見たとでも言わんばかりの勢いでこちらを見つめる。
さっきのジャンプが華麗すぎたのかしら。
それにしてもレミィの顔、酷いことになってるわね。
目が真っ赤……なのは元からか。目の周りが泣き腫らしてるし、涙の跡が残ってるし。
レミィも泣くのかと思うとちょっと感慨深いわね。傍若無人を地で行くこいつが、泣くなんて今まで考えたことなかった。

「レミィ、何泣いてるの?」
「フランに嫌いと言われたらなんか悲しくなっちゃってね」

年かしら、ととぼけたことを言うレミィ。嫌いと言われて泣くのはどちらかと言うと幼女ねという言葉は飲み込んでおく。
嫌いと言われた程度で泣くなんてどんだけシスコンなのよこいつ。

「レミィ、今日はエイプリルフールよ。あとは分かるわね」
「エイプリルフール? ……ああ、でもフランが言ったことが嘘かどうかなんてわからないし……」

うわ、なにこれ。めんどくせえ。普段のレミィだったらこんなこと絶対言わないのに何なのこのヘタレミィ。
語感いいわねヘタレミィ。こんどメイドの間で流行らせよう。

「じゃあ本人に聞いて来なさい。お姉ちゃんのこと大好き?って」
「なにそれかっこわるい」
「ここでうじうじ泣いてるほうがよっぽどかっこ悪いわ。さっさと行って来なさい」
「え、ちょ、パチェ力つよい!」

ベッドから持ち上げて廊下にポイッとレミィを投げ捨てる。本当に身体強化魔法色々便利だわ。また絶対習いに行こう。
このままだとさすがに格好がつかないだろうから、涙で腫れた目は治癒魔法で治療する。涙の跡はハンカチで拭いてあげた。なんか子供の世話をしている気分だ。

「それじゃあさっさと行って来なさい」
「うー」
「いいから行って来いヘタレミィ」
「何そのカリスマレスな呼び方!」
「今のあなたはそれくらいカリスマレスなのよ、ヘタレミィ」
「うー!」

うーうー唸っているが、こんなレミィ怖くもなんともない。
しっしっと追い払うと、とぼとぼと妹様の部屋に向かっていった。全く世話が焼ける。

「パチュリー様?」

レミィを見送っていると、後ろから声がかかる。
メイド長の咲夜だ。

「何か用?」
「このドア入った移動したのでしょうか?」

咲夜が指差す先には先程私が粉砕した扉が。

「身体魔法を使って蹴り破った、反省も後悔もしていない」
「そうですか。ドアの修理代は今月の図書館の予算から天引きしておきますね」
「え、ちょっとまって、これは海よりも高く、空よりも深い理由が……」
「理由がないということはよくわかりました。少し反省してください」

無情に告げる咲夜。
こんな親友思いの私になんという仕打ち。しかしメイド長は紅魔館の実質的な最高権力者。逆らうことはできない。
次までには鍵開けの魔法を考えておこうと思いながら、すごすごと図書館へと帰るのであった。



---



「フラン、居るかしら?」

パチェに促されてフランの部屋まで来た。
ノックすると仲から出てきたのは赫い髪の女。

「あら? お嬢様、いかがしましたか?」

パチェの使い魔の小悪魔だ。どうしてこいつがフランの部屋にいるのだろうか。

「ああ、そうですか。妹様は今お眠りになった所ですよ。どうぞどうぞ」

何を納得したのかわからないが、私を招き入れる小悪魔。

「寝付きがあまりよろしくなさそうでしたので、今までついていましたが、お嬢様がいらしたなら大丈夫ですね。それではごゆっくり」

そしてそのまま出て行く小悪魔。一体何をどう理解してこのような行動に出たのかがわからない。
ベッドには眠るフランドール。頭のところに座り、何となくその金色の髪を梳く。

「お姉様……」

呼ばれて少しビクッとしてしまう。でも起きた様子はない。寝言のようだ。
この子は今どんな夢を見ているのだろう。
何にしろ眠っているなら用事を果たすことはできない。一度部屋に戻ろうか。
そう思い立ち上がろうとしたのだが、うまく力が入らない。
え、何が起きてるの? 徐々に意識が遠くなる。小悪魔のやつが何かしかけたのだろうか。
どうにかフランの上に倒れこまないようにしながら、ベッドに倒れ込む。
そのまま私の意識は闇に沈んでいくのであった。
「小悪魔、ここにあった奴は?」
「鎮静香じゃなかったんですか? さっき妹様に使いましたけど」
「こっちのやつ改良テストのための試作品だったんだけど…… まあいいか」
「どう違うんです?」
「効果が普通のより少し強いだけなはずよ。まだテストしてないから不明だけど」

⊂(゚ー゚*⊂⌒`つ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
迷子になった挙句どうにかここに辿りつけました。
キャッシュが残ってるとダメとかトラップすぎる。
みやび
[email protected]
http://mypage.syosetu.com/304428/
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コメント



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5.274636レミフラ教原理主義者削除
かわいかったです!
6.110005ナルスフ削除
ここでおわりなのかー?