「ちっきしょーめ!」
「お客様、叩く勢いは素晴らしいですが、ちと角度がよろしくありませんね。このくらいからがベストかと」
バンバンバン、と全く加減せずにちゃぶ台が叩かれる光景。
昔はすぐ止めるようにと警告したのだが、今はむしろ推奨している。それどころか丁寧な指導までする始末。
どうしてこうなったのだろうか。
頭巾を深々とかぶり直し、両手で頭を抑えうずくまる私。その肩にそっと手を置く雲山の気遣いが心に染みる。
「いやはや、何とも酷い弾幕地獄だったな。1HIT一割の赤UFOで削り殺し、飛んでいるのに下段判定の緑UFOでガードを撹乱、強引に突っ込めばHITすると10F硬直の青UFOで迎撃。しかもどの弾も発射モーションが全く同じで地上空中どちらでも出せるときた」
「えー、別にこれくらい普通じゃん? 私達シューティング勢なんだから弾幕撃ってなんぼでしょ?」
「明らかに霊力ゲージを無視している奴が何を言う」
「ふっふーん、知らないねー。あ、ムラサが船長ゴールイン決めたっぽい」
隣から、村紗の『ひじりんよ、ご照覧あれ!』という勝鬨の声が聞こえてきた。
見えない中段柄杓を差し込んでからのアンカーループ、そのまま相手をボヨンボヨンとまるで陸に打ち上げられた魚のように跳ねさせてコンボ継続からの一撃必殺。この演出のためにわざわざ聖輦船と演出犠牲用の人形を準備した村紗の入れ込みようはある意味感嘆に値する。
うわ、怒った相手が村紗に飛びかかったけどアンカーで撃ち落とされた。誰が現実でも跳ばせて落とす戦法やれと言った。
台パンは推奨でもリアルファイトは禁止らしい。まあ、この寺でそんな命知らずな真似する奴はそうそういないだろうけど。
「なんじゃ、浮かない顔をしておるのう。折角お主のために皆が考えた企画なんじゃ、もう少し喜んでやらんか」
「ああ、うん…。それは凄く分かってるけど。なんかもう、やりすぎというか無茶苦茶というか世紀末というか、色々ついていけなくなっちゃって……」
「ほっほ、お主は相変わらず真面目じゃのう。少しはあの尼僧を見習ってはどうじゃ。実に爽やかな汗を浮かべておるではないか」
ナギッペシペシナギッペシペシナギッナギッペシペシ
マミゾウが視線を向けた先では、超人『聖白蓮』で縦横無尽に画面内を飛び回り、相手をガチガチに固める聖の姿があった。
ただ相手も並ならぬ修羅勢らしく、的確に攻撃を受け流しワンチャンを狙っているようだ。
あれでただの入門希望者だというのだから、この里はやっぱりどこかおかしい。
「あぁぁあぁぁぁぁあああ……! きゅ、九割まで減らしていたのに……」
「うわー……。ほぼ勝ち確だったのに永パミスるとかないわー……」
反面、槍を使った突き上げ永パやらぶっぱ宝塔五割とかのこれまたぶっ壊れた技が使えるはずの星の戦績は良くなかったりする。
でもねぇ、普通永パ決めたら怒って、落としたら喜ぶものじゃないの? それとも私がおかしいの?
「一輪さーん! こっちの台が空きましたので、私と一戦ご所望ねがいまーす!」
「うげっ! あ、いや、私は」
「ほらほら、早く早く~」
響子に無理やり引っ張られ、席に座らされてしまった。
この面子じゃ新顔のこの子だけど、画面端にしゃがんでひたすら音波攻撃を繰り出しそれを飛び越えてきた相手に箒振り上げの対空で落とすいやらしい待ち戦術の使い手だったりする。さっき挑んでいたガチムチマッチョな投げキャラ兄さんにはご愁傷様としかいえない。
「あーもう、こうなったらやけよっ! 雲山、アレやるわ!」
『―――――』
「で、でた! 一輪&雲山のオラオララッシュキャンセルチャクラムハメだー! こいつはひでぇー! 鬼畜外道の匂いがぷんぷんするぜーっ!」
新作製品版発売まで、あと何日あるのだろうか。
それまでこの地獄は続く。頑張れ一輪! 負けるな一輪!
「お客様、叩く勢いは素晴らしいですが、ちと角度がよろしくありませんね。このくらいからがベストかと」
バンバンバン、と全く加減せずにちゃぶ台が叩かれる光景。
昔はすぐ止めるようにと警告したのだが、今はむしろ推奨している。それどころか丁寧な指導までする始末。
どうしてこうなったのだろうか。
頭巾を深々とかぶり直し、両手で頭を抑えうずくまる私。その肩にそっと手を置く雲山の気遣いが心に染みる。
「いやはや、何とも酷い弾幕地獄だったな。1HIT一割の赤UFOで削り殺し、飛んでいるのに下段判定の緑UFOでガードを撹乱、強引に突っ込めばHITすると10F硬直の青UFOで迎撃。しかもどの弾も発射モーションが全く同じで地上空中どちらでも出せるときた」
「えー、別にこれくらい普通じゃん? 私達シューティング勢なんだから弾幕撃ってなんぼでしょ?」
「明らかに霊力ゲージを無視している奴が何を言う」
「ふっふーん、知らないねー。あ、ムラサが船長ゴールイン決めたっぽい」
隣から、村紗の『ひじりんよ、ご照覧あれ!』という勝鬨の声が聞こえてきた。
見えない中段柄杓を差し込んでからのアンカーループ、そのまま相手をボヨンボヨンとまるで陸に打ち上げられた魚のように跳ねさせてコンボ継続からの一撃必殺。この演出のためにわざわざ聖輦船と演出犠牲用の人形を準備した村紗の入れ込みようはある意味感嘆に値する。
うわ、怒った相手が村紗に飛びかかったけどアンカーで撃ち落とされた。誰が現実でも跳ばせて落とす戦法やれと言った。
台パンは推奨でもリアルファイトは禁止らしい。まあ、この寺でそんな命知らずな真似する奴はそうそういないだろうけど。
「なんじゃ、浮かない顔をしておるのう。折角お主のために皆が考えた企画なんじゃ、もう少し喜んでやらんか」
「ああ、うん…。それは凄く分かってるけど。なんかもう、やりすぎというか無茶苦茶というか世紀末というか、色々ついていけなくなっちゃって……」
「ほっほ、お主は相変わらず真面目じゃのう。少しはあの尼僧を見習ってはどうじゃ。実に爽やかな汗を浮かべておるではないか」
ナギッペシペシナギッペシペシナギッナギッペシペシ
マミゾウが視線を向けた先では、超人『聖白蓮』で縦横無尽に画面内を飛び回り、相手をガチガチに固める聖の姿があった。
ただ相手も並ならぬ修羅勢らしく、的確に攻撃を受け流しワンチャンを狙っているようだ。
あれでただの入門希望者だというのだから、この里はやっぱりどこかおかしい。
「あぁぁあぁぁぁぁあああ……! きゅ、九割まで減らしていたのに……」
「うわー……。ほぼ勝ち確だったのに永パミスるとかないわー……」
反面、槍を使った突き上げ永パやらぶっぱ宝塔五割とかのこれまたぶっ壊れた技が使えるはずの星の戦績は良くなかったりする。
でもねぇ、普通永パ決めたら怒って、落としたら喜ぶものじゃないの? それとも私がおかしいの?
「一輪さーん! こっちの台が空きましたので、私と一戦ご所望ねがいまーす!」
「うげっ! あ、いや、私は」
「ほらほら、早く早く~」
響子に無理やり引っ張られ、席に座らされてしまった。
この面子じゃ新顔のこの子だけど、画面端にしゃがんでひたすら音波攻撃を繰り出しそれを飛び越えてきた相手に箒振り上げの対空で落とすいやらしい待ち戦術の使い手だったりする。さっき挑んでいたガチムチマッチョな投げキャラ兄さんにはご愁傷様としかいえない。
「あーもう、こうなったらやけよっ! 雲山、アレやるわ!」
『―――――』
「で、でた! 一輪&雲山のオラオララッシュキャンセルチャクラムハメだー! こいつはひでぇー! 鬼畜外道の匂いがぷんぷんするぜーっ!」
新作製品版発売まで、あと何日あるのだろうか。
それまでこの地獄は続く。頑張れ一輪! 負けるな一輪!
星ちゃんの戦績が悪いのは単に、猛者が多すぎるからじゃないかなぁ。