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人間関係観察日記01 本居小鈴は見た

2013/04/01 00:28:16
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人間による人間観察日記(にんげん-ニヨル-じんかんかんさつにっき)

共著:本居小鈴・稗田阿求・藤原妹紅・冴月麟
出版:鈴奈庵

本居小鈴の人間観察日記(対象:名無し妖怪と上白沢慧音の関係)




どうも。始めましての方が殆どでしょう、本居小鈴といいます。一般人な人間代表です。
主に貸本屋兼製本屋なんぞを営んでおりますが、最近合同著作を出そうという動きがありまして。
その製本を鈴奈庵(※1)で担当させて戴くことになりまして、こうして筆を取らせて戴いております。
……敬語やめよう(※2)。

 ※1:私の店です。じゃなかった、私の家の店です。嘘つきましたさーせん(※3)。
 ※2:くどいね。でもはじめの所は一応残しておきます。失敗から学ぶこともあるはず。
 ※3:山の巫女が言ってた。賽銭とは違うらしい。

ところで、現在の状況は何でしょうか。なんかよくわからないのでそのまま描写して、後で(※4)考察でも入れましょうか。
えっと、とりあえず見たままに。そこの机で慧音さんが妖怪少女に、なんか文字とか教えてます。
学校でやれ、とか言いたいんですが。でも鳥っぽいしなぁ、覚えられないんだろうね。鳥頭だから何時起床とか、何時登校とか。

 ※4:ありのままにさっき起こったことを、今(※5)考察として執筆しています。
 ※5:そして現在、製本している際に気付いたこともありますが追記はしません。発行が遅れます。

最近の妖怪はやけに人間に近付こうとします。危険な妖怪がやけに攻撃性を自粛して近付いてきたり(※6)、取るに足らない妖怪が身近に迫っていたり。
この前幻想郷縁起に書いてあった「妖怪リモコン隠し」とやらが私にも襲いかかってきました(※7)。本を読もうとしたら眼鏡がない。探してみると、結局机の前に置いてある。すると、さっきまで机の上に置いていた本がない。諦めて作業をしていると、ふと目につくさっきなくなった本。本当どうにかして欲しい(※7)。
話が逸れたので戻すと、そこの鳥妖怪は「以前から本は読んでいるが、今度は内容が知りたい」らしい。中身わからないで本を読むなと言いたい。
しかも名無し繋がりであの紅魔館の図書館に入り込めるらしい。なんとうらやましいことだ。妖魔本が異常繁殖(※8)しておいでだろうに、ああ無常。

 ※6:なんとあの八雲紫が外の世界の料理本を選別して鈴奈庵で再出版して欲しいとの要望をくれました。その日の晩御飯は鴨南蛮から鴨肉の和風ハンバーグになりましたよ。おいしかったー。
 ※7:今では「お醤油とって」でウスターソースをくれるいい子に育ちました。
 ※8:解析するよー。だから読ませて、お願い。

なんかそういうことらしい。今日は寺子屋は休みとのことで、課外授業の舞台に本屋さんを選んだと。……なんでうちなんだろ。
少しずつ文字がわかってきたらしく、以前読んだ絵本(※9)を開いては以前読んだ内容(※10)と照らし合わせてははにかんでいる。守りたい、この笑顔。(※11)とまではいかないがそれはそれは微笑ましいことで、一瞬妖怪だということを忘れてしまったのは内緒だ(※12)。

 ※9:(と同じものを家の書店から取って、講義終了まで離さず。皺になるから離せよ)
 ※10:挿絵からの推測である。それは『読んだ』と言えるのかと小一時間ほど問い詰めたい。たかった。
 ※11:山の巫女が言ってた。そして蛙神は「マモレナカッタ……」と言っていた。
 ※12:ミンナニハナイショダヨ。山の巫女が以下略。

と、いつの間にか本が積み重なっていますよ。そういった置き方は本が痛むのでやめてほしいんですが。本屋の本気(※13)を見せてやろうか。でも先生が見てるので自重しなければ。こういうときは落ち着いて素数を数えるんだとメイドさんが言っていた(※14)。素数で思い出した。この前そこの先生に教わったのだが、実数の零乗が一なのは「一」が全ての数字の基礎になるものだからとのことだ。この幻想郷では「基礎」にあたる部分が「人間」なのか「妖怪」なのかはっきりしない。八雲紫さんに聞いてみたいが、はぐらかされる気しかしない。

 ※13:ハタキラッシュ。喘息持ちに効果抜群。
 ※14:何処へ行かれるのですか?

そして現実逃避から店番に意識を戻せば、先の妖怪娘がなにやら幻想本とにらめっこしている。何故不愉快そうな顔をする、嫌ならば本棚に戻せばいいのに。

「けーねせんせー」「おお、どうした?」「やっぱり、つまんない」何を申すか。
「どうしてそんなことを言うんだ?」「だって、想像と違ってたんだもの。しかも、想像した方がよっぽどいいの」

その本は、確か……香霖堂さん所から持ってきたものだった気がする。河童(※15)製の道具を修理に出そうと思って、ついでに何か置いてないかなーと魔理沙さんに付いていった時に宣伝代わりに押しつけられた奇妙な冊子。
その冊子を手に取りながら、彼女はのたまうのだ。それはさながら えーと、雨月?だっけ。あれだよ、あれ(※16)。
内容を想像して、それが実際のものより優れていた、なんて。じゃあお前が書けよ。って話にならない?(※17)

 ※15:河童で思い出した。私とあの一方通行赤河童って似てません?でも私はピラフ派。
 ※16:おのれ妖怪リモコン隠し。ど忘れを返せ。
 ※17:ならない。

こんな風に妖怪が人間の領域に入り込んでいる件について、私的な見解を述べるとすれば。
『その内妖怪と人間の区別がつかなくなるんじゃないか』ということである。

人間でありながら神格化した風祝について、山の神が言っていました(※18)。
「人間達が『神』を信じなくなった時、奇跡を起こすのは『特別な人間』なんだという錯覚が広まった。」
「その考えが『現人神』の存在を生み、そしていつしか人間達はそれすら信じなくなった。」
「『奇跡』は奇跡ではなく、ただの『偶然』として。『特別な人間』は『特別扱いされているだけの人間』として。」
「現人神として生まれおちた早苗も、両親からは気味悪がられ、『普通の人間』になるように育てられ、心から信じあえる友人にも、本心は打ち明けられなかった。」
「外の世界では『神』の存在が、『儀礼的な存在』として軽視されているか、もしくは『概念的な存在』として自身の正当性を持たせる言い訳(※19)に使われている」とのことだ。

 ※18:蛙の方。たまに借りに来ます。
 ※19:戦争、虐殺、弾圧。

そんな神様達が幻想郷にいられるのは、『神』であるからではなく、『神という種族の生き物』になっているからではないか。
妖怪という存在も、元々は「恐ろしいもの、不可解なもの、説明できないもの」であった筈なのにー、とは、八雲紫氏の言葉である。
幻想郷縁起にある通り、殆どの妖怪は正体が割れている。それ故に、実体が存在するだけの奇妙な生物が幻想郷を謳歌している訳である。
では、人間側はどうか。

外の世界ですら、「現人神」「聖女」「魔女」などで総称される彼らは人間でありながら摩訶不思議な能力を魅せるという。そういった性質が失われつつある外の世界と、そういった性質がより濃く残る幻想郷。妖怪が人間に近付くように、人間も妖怪側に近付いているのではないだろうか。

眼鏡を取り、手元の魔術書(※20)に目を通す。
奇妙な文字列が全て、そのまま『意味』として流れ込んでくる。『生命の起源とは』『人工的疑似生命の発生』『魂の複製方法とその意味』、理解しようとして読んではいけない気がするが、これを使って能力の確認をする。

 ※20:魔理沙さん曰く借り物のコピー。

ただの人間である筈の私でさえ、『あらゆる本を読み解く能力』を身に付けてしまった。
近所では、『魚に自らを釣らせる能力』を持つ釣り人がいると聞く。それもただの人間だ。

魔理沙さんのように『人間以外に憬れて』能力を持つのでもなく。
霊夢さんのように『そうであるべくして』能力を持つのでもなく。
早苗さんのように『そうであってほしいと願われて』能力を持つのでもなく。
咲夜さんのように『そうなるしかなくて』能力を持つのでもなく。
阿求さんのように『そうあるように』能力を持たされたのでもなければ。

もしかすると、外の世界にも。私たちのように能力を持つ『ただの人間』が存在するのかもしれない、と。

私はただ夢想するのであった。


 ※21:阿求さんのところにメモが落ちていた件について。もしかすると、時間と境界を超える人間が存在するのかもしれない。八雲紫っぽいのが増えても困るが。

 ※22:これにて第一部完。次ページより阿求さんの話にご期待下さい。
最初いつもみたいな『なんとかぱっぱっぱー』のフレーズじゃなかったのですっごくビビりました。約半年かけて四月馬鹿の為にしたためてきたのに今年は投稿すらさせて貰えないのかと本家創想話デビューを覚悟しちゃいました。

やっぱり私はこっち側でいいよね。
四月に出てくる冴月麟の人って呼ばれたい
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コメント



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2.64649ナルスフ削除
麟とは(深淵)